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2015年6月27日土曜日

「ブラック病院」も公表対象

厚生労働省は5月中旬から、違法な長時間労働の問題のある、いわゆる「ブラック企業」について、書類送検前の是正指導段階から公表する措置を始めています。厚労省労働基準局労働基準監督課は、大学病院や国立病院機構の病院も含めて「病院や診療所も対象」「対象とならない医療機関はないとみられる」との見解です。ただ、「複数の都道府県に事業所を有している」「中小企業に該当しない」「概ね1年程度の期間に3カ所以上の以上での事実がある」などの条件が付いているため、実際に公表に至るかは未知数です。






 指導段階での公表に至る場合、以下の5つの条件を全て満たす必要があります。
(1)複数の都道府県に事業場を有していて、資本金5000万円超で、かつ常時雇用人数(非常勤なども含む)が101人以上。
(2)労働時間(労働基準法32条)、休日(同35条)、割増賃金(同37条)に係る労働基準法違反が認められている。
(3)1カ月当たりの時間外・休日労働時間が100時間を超えている。
(4)1カ所の事業場で、10人以上、もしくは4分の1以上の労働者に、(2)と(3)が認められている。
(5)概ね1年程度の期間に3カ所以上の事業場で、(2)と(3)が認めらている。
 実質的には、(1)の条件で、小規模な医療機関は対象外となるほか、施設の立地範囲が限られる市町村立や都道府県立は対象外となるとみられます。また、(5)のため、3つ以上の経営施設がなければ、指導段階での公表はされないこととなります。ただ、書類送検された場合は、公表される可能性が残ります。
「公表に至るハードルが高い」との指摘があることについて、労働基準監督課は、「目的はあくまで指導によってトップの意識を変えることです。公表は経営などに影響を与える可能性があり、慎重であるべきです」との見解です。また、「(公表に至るかとは別に)違法な実態があれば、事実が大事。労基署に相談してほしい」としています。

実際の現場を見たら、ほとんどがブラック病院として挙がってしまうのではないでしょうか。医療の現場の過酷さが社会に伝わるのなら、それも良いのかもしれませんが、ただ固有の病院名が出てしまうと、患者動向に影響を及ぼすわけですし、情報の取り扱いには細心の配慮を願いたいものです。







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2015年6月24日水曜日

地域包括ケア病棟、手術を出来高評価とする方向へ

地域包括ケア病棟において、より多様な状態の患者の受け入れを促進するために「手術を包括評価の外に出す」ことなどが論点に掲げられました。今後、手術(診療報酬点数表のKコード)すべてを出来高評価とするのか、一部手術のみを出来高評価とするのかなどを、他病棟で行われている手術の内容なども見ながら議論していくことになります。






6月19日に開かれた、診療報酬調査専門組織の「入院医療等の調査・評価分科会」では(1)地域包括ケア病棟(2)総合入院体制加算(3)医療資源の乏しい地域の診療報酬の3項目をテーマに議論が行われました。 地域包括ケア病棟には、▽急性期後の患者の受け入れ▽在宅復帰支援▽急性増悪時の対応という3つの機能が求められています。厚生労働省が行った調査結果を見ると、地域包括ケア病棟の入院患者の9割は「自院の急性期から、他院の急性期から、自宅から」入棟しており、また97%の病院が3機能を最重視していることが分かり、この3つの機能を相当程度果たしているようにも思えます。
 しかし厚生労働省は「患者の病態が外傷や骨折などに偏っている」点を問題視し、「より多様な状態の患者の受け入れを推進する必要がある」との考えを明らかにしています。
 この日の分科会には、地域包括ケア病棟で実施されている治療内容の実態も示され、次のような状況が明らかになっています。
・入院患者は高齢者が多く、ピークは80-84歳
・検査の実施が少ない
・手術はほとんど行われていない
・7割の患者に個別リハビリが行われているが、実施量は、少ない所から多い所まで幅広い
・疾患別リハビリの大部分は、脳結果疾患等リハビリと運動器リハビリである
・出来高算定できる摂食機能療養は、平均2回弱算定されている
・9割程度の患者が経口での栄養摂取が可能(回復期リハ病棟の患者と同程度)
手術や検査、処置などの実施が少ない背景には、これらが包括評価されている点があります。このため厚労省は「手術などを包括評価の外に出すことをどう考えるか」との論点を提示しています。
 分科会の委員も「多様な病状の患者受け入れを進めるべき」と考えており、特段の反対意見は出されませんでしたが、支払側代表である本多伸行委員(健康保険組合連合会理事)は「手術の出来高評価について議論するなら、具体的な疾患や患者の状態像を示してほしい」と要望しています。
 ただし、前述のように現時点で手術はほとんど行われていないため、「地域包括ケア病棟に入棟する前に実施された手術(それを地域包括ケア病棟で実施できるのか)」や「療養病棟などの他の病棟で行われている手術」などを見て議論していくことになりそうです。
 厚生労働省保険局医療課の担当者は「手術すべてを出来高とするのか、一部手術を出来高とするのかの具体案はまだない」と述べていますが、委員同士のやり取りからは「一部手術を出来高とする」方向で検討が進みそうです。もっとも手術を出来高にした場合、包括部分の点数を下げることになるでしょう。
 なお、リハビリや高額な処置などについて「出来高にすべき」「充実加算を設けるべき」との意見は出されず、手術以外の項目が出来高評価となる可能性は低そうです。本多委員は「濃密なリハビリが必要な患者は回復期リハ病棟に入棟すべきであろう」と述べ、地域包括ケア病棟と回復期リハ病棟の機能分化の必要性も指摘しています。

ところで地域包括ケア病棟については、「退院が見通せる患者を選別しているのではないか」との指摘もあります。厚生労働省の調査では、地域包括ケア病棟の平均在院日数は23.9日(中央値)と比較的短く、在宅復帰率は86.3%(同)と高いのですが、前述の通り「入院患者の状態が外傷や骨折などに偏っている」ために、このような指摘が出てくるのです。
また、厚生労働省の調査結果からも「地域包括ケア病棟の入棟患者の多くは、既に退院予定が決まっている」ことが分かっています。
この点について池端幸彦委員(医療法人池慶應会理事長)は「外傷や骨折など、クリニカルパスが整っている傷病では退院時期が見通しやすい」と述べ、『選別』が行われている可能性を指摘します。
 また筒井孝子委員(兵庫県立大学大学院経営研究科教授)も「選別の可能性がある」と指摘した上で、介護保険との連携の重要性を指摘しました。厚生労働省の調査によると、地域包括ケア病棟に入棟している患者の半数程度が要介護認定を受け、要支援1以上と判定されています。こうした患者の多くはケアマネジャー(介護支援専門員)が関与しているため、筒井委員は「ケアマネとの連携を診療報酬でも評価してはどうか」と提案しています。
介護報酬では、ケアマネが病院職員などと面談し居宅サービス計画を作成して退院調整を支援した場合、「居宅介護支援費」の「退院・退所加算」として評価されます。診療報酬と介護報酬の連動という点で、重要な提案と言えるでしょう。
 「退院が見通せる患者」の選別は「多様な状態の患者を受け入れる」という地域包括ケア病棟の目的に反します。このため厚生労働省は、「退院支援の体制強化を図りつつ、より入念な退院支援を要する状態の患者受け入れを促す」ことも論点に掲げました。
 退院支援の具体例としては、「多職種カンファレンスの実施」や「専従・選任の退院支援職員の配置」などがあり、実際に早期退院の効果も上がっています。こうした取り組みを別途診療報酬(加算など)で評価するのか、あるいは施設基準などに組み込みのか、今後の議論が注目されます。

