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2015年6月21日日曜日

医療機器の開発は医師のアイデアから

日本医師会は6月上旬から、医師主導の医療機器の開発・事業化支援事業に乗り出します。医師から医療機器開発のアイデアを受け付け、主に日本医療研究開発機構(AMED)などに橋渡しする業務を始めます。医療現場の臨床医から生まれた発想を、新たな医療機器の開発・事業化につなげていきます。






日本医師会は4月に発足したAMEDなどを通じて、新たな医薬品や先進的な治療技術の開発を促進させたい考えです。今回の取り組みでは、日本医師会があらゆる医療機器(MRIなどの画像データの処理をはじめとした単体プログラムを含む)に関するアイデアを臨床の医師から募集し、事業化に向けた支援を行います。具体的には、インターネット上で医師から臨床ニーズに基づくアイデアなどを登録してもらいます。医療上の有用性や市場性などの観点から、そのアイデアについて「目利き」を実施して、事業化の可能性が高い場合はアイデアを出した医師と個別面談などを進めて、AMEDへの橋渡しやコンサルティング会社に紹介するなどのステップを進めます。 日医総研に窓口業務準備室を設置し、6月上旬に業務を開始します。日本医師会のホームページを通じて専用ページにアクセスして、アイデアの申し込みができるようになります。「目利き」までは日医の会員、非会員ともに費用はかかりません。橋渡しなどに進んだ場合には、非会員からは1万円を徴収することになります。羽鳥裕常任理事は、アイデアを持ちながら多忙さから開発や事業化にたどり着けなかった医師への支援になることや、多くの若手医師に対し、さらなる治療技術の向上に向けた啓発につながる点をアピールされました。最初の登録に要する時間は1時間程度という「手軽さ」なども紹介しながら、多くの利用を呼び掛けました。

臨床の声が反映されて医療機器の開発が進むことは、多くの医師が望んでいることでしょう。特に正確性と効率性を高めることができれば、医療の質が向上することは確実でありますし、リスクを軽減できる可能性が高いということが何よりも大きいと思います。医療事故調査制度など、臨床の医師は多忙な労働環境の中で責任だけ追及され、現状の改善に向けた具体的な支援が欠如している現状を踏まえ、今一度医療提供の在り方を見直す時期に差し迫っているのではないかと感じるところです。








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2015年5月24日日曜日

国家戦略特区の医学部新設について

日本医師会 と日本医学会、全国医学部長病院長会議は5月13日、国家戦略特区による医学部新設に反対する考えをあらためて表明しました。 日医の横倉義武会長は、従来の主張を強調し、政府に慎重な対応を求めました。3団体が合同で医学部新設に反対する会見を開いたのは2月以来です。






東京圏国家戦略特別区域会議の「成田市分科会」で新設に関する議論が進んでいることに対して「十分な情報を国民や医療界に開示することなく、結論ありきで進められている」と指摘されました。国民に周知した上で十分な議論を尽くすべきとの立場を強調する一方、これからの医学部新設は医師不足対策につながらないことや、地域医療の再生を妨げる恐れがあることなど、従来から懸念する問題点に理解を求めました。横倉会長は「国家戦略特区による医学部新設は国民が求める医療を崩壊させる」として医育、医学、医療界の総意として医学部新設に反対していると説明されました。「これまでの医師数の伸びを踏まえると、今後の環境変化や勤務医の負担軽減にも対応できる。増加した医学部入学者が医師として医療現場に就業した状況を見た上で医学部定員の議論をすべきだ」と訴えました。また、今回の医学部新設に関する検討に対し、文部科学省と厚生労働省の関わりが消極的だと非難されました。「医師の教育の在り方や、その後のことを考えれば、文部科学省や厚生労働省が関与すべきことなのに、両省が十分に関与しないままこのような話が進んでいる。両省はもっと真剣に取り組んでもらいたい」と苦言を呈しました。
日本医学会の高久史麿会長は、医学生の増加による「質」の問題に言及されました。「大学入試センター試験の成績が下がってきています。臨床実習前の教養試験の再試験者の割合 も増えている」と学生の質に悪影響を及ぼしていると主張した上で、医学部新設がそれら に拍車を掛けることになるとの見解を示しました。全国医学部長病院長会議の小川彰顧問 は「成田市分科会の検討はマスコミに十分な情報が届いていないなど、開催時期や議論の方向性などが国民に情報開示されていない」などと述べ、分科会の運営自体に疑問を呈しました。 千葉県医師会の田畑陽一郎会長は、病床使用許可を取得したにもかかわらず病床を稼働できない医療機関があると説明した上で、医師や看護師の引き抜きに強い警戒感を示しました。

私見ですが、日医はあくまで既得権を守るためだけに主張していると捉えています。医師が増えことで自分たちの既得権が侵されることをおびえているとしか思えません。諸外国に比べて日本は医師数が少ないことは周知の事実であり、それが入院期間の増長の要因にもなっているという見解もあります。ときどき入院ほぼ在宅を実現するためにも、入院期間は短くなければならないはずであります。今回の医学部新設でそれほど大きな影響があるとは思えませんが、要は決壊して歯止めが利かなくなることへの抵抗なのでしょう。しかし、本当に医療提供体制を維持するためには、医師数の理想値についても考慮しなければ、実現は困難であるでしょう。








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2015年5月21日木曜日

後発品目標は60%?80%?

政府の行政改革推進会議・歳出改革ワーキンググループ (WG)の重要課題検証サブ・グループは5月15日、後発医薬品の使用促進について厚生労働省と財務省から意見を聞きました。厚労省医政局の城克文経済課長は、現在の後発品使用状況を踏まえ、数値目標「2017年度末に60%以上」について、「達成時期の前倒しはあり得る」と答えました。






 財務省が求めている80%への引き上げは、後発品企業の供給能力に限界があることなどを考慮し「難しい」と答えました。サブ・グループは有識者委員7人で構成されています。後発品促進について6月に中間とりまとめをし、行政改革推進会議に報告します。会議は非公開で、各省の意見聴取は入れ替え制で行われたようです。土居丈朗座長(慶応大経済学部教授)は「新たな官民共同の会議を新設するわけではなく、行革推進会議の決定に従って設置したこのサブ・グループでヒアリングをする」と会議の位置付けを説明されました。後発品の使用状況 については「以前に比べ普及が進んでいる。足元の普及促進策は、特に2014年度診療報酬改定の措置が効果を発揮している」と評価されました。会合では、ロードマップの数値目標について財務省が、早期の60%達成や、80%ヘの引き上げが可能ではないかと主張しました。
80%への引き上げが難しい理由として厚生労働省の城課長が挙げた供給能力の問題について、財務省は「新薬の特許切れを見込み、設備投資を前もって行えるよう予見性を高めることで担保できる。目標の引き上げは実現可能」と指摘しました。 今後は、5月21日と5月29日に関係団体からヒアリングを実施します。 日本製薬工業協会、日本ジェネリック製薬協会、日本ジェネリック医薬品学会、日本医師会、日本薬剤師会、健保連などを予定しています。

