2014年6月30日月曜日

医療施設の動向について

平成24年の病院数は8565施設、病床数は157万8254床で平成23年の病院数は8605施設、病床数は158万3073床より40施設4819床の減少となった。病院の構成比率としては精神科病院が12.5%、一般病院が87.5%(うち療養病床を有する病院が45.4%)と構成割合は前年とほぼ変わっておらず、病床数においても精神病床が21.7%、感染症病床が0.1%、結核病床が0.5%、療養病床が20.8%、一般病床が56.9%とこちらも前年の構成割合と大きな変動はありませんでした。それに対し無床一般診療所は943施設増加し90,556施設となり有床一般診療所と併せると100,152施設となりました(605施設の増)。

人口 10 万対医療施設数は、








幅広い地域差があり、都道府県別にみた人口10万対病床数では高知県が2476.2床と一番多く鹿児島県2052.5床、熊本県1957.3床と続いており、一番少ないのは、神奈川県の821.0床ついで埼玉県867.6床、愛知県909.8床となっており、全国平均は1237.7床、東京都は963.6床となっております。

では、それぞれの人口10万対1日平均患者数を見ていくと、高知県 2099.8人、鹿児島県 1724.0人、熊本県 1679.7人に対し、神奈川県 654.5人、埼玉県 710.4人、愛知県 744.6人で全国平均では1009.4人で東京都は771.5人となっております。

次に病床利用率及び平均在院日数を比較すると、病床利用率は、高知県 84.3%、鹿児島県 83.9%、熊本県 85.7%に対し、神奈川県 80.1%、埼玉県 81.9%、愛知県 81.7%で全国平均では81.5%で東京都は80.1%となっており、平均在院日数は高知県 50.7日、鹿児島県 46.0日、熊本県 43.5日に対し、神奈川県 24日、埼玉県 32.0日、愛知県 26.3日で全国平均では31.2日で東京都は24.0日となっております。

病床別の1日平均在院患者数の構成割合を比較すると、一般病床の割合は、高知県 39.7%、鹿児島県 40.0%、熊本県 44.0%に対し、神奈川県 59.3%、埼玉県 51.3%、愛知県 55.7%で全国平均では53.0%で東京都は60.3%となっております。

100床当たり常勤換算医師数を比較すると、高知県 9.2人、鹿児島県 8.8人、熊本県 9.6人に対し、神奈川県 16.8人、埼玉県 12.7人、愛知県 11.9人で全国平均では12.9人で東京都は20.7人となっております。

人口10万対常勤換算医師数で比較すると、高知県 227.2人、鹿児島県 180.0人、熊本県 188.6人に対し、神奈川県 137.4人、埼玉県 109.9人、愛知県 135.2人で全国平均では159.1人で東京都は199.4人となっております。

これらの医療データに関連性が高い指数で、高齢化率があります。各都道府県の65歳以上の高齢化率は、高知県 30.1%、鹿児島県 27.0%、熊本県 26.5%に対し、神奈川県 21.5%、埼玉県 22.0%、愛知県 21.4%で全国平均では24.1%で東京都は21.3%となっております。

高知県・鹿児島県・熊本県などは高齢化率が全国水準よりも高いため、人口10万人対1日平均患者数も平均在院日数も長く、受け入れるための病床が多く必要であり、必然的に病床利用率も高くなっていると読み解くことができます。ただしそこには、高齢化が進み在宅での療養生活を継続するための医療介護のインフラが整備されていないために、入院を余儀なくされている可能性は大いに秘めております。国が推進している定期巡回などの在宅のサービスも都市で稼働エリアの効率性などの問題が立ちはだかっているのです。無医島などで生活されている方々に、安全と安心を提供するには限界があります。分散しているより集約することで効率化が図れる事は確かにひとつです。

その機能を果たしているのが各地方の病院であるとなれば、国が目指す地域包括ケアというのも、すべてを網羅した施策でもないわけです。都道府県でそれぞれの医療政策が求められてくることになりますが、国が実現できなかったことを各地方で果たすことができるのでしょうか。各都道府県に任せっきりにするのではなく、国はしっかり後方支援を行なうことは実現に向けた必須要因でしょう。








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2014年6月29日日曜日

認知症による徘徊について

認知症による徘徊(はいかい)などで行方不明となっているニュースが最近よく取り上げられていますが、その数は年間で1万人に上っているといわれています。そのような現状を受け止めて、厚生労働省は行方不明になった人について、介護の必要度や介護サービスの利用状況など、実態を調べる初めての全国調査を近く始めることを決めました。