地域包括ケア病棟はこれからの医療提供体制において、大きな意義を担っていくことになりますが、その立ち位置がまだ定まらないというか、どこまでの機能を期待するのかというところの線引きが難しいともいえます。確かに地域包括ケア病棟には3つの機能が求められていますが、そこを本当に高い次元で担っていくと、急性期病棟の存在価値が希薄になるとおもいます。確かにこれから超高齢化社会へと突入していく中で、高機能を担ってくれる地域包括ケア病棟が各地域に存在してくれると地域としては本当に安心ですが、その実現に向けては、制度の整備が未完全であり、まだ道は遠いように思われます。








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2015年6月18日木曜日

在宅医療の報酬体系に「患者の重症度」

2016年度診療報酬改定に向けて、在宅医療については、疾患や重症度など「患者の状態像」に応じた評価の導入や、高齢者向け住宅向けの評価の適正化などを検討していく方向が、5月27日の中央社会保険医療協議会・総会で厚生労働省から示されました。






在宅医療の報酬体系は、現在「患者の居住する施設の種類」や「訪問回数」に応じたものになっており、患者の重症度は考慮されていません。
しかし、厚労省が行った2012年度と2014年度改定の結果検証調査によると、訪問診療の患者のうち約15%は「スモンや重症筋無力症などに罹患する、いわば重症者」ですが、その一方で、約46%は「健康相談や血圧測定のみの、いわば軽症者」であることが分かりました。
また患者の状態と訪問回数、診療時間を見ると、人口呼吸器の管理などが必要な重症患者では訪問回数が多くて診療時間も長くなっています。
このため厚労省保険局医療課の宮嵜雅則課長は、「患者の疾患・状態に応じた評価」を検討してはどうかと述べました。
 在宅患者の状態を評価するのにどのような指標を用いるかも課題になりました。厚生労働省が5月27日の中医協総会に示した資料からは、前回の2014年度改定で新設された機能強化型訪問看護ステーションで「重症患者」とされた、末期の悪性腫瘍、スモン、多発性硬化症、重症筋無力症、など「特掲診療料施設基準等別表第七に掲げる疾病等の利用者」が参考になりそうです。
 診療側の鈴木邦彦委員は5月27日の総会で、「重症患者が必ずしも手厚い治療を必要としているわけではない」と述べられ、単純に「重症患者は高い点数」とする考え方に疑問を投げ掛けました。
在宅医療の診療報酬では「訪問回数」が大きな要素となっていますが、「訪問診療の必要性だけでなく、診療報酬の算定要件によって回数が決まっている可能性がある」とも指摘されます。
 厚生労働省の調査では、外来では月1回の診療が最も多いのに対し、在宅では月2回の診療が最も多いことが分かっており、「月2回の訪問」は在宅時医学総合管理料の算定要件などと合致します。また、訪問回数と患者の重症度(療養病棟入院基本料の医療区分で測ったもの)との間には特段の関係は認められません。
さらに、訪問回数と患者の満足度との間にも関係がないという調査結果もあります。
 これらから宮崎医療課長は、「診療頻度(訪問回数)に応じた評価をどう考えるべきか」と問題提起しました。現在は、訪問回数が月2回になると報酬が大きく上がる報酬体系ですが、「月1回から月2回への階段」をどう考えるのかが今後の論点になりそうです。
在宅医療では、高齢者がどこに居住しているかによっても診療報酬が変わります。現在は、戸建て住宅などの「居宅」と「看護職員が配置されていない高齢者向け集合住宅」(特定施設等以外)は同じ区分で、「看護職員が配置されている特定施設等」(有料老人ホームなど)に比べて高い報酬が設定されています。
しかし、厚生労働省が両者について患者の状態などを調べたところ、高齢者向け集合住宅を中心に診療する医療機関では、居宅を中心に診る医療機関に比べて、「重症者や看取り患者の割合が小さい」ことなどが分かりました。
また、高齢者向け集合住宅を中心に診療する医療機関は、同じ日に同一の建物で効率的な診療を行っていることも明らかになりました。
さらに、特定施設などに入所する患者は「褥瘡の処置」や「胃ろうなどの管理」「創傷の処置」などの医療処置を必要とすることが多いことも分かりました。
こうした点を踏まえ、宮嵜医療課長は「現在の居住施設区分が正しいのか」と問題提起しています。
在宅医療では「同一日に、同じ建物に居住する人に訪問診療を行ったか」によっても診療報酬が変わります。これは、訪問診療を行う医師らの移動コストを考慮したもので、同じ日に同じ建物に居住する2人以上の人に訪問診療を行った場合には、診療報酬は低くなります(同一日の減算)。
 ただし、厚生労働省の調査では「2-9人を訪問した場合」と「10人以上を訪問した場合」とで移動コストが異なる(後者の方が小さい)ことが分かり、宮嵜医療課長は「よりきめ細かな報酬設定を考える必要があるかもしれない」と述べました。
また、前回の改定では同一日の減算を非常に厳しくし、改定前のおよそ半分、単独訪問のおよそ4分の1に設定されました。しかし、医療現場から「重症者への訪問も行えなくなる」との悲鳴が上がったため、「単独訪問が行われた患者については、その月は同一日の減算を行わない」という例外規定が設けられました。
 この点について厚生労働省が調査したところ、「複数患者がいる建物でも、22%のケースでは単独訪問を行っている」「訪問回数が月40回、50回と増えても、頻回の訪問が行われている」「末期の悪性腫瘍など重症患者の割合は、単独訪問と複数訪問で変わらない」など、医療現場からの訴えとは異なる状況が分かりました。「高点数を算定するために単独訪問を行っている」と、うがった見方をすることもできます。
調査結果を踏まえて鈴木委員は、「見直しも考えられる」と述べており、次回改定に向けて適正化が図られる可能性もありそうです。
 こうした課題の解決に向けて、在宅医療の報酬体系は大きく見直されることも予想されます。診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は「一物多価の報酬体系は好ましくない」と述べており、この意見も踏まえると厚生労働省保険局医療課には極めて難しい作業が強いられそうです。








