2014年9月23日火曜日

9月末で在宅強化型から4割が撤退 長崎県保険医協会が緊急アンケート

 2014年度診療報酬改定で、強化型在宅療養支援診療所・病院(以下:強化型支援診等)の施設基準において、緊急往診および看取りの実績要件の引き上げが行われました。
 連携型では、これまでは連携体制ごとにクリアしていればよかった実績が個々の医療機関にも求められ、過去1年間に緊急往診4件、看取り2件が実績要件となりました。ただし、9月末までの経過措置が設けられ、9月30日までの6カ月間に緊急往診2件、看取り1件の実績があれば、2015年3月31日まで基準を満たしているものとして取り扱われます。 しかし、経過措置期限の9月末までに緊急往診及び看取りの件数を満たせなければ強化型の施設基準を取り下げなければなりません。 長崎県保険医協会では強化型支援診等の現状を把握する緊急アンケートを実施しました。その中で多くの強化型支援診等が基準を満たせず、強化型から撤退を余儀なくされる実態が明らかになりました。






調査は8月26日から29日までの期間で、長崎県内で強化型支援診等の届出を行っている93医療機関に対して行いました。FAXで調査票を送付し、47医療機関(病院5、有床診療所15、無床診療所27)から回答が寄せられました(回答率:51%)。単独型は2医療機関で、45医療機関が連携型の強化型支援診等の届出でした。
 9月末までに緊急往診および看取りの実績を満たせない医療機関は、回答の40%に当たる19医療機関に及びました。満たせない基準の内訳は、緊急往診の件数が1医療機関、看取りの件数が11医療機関、緊急往診と看取りの両方が7医療機関で、看取り要件を満たせないことが施設基準をクリアできない主因となっていることが明らかとなりました。強化型支援診等の役割はターミナルの患者に限定されているわけではなく、在宅死は一定の頻度で発生するものではありません。

 9月末の経過措置をクリアしても、2015年3月末までに次のハードルが待っています。10月以降は過去1年間に緊急往診4件、看取り2件の実績が要件となります。9月末に施設基準を「すでに満たしている」「満たせる見込み」と回答した28医療機関のうち、17医療機関が継続して施設基準を満たすのは「かなり難しい」「少し難しい」と回答しています。9月末までに施設基準を満たせない(見込みも含む)11医療機関と合わせると38医療機関となり、回答の81%に達っします。
 この傾向は病院・有床診の強化型支援診等ではさらに顕著となります。当初は在宅死を望んでいても、患者の死期が近付くと家族が入院を希望するケースは多いのです。長年在宅医療を行っている有床診療所の院長はアンケートの自由意見の中で、「有床診の場合、終末期は入院させることを希望され、年間看取りは10件以上あっても入院での看取りになり、在宅で看取ったのは30年間に5件以内である」と述べています。ターミナルケアを行っていても、最後は入院させて看取れば、強化型支援診等の施設基準としての看取りとしてはカウントされません。
9月末までに緊急往診及び看取りの実績を満たせない病院・有床診は、回答の55%に当たる11医療機関でした。残りの9医療機関のうち、施設基準を継続して満たすことは「難しくない」と回答したのは僅か2医療機関のみでした。

連携型の強化型支援診等では、連携医療機関の中の1医療機関でも施設基準をクリアできなければ、全体が施設基準を満たさなくなります。連携型45医療機関のうち、連携先医療機関が施設基準を「すべて満たしている」は10医療機関で、「一部満たしていない」が32医療機関でした。強化型を維持するためには、施設基準を満たさない医療機関を切り離さないとなりません。連携の要となる病院・有床診が施設基準を満たさず、連携グループから離脱すれば、今後の運営に大きな支障が生じます。
 施設基準を満たさなくなった場合の対応としては、「強化型以外の支援診の届出をだす」「強化型をクリアした時点で再届出をする」が多かったのですが、「往診・訪問診療で対応する」も4医療機関ありました。
 施設基準を満たさず強化型を取り下げた医療機関が連携のグループから離脱するか、あるいは強化型以外の支援診として低い点数でグループに残るかは個々の医療機関で判断の分かれる所です。しかし、いずれの選択をしたとしても不合理であることに変わりありません。
 アンケートの自由意見では、看取りの件数を施設基準の実績要件とすることに対する異論、反対の声が多く寄せられていました。「人を死なせないといけなくして、誘引を設定しているものに従うのは自分の倫理観にあいません」は多くの在宅医の実感であると思います。20年近く在宅医療に関ってきた看護師の、「亡くなる方を、家族を支えていきたいのに看取りのカウントを意識しながらでは、「早く死んでくれ」と願っているようで悲しいです」は切実な現場の声であります。
 今回の緊急アンケートは9月末に4割の医療機関が強化型から撤退し、10月以降を含めると8割の医療機関が強化型から撤退する可能性を示しています。厳しすぎる実績要件の引き上げと言えます。


地域包括ケアシステムの構築において、訪問看護の存在ばかりクローズアップされていますが、診療所の役割はとても重要なものです。いかに在宅で療養を続けていけるかは、主治医の機能を担う診療所の医師にかかるところが非常に大きいです。ただ、今回の診療報酬改定では、強化型在宅療養支援診療所の要件が厳しくなっております。全国的に見ても多くの診療所において強化型から離脱することが予想されています。ただ、在宅医療に対する熱意を失わずに、地域の医療を守り続けて頂きたいものです。







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2014年9月22日月曜日

健保組合の決算見込み 6年連続赤字

健保連は9月11日、2013年度の健保組合の決算見込みを発表しました。赤字額は前年度比で1811億円減の1162億円となりました。保険料率引き上げによる収入増と、法定給付費の伸びの鈍化で赤字幅は減ったものの6年連続の赤字決算となりました。
決算見込みは2014年3月末に存在した1419組合の決算見込み状況の集計からとなっております。経常収入7兆3413億円、経常支出7兆4575億円の差引額で1162億円の赤字となりました。収入面では報酬月額や賞与の上昇、保険料率引き上げなどで保険料収入が増加する一方で、支出面では法定給付費の伸びが低かったこともあり、前年度に比べて赤字幅が減りました。赤字組合は927組合、保険料率を引き上げた組合は565組合でした。支援金・納付金等総額は前年度比1411億円増の3兆2739億円で過去最高額となりました。被保険者1人当たり額は8962円増の20万9222円となりました。






自川修二副会長は同日の記者会見で「年々増加する高齢者医療への支援金、納付金負担が赤字の最大要因である状況は全く変わっていない」と述べ、高齢者医療の費用負担軽減のための制度改革を強く要請されました。また「高齢者医療への支援金、納付金負担は今後一層重くなることは明らかです。保険料率の引き上げによる対応はすでに限界に達しており、健保組合財政がより厳しいものになることは確実です」と強調されました。 健保連が実施する高額医療交付金交付事業での2013年度高額レセプト上位の状況もまとめられました。1カ月の医療費が1000万円以上のレセプトは前年度比82件増の336件で過去最高となりました。内訳は、先天性疾患が125件で最も多く、循環器系疾患95件、血友病53件、悪性腫瘍23件などと続きました。1カ月医療費が2000万円以上は13件増の36件、500万円以上も213件増の5018件で、ともに過去最高を更新しました。

診療報酬の問題は、病院サイドだけを注目してみていくわけにはいかず、支払う側の健保連の状況も加味しなければなりません。もちろん、国民の健康を維持するための健康保険組合ですし、そのための医療であるのですから、必要なところには厚く、そうでないところは抑制していかなければ、この赤字が続いている状況ははっきり言って異常事態です。制度の見直しを根本的に行なわなければ、難しいでしょう。








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2014年9月21日日曜日

患者申出療養について   日医中川副会長

来年の通常国会に法案が提出される予定の「患者申出療養」(仮称)について日本医師会の中川俊男副会長は9月12日、「中医協で責任を持って検討すべき課題です。患者団体等の懸念を払拭するためにも中医協できちんと検討を進めていくべきです」と述べられ、日医としても具体的議論に向け対応していく考えを示されました。患者申出療養については、厚生労働省保険局医療課の宮寄雅則課長も、今秋にも中医協案を取りまとめる方針を打ち出しています。






中川副会長は「患者申出療養は、評価療養の改良型だと思っています。運用における一つの課題は“患者に身近な医療機関"の決め方です。患者に身近な医療機関は、全都道府県を網羅するということと解釈できます。決して地域包括ケアシステムの中にあるわけではありません。大学病院本院、さらに拡大するのであれば、がん診療拠点病院となるのではないか」と指摘されました。患者申出療養の仕組みは、臨床研究中核病院と“患者に身近な医療機関"が 診療内容に応じて連携協力を図りながら進めていくとされています。中川副会長は「臨床研究中核病院は患者中出療養の仕組みのコアの部分になります」と指摘されました。「それだけに中医協・薬価専門部会でも取り上げられたディオバン等の問題は極めて深刻な状況と受け止めている」と述べられ、慎重な検討が必要としました。患者申出療養で鍵となる有効性と安全性の担保については「先進医療会議の中か、先進医療技術審査部会で担当していけばよいのではないか」と述べられ、患者、国民、医療関係者にとって分かりやすい制度にしていくことが必要としました。

一方、安倍晋三首相が年末に2015年10月の消費増税を決断し、増税分を診療報酬で補填するための期中改定が行われる場合、財務省側は市場実勢価格を反映させるため薬価調査が必要と主張しています。中川副会長は「2014年度診療報酬改定の薬価財源の扱い方は前例にならないと何回も申し上げています。期中改定での薬価調査は納得できない話です」と訴えられました。2016年度改定に向けた課題については「基本診療料では、医科の技術料をきちんと評価するということが重要です。2014年度改定で新設された地域包括診療加算の意味は大きいです。要件の中で、かかりつけ医が服薬管理まで行うことになっているほか、“院外処方から院内処方に戻すんだ"というメッセージにはインパクトがあった」とし、 「検証結果を見た上での判断だが、次期改定では要件の緩和なども検討したい」と述べられました。

