2015年2月28日土曜日

地域医療連携推進法人(仮称) (非営利新型法人)

日本医師会の今村定臣常任理事は、新たに創設することが決まった「地域医療連携推進法人(仮称)」(非営利新型法人)について、非営利新型法人の創設に関する報告書をまとめた厚生労働省の「医療法人の事業展開等に関する検討会」の委員として「非営利性を担保しつつ地域医療を立て直すための制度となるよう繰り返し提言してきた趣旨を、ある程度はくんでいただいている」と一定評価されました。





その上で、 「実際の運用に向けて懸念が残っている部分もあります。まずは法律の条文や政省令、運用通知の作成作業を注視していく」と述べられました。厚生労働省は、非営利新型法人の創設を盛り込む「医療法の一部を改正する法律案」を今通常国会へ提出することを目指しています。報告書では、非営利新型法人の事業展開について、都道府県が今後策定する地域医療構想(ビジョン)との整合性を求めているほか、医療の非営利性を前提に、具体的な制度設計や運用面にも非営利性の確保が必要と提言しました。具体的な制度設計では、非営利新型法人の運営や活動について都道府県知事が都道府県医療審議会の意見を聞いた上で認定・認可・勧告・認定取り消しをする仕組みと、非営利新型法人の内部組織として市長や地域の医師会長らで構成する「地域医療連携推進協議会」を設置し地域の意見を反映させる体制を柱としています。 事業範囲や理事の選任、定款では知事が認可し、理事会や社員総会の活動に対しては「地域医療連携推進協議会」がチェックすることになっています。今村常任理事は「ビジョンを協議する場の『地域医療構想調整会議』も含め、地域がチェックする体制が複数存在する仕組みになっている」と指摘されました。「報告書の内容がしっかりと実現されれば、非営利性を確保して地域医療を立て直すための有効なツールにできる」との認識を示しました。また、非営利性を確保するために医療法人に関する医療法の規定を準用する方針を報告書に盛り込んだことも評価しました。この規定は剰余金の配当禁止や残余財産の帰属先が国や地方公共団体などに限定されるほか、定款変 更は知事の認可が必要になることなどが主な内容です。一方、懸念が残る部分としては、 「1社員1議決権」以外の在り方を定款で定めることも可能、理事長は医師に限らない、病床過剰地域でも非営利新型法人内であれば 特例的に病床の融通が可能、の3点を挙げました。「いずれも知事が医療審議会の意見を聞いた上で認可するという仕組みになっていますが、実際に地域医療のための運用になるか、注意深く見ていかなければならない」と述べられました。

地域医療構想そして地域医療連携推進法人(仮称)と、これからの地域での病院の運営に大きな影響を及ぼすフレームが決まりつつあります。ただあまりにも現状のすべてをフレームに納めようとすれば無理が見えてきますが、逆説的に考えると、政府や市町村の描くフレームに医療を押しはめていくためのスキームであると見た場合、いささか怖さを感じます。








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2015年2月27日金曜日

日本版CCRC 地方の活性化

内閣府は2月25日、アメリカで広がりつつあるCCRC(Continuing Care Retirement Community)について議論するための「日本版CCRC構想有識者会議」(座長=増田寛也・東京大公共政策大学院客員教授)の初会合を開きました。会議では5月にも素案を取りまとめ、夏に構想の中間報告を行った上で、モデル事業を実施する方針です。






CCRCは、高齢者が健康時から地方に移住して、健康状態に応じた継続的なケア環境の下で自立した社会生活を送ることができる地域共同体を指します。CCRCに推定75万人が住む米国では、運営主体の82%が非営利団体で、大学連携型で生涯学習や多世代交流を行う例も見られます。既に日本でも、社会福祉法人・民間企業・地方自治体・大学などが運営・検討を行っています。日本版CCRCは、2014年末に閣議決定した「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で、都内在住者の相当数が地方への移住の意向を示していることを受けて検討会を設置することになっていました。初会合では医療・介護に関する論点案として、継続的なケアを確保するための具体的な方策(ケアパス、ケア体制健康情報管理等)を列挙しました。委員からは、人材育成の重要性や、所得に応じた幅広いターゲット層を設定する必要性、親の介護も抱える入居希望者への配慮などさまざまな論点が挙がりました。会議に出席した石破茂地方創生担当相は「資産や年金・子どもの存在など、いろんな立場の国民から共感を得て納得してもらえる仕組みにしたい。具体的な案をつめる必要があるので、国・自治体・民間の役割を整理していく」との発言がありました。また、まち・ひと・しごと創生本部の木下賢志事務局次長(厚生労働省大臣官房審議官)は会議終了後「実施主体はさまざまだが、医療法人がやる場合は中核的なところに病院機能を置く事になる。急性期や慢性期の病床があれば、その機能を生かすこともできる」と述べられました。

2025年に向けて医療と介護の体制整備が急務であり、病床機能報告から地域医療構想が練られて、各地域での最適な体制を目指していくことになります。その中で一番言えることは、人材の不足。医師が不足しており病院をフル稼働できない。救急を受けきれない。介護職員が不足しており、行き届いた訪問サービスまでは難しいなど。確かにこれまでの日本は病院という一つの場所に集約することで効率化を図りここまで進んできたところがあります。それを社会保障費の抑制という観点から地域へ戻そうとしているのです。確かに市民にとってもできる限り在宅で過ごしたいという思いを根底に持っています。ただ、在宅では介護不足で安全に安心した生活をおくることができないのです。ですから、病院や施設入所を視野に入れなければならないのです。CCRCも今の政府の方針からみれば理にかなった策ではありますが、そこに安全と安心を約束できる体制づくりがとても高いハードルとして立ちはだかっていると感じます。うまく機能すれば、地方に雇用も生まれ産業の活性化も期待できます。ただ地域格差があるなかで、適切な人材を確保することが一番の課題であると感じます。








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2015年2月26日木曜日

薬剤服用歴(薬歴)の大量の未記載

大手薬局チェーンの調剤薬局で薬剤服用歴(薬歴)の大量の未記載が相次いで発覚した問題で、厚生労働省は2月24日、全国の調剤薬局の実態を把握するため、三つの業界団体に未記載がないかどうか自主点検するよう要請したと発表しました。加盟する薬局の結果をとりまとめ、3月中旬をめどに報告するよう求めています。






 要請したのは日本薬剤師会、日本保険薬局協会、日本チェーンドラッグストア協会の三団体です。全国の調剤薬局(約5万3千)のほぼすべてが、この三つのいずれかに加盟しています。2014年1~12月に薬歴を管理指導したとして診療報酬を申請したもののうち、薬歴の未記載があった件数などの報告を求めました。
 薬歴の未記載をめぐっては、「くすりの福太郎」(千葉県鎌ケ谷市)の約17万件に続き、イオン子会社の「CFSコーポレーション」(横浜市)の調剤薬局でも少なくとも約7万8千件が発覚しました。2月24日の閣議後会見で塩崎恭久厚労相は「(未記載の)回数が増えたことは非常に残念なこと。患者のためにやっているという趣旨をもう1回かみしめてやって頂きたい」と述べられました。

薬剤師が薬を出すときに、患者の状況を把握するのに欠かせない薬剤服用歴(薬歴)。この「薬のカルテ」を書いていない問題が、大手薬局チェーンの調剤薬局で発覚しました。薬歴を適切に管理すれば、薬を出すごとに410円の診療報酬が得られます。業界団体は、薬歴を書くという薬剤師の基本動作を徹底するように呼びかける事態になりました。
大手薬局チェーンのツルハホールディングス(HD=東証1部上場、本社・札幌市)の子会社が関東地方に展開する調剤薬局で、薬剤師が記録することを求められている薬剤服用歴(薬歴)を記載せずに患者へ薬を出していたことが2013年3月の内部調査で未記載は約17万件ありました。根拠となる資料がないまま、一部で診療報酬を不適切に請求していた疑いがあります。
 この子会社は「くすりの福太郎」で2013年3月ごろ、厚生労働省の指導が入ると想定し、薬歴の記載状況を報告するよう各店舗に指示しました。その結果、同月時点で69店舗中48店舗で計17万2465件の薬歴が未記載であることが判明しました。しかし結局、厚労省の指導はなく、薬歴を適切に管理する体質には改善されませんでした。
くすりの福太郎では、薬を渡すときに薬剤師が患者の状況をメモし、後でパソコンで管理されている薬歴に情報を打ち込む手順になっていましたが、パソコンに入力されないままメモが放置されていました。
小川久哉社長が記者会見を開き、調剤薬局で大量の薬剤服用歴(薬歴)を記載せずに診療報酬を請求していたことを認めました。そして不適切に得た報酬は返金した上で「責任を取る」と述べ、退任する意向を示しました。

モラルが問われる事件です。ただこれは氷山の一角なのでしょう。業界内で今嵐が吹き荒れているのではないかと懸念しながらも、そうではなく健全というか適正な請求をされていることを願います。








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2015年2月25日水曜日

介護2交替夜勤、16時間以上拘束が約7割

 2交替制の夜間勤務を行っている介護施設の約7割で、夜勤の連続勤務時間が16時間以上に及ぶことが、日本医療労働組合連合会(日本医労連)の調査で分かりました。介護施設の約9割が、長時間の連続業務を強いる2交替を採っていることも明らかになり、日本医療労働組合連合会は、「身体に過度の負担を与える長時間労働の実態を改善する必要がある」としています。






