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2015年6月9日火曜日

2025年の訪問看護とは

日本看護協会、日本訪問看護財団、全国訪問看護事業協会の3団体は2014年度末、「訪問看護アクションプラン2025」を策定しました。2025年に向けて訪間看護が目指す姿と、それを達成するためのアクションプランを示しました。全国訪問看護事業協会の伊藤雅治会長は、「3団体が中心となり、行動していく方向性を示すという意味でアクションプランを作成しました。訪問看護ステーション自らが動くことが大事である」と述べられ、訪問看護師に対し、アクションプランで掲げた取り組みの周知を図る考えを示しました。






アクションプランには国民へのメッセージも盛り込んでいます。3団体が設置した訪問看護推進連携会議は2009年3月に「訪問看護10カ年戦略」を策定しました。訪問看護の在り方を示す指針として活動を進めてきましたが、訪問看護を取り巻く環境の変化を受け、同戦略を新たに見直す必要があると判断しました。
アクションプランは 訪問看護の量的拡大、訪問看護の機能拡大、訪問看護の質の向上、地域包括ケアヘの対応、で構成されています。量的拡大では、訪問看護師数を2025年までに現在の3倍程度(約15万人)に増やす目標を盛りこんでいます。伊藤会長は、日本の在宅死亡率の割合が、諸外国と比較して低いデータなどに言及し「日本でも訪問看護師を増やしていけば、在宅死亡率を上げられる」と説明しました。機能拡大では、機能強化型訪問看護ステーションを2次医療圏ごとに少なくとも1 カ所以上設置することや、看護小規模多機能型居宅介護を全市町村に1カ所以上設置する目標も掲げました。質の向上では、看護の専門性を発揮して多職種と協働できるスキルの強化を挙げました。地域包括ケアの対応では、国民への訪問看護に関する周知や、地域での生活を包括的に支援するため訪問看護ステーションの機能を強化する必要性も示しました。介護保険事業計画や地域医療計画といった自治体の計画策定プロセスに参加し、訪問看護の立場から政策提言することも掲げています。アクションプランでは、訪問看護に求められる重要な課題の一つに「日本全国どこでも24時間365日、いつでも必要な質の高い訪問看護サービスを届ける仕組みをつくること」を挙げ、そのために訪問看護が目指すべき姿の一つに「多機能化・大規模化」を位置付けています。また、2025年に向けて訪間看護ステーションが核になり、多職種で在宅療養する人に対して、必要な介護サービス、生活支援サービスを一体的に提供する仕組みづくりが必要との考えを示しました。

地域包括ケアシステムの構築に向けて、訪問看護の存在は必要不可欠であることは間違いと思います。正直、開業医がどれだけまめに訪問診療に行くかといわれても懐疑的なところがあります。訪問診療を行なっていても、やはり患者に寄り添えるのは看護師の方が上であると思います。それが看護師の本意でもあるわけですから。これから在宅療養が進めば、これまでと違った次元での医療の提供が求められていきます。その際に訪問看護が中心となって多職種で連携を行ない、地域を看ていくことが必要となっていくでしょう。








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2015年5月22日金曜日

有料老人ホーム「地域包括ケアの中心」

厚生労働省老健局の三浦公嗣局長は5月20日の全国特定施設事業者協議会(特定協)の特定施設事例研究発表全国大会でのあいさつの中で、「有料老人ホームをはじめとする高齢者の住まいは地域包括ケアシステムの中心だ」と改めて強調されました。また、2015年1月に国がまとめた認知症施策推進総合戦略「新オレンジプラン」に触れて、プランの推進には「認知症の方々にどうやって有料老人ホームや特定施設に入っていただくかが課題になる」と述べられました。






三浦局長は、有料老人ホームなどの特定施設について、「今後は終のすみかの役割も果たしていくことが期待されている」と指摘されました。特定施設が適切な看取り介護の体制をより強化していく必要性を示されました。
 特定施設事例研究発表全国大会では、「ケアマネジメント」と「看取り介護」「認知症ケア」「アクティビティ」の4テーマについて、全国から集まった有料老人ホームの関係者らが具体事例を発表しました。この中の認知症ケアの発表では、化粧品会社での勤務経験を有する職員が中心となり、認知症の入居者にフェイスマッサージや化粧など肌のケアを行うことで、自身の身の回りのことが行えず、不穏になる傾向があった入居者が、自発的に整髪や化粧をするようになり、介護拒否などの問題行動が減少した事例が報告されました。

認知症対策はこれからの大きな課題であり、いかに地域で認知症患者を看ていくのか、その体制構築が急務となっております。現状の問題点として地域で看ていくことが困難になった背景には、やはりそこには地域のコミュニティーの希薄化が要因の一つであると捉えています。ここ最近では、特に地方において、顔の見える関係づくりの互助の強化に取り組まれているところの活動が散見されます。地域包括ケアシステムの構築には、地域の自主性・主体制に基づいた自助・互助・公助・共助が必要でしょう。ただし、その中心は本人と家族の選択と心構えの上での住まいと住まい方が軸であります。その視点をおきざりにせずに、地域包括ケアシステムの中心を捉えて構築していかなければならないと感じます。








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2015年4月16日木曜日

地域包括ケアの認知度は?