日本の医療が今後いかなる道を進んでいくのか、患者申出療養がその一つを担う大きなポイントとなっていると考えられます。それゆえに、患者申出療養を行える病院にいかにしてなるか、高度急性期を目指している病院であればとても重要になってきます。またそうでなければ、急性期から地域包括ケアへのシフトを優先するべきであるし、厚生労働省としても大枠は考えているが、詳細については各面子をたてながら固めていくのでしょう。








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2014年9月20日土曜日

地域包括ケア構築の課題を議論  近医連・分科会

近畿医師会連合定時委員総会・第2分科会(地域医療)は9月14日、地域包括ケアシステムの構築をめぐり「医師間の意識の差をどのように埋めるか」「行政側が日ごろから現場の実態を拾い上げる姿勢を持つべき」など、今後の課題を持ち寄って議論しました。事前に6府県から集めたアンケートで、大阪府医師会は「市町村は次期介護保険事業計画の策定で、地域医師会との円滑な連携を視野に入れて計画策定する重要性をどこまで認識しているのか」と疑間を呈し、「現場の声に振り回されてしまうと事業計画の取りまとめが難しくなることは理解できるが、国や都道府県が示したガイドラインに沿った計画では意味がない」と指摘されました。






医師側の積極的な関与に加え、日ごろから行政側が現場の声に耳を傾ける姿勢を持つことも大事だと訴えられました。兵庫県医は意見を述べる中で、地域ケア会議などへの郡市区医師会の参加状況に温度差が見られると分析し、「地域のかかりつけ医が主導権を持つという意識を忘れてはいけない」と提言されました。奈良県医も地域包括ケアシステムの推進に関し、会員間で温度差が出ている現状があると説明されました。京都府医は、地域包括ケアという概念を論じるだけではなく、医療・介護従事者が直面する課題や地域の実情を踏まえた具体的な取り組みを個別に考えるべきとし、地域住民に地域包括ケアを知ってもらう働き掛けも不可欠と訴えられました。  アンケートでは新たな財政支援制度(新基金)をめぐる「都道府県計画」策定の関連で、大半の府県医師会と府県との協議はおおむねスムーズに進められたことも分かりました。「スムーズにできた」と答えたのは大阪、滋賀、奈良、和歌山、京都の5府県医でした。兵庫県医は県との情報交換について「昨年末に田村憲久厚生労働相 (当時)が新基金創設を明らかにした後、すぐに県側に意見交換を求めましたが、3月まで情報交換が行われなかった」とし、「スムーズに行えなかった」と回答しました。計画策定に関する各府県医の「役割」に関する質問では、大阪府医と兵庫県医が「郡市区医師会や関係団体から上がってきた要望について連絡協議会など設け、計画内容の調整など『取りまとめ役』として役割を果たした」と回答されました。「郡市区医師会や関係団体から上がってきた要望について、府県担当部署とともに調整・集約を行い、『取りまとめ役』の役割を果たした」と振り返ったのは大阪府医、京都府医でした。「府県担当部署が直接に調整・集約を行い、府県医師会として特に連携・調整しなかった」としたのは滋賀、奈良の両県医で、和歌山県医は都市医師会の意見集約は自ら行い、関係団体の調整は県側に任せた対応でした。

地域包括ケアシステムの構築に向けて、各都道府県が描く地域医療ビジョンが重要なキーとなります。ただ、現状の段階で、地域医療ビジョンを描けている都道府県はないと感じられます。だから医師会からの問い合わせにも答えることができないので、情報交換の場もまだ設けることができないというのが実情であると考えられます。しかし、各医療法人は、それらを待っていては乗り遅れますし、病床機能報告もあり、先だって進めていかなければならないというのは、どうもおかしな状況であると感じます。国が描けなかった地域医療ビジョンをいかに都道府県でまとめ上げることができるのか。とても一筋縄ではいかないのではないでしょうか。








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2014年9月19日金曜日

医療事故調、報告対象の拡大に懸念  近医連・分科会

近畿医師会連合定時委員総会が9月14日、京都市内で開かれ、第 3分科会 (医療安全)では事前に実施したアンケート結果を基に2府4県の医師会関係者が意見を交わしました。この中で医療事故調査制度について、改正医療法で報告対象が「当該管理者が当該死亡または死産を予期しなかったものとして厚生労働省令で定めるもの」とされていることに対 し「今後、省令次第で(医療事故の)報告対象の範囲が限りなく広がることを危惧する」(兵庫県医)とした意見も上がりました。
「予期しなかったもの」に対する解釈も議論の焦点になり、アンケートでは「予期しなかった死亡例の定義を明確にしなければ、医療側と患者側が考える医療事故の調査対象の範囲があいまいになる」(大阪府医)、「『予期しないもの』は、当該医師の専門性や医療機関によって見解が異なることが予想される。報告に差が出ないような基準が必要です」 (和歌山県医)などの指摘がありました。また「『予期しなかったもの』は、診療から逸脱した行為で発生した事例に限定すべき」 (滋賀県医)とする意見も出ました。






第三者機関の「医療事故調査 ・支援センター」の調査結果が遺族に報告されることについては、報告書が訴訟に利用されることへの懸念もある中で、アンケート結果は「賛成」「やむを得ない」との方向でおおむね一致しました。ただ、報告書の内容が議論の俎上に上り 「反省や改善というようなコメントを書かれると、どうしても患者にすれば『医療ミスだ』となる。事実だけ書くような形にできないか」(大阪府医)、「反省点は患者側に情報開示する必要はないと思う」(兵庫県医)などの意見が出ました。遺族が報告書を訴訟に利用しないことや、外部に情報を公表することを禁じる仕組みの必要性を訴える意見もありました。医師法21条を改正する必要性については、兵庫、滋賀、京都の3府県医が「必要」と回答しました。兵庫県医は「刑事司法との調整を第二者機関に期待できないのであれば、なおのこと事故調査制度が動き出した今こそ医師会主導で改正を前に進めるべき」と訴えました。「必要ない」と回答したのは奈良、和歌山の2県医でした。和歌山県医は「医師法21条の改正にこだわらず、できることから医療事故調査制度を前に進めるべきだと従来から主張している」とコメントしました。調査に必要な費用負担に関しては、院内事故調査委員会の調査費を「自院負担とすべき」としたのが4府県医でした。「公費を投入すべき」としたのは2府県医でした。医療事故調査・支援センターの調査費は4府県医が「公費を投入すべき」とし、2府県医は「公費と当事者(医療機関・患者)負担とすべき」と回答しました。

医療事故調査 ・支援センターについては、どうも性善説と性悪説で見解が大きく変わっていくと感じます。本来、患者の健康・生命を守るためのはずの医療行為が、見る角度によって歪んでしまうことへの弊害をいかに抑制できるか、制度をしっかり整備してからのスタートを期待したいものです。








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2014年9月18日木曜日

 世界の自殺者、80万4000人   世界保健機関(WHO)

世界保健機関(WHO)は9月4日 、世界で2012年に推定80万4000人が自殺 したとの報告書を発表しました。10万人当たりの自殺者数を示す自殺率(年齢調整後)が 、日本は18.5人で世界平均の約16倍に上りました。WHOは自殺を「深刻な公衆衛生上の課題」と位置付け、各国に対策を急ぐよう促しています。






WHOによると、世界で2012年、約40秒に1人が自殺した計算になります。70歳以上の自殺率の高さが目立つほか、15~29歳でも自殺が2番目に多い死因となっています。自殺手段として最も多かったのが、農薬、首つり、拳銃の三つでした。うつ病などの精神疾患と自殺との関連がみられる一方、金銭問題や病苦を理由に衝動的に自殺する人も多いといいます。戦争や災害を経験した人や、難民、同性愛者、囚人らの自殺率も高いと指摘しています。

日本の2012年の自殺者は約2万9000人でした。年齢調整した自殺率は、世界平均の10万人当たり11.4人より約60%高い現状です。他国では、米国12.1人、中国7.8人、韓国28.9人などでした。
WHOは 、自殺の原因となる精神疾患などの早期治療や、自殺未遂の経験がある人のフォローアップなどの対策を通して自殺は予防できると強調しています。医療従事者や教育関係者、法律家、メディア関係者など社会のさまざまな部門の人々が協力して自殺予防に取 り組むよう各国に呼び掛けています。WHOは2013年の総会で採択した精神疾患に関する行動計画で、各国の自殺率を20年までに10%削減する目標を掲げています。

救いたくても救うことが出来なかった命がたくさんあります。その一方で自らの意志で命を落とす方もいます。それぞれのバックグラウンドが異なりますので、あまり決め付けた言い方は良くないのかもしれませんが、でもやはり自らの意志で命を落とすということは、あってはならないことであると思います。








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2014年9月17日水曜日

非営利ホールディングカンパニー型法人制度 医療法人の事業展開等に関する検討会

厚生労働省は9月10日「医療法人の事業展開等に関する検討会」(座長=田中滋・慶応大名誉教授)に、議論のたたき台として「非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)」(HD型法人)の具体的イメージ案を示しました。HD型法人の形態として「社団型」と「財団型」の2種類を提示されました。財団型については「自治体が出資して地域を代表する方を中心とした意思決定機関を構成する」(厚労省医政局総務課の上生栄二課長)場合などを想定 しています。






