2014年6月28日土曜日

北海道4機目ドクヘリ、寒冷地対応機導入へ­ 函館拠点に運航、3次元ナビなど装備

北海道で4機目となるドクターヘリに、イタリアの航空機製造会社「アグスタウェストランド」の最新鋭機が導入される見通しであることが、分かりました。アグスタウェストランド社のドクターヘリ受注は、国内では鹿児島に次いで2機目となります。障害物などの位置を3次元表示するナビゲーションシステムを装備しており、雪上にも降りられるよう車輪部分にソリを装着可能な“寒冷地仕様”の機体で、函館空港を拠点に2015年1月以降、運航を始める予定です。

受注が決まったのは、「AW109グランドニュー」。アグスタウェストランド社などによると、函館市病院局が主催した「道南ドクターヘリ運航業務プロポーザル」で最優秀提案者に選定された鹿児島国際航空から、鹿児島県ドクターヘリとして導入実績があるヘリ「AW109グランドニュー」を受注したとのことです。






この機体には、視界が悪い気象状態でも、コンピューターグラフィックスによって地形の障害物や位置を3次元表示する「SVS」や、地図上に自機の位置を表示し、危険な飛行が認識された際に警報が表示される「HTAWS」といった最新鋭のナビゲーションシステムを搭載しています。また、氷結した地表などを検知する機器に加え、雪上に降りられるよう車輪部分にソリの装着が可能で、ランデブーポイントに安全に降着できる機能を備えており、北海道での導入には必要な装備が完備されています。

北海道の道央や道北、道東の3エリアでは、ドクターヘリが1機ずつ配備されていますが、道南は唯一の“空白地”でした。自治体や地元医師会らが導入に向けた準備を進めており、2014年4月にプロポーザルの募集要項を公表しました。審査委員会が応募企業の提案書などを審査した結果、最優秀提案者に鹿児島国際航空が選定されたといいます。

道央や道北、道東の3エリアでは、ドクターヘリが1機ずつ配備されているが、道南は唯一の“空白地”でした。道南にある3つの二次医療圏の総面積は6566平方キロメートルになります。京都、大阪の両府の合計した面積に匹敵する広さで、約48万人の圏域人口の約6割が函館市に集中しています。重篤な急患は、救命救急センターに指定されている市立函館病院が受け入れてきました。

しかし、北海道が2011年11月にまとめた道南圏地域医療再生計画では、離島の奥尻町などから市立函館病院までの救急搬送は、「大幅な時間を要している」と問題視しておりました。道内3機体制で運航されているドクターヘリも航続距離の関係から、道南圏をカバーしていないことを課題に挙げていました。

こうした課題を解決するため、道南の18市町に加え、函館市医師会や渡島医師会、北海道看護協会道南支部などの医系6団体、二次輪番病院の市立函館病院や八雲総合病院、道立江差病院などで構成される「道南ドクターヘリ導入調査検討会」で、2012年4月から検討をしておりました。搭乗する医師の確保や格納庫の設置、地元自治体の費用負担などの課題を議論した結果、基本合意に達し、2015年1月以降に運航開始の目途となりました。

ドクターヘリを運航する際、国などの補助対象を超えた運航関連経費は基地病院が負担するケースがほとんどですが、市立函館病院では財政的に負担に耐え切れない可能性がありました。格納庫の整備などの基盤的経費は18市町で均等に負担することとし、運航関連経費は補助金超過分を利用割合に応じて18市町が負担する方向でまとまったといいます。

函館空港内に待機するフライトドクターらは、基地病院の市立函館病院の医師らに負担が集中することを避けるため、札幌医科大や地元医師会の医師も加わる見通しです。函館市と函館医師会などで今後、待機する医師らの人員確保の体制などを協議する方針です。ドクターヘリには、主に基地病院などの救急医や専門医が搭乗することがほとんどですので、地元医師会の医師がフライトドクターとして医療活動を行うケースはまれです。

日本の医療体制において、5疾病・5事業というものがあります。5疾病とは、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患です。5事業とは、救急、災害、へき地、周産期、小児です。地域で適切な医療が切れ目なく提供されるよう、病院の連携体制や数値目標を設定されています。ここでいうところの医療分野における「へき地」とは『交通条件及び自然的、経済的、社会的条件に恵まれない山間地、離島その他の地域のうち、医療の確保が困難である地域をいう。無医地区、無医地区に準じる地区、へき地診療所が開設されている地区等が含まれる。』と定義されています。要は、山奥の村であったり、遠く離れた小さな島であったり「人が住んでいるけど、病院が近くにないので、とても不便な場所」のことです。過疎化が進む地域においては、無医村というのは深刻な問題です。高齢化が全体的に進んでおり、同居の介護者もいないような状況が多くを占めております。国の目指す地域包括ケアは人口1万から2万人単位としておりますが、地方ではその単位でもかなりの広範囲に及びます。ドクターヘリの導入ですべてが解決するわけではありませんが、これからの人口動向をふまえた対策をもっと行なっていかなければ、地域包括ケアですら理想を追い求めただけの絵にかいたモチに終わりかねないと危惧します。







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