日本理学療法士協会がこのほど公表した「介護予防や地域包括ケアの推進に対する国民の意識調査研究」の報告書によると、地域包括ケアシステムを「知っている」とした人の割合は全体の23.8%で、「詳しくは知らない」の40.5%、「知らない」の 28.3%より低い結果となりました。この調査研究は厚生労働省の2014年度老人保健健康増進等事業として行ったものです。






 調査は地域包括ケアなどに関する国民の知識や習慣を把握することを目的に実施されました。人口5~ 7万人の都市から、市町村ごとの要介護認定率が低い市の10都市(低認定率群)と高い市の10都市(高認定率群)の計20都市を抽出し、この20都市の住民基本台帳から65~84歳の計3700人をランダムにサンプリングしました。回答者1318人のうち、要介護認定を受けていないと回答した1169人を分析対象にしました。居住する市町村で行っている介護予防事業については、知っている人の割合は全体で32.6%でした。低認定率群では36.7%、高認定率群では28.6%が知っているという結果で、両者には有意差が認められました。理学療法士を知っている人の割合は全体で30.5%であり、低認定率群と高認定率群の間に有意差はありませんでした。

同協会の半田一登会長はこれらの調査結果を踏まえ、「地域包括ケアシステムや『自助』『互助』という考えがあまり国民に普及していない」と指摘されました。同協会の職能団体としての役割について「もっと『自助』『互助』という考えを普及させる一端を担わないといけない」とコメントされました。「政府だけに頼るのではなく、あらゆる職能団体を含めて、国民に理解を求めていくことが今後必要になる」と述べられ、地域包括ケアシステムの考え方の普及に向けて意欲を示しました。

地域包括ケアシステムを「知っている」国民が23.8%とは、それでも私が想定していた値よりは多いです。多くの患者等を見ているととても地域包括ケアシステムが認知されているとは感じられません。確かに地域包括ケアシステム自体が本来国民の健康のために構築を目指しているというより、社会保障費の抑制のために目指しているというところもあり、無理やり国民に地域で完結できるように誘導しようとしているところがあります。ですから、病院でも外来を締めていこうとしても、患者の理解を得られず進んで行かないのです。もっと国民の要望に沿った医療体制の構築を目指さなければ、本当に社会保障は解体してしまうのではないでしょうか。








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2014年9月20日土曜日

地域包括ケア構築の課題を議論  近医連・分科会

近畿医師会連合定時委員総会・第2分科会(地域医療)は9月14日、地域包括ケアシステムの構築をめぐり「医師間の意識の差をどのように埋めるか」「行政側が日ごろから現場の実態を拾い上げる姿勢を持つべき」など、今後の課題を持ち寄って議論しました。事前に6府県から集めたアンケートで、大阪府医師会は「市町村は次期介護保険事業計画の策定で、地域医師会との円滑な連携を視野に入れて計画策定する重要性をどこまで認識しているのか」と疑間を呈し、「現場の声に振り回されてしまうと事業計画の取りまとめが難しくなることは理解できるが、国や都道府県が示したガイドラインに沿った計画では意味がない」と指摘されました。






医師側の積極的な関与に加え、日ごろから行政側が現場の声に耳を傾ける姿勢を持つことも大事だと訴えられました。兵庫県医は意見を述べる中で、地域ケア会議などへの郡市区医師会の参加状況に温度差が見られると分析し、「地域のかかりつけ医が主導権を持つという意識を忘れてはいけない」と提言されました。奈良県医も地域包括ケアシステムの推進に関し、会員間で温度差が出ている現状があると説明されました。京都府医は、地域包括ケアという概念を論じるだけではなく、医療・介護従事者が直面する課題や地域の実情を踏まえた具体的な取り組みを個別に考えるべきとし、地域住民に地域包括ケアを知ってもらう働き掛けも不可欠と訴えられました。  アンケートでは新たな財政支援制度(新基金)をめぐる「都道府県計画」策定の関連で、大半の府県医師会と府県との協議はおおむねスムーズに進められたことも分かりました。「スムーズにできた」と答えたのは大阪、滋賀、奈良、和歌山、京都の5府県医でした。兵庫県医は県との情報交換について「昨年末に田村憲久厚生労働相 (当時)が新基金創設を明らかにした後、すぐに県側に意見交換を求めましたが、3月まで情報交換が行われなかった」とし、「スムーズに行えなかった」と回答しました。計画策定に関する各府県医の「役割」に関する質問では、大阪府医と兵庫県医が「郡市区医師会や関係団体から上がってきた要望について連絡協議会など設け、計画内容の調整など『取りまとめ役』として役割を果たした」と回答されました。「郡市区医師会や関係団体から上がってきた要望について、府県担当部署とともに調整・集約を行い、『取りまとめ役』の役割を果たした」と振り返ったのは大阪府医、京都府医でした。「府県担当部署が直接に調整・集約を行い、府県医師会として特に連携・調整しなかった」としたのは滋賀、奈良の両県医で、和歌山県医は都市医師会の意見集約は自ら行い、関係団体の調整は県側に任せた対応でした。