後発品の普及について、確かに日本は遅れているところがあります。それでも2014年度の診療報酬改定での措置は大きな効果をもたらしたと言われています。国民の意識も少しずつ変わってきています。ただそれでも誤った認識を持ち続けている方や、後発品の使用について前向きではない医師も多くいます。ただこれからの取り組みとしては何かと抱き合わせでアメとムチで行なっていかざるを得ない部分もあると思われます。でもまずは、生活保護者の方へは後発品を徹底することなど、落穂拾い的な活動はあるわけで、そこからおこなっていかなければならないでしょう。








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2015年4月20日月曜日

大学附属病院の別法人化の賛否

政府の産業競争力会議の実行実現点検会合で、大学附属病院の経営を大学から切り離し、別法人化する提案がされたことについて、日本医師会(日医)の中川俊男副会長は4月15日の記者会見で、経営の切り離しは、将来的には医療レベルの低下を招く可能性があることを挙げ、「安易に認めるべきでない」と述べられ、慎重な議論を求めました。






4月14日に開催された産業競争力会議の会合では、附属病院の別法人化により、地域の医療体制の充実や附属病院が先端医療分野の能力を発揮する環境の整備が可能になると民間委員が提案しました。経営の自由度を高めることで、附属病院が地域医療の核となり、地域イノベーションの推進などにも有効だと主張していました。

 中川副会長は会見で、大学附属病院は大学と病院で同じスタッフが密接な連携を図りながら運営していることに触れ、別法人化で附属病院が担う教育や研究、診療のバランスを崩しかねないと指摘されました。また、民間病院と同じ立ち位置になることで、附属病院の役割が損なわれることに危機感を示され、「大学附属病院は医療の最後のよりどころ。日本の医療の根幹を揺るがすと言っても過言ではない」として、民間委員の提案に否定的な見解を示されました。

今回の一連の発言等から、個人的には両者とも正論であると感じつつも、二者択一的な選択ではなく、これからの制度見直し等で最善を図ることではないかと感じます。民間委員は地域連携推進医療法人制度(仮称)を見据えての発言と考えれば、大学付属病院が中核となるほどその法人が強くなるに違いありません。医局の力が脆弱化しているとはいえ、全国的に医局による医師の派遣は多くの病院にとって生命線です。そこを軸に連携を組むのが、理想的というか現実的ではないでしょうか。ただ、中川副会長がおっしゃる通り附属病院の役割というものは孤高にあります。教育や研究などもしっかり行なっていくことで、日本の医療を海外へ持ち出せる成長産業として育てることも、資源の無い日本にとっては大きな価値となるでしょう。








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2015年4月15日水曜日

地域医療ビジョンにシンクタンクが入り込む?

日本医師会(日医)の中川俊男副会長は4月12日、京都市で開かれた日本医学会総会の学術講演で、4月から全国で策定作業が始まった地域医療構想(ビジョン)について、47都道府県のうち20の自治体で、民間の研究機関に業務を委託する動きがあることを明らかにしました。そして中川氏は「ゆゆしき事態だ」と不快感を示されました。






地域医療構想は、団塊の世代が75歳以上となる2025年に必要な病床数や医療機能など、今後の医療提供体制の方向性を定めるものです。 各都道府県は国の指針を参考に、人口規模や患者の受療動向などを考慮し、原則二次医療圏ごとに「構想区域」を設け、各区域で必要なベッド数を推計した上で、関係者と協議しながら今後の方策を検討することになっています。
 中川氏はこの日、地域医療構想をテーマにしたセッションで、「『患者さんの動向を考えると、今の二次医療圏は現状に合わない。構想区域は違った設定にすべきだ』という医師会の声が届きにくい場合もある」と述べ、都道府県の間に温度差があることを指摘されました。
また、「民間シンクタンクに委託した時点で、(国の)ガイドラインの計算式をそのまま使って『はい、終わり』。そういう状況になり得る。委託した時点で、構想区域イコール二次医療圏と決めているのと同じだ」とも語り、今後の策定の動きに注視するよう呼び掛けました。

民間のシンクタンクが地域医療の構想に入ると、公の中立性が保たれない恐れはあると思います。どこかの一部の医療機関にとって優遇的な方向に進まないとは言えない部分はあるでしょう。そうなると、また裏で大きなお金が動くことも想像されます。ですから、確かに民間シンクタンクに委託するのはいかがなものかと思いますが、その半面委託せざるを得ない状況も足元であるのだと思います。要は、都道府県で地域医療ビジョンが描けないということです。各担当は非常に勉強されていると思います。ただ、その付け焼刃的な知識で正当なビジョンを描ききれるのか、責任を持てるのかという現実があるのではないでしょうか。これから各都道府県では、協議の場を設けて情報収集も行なうのでしょうが、有識者が集まることでそれぞれの利権を度外視で地域の最適化の為に取りまとめることへのパワーは相当なものになるでしょう。








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2015年3月25日水曜日

医師の偏在解消に向けて

全国医学部長病院長会議と日本医師会は3月19日、「医師偏在解消策検討合同委員会」の初会合を開き、医師偏在の解消に向けた議論を開始しました。早ければ6月にも提言をまとめる方針です。全国医学部長病院長会議の荒川哲男会長(大阪市立大医学部長)が明らかにしました。






全国医学部長病院長会議と日医が、これまで取り組んできた活動をそれぞれ報告したほか、地域偏在や診療科間偏在の解消策についてフリーディスカッションを行いました。今後も少なくとも月1回のペースで検討を重ねる予定です。また、会見では全国医学部長病院長会議の小川彰顧問(岩手医科大理事長・学長)が、文部科学省の「東北地方における医学部設置に係る構想審査会」が3月13日、東北薬科大の医学部新設に関する検討状況を審議し認可申請を了承したことに言及しました。「自ら出した条件がクリアされていないことを認めながら、申請を並行して進めてもよいことになったことは矛盾がある」などとし、同会議として構想審査会の対応を問題視する声明を出す方針を決めたことも明らかにしました。

また政府の国家戦略特区諮問会議は3月19日、秋田県仙北市など3地域の地方創生特区の指定(国家戦略特区の2次指定)を了承しました。仙北市の事業には「外国人医師の診療所における診察」が盛り込まれています。規制改革事項の「速やかに全国規模で進める事項」として、在宅医療提供体制の確保のため、外来応需体制のない保険医療機関の設置要件の明確化の検討、訪問型病児・保育と併せて行う往診・訪問診療などで、対応できる医療機関の確保が困難な場合、医療機関と患者の住所が16kmを超える場合でも保険給付の対象となることの明確化 を加えることも了承しました。このほか、保険外併用療養や病床規制に関する特例を盛り込んだ東京圏の区域計画の変更も了承しました。

日本は諸外国に比べ医師の数が少ないが病院・病床の数が多いことがよく取り上げられます。そこに医療費が高騰する要因があるとしているのですが、なぜ医師を増やすための方針を明確にし、対策をとらないのか。政府はそうしたいでしょう。反対している勢力があるからです。医師が増えることを良しとしない既得権を守りたいと自己的な考えをもっている者がいるからです。だから何かにつけて医学部の設置などに反対しているのです。本当に地域の健康を守ろうと思えば、それに適した人数を確保すべきなのですが、この現状を打破することはそうとう困難なのでしょう。政府もそこまで張り合うつもりが無いというか本気さが足りないと感じざるを得ません。








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2015年2月28日土曜日

地域医療連携推進法人(仮称) (非営利新型法人)