認知症やその疑いがあり、徘徊するなどして行方不明になる人が年間1万人に上っている問題では、警察庁が行方不明者の届け出件数などのデータをまとめているだけで、国は詳しい実態を把握できていませんでした。このため、厚生労働省は、行方不明者の実態を調べる初めての調査を、全国の自治体を対象に始めることを決めました。




調査では、ことし3月までの1年間に行方不明になった人について、介護の必要度や介護サービスの利用状況などを調べること、また徘徊した方が保護されたものの身元が分からず、施設などで暮らす人についても報告するよう求めることにしています。また、警察や行政、それに地域が連携して行方不明者を捜す取り組み「SOSネットワーク」の導入の状況についても調べることにしています。
厚生労働省は、ことし秋ごろまでに調査結果をまとめ、実効性のある対策につなげたいとしています。


法務省の有識者による会議では、認知症の高齢者や障害者への支援について、全国の「法テラス」を通じて無料の法律相談や自治体への申請といった法的なサポートを充実させるべきだとする報告書をまとめました。

法務省の有識者会議は、身の回りのさまざまなトラブルに、解決策をアドバイスする法テラスの今後の取り組みなどについて報告書をまとめました。認知症の高齢者への支援について、「トラブルに巻き込まれても、法律上の問題とみずからが気付かないケースがある」として、弁護士が高齢者のもとに出向き、無料で相談に応じる取り組みが必要だとしています。さらに高齢者や障害者の自治体への申請手続きも法テラスが手助けするなど、法的なサポートを充実させるよう求めています。
このほかDV=ドメスティックバイオレンスやストーカーなどの深刻な被害が増えているとして、新たな窓口を作り被害者支援を行うべきだとしています。
今回の報告書を基に、国は今後、法テラスの活動内容を定めた法律の改正を検討することにしています。

高齢化が進むにより認知症の方が増加することによる大きな問題を引き起こす前兆が見られ始めています。行政としては、グループホームの確保を対策の一つとして取り組んでいるところもありますが、絶対数が間に合わない状況です。単身世帯においては、どこかの施設等に入所しなければ、安全な生活を送ることは困難ですし、子供世帯と同居していても日中独居の方が多い実情を踏まえると、リスクは同等です。高齢者が安全で安心した暮らしを過ごせるようにとサ高住の建設は補助金の後押しもあり全国的に進んでおります。ただ、認知症の方はサ高住での生活は困難でしょう。行方不明となった方の身元確認による保護も重要ですが、行方不明にならないような対策も講じなければ、根本的な問題解決にはなりません。



地域包括ケア「病棟単位」「一般」から動き 14年度診療報酬改定

7対1入院基本料の要件強化など、機能分化に伴う受け皿の一つとして2014年度診療報酬改定で創設された地域包括ケア病棟(病室)への届け出が進んでいます。

関東信越厚生局によると、5月までの東京都内のおどけでは14病院で、病室単で届け出る「地域包括ケア入院医療管理料」が中心です。世田谷記念病院以外の13病院は全て「一般病床」からの届け出となっています。

こうした状況に日本病院団体協議会・診療報酬実務者会議の猪口雄二委員長(全日本病院協会副会長)は、「療養からの参入は簡単ではないと見ています。会員病院からは、6月に入ってから届け出に向けた質問が多く寄せられており、秋からの参入に向けて大きく動き出すことを実感しています。全日本病院協会は療養病床を持つ会員病院も多く、全面的にバックアップをしていく方針です」と述べられました。一方、日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、「地域包括ケア病棟は10月末までに全国で200病院程度の届け出になるのではないかと予測しています。一般と療養では、半々ぐらいになるのではないでしょうか。現在、施設基準となっている在宅復帰率の実績づくりをしている病院もあると思います」と述べられるなど、療養病床からの届け出は進むとの見方を強調しました。









地域包括ケア病棟入院料(病棟単位)と地域包括ケア入院医療管理料(病室単位、許可病床200床未満の病院で1病棟のみ)は、従来の亜急性期入院医療管理料の要件を基本に検討されました。入院料、管理料ともに「1」「2」の2段階の評価となっており、要件はほぼ同様だけど、点数の高い入院料1(管理料1)はさらに「在宅復帰率7割以上」「居室面積6.4m2以上」の二つの要件を満たす必要があります。

5月までの東京都内での届け出は、入院料と管理料を合わせて14病院で、入院料1は牧田総合病院、東京天使病院の2病院でした。入院料2は九段坂病院と世田谷記念病院の2病院となっていました。一方、管理料1は寿康会病院など9病院、管理料2は古川橋病院の1病院のみと、病室単位の届け出の方が多い状況です。看護配置を見ると、13対1病院は1病院だけで、10対1病院が8病院、7対1病院は牧田総合病院、九段坂病院など4病院でした。

