2014年8月6日水曜日

DPC制度の行方  CCPマトリックス  病床機能報告

日本病院会の堺常雄会長は8月2日 、日本病院会が東京都内で開いた病院長 ・幹部職員セミナーで基調講演し、DPC病院の約7割を日本病院会の会員病院が占める現状を踏まえ「医療機関群の在り方などDPC制度の今後の政策決定に向けて、日本病院会としても中医協などに提言していきたい」と述べられました。次期診療報酬改定では、一部の疾患について重症度をより詳細に評価する「CCPマトリックス」がDPCに試行導入される可能性があります。堺会長は「CCPマトリックスの重症度評価の広がりや、重症度、医療 ・看護必要度との連動などを見極めながら、DPC制度の精緻化を日本病院会としても推進していきたい」と述べられました。







堺会長は講演後、DPCと病床機能分化の関係について「高度急性期を担う医療機関はDPCI群とⅡ群にまたがる方向なのか、DPC病院の一部も地域包括ケア病棟を担っていくことになるのかなど、幅広い視点で検討していく」と指摘されました。各病院の判断については「地域での立ち位置を考慮しながら地域の需給バランスを踏まえた上で、病床転換などの方策について柔軟に判断すればよいのではないか」と述べられ、地域内の需給バランスを逸脱しなければ、病床転換などの経営判断は規制されるものではないとの認識を示されました。
その上で堺会長は、同日の病院長・幹部職員セミナーで伏見清秀氏(厚生労働省DPC研究班長、東京医科歯科大教授)が指摘した内容に注目しているとしました。伏見氏は「病床機能報告制度のレセプトデータから、各病院の値について地域平均や全国平均と比較した結果が出てきます。最初は病床機能を高度急性期や一般急性期だとして 自主的に報告するが、最終的にはレセプトデータに基づいて病院の機能を分けていくことができそうです。レセプトデータでかなりの部分が見えることから、DPC病院の一部は急性期でないと判断される可能性もあります」と述べられました。他の講演者からは「地域特性は重視される必要があります」との指摘もありました。
堺会長はこれらの指摘を重要視され、「報告制度でのレセプトデータに基づく病床機能分化の重要性について、参加者は再確認できたのではないか。地域医療の需給バランスがレセプトデータから分かれば、病院の立ち位置はおのずと明確になる」と述べられました。

いよいよデータを基にした病院の運営を行なっていく時代へと突入していきます。DPC制度で自病院の情報が筒抜けになりました。しかし反面、ベンチマークをおいて自病院を客観的に分析することもできるようになりました。情報をいかに活用するかで、それぞれの病院の運営に大きく影響を及ぼします。これまで通りの病院運営では生き残れない時代へとなっていくわけです。幸いにも医師はデータが好きです。データに基づいて説明されると納得します。ある意味、病院経営とビッグデータは相性が良いとも言えます。まずは、実績からどのような機能が求められているのか、見えてきます。それを踏まえてこの先どうしていくのか。いかに地域でイニシアチブをとれるのか。課題は山積みだと思います。








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2014年8月5日火曜日

重度化する特養

社会保障審議会・介護給付費分科会 (分科会長=田 中滋 ・慶応大名誉教授)は7月23日、次期介護報酬改定に向けて、特別養護老人ホームや特定施設入居者生活介護をテーマに議論を進めました。
厚生労働省は特養に関する論点として、医療ニーズの高い入所者に対して適切なケアを行う観点から、施設における医療提供体制や介護報酬上の評価の在り方をどう考えるか、これまで個室ユニット型施設の整備が推進されている一方、地域の実情に応じて多床室整備が行われている実態に鑑み、プライバシーに配慮 した多床室の在り方を検討する必要があるのではないか、多床室は室料を含まない光熱費相当分のみが居住費とされているが、今後の居住費の利用者負担の在り方をどう考えるか―など6点を示されました。