日本医師会の今村定臣常任理事は、新たに創設することが決まった「地域医療連携推進法人(仮称)」(非営利新型法人)について、非営利新型法人の創設に関する報告書をまとめた厚生労働省の「医療法人の事業展開等に関する検討会」の委員として「非営利性を担保しつつ地域医療を立て直すための制度となるよう繰り返し提言してきた趣旨を、ある程度はくんでいただいている」と一定評価されました。





その上で、 「実際の運用に向けて懸念が残っている部分もあります。まずは法律の条文や政省令、運用通知の作成作業を注視していく」と述べられました。厚生労働省は、非営利新型法人の創設を盛り込む「医療法の一部を改正する法律案」を今通常国会へ提出することを目指しています。報告書では、非営利新型法人の事業展開について、都道府県が今後策定する地域医療構想(ビジョン)との整合性を求めているほか、医療の非営利性を前提に、具体的な制度設計や運用面にも非営利性の確保が必要と提言しました。具体的な制度設計では、非営利新型法人の運営や活動について都道府県知事が都道府県医療審議会の意見を聞いた上で認定・認可・勧告・認定取り消しをする仕組みと、非営利新型法人の内部組織として市長や地域の医師会長らで構成する「地域医療連携推進協議会」を設置し地域の意見を反映させる体制を柱としています。 事業範囲や理事の選任、定款では知事が認可し、理事会や社員総会の活動に対しては「地域医療連携推進協議会」がチェックすることになっています。今村常任理事は「ビジョンを協議する場の『地域医療構想調整会議』も含め、地域がチェックする体制が複数存在する仕組みになっている」と指摘されました。「報告書の内容がしっかりと実現されれば、非営利性を確保して地域医療を立て直すための有効なツールにできる」との認識を示しました。また、非営利性を確保するために医療法人に関する医療法の規定を準用する方針を報告書に盛り込んだことも評価しました。この規定は剰余金の配当禁止や残余財産の帰属先が国や地方公共団体などに限定されるほか、定款変 更は知事の認可が必要になることなどが主な内容です。一方、懸念が残る部分としては、 「1社員1議決権」以外の在り方を定款で定めることも可能、理事長は医師に限らない、病床過剰地域でも非営利新型法人内であれば 特例的に病床の融通が可能、の3点を挙げました。「いずれも知事が医療審議会の意見を聞いた上で認可するという仕組みになっていますが、実際に地域医療のための運用になるか、注意深く見ていかなければならない」と述べられました。

地域医療構想そして地域医療連携推進法人(仮称)と、これからの地域での病院の運営に大きな影響を及ぼすフレームが決まりつつあります。ただあまりにも現状のすべてをフレームに納めようとすれば無理が見えてきますが、逆説的に考えると、政府や市町村の描くフレームに医療を押しはめていくためのスキームであると見た場合、いささか怖さを感じます。








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2015年1月11日日曜日

国家戦略特区の医学部に警戒感

日本医師会の横倉義武会長は今後懸念される課題のうち、国家戦略特区による医学部新設問題について「今後の医師の養成数を、国としてどう考えるかについて先行して議論しないといけない」として政府内で“新設ありき"で議論が進められることに警戒感を示しました。また、2016年7月の次期参院選に向けて組織内候補を固めたことにも触れて、選挙では30万票以上の獲得を日指して活動を進める考えを示しました。
昨年末の衆院選で与党が大勝したことを受け、医療界では医学部新設の議論が加速することを懸念する声が出ています。そのような中、横倉会長は2014年12月25日、首相官邸で安倍晋三首相と会談し、医学部新設に関する問題点を直接説明しながら、日本医師会がこの問題に反対であるとの立場に理解を求めました。






横倉義武会長は 日医が医師国家試験合格者数と、25歳人口から独自に算出した「同年齢のうち医師になる割合」について言及しました。1976年で437人に1人だった医師の割合が2014年には162人に1人となり、現在の定員が継続すれば2030年には132人に1人にまで割合が高まる点について触れ、「この割合が社会全体の構成として良いのかどうかを議論 しないといけない」と指摘しました。「それでも必要だと言うなら養成しないといけないだろうが、まずはそういう議論を先行すべき」として、手順を踏んだ検討を求め、“結論ありき"の議論を行わないよう牽制しました。
また、国会議員の中で医学部新設の問題点が十分に認識されていない点にも懸念を見せ、医学部新設に消極的な省庁などとの連携も視野に、懸念材料についての情報発信を強める考えも示しました。
また横倉義武会長自身が委員長を務める日本医師連盟に関連し、次期参院選で勤務医の自見英子氏を組織内候補に選んだ点にも触れました。日医連組織内候補への得票の中心は開業医が担つている中、次期参院選は勤務医らからの支持獲得にも意気込みを示し、30万票以上の獲得を目指す方針を明言されました。2013年7月の前回参院選で初当選した羽生田俊参院議員が獲得した24万9818票から、5万票以上の上積みに意欲を見せました。

今年から議論が本格化する次期診療報酬改定については「従来、診療報酬は物価および人件費の上昇分をしっかり手当てすることとして改定幅が決められるもの。アベノミクスの成功、地方創生のためにも医療機関の地方経済への果たす役割は大きい。物価上昇、人件費に見合ったものは不可欠になる」と指摘されました。初・再診の議論については「医療機関の経営基盤は初診、再診、入院基本料も含めて基本診療料でしっかり手当てすべきだというのが基本的な考えです。基本診療料でしっかり手当てしなければならない。地方で医療を確保しなければ地方に人が住めなくなる。基本診療料を重視するというのが当然の姿勢」と述べられました。
昨年末にまとまった2015年度税制改正大綱にも言及されました。控除対象外消費税問題への対応については、医療界の見解として昨年秋に発表した文言の中身がある程度反映され、問題解決に向けて2014年度大綱より踏み込んだとして一定の評価を見せました。

横倉義武会長はいろいろと言及されましたが、その中で、診療報酬についてピックアップしたいと思います。確かに横倉義武会長がおっしゃるとおり診療報酬は物価および人件費の上昇分をしっかり手当てすることとして改定幅が決められていたはずだったものが、最近はその本意をどこか別に外されてしまっていることについては、明確にしなければならないと思います。確かに社会保障費の増大は国の財政を逼迫しておりますが、高齢化社会は確実に進むわけで、労働人口も減少していく中、医療の必要性をおざなりにしては住みよい日本は崩壊するのではないでしょうか。








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2014年12月21日日曜日

かかりつけ医機能の負担

地域包括診療料と地域包括診療加算の要件のうち、常勤医師が3人以上の在籍について、診療所の開設者・管理者の9割以上が、かかりつけ医機能として重要ではないと考えていることが、日本医師会(日医)の会員調査で分かりました。12月17日に記者会見した日本医師会の中川俊男副会長は、「状況を見ながら検証して、(地域包括診療料などが)現場としては非常に良いということが分かれば、要件の緩和を求めていきたい」と述べられました。