また、北海道厚生局によると、5月までに入院料の届け出は無く、管理料1が5病院、管理料2が1病院と、すべて病室単位の届け出となっています。

地域包括ケア入院医療管理料を届け出た医療法人財団寿康会寿康会病院 (東京都江東区)と横浜メデイカルグループの医療法人三星会大倉山記念病院 (横浜市)は、「地域の中で患者を受け入れる流れを1日でも早くつくることが最重要課題」として取り組んでいます。点数が高いか低いかではなく、地域で急性期後の患者の流れを確立することが必要としています。

寿康会病院の猪口雄二理事長 (全日本病院協会副会長)は 、4月1日に7対1入院基本料から10対1に移行 し、5月には地域包括ケア入院医療管理料 1を一般20床で届け出るなど、将来を見据えた動きを展開しています。猪口雄二理事長は「寿康会病院はもともと一般49床で、改定前は7対1が29床、亜急性期入院医療管理料が20床でした。近年、高齢患者が増加し、在宅医療のニーズが増える一方で、7対1要件の見直しで『重症度、医療・看護必要度』が厳しい状況になったことを踏まえ、10対1への移行を決定した」と述べられました。「亜急性期病床 (亜急性期入院医療管理料)は9月でなくなるが、方向性は地域包括ケアに決まっています。それなら時間をかけずに地域包括ケアの流れをつくり込んでいこうという判断をしました」とも述べられました。
さらに猪口雄二理事長は「近隣の7対1病院から患者を受け入れる流れをつくっていくことが大事です。亜急性期入院医療管理料の方が点数的には高い患者もいましたが、亜急性期のままでは患者の流れをつくることができません。地域包括ケアを届け出ることで、今後につながる体制づ くりができます」 と強調されました。

一方、大倉山記念病院(一般114床 )は、4月に一般病床33床分で地域包括ケア入院医療管理料1を届け出ました。大倉山記念病院の西本育夫事務長によると、地域包括ケア病棟を計画したのは昨春のことだといいます。「中小規模の一般病院は、一般急性期か、急性期後の患者を受けていくかの機能の選択になります。グループ病院の菊名記念病院 (218床、7対1病院)などとの連携からも、当院は急性期後の患者を受け入れる病院という立ち位置を選択しました」と述べられました。大倉山記念病院は昨年から亜急性期入院医療管理料を届け出て、今年 3月に33床にしました。「亜急性期病床は、自院の長期入院患者をエスケープさせるための目的で使われるケースが多いといわれています。大倉山記念病院が昨年から亜急性期病床をつくったのは、患者を受け入れ、在宅に帰すという流れを地域の中でつくっていくことが目的でした。早めにトレーニングを積みたいニーズがありました」 (西本育夫事務長)
地域包括ケア病棟入院料 (入院医療管理料)の施設基準は厳しいとの見方が多い中で、西本事務長は「当然の内容と思っています。今回の診療報酬改定では、アウトカム、いわゆる結果が求められています。大倉山記念病院もアウトカムをしっかり出していこうと対応しています。例えばリハビリテーシヨンは2単位でいいのか。患者の状態によっては2単位では足りない場合もあります。医師らの判断で2単位以上のリハビリを提供することが必要であれば、提供することが当然と考えています。それが結果的に病院としてのブランドイメージをつくっていく基盤になります」と指摘しました。「地域の中での急性期後のプランドを確立すること、ポジションをつくることが最重要課題です」とも強調 され、「経営的にも採算ラインは確保できています」と述べられました。

日本慢性期医療協会の武久洋三会長が理事長を務める医療法人平成博愛会世田谷記念病院 (東京都世田谷区)は療養56床分で地域包括ケア病棟入院料2を届け出ました。神野工博 ・全日病副会長の社会医療法人財団董仙会恵寿総合病院 (石川県七尾市)も7月1日に一般47床分で地域包括ケア病棟入院料1を届け出て、算定を開始する予定です。

地域包括ケア病棟協会の仲井培雄会長は6月26日、5月15日に発足した地域包括ケア病棟協会の6月25日時点の会員数は122病院と発表しました。日本慢性期医療協会の通常総会後の会見で述べられました。仲井培雄会長によると、122病院のうち日慢協の会員病院は約6割、日慢協会員以外の急性期病院は約4割といいます。地域包括ケア病棟協会は今年度中に300病院が参加することを目標としています。会員病院からの地域包括ケア病棟入院料の届け出状況については「まだあまり数は出ていません。これからです」と述べられました。