イメージ案では、設立の趣旨、期待できる効果、ガバナンス (統治)の仕組みを提示されました。HD型法人の形態として示された2種類のうち社団型については、HD型法人(親法人)に参加する既存法人(子法人)が社員となる意思決定機関として「社員総会」を構成する。社員総会は、監査機関として「監事」を任免する。地域関係者の意見を反映する仕組みとして「地域協議会」を設置することも提案されました。 財団型については、意思決定・執行機関となる「理事会」を子法人の代表者らで構成します。監督機関になる「評議員会」では子法人の代表者らに加え、市長や地域医師会長ら地域の関係者も評議員となる形を示されました。統治に関しては、子法人の重要事項について親法人と協議・承認する仕組みを設けることも提案されました。重要事項としては、予算や借入金、重要な資産の処分、事業計画の決定・変更、定款や寄付行為の変更、合併や解散などを挙げられました。 日本医師会常任理事の今村定臣委員は、社団型の場合に設置することが提案された「地域協議会」について、外部組織とすることが前提との考えを示した上で、「財団型にも必要」と主張されました。財団型の評議員会に地域関係者らが参加するだけでは不十分との考えを示され、地域協議会の構成員として「適正な運営のために地域医師会などの医療・介護関係団体、行政、学識経験者、医療・介護を受ける方々」を挙げられました。
地域協議会とHD型法人の関係についてはさらに「行政・地域の関係者らが(HD型法人の活動を)監視・評価する仕組みにしてほしい」と述べた上で、「営利性の高い特定の者と関係を持つようになった場合、知事が(役員解任などの)必要な措置を講ずるよう命じることができ、従わない場合は業務停止命令ができるという実効性を担保すべきだ」と求めました。

「非営利ホールディングカンパニー型法人制度」(HD型法人)の地理的活動範囲はどこまでか。HD型 法人の在り方について具体的な検討を進めている厚生労働省の「医療法人の事業展開等に関する検討会」が9月10日に開いた会合では、2次医療圏などの「一定の地域」に限定すべきとする意見が複数上がる一方で、1つの医療法人が複数の医療圏などに事業所を構えている場合をどう考えるか検討すべきとする意見も出ました。日本医師会常任理事の今村定臣委員は、都道府県が一定の地域ごとに病床の必要量などをまとめる地域医療構想(ビジョン)の区域と合わせるべきと主張されました。「ビジョンの区域はおおむね現在の 2次医療圏単位と聞いている」と述べられた上で「地域医療構想区域とすべき」と訴えられました。猪熊律子委員 (読売新聞東京本社社会保障部次長)は 、具体的な地理的活動範囲について言及しなかったものの「地域ごとのものということできちんと定めた方がいい」と 述べられ、一定の制限は設けるべきとの考えを示されました。
一方、全日本病院協会長の西澤寛俊委員は「民間の医療法人は複数の医療圏に事業所を持っている場合が多い」と指摘した上で「1つの圏域だけでやっている事業だけが対象なら、法人単位の(HD型法人への)参加は不可能ではないか」と述べられ、具体的なケースを想定 して検討することを求められました。

これで国が進めていこうとしている非営利ホールディングカンパニー型法人制度が分かってきました。民間の医療法人には任せるつもりはなく、各地方の自治体主導で進めていこうとしているようです。だから医療圏をまたいで活動している医療法人などについてを置き去りにした進め方となっております。民間の医療法人が主導でこれまでの日本の医療を支えてきたことは、過去のこととして舵を切りやすい制度へと強制的に捻じ曲げようとしているとしか思えないのは、私だけでしょうか。








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7対1病院の精鋭化にむけて   上尾中央医科グループ

埼玉県の上尾中央医科グループは、国が目指す2025年の将来像に向け、グループ2 7病院に対して「高度急性期」あるいは「急性期」のどちらを目指すのか、9月末日までにグループ本部に報告させる方針です。現在の7対1入院基本料算定病院は16病院ですが、2025年改革に対応できるよう「7対1病院の精鋭化」を促進させる戦略で、高度急性期病院への人的・設備的資源の投入を進めていく方針です。本部が提示した「高度急性期」の条件は、 7対1入院基本料の算定要件を満たす、ICU・ HCU・SCU・ NICUのいずれかを算定、年間の全身麻酔800件以上、複数診療科の当直体制を365日維持できる体制を来年度内に整備できる、などです。一方、「急性期」は10対1入院基本料の算定要件を満たすこととしています。同グループ協議会経営管理本部の小林洋一本部長は、「各病院が地域の医療ニーズと実績を踏まえ、どういう機能を担っていくべきと考えているのか。まず現場から手挙げ方式で選択してもらうことが重要です」と説明されました。「7対1入院基本料の要件見直しは、2014年度診療報酬改定の検証調査の結果次第で、さらに厳しくなることも予測されています。今回の改定だけで、取り沙汰される9万床減に達するとは考えにくい状況です。2025年に向けた医療提供体制を構築していく上でも、現場のモチベーションを生か した対応策を講じていくことが必要と考えています」と語られました。

小林本部長は「グループ27病院(急性期19病院、回復期中心3病院、療養中心3病院、精神単科1病院、透析中心1病院)のうち、これまでの実績から高度急性期を目指す病院として6病院が手拳げするとみています」とした上で、「一般急性期を選択する場合は集中的な資源投入はしないが、10対1でも経常がなりたつ体制を整備していくべきです。だからこそ本部の指示ではなく、現場の納得が必要です」と述べられました。同グループでは、2014年度改定前は7対1が18病院でしたが、うち2病院が要件を維持できなくなり現在は16病院となっています。透析医療中心の50床の病院は、4月から障害者病棟へ移行し、将来は療養への転換を模索しています。147床の急性期病院は平均在院日数の要件を維持できず、 6月に10対1へ移行しました。小林本部長は「今後、7対1からこぼれる10対1病院は、回復期あるいは慢性期での対応も検討していきたいです」と述べられました。






一方で7対1の精鋭化に向け要件厳格化への対応策として、救急体制の強化を打ち出しています。夜間・休日の受け入れ体制を強化し、救急からの入院患者を多く獲得することで重症患者比率(「重症度、医療・看護必要度」の要件を満たす患者割合)を維持・向上させながら新規入院患者を増やしていく考え方です。グループ内で、救急入院とそれ以外の入院患者の重症患者比率を比べると、救急入院の方が5%高いという結果が得られています。小林本部長は「救急医療の強化策は3年前から基本的方針として打ち出していましたが、今回、加速させていきます。複数診療科による休日・夜間の当直体制も、非常勤医師を中心に体制を組んでいきます」と述べられました。

7対1の要件が今後さらに厳格化していくことは、予想されています。国の方針としては、9万床の削減が大きな目標として掲げられています。現状では程遠い状況ではありますが、必ず近い状態まで削減を推し進めていくでしょう。それが社会保障費の抑制と考えているのですから。確かに日本は諸外国に比べ病床数が多い状況です。ですが医師は少ないのです。そのバランスをしっかり捉えながら病床コントロールをしなければ、国民の健康は維持できないのではないかと危惧します。これから強い病院は医師確保できても、大学医局に頼りっぱなしの病院では医師の確保が厳しくなっていきます。2025年にむけてゆっくりした話もできませんが、急ぐことによる弊害にも目を向けておくことが重要かと感じます。








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2014年9月16日火曜日

居宅介護へのニーズ 訪問介護 訪問看護

厚生労働省は2012年7月、「高齢期における社会保障に関する意識等調査」を実施しました。そこで1万1294人の回答を集計しました。
 この中で、自身の家の周りに今後10年間で、今以上に増えてほしいと思う介護関係の事業所・施設を複数回答で聞くと、「自宅にヘルパーや看護師が訪れる、訪問介護・看護サービスを提供する事業所」を49.1%が選んでいます。
 そのほかの割合は、「通い、泊まり、訪問が一体的に提供される小規模多機能型居宅介護事業所」が36.5%、「自宅から通って利用するデイサービスを提供する事業所」が33.3%、「高齢者のためのサービス付きの住宅」が30.9%、「特別養護老人ホームや老人保健施設などの施設」が28.6%、「グループホームなどの家庭的な雰囲気で共同生活を営める事業所」が20.5%で、分からないが19.4%でした。選択肢には「その他」もありましたが、誰も選びませんでした。
自身が自宅で介護される場合、誰から介護を受けたいかも質問項目がありました。その回答で最も多かったのは、「ホームヘルパーなど外部の者の介護を中心とし、あわせて家族による介護を受けたい」(34.2%)でした。一方、家族介護を中心に、ヘルパーなどからも介護を受けたいと答えたのは27.1%、ヘルパーなどだけに介護されたいと答えたのは12.0%、家族だけに介護されたいと答えたのは8.1%でした。






 さらに、高齢になった際にどこで生活したいかを、幾つかのケースに分けて尋ねると、配偶者がいなくなり、単身となった場合では、自宅(子どもの家への転居を含む)が最も多く68.3%でした。そのほかは、バリアフリー対応住宅やサービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホームといった高齢者向け住宅が7.1%、グループホームなどが5.4%と続きました。
 これに対し、自身が介護を必要とする状態になった場合では、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの29.8%が最多でした。分からないと答えた12.1%を除くと、以下は、自宅が18.7%、高齢者向け住宅が14.1%、グループホームなどが10.4%などの順でした。
 また、人生の最期を迎えるときでは、自宅が37.5%、病院などの医療機関の27.9%を上回りました。

終末期は在宅で過ごしたいという思いは多くの方の心の奥にあります。ただそれを我慢している状況として、介護の極度な負担を家族に強いるのは忍びないという思いからだと思います。家族に負担をかけるなら、施設に入りますという気持ちであり、その家族の負担を軽減するための介護サービスが訪問介護であり訪問看護です。ただそれらのサービスも家族の介護があって始めて十分な機能を発揮します。介護サービスだけでは在宅生活は難しいところがあります。特にADLが低下してくれば、なおさらです。そういう意味で、小規模多機能型居宅介護や定期巡回随時対応型訪問介護看護はニーズがあるでしょうが、提供側の処遇がこのままではなかなか拡大は難しいのではないかと危惧致します。








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2014年9月15日月曜日

訪問型病児保育モデル事業 社会医療法人 真美会 中野こども病院

大阪市は9月1日から、仕事などで病気の子どもの面倒を見られない保護者のいる家庭に、看護師や保育士を派遣する訪問型病児保育のモデル事業を市内3区で始めました。社会医療法人真美会が運営する中野こども病院(旭区)に業務を委託しました。大阪市によると、訪問型の病児保育を医療機関が行うケースは全国的にも珍しいといいます。

対象となるのは、都島区、旭区、鶴見区に住む0歳から小学3年までです。病気や回復期の状態で保育所などに通うことができず、保護者が仕事などで看病できない場合、同病院の看護師や保育士が代わりに子どもの世話をします。