 調査では、日本医療労働組合連合会に加盟する特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホーム、小規模多機能型居宅介護、複合型サービスなどの施設を対象に、2014年6月分の実績を聞き、118施設から回答を得ました。
 調査結果によると、全施設の86.8%で2交替を採用していた一方、3交替は12.3%にとどまりました。また、2交替を行っている施設の67.8%で、拘束時間が16時間以上という調査結果でした。
 さらに、夜勤明けの翌日が勤務だったことがあったかと尋ねた質問では、24.4%の施設が「勤務だったことがある」との回答でした。日本医療労働組合連合会は、体調への悪影響が考えられることから夜勤の翌日は休日とすべきとしています。

厳しい労働環境といわれている介護職の現場が垣間見れた調査結果として真摯に受け止めています。処遇改善で労働環境を良くしようという政府の働きかけは貴重ですが、本当に改善しなければならない点はどうやらそこではないのではないかとこの調査結果から伺えます。では3交代制にすればよいのかというのが、そうすると単純に人件費が1.5倍に膨れ上がります。介護報酬の改定で報酬が落ちる中、事業所の運営は厳しさを増します。その中で生き残るためには効率性が鍵となるでしょうが、そうなるとどうしても小規模事業所には不利で大型事業所へと規模の集約に向けた力が働きそうです。でもそれが良いのかどうかといわれると、地域を独占してしまうと競争が働かなくなり質の低下も懸念されます。バランスの良い体制を築くというのは、経営の難しいところです。








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2015年2月24日火曜日

花粉の飛散量がピークを迎える

スギやヒノキの花粉の飛散が、2月下旬から各地でビークを迎えていきます。 日本気象協会(東京)は2月20日までに予想を発表しました。飛散量は東北で昨年の3倍以上となるなど、 東日本で多くなるとみられ、花粉症を抱える人にとっては悩ましい季節になりそうです。






日本気象協会によると、主な都市のスギ花粉のピークは、福岡県が2月下旬から3月上旬と予想しております。その後は、東京都や名古屋市、大阪市、広島市、高松市が3月上旬から中旬、仙台市と金沢市が3月中旬から下旬と北上します。 スギ花粉の後は、4月中旬にかけてヒノキ花粉が飛散するが、仙台市と金沢市は量が少ないため、ビークはないと見込まれています。また北海道は4月下旬から5月上旬にシラカバ花粉が飛ぶとしています。 花粉の量は、前年の夏の天候が大きく影響するとされています。気温が高いほか、雨が少ないなどの条件がそろうと花芽がよく育ち、翌年春に飛散する量も増えるといいます。地方別では、東北地方が2014年比で360%と非常に多くなると予想されています。関東甲信地方も230%、北陸地方は200%、東海地方は150%と、東日本で飛散量が増えるとみられています。一方、2014年の夏に気温が低く、 日照時間が短かった四国と九州は昨年比30%と非常に少ないと見られています。中国地方はやや少なく、北海道と近畿地方は2014年並みとみられています。今週末から週明けにかけては全国的に気温が高くなるとみられてお り、日本気象協会は「西日本で花粉の飛散が増え、北陸地方や東北地方の一部でも飛び始める」とみています。

いよいよ春の風物詩となっている花粉の季節の到来が取り上げられるようになりました。私も薬で抑えていますが、そろそろ服用しなければ仕事になりません。ただこの花粉症といつまで付き合っていかなければならないのか、毎年春の悩みの種です。








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2015年2月23日月曜日

年間所得  薬剤師国保組合が歯科医師国保組合を上回る

厚生労働省は2月19日、国民健康保険組合を対象とした2014年度所得調査結果の速報値を明らかにしました。住民税(市町村民税)の課税対象となる年間所得は、被保険者(加入者)1人当たり、医師国保組合716万円(2009年度調査より72万円増)、歯科医師国保組合225万円 (2009年度調査より増減なし)、薬剤師国保組合244万円(2009年度調査より23万円増)でした。薬剤師国保組合の平均所得が歯科医師国保組合を上回るのは、少なくとも2004年度以降で初めてでした。






各組合に対する国庫補助見直しは、この調査結果に所得上限額を設定した上で実施されます。国保組合の被保険者は基本的には組合員とその家族で、厚生労働省は被保険者の所得調査を2004年度以降は5年ごとに実施しています。2014年度調査では全164組合から抽出した約52万人を対象とし、回答率は87.7%でした。調べたのは、2014年度住民税の算出基礎となった2013年所得で、総所得金額等から基礎控除、所得控除を除いた金額になっています。医師・歯科医師・薬剤師国保組合以外では、被保険者の平均年間所得は一般業種国保組合125万円(2009年度調査から増減なし)、 建設関係国保組合79万円(2009年度調査から8万円増)となっており、全国保組合の平均は241万円(2009年度調査から24万円増)でした。厚生労働省は速報値の資料を、自民党がこの日開いた厚生労働部会と「社会保障制度に関する特命委員会・医療に関するプロジェクトチーム」の合同会議で提示しました。
1月の厚生労働相と財務相の大臣折衝により、国保組合の保険給付費などに関する国庫補助率については、被保険者の平均年間所得が150万円未満の組合は32%を維持し、150万円以上240万円未満の1組合は2016~2020年度の5年間をかけて30~14%まで引き下げ、240万円以上の組合は5年間かけて13%まで引き下げる方針となっています。平均年間所得が高いほど補助率の引き下げ幅は大きくなりますが、ここで用いる平均年間所得については、各被保険者の所得上限額を1200万円と設定して算出します。つまり実際の所得が1200万円を超えている場合でも1200万円として計算するため、平均値は低くなります。市町村国保の賦課限度額など他制度とのバランスを考慮したためです。所得上限額1200万円を設定すると、平均年間所得は、医師国保組合356万円、歯科 医師国保組合194万円、薬剤師国保組合214万円、一般業種国保組合115万円、建設関係国保組合78万円で、全ての国保組合平均は163万円となりました。ただ、個別の組合に対する国庫補助見直しはあくまで、それぞれの平均年間所得によって決まります。

歯科医師国保組合による課税対象の年間所得が伸びずに薬剤師国保組合に抜かれたということは、それだけ歯科診療所の運営が厳しいということを表しているのでしょう。今や街中ではコンビニよりも歯科診療所の数の方が多いとも言われています。そのレッドオーシャンで勝ち残るためにはケイパビリティが必要となってきますが、これから高齢化社会が進む中で、訪問歯科診療はそのひとつであるでしょう。審美歯科にてうまく運営されているところもあります。ただ本当に求められている歯科医の役割を強みに変えることが生き残りの手段であると思います。








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2015年2月22日日曜日

訪間看護への期待感

社会保障審議会・介護給付費分科会委員を務める日本看護協会の齋藤訓子常任理事は、改定率がマイナス22.7%となったことを踏まえ「基本報酬は軒並みマイナス。当然、訪間看護の基本報酬にもメスが入った」と述べるなど、全体的に厳しい改定内容になったと振り返りました。一方、訪問看護で「看護体制強化加算」が新設されたことにも触れ、「中重度で医療依存度があり、状態の管理が非常に難しい人をきちんと看ていくことが、訪問看護に期待されていることをあらためて示した」との見解を示しました。






訪間看護に新設された看護体制強化加算は、中重度の要介護者の在宅生活を支える訪問看護体制を評価するものです。一定の要件を満たした場合、月1回300単位を算定できます。要件としては、緊急時訪問看護加算、特別管理加算、ターミナルケア加算を算定した利用者が、それぞれ一定割合以上いることを求めています。齋藤氏は「重症の人を看ている事業所については、(基本報酬削減による)マイナス分を月1回の加算で相殺か、若干足が出る状況」と説明されました。
病院・診療所が行う訪問看護の基本報酬は、将来的に訪問看護従事者の増員を図る観点から増額しました。ただ斎藤氏は、診療報酬の人員基準が変更すれば人材を訪問看護から病棟に移すなど診療報酬の影響を受けている状況があるとし、「今回の措置は諸手を挙げて賛成ではない」と述べられました。一方で訪問看護の資源がない地域については、病院・診療所が在宅医療を視野に入れて「この点数を使って午前は外来、午後は在宅というような形で地域展開ができるのではないか」と期待しました。 また齋藤氏は、訪問看護全体の課題として「地域を守る観点で事業運営してほしい」と述べた上で「人の確保が最大にして非常に難渋な課題」と強調されました。人材確保については、これまで訪問看護はハードルが高く「何でもできなければいけないという都市伝説があった」としましたが、「そこをブレークスルーする。新卒でも未経験でも、これさえ学べば訪問看護ができるというメニューを作っている」と述べるなど、取り組み状況を語られました。
2012年度改定で新設した複合型サービスは「看護小規模多機能型居宅介護」に改称され、看護提供体制に応じて加算と減算が設けられることになりました。斎藤氏は、同サービスは医療依存度が高く、訪問看護も利用する重度の人を看ることが本来の趣旨であったとし、「趣旨通り事業展開しているところは、加算も付いて報われた」と述べられました。同サービスは2014年10月時点で168事業所が提供しているが、齋藤氏は「地域包括ケアシステムの中に1カ所以上あることが望ましい姿」と述べられました。「在宅を諦めていた人が、諦めなくてよかったと言っている。増えていけば、特別養護老人ホームの待機者も減るのではないか」と述べられ、看護小規模多機能型居宅介護の今後の広がりに期待を示しました。