特養における医療提供について、同日の会合から参加 した鈴木邦彦委員 (日本医師会常任理事)は 、入居者が重度化する中で「健康管理や療養上の指導を行う配置医師や看護師だけでは不十分」と指摘されました。その上で、特養が住まいに位置付けられる点に言及し「それ以上の医療や看護は、必要に応じて外付けを中心に提供されるべきです」と述べられました。齋藤訓子委員(日本看護協会常任理事)は「必要な時にピンポイントで訪問看護などの連携で入れるような外付けサービスの充実が重要です」とコメントされました。堀田聰子委員 (労働政策研究・研修機構研究員)は「基本的な考え方として、多職種を施設の中に配置することを評価するのではなく、提供されている機能を評価するという考え方が大事になります」と指摘しました。
村上勝彦委員 (全国老人福祉施設協議会日l会長)は 多床室の居住費について、多床室には低所得者の生活を支えている機能があるとして「光熱水費以上の室料の負担を求めることは避けるのが原理原則」と述べられました。田部井康夫委員(認知症の人と家族の会理事)は、プライバシーに配慮した多床室ができても料金が上がれば低所得者にとって縁遠い施設になるとして、「低所得でも入れる個室型の促進を原則とする以外は無いのではないか」との考えを示しました。内田千恵子委員(日本介護福祉士会副会長)は 、個室ユニットが理想とする一方、実際には多床室が適している利用者もいるとして、「個室ユニットだけという考え方ではなく、もっと多様な考え方で施設が造られていけば良い」と述べられました。
7月23日は、次期介護報酬改定に向けて2014年度に実施する7本の調査研究事業の調査票について了承しました。同分科会の介護報酬改定検証・研究委員会ですでに了承された内容です。
7月23日の会合から老健局幹部が出揃ったほか、吉田学・大臣官房審議官 (医療介護連
携担当)と 苧谷秀信・大臣官房審議官(老健担当)が出席され、次回から保険局の渡辺由美子・医療介護連携政策課長も出席されます。

地域包括ケアの構築に向けて、特養のあり方も変化していかなければならない時期に差し迫っているということだと思います。特養は住まいに位置付けられているということです。そして要介護度3以上の方に限定した施設へと特化していきます。ただ住まいとなれば、どんな状態でもプライバシーは確保されるべきです。一日のほとんどの時間をベッドの上で過ごしているからといって、プライバシーを疎かにすることはあってはならないことと思います。ただし、その方その方にとって優先順位の優劣はあると思います。特養の入居者の方にとって何を最優先とするべきか。金銭的な負担を少なく安心を求める方が入居者のセグメントであるのなら、目指すべき方向性を誤まらないように取り組まなければ、地域包括ケアの実現も揺らぐのではないでしょうか。






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7対1堅持も、空床対策は死活問題   筑波メディカルセンター病院

茨城県つくば市の筑波メディカルセンター病院(413床、平均在院日数は11.7日)は、2014年度診療報酬改定でDPCの医療機関群がⅡ群からⅢ群に移りました。しかし、7対1は堅持し、地域の急性期医療を担っていくとの基本方針を決めました。

筑波メディカルセンター病院の中山和則事務部長は、「10月には病床機能報告制度が動き出します。報告内容には病棟単位での患者数の記載が入っており、その病棟からレセブトが上がってこなければ、稼動していないことが明確となります。今後、空床化対策は病院にとって死活問題になっていきます」として、「周辺病院の変化を見ながら、病院が地域医療の中で果たすべき機能を再確認していきたいです」と述べられました。






さらに中山事務部長は「筑波メディカルセンター病院は循環器系の患者が多いけれど、在院 日数が格段に短くなってきています。例えば在院日数2週間の心臓手術が、ステント治療で1週間程度で退院となっています。ICUを使う期間も短くなり、患者にとっては福音ですが、病院経営にとっては大きな課題です」と指摘されました。「外科手術だけでなく内科系治療への適切な評価を、次期診療報酬改定では具体化してもらいたいです」と求められました。

一方、筑波メディカルセンター病院では今年度から、給与体系を従来の人事院勧告に沿った体系から病院独自の俸給制度に改編しました。中山事務部長は「近年の診療報酬改定を見ても、今後、右肩上がりで推移していくことは考えられません。右肩上がりになっている人事院勧告に準じていくことには限界を感じてきました。3年前から病院独自の俸給制度の検討を進めてきました」と述べられました。   多くの7対1病院が急性期としての役割を担っていこうと、高度急性期を目指したり、DPCⅡ群を目指したりとされているところではないでしょうか。地域の環境やニーズを考慮して地域包括ケア病棟として役割を担おうと舵を切っている病院もあります。その中で、DPCⅢ群に移った筑波メディカルセンター病院の決断というのは、ある意味で多くの病院にとって励みにもなっているのではないでしょうか。どのような算定がされようとも、されなくても、地域の為に必要な医療を提供するために特化していく。それが本来の姿勢でしょう。その取組みが認められて、病院の機能が評価され、加算等が算定されるというべきです。それが逆転した発想で自院の病床機能を検討している多くの病院が多いことが、本来のあるべき医療の姿から逸れていってしまった所以ではないでしょうか。確かにキレイ事だけで病院経営ができるほど甘いご時世ではありません。ただ、その心はそのようにありたいものです。