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2015年6月17日水曜日

研修医数は過去最多だが

厚生労働省は6月8日、今年度の臨床研修医の採用実績を公表しました。それによると、2008年度から始まった医学部の入学定員増の影響もあり、採用数は8244人(前年度比452人増)で、新医師臨床研修制度の開始以降、過去最多を更新しました。採用数は臨床研修病院と大学病院で共に増えましたが、大学病院の採用割合は41.7%(同0.1ポイント減)で過去最低を記録し、5年連続の減少となりました。






医師不足を解消するため、文部科学省は2008年度から医学部の入学定員を増やしており、今回採用された研修医の多くが医学部に入学した2009年春は、2008年度に比べて全都道府県で計693人の増員となりました。
 今回、調査の対象となったのは1018施設でした。施設別の採用数は、臨床研修病院が4808人(同350人増)、大学病院が3436人(同102人増)で、医学生らが研修先を決める昨年秋のマッチング結果に比べ、臨床研修病院は81人増えたのに対し、大学病院は236人減少しました。
 また、都道府県別では、大都市のある6都府県(東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、福岡県)を除く41道県の採用割合が56.4%(同0.8ポイント増)に上り、5年連続で過去最高を記録。対前年度比の増加率では、青森県が34.8%増で最も高く、以下は群馬県(32.1%増)、鹿児島県(26.0%増)、長崎県(25.3%増)、静岡県(24.0%増)などの順でした。
 臨床研修制度は2015年春に見直され、各都道府県の募集定員の上限が2014年度受け入れ実績の9割を下回らないとする「激変緩和措置」は廃止となっています(大幅減の見通しとなった京都を除く)。

臨床研修医については、これから始まる新・専門医制度の影響を大きく受けることになると予測されます。どこも医師の確保というのが、安定した病院経営においてウエィトは大きく、すべてと言っても過言ではないと思います。諸外国に比べて、医師不足が言われている中、それでも医師の増加に向けた動きというのは様々な利権も絡み進んでいない状況下で、少ない魚を捕り合う図式はこれからも続いてしまうのでしょう。








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2015年6月12日金曜日

診療報酬を都道府県ごとに管理

 厚生労働省の懇談会は6月9日、2035年を見すえた中長期の医療政策の提言をまとめました。都道府県ごとに医療費の総額を管理し、想定を上回った地域は保険医療の公定価格である診療報酬を減額する案を提起しました。医療費そのものの伸びを抑えるため、健康への影響が指摘されるたばこや酒、砂糖などへの課税を強化する案も盛り込みました。






 「保健医療2035」策定懇談会の渋谷健司座長(東大教授)が同日、塩崎恭久厚労相に提言書を渡しました。塩崎恭久厚労相は「できるものから着実に進めていきたい」と述べられました。
 提言の柱の一つは、地域単位での医療費の抑制策です。都道府県の医療費がそれぞれの想定を超えた場合、その地域の診療報酬を減らすことで総額を管理します。都道府県ごとにベッド数などサービス量の目標を示してもらい、供給量が上回った場合に報酬を下げる案も示しました。いずれも医療機関が受け取る報酬を調節することで医療費の総額を管理する考え方です。
 医療費の抑制にきちんと取り組まない都道府県では医療費の地方負担を増やします。1人あたりの医療費は最も高い高知県が62万5000円で、最も低い千葉県の1.6倍あります。現在は医療費のうち国が26%、地方が13%を負担しており、残りが保険料と患者負担です。
 ある地方で医療費が膨らめば、国全体の負担も同時に膨らみます。このため県民の年齢構成など構造要因以外で医療費が膨らんでいる部分は、地方の努力不足とみなして国の負担増分を地方自治体に負担してもらうという考えです。
 国民の負担増も盛り込みました。風邪など軽症の患者は自己負担を引き上げて頻繁な受診を抑えます。年齢と所得で決まっている自己負担や保険料も見直し、保有する資産も踏まえて決めることにします。豊かな高齢者に応分の負担を求める考え方です。
 国民の病気を予防するために、健康を損なう可能性があるたばこや酒、砂糖への課税強化を求めました。日本ではたばこ税や酒税はあるが、砂糖だけに課している税はありません。
 海外ではハンガリーが砂糖や塩を大量に含む食品に課税する「ポテトチップス税」を導入しました。デンマークもマーガリンなど脂肪を多く含む食品に「脂肪税」を一時課しています。価格を高くすることで消費量を減らすほか、財源を確保する狙いがあります。
 いずれの項目もすぐに実施するにはハードルが高い状況です。税制改正には財務省との調整が必要になります。地方が取り組む医療費の抑制も具体的な制度設計はこれからです。負担増には国民の反発が必至です。
 提言が想定する2035年は1971年~74年生まれの「団塊ジュニア世代」が65歳に到達し始めるタイミングです。医療保険財政が一段と厳しくなっている可能性があります。









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2015年6月11日木曜日

データヘルス計画の意義

2015年度から本格的にスタートした「データヘルス計画」について、厚生労働省の関係協議会で座長を務めた辻一郎・東北大教授は、医療ビッグデータを活用して個々に合った対策を立てるという健康戦略の有効性を強調しました。






データヘルス計画は、すべての保険者がレセプトや健康診断などのデータ分析に基づき、加入者それぞれに効果的な保健事業に取り組むものです。生活習慣病の治療が必要と思われるのに医療機関を受診していない人や治療効果が見られない人を抽出して受診勧奨や保健指導を行ったり、同業種と比べて喫煙率が高いといった職場の健康課題を明確にしたりなどの取り組みがイメージされています。社会保障費の適正化などを狙って日本再興戦略に盛り込まれ、保険者は事業計画の策定が求められました。
 計画作成の指針取りまとめなどに携わった辻教授は、超高齢・人口減少社会の中で社会保障制度を持続させるためには、年金よりも伸び率の大きい医療・介護費をいかに抑制できるかが課題だと指摘しております。「労働力人口も高齢化していく中、職場の健康管理がこれまで以上に重要になる」と、データヘルス計画の背景を説明しました。
 近年の肥満・メタボリック症候群対策で肥満者や糖尿病患者の増加に歯止めがかかっている。宮城県大崎市を中心としたコホート研究などから、喫煙・肥満・運動不足を改善することで国レベルでは5兆円規模の医療・介護費削減が期待されるとし、効果的な健康づくり対策によって生活習慣病の発症・重症化を予防する意義を述べられました。
ただし、ハイリスク者に受診勧奨するなど積極的に介入することで、短期的には医療費の増加が見込まれることにも言及されました。福島県西会津町では健康づくりの取り組みの数年後から医療費が下がり始めたことを紹介し、「最初の数年は当然増える。そこで誤った評価をすると、計画はとん挫してしまう。予防から治療まで一貫して見ることで、全体的な最適化が可能になる」としました。

