2014年12月31日水曜日

経常赤字病院 6割強に拡大

日本病院会は、「平成26年度診療報酬等に関する定期調査」の最終結果をまとめました。2014年度診療報酬改定の影響では、診療収益で63.5%が増収になりましたが、医業損益では62.8%の病院が減益として、増収減益傾向が鮮明になっています。






調査は7月14日~9月12日を調査期間として回答数735病院、うち有効回答を得た688病院を対象に解析しました。医業損益に関する調査では、581病院の回答から経常利益が1105万円減から1422万円減に減益の拡大が進み、経常赤字病院の割合は58.2%から66.3%に増加しました。その要因としては、費用増などを挙げています。
7対1入院基本料の算定病院の経常利益は、364病院を対象に2013年6月と2014年6月の2期比較を行いました。赤字病院の割合は61.3%から70.6%に増加しており、一般病棟10対1の赤字病院割合63.3%を上回りました。さらに、7対1入院基本料を算定するのは、同調査で618病院のうち415病院で、500床以上の病院では89.3%、9割が算定するなど病床規模が大きいほど算定割合は高い状況です。2014年度改定で具体的に測定項目が見直された「重症度、医療 ・看護必要度」は、施設基準の15%以上をクリアしているのが82.4%としています。

病院の経営状況が厳しさを増しております。診療報酬改定の影響が色濃くでた調査結果となっております。もちろん減益の大きな要因としては、消費増税があります。3%の費用額の増加を埋め切れることができていない現状です。社会保障と税の一体改革と掲げられておりますが、実際は市中の病院の経営状況の悪化という結論になっております。おそらく多くの病院は向かい風が強い中、立て直しが難しい状況であると思います。すべてが無くなっては地域医療は守られませんが、すべての病院・病床は要らないというのが国の方向性なのでしょうか。とにかく医療機関はここ数年が正念場であることは間違いありませんが、どの道を選択するのが難なく進めるのかもまったく見えてこない医療界です。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月30日火曜日

急性期と回復期の境界

厚生労働省の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」(座長=遠藤久夫・学習院大経済学部長)は12月25日、医療需要を推計する際に、高度急性期から慢性期の4つの機能で分ける境界点の考え方について議論しました。この中で、病床必要量の推計手法の検討を進めている産業医科大教授の松田晋哉構成員は、「急性期と回復期の境界点」(C2)について、患者の1日当たりの診療報酬から入院基本料とリハビリテーション料を除いた出来高点数が「500~1000点」が目安の1つになるとの検討状況を明らかにしました。






地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会は、DPCデータと「レセプト情報・特定健診等情報データベース」(NDB)を使って各患者の1日ごとの医療資源投入量を計算し、高度急性期、急性期、回復期、慢性期ごとの4つの患者数の推計手法に関する検討を進めている。病床数の必要量は患者数を推計した上で計算します。
松田構成員は、C2について、患者の1日当たりの診療報酬から入院基本料とリハビリテーション料を除いた出来高点数が「500~1000点のどこかになる」と説明されました。その上で「臨床家のご意見も聞きながら決めていく。あくまでもある程度マクロで推計するための値をどこにするかの議論であるということをご理解いただきたい」とも述べられました。また、「高度急性期と急性期の境界点」(Cl)について「3000点程度」との認識も示されました。一方、「回復期と慢性期・在宅医療等の境界点」(C3)についての具体的言及はありませんでした。 C2については、複数の構成員から低めに設定すべきとの意見が出ました。日本医師会副会長の中川俊男構成員は「1000点よりも大幅に低めのほうがいい。13対1や15対1でも急性期機能を担っている」と指摘しました。さらに「2025年に向けて、地域の医療資源との関係などで徐々に収れんされるようにすべき」とし、現時点で「境界点の点数を出すのは極めて拙速だ」と主張しました。
日本医療法人協会会長代行の加納繁照構成員は「患者の状態が安定化していれば500点くらいが妥当だ。根拠が必要であれば積算を示したい」と述べられました。全国自治体病院協議会長の邊見公雄構成員も「C2は低めのほうがいいのではないか」との見方を示されました。
別途指標を設定する「慢性期と在宅医療等」の推計手法も検討しました。厚生労働省は、2025年に向けた在宅医療の充実で、療養病床の入院受療率が低下することを前提にした推計を提案しました。その上で、療養病床の入院受療率に地域差がある現状を踏まえ、在宅医療や介護施設などの整備見込みを反映して、地域が目標補正できる手法を採用すべきとの考えを示しました。目標補正については、全ての地域で受療率を最小レベルにまで低下させる、全国の受療率を最小値から中央値までの範囲に低下させる、の2案を示しました。構成員からは、「目標補正の2案とも現実的ではない」「受療率を20対1と25対1に分けたデータを示すべき」との意見や、受療率で地域差が生じている要因分析を求める意見や、受療率以外の要素も考慮することを求める意見などが出ました。