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2014年8月4日月曜日

がん診療連携拠点病院など12病院を指定ヘ

厚生労働省の「がん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会」(座長=垣 添忠生・日本対がん協会長)は7月24日、新要件に基づく「がん診療連携拠点病院」として1 0病院の指定を認めました。新設の「地域がん診療病院」と「特定領域がん診療連携拠点病院」についても、それぞれ1病院の指定を認めました。今後、所定の手続きを経て各都道府県に通知します。

がん診療提供体制については、がん診療連携拠点病院等の整備に関する新たな指針が2014年1月に施行され、拠点病院の指定要件を強化する見直しが行われました。また、拠点病院の整備が困難な医療圏も存在することから、緩和ケアや相談支援、地域連携などの基本的がん診療を行える地域がん診療病院を新設しました。特定のがん診療について実績があり、拠点 としての役割を果たす特定領域がん診療連携拠点病院も新設しました。






同日はがん診療連携拠点病院の申請があった11病院のうち、県立釜石病院 (岩手県 ・釜石保健医療圏)、 いわき市立総合磐城共立病院 (福島県・いわき保健医療圏)、那須赤十字病院 (栃木県・県北保健医療圏)、自治医科大付属さいたま医療センター(埼玉県・さいたま保健医療圏)、東京医科歯科大医学部付属病院(東京都・区中央部保健医療圏)、災害医療センター (東京都・北多摩西部保健医療圏)、恩賜財団済生会横浜市東部病院(神奈川県・横浜北部保健医療圏)、横浜市立大付属市民総合医療センター(神奈川県・横浜南部保健医療圏)、大阪府立急性期・総合医療センター(大阪府・大阪市保健医療圏)、市立堺病院(堺市保健医療圏)― の10病院について指定を認めました。足利赤十字病院 (栃木県・両毛保健医療圏)は検討の結果、指定は適当ではないと判断されました。
新設の地域がん診療病院には、芳賀赤十宇病院(栃木県・県東保健医療圏)の指定が認められました。特定領域がん診療連携拠点病院には、乳がん治療に実績のある博愛会相良病院(鹿児島県・鹿児島保健医療圏)が指定されることになりました。

これから医療に対する資源は選択と集中が進んでいくと見られます。とくにがん診療については本格的に力を入れていくことになると思いますが、がん診療連携拠点病院の指定もその一環です。ただがん診療連携拠点病院が高度急性期になるというわけでもなく、複数の政策が入り混じり外部の方からは少し分かりにくくなってきつつあります。ただこれからは機能分化が進んでいくことになりますから、それぞれの病院がしっかりと特徴(機能)を掲げて地域に表わせていければ、本来の国が目指している姿に近づくでしょう。ただその実現は、まだまだ先になりそうです。








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医療・年金の自然増は8300億円  15年度予算概算要求基準

政府は7月25日、2015年度予算概算要求の基本方針を閣議了解しました。医療・年金などの経費は今年度予算分 (293兆円)に自然増分8300億円の範囲内で上乗せした額の要求を認めました。裁量的経費については、今年度予算額から1割を削減する一方、骨太の方針2014や成長戦略改訂版などを踏まえた諸課題に充当する「新しい日本のための優先課題推進枠」として要望基礎額の30%(約4兆円)の要求を認めました。
同日の経済財政諮問会議の議論を経て、閣議了解しました。自然増については「高齢化による増加とそれ以外の要因による増加などその内容を厳しく精査していくことを含め、合理化・効率化に最大限取り組み、その結果を15年度予算に反映させることとする」としました。消費税10%への引き上げに伴う社会保障の充実については、引き上げの判断も含めて予算編成過程で検討することとなります。
経済財政諮問会議は同日「15年度予算の全体像」も了承しました。医療・介護を中心とした社会保障給付の自然増の内容を厳しく精査する、地域横断的な医療・介護情報のICT化による「見える化」を進め、先進的事例の普及などによって支出の効率化を図る、地域医療構想と整合的な医療費水準などに関する目標設定などを通じて医療・介護提供体制の適正化を推進する、薬価調査・薬価改定の在り方などについてその頻度も含め検討する、介護報酬改定で社会福祉法人の内部留保の状況も含めた適正化を行いつつ、介護保険サービス事業者の経営状況などを勘案して見直す一などが盛り込まれています。