地域包括ケアシステムの構築に向けて、各都道府県が描く地域医療ビジョンが重要なキーとなります。ただ、現状の段階で、地域医療ビジョンを描けている都道府県はないと感じられます。だから医師会からの問い合わせにも答えることができないので、情報交換の場もまだ設けることができないというのが実情であると考えられます。しかし、各医療法人は、それらを待っていては乗り遅れますし、病床機能報告もあり、先だって進めていかなければならないというのは、どうもおかしな状況であると感じます。国が描けなかった地域医療ビジョンをいかに都道府県でまとめ上げることができるのか。とても一筋縄ではいかないのではないでしょうか。








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2014年9月5日金曜日

竹田綜合病院 急性期と地域包括ケアへ

福島県会津若松市の一般財団法人竹田綜合病院は、10月からの病床機能報告制度で現行の機能を「高度急性期」「急性期」「回復期」とし、「今後の方向」として報告する6年後の機能も、高度急性期などを目指していく方針です。
竹田秀理事長は、「会津若松地域は後方支援機能を受け持つ病院が少ない状況です。竹田綜合病院は急性期医療を展開していくが、今後の地域医療でニーズが高くなる地域包括ケア病棟は、分院の芦ノ牧温泉病院 (療養 120床)へ機能を集約したいです」と述べられました。ただ、地域包括ケア病棟入院料の算定は60日までと短く、患者の重症度や在宅復帰率の要件もあることから、全面的な移行については慎重に検討していくとしました。






建て替えを進めていた竹田綜合病院は2012年10月、新病院となる「総合医療センター」をオープンしました。新病院は、従来の1035床(一般病床726床、回復期リハビリテーション60床、精神病床249床)から、837床 (一般病床633床、回復期 リハビリ60床、精神病床144床)に大幅なダウンサイジングを図りました。現在は旧病棟を取り壊して玄関や駐車場などの外溝工事を進めており、1年後に新病院のグランドオープンを迎える予定です。
竹田綜合病院が次世代のビジョンを示す「VISION TAKEDA-2020」では、2025年の社会保障と税の一体改革に適合した事業展開を基本に据えています。竹田理事長は「今回の工事で急性期医療に関する整備は一段落したので、今後は地域包括ケアシステムの構築を目指します」と語られました。具体的には、竹田綜合病院本院は急性期機能に特化、山鹿クリニック (外来専門)を在宅療養支援診療所に位置付け、同一ビル内に介護福祉本部関連の事業所を設置、芦ノ牧温泉病院 (分院)を山鹿クリニックに隣接した場所に新築移転し「地域包括ケア病棟」とする、山鹿クリニックに隣接して、サービス付き高齢者向け住宅やグループホームなどの高齢者の住居施設を整備、通所系サー ビス、訪問系サービスの集中化や充実を図る一などを挙げ、これらの対応策によって「地域包括ケアシステム」を構築し、高齢化、少子化、人口減少などの市場環境の変化に対応していくとしています。
竹田理事長は「今回の診療報酬改定で地域包括ケア病棟が13対1になったことで、10対1までが急性期であることが明確になりました。竹田綜合病院では7対1病床が560床ありますが、今回の改定で『重症度、医療・看護必要度』の基準が見直され、基準をクリアすることが大きな課題でした。今後は病床の機能分化が一層進むだろう」と述べられました。
竹田綜合病院は9月から、会津地方では初めてとなる「緩和ケア病棟」の運用を開始します。全個室で15床です。緩和ケア病棟は新病院の重要な機能の一つとして位置付けていたが、スタッフの確保が進まずオープンできない状態が続いていました。緩和ケア病棟の開設によって、地域がん診療連携拠点病院として、より機能の充実を図っていくとしています。今回の病院の建て替えでは、病床のダウンサイジングによる入院収入の減収をいかに回避し増収に結び付けるかが、経営上の大きなポイントになります。当初は、ICU やHCUなど特定病床の増床による単価のアップと、個室の室料収入でカバーする計画でした。 ICUは4床から12床へ、HCUは16床から28床へ増床 し、個室率も一般病床で13.1%から25.5%に 、精神病床でも2%から33.3%に高めました。しか し、2014年度改定による「重症度、医療 ・看護必要度」の見直しによって、ICUなどでの対象患者の確保が難しくなっているといいます。
竹田綜合病院の平均単価は4月から6月の実績で、入院 (一般)が5万7739円、外来 (病院とクリニックの合算)が1万1658円となっています。2014年度改定の影響について竹田理事長は「病院団体などの集計がまとまらないと全体の傾向ははっきりとは言えませんが、ほとんどプラス・マイナス・ゼロではないか。薬剤などの消費税増税分については薬価で補填されているかもしれないが、実質はマイナス改定であり、薬価引き下げ分を本体に戻すルールをあらためて確立しなければなりません。次期改定では引き続き、周産期医療、小児医療、救急医療などの急性期医療について重点的な評価 を求めたい」と語られました。