これからの医療費の増加を抑制する一つの有用な策が、予防医学の発展であるという見解は多くの方が持っていられます。まだまだ日本人の予防医学に対する意識は低いです。しかし医療保険などは手厚く組んでいるところがあったりと本末転倒な方が多いこの考え方を変えるような大きな仕掛けが必要になってくるでしょう。








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2015年6月7日日曜日

一般病床、在院日数短縮するが、病床利用率も低下

厚生労働省が6月2日に発表した病院報告によりますと、2015年2月に一般病床の平均在院日数は17.0日で、前月に比べて0.7日短縮したものの、病床利用率も0.8ポイント低下したことなどが分かりました。






病院報告では、(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率が毎月示されます。2015年2月の状況では、(1)の1日平均患者数は、病院全体では入院128万9738人(前月比2万1991人、1.7%増)、外来137万3671人(同5万9519人、4.5%増)と、入院・外来とも増加しました。診療所の療養病床では入院6957人(同4人、0.1%増)の微増となっています。
 一般病床の入院患者数は69万9136人で、前月比1万8104人(2.7%)増加しています。また、療養病床の入院患者数は29万5754人で、前月比3039人(1.0%)の増加となっています。
(2)の平均在院日数を見ると、病院全体では29.6日で、1.4日短縮しました。病床種別に見ると、一般病床17.0日(前月比0.7日減)、療養病床153.0日(同11.0日減)、介護療養病床296.6日(同31.5日減)、精神病床277.4日(同23.5日減)という状況。また、有床診療所は95.8日(同7.0日減)で、すべての種別で短縮しています。
 在院日数の短縮は、医療費の効率化や、院内感染リスクの解消やADL低下の防止など医療の質の向上につながるため、政府の重要政策の一つに位置付けられていますが、月ごとの変動も大きいため長期的な視点で見る必要があります。
最後に(3)の月末病床利用率を見ると、病院全体では79.5%で、0.4ポイントとわずかながら低下しました。病床種別では、一般病床73.7%(同0.8ポイント低下)、療養病床89.8%(同0.4ポイント上昇)、介護療養病床92.5%(同0.5ポイント上昇)、精神病床86.2%(増減なし)となっており、前月から大きな変化はありません。
在院日数短縮を進めると、病院の経営面では減収方向にシフトするため、病床稼働率を上げる必要があります。その際、地域の医療機関との連携強化による集患対策はもちろんですが、ほかにも病床規模の縮小や機能転換などの多角的な対策も検討する必要があります。

 一般病床については、平均在院日数が0.7日短縮したものの、病床利用率も0.8ポイント下がってしまっており、「稼働率向上」対策が十分に機能していない状況がうかがえます。この空床をどのように考えるかで、病院の運営は変わってきます。空いているよりは今の患者にいてもらった方が収益を確保できると考えて、患者の在院日数が長くなるように働きかけている病院は、まだまだあります。実際、損益分岐を上下に移動している医療機関でしたら、今月は何とかしたいと部分最適に目線が行ってしまった誤まった方向です。正直、経営幹部もそれは分かっていながらも、病院を存続させなければならず、そのためには必要最低限の利益を確保しなければなりません。医療の世界は法に守られたブルーオーシャンだと他業界からは見られているところがあるようですが、実状はそんなに生ぬるくない状況で地域の住民の健康に対する安全と安心のために努めています。








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2015年6月2日火曜日

「重症度、医療・看護必要度」、患者像反映に課題も

厚生労働省は5月29日の中医協・入院医療等の調査・評価分科会(分科会長=武藤正樹・国際医療福祉大大学院教授)に、2014年度診療報酬改定で要件が厳格化された7対1など一般病棟入院基本料の見直しによる影響や新設された地域包括ケア病棟入院料の影響、さらには療養病棟、障害者病棟、特殊疾患病棟等における慢性期入院医療の在り方など6項目の2014年度調査結果を報告しました。






 この日の議論を含め調査結果は、今後の中医協基本問題小委員会に報告されます。2016年度改定での対応が注目される一般病棟入院基本料見直しに関する調査では、要件厳格化が行われた7対1や10対1に関する「重症度、医療・看護必要度」や、90日超入院の特定除外制度の廃止、短期滞在手術等基本料等の見直しなどを取り上げました。7対1の届出数では、3月の中医協で報告された通り、改定前の約38万床が2014年10月時点で約366万床となり、実質1.4万床の減少となっています。7対1から転換された病棟・病床をみると (複数回答)、10対1入院基本料や地域包括ケア入院医療管理料1、休床の割合が高くなっています。7対1からの転換理由 (複数回答)は、「重症度、医療・看護必要度の基準を満たさないため」が最も多い状況でした。「重症度、医療・看護必要度」で見直し後のA項目では、喀痰吸引のみの場合を除く見直しが行われた「呼吸ケア」などの割合が低下しており、抗悪性腫瘍薬や抗血栓塞栓薬などによる「専門的な治療・処置」の割合が増えています。重症度、医療・看護必要度の基準に該当する患者割合からは、医療処置等を必要とする患者を積極的に受け入れている医療機関であっても、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合に十分反映されていないとしました。さらに、新たな要件となった在宅復帰率は、平均で約94%でほとんどの医療機関が高値を示していますが、必ずしも自宅等への退院割合が高くない医療機関も含まれているとしました。このほか、短期滞在手術等基本料3では、眼科の水晶体再建術や腹腔鏡下鼠径ヘルニア術について、左右の複数回の手術のための再入院の必要性や、点数が低くて採算が取れないなどの意見が出ていることなどが報告されました。
これに対して本多伸行委員(健保連理事)は、「重症度、医療・看護必要度」について「医療機関の分布からみると、多くは20%以下になっている。 7対1入院基本料を算定する医療機関は、入院忠者が7対1の費用を負担することから、15%以上という現行基準の妥当性についても議論すべきだ」と指摘しました。在宅復帰率についても「全体の平均94%に対し自宅等への退院は78%で、現行の基準(75%)が緩いのではないか」とし、今後検討すべきとしました。神野正博委員(全日本病院協会副会長)は、短期滞在手術等基本料3で腹腔鏡下鼠径ヘルニア術の5割が採算が取れていない実態は見直すことが必要ではないかと指摘しました。

次の診療報酬改定である2016年改定は厳しいマイナス改定となることが予測されています。特に急性期のところについて、どこまで厳格になるのか、看護配置による入院基本料がこのまま続くのか、これからますます病院経営が厳しくなることは間違いありません。事務長任せの経営から脱却したところが生き残っていくのでしょう。