麻生太郎財務相は7月25日の閣議後の会見で、2015年度予算編成に向けて年金・医療など社会保障分野の自然増の内容を厳しく精査し、合理化・効率化に最大限努める考えを示されました。「持続可能な社会保障制度にするためには(保険料や税財源で賄い切れていない現状から脱却し)給付と負担のバランスを取ることが急務です。毎年1兆円の自然増があるといわれるが、それではとても財政は持たない」と述べられました。

また、田村憲久厚生労働相は7月25日の閣議後の会見で、2015年度予算の概算要求について、社会保障の質を落とさずに効率化を進めるための予算要求にするとの考えを示されました。「医療、介護、障害者福祉を含めて社会保障の質が落ちれば、国民の皆さまからお叱りを受けることになる」とした上で「質が落ちず、一方で効率化が進められるところはしっかりと進めていくということで、年末に向けて予算要求していく」と述べられました。同日に閣議了解された15年度予算の「概算要求に当たっての基本的な方針」では、年金・医療などに関する自然増分8300億円を加算した予算要求が認められた一方で、同経費について合理化・効率化に最大限取り組み、予算に反映させるとの方針も盛り込まれました。田村憲久厚生労働相は「これまでもそういう文言はいろいろなところにあり、効率化は不断の努力をしてきた」としながら、「その中身は精査しなければならず、医療であれば医療の高度化のようにいろいろと要因があるので、どのような形で効率化するか、年末にかけて調整していかなければならない」と述べられました。「新しい日本のための優先課題推進枠」として3割増の要求が認められたことを受け、「こうした別枠を使って、政策的に必要 となる部分に関して要求する」とも述べられました。 抜本的な少子高齢化対策や、若者の東京への流出を止めてそれぞれの地域で充実した職業生活を営むための施策に関する予算も要求する方針を示しました。田村憲久厚生労働相は、政府が「まち・ひと・しごと創生本部」を設置することを踏まえ、「地方創生」に向けた施策を検討する「まち・ひと・しごと創生政策検討チーム」(主査=厚生労働事務次官)を厚生労働省内に設置することを発表しました。その上で「積極的にアイデアを出し、予算要求にも反映させていきたい」と述べられました。同チームには医政・健康・老健・保険の各局長も参加します。


医療・年金の自然増での8300億円は決して少ない額ではありません。合理化・効率化に最大限努めると声多く挙がっておりますが、これからの病院経営にも大きな影響を及ぼしていくことが予想されます。決して各病院がどんぶり勘定で多くの診療報酬を請求している訳ではありません。患者のことを思い、最適な医療を提供しその代価として必要な分を請求しているのですが、その絶対数を減らすような施策がこれから次々に出てくるのでしょう。また病院自体というか病床の削減も進んでいくことでしょう。医療は決して営利主義で行なっている訳では無く、公共インフラの機能として役割を担っている自負もあると思います。ただこれからは少しずつそのやり方を変えていくことが急務となってくるでしょう。








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2014年8月3日日曜日

「現時点」と「6年後」の各病棟機能を毎年報告

厚生労働省は7月24日に、「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」を開催しました。この日は議論の整理を行っており、病床機能情報報告制度の大枠が固まりました。

 社会保障・税一体改革の中では、病院・病床の機能を分化し、効率的な医療提供体制を再構築する方向が示されました。そこで、医療介護総合確保推進法では「病院が、各病棟の機能を自ら選択して都道府県に報告し、都道府県が病棟機能の状況や人口動態等をベースに『地域医療構想(地域医療ビジョン)』を策定する」との仕組みを打出しています。

 検討会では、法律成立以前から「病床機能報告制度」の詳細について議論を重ね、この日、制度の枠組みを固めるに至りました。
 まず、全病院・全有床診療所は、毎年、各病棟の機能を都道府県に報告することになります。 報告するのは、「毎年7月1日時点の病棟機能(現時点の病棟機能)」と、「今後の病棟機能の方向性(6年後の病棟機能)」です。
 後者の「今後の病棟機能の方向性」については、「平成37年(2025年)時点の病棟機能」と「6年後の病棟機能の予定」のいずれとすべきかで委員の意見は分かれていましたが、「地域医療構想実現のための協議を行う際、各医療機関の意向等について共通の認識をもつための情報を収集する」という目的に照らして、「6年後の病棟機能」について報告を求めることで決着しました。 もっとも「平成37年(2025年)時点の病棟機能の予定」も、任意での報告が認められています。この結果、病棟機能については、当面、次のように報告することになります。