病床機能報告の速報結果も聞こえてきている中で、各病院はこれからどのように特化していくべきか病院長を中心に経営幹部が検討に検討をかさねていることではないでしょうか。医療の意義は、患者の身体に対するケアであり、患者中心の公共的なライフラインでもあるため、地域の医療の需給バランスなどを考慮したうえで進めなければならず、地域医療構想の協議が進めば少しクリアになっていくのでしょうか。ただ虎視眈々と自らの方針・戦略に沿って進めている病院もあることから、ただ待っていても最良ではないため、まずは今回のC1やC2の目安を参考に検討していかざるを得ないでしょう。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月29日月曜日

同一建物に対する訪問診療

中医協総会 (会長=森田朗・国立社会保障・人口問題研究所長)は12月24日、2014年度診療報酬改定で実施した「同一建物における同一日の複数訪間の評価見直し」に伴う医療現場での影響を探る検証特別調査 (速報版)を行ないました。その結果は、期中改定が必要とされる実態は認められず、次期診療報酬改定に向けてさらに議論を進める方向を確認しました。






厚生労働省は、この日の診療報酬改定結果検証部会に対し、医療機関が訪問診療を行う平均居宅・施設数や平均訪問回数などがほぼ横ばいあるいは増加、同一建物関連の評価見直しの背景の一つとなった事業者から患者の紹介を受ける対価として、経済上の利益を提供する契約を行っている診療所は、2014年度改定前後で13%から0.2%に減少、患者1人当たり訪問診療時間 (中央値)は同一建物患者が7.5分、同一建物以外の患者で19.0分、訪問看護の調査では、訪問看護の平均利用者数、平均訪問回数が増え、訪問時間についても同一建物以外の方が長い一などの特別調査(速報版)の結果を報告しました。
検証部会で了承が得られたことを受け、総会にも同様の結果を提示しました。保険局の宮嵜雅則医療課長は総会で、調査結果を踏まえ「在宅医療の評価の在り方は、検証結果を踏まえ次期診療報酬改定に向けて、中医協でさらに検討を進めることでよいのではないか」と提案され、各側委員からも特段異論は出ませんでした。
調査結果をめぐっては、支払い側の白川修二委員(健保連副会長)が、同一建物で「医師1人 が1日に訪問診療を行った患者数が41人以上という施設が17施設」あることや、「患者1人の訪間診療時間が同一建物以外と比べると短く、診療内容も健康相談等の比率が高い」点を指摘し、同一建物の訪問診療の在り方を引き続き議論する必要性を指摘されました。患者紹介の契約状況については「無回答の比率が改定後に7.3%から10.1%に増えているのは、恣意的に回答しなかったと推測せぎるを得ません。今回の改定で療養担当規則の一部改正も行いましたが、まだまだ問題があり、引き続きチェックしていくことが必要だ」と強調しました。
また、花井圭子委員 (連合総合政策局長)は「通院が困難でないにもかかわらず、患者が居住する施設が希望したからという回答が同一建物で3.6%もある」と問題提起されました。白川委員も「訪問診療は、通院が困難な患者対象が原則だが、その原則論から離れている事例が一部推察される」と述べられました。
一方、診療側の鈴木邦彦委員 (日本医師会常任理事)は「改定後半年を経過したが、集合住宅で訪問・往診している病院・診療所が減ったという施設は一部あったが、引受先が見つからず都道府県等に相談したのは1施設でした。今回の改定によって収入が減ったという施設もありますが、在宅医療全体に影響を及ぼすとは言えず、引き続き次期改定に向けて精緻化していくことが必要」との見方を示しました。ただ、患者紹介の契約状況に関する診療所における無回答の比率が高まっていることにも触れ「7.3%から10.1%に増えているのは分析が必要」と問題意識を示しました。