今まさに多くの病院が機能分化にむけて動き始めています。地域包括ということで近隣病院の動向を見ながら検討することも重要ですが、まず自病院が何をするのか、その地域でどのように貢献していくのかという方針をしっかり打ち立てることが重要だと思います。もちろん事業を継続していくためには収益性も考慮しなければなりませんが。

その中で、非営利ホールディングカンパニー型法人制度に向けたM&Aなども進むのではないかと、ますます地域の動向から目が離せなくなります。







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2014年6月28日土曜日

北海道4機目ドクヘリ、寒冷地対応機導入へ­ 函館拠点に運航、3次元ナビなど装備

北海道で4機目となるドクターヘリに、イタリアの航空機製造会社「アグスタウェストランド」の最新鋭機が導入される見通しであることが、分かりました。アグスタウェストランド社のドクターヘリ受注は、国内では鹿児島に次いで2機目となります。障害物などの位置を3次元表示するナビゲーションシステムを装備しており、雪上にも降りられるよう車輪部分にソリを装着可能な“寒冷地仕様”の機体で、函館空港を拠点に2015年1月以降、運航を始める予定です。

受注が決まったのは、「AW109グランドニュー」。アグスタウェストランド社などによると、函館市病院局が主催した「道南ドクターヘリ運航業務プロポーザル」で最優秀提案者に選定された鹿児島国際航空から、鹿児島県ドクターヘリとして導入実績があるヘリ「AW109グランドニュー」を受注したとのことです。






この機体には、視界が悪い気象状態でも、コンピューターグラフィックスによって地形の障害物や位置を3次元表示する「SVS」や、地図上に自機の位置を表示し、危険な飛行が認識された際に警報が表示される「HTAWS」といった最新鋭のナビゲーションシステムを搭載しています。また、氷結した地表などを検知する機器に加え、雪上に降りられるよう車輪部分にソリの装着が可能で、ランデブーポイントに安全に降着できる機能を備えており、北海道での導入には必要な装備が完備されています。

北海道の道央や道北、道東の3エリアでは、ドクターヘリが1機ずつ配備されていますが、道南は唯一の“空白地”でした。自治体や地元医師会らが導入に向けた準備を進めており、2014年4月にプロポーザルの募集要項を公表しました。審査委員会が応募企業の提案書などを審査した結果、最優秀提案者に鹿児島国際航空が選定されたといいます。

道央や道北、道東の3エリアでは、ドクターヘリが1機ずつ配備されているが、道南は唯一の“空白地”でした。道南にある3つの二次医療圏の総面積は6566平方キロメートルになります。京都、大阪の両府の合計した面積に匹敵する広さで、約48万人の圏域人口の約6割が函館市に集中しています。重篤な急患は、救命救急センターに指定されている市立函館病院が受け入れてきました。

しかし、北海道が2011年11月にまとめた道南圏地域医療再生計画では、離島の奥尻町などから市立函館病院までの救急搬送は、「大幅な時間を要している」と問題視しておりました。道内3機体制で運航されているドクターヘリも航続距離の関係から、道南圏をカバーしていないことを課題に挙げていました。

こうした課題を解決するため、道南の18市町に加え、函館市医師会や渡島医師会、北海道看護協会道南支部などの医系6団体、二次輪番病院の市立函館病院や八雲総合病院、道立江差病院などで構成される「道南ドクターヘリ導入調査検討会」で、2012年4月から検討をしておりました。搭乗する医師の確保や格納庫の設置、地元自治体の費用負担などの課題を議論した結果、基本合意に達し、2015年1月以降に運航開始の目途となりました。

ドクターヘリを運航する際、国などの補助対象を超えた運航関連経費は基地病院が負担するケースがほとんどですが、市立函館病院では財政的に負担に耐え切れない可能性がありました。格納庫の整備などの基盤的経費は18市町で均等に負担することとし、運航関連経費は補助金超過分を利用割合に応じて18市町が負担する方向でまとまったといいます。

函館空港内に待機するフライトドクターらは、基地病院の市立函館病院の医師らに負担が集中することを避けるため、札幌医科大や地元医師会の医師も加わる見通しです。函館市と函館医師会などで今後、待機する医師らの人員確保の体制などを協議する方針です。ドクターヘリには、主に基地病院などの救急医や専門医が搭乗することがほとんどですので、地元医師会の医師がフライトドクターとして医療活動を行うケースはまれです。