地域包括ケアシステムという患者を在宅へシフトしていこうという動きにおいて、訪問看護の役割はとても大きなものです。しかし、今回の介護報酬の改定で基本報酬は減額となりました。国の目指す方針がぶれているように感じるのは私だけでしょうか。その分、中重度をしっかり看ていけば加算が反映されるというものの、訪問サービスは効率化を高めることは非常に難しいです。一軒一軒訪問しなければならないのですから。中重度の患者となれば、それだけケアも大変になります。はたして絵に描いたモチとならないような運営は、各ステーションで実現可能なのでしょうか。








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2015年2月21日土曜日

安部整形外科 院長を書類送検

福岡市博多区の有床診療所「安部整形外科」で2013年10月、入院患者ら10人が死亡し5人が負傷した火災で、福岡県警は2月17日、防火管理を徹底しなかったとして業務上過失致死傷の疑いで安部龍暢院長(47)を書類送検しました。福岡県警によると、容疑をおおむね認めているといいます。






 書類送検容疑は、階段付近にあった防火扉が作動しないようストッパーとして使っていた厚紙などの除去を、消防から指導されたにもかかわらず改善していなかったほか、火災を想定した避難訓練の実施や消防計画の作成など防火管理業務を怠り、入院患者らを死傷させた疑いです。防火扉の不備は火災直後から指摘されていましたが、福岡県警は4階建て診療所の1、2、4階の階段付近にあった計5カ所が正常に作動しないか開いたままの状態だったと認定しました。ロープで固定して動かないようにしたり、煙感知器が経年劣化で反応しなかったりする例もありました。1階の非常口が内側から施錠されており、安部院長が持っていた鍵でしか開かないようになっていたことも含め、院長の過失責任としました。福岡県警は、診療所は老朽化し介助を必要とする多くの高齢患者も入院させていたことか らも、被害が広がるとの予見は可能だったと判断しました。市消防局に届け出ていた防火管理者は、火災で死亡した院長の母親(当時72歳)だったが、認知症を患うなど実質的に防火管理をできる立場になかったと判断しました。発生時の当直看護師(68歳)は避難誘導な どの指導を院長から受けていないとして立件を見送りました。福岡県警によると、火災は2013年10月11日午前2時10分ごろ、 1階処置室の医療器具の電源プラグから出火しました。煙が建物内に広がり、1、2階にいた入院患者8人と3階に住んでいた前院長夫妻で安部院長の両親が一酸化炭素 (CO)中毒で死亡しました。入院患者ら5人が負傷しました。福岡県警は、前院長夫妻は居住場所が診療所の管理区域ではないとして、容疑上の被害者には含めませんでした。

医療において安全は絶対のものです。安全対策についてはどの病院も注力していると思いますが、このような事故が起きると本当に背筋が凍る思いです。医療の現場において安全はどこまで追及しても絶対的な合格点というラインはありません。一つの不注意、一つのミスですべてが崩れ落ちます。だれもがその現実を分かっているはずなのですが、細部まで行き届かなかったり、怠ったりして惨劇は起きてしまいます。ただ、中にはどうしてもリスクを承知で進む決心をするときもあります。その違いは理解されないところもありますが、アウトカムだけでなく、プロセスもしっかり見て質を高めていくことが医療に求められているところなのだと感じます。








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2015年2月20日金曜日

在宅医療 外来応需

中医協総会 (会長=森田朗 国立社会保障・人口問題研究所長)は2月18日、次期診療報酬改定に向け、在宅医療に関する議論をスタートさせました。検討課題の一つとなっている在宅医療を専門とする保険医療機関の位置付けでは、厚生労働省が外来応需体制を求めている現行の運用の在り方を見直す際の考え方を提示しました。必要に応じて往診、訪問診療に関する相談に応需することや、軽症者を集めて診療するなどの問題が起きないようにする方向性を提案しましたが、診療側、支払い側ともに慎重意見が目立ちました。






在宅医療を専門に行う保険医療機関については、政府の規制改革会議が開設要件の明確化を検討するよう提言しており、フリーアクセスの観点から外来応需体制を求めている現行の運用との整合性をいかにとるかが課題になっていました。厚生労働省は、外来応需体制の在り方について、健康保険法63条第3項に基づく開放性の観点から、医療提供範囲内の被保険者の求めに応じて、医学的に必要な場合の往診、訪問診療に関する相談への応需な どの客観的要件、在宅医療の質と供給体制確保を図るため在宅医療の専門性の評価、在宅医療を中心に提供する医療機関に軽症者を集めて診療するなどの弊害が生じないような評価の在り方を検討することを提案しました。こうした外来応需体制の運用に関する提案に対し、総会では診療側、支払い側の委員から慎重な検討を求める意見が相次ぎました。
診療側の中川俊男委員 (日本医師会副会長)は「かかりつけ医を外来で受診していた患者が、通院困難となり、かかりつけ医が往診をするという形が在宅医療の大原則。これは守っていかないといけない」と強調されました。その上で「24時間態勢で、在宅医療の提供体制を補完する新たな仕組みという視点は大事だが、前回改定で見られたような不適切事例によって健全な在宅医療が阻害されないよう慎重な検討は必要」と求めました。
鈴木邦彦委員 (日医常任理事)も「軽症者を全て外来診療なしで在宅で診るような形態が出てくる可能性がある」と慎重姿勢を示しました。一方、支払い側の矢内邦夫委員 (全国健康保険協会東京支部長)らは、外来応需の運用の在り方の見直しについては「患者のメリットがあまり見えない。この視点からの検討をお願いしたい」と述べられました。

次の診療報酬改定は2025年に向けた大きな意味があります。いかに医療と介護を連携させて病院から在宅へ移管させることで社会保障費の増加を抑制できるかが、財務省から厚生労働省に課せられた最大の課題です。そのためには在宅復帰を浸透させて、在宅医療で地域で看ていくことが鍵となっています。しかし、これまで病院というスケールメリットで効率化してきた医療の現場において、訪問という非効率的な体制で本当に満足のいく医療を提供することが可能なのでしょうか。患者の満足のいく医療を提供できるのでしょうか。医療はサービス業であると言われてきていますが、国民の健康を維持するための医療を他のサービスと同じように図ってしまっては、体制にひずみが生じ、国民の健康と安全に支障をきたしてしまうのでは、強く危惧します。








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 虐待の事実が認められた施設・事業所の種類は、特別養護老人ホームが69件で最多でした。 認知症対応型共同生活介護34件、介護老人保健施設26件、有料老人ホーム26件と続きました。
介護施設従事者などから虐待された高齢者402人についてその内容(複数回答)を見ると、「身体的虐待」が258名、「心理的虐待」が132名、「介護等放棄」が67名などでした。
 虐待の発生要因 (複数回答)について市町村の任意・自由記載を集計したところ、「教育・知識・介護技術等に関する問題」が128件で最も多く、「職員のストレスや感情コントロールの問題」が51件、「虐待を助長する組織風土や職員間の関係の悪さ」25件と続きました。
虐待者の性別の割合は、男性が51.8%、女性が48.2%でした。これだけ見るとほぼ半分であり特徴はないように感じますが、実際は介護従事者全体に占める男性割合の21.4%と比較すると、虐待者の男性割合は高いと読み取れます。
家族や親族などから虐待を受けたとの相談・通報は2万5310件で、同じく2012年度から1467件増加しました。このうち虐待と判断された件数は1万5731件で、529件増加しました。相談・通報者は介護支援専門員が31.3%で最多でした。
厚生労働省老健局認知症・虐待防止対策推進室の水谷忠由室長は「増えたこと自体は大変遺憾」とコメントされました。一方で、虐待に対応する体制整備が進んだことなどにより「従来拾われていなかった虐待が拾われて増加している要素もある」と述べられました。 厚生労働省は、高齢者虐待の防止や高齢者の世話をする家族らの支援に向けた老健局長通知を各都道府県知事宛てに発出しました。これまでは事務連絡で対応を求めていたが、対応強化のため通知に格上げしました。

虐待はもちろんあってはならないことです。虐待者を擁護するつもりはありません。ただ、介護者にそれだけ精神的な劣悪を及ぼすほどの業務であるということを改めて認識することが大切なのでしょう。諸軍改善加算で金銭的な支援を行なうことも良いですが、介護従事者のストレス・情緒コントロールのサポートも必要ではないでしょうか。また介護は介護職員だけではありません。家族介護による介護者の負担も非常に大きなものです。レスパイトをはじめ、いかに自宅で最期まで共に過ごせるのか。そのあたりの支援体制もさらに高めていくことが地域包括ケアシステムの構築には必要不可欠であると痛感します。








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2015年2月18日水曜日

電子カルテ診療データの“見える化” 済生会熊本病院とNEC

社会福祉法人恩賜財団 済生会熊本病院とNECは2月9日、電子カルテに入力、蓄積した診療データを収集し、分析、可視化して治療プロセスの品質管理を支援するソフトウェア「新型電子クリニカルパス分析ビューワ」を共同で開発したと発表しました。
 済生会熊本病院では、2014年4月からこの機能を試行的に導入し、今回本格導入に至りました。今後、この機能を活用し、バリアンス(治療における達成目標が達成されない状態)収集や分析を効率良く実施し、PDCAサイクルを高速に回すことで、医療の質のより一層の向上を目指します。
 また、NECは、「新型電子クリニカルパス分析ビューワ」を同社電子カルテシステム「MegaOak HR」の追加機能として、同日から販売を開始します。同機能は両者が共同で特許出願中としています。