 病児保育を利用するには、中野こども病院で面談を受け、事前登録(無料)をした後、かかりつけ医の承諾を得る必要があります。利用時間は月-土曜(休日、年末年始を除く)の午前8時半から午後5時半までで、利用したい日の前日の午後5時までに同病院に申し込みます。利用料は1日7800円で、生活保護世帯などへの減免措置もあります。9月1日から事前登録を受け付け、9月2日からサービスの提供を始めます。

 大阪市内の病児保育の施設は8か所にとどまっており、一人親の保護者らからサービスの拡充を求める声が上がっていました。3区の住民を対象とした市のアンケート調査でも、「病児保育を利用したい」との回答が約1000人に上ったといいます。

 中野こども病院は施設内で病児保育室を運営しており、今後、訪問のための看護師や保育士を新たに採用する方針です。大阪市では年度内に、東成区、生野区、城東区にエリアを拡大したい考えです。







以下事業の詳細です。

訪問型病児保育モデル事業
お子さんが病気または病気の回復期のため、保育所などに通うことができず、また保護者の仕事の都合等で家庭での保育が難しい場合、回復するまでの数日間、保育士または看護師の資格を有する保育者がご自宅にて保育する「訪問型病児保育モデル事業」を都島区、旭区、鶴見区で実施しています。

対象者
都島区、旭区、鶴見区にお住まいで、病気または病気の回復期のため保育所などに通うことができず、かつ、保護者の仕事の都合等で家庭での保育が難しい小学校3年生までのお子さん (ただし、病状等により対応できない場合があります。)

利用料
日額7,800円
ただし、次の区分に該当する方は、証明書類を提出していただくことにより、利用料が減免されます。
生活保護世帯 600円 生活保護適用証明書
市民税非課税世帯 600円 市民税・府民税証明書(今年度分)
所得税非課税世帯 4,200円 源泉徴収票(前年分)または納税証明書(その1)(前年分)
所得税非課税世帯(ひとり親世帯) 2,400円 所得税非課税世帯の証明書類に加え、児童扶養手当証書の写しまたはひとり親家庭医療証の写し
所得税課税世帯(ひとり親世帯) 4,200円 児童扶養手当証書の写し、ひとり親家庭医療証の写しなど

利用曜日及び時間
利用曜日 月曜日から土曜日(休日及び年末年始を除く)
利用時間 午前8時30分~午後5時30分






地域包括ケアの目指す病院から地域へのシフトは、高齢者に限った話ではありません。ついつい高齢者の介護を中心とした視点でとらえられがちですが、病児の在宅復帰についてもこれから各地域の病院において注力するべき課題であると感じます。保護者も毎日、子どもについていては本当に用事ができません。どうしても役所に行ったり金融機関に行ったり、もちろん日用品の買い物に行ったりと仕事以外でも外出しなければならない用事もあります。現状の中野こども病院の訪問型病児保育では、就労者向けではないと思います。ただレスパイトではありませんが、上手にサービスを利用することに対するニーズと言うのは高いでしょうし、これからもっと裾野を広げていくべき事業だと感じます。


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2014年9月14日日曜日

療養病床から地域包括ケア病床へ

地域包括ケア病棟協会と日本慢性期医療協会が会員病院を対象に実施した調査によりますと、7月時点で43病院が地域包括ケア病棟 (病床)の届け出を済ませました。2015年3月までの届け出予定を合わせると、会員病院のうち105病院(2968床)が創設初年度に療養病床から地域包括ケア病棟(病床)に参入する見通しとなっております。






調査は7月25日~8月5日に約1000病院を調査対象に実施され、490病院から回答を得ました。回答のあった490病院のうち、9月末で廃止となる亜急性期入院医療管理料の算定病院は3月 時点で76病院 (1112床)でしたが、7月時点では47病院に減少しました。地域包括ケア病棟へ動き出していることがこの数字からもうかがえます。
7月時点で届け出た43病院の内訳は、病棟単位の入院料1が20病院、入院2が2病院でした。病室単位の入院医療管理料1が16病院、入院医療管理料2が5病院でした。これに来年3月までの届け出予定を加えると、入院料1が48病院に、入院料2が5病院に、入院医療管理料1が42病院、医療管理料2では10病院となり、届け出病院が105病院に増加する見通しとしています。 6月26日~7月11日に実施された全日本病院協会の調査では、療養病床から地域包括ケア病棟(病床)に届け出た病院は今後の届け出予定を合わせても48病院でした。

日慢協の武久洋二会長は、「日慢協の会員病院は、療養病床を持つ病院全体の4分の1を占め、療養病棟入院基本料も20対1の算定病院が多い。これが全日病の調査結果よりも療養病床からの届け出予定が多かった要因ではないか」と説明されました。今回調査に回答した490病院のうち、148病院が一般病棟入院基本料を算定しています。つまりケアミックス型の病院が回答病院の3割を占めています。一方、7月時点で療養病棟入院基本料1(20対1)の算定は336病院で、療養病棟入院基本料2(25対 1)は125病院で、2015年 3月までには療養病棟入院基本料 1(20対 1)の 算定が348病院に増える見通しです。武久会長は「療養病床における今後の一つの方向は、医療療養は地域包括ケア病棟(病床)へ 、介護療養はこれまでのように医療療養に向かうのではないか」と述べられました。日慢協の会員病院が20対1を目指す背景には、2014年度診療報酬改定で新設された在宅復帰機能強化加算があります。在宅復帰機能強化加算を算定するには療養病棟入院基本料1(20対1)を届け出ている必要があります。今回の調査では、在宅復帰機能強化加算の届け出は7月時点で92病院でしたが、2015年3月には156病院に増える予定となっています。

国が推し進めている地域包括ケアシステム体制の構築にむけ、各病院が舵を切り新たな進路に進み始めています。病院経営は決して楽では無く、特に病院の建物の老朽化やシステム・医療機器の更新など、維持していくためには非常に莫大な費用を要します。金融機関から借り入れを行ない何とかキャッシュを回している法人もある中で、まさに生き残りをかけた状況であります。国の方向性に従わなければ診療報酬はどんどんか細くなっていきます。ただ、画一的な国の方針が各地方都市にマッチしているとも言い切れないところがあることは否めません。いかに地域貢献できる病院運営を行なっていくのか、単独で厳しければ他法人と手を組んでいかなければならないし、ホールディングカンパニー制も、実はもう目の前まで差し迫っているのかもしれません。









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2014年9月13日土曜日

医療介護総合確保促進会議   厚生労働省

 厚生労働省は8月29日に、「医療介護総合確保促進会議」を開催しました。厚生労働省当局から「総合確保方針」の素案が提示され、これに基づいた議論を行いました。
 6月に成立した医療介護総合確保推進法では、厚生労働大臣に「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針(総合確保方針)」を定めることを命じています。 この日示された素案は、次の5部で構成されています。
(1)地域における医療および介護の総合的な確保の意義、および基本的な方向
(2)医療計画基本方針および介護保険事業計画基本指針の基本となるべき事項、ならびに医療および介護の総合的な確保に関し、都道府県計画、医療計画および都道府県介護保険事業支援計画の整合性の確保
(3)都道府県計画および市町村計画の作成、ならびにこれらの整合性の確保
(4)公正性および透明性の確保、その他、基金を充てて実施する都道府県事業
(5)その他






 (1)では、まず「効率的かつ質の高い医療提供体制の構築」と「地域包括ケアシステムの構築」を車の両輪として進めていくことを確認しました。 そのうえで、「地域の創意工夫を活かす」「地域の将来の姿を踏まえた『まちづくり』の一環に位置づける」「人材育成、就業促進、勤務環境改善など質の高い人材の確保に関する取組みを進める」「病床機能分化・連携、医療・介護の連携を通じてより効率的な提供体制を構築する」「ICTを活用する」ことを打出しています。 さらに、行政、医療・介護サービス提供者、利用者それぞれの役割を明確にすることがあげられています。たとえば利用者に対しては、「限られた資源を効率的かつ効果的に利用するという視点を持つ」ことを求めるとともに、サービスの担い手となることも期待しています(地域において元気な高齢者が介護に携わるボランティアとして活躍するなど)。

 また(2)では、医療計画、介護保険事業計画、介護保険事業支援計画の整合性を確保することの重要性を強調しています。このため政府は医療計画の期間を6年とし、平成30年度以降は「1期の医療計画と2期の介護保険事業計画の見直しサイクルを合わせる」こととしています。 そこで素案では、「2次医療圏と老人福祉圏域を一致させるよう努める」ことを求めています。 さらに、平成30年度までに「介護保険事業計画の中で在宅医療・介護の連携の取組みについて具体的に定める」「市町村が地域の医師会等と連携して、在宅医療・介護連携体制を充実させていく」「介護保険事業計画の中で認知症対策を充実させる(地域支援事業に位置づけられた医療・介護従事者の連携による早期対応など)」を行うようアドバイスしています。

 (3)は、医療・介護の総合確保に向けた都道府県の計画、市町村の計画を意味します。ここでは「保健・医療担当部局」と「介護・福祉担当部局」の緊密な連携がまず求められています。 さらに計画に強い実行性を持たせるために、「医療・介護の受給者、医療保険者、医療機関、介護サービス事業者、学識者の団体」など幅広い関係者から意見を聞き、計画に反映させることが重要であります。 なお、両計画に記載すべき事項として素案は、次のような項目を掲げています。
●医療介護総合確保区域(都道府県計画では2次医療圏・老人福祉圏域を、市町村計画では日常生活圏域を念頭において設定する)
●目標と計画期間(原則として1年単位)
●目標達成のための事業内容と費用
●事業の評価方法