●平成26年10月に、「平成26年7月1日時点の病棟機能」と「平成32年の病棟機能予定(それ以前に変更予定がある場合には、その情報も報告する)」を必ず報告する。平成37年の病棟機能の予定については、任意で報告することができる。
●平成27年(報告期限は未定)に、「平成27年7月1日時点の病棟機能」と「平成33年の病棟機能予定」を必ず報告する。平成37年の病棟機能予定についても任意で報告することができる。
●平成28年(報告期限は未定)に、「平成28年7月1日時点の病棟機能」と「平成34年の病棟機能予定」を必ず報告する。平成37年の病棟機能予定についても任意で報告することができる。

 今後、報告制度を稼動する中で、「今後の方向」の時点(6年後の予定でよいのか?)などを必要に応じて見直していくこととなります。


 医療機関が報告する病棟機能は、(1)高度急性期(2)急性期(3)回復期(4)慢性期―の4つになります。各病棟がいずれの機能を持つかを病院自らが選択し、都道府県に報告することになります。
 なお、4つの機能の内容は現時点では「定性的」に規定されており、今後、報告制度を稼動させるなかでデータを集積し、「定量的」な基準を模索していくことになります。
 ところで、(1)の高度急性期の内容は「急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能」と定義され、(2)の急性期の内容は「急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能」と定義されているように、(1)と(2)の線引きがわかりにくいのが現状です。
 そこで厚労省は、この日の会合に「高度急性期機能に該当すると考えられる病棟の例」として、(i)特定機能病院において、急性期の患者に対して診療密度が特に高い医療を提供する病棟(ii)救命救急病棟、集中治療室、ハイケアユニット、新生児集中治療室、新生児治療回復室、小児集中治療室、総合周産期集中治療室であって、急性期の患者に対して診療密度が特に高い医療を提供する病棟―を示しました。
 しかし委員からは「高度急性期を限定するものと誤解されるのではないか」との指摘が相次ぎ、修正されることとなっています。
 ちなみに、上記例の意図は「特定機能病院やICUを持つ病院であっても、すべての病棟が高度急性期となるわけではありません。逆に、たとえばDPCのIII群病院であっても、診療密度が特に高い医療を行う病棟は高度急性期と認められる」という点にあると考えられます。







 医療機関が報告するのは「病棟の機能」だけではありません。どのような人員・構造を有しているのか、どのような医療を行っているのかも、医療機関から都道府県に報告することになっています。
 まず『構造設備・人員配置等』については、毎年7月1日時点の許可病床数、主とする診療科、保有するCTやMRI・PET、看取り状況などを医療機関または病棟単位で報告します。
 また『医療内容』については、全身麻酔下手術の実施件数、がん手術件数、救急患者への対応状況、退院調整の実施状況、リハビリの実施状況、難病患者の受入れ実績、在宅医療の状況などを報告します。
 もっとも医療機関の負担を考慮し、レセプトの情報やNDB(ナショナルデータベース)の枠組みを活用されます。
 たとえば、救急患者への対応状況については、【救急搬送診療料】や【院内トリアージ実施料】【救急医療管理加算】【救急搬送患者地域連携紹介加算】などの算定状況を、レセプトを活用して都道府県自らが把握します。つまり、多くの情報については医療機関が改めて集計し報告する必要はありません。
 当面は、毎年7月診療分のレセプトを対象に集計しますが、今後、複数月あるいは通年のデータを収集するか否かについて改めて検討されることになっています。
 なお、次期診療報酬改定に合わせて、レセプトに病棟コードを入力する欄を設ける予定であり、医療内容については、次期改定までは医療機関単位で、次期改定以後は病棟単位で報告することになります。


 病床機能報告制度は、今年(平成26年)10月から運用が開始される(医療機関が実際に報告を行う)ため、厚労省は8月にも関係の政省令や通知を整備する考えです。
 厚労省医政局総務課の担当者は、医療機関向けの「病棟機能報告マニュアル」のようなものを作成する考えも示しています。
 ちなみに冒頭に述べた「地域医療構想(地域医療ビジョン)」を策定するにあたり、厚労省はガイドラインを作成します。このガイドライン作成に向けた検討会が9月にも発足し、平成26年内にガイドラインを固める模様です。


