2014年6月29日日曜日

地域包括ケア「病棟単位」「一般」から動き 14年度診療報酬改定

7対1入院基本料の要件強化など、機能分化に伴う受け皿の一つとして2014年度診療報酬改定で創設された地域包括ケア病棟(病室)への届け出が進んでいます。

関東信越厚生局によると、5月までの東京都内のおどけでは14病院で、病室単で届け出る「地域包括ケア入院医療管理料」が中心です。世田谷記念病院以外の13病院は全て「一般病床」からの届け出となっています。

こうした状況に日本病院団体協議会・診療報酬実務者会議の猪口雄二委員長(全日本病院協会副会長)は、「療養からの参入は簡単ではないと見ています。会員病院からは、6月に入ってから届け出に向けた質問が多く寄せられており、秋からの参入に向けて大きく動き出すことを実感しています。全日本病院協会は療養病床を持つ会員病院も多く、全面的にバックアップをしていく方針です」と述べられました。一方、日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、「地域包括ケア病棟は10月末までに全国で200病院程度の届け出になるのではないかと予測しています。一般と療養では、半々ぐらいになるのではないでしょうか。現在、施設基準となっている在宅復帰率の実績づくりをしている病院もあると思います」と述べられるなど、療養病床からの届け出は進むとの見方を強調しました。









地域包括ケア病棟入院料(病棟単位)と地域包括ケア入院医療管理料(病室単位、許可病床200床未満の病院で1病棟のみ)は、従来の亜急性期入院医療管理料の要件を基本に検討されました。入院料、管理料ともに「1」「2」の2段階の評価となっており、要件はほぼ同様だけど、点数の高い入院料1(管理料1)はさらに「在宅復帰率7割以上」「居室面積6.4m2以上」の二つの要件を満たす必要があります。

5月までの東京都内での届け出は、入院料と管理料を合わせて14病院で、入院料1は牧田総合病院、東京天使病院の2病院でした。入院料2は九段坂病院と世田谷記念病院の2病院となっていました。一方、管理料1は寿康会病院など9病院、管理料2は古川橋病院の1病院のみと、病室単位の届け出の方が多い状況です。看護配置を見ると、13対1病院は1病院だけで、10対1病院が8病院、7対1病院は牧田総合病院、九段坂病院など4病院でした。

また、北海道厚生局によると、5月までに入院料の届け出は無く、管理料1が5病院、管理料2が1病院と、すべて病室単位の届け出となっています。

地域包括ケア入院医療管理料を届け出た医療法人財団寿康会寿康会病院 (東京都江東区)と横浜メデイカルグループの医療法人三星会大倉山記念病院 (横浜市)は、「地域の中で患者を受け入れる流れを1日でも早くつくることが最重要課題」として取り組んでいます。点数が高いか低いかではなく、地域で急性期後の患者の流れを確立することが必要としています。

寿康会病院の猪口雄二理事長 (全日本病院協会副会長)は 、4月1日に7対1入院基本料から10対1に移行 し、5月には地域包括ケア入院医療管理料 1を一般20床で届け出るなど、将来を見据えた動きを展開しています。猪口雄二理事長は「寿康会病院はもともと一般49床で、改定前は7対1が29床、亜急性期入院医療管理料が20床でした。近年、高齢患者が増加し、在宅医療のニーズが増える一方で、7対1要件の見直しで『重症度、医療・看護必要度』が厳しい状況になったことを踏まえ、10対1への移行を決定した」と述べられました。「亜急性期病床 (亜急性期入院医療管理料)は9月でなくなるが、方向性は地域包括ケアに決まっています。それなら時間をかけずに地域包括ケアの流れをつくり込んでいこうという判断をしました」とも述べられました。
さらに猪口雄二理事長は「近隣の7対1病院から患者を受け入れる流れをつくっていくことが大事です。亜急性期入院医療管理料の方が点数的には高い患者もいましたが、亜急性期のままでは患者の流れをつくることができません。地域包括ケアを届け出ることで、今後につながる体制づ くりができます」 と強調されました。

一方、大倉山記念病院(一般114床 )は、4月に一般病床33床分で地域包括ケア入院医療管理料1を届け出ました。大倉山記念病院の西本育夫事務長によると、地域包括ケア病棟を計画したのは昨春のことだといいます。「中小規模の一般病院は、一般急性期か、急性期後の患者を受けていくかの機能の選択になります。グループ病院の菊名記念病院 (218床、7対1病院)などとの連携からも、当院は急性期後の患者を受け入れる病院という立ち位置を選択しました」と述べられました。大倉山記念病院は昨年から亜急性期入院医療管理料を届け出て、今年 3月に33床にしました。「亜急性期病床は、自院の長期入院患者をエスケープさせるための目的で使われるケースが多いといわれています。大倉山記念病院が昨年から亜急性期病床をつくったのは、患者を受け入れ、在宅に帰すという流れを地域の中でつくっていくことが目的でした。早めにトレーニングを積みたいニーズがありました」 (西本育夫事務長)
地域包括ケア病棟入院料 (入院医療管理料)の施設基準は厳しいとの見方が多い中で、西本事務長は「当然の内容と思っています。今回の診療報酬改定では、アウトカム、いわゆる結果が求められています。大倉山記念病院もアウトカムをしっかり出していこうと対応しています。例えばリハビリテーシヨンは2単位でいいのか。患者の状態によっては2単位では足りない場合もあります。医師らの判断で2単位以上のリハビリを提供することが必要であれば、提供することが当然と考えています。それが結果的に病院としてのブランドイメージをつくっていく基盤になります」と指摘しました。「地域の中での急性期後のプランドを確立すること、ポジションをつくることが最重要課題です」とも強調 され、「経営的にも採算ラインは確保できています」と述べられました。

日本慢性期医療協会の武久洋三会長が理事長を務める医療法人平成博愛会世田谷記念病院 (東京都世田谷区)は療養56床分で地域包括ケア病棟入院料2を届け出ました。神野工博 ・全日病副会長の社会医療法人財団董仙会恵寿総合病院 (石川県七尾市)も7月1日に一般47床分で地域包括ケア病棟入院料1を届け出て、算定を開始する予定です。

地域包括ケア病棟協会の仲井培雄会長は6月26日、5月15日に発足した地域包括ケア病棟協会の6月25日時点の会員数は122病院と発表しました。日本慢性期医療協会の通常総会後の会見で述べられました。仲井培雄会長によると、122病院のうち日慢協の会員病院は約6割、日慢協会員以外の急性期病院は約4割といいます。地域包括ケア病棟協会は今年度中に300病院が参加することを目標としています。会員病院からの地域包括ケア病棟入院料の届け出状況については「まだあまり数は出ていません。これからです」と述べられました。


今まさに多くの病院が機能分化にむけて動き始めています。地域包括ということで近隣病院の動向を見ながら検討することも重要ですが、まず自病院が何をするのか、その地域でどのように貢献していくのかという方針をしっかり打ち立てることが重要だと思います。もちろん事業を継続していくためには収益性も考慮しなければなりませんが。

その中で、非営利ホールディングカンパニー型法人制度に向けたM&Aなども進むのではないかと、ますます地域の動向から目が離せなくなります。







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