 地域包括診療料と地域包括診療加算は、2014年度の診療報酬改定で、主治医機能を評価するために新設されました。原則として診療所が対象で、患者の同意を得た上で、継続的かつ全人的な医療を行うことで算定できます。
 要件には患者の健康管理や服薬管理、24時間体制の対応などがあります。常勤医師3人以上の在籍は、診療所が地域包括診療料を算定するためには必須となっております。地域包括診療加算を算定する場合にも、常勤医師3人以上の在籍か時間外対応加算1か2の届け出、在宅療養支援診療所であることの、いずれかを満たすことになっています。
 日本医師会は次回の診療報酬改定に向けた議論の基礎資料にするため、10-11月に会員の調査を実施しました。1519人から回答を得ました。この中で、地域包括診療料などの要件を抜粋し、かかりつけ医機能として「特に重要と思われる項目」と「特に負担あるいは困難な項目」を複数回答で調査いたしました。
 その結果、重要だと答えた割合は、「受診勧奨や健康状態の管理」(59.6%)や「主治医意見書の作成」(56.1%)、「健康相談」(53.3%)、「患者に処方されているすべての医薬品の管理」(52.1%)、「患者が受診しているすべての医療機関の把握」(51.9%)が5割を超える結果となりました。一方、「常勤医師3人以上」は5.6 %にとどまり、「在宅療養支援診療所」(14.8%)、「原則として院内処方」(14.9%)なども低かい結果でした。
 また、負担だったり困難だったりする項目として挙げられた割合は、「常勤医師3人以上」が最も高い77.9%で、以下は「在宅患者への24時間対応」(69.4%)、「在宅療養支援診療所」(54.4%)、「原則として院内処方」(46.5%)などと続きました。「健康相談」(13.3%)や「受診勧奨や健康状態の管理」(14.1%)、「主治医意見書の作成」(15.3%)などは低い結果でした。

調査結果の回答は、まさしく現場の声であると感じます。まず前提として、常勤医師3人以上の在籍を行なう開業医が、現実的にどれだけあるかということです。本当に魅力ある先生のところでなければ、わざわざそこで勤める医師は皆無でしょう。思いが無いのなら自治体病院に勤めた方がよっぽど負担も少なく居心地も良いと思います。もしくは、ご自身で開業されるでしょう。確かに常勤医師が3人いれば、外来診療をしながらも訪問診療にも行けて、また緊急対応もできるでしょう。夜間もローテーションを組めば負担は軽減されるでしょう。でもそれは、絵空事ですよね。なかなか現場がご理解いただけていないことに対し、今回の調査内容が少しでも刺さることを期待したいものです。








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2014年12月14日日曜日

介護療養の改定案

社会保障審議会・介護給付費分科会委員を務める日本医師会の鈴木邦彦常任理事は12月10日、2015年度介護報酬改定に向けて厚生労働省が「療養機能強化型介護療養型医療施設 (仮称)」を提案したことについて「重度の方のターミナルケアや看取りも含めた受け皿として必要性が認められた」と評価しました。






厚生労働省は2017年度末の廃止が予定されている介護療養型医療施設について、看取り対応など5要件を満たす施設を「療養機能強化型」として評価することを提案しました。鈴木常任理事は「医療ニーズがある重介護の人の受け皿として介護療養型医療施設の必要性は年々増しているので、存続すべき」と主張されました。厚生労働省の提案を「重度の人の受け皿として必要性が認められたということだと思う。その点は評価したい」と述べられました。一方、「廃上の方針が変更になったわけではない」とも述べられ、「病院として残してほしいという要望も強いので、施設ではなく病院として残せるようにしていただきたい」と求めました。
厚生労働省は訪問看護に関して、訪問看護従事者の将来的な増員に向けて病院や診療所か らの供給量を拡大する方針を示し、病院・診療所に対する基本報酬の増額も提案しました。鈴木常任理事は「病院といっても地域包括ケアでの役割が期待される中小病院や、有床・無床の診療所から行くようにするのがよい」とコメントされました。診療報酬には厳しい人員配置基準があるとして「縛りがあまり厳しいとなかなか訪問看護に行かない。少し柔軟にして、現実的に行けるようにしてほしい」と述べられました。
通所・訪間リハビリテーションの見直し案については「生活期リハビリテーションといっても今までなかなか具体的なイメージが湧かなかったが、今回はっきりと具体的な姿が示されてきた」と評価されました。ただ、今回は時間的な制約もあり、通所リハビリと訪問リハビリの一部のみが扱われたとして、「生活期リハビリはもっと広義に考えている。改定が終わった後にでもじっくり検討したらよい」との見解を示しました。
鈴木常任理事は2025年に向けた医療・介護提供体制の改革が進められる中、「財源なしの改革は単なる切り下げになり、現場が疲弊してしまう」との懸念も表明されました。次期介護報酬改定について「母体の経営が安定していないと職員の処遇改善ができない。処遇改善だけを行えばよいということではない」と述べるなど、安定した事業運営が行える財源確保が必要になるとしました。
また、特に地方において医療・介護分野は最大の雇用の受け皿になり、「街づくり」のベースをつくることで「地方創世」を担えるようになると指摘されました。「単に抑制すれば医療・介護が疲弊するだけではなく、そういう芽をつぶしてしまうことにもなりかねない」と訴えました。

2015年4月の介護報酬改定に向けて介護業界では、不安を募らせている部分も多くあります。特養などをメインに事業を行なっている社会福祉法人は減収改定になることが予測され、ただ今から在宅介護での補てんを目指そうにも人手が足りていない。人員確保はどこも共通の課題となっております。その中で、いかにコアコンピテンスに特化できる運営体制にシフトしていけるかが一つのポイントとなりそうですが、医療からの受け皿としての機能も見込まれていることもあり、過度な業界構成で疲弊が起こり体制崩壊しないように、しっかり検討を進めて頂きたいものです。








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2014年12月9日火曜日

日本型在宅 郡市区医師会にて

日本医師会の鈴木邦彦常任理事は11月23日、国立長寿医療研究センターと勇美記念財団が開催した在宅医療推進フォーラムのシンポジウムに登壇され「日本型在宅の主役は都市区医師会です。かかりつけ医にリーダーになっていただきたい」と訴えられました。かかりつけ医の研修も必要になるとし「われわれとしては、医学部教育の見直しを含めた一般臨床能力の向上と、日医の生涯教育の充実により、かかりつけ医を強化することが必要と考えている」と述べられました。






鈴木常任理事は、超高齢化社会に対応する日本の医療システムとして「既存資源である中小病院や有料診療所、診療所を活用し、施設か在宅かということではなく、施設も在宅も活用した日本モデルを構築していくことが現実的」とコメントされました。日本では中小病院や有床診療所が多く、身近な場所で入院が可能なことや、診療所の質も高く、高齢者に便利なワンストップサービスが提供できることをメリットに挙げました。その上で「かかりつけ医機能を持つ200床未満の中小病院、有床診療所、診療所がそれぞれ可能な範囲で在宅支援の機能を持ち、総合的に支援 していくことがよい」との見解を示されました。

日本看護協会の齋藤訓子常任理事も登壇し、地域包括ケアシステムにおける看護の役割について「在宅療養を最期まで支えきること」と説明されました。全国で訪間看護や介護施設に従事する看護師が、非常に少ないことを挙げ、「地域包括ケアシステムの中で働く人たちをどうやって確保していくかが一つ大きな課題」との認識を示しました。このほか訪問看護ステーションの基盤強化なども課題に挙げました。また齋藤常任理事は、市町村やかかりつけ医、また在宅医療と介護の連携の鍵は「さまざまな教育背景を持つ専門職が一堂に会し、利用者へのサービスビジョンを関係者間で徹底して共有することだ」と説明されました。「多様な職種が集うとき、1つのチームであるということを認識したい」と訴えられました。