 今回のソフトウエアは、電子カルテに入力・蓄積した診療データを収集・分析・見える化することで治療プロセスの品質管理を行なうものになります。クリニカルパスは、「標準診療計画」に基づいた治療において、治療プロセスの品質を管理し、改善するために患者状況などの情報を収集・分析する手法を指します。
従来の電子カルテシステムでは、自由記述によるデータ入力が主で、用語が標準化されていなかったことから、分析可能な形式にデータ変換する手間が発生する課題があったといいます。これに対して、今回開発した新型電子クリニカルパス分析ビューワは、あらかじめデータ分析が可能な形式で電子カルテから診療データを収集可能となりました。収集によるタイムロスを減らし、タイムリーな分析・確認を実現しました。
 2014年4月から済生会熊本病院で試験運用を開始していました。その結果、電子カルテへの記録により、在院日数、バリアンス(目標未達成時)の件数と内容、費用の表示の自動化が可能となり、早期の現場へのフィードバックがもたらされたといいます。
 新型電子クリニカルパス分析ビューワには、日本クリニカルパス学会監修の患者状態アウトカム(目標)用語集を使用した、1日分の診療データを記録できる「日めくり記録」機能、済生会熊本病院のノウハウと実績を活用したビューワ機能、現場の医師・看護師らによる電子カルテ端末からのビューワ確認機能などが盛り込まれました。こうした機能により、データの効率的収集による作業時間の低減、バリアンスへの素早い対応、見やすいグラフ化、治療成績に影響を与えそうなバリアンスの予測など、幅広い活用が見込めるとしています。

これから医療の現場では質の向上と効率化が更に求められていきます。これまでも各病院では現場レベルでPDCAサイクルを回して業務改善を行なってきたと思いますが、そこでどうしてもベンチマークとなる指標がないことで、現段階の進捗判断が鈍り、アウトカムに繋がりきれなかったことがあったと思います。そういう意味でこの分析ビューワは、とてもニーズがあると感じます。もちろん効率化を高めて、在院日数を短縮することは、今求められている医療の取り組みに沿っているとは思いますが、医療の本質をおきざりにしないようには、一人ひとりしっかりと肝に銘じたうえで取り組むべきであると感じます。








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2015年2月17日火曜日

報酬減で人材確保を難しく

4月の介護報酬改定の単位数が示されたことを受け、特別養護老人ホーム(特養)を運営する法人などで組織する全国老人福祉施設協議会(全国老施協)は2月13日、記者会見を開きました。石川憲会長や同協議会の関係者は、基本報酬だけで試算すれば、全国の特養の5割近くが赤字に転落する可能性もあると指摘しました。さらに、特養の経営の悪化がサービスの質や人材確保にも悪影響を及ぼす可能性があると警鐘を鳴らしました。






4月の介護報酬改定で、特養の基本報酬は33単位から62単位までの削減となります。このうち、8月から利用者からの室料の徴収が始まる多床室については、徴収が始まる段階で、さらに基本報酬が引き下げられます。
 会見した全国老人福祉施設協議会の関係者は、基本報酬だけで試算すると、1施設当たり平均で約1500万円の減収となり、5割近くの特養が赤字経営に陥ると指摘しました。その結果、最低限の人員での運営を強いられる施設が増え、サービスの質が低下する危険性があるだけでなく、新たに介護業界を目指す人も減ることに繋がり、今後の介護人材確保が、ますます困難になる可能性もあるとしました。
 その上で、今後の全国老人福祉施設協議会の対応として、「看取り介護加算」や「日常生活継続支援加算」など、改定で拡充される加算の算定を積極的に進める、地域公益活動や地域支援事業への取り組みに力を入れる、人材確保とサービスの質向上のため、損益分岐点を意識しつつも、人件費を手厚くするなどを挙げました。

今回の介護報酬改定は、多くの介護施設の運営を赤字へと落としかねないほどのマイナス改定でした。その中で、介護職員の処遇だけ改善するというのは厳しい現実であると感じます。例えばそうなると他の職種の方は蚊帳の外で業務に支障をきたさないのでしょうか。一部の職員だけが頑張っているわけではありません。すべての職員が表裏になって関わりあって事業を運営しているはずなのですが、そういうところまでは政府には見えないのでしょうか。とにかく、4月から半年以内に多くの施設がはっきりとした明暗を分けることになるでしょう。








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2015年2月16日月曜日

ドクターヘリの広域連携 群馬県 埼玉県

埼玉県と群馬県が県境を越えたドクターヘリの運用を始める方針を決めたことが2月12日に分かりました。出動範囲はそれぞれの基地病院から50キロ圏内で、早ければ3月中にも広域連携に関する協定を締結し、運用を始める見通しとなっております。






群馬県は2011年に北関東3県の広域連携に参加し、群馬県のドクターヘリが栃木県内の一部地域に出動しています。群馬県と埼玉県の両県の連携では、重複要請や多数の傷病者が発生した場合といった北関東3県と同様のルールが適用されるとみられています。
 群馬県から、埼玉県の熊谷市や行田市、深谷市など9消防本部の区域、埼玉県からは群馬県の伊勢崎市や太田市など4消防本部の区域にそれぞれ出動する方針です。今後、連携訓練を行った後、協定を締結する予定となっております。
 北関東の広域連携に参加している群馬県では、県境の一部地域で群馬県と栃木県、埼玉県の3県のヘリの要請が可能となり、事故などで多数の傷病者が発生した場合、複数のドクターヘリを現場に投入できるメリットがあるといいます。
 県境の救急搬送をめぐっては、群馬県と埼玉県の両県は2014年4月から救急搬送情報の相互閲覧を開始していました。埼玉県によると、2014年10月末までに埼玉県から1329人、群馬県から151人の救急搬送に活用されました。

これから地方の高齢化率が高まり、また労働者人口の縮小により医療提供の行き届かない地域というのは想定した取り組みが各都道府県に必要となってきます。その一つとして、ドクターヘリも重要な存在であります。ただし、救急車のような高頻度の出動要請があることは望ましいとは言えず、できれば出動が無いに越したことはありません。ただし、国が目指している地域包括ケアシステムという体制が構築されていけば、医療機関がどうしても希薄な地域もでてきてしまうのではないか、また医師の領域が広がりすぎて、診れる患者数が相対的に減少するリスクもあることを念頭においた地域づくりが必要だと思います。ただ、高齢者の独居はますます増加の一途をたどっております。








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2015年2月15日日曜日

7対1算定病院はわずか10病院の減少のみ

全国自治体病院協議会は2月12日の定例会見で、自治体病院での一般病棟入院基本料7対1の算定病院について、改定前後で10病院の減少にとどまっていることが明らかになりました。全国自治体病院協議会が実施した改定前後の各種届出状況の調査結果で示されたもので、7対1から10対1への移行要因は「重症度、医療・看護必要度」の基準を満たす患者15%以上の要件を満たせなかったことが最も多い状況でした。






全国自治体病院協議会の調査は、2014年11月末に会員施設の中で対象施設1080施設(会員病院と診療所)に対して2013年7月1日と2014年10月1日(9月末の経過措置終了後)時点の施設基準等の届出状況などを調べました。回答施設は687施設、その内会員病院の回答は618病院でした。一般病棟入院基本料を算定している528病院を対象に集計した結果、2014年度診療報酬改定で算定要件が厳格化された7対1入院基本料の算定病院は2013年7月に260病院でしたが、2014年10月には250病院となり10病院が減少しました。改定前に比べ22病院が1 0 対1に移行する一方で、10対1から7対1に移行したのが12病院で、差し引き10病院の減少となりました。全国自治体病院協議会は、10病院の病床規模について「把握していない」としています。7対1の算定で最も厳しかったのは「重症度、医療・看護必要度」の基準を満たす患者15%以上という要件でした。今回調査では7対1算定病院では、「重症度、医療・看護必要度」の割合が15.0%~19.9%の範囲に169病院、全体の約7割が集中していると分析しました。さらに、7対1入院基本料の新たな要件となった在宅復帰率 (75%以上) は、247病院の回答で平均92.4%と高い数値となりました。邊見公雄会長は「7対1の減少がわずか10病院にとどまったこの結果は、自治体病院では7対1算定に馴染まなかった施設がそもそも少なかったとも言えるのではないか」との認識を示しました。
さらに、邊見会長は「新年度以降、地域医療構想ガイドラインの策定作業の中で自治体病院が一方的に不利益を被ることがないよう各都道府県に対して要望書を提出していきたい」との考えも明らかにしました。地域医療構想ガイドラインでは、稼動していない病床への対応などについて、公的医療機関には削減の命令・指示などが想定されています。