日本の医療体制において、5疾病・5事業というものがあります。5疾病とは、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患です。5事業とは、救急、災害、へき地、周産期、小児です。地域で適切な医療が切れ目なく提供されるよう、病院の連携体制や数値目標を設定されています。ここでいうところの医療分野における「へき地」とは『交通条件及び自然的、経済的、社会的条件に恵まれない山間地、離島その他の地域のうち、医療の確保が困難である地域をいう。無医地区、無医地区に準じる地区、へき地診療所が開設されている地区等が含まれる。』と定義されています。要は、山奥の村であったり、遠く離れた小さな島であったり「人が住んでいるけど、病院が近くにないので、とても不便な場所」のことです。過疎化が進む地域においては、無医村というのは深刻な問題です。高齢化が全体的に進んでおり、同居の介護者もいないような状況が多くを占めております。国の目指す地域包括ケアは人口1万から2万人単位としておりますが、地方ではその単位でもかなりの広範囲に及びます。ドクターヘリの導入ですべてが解決するわけではありませんが、これからの人口動向をふまえた対策をもっと行なっていかなければ、地域包括ケアですら理想を追い求めただけの絵にかいたモチに終わりかねないと危惧します。







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臨床研究中核病院へ意欲的 国立病院機構・大阪医療センター

国立病院機構・大阪医療センター(一般病床:694床)の楠岡英雄院長(日本病院団体協議会副議長、全国国立病院院長協議会長)は6月11日、法改正によって保険外併用療養費制度の中に「患者申出療養 (仮称)」を創設する方針が明確になったことについて「医療・介護一括法案が今国会で成立 して臨床研究中核病院の参入要件が明確になった際、要件がクリアできれば手を上げたいと意欲的であり、がん患者を多 く抱えている国立病院機構・大阪医療センターとして、患者申出療養に対応できる体制を組んでいきたい」 と述べました。

楠岡英雄院長は「がん患者の治療は、患者・家族から治療法などについて要望を受ける事例は多いです。これまで病院として受け止め、担当医らが保険制度の範囲内で対応してきた側面があります。今回、患者申出療養としての枠組みが明示されたことは、苦慮しながら対応 してきた医療現場としては、一定の評価をしたい」と述べました。






患者申出療養で中心的な役割を担う臨床研究中核病院については、国立病院機構から名古屋医療センターが入っています。楠岡英雄院長は「名古屋医療センターと連携していくことになりますが、要件がクリアできれば大阪医療センターも臨床研究中核病院を日指していきたい」 と意欲的に話されました。「全ての患者が情報を持っているわけではないので、病院側がこういう治療法があると提示しないといけないと考える。そこにおいて不適切な方法が交 じる可能性もあり危惧しますが、今後、制度を詰めて行く段階で十分協議をしてほしい」としました。

一方、財政制度等審議会の分科会が提案している地域ごとの医療費の支出目標について、楠岡英雄院長は「都道府県で医療費にばらつきが出ている中で、その原因も究明されないままに、ただキャップをはめてしまうと、本来必要な医療が提供できなかったり、あるいはキャップがあることで逆にそこまで増やせるなどという状況が考えられます。質的問題をどう担保 していくかという議論が、まず先ではないか」と述べられました。その上で「医療費が減ったとしても、その要因が医師確保ができなくなる医療の過疎化ということであれば本末転倒です」と指摘しました。「都道府県ごとに診療報酬の1点単価を決めるような事態も考えられる」と危惧し、「量と質の関係をきちんと精査しないと、いびつな関係になってしまう恐れがある」と述べられました。

さらに、楠岡英雄院長は日病協副議長として「日病協が果たすべき最も大きな役割は、病院医療を熟知した人材が中医協の場で主張できる環境をつくっていくことです」と述べられ、加盟団体が認識を共有することが必要としました。日病協でも検討課題になっている控除対象外消費税問題については 「大きな問題と受け止めています。国病機構病院のうち、3分の1は建物の老朽化で建て替えを控えている状況です」とし、「診療報酬による補填は限界だという認識では国病機構も一致しています」と述べられました。