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2014年8月11日月曜日

地域医師会に積極関与を  地域包括ケア

日本医師会の横倉義武会長は8月6日、医療介護総合確保法 (医療・介護一括法)に規定されている都道府県計画や市町村計画のほか、地域医療ビジョンの策定を通じて地域包括ケアシステムが構築されるに当たり、これらの取り組みを適切に進めるためには医療の担い手である地域医師会(都道府県医師会、郡市区医師会)が行政と共に中心的な役割を果たすことが重要だと訴えました。
横倉会長は日医会館で開いた定例会見において「それぞれの都道府県、市町村で医療と介護を兼ねる基本方針や計画を策定するようになったことは評価できますが、大切なのは制度を適切に運用することです。そのためには国、都道府県、市町村の各単位で医師会が積極的に関与しなければなりません」と述べられ、都道府県医師会や都市区医師会に対し、日医が提供する医療・介護の需要などに関する情報を積極的に活用するよう呼び掛けました。






地域医療ビジョンの策定スケジュールにも触れ、国に“期限ありき"にならないよう強く要請していく考えをあらためて強調されました。「拙速な対応を強いては元も子もありません。国の(地域医療ビジョンの)ガイドラインも強制的であってはならず、地域の実情をしっか りと反映することを優先させるべきです」と訴えられました。地域医療ビジョンの達成に向けた「協議の場」についても、地域医師会が行政と連携して適切な運営を進めるべきだと指摘されました。

また、地域によっては介護福祉関係の検討会などに医師会が十分に関われていない所もあるとの認識を示され、「例えば在宅医療連携拠点事業や地域ケア会議などへの郡市区医師会の参加状況に温度差が見られるケースがあります。地域医師会の積極的な参画・関与を全国的なものにするのも日医の使命です」と述べられ、医療や介護の体制づくりに地域の医師会が関与するよう働き掛ける方針を示されました。
横倉会長は、日医ホームページからアクセスできる地域医療情報システム「JMAP」も説明 されました。JMAPは、都道府県医師会や都市区医師会、会員がそれぞれの将来の医療や介護の提供体制を検討する際の材料として活用してもらうのが目的です。横倉会長は「それぞれの病院や診療所の情報が掲載されているほか、地域間の医療需給の比較などもできます。積極的に活用してもらいたいです」と呼び掛けました。

地域医療ビジョンの策定を通じて地域包括ケアシステムが構築されるに当たり地域の医師会がどのような役割を担っていくのか注目が寄せられています。地域包括ケアシステムを構築するためには誰かが先導役を担わなければ実現困難でありますし、その先導役を特定の医療法人が担えば要らないところに角が立つことも考えられます。しかし、医師会もその役を担うことはたやすいことではありません。地域を取りまとめていかなければならないことで、多方面で調整が必要となってきます。連携に必要なモノはこの調整力でしょう。いかにそれぞれの医師会が調整力を発揮しイニシアチブをとっていけるのか、大役ではありますが、医師会にとっては大きな機会だと思います。








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2014年8月5日火曜日

重度化する特養

社会保障審議会・介護給付費分科会 (分科会長=田 中滋 ・慶応大名誉教授)は7月23日、次期介護報酬改定に向けて、特別養護老人ホームや特定施設入居者生活介護をテーマに議論を進めました。
厚生労働省は特養に関する論点として、医療ニーズの高い入所者に対して適切なケアを行う観点から、施設における医療提供体制や介護報酬上の評価の在り方をどう考えるか、これまで個室ユニット型施設の整備が推進されている一方、地域の実情に応じて多床室整備が行われている実態に鑑み、プライバシーに配慮 した多床室の在り方を検討する必要があるのではないか、多床室は室料を含まない光熱費相当分のみが居住費とされているが、今後の居住費の利用者負担の在り方をどう考えるか―など6点を示されました。