在宅医療の推進のときに、患者紹介の現状が明らかになり、方向性を余儀なく修正しました。本来であれば、在宅の中に同一建物も分け隔てなく考慮する予定でしたし、サ高住などは自宅という概念はまだ残っております。今は、診療報酬や介護報酬上では自宅とは異なると言わざるを得ない仕訳が、今後の地域医療において大きなひずみを生まないことを切に願います。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月28日日曜日

介護報酬改定に向けて

厚生労働省は12月19日の社会保障審議会・介護給付費分科会 (分科会長=田中滋・慶応大名誉教授)に 、2015年度介護報酬改定に向けた審議報告案を提示しました。早ければ2015年1月9日に予定する次回会合で審議報告を取りまとめます。






厚生労働省は、地域包括ケアシステム構築の更なる一歩となる2015年度介護報酬改定に向けた基本的な考え方として、中重度の要介護者や認知症高齢者への対応の更なる強化、介護人材確保対策の推進、サービス評価の適正化と効率的なサービス提供体制の構築、の3項目を提示しています。これまでの議論を踏まえ、サービスごとに見直し案を示しました。介護療養型医療施設では、看取りやターミナルケアなどの長期療養や、喀痰吸引といった医療処置の機能を今後も確保するため、「療養機能強化型介護療養型医療施設(仮称)」として重点評価することを盛り込みました。この提案に対しては平川則男委員(連合総合政策局生活福祉局長)から「(制度上廃上の)基本方針が変わっていないと言いつつ、新たな機能強化型を打ち出すのは、違和感を感じる。理屈として合わないのではないか」との意見も出ました。
訪問看護の見直し案では、将来的な訪問看護従事者の増員に向け、病院や診療所からの訪問看護供給量を拡大するため、病院や診療所からの訪問看護の基本報酬を引き上げる方針を示しました。鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は「病院・診療所からの訪問看護だが、病院というのは地域包括ケアシステムを構成するかかりつけ医機能を持つ中小病院が考えられる」と述べた上で、病院の機能分化や地域包括ケアシステムの方向性との整合性を図る必要性も指摘しました。齋藤訓子委員(日本看護協会常任理事)は、「多くの事業所があり市場が競合するような地域では、小さい事業所が経営困難になるのではないか」と懸念を示しました。
介護老人保健施設については、在宅復帰支援機能を更に高めるために、リハビリテーション専門職の配置などによって、在宅強化型基本施設サービス費と在宅復帰・在宅療養支援機能加算を重点的に評価することを示しました。 介護人材確保対策では、介護職員の処遇をさらに改善させるため、現行の介護職員処遇改善加算の仕組みを維持しつつ、更に資質向上などに取り組む事業所を対象に、更なる上乗せ評価を行ないます。内田千恵子委員(日本介護福祉士会副会長)は「加算が有ることで介護職員の報酬に反映されている事実もある。今後も取り組んでいただきたい」とコメントされました。一方、本多伸行委員 (健康保険組合連合会理事)は「保険料を用いて処遇改善をするのは筋としていかがなものか」と指摘され、「例外的な措置を2度にわたって実施しなければならない論拠には乏しい」と述べられました。

介護報酬はマイナス改定が多く言われている状況ですが、おそらく大きく逸れることはないでしょう。特に特養と通所介護のマイナスが言われていますが、社会福祉法人のあり方にすらメスが入れば、小規模の事業所は本当に厳しい改定になると思います。介護職員の確保がこれからも重要となりますが、加算ではなく制度の本質からしっかりと組み立てて頂いて、地域包括ケアを促進する体制を構築できる光を与えるべきではないでしょうか。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月27日土曜日