今まさに多くの7対1病院が病床機能報告に向けて、どのように舵を切るか病院の方向性を決める時期が差し迫っています。7対1を継続するからには、目指すのは急性期ではなく、高度急性期ということになりますし、そのためにはDPCII群はしかり、臨床研究中核病院となって混合診療である患者申出療養を担える病院になっていかなければなりません。どの選択が病院にとって安しということはなく、それぞれの地域における他の病院との役割・機能の分担に大きく関わってきます。国立病院機構・大阪医療センターも地域的に高度急性期病院として他の病院とすみ分けができるかと言えば、そのポジションを狙っている病院も多くあります。病床機能報告は、各病院から都道府県宛に報告するという表向きのカタチを取っていますが、実際のところは出来レースというか、各病院からの報告は一旦集めたけど、機能はトップダウンで指示されていくのではないかと、歪みの調整には政治の力も影響を及ぼすのではないかと危惧します。





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2014年6月27日金曜日

複合型サービスについて

平成25年12月の厚生労働省 社会保障審議会 介護保険部会での意見をまとめると、複合型サービスとは、医療ニーズの高い中重度の要介護者が地域での生活を継続できるための支援の充実を図る目的で「通い」「泊まり」「訪問看護」「訪問介護」といった複数のサービス利用を組み合わせることによって、退院直後の在宅生活へのスムーズな移行や家族の介護負担の軽減を図るとともに、不安が強い看取り期等においても在宅生活の継続に向けた後方支援となり得るサービスです。

サービス参入事業所からみた複合型サービス開始後の効果としては、
看護師が事業所内にいることで医療ニーズの高い利用者に対しても看護が提供でき、介護職員との連携が促進されたこと等が挙げられています。ただ医療ニーズを有する在宅利用者を訪問看護サービスで支援する上で、「通い」や「泊まり」を組み合わせることが、必ずしも十分に活用されていないといった課題があります。また、複合型サービスへの参入理由は「従来から医療ニーズの高い利用者が増加していたため」が最も多く、参入時に困難であったことは「看護職員の新規確保」が最も多くなっています。




平成25年10月末日現在、複合型サービスは、78保険者で90事業所が指定を受けています。登録者数は1,432人になり、地方自治体において複合型サービスの制度、参入メリット等が十分に理解されていない現状もあるため、更なる普及啓発を図る必要があると考えられています。同時に、複合型サービスとして求められている医療ニーズへの対応の更なる充実に向けて、医療機関との連携の強化や、地域のニーズに合わせた登録定員の柔軟な運用等も含めた検討を行っていく必要があります。

複合型サービス事業所の実態として(介護給付費実態調査(各月審査分)・平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成25年度調査)より)

利用者数・事業所数について
複合型サービスの利用者数は約1,580人、利用者の約62.5%は要介護3以上の中重度者です。 請求事業所数は増加しており103事業所、開設主体別にみると営利法人が約46.6%で最も多い状況です。1事業所あたりの平均利用者数は平成26年2月審査分で約15.3人と平成25年5月審査分からほぼ横ばい傾向で、平均利用者数が20名を超えた平成24年度よりは減っています。

開設前の事業種類について
87ヵ所の事業所のうち68ヵ所からの調査回答によると(平成25年10月1日時点)、① 開設前の事業実施状況については、小規模多機能居宅介護事業所を運営していた事業所が52.9%と半数を超えています。② 事業開始時期については、半年以内(平成25年4月以降)の事業所が半数です。③ 訪問看護ステーションの指定状況については、指定有(注)の事業所が63.2%です。④ 1事業所あたりの看護職員数(常勤換算)については、平均4.3人で平成24年度調査では4.1人であったため若干増加傾向です。

定員状況 について
平成25年10月1日時点で開設している複合型サービス事業所68ヵ所について、1事業所あたり、登録利用定員が平均24.8人、通いサービス利用定員が平均14.5人です。 宿泊サービス利用定員が平均6.9人、宿泊室数は平均6.8部屋、登録利用者数は平均16.3人です各事業所からの定員に関する要望としては、「(利用定員(通い、宿泊)の増員希望」や「病状の状況などに応じて臨機応変に対応をする定員の柔軟な運用を希望」が多く挙げられていました。

併設・隣接の住まいについて
「事業所と同一建物」又は「事業所と同一敷地内の別建物」に居住する者に対してサービスを提供している事業所の割合が39.7%(27ヵ所)を占めていました。そのうち、約7割(19ヵ所)が「サービス付き高齢者向け住宅」「有料老人ホーム」でありました。