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2015年5月29日金曜日

薬局再編は「すべて残すわけでない」

塩崎恭久厚生労働相は5月26日の経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)の会合で、全国に約5万7000件ある薬局を患者本位の「かかりつけ薬局」に再編する方針などを表明した上で、「すべて(の薬局)を残すわけではない」と述べられました。






塩崎厚労相は、社会保障分野の改革についての厚生労働省としての中長期的な考え方を提示されました。この中で、後発医薬品の使用に関する現行の目標の達成時期を前倒しして新たな目標を定めるほか、「患者のための薬局ビジョン」を年内に策定し、それに基づいて全薬局を「かかりつけ薬局」にするための施策を進めるとしました。
 諮問会議の前回会合では、民間議員が社会保障分野の改革に関して提案していました。甘利担当相によると、この日の会合で塩崎厚労相に対して民間議員が、医療法人の本務としての営利性業務の解禁などについても踏み込んだ対応を検討するよう要望致しました。さらに、「地域間の医療費の差を半分程度に縮減することや、薬局を再編して、薬局数を半減させるなどの目標も検討課題だ」などと主張したといいます。
甘利担当相はこの日の会合を、後発医薬品の使用目標や薬局の在り方の見直しなどでは参加者の意見がおおむね一致したと振り返りました。一方で、診療報酬全体の在り方や、健康産業での医療関係者の活躍策などについては、さらに議論を深める必要があると指摘されました。「厚労省の方針が出たが、具体的に各論に踏み込んでいる部分は少ない」と述べられ、厚生労働省側との調整を今後進めるとしました。

適正な社会保障費を目指して抑制に対する施策があちこちで上がってきておりますが、よく白羽の矢が当たるのがこの薬価のところです。その中で薬局の数を半減するとともに、ただ機能を高めかかりつけ薬局を目指していくということ。大きな変革に向けて、門前薬局が立ち並ぶ病院周辺の風景も大きく変わっていくのでしょう。








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2015年5月26日火曜日

医療法人の遊休スペース、賃貸可能に

 厚生労働省は、医療法人の運営管理指導要綱を改正し、医療法人が所有していながら使用していない土地や建物などの遊休資産について賃貸することを可能としました。2014年6月に閣議決定された日本再興戦略を踏まえた対応で、賃貸収入が過度に高額である場合や貸付資産の数が過度に多いケースなどを除き、遊休資産の管理手段として賃貸も認めることにしました。





 日本再興戦略には、医療法人が所有する遊休スペースについて、「介護施設・高齢者向け住宅等の用途に使用することを目的とした賃貸事業を附帯業務として認めるなど、医療法人の附帯業務の範囲を拡大する」と、医療法人制度に関する規制の見直しが盛り込まれていました。

 そこで、厚生労働省は「病院又は老人保健施設等を開設する医療法人の運営管理指導要綱」を改正し、現在使用しておらず、長期的にも同法人の業務に使用する可能性のない土地や建物などは、例えば売却するなど適正に管理するのが原則だとしました。
 その上で、将来的な病院の建て替えを目的に所有している土地など、長期的に医療法人の業務に使用する可能性のある資産は賃貸しても差し支えないと明示しました。ただし、賃貸により、医療法人が開設する病院などの業務を妨げる恐れがある場合や、初めから賃貸することを目的に新たな土地などを取得することは認めないとしました。

今回の規制の見直しは、本質が何かが私はまだ把握できておりません。何故国が賃貸を認める方向へ舵を切ったのか。長い目で見れば地域医療連携推進法人間での協働経営に向けた施策であるとも取れなくはないが、あまり直接的なつながりが見えてこないですし、本質的な意図はもっと別のところに存在するのだと思います。ただ、規制の撤廃は医療法人としては追い風になるのでしょうし、うまく活用することが今後の経営の手腕にも掛かってくるでしょう。








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2015年5月24日日曜日

国家戦略特区の医学部新設について

日本医師会 と日本医学会、全国医学部長病院長会議は5月13日、国家戦略特区による医学部新設に反対する考えをあらためて表明しました。 日医の横倉義武会長は、従来の主張を強調し、政府に慎重な対応を求めました。3団体が合同で医学部新設に反対する会見を開いたのは2月以来です。






東京圏国家戦略特別区域会議の「成田市分科会」で新設に関する議論が進んでいることに対して「十分な情報を国民や医療界に開示することなく、結論ありきで進められている」と指摘されました。国民に周知した上で十分な議論を尽くすべきとの立場を強調する一方、これからの医学部新設は医師不足対策につながらないことや、地域医療の再生を妨げる恐れがあることなど、従来から懸念する問題点に理解を求めました。横倉会長は「国家戦略特区による医学部新設は国民が求める医療を崩壊させる」として医育、医学、医療界の総意として医学部新設に反対していると説明されました。「これまでの医師数の伸びを踏まえると、今後の環境変化や勤務医の負担軽減にも対応できる。増加した医学部入学者が医師として医療現場に就業した状況を見た上で医学部定員の議論をすべきだ」と訴えました。また、今回の医学部新設に関する検討に対し、文部科学省と厚生労働省の関わりが消極的だと非難されました。「医師の教育の在り方や、その後のことを考えれば、文部科学省や厚生労働省が関与すべきことなのに、両省が十分に関与しないままこのような話が進んでいる。両省はもっと真剣に取り組んでもらいたい」と苦言を呈しました。
日本医学会の高久史麿会長は、医学生の増加による「質」の問題に言及されました。「大学入試センター試験の成績が下がってきています。臨床実習前の教養試験の再試験者の割合 も増えている」と学生の質に悪影響を及ぼしていると主張した上で、医学部新設がそれら に拍車を掛けることになるとの見解を示しました。全国医学部長病院長会議の小川彰顧問 は「成田市分科会の検討はマスコミに十分な情報が届いていないなど、開催時期や議論の方向性などが国民に情報開示されていない」などと述べ、分科会の運営自体に疑問を呈しました。 千葉県医師会の田畑陽一郎会長は、病床使用許可を取得したにもかかわらず病床を稼働できない医療機関があると説明した上で、医師や看護師の引き抜きに強い警戒感を示しました。

私見ですが、日医はあくまで既得権を守るためだけに主張していると捉えています。医師が増えことで自分たちの既得権が侵されることをおびえているとしか思えません。諸外国に比べて日本は医師数が少ないことは周知の事実であり、それが入院期間の増長の要因にもなっているという見解もあります。ときどき入院ほぼ在宅を実現するためにも、入院期間は短くなければならないはずであります。今回の医学部新設でそれほど大きな影響があるとは思えませんが、要は決壊して歯止めが利かなくなることへの抵抗なのでしょう。しかし、本当に医療提供体制を維持するためには、医師数の理想値についても考慮しなければ、実現は困難であるでしょう。