在宅医療 信念は永遠 がんと闘う愛知県の医師  閉院

 愛知県東海市で、在宅医療に長く取り組んできた内科伊藤医院が12月27日をもって閉院します。院長の伊藤光保さん(63)が終末期の膵臓(すいぞう)がんで、診療を続けられなくなったためです。迫り来る死を静かに受け止め、患者に迷惑をかけないように万全の引き継ぎをする伊藤さんの姿が、感銘を呼んでいます。





 11月中旬、伊藤さんは最後の往診に回りました。行く先々で正座し、「長い間ありがとうございました。勉強させていただきました。こちらが先に弱ってしまってすみません」と丁重なあいさつをしました。
 車いすの女性(72)は、涙を流して伊藤さんの手を握り締めました。往診して7年になる寝たきりの女性(98)はベッドの上に座り直し、深々と頭を下げました。脊椎損傷の寝たきりの男性(75)は「頼りにしていたから本当にショック。今後も雑談に来てほしい」と話しておりました。
 伊藤院長は父が開業していた医院を1991年に継ぐと、すぐに在宅部門を新設しました。人工呼吸器を付けた在宅の重度障害者、精神疾患の患者など、在宅診療医の多くが敬遠するケースもすべて受けてきました。24時間態勢で深夜の呼び出しにも駆け付けました。伊藤院長がまだ公立病院に勤務していたころ、「在宅医療を充実させないと救急医療が破綻する」と感じていたからです。ホームレスの医療支援、在宅診療所の全国組織の世話人など、社会活動にも熱心に取り組んできておりました。
 膵臓がんが分かったのは3月でした。手術を受けましたが、既に転移していました。「今まで2千人の死亡診断書を書いたし、親友を3人、がんで亡くしていたから淡々と受け止めました。ただ、患者さんに迷惑をかけないようにしようと…」。隣接する愛知県大府市で今月開業した「いきいき在宅クリニック」の中島一光院長(55)を11月まで副院長に迎え、患者の引き継ぎも丹念にしました。
 外来診療は21日まで続けました。かかりつけの患者450人に希望を聞き、他の医療機関への紹介状を書く作業に追われました。
 がんが転移した左肩から左腕にかけて痛みが激しく、1週間ほど前からは「横になると痛くて眠れないので、いすにもたれて寝ていました」。主治医からは痛み止めに強い医療用麻薬を使うよう指示されましたが、診療中に判断が鈍るのを恐れ、最小限しか使いませんでした。
  仲間たちが企画する感謝の会や囲む会で、伊藤院長は「人と人のつながりが十分に生かされる社会、地域」という言葉をしばしば口にされます。社会の格差が広がる中、医療・福祉制度の矛盾、ひずみを埋めていくのは「熱意ある人と人の連携」との信念は揺るがないものです。

全国には伊藤院長に限らず、自らの身を削って地域の診療にあたって下さっている医師が多く存在していると思います。ただ高齢化社会が進む中ではその絶対数はまだまだ少なく、かかりつけ医として地域の医療を網羅できるレベルまではまだまだ道半ばの状況です。しかし、本当に国が掲げるような地域包括ケアシステムが構築されるには、総合診療医である開業医の存在が非常に大きくあります。しかし、一人医院では限界があります。そのあたりをいかに改善していくか、意欲的な医師に負荷をかけ続ける時代は終わりにしたいものです。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月26日金曜日

医師不足で休日・時間外の診療中止 紀南こころの医療センター

公立紀南病院組合が運営する紀南こころの医療センター(和歌山県田辺市たきない町)が12月15日から、休日・時間外の診療を中止しています。医師不足が深刻で、解消のめども立たないという状況です。糸川秀彰病院長が12月24日に、紀南病院組合議会の全員協議会で報告しました。