利用者概況として
性別は、「男性」が約3割で、「女性」が約7割。年齢は、「85~89歳」が約3割で最多であり、平均83.3歳。世帯構成は、「その他同居」46.0%が最多であり、次いで「独居」31.1%。主たる介護者は、「同居の家族」が半数を超えるが、「家族等の介護者はいない」も18.6%。住まいは、「一戸建て」が59.5%と最多であり、「高齢者向け住まい・施設」は20.5%。サービス利用開始直前の居所は、「在宅」が半数を超えており、「入院」、「施設入所」の順に多い。 要介護度・自立度に関しては、平均要介護度は3.06(要介護3~5の合計が60.9%)であり、小規模多機能型居宅介護事業所の平均要介護度2.44(同44.4%)に比べて高い。 認知症高齢者の日常生活自立度は「Ⅲa」が21.5%で最多である。また、「Ⅱa」以上であって、なおかつ医療ニーズ(服薬管理以外)を有する利用者は34.7%である。 障害高齢者の日常生活自立度は「A2」22.4%が最多となっている。医療ニーズに関しては、84.5%が何らかの医療ニーズを有し、小規模多機能型居宅介護事業所の62.0%に比べて有意に高い。 医療ニーズの種類別の利用者割合では、ほぼ全てにおいて小規模多機能型居宅介護事業所利用者を上回っており、一番多いのは服薬管理であった。「看取り期のケア」を実施している登録利用者は5.9%となっている。 死亡場所に関しては、開設後に死亡した登録利用者189名のうち、「在宅死」は64名(33.9%)で全国平均割合(12.8%)と比べて高く事業所内での死亡は56名(29.6%)でした。

事業所の体制について
夜間職員の対応に関して、宿泊サービス利用者がいる事業所における夜間の職員体制の増員状況は「特に増員することはない」が最多であり、次いで「利用者の状態に応じて増員」となっている。その「利用者の状態」については、「看取り期のケア」が最多であり、次いで「不穏、認知症の重度化」、「喀痰吸引」の順に多い状況となっている。医療ニーズへの対応に関しては、訪問看護指示書の利用者が0%の事業所は20.6%の一方で、60%以上の事業所は38.2%を占めています。特別管理加算の算定者が0%の事業所は42.6%の一方で、20%以上の事業所は25%を占めています。看護職員数(常勤換算)が多数になるほど、特別管理加算を算定している傾向が見られます。

運営上の課題について
サービス開始後の効果としては、「従来であれば入院、又は施設入所していた利用者を受け入れることで、入院・入所せずに済むようになった」(47.1%)「従来まで断っていた医療ニーズの高い利用者を登録できるようになった」(41.2%)の順に多く、医療ニーズの高い利用者の地域での療養生活支援に繋がっていると見られる。

サービス開設前に小規模多機能型居宅介護のみ実施していた事業所では、利用者の状態変化や医療ニーズに対応できることを効果と考える傾向があり、これは看護職員の増員によるメリットと考えられる。

同様に、訪問看護ステーションのみ実施していた事業所では、重症者への対応や家族への支援により在宅療養が継続できることを効果と考える傾向があり、これは通所・宿泊時にも看護を提供できるメリットと考えられる。 開設時の困難としては「看護職員の新規確保」(47.1%)「介護職員の新規確保」(36.8%)「利用者の確保」(35.3)の順に多かった。

やはり看護師不足がここでも見られる課題であります。また「開設資金の調達が困難」「開設場所及び物件の確保が困難」と回答した事業所は、開設前に訪問看護ステーションのみを実施していた事業所の割合が高い状況でした。

一方運営上の困難は、「看護職員の雇用維持や新規確保」(57.4%)「利用者の新規確保」(50.0%)の順に多く、共に開設時のポイントより高くなっている。また収支の改善が困難と感じている事業所は、複合型サービスの経営的なデメリットとして、「人件費が経営を圧迫」「安定的な経営が困難」「利用者の確保が困難」が挙げられていました。

収支状況としては、「黒字」(17.6%)及び「収支とんとん(均衡)」(36.8%)と回答した事業所を併せると54.4%と半数を超えていますが、事業期間が短いほど、「赤字」と回答した事業所割合が高く、13カ月を越えた事業所では、90.0%が「黒字」もしくは「収支とんとん(均衡)」という回答をしました。

充足状況として、1事業所あたりの登録利用者の定員に対する利用者割合は、事業期間が短いほど低い状況です。

事業開始時支援加算の算定事業所は、開設前の事業種類が訪問看護ステーションや事業実施なしの割合が多い状況です。複合型サービスの事業開始時支援加算について、サービス利用者全数に占める算定割合は平成25年度以降、25%以上で推移しています。