これから進めていかなければならない地域包括ケアシステムの構築は、医師会の動きが重要となってくることは間違いないと感じます。また、逆説的にいうと、ここで医師会がしっかりと存在感を発揮できなければ、地域での確たるポジションは喪失してしまいかねません。これからいかに在宅で医療を提供できるかとなるとかかりつけ医・開業医がメインになってきます。もちろんその前で訪問看護の存在も大きくありますが、それら連携体制を構築する仕組みづくりを医師会がイニシアティブをとれるかどうか、手腕の見せ所でしょう。








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2014年12月3日水曜日

外科手術の施設を集約化

日本臨床外科学会総会が11月22日、郡山市で開かれ、「外科医と医療経済」に関するワークショップで、高度な技術と設備・マンパワーが必要でランニングコストがかかる大手術について、実施医療機関の集約化を進めるべきとする意見が複数の演者から出されました。ワークショップに参加した 日本医師会の今村聡副会長は、大手術の実施施設の集約化についての見解を求められ「私見ですが、全国で地域医療構想を検討する仕組みが構築されることか らも、地域内でどのような手術をどのように機能分化するか を議論することが大事」と述べられ、それぞれの地域内で十分議論する必要性を強調しました。






また、厚生労働省保険局医療課の佐々木健企画官も、「2002年度診療報酬改定では医療の質向上、効率的な医療提供の観点から手術の年間症例数などの施設基準を設定し、基準を満たさない医療機関は減額することが決められたが、その後の改定で大幅に見直された経緯がある」と説明されました。その上で「個人的には機能分化の点からも(集約化は)ありうると考えられるが、外科系の現場の皆さんで検討することが必要です」とし、医療現場の意見・考え方をまとめる必要があるとの見解を示しました。
ワークショップの総合討論では、白杵尚志氏(香川大学医学部消化器外科)が「施設によってどのような手術をするか、ある程度分類することが手術関連のコストを抑える手法ではないか。設備を持つ施設が大手術するように特化していくことがあってもいいのではないか」 と提案しました。山本聖一郎氏 (平塚市民病院消化器外科)も 「コストがかかる大手術は、担当病院を決めて、より効率的に進めるべきだ」と同調しました。 一方で枝元良広氏 (国立国際医療研究センター病院外科)は「集約化を誰が決めるのか。その妥当性を評価することは難しく、自分の考えはまとまらない」など、施設の集約化の難しさを示す意見もありました。

これから各地域においてどのような医療体制を構築していくのか、まさに地域医療ビジョンによるところだと思います。施設の集約化もこれから地域全体を同時進行で整備しなおすなら可能かもしれませんが、各医療機関においてすでに設置済みの医療機器等も考慮して、また費用対効果・減価償却などまで考慮して検討するととてもハードルが高くなるというか、足並みを揃えることは困難ではないでしょうか。しかし、ある地域によっては集約化効率化はとても魅力があるとも思います。特に医療資源が枯渇している地域です。これからさらに高まる医療ニーズに対しどのように取り組んでいくのか、俯瞰的な視点をもって総合的な施策の構築が重要だと感じます。








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2014年11月29日土曜日

事故調査支援団体を 都道府県医師会

日本医師会の松原謙二副会長は11月26日の記者会見で、厚生労働省の「医療事故調査制度の施行に係る検討会」で議論が進む医療事故調査制度に関する日医の見解を説明し、都道府県医師会が医療機関側の求めに応じて院内調査を支援する「支援団体」を務めることに期待を示しました。






改正医療法では「病院等の管理者は、医学医術に関する学術団体その他の厚生労働大臣が定める団体に対し、医療事故調査を行うために必要な支援を求めるものとする」と明記されています。
松原謙二副会長は、「医療事故が起きたとき、どういうことが起きたのか分からないということになれば相談を受けなければならないし、解剖するにも一つの医療機関ではなかなかできない。大学病院と連絡をとったり、専門の先生を学会に要請して派遣してもらうということができるのは、マンパワーの問題などを踏まえれば都道府県医師会」と説明されました。すでに都道府県医師会長協議会などで支援団体に名乗りを上げるよう要請したことを明かにしました。
松原謙二副会長は医療事故調の対象となる「当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったものとして厚生労働省令で定めるもの」への考え方も披露しました。「死亡又は死産を予期しなかったもの」という文言について「主観的に『思っていなかった』、というような文章になっているが、誰もが客観的に見て『そうだ』と思えるような定義にしなければ現場が混乱する。厚生労働省に明瞭な言語として書くように求めている」 と述べられ、「起きたことに合理的な説明ができない」「医学的合理性がない」というような表現を例示しながら、客観性の担保を求めました。
第三者機関「医療事故調査・支援センター」への調査結果の報告についても発言されました。「報告書の目的は医療事故の再発防止であり、個人の責任追及のものではないことを踏まえるというのが一番大事です。過失の認定で使われてしまうと、調査される側も正しいことが言えなくなります。報告書の目的は再発防止であることを十分に踏まえなければ
なりません」と訴えました。

世間では群馬大病院の事件に注目していますが、医療にリスクは常に存在します。ただ事故に対する判断が主観的判断では定義として不明瞭ではありますが、単一的な線引きだけでシロクロかたをつけてしまうのも最前線で現場に立っている人間には、とても納得できるものではありません。再発防止が一番の目的であるうえで、そのための原因追求の必要性も理解はできます。ただ都道府県医師会もハンドルが効かないのではないかと危惧いたします。








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2014年11月27日木曜日

柔道整復療養費 の見直し検討

日本医師会の横倉義武会長は11月22日、九州医師会連合会委員・九州各県医師会役員合同協議会で講演し、柔道整復療養費の「受領委任払い」について「償還払い」に戻すべきとの意見や、医師国保をめぐり受領委任払いの契約を取りやめようとする動きが一部であったことに触れ、「国民健康保険制度の一端を担っている以上、国民に不公平になるような対応は慎重に検討すべき」との認識を示しました。





 熊本県医師会は横倉会長に「打撲、ねんざ、挫傷のみに原則限られている保険請求が、慢性疾患、変性疾患にも施術保険請求をされているのが現状」などと訴えられ、保険適用を正しく行っているか保健所の立ち入り検査を定期的に行う、保険診療の受領委託払いを廃止する、保険診療を全般的に廃止する、養成校の新設を認めない、施術所は一代限りとして新規開業を禁止する一の5点について政府に働き掛けるよう求めました。
これに対し、横倉会長は 「柔道整復療養費は、厚生労働省社会保障審議会・医療保険部会に専門の『柔道整復療養検討専門委員会』を設置し、適切な療養費になるよう検討し、療養費の改定を行ってきている。これまではこのような審議会の場が全く無かったことからいえば、少しは進歩したと考えている」との認識を示しました。受領委任払いについては、償還払いに戻すべきとの意見が多く寄せられているとしたほか、「ある地域において医師国保では柔道整復療養費にかかる受領委任払いの契約を取りやめようという動きもあった」とした上で、「国民健康保険制度の一端を担っている以上、国民にとって不公平になるような対応は慎重に検討すべき」と説明されました。最後は、「この間題については医療保険部会の下の専門委員会、および医療保険部会でしっかり検討し、適切な対応を図りたい」と引き取りました。