特養における医療提供について、同日の会合から参加 した鈴木邦彦委員 (日本医師会常任理事)は 、入居者が重度化する中で「健康管理や療養上の指導を行う配置医師や看護師だけでは不十分」と指摘されました。その上で、特養が住まいに位置付けられる点に言及し「それ以上の医療や看護は、必要に応じて外付けを中心に提供されるべきです」と述べられました。齋藤訓子委員(日本看護協会常任理事)は「必要な時にピンポイントで訪問看護などの連携で入れるような外付けサービスの充実が重要です」とコメントされました。堀田聰子委員 (労働政策研究・研修機構研究員)は「基本的な考え方として、多職種を施設の中に配置することを評価するのではなく、提供されている機能を評価するという考え方が大事になります」と指摘しました。
村上勝彦委員 (全国老人福祉施設協議会日l会長)は 多床室の居住費について、多床室には低所得者の生活を支えている機能があるとして「光熱水費以上の室料の負担を求めることは避けるのが原理原則」と述べられました。田部井康夫委員(認知症の人と家族の会理事)は、プライバシーに配慮した多床室ができても料金が上がれば低所得者にとって縁遠い施設になるとして、「低所得でも入れる個室型の促進を原則とする以外は無いのではないか」との考えを示しました。内田千恵子委員(日本介護福祉士会副会長)は 、個室ユニットが理想とする一方、実際には多床室が適している利用者もいるとして、「個室ユニットだけという考え方ではなく、もっと多様な考え方で施設が造られていけば良い」と述べられました。
7月23日は、次期介護報酬改定に向けて2014年度に実施する7本の調査研究事業の調査票について了承しました。同分科会の介護報酬改定検証・研究委員会ですでに了承された内容です。
7月23日の会合から老健局幹部が出揃ったほか、吉田学・大臣官房審議官 (医療介護連
携担当)と 苧谷秀信・大臣官房審議官(老健担当)が出席され、次回から保険局の渡辺由美子・医療介護連携政策課長も出席されます。

地域包括ケアの構築に向けて、特養のあり方も変化していかなければならない時期に差し迫っているということだと思います。特養は住まいに位置付けられているということです。そして要介護度3以上の方に限定した施設へと特化していきます。ただ住まいとなれば、どんな状態でもプライバシーは確保されるべきです。一日のほとんどの時間をベッドの上で過ごしているからといって、プライバシーを疎かにすることはあってはならないことと思います。ただし、その方その方にとって優先順位の優劣はあると思います。特養の入居者の方にとって何を最優先とするべきか。金銭的な負担を少なく安心を求める方が入居者のセグメントであるのなら、目指すべき方向性を誤まらないように取り組まなければ、地域包括ケアの実現も揺らぐのではないでしょうか。






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2014年7月28日月曜日

病院運営の岐路  病床機能分化と消費増税

日本病院会の堺常雄会長は7月16日、東京・有明の東京ビッグサイトで開かれている国際モダンホスピタルショウ2014のオープニングセッションで講演し、「4月の診療報酬改定などを踏まえ、地域包括ケア病棟 (病床)の選択など9月時点で病院が大きく変わっていくのではないかとみています」と述べられました。その上で「われわれに制度改革からの逃げ場はありません」とも述べられ、それぞれの地域ニーズを見極めた病院の選択と決断を促しました。
病床機能分化の受け皿としての地域包括ケア病棟(病床)について堺会長は「全日本病院協会は、会員の3分の1が地域包括ケア病床に動く可能性に言及されている。日本慢性期医療協会も療養からのアップを目指している」とした上で、「日病の会員病院においても、地域ニーズがあれば地域包括ケア病院の建設にいくつかの病院が動くとみています。地域ニーズが鍵になるのではないでしょうか」と述べられました。「“地域"に着目した制度改革について正しい方向に向かっていると認識しています」とした上で、「地域格差の拡大のほか、首長の権限や仕組みが適正に機能しているか注視しなければなりません」とも述べられました。






地域包括ケア病棟(病床)の対象患者について堺会長は「財政制度等審議会の分科会で高橋泰氏(国際医療福祉大教授)が、治療を目的とする0~74歳の医療と、必ずしも治療を目的としない75歳以上の医療を分けて、地域包括ケア病棟は75歳以上が必要とする病床に位置付けるよう提言しているが、誰がどう判断し、選択していくのかが不明瞭です」と疑問視しました。「地域包括ケア病棟は、診療報酬上の病床機能分化であり、急性期医療を行うには診療報酬点数だけではおそらく不十分ではないでしょうか」とも述べられました。

一方、2015年度の税制改正要望について日病は「税を診療報酬で手当てすることの矛盾を解消すべき」との基本的考え方から、「多額の控除対象外消費税を負担せざるを得ない現行制度を改めること」を求めていく方針です。堺会長は「聖隷浜松病院でも税率5%時点で控除対象外消費税は4億円、8%になって7億円にアップする見通しです。7億円を経常利益として確保することは極めて大変です。これが10%になることを考えると経営的に大きな影響を受けることは必至です」と述べ、消費税問題は病院関係者にとって重要課題と受け止めていると強調しました。
予定通り2015年10月に消費税率が10%にアップする場合について、堺会長は「政治がどう決定するかにもよりますが、診療報酬を使うとなれば次期診療報酬改定の前倒しの可能性はあります」と注意を促しました。
堺会長は「日病は6割が民間病院で占め、中小病院の会員も多いです。従来の公的病院・大病院の団体というイメージではなく“オールジャパン"で活動を展開していく」と述べられ、日病も変わっていくとしました。「厚生労働省の組織改編で医療介護連携政策課がつくられました。十分機能してくれることを期待しています」とも述べられ、行政とも連携しながら日病としての役割を担っていくとしました。