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2015年5月22日金曜日

有料老人ホーム「地域包括ケアの中心」

厚生労働省老健局の三浦公嗣局長は5月20日の全国特定施設事業者協議会(特定協)の特定施設事例研究発表全国大会でのあいさつの中で、「有料老人ホームをはじめとする高齢者の住まいは地域包括ケアシステムの中心だ」と改めて強調されました。また、2015年1月に国がまとめた認知症施策推進総合戦略「新オレンジプラン」に触れて、プランの推進には「認知症の方々にどうやって有料老人ホームや特定施設に入っていただくかが課題になる」と述べられました。






三浦局長は、有料老人ホームなどの特定施設について、「今後は終のすみかの役割も果たしていくことが期待されている」と指摘されました。特定施設が適切な看取り介護の体制をより強化していく必要性を示されました。
 特定施設事例研究発表全国大会では、「ケアマネジメント」と「看取り介護」「認知症ケア」「アクティビティ」の4テーマについて、全国から集まった有料老人ホームの関係者らが具体事例を発表しました。この中の認知症ケアの発表では、化粧品会社での勤務経験を有する職員が中心となり、認知症の入居者にフェイスマッサージや化粧など肌のケアを行うことで、自身の身の回りのことが行えず、不穏になる傾向があった入居者が、自発的に整髪や化粧をするようになり、介護拒否などの問題行動が減少した事例が報告されました。

認知症対策はこれからの大きな課題であり、いかに地域で認知症患者を看ていくのか、その体制構築が急務となっております。現状の問題点として地域で看ていくことが困難になった背景には、やはりそこには地域のコミュニティーの希薄化が要因の一つであると捉えています。ここ最近では、特に地方において、顔の見える関係づくりの互助の強化に取り組まれているところの活動が散見されます。地域包括ケアシステムの構築には、地域の自主性・主体制に基づいた自助・互助・公助・共助が必要でしょう。ただし、その中心は本人と家族の選択と心構えの上での住まいと住まい方が軸であります。その視点をおきざりにせずに、地域包括ケアシステムの中心を捉えて構築していかなければならないと感じます。








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2015年5月13日水曜日

危険ドラッグの使用は最多の34%

2014年9~10月に全国の医療機関で治療を受けた薬物乱用患者の34%が過去1年間に主に危険ドラッグを使用し、覚せい剤など他の薬物を上回って最多を占めたとの調査結果を厚生労働省研究班が5月7日までにまとめました。厚生労働省は、店舗やインターネットを対象に危険ドラッグ販売の取り締まりを強化していますが、専門家は治療体制の整備も必要と指摘しています。






 研究班は全国の精神科病床がある医療機関1598施設に2014年8月、協力を要請、2014年9月~10月の2カ月間に薬物依存症などで治療を受けた患者の有無や使用薬物の種類などを調べました。200以上の施設から1579人分の患者データが集まりました。うち過去1年間に乱用経験があり「主に使用していた薬物がある」と回答した1019人について、薬物の種類を分析したところ、危険ドラッグが34.8%(355人)と最多を占めました。続いて覚せ い剤27.4%(279人)、医薬品(睡眠薬と抗不安薬)16.9%(172人)、シンナーなどの有機溶剤4.3%(44人)の順でした。過去1年間の乱用がない人も含めた1579人全体で今までどんな薬物を使ったことがあるか複数回答で集計し、2012年に実施した同様の調査の結果と比較しました。覚せい剤が63.3%から60.9%となるなど、ほとんどの薬物の使用割合が減少する一方で、危険ドラッグは27.5%から31.2%に増加しました。
研究を実施した国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦薬物依存研究部長は、危険ドラッグの取り締まりで新たな乱用者は減っているとの見方を示しており、依存症患者への対応に関しては「薬物への欲求を低減させる専門プログラムを普及させたり、自助グループヘの参加を促したりと、患者が乱用を断ち切るための方策を充実させるべきだ」と指摘 しました。

最近は、ニュースでも取り上げられる頻度が下がってきたこともあり、危険ドラッグは減少傾向にあるのかと錯覚を起こしている方も多くいらっしゃいますが、このような調査結果はすべて氷山の一角にすぎません。水面下にどれだけのものが潜んでいるのか、まずはそちらに視点を向けることも大事ではないでしょうか。しっかりとした状況把握をしておかなければ、未成年などが狭い情報で誤った方向性に陥らないように、光を当てることをしっかり行なって頂きたいものです。








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2015年5月12日火曜日

後発医薬品は大学病院では進まず

2014年度診療報酬改定で、DPC制度の機能評価係数Ⅱとして新設された「後発医薬品係数」の評価上限60%を満たしているのは2014年改定時の189病院から、2015年4月告示で114病院増の303病院となりました。ただ内訳を見ると、大学病院本院のI群が改定時から変化がない一方、Ⅱ群、Ⅲ群で増加しており、これが全体の増加分を押し上げる傾向が鮮明になっています。






厚生労働省が4月27日のDPC評価分科会に報告した2015年度の機能評価係数1の告示を見ますと、評価上限60%を満たしていたのは303病院のうち、I群病院はたった4病院で、Ⅱ群病院が14病院、Ⅲ群病院が285病院でした。I群は改定時から変化がない一方で、Ⅱ群、Ⅲ群ではそれぞれ8病院、106病院増えている状況です。I群の4病院は、改定時と同じ埼玉医科大、聖マリアンナ医科大、横浜市立大、関西医科大の4病院です。Ⅱ群は、特定機能病院のがん研究会有明病院と国立循環器病研究センターをはじめ、前橋赤十宇病院、日本赤十宇社医療センター、諏訪赤十宇病院、伊勢赤十字病院、災害医療センター、岡山医療センター、熊本医療センター、小牧市民病院、兵庫県立尼崎病院、鳥取県立中央病院、南風病院、浦添総合病院 となっています。このうち、2014年度改定時から評価上限を満たしていたのはがん研究会有明病院、諏訪赤十宇病院、伊勢赤十字病院、岡山医療センター、小牧市民病院、鳥取県立中央病院の6病院でした。後発品をめぐっては、財務省の財政制度等審議会が4月27日、さらなる使用促進を目指すため後発品係数の評価上限を80%まで引き上げるよう提言しています。また、中医協・DPC評価分科会では次期改定で、機能評価係数Ⅱの等分評価を「重み付け評価」にする方向性が出ており、後発品係数の評価の在り方を探る議論が進む見通しになっています。