 さらに(4)では、基金を充てて実施する事業の範囲を次のように規定しています。
●地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設、設備の整備(病床機能の分化・連携など、地域医療構想策定までは「地域で明らかに不足している病床機能」への転換に資する事業等に重点的に活用する)
●居宅等における医療提供(在宅医療を提供する医師、看護師、リハ専門職等への研修を含む)
●介護施設等の整備(地域密着型サービスなど、地域の実情に応じた介護サービス提供体制の整備)
●医療従事者の確保(地域医療支援センター、医療勤務環境改善支援センター等を活用した、医師等の偏在解消、チーム医療の推進など)
●介護従事者の確保(介護従事者の資質向上や、労働環境の改善なども含めて)


 素案に対し、委員からはさまざまな意見が出されました。たとえば、「地域医療構想の中に『救急に関する事項』を加えるべき(加納委員:日本医療法人協会会長代行)」「概ね賛成だが、介護職員の処遇改善に基金を用いることはいかがなものか。基金の使途について都道府県の創意工夫を許すのであるなら、検証をしっかりすべき(白川委員:健保連副会長)」などが目立ちました。


これから医療と介護は一体的に進んでいくことを多く表しています。現状、まだまだ医療と介護の間にある壁を撤廃しなければ、その実現というのは不可能に近い厳しい状況であります。ただこのように厚生労働省が上から上手に導いてくれれば、各地域での医療と介護は一体的に機能をはたしていけると思います。ただその過程は決して一筋縄ではいかない多くの既得権の撤廃も必要になってくるでしょう。








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2014年9月12日金曜日

居宅サービスの機能と連携の在り方 通所介護の機能 社会保障審議会 介護給付費分科会

厚生労働省は8月27日に、社会保障審議会の「介護給付費分科会」を開催しました。この日は、居宅サービスの機能と連携の在り方と通所介護の機能等をテーマに、平成27年度介護報酬改定に向けた議論が行われました。
居宅サービスは、訪問系サービス(訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリ)と通所系サービス(通所介護、通所リハビリ、療養通所介護)に分けられますが、厚生労働省老健局の迫井老人保健課長は「訪問系サービスも通所系サービスも目指すところは同じであり、体系的にサービスを整備していくことが必要であります」と強調されました。 この「目指すところ」について迫井老人保健課長は、次のように説明されています。






(i)「心身機能」「活動」「(社会)参加」などの生活機能の維持向上を図る機能、生活援助の機能、家族介護者の負担軽減を図る機能、のいずれかの機能を発揮して自立を支援する
(ii)認知症高齢者や重度の要介護者が増加する中で、在宅の限界点を高めるために、(i)の機能を効果的・効率的に組合せ、バランスよく要介護者に働きかけることで、高齢者の在宅生活を支える(居宅系サービスの、認知症高齢者・重度の要介護者への対応力を高める必要がある)
(iii)サービスの担い手の確保が今後の課題となる中で、各居宅サービスが有する専門職を有効に活用することが重要であり、多職種連携を推進する仕組みも充実していくことが求められる
(iv)「PDCAに基づくサービス提供」「地域の他の事業所や専門職との連携を通じたサービス提供」「利用者の社会性の維持」といった手法・視点に基づくサービス提供をさらに徹底する必要がある
 この(i)~(iv)の中から見えてくるのが「連携」の重要性であります。多職種連携により、「本人の有する能力を引出す介護が提供できる」「リハ専門職が向上させた生活行為能力を、介護職が生活の中での支援に活用することで、要介護者の自立を促すことができる」「看護職との連携で、介護職は医療の視点に基づく利用者の身体状況などを把握でき、重度者への在宅介護や緊急時の適切な対応に結びつけることができる」ことが期待できます。また、長時間にわたって要介護者の状態を把握できる通所系サービスと連携することで、訪問系の介護者がより適切なサービスを提供できるという効果も生じます。
しかし、多職種連携は思うように進んでいないのが実際です。連携が進まない背景には、「事業所によって取組み状況に差がある」「事業所間に距離がある」「リハ専門職や看護職が不足している」「連携の効果が十分に理解されていない」ことがあげられています。このため厚労省は次のような論点を掲げており、次期改定において多職種連携を手厚く評価する方向を示していると考えることができそうです。
●訪問系サービスと通所系サービスを一体的・総合的にとらえた機能分類や評価体系が必要ではないか
●「同じようなサービス提供については、報酬上も同じような機能として評価する」など、より一層の機能的な連携を図るとともに、異なる機能や役割についての明確化を図る必要があるのではないか
●担っている機能を明確にするための客観的な機能評価もあわせて導入することを目指すべきではないか
●認知症高齢者を含む重度の要介護者や、医療ニーズの高い高齢者(複数の慢性疾患が合併するなど)への対応を見据えた効果的・効率的なサービス提供体制を確保するために、更なる多職種連携の充実が必要ではないか
この点、鈴木委員(日医常任理事)は「居宅系サービスと、診療所や中小病院が連携し、医療者の視点で利用者の課題等を整理し、総合的なサービスを提供していく必要があります」と指摘されています。
 また、(i)では単なる「心身機能」の維持向上だけではなく、「活動」「(社会)参加」を重視しており、これは新たな高齢者リハビリが目指す方向と同じであります。この点、厚生労働省は「心身機能、活動、参加の各要素にバランスよく働きかける効果的なリハビリが徹底できていない」と現状を分析し、「居宅サービスにおけるリハビリ機能の役割や位置づけを、居宅サービス全体の機能や連携の在り方の中で再整理する必要がある」との考えを提示しています。

 さらに迫井老人保健課長は、「高齢者リハビリの在り方を集中的に検討する場を、介護給付費分科会とは別に設置する」考えを示しました。高齢者リハビリは重要なテーマであり、検討すべき課題も多い状況です。迫井老人保健課長は、「早急に検討会を立上げ、年内に3~4回の会合を開いていただき、平成27年度の介護報酬改定で対応すべき項目と、引続き検討を深めていく項目などを整理していただきたい」と会合後にコメントされています。 なお、リハビリについては「評価指標を設定すべき」との考えが、齋藤訓子委員(日看協常任理事)や東委員(全老健会長)から強調されています。

通所介護については、利用者、事業所、費用のいずれもが大きく増加しています。たとえば、平成25年度末の利用者は約173万人(平成13年度末の約2.6倍)、平成25年度末の事業所数は3万9196ヵ所(平成13年度末の約4倍)で、とくに小規模型事業所の増加率が高い状況です。このため利用者の多様化、事業所の多様化が進み、通所介護事業所で取組んでいる内容はさまざまです。たとえば小規模・短時間(3時間以上5時間未満)の事業所では、「身体機能への働きかけ(事業所の92.9%が実施)」「自宅での実際の生活行為力の向上(同65.9%)」などが多く、「栄養改善等(11.1%)」や「認知機能への働きかけ(34.9%)」などは少ない傾向が見られます。一方、通常規模や大規模では、「認知機能への働きかけ(通常規模は74.4%、大規模は69.9%)」や「口腔機能への働きかけ(通常規模は61.1%、大規模は52.4%)」の比重が高くなり、「医療依存度の高い人の受入れ」も小規模に比べて多くなっています。こうした状況を受け厚生労働省は、「通所介護の(i)認知症対応機能(ii)重度者対応機能(iii)心身機能訓練から生活行為力向上訓練まで総合的に行う機能―を充実させていく必要があると考えられますが、これらの機能を評価する軸として介護報酬上の評価をどう考えるべきか」という論点を掲げています。厚生労働省老健局の高橋振興課長は、「たとえば加算の設定や強化なども1つの選択肢であります」との考えを示しています。 これに関連し、武久委員(日本慢性期医療協会会長)は、「訪問介護や通所介護は報酬設定が低く、一部負担も軽いために利用しやすい状況です。そのため医療ニーズの高い重度の要介護者の利用も増えています。しかし本来は、医療ニーズの高い利用者は、訪問看護や通所リハを選択すべきです。現状を是認するのか、本来の姿に立返るのか、きちんと議論すべきです」との問題提起を行いました。また、多くの委員からは「通所介護でもリハビリを行っており、機能や実施しているケアの内容などに応じた評価をすべきではないか」との考え方が示された。この点、迫井老人保健課長は「『通所介護』『通所リハ』というサービス区分に応じた評価ではなく、通所サービスの中で『サービスの内容』『役割』『マンパワー』に応じて評価していくべきというのが委員の一致したイメージのようです」と述べています。平成27年度改定では、通所サービスについて大きな報酬体系の見直しが行われる可能性も出てきたようです。

これからいかに居宅の介護事業を充実させて、病院から在宅へのシフトを図る地域包括ケアシステムの構築を目指しています。病院の患者を在宅に帰らすには、在宅における医療と介護の充実が必要不可欠ですし、まずそのための制度の整備が先決です。多職種連携とは綺麗な言葉ですが、実際に居宅介護で機能するためには今の制度を大きく見直さなければなりません。また医療ももっと深く在宅へ入り込まなければなりません。かかりつけ医の存在が重要となってきますが、そこまで地域の医療と介護を診ていける医師というのは限られていますし、その範囲と言うのは到底充足しておりません。しっかり医療の基盤を固めるためにまず何をしなければならないのか。もっと視野を地域へ在宅へ向けていかなければなりません。








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2014年9月11日木曜日

地域包括ケアにむけて 地域の取り組み

 大阪府豊中市の佐藤敏栄(さとう・としえい)さん(84)は約10年前に妻を亡くして以来、人付き合いがめっきり減りました。もともと社交的なタイプではなかったのですが、1人暮らしで孤独感は募る一方になりました。「もう生きていくのは無理」と思い詰めるようになっていきました。
 ちょうどそんな頃、市社会福祉協議会が独居高齢者を対象に訪問サービス「安心協力員」を始めることを知りました。2010年のことでした。
 佐藤さんから問い合わせを受け、サービスにつないだのは市社会福祉協議会事務局の勝部麗子(かつべ・れいこ)次長でした。「一般に、配偶者を失って受けるダメージは女性より男性の方が大きいです。ギリギリのSOSだったと思います」と振り返ります。