診療報酬の改定により、これまで多くの病院が7対1病床を届け出しておりましたが、このままでは7対1病床から落ちてしまう可能性が高い現実です。また来年度10月に消費税が10%となれば、利益を大きく圧迫する中で、健全な経営をするためには、病院の機能と方向性を見定めて変革していかなければなりません。中には運営が成り立たなくなる病院も出てくるのではないでしょうか。消費税10%のシミュレーションをしてみれば、どこも厳しい状況を予測しているはずです。国は医療は維持していかなければならないと考えていますが、既存の病院を守らなければならないとは考えていない制度・政策に思えて仕方ありません。その中でいかに生き残るか、各理事長の先見性と経営手腕が発揮されると思います。






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2014年7月24日木曜日

空床化加速、地域包括ケア病棟が受け皿に

長野県の松本医療圏の多くの病院が、地域医療構想を見据えて「本当に必要な7対1病床数」の割り出しに取り組み始めています。松本市医師会の高木洋行理事 (病院代表、松本市立病院長)は 、「松本医療圏の7対1病床は確実に減床します。地域での急性期患者の絶対数が増加しない状況で、許可病床数のうち7対1病床として確保すべき病床数は減り、必然的に空床化してしまいます。それが回復期リハビリテーション病棟や、今回の診療報酬改定で導入された地域包括ケア病棟(病床)を届け出る方向に向かわせています」との見方を示しました。


信州大病院や相澤病院などを中核とする松本医療圏は現在、7対1病床が2728床、10対1が428床、13対1が103床、15対1が125床となっています。







高木理事が院長を務める松本市立病院(許可病床215床)は、4月に36床で回復期リハビリ病棟入院料3を届け出ました。高木理事は「近年、特養や老健などの施設が充実し、入院患者が減少傾向で推移しています。市立病院は在宅支援を明確に位置付けていきます」とし、「これまで許可病床数を7対1病床としてきたが、今後は回復期リハビリや地域包括ケア病棟などを増やしていく計画です。その分7対1は確実に減っていきます」と見通しました。ほかの7対1病院でも地域包括ケア病床を届け出た病院が散見されるとし「地域包括ケア病棟・病床は、7対1の受け皿機能として大きな選択肢になっている」と語りました。
一方で、現行の243床を7対1病床として維持していく内科中心の公的病院もあるとし「血液内科など重症度の高い患者を受け入れているだけに、平均在院日数のコントロールに苦慮しているようです」と述べられました。

高木理事は「松本医療圏では、すでに多くの病院が先を見据えて動いています。今回の診療報酬改定は厳しい内容でしたが、本当の意味で病院が病床の在り方を考える契機になっています。地域で不足していた回復期リハビリ病棟の届け出も一つの動きといえます」と述べられ、“急性期一辺倒"の流れから回復期医療へ参加するなど病院自体が変わろうとしていると分析されていました。


過剰に増えた7対1病床に対して、これから国は締め付けを強化していくことは間違いないでしょう。今後、必要度が高まってくるであろう回リハや地域包括ケアに対していち早く取り組んでいくのか、地域の病院の方向性を見つつ決めていくのか、どちらにせよ決断の時は差し迫ってきています。
各都道府県がどのような地域医療ビジョンを描くかといっても、それほど大きな地域差はないと考えられます。どこもこれから超高齢化社会に対応するために2025年に向けて準備をしていかなければなりません。アメリカと違い、民間の病院がここまで地域の医療ニーズに対応してきた歪みとも言えます。大きく方向転換が図れません。しかし、地域医療はどこも充実させなければならないという責任感は強く抱いております。意志を強く特徴を発揮させていくことが、機能分化ということにつながっていくのでしょう。







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2014年7月15日火曜日

小規模多機能型居宅介護について

平成25年12月の厚生労働省 社会保障審議会 介護保険部会での意見をまとめると、平成25年8月現在、小規模多機能型居宅介護の利用者は約75,000人ですが、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、在宅生活の限界点を高めるため、今後もサービスの更なる普及促進を図っていく必要があります。

登録された利用者に対して「通い」を中心に「訪問」や「泊り」を提供するサービスとしての役割を担ってきましたが、実態は「訪問」の提供量が少なく、「通い」に偏ったサービスとなっている事業所が多い状況です。

重度の要介護者、単身や夫婦のみの高齢者世帯、認知症の高齢者が増加していくことを踏まえると、「訪問」を強化する必要性が高く、更に今後は、地域包括ケアシステムを担う中核的なサービス拠点の一つとして、地域に対する役割の拡大が求められています。