病床機能報告に続き、C1等の境界点の見解が出てきて、いよいよ機能分化が本格的に始まろうとしています。特に現在7対1で急性期病院として医療圏で奮闘している病院においては、他の病院の動向も気になりますが、ほとんどの病院は急性期を続けたいしできることなら高度急性期の役割を担い、医療圏での存在感を表したいと考えているようです。大学病院を必ずしも高度急性期とみなさないという見解もありますが、それでも外れる大学病院の方がまれでしょう。22の病院が10対1へと移行したにもかかわらず逆に7対1へと移行した病院の存在はさすがの厚生労働省も想定していなかったのではないでしょうか。各都道府県ならび各医療圏でどのような協議の場が設けられるのか。とても現状の延長線上ではまとまる道筋が見えてきません。








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2015年2月14日土曜日

高度急性期と急性期の境界点 C1

厚生労働省医政局地域医療計画課の北波孝課長は2月12日の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」(座長=遠藤久夫・学習院大経済学部長)で、地域医療構想(ビジョン)に2025年の病床必要量を盛り込むために設定する医療機能別の境界点の検討状況を明らかにしました。患者に対する診療報酬から入院基本料などを外して治療行為だけを換算する出来高点数で、「高度急性期と急性期」(C1)は3000点、「急性期と回復期の境界点」(C2)は600点、「回復期と慢性期・在宅医療等の境界点」(C3)は225点を目安に検討を進めていると説明しました。






 北波課長は境界点を設定するための考え方も提示されました。C1については、必要な診療行為の例として、非侵襲的人工呼吸器、心エコー・心電図、観血的肺動脈圧測定、胸部レントゲン、点滴管理、薬剤、血液検査、の7項目を挙げ、「これを計算すると3000点程度になる」と述べられました。C2は、DPCの入院期間ⅡとⅢにおける全疾患の平均資源投入量に基づき、NDBのレセプトデータなども反映させた数値と説明されました。C3では、診療行為の例として「補液+点滴管理+ドレーン」を挙げました。「慢性期と在宅医療等」については、療養病床の県単位の入院受療率(人口10万対)を低下させる「目標の設定」をもって「医療需要の推計」とする方向性が決まりました。目標は全国の受療率の中央値レベルから最小値レベルまでの範囲とする方向です。
また、医療機能別の病床必要量を算出するための手法も議論され、厚生労働省は医療機能別の医療需要を病床稼働率で割り戻す案を示しました。その上で、医療機能別の病床稼働率として、高度急性期=75%、急性期=78%、回復期=90%、慢性期=92%を提案しました。 日本医師会副会長の中川俊男構成員は「高度急性期と急性期はもう少し低い方がいいのではないか。回復期も高い。一方で、慢性期はもう少し高くてもいいのではないか」などと指摘されました。慢性期の病床必要量については、「慢性期と在宅医療等」として推計した医療需要から抜き出して算出するための考え方として、療養病床における「医療区分I」の 70%、 療養病床で「回復期 リハビリテーション病棟入院料」を算定している患者、一般病床で「境界点C3」未満の患者を慢性期の医療需要から除外することを提案しました。構成員からは、C3未満が「在宅医療等」に位置付けられることになることについて、医療関係者は納得できないのではないかとの意見などが出ました。

C3については、まだ論議されるかもしれませんが、C1については3000点というラインでほぼ確定だと思います。これまでもHCUが一つの目安であるともいわれておりました。ただし、境界点は確定したとしても先日の病床機能報告の内容とのかい離もあると思われます。各医療圏でどこが高度急性期を担っていくのか。急性期病院としては是が非でも高度急性期で引き続き医療圏での存在価値を発揮したいと考えている病院長もいらっしゃいますが、これから高齢化が進み、各医療圏でも疾患の構成割合は大きく変化していきます。7対1もまだまだ多い中で、国の締め付けは厳しくなることは間違いないでしょう。それでも高度急性期を目指していき、病院として本当に地域の医療ニーズに貢献できるのかどうか、今一度検討しなければ、もう動き出している病院は新しい体制に向けて取組み始めています。








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2015年2月13日金曜日

まちかど「がん相談室」開催  セミナーや個別相談などで緩和ケアを啓発

まちかど「がん相談室」in大阪が2月11日、JR大阪駅北側の複合施設「グランフロント大阪」で開催されました。緩和ケアを正しく知ってもらおうと、7人の講師がセミナーを実施したほか、近畿圏にあるがん診療連携拠点病院のがん相談支援センターの相談員らが個別相談に応じるという珍しい試みもありました。






このイベントは厚生労働省から委託された日本緩和医療学会の緩和ケア普及啓発事業の一環で、同学会として初めての試みでした。開催場所が祝日の買い物客でにぎわう商業施設とあって、多くの人が立ち止まって耳を傾けていました。
 セミナーは、緩和ケアってなに?、がんで痛いときどうすればいいの?、がんの治療ってどうするの?、がんの不安や心配はどうすればいいの?、いろんな生活の心配はどうすればいいの?、お薬の心配はどうすればいいの?、仕事やお金の心配はどうすればいいの?、という7つのテーマで、医師、看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカーがそれぞれ専門職の立場から分かりやすく平易な言葉で解説していました。
セミナーの中では、がんと分かった時点から緩和ケアを受けることの重要性や依然として根強い医療用麻薬への誤解の解消、痛みやつらさを訴えることの大切さなど、緩和ケアの有用性が繰り返し強調されていました。
 また、個別相談はプライバシーに配慮し、パーテーションで仕切られた8つのブースで実施され、朝11時から常時ほぼ満席の状態でした。1日で90組の相談を受け、相談内容は今後の治療方針に関する悩みや家族としての対応などをはじめ、中には「相談窓口が分からない」という相談もあったといいます。

がんに対する取り組みは、進めているもののなかなか市民に浸透しきれていないのが現状です。がん検診の受診率も上げてがん罹患率を抑えたいと考えておりますが、まずはがんに対する市民の誤った解釈の修正から必要であります。そのような視点からみて、今回のような市民向けの活動というのは地道な活動ではありますが、とても意義のあることだと思います。








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2015年2月12日木曜日

卵子凍結保存 浦安市 順天堂大浦安病院

千葉県浦安市は 2月6日、加齢による不妊を避ける目的で健康な女性が卵子を凍結保存する拠点整備に向け、順天堂大浦安病院での研究支援名目で2015~17年度の3年間に計9000万円を補助する方針を明らかにしました。専門資格を持つ職員の人件費や凍結保存費用に充当することが可能で、浦安市在住の女性は保険適用と同等の3割負担で利用できるようにします。2015年度分の3000万円を盛り込んだ当初予算案を市議会に提出します。






 日本生殖医学会は2013年、がんなどの医学的理由と、加齢など社会的理由による卵子、 卵巣の凍結保存を容認するガイドラインを決定しました。健康な女性の卵子凍結保存を手掛ける民間施設は複数ありますが、自治体が資金を拠出するのは初めてとみられます。松崎秀樹市長は「不妊治療で苦しんでいる人は多いが、国の制度は不十分です。浦安市が一石を投じることが、国の制度の充実に向けた第一歩になれば」と話されました。浦安市と順天堂大浦安病院の構想では、将来の出産に備えたい20歳から35歳ぐらいまでの健康な女性の卵子を凍結保存します。 男性の精子凍結保存にかかる費用も市民は3割負担で済むよう検討しており、対象年齢などの具体的な条件について協議を進めます。がんが見つかった女性が、放射線や抗がん剤治療による副作用で不妊になるのを避けるために凍結するケースも想定し、この場合の費用は1割負担にします。晩婚、晩産化が進み、加齢で妊娠が難しくなる「卵子の老化」も知られるようになりました。卵子凍結保存はこれを避けるための方策だが、一方で出産の先送りにつながるとの懸念も指摘されています。順天堂大浦安病院の菊地盤先任准教授は「早く妊娠、出産するメリットを知って白分の『産み時』を真剣に考えてもらうと同時に、現在、将来の妊娠に不安を感じている20~30代の女性に卵子凍結という選択肢もあるということを示したい」としています。

卵子凍結保存について、確かに両論あるかもしれません。良い面とあまり良くない面があったとしても、少しでも良い面のおかげで幸せな生活をおくれることができる方がいるのなら、医療はその方々のために尽力するべきだと私は考えております。特に日本人はリスクに対する警戒心が強い人種です。それが良い悪いは別として、これから生活スタイルはもっと多種多様に変化していくと考えられます。そうなれば医療もそれに応じて変化し進化して対応できるようになっていかなくてはいけないと思うのですが、私はマイノリティなのでしょうか。








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2015年2月11日水曜日

非営利ホールディングカンパニー型法人制度 地域医療連携推進法人 (仮称)

厚生労働省の 「医療法人の事業展開等に関する検討会」(座長=田中滋・慶応大名誉教授)は2月9日、非営利ホールディングカンパニー型法人制度として検討していた「地域医療連携推進法人(仮称)」(非営利新型法人)の創設など医療法人制度改革を提言する報告書を取りまとめました。