後発医薬品については、かなり国民の認識も改善されてきましたが、それでもまだ誤った認識をお持ちの方が、患者でも医療提供者でも多くいます。それでも報酬という強い力によりここまで浸透してきたというのが事実であると思います。ただ、その力だけでは後発医薬品に対する本当の意味での認識の改善にはつながらず、後発医薬品の浸透が広がらないところであると思います。地道な活動によりどこまで浸透拡大させることができるのか、このままの延長線上ではあるべき姿には辿りつかないのではないでしょうか。








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2015年5月11日月曜日

病院病床数の減少

病院の病床数は、2015年2月には前月に比べて275床減少し、156万9297床となったと、厚生労働省が5月1日に発表しました。全国の病院数に変化はありませんが、有床療所数は26減少して8248施設となっています。






まず2015年2月の医療施設総数は全国で17万8016施設あり、前月よりも76施設減少しました。

 このうち病院は8492施設で、前月から変化はありません。種類別に見ると、一般病院は7424施設で前月比1施設減、精神科病院は1068施設で前月比1施設増となりました。

 一般病院の中で、療養病床を持つ病院は3861施設(前月比2施設増)、地域医療支援病院は485施設(前月から増減なし)となっています。

 また、有床診療所は8248施設で、前月から26施設減少しました。


一方、病床数に目を移すと、2015年2月の全数は168万464床で、前月から562床減少しました。

 このうち病院の病床数は156万9297床で、前月に比べて275床の減少。一般病床では347床減の89万4274床となっています。平均在院日数の減少が進む中では病床数の削減が避けられず、今後も減少傾向が続くと見られます。


一般診療所は10万744施設(同57施設減、同139施設増)、一般診療所の病床数は11万1,076床(同287床減、同6,365床減)でした。歯科診療所の施設数は6万8,780施設(同19施設減、同104施設増)で、歯科診療所の病床数は91床(同増減なし、同1床増)でした。

これから地域医療構想が進むにあたり、各地域での病院の動向は非常に気になる理事長が多くいらっしゃると思います。実際、過剰地域となっている地域においては、どのようにダウンサイジングを行なっていくのか、自然淘汰などではなく、都道府県が大鉈をふるうのか、補助金等で誘導するのか、どちらにしろ、これからますます病床は減る方向で加速していくことでしょう。








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2015年5月10日日曜日

ナースセンターとハローワークの連携強化

日本看護協会は4月30日、厚生労働省職業安定局長宛てに、2016年度予算編成に向けて「ハローワークとナースセンターの連携強化」を求める要望書を提出しました。






深刻な看護師不足が続く中では、結婚や出産などで一線を退いた看護師の資格保持者の再就業に注目が集まり、都道府県の看護協会が設置するナースセンターで有資格者向けの情報把握や相談支援などが行われています。
 今年10月に施行される改正看護師等人材確保促進法では、ナースセンターによる看護職員の再就業支援機能のさらなる強化が図られることとなっていますが、日本看護協会は「2013年度から実施されているナースセンター・ハローワーク連携モデル事業では、連携強化に向けた課題も明らかになってきている」とし、2016年度予算の編成に当たってさらなる連携を進めるよう求めています。
 具体的な要望項目は、(1)ハローワークとナースセンターの連携の一層の強化、(2)看護職のセカンドキャリア就業について導入事例の収集になります。
 特にハローワークとナースセンターの連携の強化では、ハローワークとナースセンターとの間での電子媒体による求職者情報の共有、連携対象となるハローワークの拡大、を求めています。

これから、看護師の不足、特に訪問看護における看護師の不足は問題視されておりますが、なかなか潜在ナースの掘り起こしは、どの地域でも進んでいない状況です。ただ、7対1が本当に改革シナリオ通り進んで行けば、多くの看護師が病院からあふれ出てくるという試算をされているところもあります。おそらく、結婚や出産や一線を退いた看護師がいきなり訪問看護師として患者の居宅で医療を提供することは、そう簡単ではないでしょうし、何より一人ひとりの看護師が負わなければならない責任の範疇が、とても大きなハードルとして立ちはだかると思います。そこをどのようにフォローしていけるか、看護協会としても取り組むべき課題が多くありそうです。








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2015年5月8日金曜日

「お薬手帳」アプリの標準化 厚生労働省

厚生労働省がスマートフォン(スマホ)に薬局で受け取った薬の名称や飲み方などを記録する電子版「お薬手帳」の仕様を共通化させる方針を固めました。病院に行った時に処方された薬を自分で記録・管理するお薬手帳は現在、紙の手帳に処方された内容のシールを貼るというものが一般的ですが、一部の調剤薬局チェーンなどが電子化に取り組んでおり、スマホなどで管理できるアプリを提供しています。ただし、仕様がアプリによって異なっており、薬を購入する薬局によってまちまちとなるため、結局一元的に管理できない状況となっていることから、利便性向上とお薬手帳の電子化を普及させるために全国各地のどこの薬局でも対応できるよう標準仕様を検討するとしています。






お薬手帳のアプリは例えば日本調剤が提供する『「お薬手帳プラス」日本調剤の電子版お薬手帳アプリ』( http://www.nicho.co.jp/okusuriplus/ )などがあり、アプリをダウンロードした利用者は薬局で発行される明細書などにあるQRコードを読み取ることで、薬の種類や効能など薬の情報を手軽に記録できるようになっています。
また、アプリによっては薬の飲み忘れを防ぐためのアラーム機能などもあり、紙のお薬手帳にはない便利さも備えています。さらに、紙のお薬手帳は通院時に持ち忘れることも多く、スマホなどの常時持ち歩いている機器であればその心配もなくなるメリットもあります。
このことから厚労労働省はQRコードを利用した標準フォーマットを構築し、異なる電子版お薬手帳でも読み取ることが可能になるよう互換性を持たせることをめざしているとのこと。
標準フォーマットでは記録する情報も薬の種類や服用薬歴だけでなく、薬剤師のコメントを載せるなど充実させる案もあるそうです。
今後、電子化の現状を調査した上で検討課題を洗い出し、QRコードを利用した標準化に目処がつけば、関係団体などに順次採用するよう働きかける方針だとしています。
一方で、病院で処方された薬を購入するために利用する処方箋の電子化も進んでおり、カカクコム「ヨヤクスリ」やパナソニックヘルスケア「ヘルスケア手帳」といったサービスも提供されており、これらとの連携も期待したいところです。

厚生労働省としては、社会保障費の抑制の中で、後発薬普及を目指すところもありますが、調剤の適正化も一つの大きなポイントであります。例えば、処方されているのに服薬していないので、症状が悪化し、入院するなどの悪循環を抑えることも有用な取り組みであります。ただ、本当に調剤を無駄にしているのは、ごく一部の過剰な医療を受けている方であり、まずはそこの引き締めを行なうことが全体としての抑制につながるのではないかと思われます。








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2015年4月21日火曜日

地域医療構想の焦点は?