普及に向けた課題として
自治体への相談として、事業者から複合型サービス事業所の開設に係る相談があった自治体数は、9.8%であった。そのうち開設に係る相談(146件)はありながらも開設につながらなかった事業所(106件)もあり、その理由は「事業者からの応募がなかった」が最多となっており、応募しなかった(できなかった)要因までは把握できていません。自治体による複合型サービスの効果についてのイメージは、「医療ニーズの高い利用者でも在宅生活が継続できる」が81.7%と最多ですが、複合型サービスに対する地域医療機関の期待等については、「わからない、把握していない」が47.3%と最多の状況です。複合型サービス事業所へ参入する上での課題は、「看護職員や介護職員の新規確保」が一番多く、小規模多機能型居宅介護事業所では「利用者の負担増が生じる」を、訪問看護ステーションでは「開設場所・物件の確保」や「開設資金の調達」を課題としている傾向も見られます。  複合型サービスの普及に向けて必要なこととして、複合型サービス事業所、小規模多機能型居宅介護事業所、訪問看護ステーション、自治体(市町村)からの意見の共通項目は、「複合型サービスの周知」「人員確保・養成」「定員等の見直し」が挙げられました。

主な論点として挙げられたのは、医療ニーズの高い利用者が地域での療養生活を継続するための支援の充実を図る(「通い」「泊まり」「訪問看護」「訪問介護」といった複数のサービス利用を組み合わせ)という複合型サービス創設の趣旨から、訪問看護の地域における展開、複合型サービスにおける看護業務のあり方、訪問看護指示書に基づく特別な管理や重度者対応のあり方など。また地域のニーズや運営実態より明らかとなった、登録利用者の定員についての柔軟な運用 、利用者の状態によっては福祉用具を併せて利用することで区分支給基準限度額を超えてしまうこと、そして何より看護職員や介護職員の人材確保の困難な現状についてどのような対策をしていくかが大きな課題であります。





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2014年6月26日木曜日

日本国内の医師の数について 平成24年

医師・歯科医師・薬剤師調査より、平成24年の医師数は30万3268人でした。内訳は、医育機関付属の病院の従事者50,404人、医育機関を除く病院 の従事者137,902人、診療所の従事者100,544人、その他14,418人となっています。 経年で増加傾向です。大学医局に入る研修医が減ってきていると言われていますが、医育機関付属の病院の従事者もしっかり経年増加傾向で推移しております。


ではその医師を都道府県別に見てみたいと思います。



都道府県(従業地)別にみた医療施設に従事する人口10万対医師数では、京都府が298.7人、徳島県が296.3人、東京都が295.7人と全国平均の226.5人より多い一方、埼玉県は148.2人、茨木県167.0人、千葉県172.7人と首都周辺地域で少なくなっており、首都圏に対する人口数と医師の数のバランスが崩れていることを示しています。


主たる診療科が小児科・小児外科、産婦人科・産科の医師数は小児科が16,340人、小児外科が701人。産婦人科は10,412人で産科は456人となっており増加傾向です。また都道府県別にみた主たる診療科が小児科の15歳未満人口10万対医師数をみると東京都が最多であり、主たる診療科が産婦人科の15歳~49歳女子人口10万対医師数をみると実は徳島県が最多です。

 医師の数が増加傾向である理由の一つが、医師には定年がないことが挙げられます。診療所はしかり、病院等でも60歳65歳を超えても引き続き診療の現場で第一線で活躍されている医師も多くいます。ただ、医療のプロフェッショナルの医師であっても年を重ねることで処理対応できる診療件数等は、影響しています。そうなると同じ1人としてカウントして単純に純増と見て良いのかと言われると判断は難しいですが、今のところ他に参照できる指標も見当たりませんので、また改めてこのあたりは取り上げたいと思います。


年齢階級別にみた医師数の性別構成割合をみると、29歳以下では男性64.5%女性35.5%に対して、30歳から39歳では男性70.2%女性29.8%、40歳から49歳では男性80.0%女性20.0%、50歳から59歳では男性87.3%女性12.7%、60歳から69歳では男性90.4%女性9.8%、70歳以上では男性90.6%女性9.6%と女性の医師の割合が増えてきていることを示しています。


少し徳島県についてクローズアップしますと、京都に次いで人口10万対医師数では全国で2番目に多く、産婦人科においては全国一位となっておりますが、平成2年からの伸び率は、徳島県22.8%、全国25.2%と全国平均を下回っています。また二次医療圏での格差も大きく、6つある二次医療圏のうち徳島市を中心とした東部地域に医師の3分の2が集中し、地域間格差が存在しています。また49歳以下の医師の構成比はいずれも全国平均以下で、50歳以上、特に50歳から59歳の層の構成割合が非常に高くなっております。よってへき地では、医師の高齢化・後継者不足の問題が生じており、他の地域と同じ問題を抱えています。



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