病床機能情報報告制度の大枠が固まり、各病院においては取り急ぎ10月の報告に向けて事前準備を始めていくことになります。具体的には厚生労働省が作成する「病棟機能報告マニュアル」が通達されてから本格的になっていくかと思いますが、ただ重要なのは、現時点の報告だけでは無く、6年後の病棟機能が含まれていることです。これは厚生労働省としてもとても良い施策だと感じます。今がどうかということも重要ですが、しっかり先をみて取り組んでいこうという各病院の計画やビジョンを尊重しているということです。ただ実際には各都道府県がまとめる地域医療ビジョンによって、方向性がそぐわなければ叶わないモノとなってしまうかもしれませんが、これからの病院経営は経営力が問われるようになってくることは間違いないと感じるところです。








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2014年8月1日金曜日

医療機関での携帯電話使用について

 日本医師会の石川広己常任理事は7月23日の記者会見で、総務省や携帯電話関連会社などでつくる電波環境協議会が取りまとめた「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針案」に対して見解を述べられました。携帯電話端末による電磁波の影響をなくすために担当者を配置すべきなどとしていることに対し、医療機関に過度の負担が生じないよう、指針の周知・運営の際には十分注意すべきだとの考えを示されました。


 指針案では、病室などでの携帯電話の使用は問題ないとした上で、医療機関での携帯電話の使用に関する適切なルールづくり、電磁波で医療用電気機器の動作に影響が生じる恐れがあるため、携帯電話端末を医療用電気機器の上に置かない、電磁波による他の機器への影響を防ぐため、良好な院内環境を図るための担当者の配置―などが必要だとしています。指針案をめぐっては、7月22日までパブリックコメントが実施され、日本医師会は7月22日に意見書を提出しました。







 意見書によると、「指針の内容は最大限、遵守されるべき」としながらも、電磁波の影響をなくすための担当者の配置に関して、現実的にその体制を構築できる医療機関は限られていると指摘しました。医療機関に負担が生じないような対応が必要だとしました。

 また、厚生労働省から関連する通知などが出た場合、医療界から広く意見を集めて対応すべきとしました。一方、医療用の電気機器メーカーには、電磁波の影響といったリスク情報の提供や適切な注意喚起、電磁波の影響が少ない安全な機器の開発を求めました。

 会見で石川常任理事は、「携帯電話や無線通信器は日進月歩で変わっていくことが予想されます。指針を柔軟にアップデートしていけるような体制を構築していかなければならない」と述べられました。


電子機器には精密な電子回路が内蔵されていますので、比較的弱い電波でも影響を受ける可能性があります。 電子機器そのものにも電波の影響を受けにくくするための対策がとられていますが、万全ではありません。 携帯電話の普及によって電子機器と近接する機会も増えるため、携帯電話の電波が電子機器に影響をあたえる場合が考えられます。 特に、病院内の医療機器や植込み型心臓ペースメーカ、植込み型除細動器などが誤った動作をしないように注意が必要です。
植込み型医療機器への影響の発生・防止に関する情報としては、平成9年に不要電波問題対策協議会(学識経験者、関係省庁、関係業界団体等から構成。現在の電波環境協議会。事務局:(社)電波産業会。)により、医療機関の医用電気機器をも対象とした「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針」が策定されています。

電波の植込み型医療機器(植込み型心臓ペースメーカ及び植込み型除細動器)への影響に関する調査として、LTE方式の携帯電話端末について実機による影響測定を実施した結果、植込み型医療機器の動作への影響は確認されませんでした。

ちなみに、携帯電話などから発生する電波については、総務省が電波利用における安全基準である「電波防護指針」を設け、人体に影響を与えない電波の強さの基準値を電波法、電波法施行規則、無線設備規則に定めていますので、携帯電話からの電波が健康に影響を及ぼすことはないと考えられます。

ただ効率化を図るために普及してきた携帯電話をはじめとした電気機器の利用を止めて、人力でカバーするという策はあまりにも稚拙な考えではないでしょうか。ただし病院内は絶対に安全な空間を維持しなければなりません。それが我々の最低限の務めです。それに反するのであれば、携帯電話も使用を禁じることも当然かもしれませんが、0か1かの決定ではない最善の策を我々自分たちで見つけ出していかなければならないということです。






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