 勝部さんは「介護保険サービスを使わず、生活保護受給の対象外で、近所の世話にもなりたくない―。こうした方々は地域の見守りの網から漏れてしまっています」と指摘します。
 都市型住民の社会的孤立を解決するための新たな方法が安心協力員です。研修を受けた協力員が高齢者を訪ね、顔なじみの関係をつくります。急病時の買い物支援なども行います。
 最大の特徴は有料である点です。登録料が2千円、訪問料は1回800円になります。近所づきあいのしがらみに煩わしさを感じるような人でも、対価を支払う分、割り切って気軽に利用できるというわけです。
 「地域の情報も分かるし、心がつながる感覚がありがたいです」。佐藤さんは月に1度の女性協力員の訪問を心待ちにしています。
 国立社会保障・人口問題研究所の2012年の調査では、65歳以上の独居男性の16.7%が「2週間に1回以下」しか会話がないとのことです。会社中心の生活が長く、地域活動に疎い男性ほど、高齢期は自宅へ引きこもりがちになります。
 そんな人たちを家から引っ張り出そうと、愛知県北名古屋市の高齢福祉課は「男性のための料理教室」を開いています。講師も男性が務め、参加者からは「男だけなので気楽です」と好評です。
 「男性は包丁さばきなど腕を競いたがり、雰囲気がギスギスしやすいです。最初に『技能を見せつけ合う場ではない』と徹底します」と、講師で管理栄養士の伊藤邦彦(いとう・くにひこ)さんを語ります。
 参加者のきずなは自然と強まり、OB会も結成されました。不器用だった男性たちが今では毎月、市内の障害者施設で別の高齢者たちに家庭料理をふるまうまでになりました。伊藤さんは「料理を通じ、地域内で支え合う仕組みができたら最高です」と話します。
今、地域包括ケアシステムの構築が進められていますが、その中心にあるのは住まい(在宅)で一番身近にあるべきものは地域の交流等による生活支援です。これはなかなか制度化するのは難しく、本来の趣旨からいっても制度化するべきものでもありません。自治会やボランティアなどが中心となってつながり「絆」を広げていくことが、自然のあり方だと思います。そこからコミュニティが派生し、在宅での生活をより充実し不安を払拭した働きになっていくのです。そういう意味での地域包括ケアシステムのあるべき姿への道のりは、今の希薄化している日本の地域社会においては、なかなか険しい道のりではないかと危惧します。








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2014年9月10日水曜日

内視鏡手術支援用ロボット(ダ・ビンチ) 先進医療B

厚生労働省の先進医療会議 (座長=猿田享男・慶応大名誉教授)は9月4日、藤田保健衛生大病院が申請していた「内視鏡手術支援用ロボット(ダ・ビンチ)による胃手術」を先進医療Bとして了承しました。ただ、複数の構成員から「安全性・有効性に加えて、経済性の評価が重要」との指摘があり、事務局の厚労省担当者は同会議でも費用対効果を加味して議論できるよう努力する考えを示されました。






総合判定で「適」とした評価者の福田敬構成員 (国立保健医療科学院統括研究官)は、ダ・ビンチ使用の胃手術について「合併症や在院日数の減少が期待できますが、そもそも手技でも費用がかかるので、費用対効果をみることが重要です」と述べられ、医療経済の専門家も交えて具体的に分析することを求められました。今回から会議に出席した石川広己構成員(日本医師会常任理事)も「ダ・ビンチでの手術が次から次へと出てくる中で、今後の保険収載を考慮して基本となる考え方を専門家としてまとめておかなければならないのではないか。最後は中医協で判断することになるが、日医でも心配している」と述べられました。 これに対し、事務局は「中医協の費用対効果評価部会でも議論しているが、先進医療会議から技術を推薦する際、費用対効果を加味しながら議論してもらえるように努力していきたい」と応じました。また、同日は新規の届け出技術として受理した「内視鏡手術支援用ロボットによる直腸がん手術」について、先進医療Bに振り分けることを決めました。

これでダ・ビンチによる内視鏡手術が保険診療との併用が認められ、患者の自己負担が軽減されることになります。今、国が進めようとしている患者申出療養のさなかのこともあり、安倍首相はじめ厚生労働省の目指している方向性が鮮明になってきたと感じます。








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2014年9月9日火曜日

地域包括ケアシステムにむけて 塩崎恭久厚生労働相

塩崎恭久厚生労働相は9月8日、専門紙記者クラブの共同取材に応じ、医療介護総合確保法(医療介護一括法)に従って構築する地域包括ケアシステムについて「考え方・方向性は間違っていないので、どのようにスムーズに進めていくかが課題です」と述べられた。社会保障制度改革全般については、持続可能性と国民の納得・安心を重要視し、プログラム法にのっとって着々と進めるとしました。塩崎厚労相は地域包括ケアシステムを構築する上での課題として、まず医療と介護の有機的な連携を挙げられました。「これまでは違う世界でやってきた医療と介護を一体になって提供できるようにするための法律が総合確保法です」と説明されました。「地方公共団体なども、ばらばらではいけない」と述べられました。医療・介護のコストを抑えるために、ニーズに合った負担とサービス提供をどのように追究するかも課題としました。一例として介護保険における予防給付の地域支援事業化を挙げ「いろんな工夫をしながら地域のニーズに合うことが大事」と強調されました。「コストとニーズがマッチした形で実現するように、きめ細かに見ていかなくてはいけない」と述べられました。





医療保険制度改革については「負担と給付のバランス」が重要と述べられ、まず効率的な制度にしてできる限り不必要な支出は抑えていく姿勢を示しました。負担面では「あまり重くならないように、能力に応じた負担の在り方を今まで以上に考えようという哲学で、プログラム法が進んでいく」と説明されました。国保の都道府県移行についても、利害が錯綜する部分を整理して、地方三団体との議論を深めていくとしました。

2015年度介護報酬改定に向けては、処遇改善や人手不足に問題意識があるとし「誇りを持って働けるような条件をどのように整えるかを考えなくてはいけない。簡単ではないので、審議会での意見を伺いながら年末に向けて決めていく」と述べられました。消費税率引き上げについては「法律で来年10月から10%に上げることが決まっており、財源全てを社会保障に使うというのが国民への説明だ」と強調されました。「効率化と充実を図りつつ、今のまま赤字国債でファイナンスしてはいけない」とも述べられました。その一方で「前提は経済をどれだけ強くするか。国民生活もあるから、12月に向けて総理がいろいろな検証を行った上で、正しく決めていかなくてはならない」と述べられました。

これから塩崎恭久厚生労働相にとっては山積みの問題を一つ一つ解決していかなければならず、どれも一筋縄ではいかない為、それぞれの利害関係を見ながら調整し御苦労されると思います。それでもねじれ国会が解消され自民党がある程度自由に行なえているので、強硬なことも多少あるかと思いますが、国民にしわ寄せがいかぬよう、お願いしたいものであります。








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がん診療連携拠点病院 これからの評価

診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会は9月5日の会合で、がん診療連携拠点病院(拠点病院)に準ずる病院として都道府県が指定した病院を、機能評価係数IIの中で、来年度も評価することを了承しました。

2015年度は、都道府県が指定する病院に加え、厚生労働相が指定する地域がん診療病院と特定領域がん診療連携拠点病院が、DPC制度上での評価の対象となります。ただ、2016年度に予定される次の診療報酬改定で、都道府県による指定への評価を廃止し、地域がん診療病院などへの評価に置き換える方針です。








 厚生労働省は2014年度から、拠点病院の基準を厳格化しています。その上で、拠点病院がない二次医療圏で基本的ながん診療を確保する地域がん診療病院と、特定のがん種に特化した診療を行う特定領域がん診療連携拠点病院を新設し、それぞれ厚生労働相が指定しています。

 これを受けてDPC制度でも、都道府県が独自に指定したがん診療の中核的な役割を担う病院への評価をやめ、評価対象を地域がん診療病院などに置き換えることについて、2014年度以降に検討することになっていました。

 この日の会合で厚生労働省は、都道府県による指定について、2015年度は引き続き評価の対象とする案を提示しました。地域がん診療病院と特定領域がん診療連携拠点病院に指定された病院が現在、計2施設しかないためと思われます。また同案では、2016年度に予定される診療報酬改定で、都道府県による指定を評価対象から外し、地域がん診療病院などに置き換えることとしました。

 
 国が指定する「がん診療連携拠点病院(国拠点病院)」の指定要件が強化されたのを受け、大阪府は9月3日、「大阪府がん対策推進委員会・緩和ケア推進部会」(部会長=和田信・大阪府立成人病センター心療・緩和科部長)で、府独自に指定する「大阪府がん診療拠点病院(府拠点病院)」の指定要件を見直す議論を開始しました。議論に当たって府から改正案が提示され、委員らはその変更点の是非を一つ一つ確認していきました。


 大阪府では、現在、国拠点病院が16病院、府拠点病院が44病院あります。府拠点病院の制度は、国拠点病院と連携し、地域の一般病院やかかりつけ医との連携強化を図り、地域におけるがん医療の向上を目指すため、2009年度に創設されました。大阪府は、拠点病院に求められる機能がより高度化・多様化していることから、国の要件が改正されたのを機に、府拠点病院の指定要件も見直すことに決めたといいます。

 まず、専門性の高い緩和ケアに関する要件に絞って、同部会で話し合った意見をまとめ、府拠点病院の指定要件を審議する「がん診療拠点病院部会」に提案し、今年度内を目指して府の方針を固める予定です。

 この日の部会では、緩和ケアチームの看護師の専任を必須化とするか、専従を必須化とするかに議論が集中しました。池永昌之委員(淀川キリスト教病院ホスピス・こどもホスピス病院副院長)は、「専任では逆に看護師の負担が重くなります。専従の必須化が望ましいのでは」と主張され、多くの委員がこの意見を支持しました。ただ、専従の看護師を配置することが難しい小規模病院に配慮したいとの府側の意向もあり、専従であるべきとの意見が多数出たことと、小規模病院に配慮する必要があるとの意見をがん診療拠点病院部会に上げることに決まりました。