厚生労働省は報告書を反映させた「医療法の一部を改正する法律案」の3月下旬までの国会提出を目指します。報告書は主に、非営利新型法人の創設、医療法人制度の見直し(経営の透明性確保とガバナンスを強化)、社会医療法人と特定医療法人以外の持分なし医療法人の分割を可能にする、社会医療法人の認定要件見直し、の3点で構成されています。非営利新型法人に関する主な内容は、都道府県知事が認定する一般社団法人、理事長は都道府県知事が認可、事業を展開する範囲は地域医療構想区域を基本に知事が認 定、参加法人は事業展開範囲で医療機関を開設している非営利法人、主な業務内容は複数の参加法人に関する統一的な「連携推進方針(仮称)」の決定、一定条件下で医療機関の直接経営や、非営利新型法人内での病床の融通が可能、定款で1法人1議決権以外の取り扱いを定めることが可能、参加法人への関与は事項ごとに「意見聴取・指導」か「協議・承認」を選択、などです。このほか、新型法人が地域医療連携推進協議会 (仮称)を開いて決める「連携推進方針」と、都道府県の地域医療構想との整合性の確保を求める方針も示しました。
医療法人制度の見直しでは、「一定規模以上」の医療法人に会計基準 (四病院団体協議会の医療法人会計基準を基本に検討)の適用や、公認会計士などによる外部監査、計算書類の公告(官報公告かインターネッ ト上での公開)を義務付けます。医政局総務課の土生栄二課長は「一定規模以上」の範囲については「前回、基本的な方向性について議論していただいたので、今後、政府内で調整する」と述べるにとどめました。厚生労働省は前回会合で、負債100億円以上の法人が公認会計士か監査法人による監査か指導を受けることが望ましいと提案しました。構成員からは、公益性の観点から負債以外の基準も検討するよう求める意見が出ていました。社会医療法人については、「救急医療等確保事業」を行っている場合やへき地医療に関する特例的な要件見直しのほか、社会医療法人の認定取消後も収益業務を継続することができる経過措置の創設を求めています。

徐々に非営利ホールディングカンパニー型法人制度「地域医療連携推進法人(仮称)」が固まってきました。ただ都道府県ならび各医療圏では、まだその運用実態が鮮明に見えてこないだけに、どこも勇み足といったところでしょう。その中で岡山大学メディカルセンター構想といして先陣を切って始めている岡山大学の動きが気になるところです。ただそうなると地域でイニシアティブをとって進めることができるのは、やはり医局を持っている大学病院となるのが自然の流れなのでしょう。








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2015年2月10日火曜日

介護報酬改定 での賃金改正は実現できるか

4月からの新たな介護報酬が2月6日に決まりました。訪問介護など在宅サービスに手厚く配分しつつ、特別養護老人ホーム(特養)などの施設向けは大幅に引き下げになります。政府は平均単価を2・27%減額する一方で、人手不足が深刻な介護職員の賃金増を目指すとしていますが、減収が予想される事業者にとって賃上げ実現は難題であると感じます。






 東京都内で特養を運営する社会福祉法人の幹部は、 「パートや非正規ばかりで、長く勤められる正規職員を確保できない」と嘆いています。業務の負担が重いことなどを理由に退職者が相次ぎ、数年前に比べ職員が約30人減っています。日常業務の中心をパートに頼らざるを得ないという現状です。 2014年12月時点で、介護関係職種の有効求人倍率は全国平均で2・68倍でした。売り手市場の上、低賃金と重労働のイメージから人材確保が非常に難しい状況です。法人幹部は「同業者間で優秀な人材の奪い合いも起きている」と話しています。 夜勤に急な欠員が出れば、正規職員が休日返上で出勤しています。重くなるばかりの負担に、うつ病を患う職員も出てきている職場もあります。職員の負担を減らそうと悩んだ末、退所者が出てベッドが空いても、新規入所の受け入れ手続きの一時停止を検討しているところもあります。 空きベッドがあるのに、職員が足りないため受け入れが困難です。特養の待機者は全国で約52万人に上るが、こんな矛盾した事態が起きています。
  今回の報酬改定で厚生労働省は、職員1人当たり月1万2千円の賃金増となる「処遇改善加算」の拡充を目玉に掲げました。 加算による収入が事業者の運営資金などに回っては、職員の賃上げに結びつきません。そこで厚生労働省は、賃上げの計画や実績の報告を事業者に義務付けました。加算を獲得するには、(1)賃金体系の整備(2)研修の実施(3)正規職員への転換などに取り組む、の条件を課し、処遇改善を確実なものにしたいと考えています。 だが、利用者減少などで収入が落ち込んだ場合は、職員給与を下げて加算報酬で穴埋めすることも例外的に容認しています。この場合は賃金増が望めないが、厚生労働省幹部は「条件を厳格化し過ぎると、そもそも加算を受けない事業所も出てくる」と説明しています。 処遇改善加算で実際に賃上げは実現するのか。懐疑的な見方も多い状況です。2月6日の社会保障審議会の分科会では、委員から「賃金アップは極めて不確かだ」との指摘が相次ぎました。国会論戦でも、民主党の山井和則衆院議員が「収入が減る事業者が、どうやって賃金を上げられるのか。机上の空論だ」と批判しました。
  兵庫県伊丹市で特養を運営し、訪問介護も手がける社会福祉法人の理事長は、在宅サービス重視の改定をにらみ、訪問介護の業務量を増やすことも模索しています。しかし「介護に不慣れな新人職員は目が届く施設の方が教育しやすい。経験が問われる在宅は人材確保のハードルがより高い」と頭を抱えています。 都内の福祉系コンサルタントは「小規模事業者は淘汰(とうた)される可能性もある」と指摘しています。「事業者にとっては厳しい『いばらの道』だが、給与増を実現しなければ人材は集まらない。改定で厚労省の誘導するサービス内容に合わせなければ生き残れないだろう」と話しています。 埼玉県八潮市の自宅で要介護度5の母(91)を介護する関正子(せき・まさこ)さん(63)は「事業者の経営が立ちゆかなくなって、私自身が介護を受ける頃には近所から撤退してしまうのでは」と心配しています。

今回の介護報酬の改定は、介護職員の処遇改善加算を最大のアメとして掲げられています。しかしその最大のアメは本当のアメとなるのかどうか、懐疑的です。それでも社会保障費の抑制は政府の大きな課題でもあり、厚生労働省も財務省からかなり責められているのは事実です。ただ、それでも本当に介護の現場にまで目を向けて頂かなければ、すべてが絵に描いた餅となってしまうと思いますが、はたしてどうなるのでしょうか。








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 調査は国民の医療に関する意識を把握し、今後の政策立案に活用するデータを収集することが目的です。今回は2014年8月、全国の20歳以上の国民を対象に面接調査 (1122人)とウェブ調査(5667人)を実施しました。ただ、調査結果については面接調査のデータを基本に公表しました。 実際に受けた医療の満足度を聞いた質問では、「満足」「まあ満足」と回答した人が合わせて89.6%となり、前回調査から13ポイント増えました。医療全般については 69.5%となり、前回に比べて7.1ポイント増でした。一方、受けた医療に満足していない人にその理由を問うと、「待ち時間」が44.4%で最も高く、「医師の説明」が43.3%、「治療費」が41.4%と続きました。医療全般に満足していない人は、国民の医療費負担 (50.4%)、医師の体制 (39.5%)、効率性・利便性(38.7%)などを理由に挙げています。国民が考える医療の最重点課題 (複数回答)を調べたところ、前回調査でトップだった「夜間や休 日の診療や救急医療体制の整備」は49.6%となり8.0ポイント減で、「高齢者などが長期入院するための入院施設や介護老人保健施設の整備」が2.8ポイント増の56.4%でした。年齢別では40代以下の若年層は「救急」、それより上の高齢層は「長期入院」と回答する傾向を示しました。かかりつけ医に関する調査も行いました。全体の53.7%が「かかりつけ医がいる」 と回答し、健康状態が良いと回答している人の48.4%にかかりつけ医がいました。調査した全ての世代で、かかりつけ医がいる人ほど受けた医療への満足度が高く、健康のために多くのことに気を付けているとのデータも出ました。WPは「より多くの国民がかかりつけ医を持てるために、医師会や行政による積極的な情報提供と働きかけが求められる」 としています。

我々は、満足度より満足していない点について注目すべきですが、確かに待ち時間は大きな問題です。よく健康でなければ病院に掛かれないなどと揶揄されることがあるほどです。ただ医療の最重要点課題は、これからの老後の生活の場所についての不安感からです。国は病院ではなく自宅で看取りをと言っていますが、在宅に介護力があれば可能です。ただ、核家族化が進む中で、独居の率も高くなっています。その環境下で本当に在宅での看取りは可能なのでしょうか。医療費を抑制するためだけに、在宅へ誘導するのは、本当に国民のためなのでしょうか。








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2015年2月8日日曜日

同一建物中心の訪問で在宅収入減少

 同一建物のみを中心に訪問薬剤管理指導を実施している薬局の4軒に1軒は、在宅訪問収入が減少していることがわかりました。これは先ほど開催された中央社会保険医療協議会(中医協)で公表されたもので、平成26年の調剤報酬改定の影響を調べました。その一方で、同一建物以外にも訪問薬剤管理指導を実施している薬局ではほとんど変わらないと回答した場合が多く、今回の改定は主に施設系を中心にした訪問業務を行っていた薬局に大きく影響したことが数字のうえからも明らかになりました。