具体的には、事業者の参入を促すとともに、地域住民に対する支援を柔軟に行うことが可能になるよう、小規模多機能型居宅介護事業所の役割を見直す必要があります。①これまでのように「通い」を中心としたサービス提供に加え、在宅での生活全般を支援していく観点から、「訪問」の機能を強化する方策 ②登録された利用者だけでなく、地域住民に対する支援を積極的に行うことができるよう、従事者の兼務要件の緩和等③看護職員の効率的な活用の観点から、人員配置について、他事業所との連携等の方策④事業所に配置されている介護支援専門員による要介護認定申請の手続が進むよう周知徹底⑤基準該当短期入所生活介護事業所(指定短期入所生活介護の人員基準等の要件の一部を満たしていない事業所)が併設できる事業所等への小規模多機能型居宅介護事業所の追加と、専用の居室が必要とされている設備基準の緩和。


利用者の概況として (平成25年度老人保健健康増進等事業「運営推進会議等を活用した小規模多機能型居宅介護の質の向上に関する調査研究事業」より)
平均要介護度は2.56です。認知症高齢者の日常生活自立度は、「Ⅱ」以上の者が78.5%です。要介護度・日常生活自立度ともに、開設年度に比例して、重度者の比重が高まる傾向にあります。利用経路は、「居宅介護支援事業所」(39.5%)及び「地域包括支援センター」(16.1%)に過半数を占める。また、「病院」(14.0%)からが増加傾向にあります。利用者の世帯構成は、高齢者のみ世帯(「独居(近居家族なし)」+「独居(近居家族あり)」が増加傾向にあり、一方で「子供世帯と同居」が減少傾向にあります。利用タイプ別にみると、「通い+訪問」は増加傾向にあり、一方で「通い+泊まり」は減少傾向にあります。

事業所の概況として (平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成25年度調査)より)
全体の15.8%の事業所は同一建物内にサ高住等を併設しています。1事業所あたりの職員数は、平均11.2人(常勤換算数)で併設施設がある事業所は職員数も若干多い傾向です。1事業所当たりの平均受給者数は18.4人で平成22年の18.2人からほぼ横ばい状態で推移しています。開設年度別にみると、開設3年目以降(2011年以前に開設)は利用登録者数、1日あたり利用者数とも横ばいであるが、開設初年度(2013年度)は厳しい状況がみられます。1日あたりの訪問回数は、「1回~2回」が最も多く、「4回未満」が約半数である状況からも「訪問」が少ない実態が鮮明です。「登録定員」「通い定員」は、基準で定める上限数に設定している事業所が約8割を占めており、「登録者数/定員」(=充足率)は、「70~80%以下」(20.5%)で最多であり、平均は75.5%です。

地域展開の状況として (平成25年度老人保健健康増進等事業「運営推進会議等を活用した小規模多機能型居宅介護の質の向上に関する調査研究事業」より)
小規模多機能型居宅介護の本来業務以外の事業(地域交流拠点など)について、同一敷地内又は同一市町村において実施している事業所は32.9%でその他の事業内容は、配食(11.1%)や障害者支援サービス(9.7%)が多い状況です。事業所と地域とのかかわりについては、サ高住等と併設している事業所と併設なしの事業所では、全体の傾向はほぼ同様であるが、「町内会、自治会の会員となり、会の役割を担っている」と「地域住民向けに介護相談や介護研修などを行っている」の項目において、併設なしの事業所の方が実施割合がやや高い状況です。関わりのある支援者について、戸建ての利用者では「隣近所」が28.6%でサ高住等の9.7%に比べて高く、また、戸建て・集合住宅では「民生委員」が約1割の状況でした。

運営推進会議の状況として (平成25年度老人保健健康増進等事業「運営推進会議等を活用した小規模多機能型居宅介護の質の向上に関する調査研究事業」より)
運営推進会議の開催状況としてサービス・制度内容の説明、利用状況等の報告が96.9%と一番高く、「事業所のサービス評価に関すること」について開催されたのは58.1%で登録者のケース以外の地域課題に対する取組について開催されたのは25.8%に過ぎませんでした。

看取りの状況として (平成25年度老人保健健康増進等事業「運営推進会議等を活用した小規模多機能型居宅介護の質の向上に関する調査研究事業」より)
安定期から死亡まで通じて事業所が関わったケースは29.3%であり、安定期から一定の時期(終末期、臨死期の前)まで事業所が関わったケースを含めると73.5%でありました。ただ全て又はほとんどの職員に看取りの知識があるとする事業所は36.7%にすぎない状況です。

医療職のあり方として (平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成25年度調査)より)
一日の業務時間に占める、看護職員が実施する必要性区分別の割合についてみると、小規模多機能型居宅介護では一日の業務時間の60%以上が「看護職員による判断や実施が求められる業務(バイタル確認、看護記録等) 」を行っている割合は約4割でした。小規模多機能型居宅介護では「看護職員による介入の必要性はないが、結果的に看護職員が実施した業務」にかかる時間が40%を超えていたのは2割強でした。また、各行為における必要性区分別に見ると、小規模多機能型居宅介護では、「居室・リビングでの見守り」「食事」「排泄ケア」「集団レクリエーション」などで「看護職員による介入の必要性はない」業務が多くなっている状況です。