柔道整復療養費のついては、これまでも何度も取り上げられてきました。慢性疾患、変性疾患に対して医療保険を適用することが問題であり、整骨院の存在を否定しているわけではありません。ただあまりにも適正に使用されていないケースが多いことが目に余るのです。その一方では、社会保障費の増大を抑制するという建前で診療報酬や薬価が見直されたりしております。多くの中小病院は地域の住民のために尽力されていますが、厳しい経営状況に振り落とされています。しかし、柔道整復士という資格の存在から検討しなおさなければ、見直しは難しいでしょう。








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2014年8月13日水曜日

埼玉県医師会の取り組み  全員参加型医師会を目指して

埼玉県医師会は8月3日 、さいたま市の県民健康センターで、会員が医療をめぐる疑問や問題点を議論する「わが国の医療をめぐる諸課題に関する意見交換会」を開きました。地域医療や医師会活動などについて自由にテーマを持ち寄って意見を交わすユニークな取 り組みで、ここで浮き彫りにされた課題を今後の埼玉県医の活動に生かしたり、日本医師会に提言することを主な目的に掲げています。金井忠男会長は「会員は普段、『日本医師会がわれわれに何をしてくれるか』と考えがちですが、これからは『われわれが日本医師会に何をするか』という視点が大事です。会員が積極的に関与し、議論や提言ができるような仕組みづくりの第一歩にしたい」と述べられ、会員の誰もが自律的に活動する全員参加型の医師会の実現や組織強化に意欲を見せられました。







意見交換会は30の都市医師会から、医師会活動で発言する機会が少ない医師や若手医師ら約60人が出席しました。出席者に自由に発言してもらうため、埼玉県医の執行部はオブザーバーとして臨み、所沢市医師会から司会者を立てる形で議論が展開しました。医療制度や地域医療、医師会活動などの大枠のテーマを設定した以外は全て“アドリブ"で進行しました。そのため、意見を持ち寄るだけの場面も一部で見られたが、控除対象外消費税問題や介護に対する医師の関与などの論点は関心も高く、積極的に意見が交わされていました。「ケアマネジャーの多くが地域包括ケアなどの国の政策を知りません。医師会で学習会を開いてはどうでしょうか」「東京都医師会のような、水銀血圧計・水銀体温計を自主回収する仕組みをつくれないでしょうか」など、それぞれの問題意識に対する提案も多く出ていました。日本医師会が昨年6月に策定した網領を今回の会合で初めて知り、日本医師会の活動に理解を深めた出席者も多くいました。

金井忠男会長は意見交換会の狙いについて、会員の医師会活動に対する自発的な関与を促すことで組織強化につなげたいと説明されました。地域医療を守る現場の会員の声をできる限りすくい上げ、重要な意見は日本医師会に提言できるようにしたいとの考えも示されました。今秋にも2回目の会合を持ち、個別の論点を掘り下げる委員会も立ち上げながら活動を活性化させるといいます。金井会長は「これからの医師会活動は全員参加型であるべきです。多くの会員から意見集約を図り、日本医師会に提言や全国に発信していきたい」と述べられました。


埼玉県医師会の今回の取り組みは、多くの医師会が見習うところが多かったことと思います。これから地域包括ケアシステムが構築されようと進んでおりますが、そこでいかに医師会がイニシアチブをとれるかが重要です。ここでしっかり働きかけができなければ、医師会の存在意義を強くアピールできる機会は失いかねないのではないでしょうか。そのためには金井会長がおっしゃっていられるように会員の医師会活動に対する自発的な関与だと思います。全員参加型とはいうのは掲げることはたやすいですが、それを実行実現するためには医師会での強烈な先導者の存在が必要不可欠ではないでしょうか。








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2014年8月11日月曜日

地域医師会に積極関与を  地域包括ケア

日本医師会の横倉義武会長は8月6日、医療介護総合確保法 (医療・介護一括法)に規定されている都道府県計画や市町村計画のほか、地域医療ビジョンの策定を通じて地域包括ケアシステムが構築されるに当たり、これらの取り組みを適切に進めるためには医療の担い手である地域医師会(都道府県医師会、郡市区医師会)が行政と共に中心的な役割を果たすことが重要だと訴えました。
横倉会長は日医会館で開いた定例会見において「それぞれの都道府県、市町村で医療と介護を兼ねる基本方針や計画を策定するようになったことは評価できますが、大切なのは制度を適切に運用することです。そのためには国、都道府県、市町村の各単位で医師会が積極的に関与しなければなりません」と述べられ、都道府県医師会や都市区医師会に対し、日医が提供する医療・介護の需要などに関する情報を積極的に活用するよう呼び掛けました。






地域医療ビジョンの策定スケジュールにも触れ、国に“期限ありき"にならないよう強く要請していく考えをあらためて強調されました。「拙速な対応を強いては元も子もありません。国の(地域医療ビジョンの)ガイドラインも強制的であってはならず、地域の実情をしっか りと反映することを優先させるべきです」と訴えられました。地域医療ビジョンの達成に向けた「協議の場」についても、地域医師会が行政と連携して適切な運営を進めるべきだと指摘されました。

また、地域によっては介護福祉関係の検討会などに医師会が十分に関われていない所もあるとの認識を示され、「例えば在宅医療連携拠点事業や地域ケア会議などへの郡市区医師会の参加状況に温度差が見られるケースがあります。地域医師会の積極的な参画・関与を全国的なものにするのも日医の使命です」と述べられ、医療や介護の体制づくりに地域の医師会が関与するよう働き掛ける方針を示されました。
横倉会長は、日医ホームページからアクセスできる地域医療情報システム「JMAP」も説明 されました。JMAPは、都道府県医師会や都市区医師会、会員がそれぞれの将来の医療や介護の提供体制を検討する際の材料として活用してもらうのが目的です。横倉会長は「それぞれの病院や診療所の情報が掲載されているほか、地域間の医療需給の比較などもできます。積極的に活用してもらいたいです」と呼び掛けました。

地域医療ビジョンの策定を通じて地域包括ケアシステムが構築されるに当たり地域の医師会がどのような役割を担っていくのか注目が寄せられています。地域包括ケアシステムを構築するためには誰かが先導役を担わなければ実現困難でありますし、その先導役を特定の医療法人が担えば要らないところに角が立つことも考えられます。しかし、医師会もその役を担うことはたやすいことではありません。地域を取りまとめていかなければならないことで、多方面で調整が必要となってきます。連携に必要なモノはこの調整力でしょう。いかにそれぞれの医師会が調整力を発揮しイニシアチブをとっていけるのか、大役ではありますが、医師会にとっては大きな機会だと思います。








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2014年8月1日金曜日

医療機関での携帯電話使用について

 日本医師会の石川広己常任理事は7月23日の記者会見で、総務省や携帯電話関連会社などでつくる電波環境協議会が取りまとめた「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針案」に対して見解を述べられました。携帯電話端末による電磁波の影響をなくすために担当者を配置すべきなどとしていることに対し、医療機関に過度の負担が生じないよう、指針の周知・運営の際には十分注意すべきだとの考えを示されました。