 調査は同一建物における同一日の複数訪問の在宅患者訪問薬剤管理指導の実施状況の把握などを目的に行われたもので、個人・チェーン薬局など564軒から回答を得ました。調査は平成26年3月と7月を比較しました。
 薬学的管理及び指導の実施状況の比較では、総患者数3月31.4、7月31.7となっており、また日数でも3月23.3日、7月24.1日で、この結果について中医協では、「在宅で実施した薬学的管理及び指導の総患者数、延べ日数に変化は見られなかった」と結論付けています。
 回答薬局の1カ月間の取扱い処方せん枚数は平均1639.3枚。近隣の診療所から発行される処方せんをメーンに対応するのが40.9%で最も多く、さまざまな医療機関からの処方せんを応需しているが31.8%で続き、特定の病院からの処方せんを応需している薬局は23.3%となっています。
 在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定の有無では、半数以上となる55.6%が「算定していない」と回答しており、その理由では「介護保険適用の患者」が58.1%で最も多かったものの、「医師の指示がない」が12.3%見られました。
 平成26年の診療報酬改定による影響等について、同一建物のみに訪問業務を実施している薬局とそうでない薬局に訪問件数や回数、収入について尋ねたところ、制限等が設けられた同一建物中心の薬局において芳しくない状況が垣間見えるものとなりました。同一建物のみの保険薬局では訪問件数は「変わらない」が57.1%で最も多かったものの「減った」「やや減った」を合算すると約25%がこれに該当し、訪問薬剤管理指導に係る収入と回答する割合も25.0%に達し、約4分の1の薬局で件数・回数・収入が減少したことが判明しています。
 その一方、同一建物以外の薬局においては大きく影響を受けた項目はなかったものの、8.5%で収入が減少したと回答しており、全体としては大きく影響を受けた薬局は少数に留まったが、在宅医療推進の流れの中における改定としては厳しい結果が示されました。

これから地域包括ケアシステムを構築していくにあたり薬局(薬剤師)の存在というものは軽視できません。これからは多職種連携を進めていき、地域住民の参加参画も狙っていかなければならないのです。そのためには薬局の担える役割というのはとても貴重であります。同一建物への減算で厳しい局面に立たされているのは薬局だけではありません。まじめに訪問診療を行なってきた診療所でも同様に減算の影響を大きく受けております。今の制度が必ずしもゴールではなく、本当に求められている地域包括ケアシステムを構築するための制度の見直しが行なわれることを切に願います。








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2015年2月7日土曜日

介護報酬 2015年度 マイナス改定

厚生労働省は2月6日、介護保険サービスを提供した事業者へ支払う介護報酬の2015年度改定案を社会保障審議会(厚労相の諮問機関)介護給付費分科会に示し、了承を得ました。全体では2.27%の引き下げで、特別養護老人ホーム(特養)を中心にほぼ全ての基本報酬を減額する一方、在宅介護を支援するサービスに対しては加算を手厚くなりました。






 人手不足が深刻な介護職員の待遇改善では、消費税率8%への引き上げによる増収分を使って、1人当たりの給与を月1万2000円の引き上げとなりました。
 介護報酬は3年ごとに改定されます。引き下げは2006年度以来、9年ぶりとなりました。マイナス改定は事業者にとっては収入減少となるが、利用者や介護保険料を支払う人にとっては負担の増加が抑えられることとなります。 厚生労働省は、団塊の世代が75歳以上になる2025年に向けて、介護、医療、生活支援など暮らしに必要なサービスを高齢者が住み慣れた地域内で受けられる「地域包括ケアシステム」の構築を目指しています。


 改定率の▲2,27%の内訳は、在宅▲1,42%、施設▲0,85%


改定内容は、予想通り全事業において引き下げられ、地域包括ケアの推進事業である訪問看護、小規模多機能、複合型サービス、定期巡回・随時対応サービスが対応如何で僅かプラス改定となっており、通所介護においては、大幅減収を余儀なくされる結果となっております。塩崎恭久厚労相は、「認知症なども増えてますから、今回の全体のマイナス改定であっても、重度・中度の要介護者のケアはしっかりやる」と述べられましたが、現場からは介護報酬の引き下げは、サービスの質の低下につながると不安の声があがっています。

介護報酬のマイナス改定で、介護事業者は経営が厳しくなります。しかし、地域包括ケアシステムの構築ということで、居宅介護の役割は大きくなるはずですが、国の目指す方向が定まっていないと感じてしまうのは、私だけではないと思います。








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2015年2月6日金曜日

オーダーメード医療 静岡がんセンター

静岡県立静岡がんセンターでは、患者の遺伝子情報をがんの医療に生かすプロジェクトを進めています。オーダーメードな治療やがんの早期発見、予防にも活用しようという試みです。






静岡県立静岡がんセンターは2014年1月から、「プロジェクトHOPE(希望)」と名付け、患者個々人の遺伝子情報を、がん診療に生かす取り組みを進めています。 対象者は静岡県立静岡がんセンターでがん摘出手術を受ける患者の約3分の1程度を占めます(年間約1000人)。3年間で3000人について、がん特有の遺伝子の変化やタンパク質の異常、代謝産物の異常などを統合的に解析し、患者一人一人の診断や治療に還元させていきます。その成果は、新しいがん診断・治療の研究開発にも役立てることができます。「一つの病院で手術を受ける患者について、これだけの解析を行い、その結果をリアルタイムに診療に生かす試みは、世界的にも例がない」と静岡県立静岡がんセンターの山口建総長はおっしゃっています。
 プロジェクトHOPEの目標は、患者個々人向けの「がんの個別化医療の推進」、がんを予防する「未病医学の実践」、そして「医療スタッフ・研究者の学習」「研究と開発」の4点です。
 「がんの個別化医療の推進」においては、すでに2014年8月の時点で、当初収集した220例の分析によって、がんの増殖・進展に関わる可能性が高い遺伝子変異や遺伝子発現異常が74%の症例で見つかっているといいます。臨床の現場では、こうしたデータを用い、患者一人一人のがんの性質を把握しておくとともに、再発に万全の体制で備えることができます。例えば将来、再発した場合には、個々のがんの特性に見合った抗がん剤の選択を確実かつ迅速に行うことができるのです。 一方「未病医学の実践」は、文字通り“いまだ病に至らざる時期”から早期発見・早期治療を目指します。ベースとなる「未病の思想」は、中国最古の医学書『黄帝内経』に登場する考え方だが、現代医学でも重要な意義を持っています。 具体的には、がん細胞ではない、正常組織である血液細胞を採取して調べることによって患者の体質に関する遺伝情報を知り、予防医学に生かしていきます。 明らかになった遺伝情報は、遺伝性がんやがん以外の遺伝性疾患の発症予測、予防的治療、あるいは血縁者の診療にも役立てます。すでに、遺伝性がんのほか、遺伝性消化器疾患や心疾患が発見され、遺伝カウンセラーの支援の下、診療が進められているといいます。 無論、治療中の患者へのメリットも大きいものです。「医療スタッフ・研究者の学習」が進展すれば、同院のがん診療の質は一層向上するからです。 例えば乳がんのホルモン療法は、ある種の「薬物代謝酵素」が欠損している場合には効果がないが、それを知ることができれば、あらかじめ治療法から除外することができるようになります。また、個々の薬がどういった患者に対してアレルギーを起こしやすいかといった研究が進めば、治療中のショック症状などを減らすことも可能になります。
プロジェクトは2年目に突入しており、2017年の成果報告に、大きな期待が寄せられています。

これから医療は治療だけでなくその領域を大きく拡大していくことになっていきます。それも特徴を際立たせて差別化をしながらの拡大が求められていきます。特に予防部門については、がんに限らず注目されております。ただ悪性新生物の疾患率が高い中で、がん検診の受診率の向上に各市町村が取り組んでいる中、静岡県の受診率にどのように影響し、また早期発見・治療の件数アップするか、期待するところが非常に大きいです。








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2015年2月5日木曜日

看護師の特定行為 日本看護協会

日本看護協会の坂本すが会長は、2015年10月に始まる看護師の特定行為に関する研修制度の周知徹底、円滑運用のため、日本看護協会として積極的に協力する考えを示しました。特に、看護師に専門性を発揮させるための研修体制をいかに組むかを 最重要課題に挙げた上で「研修を受講するパターンが複数想定されるため、内容を整理して研修体制を構築することが重要」との認識を表明されました。






2月に開く予定の理事会で制度定着に向けた具体的な活動方針を決めるとしました。医道審議会の保健師助産師看護師分科会「看護師特定行為・研修部会」が同制度の骨格としてまとめた研修内容や時間数、特定行為の範囲などについては、「研修項目内容や、時間数設定に日本看護協会の考えが一定程度反映された」 と評価されました。特定行為候補だった「経口・経鼻気管挿管の実施」と「経口・経鼻気管挿管チューブの抜管」の2項目が制度開始時の特定行為の範囲から外れたことについては「医療現場の需要にできるだけ対応するために検討してきた行為で、委員の大半が特定行為に含めることに賛同しており、2項目を含めた範囲拡大を引き続き議論してもらいたい」 と求めました。
日本精神科病院協会が中心となって准看護師のための全国組織「日本准看護師連絡協議会 (仮称)」を設立する準備を進めている状況については、「どのような動きがあったとしても、准看護師の養成停止と看護師養成への一本化を求めていく方針は変わらない」とあらためて強調されました。「准看護師が看護師資格を取得する際の奨学金制度を拡充するなど、准看護師への支援は継続している」とも述べられました。坂本すが会長は、医療機関の勤務環境を改善する必要性にも言及されました。「国は2025年に200万人の看護職が必要としている。それを実現するには離職防止・定着対策につながる労働環境の整備が不可欠です。離職につながる最大の要因は夜勤と長時間労働の負担だ」との見方を強調されました。入院基本料の夜勤72時間要件をさらに緩和するよう求める意見があることについては「タクシーや高速バスの運転手のように拘束時間や実働時間の上限を定めるなど、労働分野での法整備が本筋。それがない限りはあり得ない」と述べられ、 引き続き反対する姿勢を示しました。