 そのほか、国拠点病院の要件で、がん患者の身体的・精神的・社会的苦痛のスクリーニングを診断時から行うこととされている点について、多くの委員から府でも同様に実施を必須化するよう求める声が上がりました。しかし、適切なスクリーニング法が確立されていない点や、「スクリーニング」という言葉が書類を作成する必要があるとの印象を与える点に考慮し、現場が何らかの形で実施すればよいと理解できる旨の文言を検討することとしました。

 また、「入院時においては、緩和ケアの提供がなされる旨の資料を配布すること」という文言が、府独自に盛り込まれた点について、委員らから一歩踏み込んだ取り組みとして評価されました。


今まさに医療業界は再編の時代へと突入しており、急性期病院もいかに高度急性期を目指せるのか、それとも地域包括ケア病棟として地域のニーズに応えていくのか、どちらにしても厳しい状況が待ち受けております。5 疾病・5 事業及び在宅医療にいかに貢献していくことを表していくか、とくにがんについては国も意識を高くみていますので、そこでの存在感を発揮できなければ、この先急性期ならびに高度急性期としては厳しいことは間違いないです。








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2014年9月6日土曜日

厚生労働大臣 塩崎恭久

安倍改造内閣で厚生労働大臣に就任した塩崎恭久氏は9月3日夜、厚生労働省への初登庁後に厚生労働行政について「国民が将来このままで大丈夫かと心配していて、自信がまだ持てていない。信頼を得られる予見可能性をきちんと提供するということを、あらためてやらないといけない」と述べられました。「20年、30年、50年先でも医療は心配しなくてもよい、というふうにしておくことが大事ではないかと思う」とも述べられました。






医療に関しては「本当は世界一の公衆衛生なのに、残念ながら、まだまだ十分に(国民に)満足してもらっているとは思えない」と述べられ、「本当は安心してもらってもよいのに、十分に伝わっていないのかもしれないし、実は安心するに足りない部分があるのかもしれない」とも述べられました。
介護保険制度に関しては「少子高齢化が進む中で介護の問題も極めて身近になっている。私も、母と妻の両親の3人が施設に入っている」と明かし、「国民に安心してもらえるように頑張らなければならない」と述べられました。
超党派の議員連盟「国会がん患者と家族の会」の一員としてがん登録推進法の成立に尽力した経験から、同法の2016年1月施行に向けた議論にも触れました。「先進国からかなり遅れて、やっとがんの罹患に関する調査ができるようになりました。一番大事なのは、がん対策と治療法の開発にどう役立てることができるかだ」と指摘されました。「データとしてどれだけソリッ ド(信頼できる)なものになるかが大事と思っています」と述べられました。
社会保障分野の政策グループとして以前、安倍晋三首相、根本匠前復興相、石原伸晃前環境相らと「NAISの会」を結成していたことにも言及されました。「『年金なんかこわくない』 『逃げるなひるむな介護保険』などのペーパーを作って、互いに競い合っていました。安倍首相だけ党の社会部会長になって悔しい思いもしました」と述べられ、厚労行政ヘの自信もにじませました。 厚生労働省への初登庁の前に首相官邸で会見した塩崎厚労相は「持続可能な社会保障制度の構築」など4点の指示を受けたことを明らかにされ、「少子高齢化が進む中での社会保障制度をどう持続可能にするか、国民の健康・安全を守る必要性が一段と高くなる中、広範な厚生労働行政に全力で頑張る」と抱負を語られました。
また「経済こそ最優先という中で、厚生労働行政から何ができるかを含めて全力を尽くしたい」とも述べられました。

塩崎恭久厚生労働大臣は9月4日 、就任に当たって厚生労働省の職員を前に挨拶し、「厚生労働行政の視点から経済再生を考えてほしい」と求められ、「奇抜な新しいアイデアをどうぞ遠慮なく出していただきたい」と述べられました。
塩崎厚労相は職員に対する「3つの願い」として、厚労行政の立場から経済再生を検討、信頼関係を大事にする、職員自身のワーク・ライフ・バランスーを挙げました。
経済再生の検討については 「大臣を拝命する時、安倍晋三首相からはまず『改革をしっか り進めてください』と言われた」と説明され、「皆さま方にはどうか“改革官庁"になっていただきたい」と求められました。「厚労行政の立場から経済再生のために何ができるか、もう一回、考えていただき、特に、気付いていないところに何かないか、ということをお願いしたい」と述べられました。
信頼関係については「厚労大臣に私が就くということが報道で流れた際、 (省内に)激震が走ったという話がある」と冗談交じりに述べられた上で、「ぜひ遠慮なく批判は私の前で言っていただき、どんどん議論して、良いアイデアをつくっていくという、共に仕事をする信頼関係を大事にしたい」と述べられました。









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2014年9月5日金曜日

竹田綜合病院 急性期と地域包括ケアへ

福島県会津若松市の一般財団法人竹田綜合病院は、10月からの病床機能報告制度で現行の機能を「高度急性期」「急性期」「回復期」とし、「今後の方向」として報告する6年後の機能も、高度急性期などを目指していく方針です。
竹田秀理事長は、「会津若松地域は後方支援機能を受け持つ病院が少ない状況です。竹田綜合病院は急性期医療を展開していくが、今後の地域医療でニーズが高くなる地域包括ケア病棟は、分院の芦ノ牧温泉病院 (療養 120床)へ機能を集約したいです」と述べられました。ただ、地域包括ケア病棟入院料の算定は60日までと短く、患者の重症度や在宅復帰率の要件もあることから、全面的な移行については慎重に検討していくとしました。






建て替えを進めていた竹田綜合病院は2012年10月、新病院となる「総合医療センター」をオープンしました。新病院は、従来の1035床(一般病床726床、回復期リハビリテーション60床、精神病床249床)から、837床 (一般病床633床、回復期 リハビリ60床、精神病床144床)に大幅なダウンサイジングを図りました。現在は旧病棟を取り壊して玄関や駐車場などの外溝工事を進めており、1年後に新病院のグランドオープンを迎える予定です。
竹田綜合病院が次世代のビジョンを示す「VISION TAKEDA-2020」では、2025年の社会保障と税の一体改革に適合した事業展開を基本に据えています。竹田理事長は「今回の工事で急性期医療に関する整備は一段落したので、今後は地域包括ケアシステムの構築を目指します」と語られました。具体的には、竹田綜合病院本院は急性期機能に特化、山鹿クリニック (外来専門)を在宅療養支援診療所に位置付け、同一ビル内に介護福祉本部関連の事業所を設置、芦ノ牧温泉病院 (分院)を山鹿クリニックに隣接した場所に新築移転し「地域包括ケア病棟」とする、山鹿クリニックに隣接して、サービス付き高齢者向け住宅やグループホームなどの高齢者の住居施設を整備、通所系サー ビス、訪問系サービスの集中化や充実を図る一などを挙げ、これらの対応策によって「地域包括ケアシステム」を構築し、高齢化、少子化、人口減少などの市場環境の変化に対応していくとしています。
竹田理事長は「今回の診療報酬改定で地域包括ケア病棟が13対1になったことで、10対1までが急性期であることが明確になりました。竹田綜合病院では7対1病床が560床ありますが、今回の改定で『重症度、医療・看護必要度』の基準が見直され、基準をクリアすることが大きな課題でした。今後は病床の機能分化が一層進むだろう」と述べられました。
竹田綜合病院は9月から、会津地方では初めてとなる「緩和ケア病棟」の運用を開始します。全個室で15床です。緩和ケア病棟は新病院の重要な機能の一つとして位置付けていたが、スタッフの確保が進まずオープンできない状態が続いていました。緩和ケア病棟の開設によって、地域がん診療連携拠点病院として、より機能の充実を図っていくとしています。今回の病院の建て替えでは、病床のダウンサイジングによる入院収入の減収をいかに回避し増収に結び付けるかが、経営上の大きなポイントになります。当初は、ICU やHCUなど特定病床の増床による単価のアップと、個室の室料収入でカバーする計画でした。 ICUは4床から12床へ、HCUは16床から28床へ増床 し、個室率も一般病床で13.1%から25.5%に 、精神病床でも2%から33.3%に高めました。しか し、2014年度改定による「重症度、医療 ・看護必要度」の見直しによって、ICUなどでの対象患者の確保が難しくなっているといいます。
竹田綜合病院の平均単価は4月から6月の実績で、入院 (一般)が5万7739円、外来 (病院とクリニックの合算)が1万1658円となっています。2014年度改定の影響について竹田理事長は「病院団体などの集計がまとまらないと全体の傾向ははっきりとは言えませんが、ほとんどプラス・マイナス・ゼロではないか。薬剤などの消費税増税分については薬価で補填されているかもしれないが、実質はマイナス改定であり、薬価引き下げ分を本体に戻すルールをあらためて確立しなければなりません。次期改定では引き続き、周産期医療、小児医療、救急医療などの急性期医療について重点的な評価 を求めたい」と語られました。








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2014年9月4日木曜日

医療施設(動態)調査   厚生労働省

厚生労働省が9月2日に公表した2013年医療施設(動態)調査によると、2013年10月1日時点で活動中の病院は8540施設(前年比25施設減)、「一般診療所」は10万528施設(前年比376施設増)でした。  国内の全病床数は169万5210床で、前年比で8740床減少しました。このうち、病院病床数は157万3772床で、前年比4482床の減少で、一般診療所は12万1342床で、前年比4257床減少しました。 この1年間に病床規模を変更した病院は456施設で、このうち増床したのは158施設、減床は298施設でした。

一般病院が標榜する診療科目を見ると、「内科」が6879施設と最も多く、次いで「リハビリテーション科」5263施設、「整形外科」4956施設と続きます。 診療科目別でも増減が見られる。「消化器外科(胃腸外科)」(前年比108施設増)、「糖尿病内科(代謝内科)」(前年比103施設増)、「腎臓内科」(前年比99施設増)などは標榜する施設が増加した一方で、「外科」(前年比41施設減)、「小児科」(前年比22施設減)、「整形外科」(前年比19施設減)などは減少しました。