 指針案では、病室などでの携帯電話の使用は問題ないとした上で、医療機関での携帯電話の使用に関する適切なルールづくり、電磁波で医療用電気機器の動作に影響が生じる恐れがあるため、携帯電話端末を医療用電気機器の上に置かない、電磁波による他の機器への影響を防ぐため、良好な院内環境を図るための担当者の配置―などが必要だとしています。指針案をめぐっては、7月22日までパブリックコメントが実施され、日本医師会は7月22日に意見書を提出しました。







 意見書によると、「指針の内容は最大限、遵守されるべき」としながらも、電磁波の影響をなくすための担当者の配置に関して、現実的にその体制を構築できる医療機関は限られていると指摘しました。医療機関に負担が生じないような対応が必要だとしました。

 また、厚生労働省から関連する通知などが出た場合、医療界から広く意見を集めて対応すべきとしました。一方、医療用の電気機器メーカーには、電磁波の影響といったリスク情報の提供や適切な注意喚起、電磁波の影響が少ない安全な機器の開発を求めました。

 会見で石川常任理事は、「携帯電話や無線通信器は日進月歩で変わっていくことが予想されます。指針を柔軟にアップデートしていけるような体制を構築していかなければならない」と述べられました。


電子機器には精密な電子回路が内蔵されていますので、比較的弱い電波でも影響を受ける可能性があります。 電子機器そのものにも電波の影響を受けにくくするための対策がとられていますが、万全ではありません。 携帯電話の普及によって電子機器と近接する機会も増えるため、携帯電話の電波が電子機器に影響をあたえる場合が考えられます。 特に、病院内の医療機器や植込み型心臓ペースメーカ、植込み型除細動器などが誤った動作をしないように注意が必要です。
植込み型医療機器への影響の発生・防止に関する情報としては、平成9年に不要電波問題対策協議会(学識経験者、関係省庁、関係業界団体等から構成。現在の電波環境協議会。事務局:(社)電波産業会。)により、医療機関の医用電気機器をも対象とした「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針」が策定されています。

電波の植込み型医療機器(植込み型心臓ペースメーカ及び植込み型除細動器)への影響に関する調査として、LTE方式の携帯電話端末について実機による影響測定を実施した結果、植込み型医療機器の動作への影響は確認されませんでした。

ちなみに、携帯電話などから発生する電波については、総務省が電波利用における安全基準である「電波防護指針」を設け、人体に影響を与えない電波の強さの基準値を電波法、電波法施行規則、無線設備規則に定めていますので、携帯電話からの電波が健康に影響を及ぼすことはないと考えられます。

ただ効率化を図るために普及してきた携帯電話をはじめとした電気機器の利用を止めて、人力でカバーするという策はあまりにも稚拙な考えではないでしょうか。ただし病院内は絶対に安全な空間を維持しなければなりません。それが我々の最低限の務めです。それに反するのであれば、携帯電話も使用を禁じることも当然かもしれませんが、0か1かの決定ではない最善の策を我々自分たちで見つけ出していかなければならないということです。






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2014年7月30日水曜日

懸念される病床機能転換の駆け込み

地域の中核的な急性期病院が「地域包括ケア病院」を設置する動きについて、日本医師会の中川俊男副会長 (中医協診療側委員、社会保障審議会、医療部会委員)は「来年4月施行の地域医療構想 (ビジョン)の議論を行う前の段階で、平均在院日数の短縮化による空床化対策のために地域包括ケア病棟 (病床)へ“駆け込み病床機能転換"をする動きに懸念を持っています。病院関係者には節度ある対応をお願 いしたい」と述べられました。「今後、地域で立ち上げる“協議の場"で地域医療ビジョンを議論し、地域ニーズに沿った形で病床機能転換を進めることが第6次改正医療法の趣旨であることを、ぜひ考慮してほしい」とも話されました。






中川俊男副会長は 「2014年度診療報酬改定と地域医療構想の整合性を確保することが極めて大事な課題です。中医協でも大事な課題として議論していくべきです」と指摘しました。その上で「例えば急性期の経営体力のある病院が、空床化対策の一つとして新たに地域包括ケア病棟を届け出てしまうと、地域によっては、その役割を担おうとする中小病院が届け出ようとしたときに空きがないという事態も想定されます。今回の医療法改正は、地域の実情を考慮し、医療提供体制を協議しながらつくっていこうとする法律であることを強調しておきたいです」と述べられました。
中川俊男副会長は「各病院が地域における疾病構造の変化や患者数の減少などで空床化に苦心し、さまざまな経営努力をされていることは十分理解しています。日本医師会は、平均在院日数の短縮は限界だと一貫して主張してきました。今回の改定でも、施設基準の平均在院 日数の基準は変更していないし、次期改定でも平均在院日数の短縮は認めない」と強調されました。「今後は平均在院日数が短くなるのではないかと自己判断し、それを見越した機能転換をするのではなく、地域内での協議を大事にしてほしい」と述べられました。
2014年度改定では、いくつかの項目が 9月末日を経過措置の期限としています。中川副会長は「7対 1入院基本料の『重症度、医療・看護必要度』や自宅等退院患者割合、特定除外の見直しなどの経過措置が問もなく切れます。中医協は早急に改定の影響を把握し、緊急に対応すべき点があれば議論しないといけない」と述べられ、7対1の要件強化が地域医療にどう影響しているのか緊急に把握するべきとしました。
8月の基本問題小委員会では「患者申出療養」を議論すべきとも指摘されました。規制改革会議が提案した「選択療養」からは改善されているものの、議論を逆戻りさせないよう留意することが重要とし、名称も含めてしっかり議論していくことが必要としました。


過剰に増えてしまった7対1の急性期病院を削減するために国は大鉈を振った方針を打ち出した今回の診療報酬改定ですが、7対1の急性期病院にとって今回を乗り切れば安泰とは悠長に思っておらず、このまま急性期として進むのか、地域包括ケア等に機能を転換させて地域に残る病院となっていくのか、判断は難しいと思います。おそらく今回の方向性を誤まって閉鎖に追い込まれてしまう病院も全国的に出てきてしまうでしょう。国は倒産する病院も多少は考慮に入れていると思います。ただ全国的に大幅に病院が減少してしまうことはこれから超高齢化へと進んでいく中で、地域の医療を維持できなくなるリスクがあるので避けたいと考えております。だからこそHD法人として地域でお互いが支え合いながら、ほどほどにやっていくように。というのが全体のシナリオではないかと感じて仕方ありません。医療や福祉はそれほど杓子定規に図って整備できる業界ではないはずです。多くの民間病院が採算度外視で救急医療などを担ってきました。多くの医師が、過労に次ぐ過労でも患者と向き合ってきました。そのあたりのハートの通わせた業界であること、またハートが通わなければ到底成り立たない業界であることを、ご理解頂くにはまだまだ隔たりを感じる今日この頃です。





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2014年7月28日月曜日

究極のかかりつけ医

日本医師会の横倉義武会長は7月19日、岐阜市で開かれた全国有床診療所連絡協議会総会で講演されました。有床診は外来と入院を切れ目なく提供できる「究極のかかりつけ医」として期待されていると説明され、地域包括ケアシステムの中で重要な役割を担う存在だと期待を示されました。また、日医は有床診が今後も地域で確実に役割を果たせるよう協力する意向を示されました。
横倉義武会長は「地域包括ケアシステムと有床診療所」のテーマで壇上に立ち、「わが国の人口動態の変化に合わせて新たな地域社会の構築、まちづくりが求められています」と言及しました。その上で有床診は外来と入院の切れ目がない「究極のかかりつけ医」となり、地域包括ケアの中で医療をきめ細かく支える重要な役割が期待されていると説明されました。「今後はその期待に応えていくことが必要です。介護サービスを含めた医療・介護を包括的に提供できる体系としても地域に貢献していくべきではないか」と呼び掛けました。