2025年に向けて、看護師の不足が大きな問題となっております。その問題にいかに策を立てていくかが今後の課題ではありますが、特定行為の2項目を除外とされたこともありますが、日本看護協会はこれからどのように舵を切り進んでいくのか、医療業界を大きく左右に影響を及ぼします。ただその中で看護師のWLBが最近よく挙げられていますが、看護師に限った話ではなく、医療の現場はまだまだ過酷な労働環境が改善されていません。個の力だけでなく連携を図り組織で対応することが必要になってくると思うのですが、まだまだそこまでは多くの医療機関では道半ばです。








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2015年2月4日水曜日

埼玉県の大学病院整備計画 順天堂大と日本保健医療大

 医師不足などの改善を目指し、大学附属病院を公募していた埼玉県は2月2日までに、順天堂大(東京都文京区)と日本保健医療大(埼玉県幸手市)から病院整備計画書の提出があったことを明らかにしました。順天堂大はさいたま市、日本保健医療大は幸手市に附属病院を整備する計画です。埼玉県は3月に開かれる県医療審議会の意見を踏まえ、計画を採用するかどうか決定します。






 埼玉県の人口10万人当たりの医師数(2012年末現在)は148.2人で「全国ワースト1」でした。埼玉県は医療需要の増大に対処するため、大学附属病院を誘致することを決め、医学系大学院の併設や、医師確保が困難な地域への医師派遣に協力することなどを条件に、1月5日から1月30日まで整備計画を受け付けていました。
 埼玉県によると、順天堂大は約800床の附属病院に加え、定員240人程度の大学院医学研究科や、看護学校を設置計画です。2018年3月に着工、2020年度内の完成を目指す方針で、候補地として、さいたま市緑区と岩槻区周辺を挙げているといいます。
 一方、日本保健医療大は約600床の附属病院を、埼玉県から購入した旧幸手高校の跡地に設置を計画しています。ただ、日本保健医療大は看護学科のみの単科大のため、医学部や大学院の設置認可を申請する方針だといいます。


埼玉県は、圏央道以南は埼玉医大病院、さいたま赤十字病院、自治医大病院、獨協越谷病院、防衛医大病院などがあります。医療過疎地なのは、圏央道北部地域であり、地域のバランスを考えて配置・誘致するべきではないでしょうか。特に医師が不足している地域は北部であり、東京都に近い地域では患者の流出も起きており、そこまで踏まえて検討して頂きたいものです。








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2015年2月3日火曜日

インフルエンザ患者 1000万人を超えた

 国立感染症研究所は1月30日、今シーズンにインフルエンザで医療機関を受診した患者の推計が1000万人を超えたと発表しました。1月19日から1月25日までの週(定点医療機関約5000か所)の定点当たりの患者報告数は、前週比7%増の39.42人となり、3週連続で警報基準値の30.0人を上回りました。






 都道府県別では、宮崎県が最も多い86.05人を記録しました。鹿児島県(78.59人)や山口県(75.12人)、熊本県(71.68人)、大分県(71.57人)、佐賀県(70.03人)、沖縄県(65.16人)、福井県(63.31人)、愛知県(60.98人)、福岡県(60.72人)などでも多い状況でした。
 この週に全国の医療機関を受診した推計患者数は、前週よりも9万人少ない約192万人でした。年齢別では5―9歳(約39万人)が最多でした。10―14歳(約31万人)や0―4歳(約22万人)なども多かった状況でした。2014年9月以降の今シーズンの累計患者数は1017万人となりました。
 ウイルスの検出状況については、直近の5週間ではAH3 亜型の検出割合が最も多く、次いでB型、AH1pdm09の順でした。基幹定点医療機関から報告のあった入院患者数は1644例で、前週(1797例)よりも減少しました。

学級閉鎖などが増えてきている状況で、各医療機関も注意が高まってくる時期です。どうして体力が弱まった方の感染はリスクが高いだけに細心の注意が必要となっています。手洗いうがいの励行はもちろんのこと、マスク着用による予防も必要となります。このピークを越えると次は花粉症の季節が到来します。私は当分マスクが外せない生活が続きます。








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2015年2月2日月曜日

外国人医師の日本人診療

神奈川県の黒岩祐治知事は1月28日、東京圏国家戦略特別区域の「神奈川県健康・医療分科会」で、東京圏国家戦略特別区を活用した事業展開に必要な規制改革・制度改正事項を示しました。






 外国人医師に日本人患者の通常診療を認めることや、特定機能病院などの医療機関にも保険外併用療養の実施を認めることなどを求めています。外国人医師では、日本との二国間協定に基づき来日する医師の業務範囲拡大として提案されました。現行では、一定の条件下で自国民に対する診療を認めていますが、国家戦略特区では今後、自国民以外の外国人一般に対する診療も認める方針です。黒岩知事は、診療対象を日本人患者にまで拡大するよう提言しました。 保険外併用療養では、国家戦略特区内で実施される予定の審査迅速化の対象となる医療機関の範囲拡大として提案されました。保険外併用療養の審査迅速化は、改正医療法に基づく臨床研究中核病院と、厚生労働省の先進医療会議が設けた基準で「臨床研究中核病院等と同水準の国際拠点」と認められる医療機関を対象とします。先進医療会議の基準では、早期・探索的臨床試験拠点と臨床研究中核病院に必要な機能など高度な治験・臨床研究体制を示す資料の提出などを求めることが決まっています。 黒岩知事はこのほか、健康行動に関する積極性に応じて個人の医療保険料や企業が負担する後期高齢者支援金を加算・減算する制度、自己採血検査で血液アミノ酸濃度などを測定できるようにする厚生労働省の「検体測定室に関するガイドライン」の改正、理学療法士がスポーツクラブや地域コミュニティー施設でも身体機能改善のために医療用ロボットを活用できるよう医療法に関する省令を改正なども提言しました。今後は、内閣府地方創生推進室が国家戦略特区ワーキンググループを開催し、提案内容に関する規制を所管する関係省庁と協議し、実現の可否を検討します。

黒岩知事のこの提案は、まず実現困難でしょう。外国人医師の力量や二国間の協定の問題だけでなく、まず医師会が賛同するとは到底考えられません。ただでさえ医学部の増設を頑なに反対し、医師が増えることを拒んでいるのに、それを外国から受け入れるなんてまず賛同しないでしょう。ただ、これから日本はもっと観光等にも力を入れて戒告人観光客を受け入れていかなければならないという方向性はあると思います。それにうまく沿わせたいのでしょうが、何か大きなパースが忘れられているように感じます。








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2015年2月1日日曜日

市町村国保の赤字広がる

厚生労働省は1月28日、2013年度の市町村国保と後期高齢者医療広域連合の財政状況を 公表しました。市町村国保は、決算補填のための一般会計からの繰入金を除いた場合の精 算後単年度収支は3139億円の赤字でした。赤字保険者の割合は52.7%で3年ぶりに50%を超えました。






市町村国保の収入は総額14兆3494億円(前年度比1.4%増)でした。主な内訳は保険料が3兆1078億円(1.4%増 )、国庫支出金3兆2989億円(0.7%増 )、前期高齢者交付金3兆3474億円(4.0%増 )などでした。一方、支出は14兆863億円(1.4%増 )でした。 主な内訳は、保険給付費9兆3025億円(1.0%増)、後期高齢者支援金1兆8206億円(4.4%増)などでした。国庫支出金などの精算をした場合、単年度収支は405億円の黒字となります。ただ、決算補填のための一般会計繰入金3544億円を除いた場合の単年度収支は3139億円の赤字となります。赤字保険者は905団体で全体に占める割合は52.7%でした。赤字保険者の割合が50%を超えるのは2010年度(52.4%)以来3年ぶりです。保険料収納率は90.42%(前年度比0.55ポイント上昇)で、2007年度以来6年ぶりに90%を超えました。
後期高齢者医療広域連合は、前年度からの繰越金を反映した収支は4274億円の黒字、前年度国庫支出金等精算後の単年度収支は457億円の黒字でした。収入は総額13兆8975億円 (5.0%増)でした。主な内訳は後期高齢者交付金5兆5591億円(3.6%増 )、国庫支出金4兆 4274億円(5.8%増)、都道府県支出金1兆1145億円(2.9%増 )、市町村負担金1兆617億円 (3.3%増)などでした。支出は総額13兆4702億円(4.1%増)で、このうち保険給付費が13兆1383億円(3.6%増)でした。精算後の単年度収支が黒字となったのは43広域連合、赤字だったのは4広域連合でした。

市町村国保も厳しい運営状況であり2018年に都道府県へ移管してすぐに経ち直せるとは正直思えないところが多いのが正直な気持ちです。ただ、破たんさせることはできませんので、是が非でも各都道府県はスケールメリットを生かして再生せなばならない使命があります。今後、高齢者が増えていく中、抜本的な制度改正が必要不可欠となりますが、国民が生活しにくい、生きにくい、長生きしにくい社会にならないように願います。








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