2015年4月から各都道府県での策定作業がスタートした地域医療構想について、厚生労働省の地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会座長の遠藤久夫氏(学習院大経済学部教授)は、同構想については「病床機能分化の推進」と「地域を視点とした医療提供体制の再編成」との2つの視点に基づく調整が重要になると指摘しました。特に、病床機能分化では「急性期から回復期への移行が円滑にできるか」をポイントに挙げました。






 遠藤氏は「首都圏などを中心に高齢化は進むが、すでに高齢化が進んでいる地域では人口減少という問題に直面する。医療需要の変化は、地域によって大きな違いが出てくる」と述べられ、地域の実情に応じた将来の医療提供体制を描く必要性を強調しました。その上で「日本は人口当たり病床数が多く、病床は増やさずに高齢化で増大する医療需要にどのように対応するか」を課題に挙げられました。また「病床機能を分化して、それぞれにふさわしい患者に対応するとともに、それぞれの機能に適した資源投入を行うことで“医療資源を効率的に活用する"ことが重要」と強調されました。
同構想の策定、実行上の課題としては「ニーズの変化に合わせて急性期から回復期への移行がスムーズにできるか」を挙げられました。2014年に開始された病床機能報告制度の結果からも「急性期から回復期に移行しようという声が必ずしも多くはない。考えられるのは、回復期病棟の定義が医療関係者の中で十分に理解されていないのではないかという点と、急性期から回復期になることで診療報酬上の不利益が生じるのではないかという点」との見方を示されました。地域医療構想に基づく取り組みについては「今回は消費税財源を使った基金を使えることが一つのインセンティプになっていくだろう。もう一つは診療報酬政策。ただ、全国一律なので、地域の問題に適さない面があるが、診療報酬政策と医療機能区分の再編成がある程度連動した形で進められるのか、今後の検討課題になる」としました。また、同構想に基づく取り組みでは各都道府県が果たす役割が大きくなることにも言及されました。構想づくりの協議の場の運営など「都道府県が医療提供体制の再編成で主体的な立場を担う」と述べられた上で「都道府県の力量がそのまま地域医療構想の成否を考える上でのポイントになる」との見方を示されました。

地域医療構想がいかに都道府県で進められていけるのか、大きな見ものですなんて悠長に構えていられる医療機関は少ないでしょう。いかにイニシアティブをとって優位に働きかけようかと虎視眈々と狙っている医療機関もあるようですし、そもそもこれまで地域で競合してきた医療機関同士が手を組んでそれぞれやっていきましょうってそんなに都合よく進むとは考えにくいです。淘汰されることは、手に取るように予想されます。ただ、本当に地域にとって必要な医療、必要な医療機関が整備されるように進めて頂かなければ、また何かの施策のようにすぐに方向転換なんて、これだけの大構想では困難を要しますので、ある意味慎重に進めていかざるをえないでしょう。








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2015年4月16日木曜日

地域包括ケアの認知度は?

日本理学療法士協会がこのほど公表した「介護予防や地域包括ケアの推進に対する国民の意識調査研究」の報告書によると、地域包括ケアシステムを「知っている」とした人の割合は全体の23.8%で、「詳しくは知らない」の40.5%、「知らない」の 28.3%より低い結果となりました。この調査研究は厚生労働省の2014年度老人保健健康増進等事業として行ったものです。






 調査は地域包括ケアなどに関する国民の知識や習慣を把握することを目的に実施されました。人口5~ 7万人の都市から、市町村ごとの要介護認定率が低い市の10都市(低認定率群)と高い市の10都市(高認定率群)の計20都市を抽出し、この20都市の住民基本台帳から65~84歳の計3700人をランダムにサンプリングしました。回答者1318人のうち、要介護認定を受けていないと回答した1169人を分析対象にしました。居住する市町村で行っている介護予防事業については、知っている人の割合は全体で32.6%でした。低認定率群では36.7%、高認定率群では28.6%が知っているという結果で、両者には有意差が認められました。理学療法士を知っている人の割合は全体で30.5%であり、低認定率群と高認定率群の間に有意差はありませんでした。

同協会の半田一登会長はこれらの調査結果を踏まえ、「地域包括ケアシステムや『自助』『互助』という考えがあまり国民に普及していない」と指摘されました。同協会の職能団体としての役割について「もっと『自助』『互助』という考えを普及させる一端を担わないといけない」とコメントされました。「政府だけに頼るのではなく、あらゆる職能団体を含めて、国民に理解を求めていくことが今後必要になる」と述べられ、地域包括ケアシステムの考え方の普及に向けて意欲を示しました。

地域包括ケアシステムを「知っている」国民が23.8%とは、それでも私が想定していた値よりは多いです。多くの患者等を見ているととても地域包括ケアシステムが認知されているとは感じられません。確かに地域包括ケアシステム自体が本来国民の健康のために構築を目指しているというより、社会保障費の抑制のために目指しているというところもあり、無理やり国民に地域で完結できるように誘導しようとしているところがあります。ですから、病院でも外来を締めていこうとしても、患者の理解を得られず進んで行かないのです。もっと国民の要望に沿った医療体制の構築を目指さなければ、本当に社会保障は解体してしまうのではないでしょうか。








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2015年4月12日日曜日

厚生労働省関係は今年度予算 約30兆円

2015年度予算が4月9日、参院本会議で可決、成立しました。厚生労働省の関係予算は29兆9146億円(前年度当初比3.0%増)でした。社会保障関係費のうち、医療分野に11兆4891億円(同2.6%増)、介護分野に2兆7592億円(同2.6%増)が計上され、合わせて3594億円増えました。






2015年度予算案については、2014年末の衆院選の影響で編成作業が遅れ、国会への提出が例年よりも遅れました。政府・与党は3月末までの予算成立を目指していましたが、西川公也・前農林水産相の辞任などにより、成立は4月にずれ込みました。
 厚生労働省は2015年度予算の大きな柱の1つに、「健康長寿社会の実現」を掲げました。具体的には、データ分析に基づく保健事業「データヘルス」を効果的に実施するほか、薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点の推進、難病・小児慢性特定疾患への対応などに予算を充てました。
 また、10月にスタートする医療事故調査制度の実施に関する費用として5億4000万円を確保しました。同制度では、医療事故の調査結果を収集・分析し、再発防止のための普及啓発などを行う民間の第三者機関「医療事故調査・支援センター」を設置することになっており、その運営を支援します。

健康長寿社会の実現に向けて、予防医学への注目度が増していくでしょうが、足元のがん検診などの受診率を見ると、まだまだ市民への浸透は浅いとしか言えません。何か画期的な新しい仕組みを導入しなければ、今の延長線上では大きく改善することは難しいのではないかと、税金の無駄なばらまきに警鐘を鳴らしたいものです。








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