病床機能報告制度で有床診が報告する「病床の役割」については①病院からの早期退院患者の在宅 ・介護施設への受け渡し機能②専門医療を担って病院の役割を補完する機能③緊急時に対応する医療機能④在宅医療の拠点としての機能⑤終末期医療を担う機能―の5つから選択(複数可)することを挙げ、「それぞれの有床診が自院の機能を示し、それらが地域医療ビジョンに反映されることが重要です」と述べられました。地域医療ビジョンの中で各地域の有床診の位置付けや役割、機能を明確にして人員強化も図るべきとも述べられ、「日医として引き続き支援していきたい」と協力を約束しました。
日本医師会の鈴木邦彦常任理事はこれからの有床診に期待する取り組みとして、介護保険分野への積極的な関与を挙げられました。鈴木常任理事は今後の有床診について「地域での立ち位置をどのように確立するか」という側面がポイントになると指摘しながら「有床診は、かかりつけ医機能を持ち、入院機能もあります。地域包括ケアの中で重要な役割になります」と述べられました。さらに 「介護の需要は医療よりもはるかに増えます。有床診の活躍が期待されます」 として、介護保険分野への積極的な進出を促しました。
日医総研の江口成美主席研究員は、有床診の収入の約3分の2が外来であることから「今回の診療報酬改定で点数がついた『主治医機能』にしっかり取り組むことが生き残りへの基本ではないでしょうか」と説明されました。入院については「稼働していない病床があるので、しっかり動かしていけるようになることも重要です」と説明されました。

これから地域で診ていく地域包括ケアが構築されていけば、かかりつけ医である開業医の主治医の役割というのは、非常に大きなものになっていきます。ゆるやかなゲートキーパーなどと言われていますが、国の方針としてはギュッとそこで絞めて、病院には行かずに完結させることで医療費を少しでも抑制したいというのが本音でしょう。但し患者も入院したいと思っている方はごく一部です。生活出来る環境が整っているのなら自宅で過ごしたいと思っているのです。そこでどうしても症状が悪化した場合には、有床診で短期的に診てもらえたらと望んでいます。確かにそこだけ見れば理想的ですが、「究極のかかりつけ医」である有床診の開業医にとっての負担は大きすぎるモノです。しっかり全体を診た上での方向性を示して頂かないと一部に極度の負担がかかってしまうと、地域包括ケアは実現できない夢物語となってしまわないか危惧します。






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2014年7月22日火曜日

混合診療の行方   日本医師会

岩盤規制の象徴だった「混合診療」が拡大します。政府は6月の成長戦略で、保険外の先端医療を地域の病院でも受けられる制度を作ることを決めました。日本医師会は当初は安全面に問題があるとして猛反発していましたが、容認に転じました。


 混合診療は公的な保険診療と保険がきかない自由診療を組み合わせる制度になります。現在は保険がきく部分まで全額自己負担になってしまう問題があります。例外として安全性や有効性が確認できた先進医療に限って保険が使える規定もあります。
 政府の規制改革会議が当初めざしたのは混合診療の全面解禁でした。同会議が3月に提案した「選択療養」は患者と医師が合意すれば混合診療を認める制度でした。これが事実上の「全面解禁案」となったのです。
 4月に記者会見した日本医師会の横倉義武会長は「安全性や有効性が疑わしい治療が横行しかねない」と反発しておりました。規制改革会議が想定した範囲内の反応でしたが、本音は別とみていました。混合診療が拡大すると、保険診療が縮小する可能性があります。保険がきくことで患者を集めている診療所は収入が減る恐れがあるのです。








 ところが難病の患者団体や医療費を支払う健康保険組合の団体もこぞって反対しました。反対派からすれば「終わった話」(自民党厚労族幹部)のはずだったのですが、改革の目玉を作りたい規制改革会議は粘りました。「現行制度を変えることを検討してほしい」と述べた安倍晋三首相の後押しもありました。
 例外規定では一定数の症例を集めた研究目的でないと認められません。選択療養は患者の希望で治療法や未承認薬の申請ができる点で、医師会とは相いれないのです。同会議はやむなく全面解禁をあきらめ、医師会や厚生労働省との妥協を探りました。譲れない一線は「患者本位」というキーワードでした。
 6月末に会長任期が迫っていた横倉氏は、安倍首相との近さが売りでした。過去には医師会が断固反対していた環太平洋経済連携協定(TPP)交渉入りでも政権と折り合いをつけた実績があります。横倉氏は、安倍首相がオバマ米大統領と会談した直後に「医療の皆保険は守れることになった」と、携帯電話に報告を受けました。この首相の確約を反対論者の説得材料にしました。今回も首相の確約が決定打になるとみました。
 「はじめから政権と敵対することはあり得ない」とする横倉氏でした。いずれは医療費に切り込まざるを得ない時が来ます。反対論ばかりで政策決定の場から閉め出されるより、関与した方がよほど医師会の利益になります。医師会幹部は混合診療の全面解禁に歯止めをかけるべく働きかけを強めました。
 できあがった案は「患者申し出療養制度」と名前を変えました。患者本位という規制改革会議のメンツをたてる一方、国が専門家の意見を踏まえて決める仕組みを作ることにして全面解禁は避けました。

横倉氏は「安倍首相が(対象になった治療は)保険を適用するとはっきり言ったので医師会がめざす方向と同じになりました」と賛成に転じた理由を説明しました。
 6月29日開いた日本医師会の代議員会において、前日に無投票で会長に再選された横倉氏は、混合診療への対応をめぐり、舞台裏を知らない地方の医師会から厳しい言葉で詰め寄られました。横倉氏は「政府はさまざまな提案を出してきていますが、声高に反対するだけでは通らない」と理解を求めました。
 彼らにとって真の正念場は、新制度に肉付けする中央社会保険医療協議会や社会保障審議会・医療保険部会です。6月末の中医協では医師会出身の委員が「法改正は必要ないのではないか」と、現行制度の改善で対処するように求めました。法改正しなければ新制度は実現しません。地域の医療機関で実施する案も「大学病院だけで地域の診療所は入らない」とけん制しました。
 

混合診療の行方としては、「患者申し出療養制度」という名称で、拡大していきます。そのことによる医療機関への影響度は良くも悪くもまだ図ることが難しく、どこも既得権を失いたくないので、反対派が多くを占めます。ただ本当に「患者本位」という目線で見て、「患者申し出療養制度」は良い制度となるのでしょうか。どうしても特別な治療をするなら自己負担でするように、自己負担出来る患者は申し出て下さい、と言っているように聞こえてしまうのは私だけでしょうか。また、今後それらの治療が本当に保険対象の治療として認められていくのかが大きな問題点だと感じます。私個人的には、「患者申し出療養制度」を導入するより、保険対象の治療の拡大に努めた策の方が、「患者本位」の政策ではないかと感じるところです。






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