医療ニーズの状況について (平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成25年度調査)より)
利用者が有する傷病は、認知症(59.7%)が一番多く、次いで高血圧が(42.4%)、脳卒中が(22.7%)となっています。また利用者の医療ニーズとしましては、服薬管理(56.7%)リハビリ(6.8%)摘便(4.2%)と服薬管理が非常に高い状況です。

集合住宅におけるサービス提供状況として (平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成25年度調査)より)
利用者1人あたり、平均的なサービス提供回数は、1カ月(平成25年11月)で、通いは平均は17.0回、訪問は10.5回、宿泊は7.3回でした。住居が有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、旧高齢者専用賃貸住宅では、「訪問」の提供回数52.0回・36.5回・50.2回と多く、「宿泊」の提供回数は1.0回・0.8回・0.8回と少なく、戸建とは大きく異なる傾向がみられました。戸建(訪問回数:6.3回、宿泊回数:7.7回)送迎実施は、戸建ての利用者では84.3%にのぼったが、サ高住等では43.6%と低い状況でご自身で通われてくる方が半数以上です。調査期間の1週間における「通い」の有無は、いずれも80%以上の実施率でした。同じく1週間における「訪問」は、戸建ての利用者では35.2%の実施率だが、サ高住等では85.3%と大きく差がみられました。一方、宿泊については、サ高住等の利用者は5.1%と実施率が低い状況でした。調査期間の1週間におけるサービスの提供時間は、戸建ての利用者で3,674分(61.2時間)、サ高住等で2,330分(38.8時間)で大きく差がついています。サービス別に見ますと、通いは戸建て:2,016分、サ高住等:1461分、訪問は戸建て:110分、サ高住:623分、宿泊は戸建て:1549分、サ高住:246分とそれぞれの生活環境により提供しているサービスのニーズも異なっていると見られます。

今後、在宅において、重度の要介護者、認知症高齢者が増加が見込まれ、従来の「通い」を中心としたサービス提供に加え、在宅での生活全般を支援していく観点から、「訪問」の機能を強化する方策をどうするか、例えば25名の登録定員の弾力化であったり、人員配置の見直し等が課題と挙げられます。もちろんその先には在宅での看取りをどのように進めていくのかという体制づくりも挙げられます。また、医療ニーズに対応できるように複合型サービスへの転換も進んでいかなければ、地域包括ケアシステムを担う中核的なサービス拠点として担っていくことは厳しくなっていくでしょう。







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2014年7月8日火曜日

県全域でのネットワーク構築 びわ湖メディカルネット

滋賀県各地の病院と診療所などをネットワークで結び、患者の電子カルテなどを共有する「県医療情報連携ネットワーク(びわ湖メディカルネット)」の運用が7月から始まりました。医療情報だけでなく在宅介護に関する情報も含めた県全域でのネットワーク構築は全国初といいます。
 超高齢社会に備え、地域を超えて在宅での適切な医療を提供できる連携体制を整えるため、2011年度から検討を開始しておりました。滋賀県内の大規模病院や県医師会などでつくるNPO法人県医療情報連携ネットワーク協議会が運営主体となりました。





 がんや脳卒中などの急性期医療から在宅医療へ円滑に移行できるよう、大規模病院が患者の同意を得て診察履歴や検査結果などの情報を提供、地域の診療所の医師らが閲覧することができます。従来に比べ、より迅速に詳細な情報を把握し、診療に生かすことができるようになります。診療所から病院を紹介した場合も、紹介先での医療内容や検査結果などをすぐに確認できるのが利点だといいます。
 ネットは診療所や薬局、介護事業所などが参加する県医師会の在宅療養システム「淡海あさがおネット」とも連結しており、患者の状態に合った介護サービス提供につなげることができます。
 また、県立成人病センターの遠隔病理診断システムや滋賀医科大の脳卒中データベースシステムとも連結し、高度専門医療から在宅医療・介護までの情報を一括して共有できるようにしました。
 運用開始に当たって、大津赤十字病院、済生会滋賀県病院など県内の主な大規模病院21カ所が情報提供病院として参加しました。閲覧できるよう登録したのは県内の診療所のほぼ半数の約400に上ります。
 NPO法人県医療情報連携ネットワーク協議会の笠原吉孝理事長(県医師会長)は「人生の最後を家で過ごしたいという患者の願いをかなえるためには、1人の医師だけでなく多職種のチームの力が必要で、情報の共有が欠かせません。より多くの病院や診療所の参加を呼び掛けていきたい」と述べられています。

地域包括ケア構想において、いかに病院と診療所が連携していけるかが大きなポイントであり、そのために非営利ホールディングカンパニー型法人制度についても検討が進められています。非営利ホールディングカンパニー型法人制度は机上ではとても良い方策だと感じますが、現実的に機能するためには多くの障壁があります。いかに多くの病診連携を進めるかが課題であり、今回の滋賀県のびわ湖メディカルネットは全国的にもとても参考になるところが多いと感じました。






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