また、2013年の病院報告によると、全国の病院における2013年中の1日平均在院患者数は127万5347人で、前年比で0.9%の減少でした。このうち「一般病院」は104万8455人で、前年比0.9%の減少でした。「精神科病院」は22万6885人で、前年比1.1%の減少でした。また、病院の1日平均外来患者数は138万9983人で、前年比0.6%の減少となりました。

 2013年中の病床利用率は、病院全体で81.0%と、前年比で0.5ポイント低下しました。このうち、「一般病床」は75.5%で前年比0.5ポイントの低下、「療養病床」は89.9%で前年比0.7ポイントの低下、「介護療養病床」は93.1%で前年比0.8ポイントの低下、「精神病床」は88.1%で前年比0.6ポイント低下しました。
 病院の平均在院日数を見ると、全体では30.6日で、前年比で0.6日短くなりました。「一般病床」は17.2日で前年比0.3日短縮しました。「療養病床」は168.3日で前年比3.5日短くなりましたが、「介護療養病床」は308.6日で前年比1.6日長くなっています。「精神病床」は284.7日で前年比7.2日短くなりました。
病院の平均在院日数は都道府県別でかなりの開きが見られました。「全病床」で最も長いのは高知県の49.7日で、最も短かったのは神奈川県の23.5日でした。「一般病床」でも高知県が最長で22.6日、神奈川が最短で14.5日でした。「療養病床」では富山県が最も長く(250.6日)、鳥取県が最短でした(101.9日)。「介護療養病床」では秋田県(498.6日)が最も長く、山形県(21.4日)が最短でした。「精神病床」は徳島県が最も長く408.4日で、東京とが最も短く200.2日となっていました。

2013年10月1日時点の病院の従事者総数(非常勤職員を含む)は、常勤換算で200万3487.8人となっていました。 職種別に見ると、「医師」は20万6658.6人で、そのうち「常勤」は16万6134人と、前年比で2606人の増加でした。「非常勤」は4万524.6人で、前年比1227.4人の増加となっていました。 「薬剤師」は4万5680.4人で、前年比1326.5人の増加でした。「看護師」は74万7009.2人で、前年比2万1449.4人増加した一方で、「准看護師」は14万2304.7人と、前年比5495.8人減少しております。 人口10万人当たりの常勤換算医師数を都道府県別に見ると、高知県(230.5人)が最も多く、以下は徳島県(211.0人)、京都府(204.2人)、東京都(203.9人)、福岡県(203.1人)と続きました。その一方で、埼玉県(111.7人)が最も少なく、福島県(126.7人)、新潟県と静岡県(共に127.9人)、茨城県(129.6人)も少ない状況でした。


これから各都道府県において地域医療ビジョンが作成されていきますが、それぞれの地域の状況を踏まえ形成していくかということが重要になってきます。ただどういう方向性であれ、医師の確保は重要であり、医師を確保できる地域のビジョンを描く必要が各都道府県に求められるわけです。ただし国ができなかったようなことを各都道府県で出来るのかと言えば、到底難しい話ではないかと思います。








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2014年9月3日水曜日

「ロキソニンS」 指定第2類ヘ


厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 (座長=五十嵐隆・国立成育医療研究センター総長)は8月27日、製造販売後調査が終了した第 1類医薬品の解熱鎮痛薬「ロキソニンS」(成分名=ロキソプロフェンナトリウム水和物)のリスク区分を審議し、情報提供の徹底を条件に指定第2類医薬品に変更することを了承しました。ロキソニンSのリスク区分の変更をめぐっては、同日の調査会でも参考人の間で意見が分かれていました。斎藤充参考人(東京慈恵会医科大整形外科准教授)は、製造販売後調査の結果を踏まえ「特別な副作用があるという印象は受けなかった。一般用として販売されているほかの解熱鎮痛薬は第2類または指定第2類に区分されており、ロキソニンSだけを第1類に置いておく理由はない」と指摘されました。一方、生出泉太郎参考人(日本薬剤師会副会長)は、20~40代の女性の使用が多く、頭痛が使用目的の約7割を占めたことから「妊娠中や授乳中の使用、薬物乱用性頭痛についてきちんと情報提供する必要がある」とし、第1類に据え置くのが望ましいと述べられました。






委員からは、製造販売後調査で約2カ月間使用した人が重篤な副作用(十二指腸穿孔)を発症 した症例があったことを踏まえ、長期運用に関する情報提供の徹底を求める意見も出ましたが、安全性に対する懸念は示されず、条件付きで指定第2類に変更することでまとまりました。 
同日の調査会では、製造販売後調査の終了が見込まれる要指導医薬品4成分の一般用医薬品への移行についても審議し、いずれも「一般用医薬品として販売するのは適切」との判断をまとめました。この日審議されたのは、解熱鎮痛薬「エルペインコーワ」(イププロフェン/ブチルスコポラミン臭化物)、鼻炎用内服薬「ストナリニ・ガード」(メキタジン(高用量製剤〉)、 同「アレジオン10」(エビナスチン塩酸塩)、 同「アレギサール鼻炎」(ペミロラストカリウム)― 。いずれも一般用医薬品として販売することに異論は出ませんでした。
厚生労働省は今後、これら4成分について、発売後3年 間の製造販売後調査が終了するまで状況が変化しないことを確認しました。問題がなければ、エルベインコーワは12月7日 、ストナリニ・ガードは9月26日、アレジオン10は10月25日、アレギサール鼻炎は来年1月11日に、それぞれ第 1類に移行します。









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2014年9月2日火曜日

信州型総合医養成プログラム   諏訪中央病院

諏訪中央病院(茅野市)は今年度から、長野県が独自に認定する「信州型総合医養成プログラム」に基づき、若手医師の臨床研修を始めました。20代後半の後期研修医5人が受講し、患者や家族に寄り添う地域医療の理念と、幅広い診療に対応できる知識と技術の習得に取り組んでいきます。

 同プログラムは、高齢化が進む地域で必要とされる「信州型総合医」を輩出する長野県独自の認定制度になります。これは医師確保対策でもあります。長野県内12病院のプログラムが認定され、1年目となる今年度、3病院で12人(県外出身者7人、県内出身者5人)が研修を始めました。内訳は佐久総合病院6人、諏訪中央病院5人、長野赤十字病院1人となっております。







 研修は3年間。後期研修医を対象に行い、必須の内科、小児科、救急のほか希望科目の選択が可能となっております。チーム医療を学ぶ症例カンファレンス(検討会)や、患者や家族とのコミュニケーション、福祉分野との連携など県独自の研修項目があります。所属病院だけでなく、診療所や海外、県外で研修することもできます。

 このうち諏訪中央病院は急性期から慢性期、回復期、在宅ケアを一貫して学ぶメニューを提供しています。諏訪中央病院が培ってきた地域医療の理念や手法を学び、総合的に診療できる医師を目指します。研修内容は従来と同じだが、長野県の認定を受けたことで、他病院など研修場所の選択肢が広がるといいます。

 受講者の1人、佐久市出身の水間悟医師(27)は長野赤十字病院で初期研修(2年間)をした際、長野赤十字病院の心臓血管外科医から諏訪中央病院での研修を勧められました。今後、特定科目の専門医を目指すかもしれないが「患者を点ではなく線で診ることのできる医師になりたい」と話されています。

 長野市出身の山口裕起子医師(27)は、小児科医が志望といいます。大学病院の医局に入ることも考えられましたが、諏訪中央病の在宅診療に感銘を受け、初期研修から諏訪中央病院で学ぶことを決めました。「子どもの周りには家族がいます。家族を含めて診ることができる医師になりたいです」と話されています。

 プログラム責任者で諏訪中央病院在宅診療部長の高木宏明医師(53)=日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医=は「地域に溶け込んであらゆる健康問題に関わり、患者や家族に安心感を提供できる、幅広い力を持った存在になってほしいです」と期待しています。


これまで総合診療医は注目視されてきておらず、特に研修医としては総合診療医の選択肢すらほぼなかったような状況でした。しかし、地域包括ケアとしていかに在宅で多くの疾患を総合的に診るかとなると専門の知識が必要不可欠になります。諏訪中央病院のような臨床研修病院が全国に増えてくることで、地域の医療は守られていきます。このような流れは大学医局を中心に見た医療の提供体制の比重が低下してきている状況も後押ししていると思われます。いかに地域で連携して医療を構築していくのか、大学医局も方向修正が差し迫ってきた時ではないでしょうか。








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2014年9月1日月曜日

医療ビッグデータを白書に

政府は、患者が病院でどんな治療を受けたのかが分かる診療報酬明細書(レセプト)の膨大な情報を、地域別に分析して白書にまとめ、公表すると表明しました。医療費や入院費の支出が多い自治体に抑制を促す目的とみられます。肥満の人や予備軍の人を対象に、自治体などがツアーを企画し、地方の旅館やホテルで保健指導することも支援するとのことです。

 厚生労働省が2015年度予算の概算要求で、医療分野や地方活性化に関する特別枠に盛り込みます。






 政府は、77億件を超えるレセプトの「ビッグデータ」を使い、2015年度にも都道府県ごとに医療費支出の上限目標を設定する方針です。その一環で、特定健診(メタボ健診)も含めたデータを地域別に集計した「レセプト・特定健診情報データベース白書(仮称)」を毎年作ることにしました。白書は公表し、国の財政を圧迫する医療費全体の抑制につなげる計画です。

今や医療業界において、多くの情報がどんどん透明化されてきているというか、共通資源となってきております。特にDPCから各病院の情報というのは筒抜けになってきており、また各病院としては他の病院のベンチマークを捉えながら、自病院の経営改革などに力を入れ始めています。ただ、国が目指したいのは、医療費全体の抑制であり、そのためにはこれからこれらのビッグデータが予防医学へと活用されていくことになります。2025年にむけて、高齢者対策だけでなく、全体の医療費抑制にむけて、厚生労働省もいよいよエンジンをかけてきたと感じます。その中でいかに各病院が生き残っていくのか、厚生労働省の動向から目が離せない状況です。








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