 紀南こころの医療センターには2014年3月末まで常勤医が7人いましたが、2015年1月には4人に減少します。精神保健福祉法に基づき、患者の強制入院や隔離、拘束の判断ができる精神保健指定医も3人いましたが1人になります。許可病床は198床ですが、現在稼働は144床にとどめて運営しています。
 4月に常勤医6人(うち指定医2人)となり、6月には常勤医2人が体調不良で休職したことから4人(同1人)になったため、時間外救急を一部制限するなどして対応しておりました。
 7月からは県立医大(和歌山市)から指定医の派遣を受け、野上厚生病院(紀美野町)からも当直応援を受けて5人(同2人)体制で運営してきました。しかし、10月に県立医大の医師2人が体調不良となり、医師派遣が12月末で中止となりました。野上厚生病院からの当直応援も10月末で終了しました。県内の公立病院はどこも医師不足で、補充のめどが立たないという深刻な状況です。
 紀南こころの医療センターは紀南で唯一の公立精神科病院です。2014年度、11月末までの時間外救急患者の受診は269件で、うち入院は48件でした。今後は県立こころの医療センター(有田川町)が受け入れを担っていきます。患者や関係機関には11月中旬から周知しており、これまで大きな混乱はありませんでした。
 糸川病院長は「医師不足で残された医師は業務過多になっています。医師の都会偏重や公立病院敬遠といった構造的な課題解消が必要です」と話しています。

地方の病院における医師不足は深刻さを増していきます。和歌山県といえば大阪府に隣接する県ではありますが、紀南こころの医療センターのある田辺市は大きく離れており、大阪府内からの応援も期待することは難しいでしょう。これからますます医師不足は地方で深刻な問題となっていきますが、残って頑張って下さっている医師のためにも、何とか制度の見直しで負荷が緩和されるようになることを切に願います。もう一つ一つの病院で考えていく時代から、一次医療圏もしくは二次医療圏で診ていく体制に切り替えていかなければならないのではないでしょうか。地域医療構想もこれから本格的に各都道府県で協議が進んでいきますが、いかに法人の枠を超えた連携を進めていけるか、課題となることでしょう。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月25日木曜日

7対1病院における重症度、医療・看護必要度

一般病棟7対1入院基本料(7対1)を届け出る病院のうち、7対1入院基本料の施設基準の「重症度、医療・看護必要度」の基準を6月時点で満たしていた割合が約8割にとどまることが、日本病院会(日病)の調査で分かりました。






 7対1入院基本料の重症患者の受け入れに関する基準は2014年度診療報酬改定で厳格化されました。具体的には、血圧測定や時間尿測定、喀痰吸引の実施などを、重症かどうかを判断する項目から除外されました。その一方で、抗悪性腫瘍剤の内服といった項目が追加されました。7対1の施設基準では、これを満たす重症患者の割合が15%以上であることを求めています。この見直しによる影響の緩和のため、9月末まで経過措置が設けられていました。
 日本病院会は7-9月に、2014年度改定に関する会員病院の調査を実施し688病院から有効回答を集めました。このうち、7対1を算定している415病院に重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者の割合を聞いたところ、1.7%が「13%未満」、4.8%が「13%以上15%未満」と回答した。11.1%は無回答という結果でした。

 2014年度改定では、特定集中治療室管理料とハイケアユニット入院医療管理料でも、重症者の受け入れに関する基準が厳しく見直されています。
 日本病院会の調査では、特定集中治療室管理料3か4を届け出る208病院の10.6%が、ハイケアユニット入院医療管理料2を届け出る34病院の20.6%が、それぞれ6月時点で、患者の重症度に関する基準を満たしていないと回答しました。無回答は、特定集中治療室管理料3か4では12.0%、ハイケアユニット入院医療管理2では14.7%でした。基準をクリアしていたのは、特定集中治療室管理料3か4では77.4%、ハイケアユニット入院医療管理2では64.7%でした。
 どちらの管理料も、一定の間、重症度に関する基準を満たしていると見なす経過措置があります。その期限は、特定集中治療室管理料は2014年度末まで、ハイケアユニット入院医療管理料は9月末まででした。
 この結果について日本病院会は、「重症度の高い特定入院料の要件の厳しさがうかがえる」としています。

 さらに、688病院の回答を基に、診療収益や医業損益についても分析しました。2014年6月の診療収益(入院+外来)の平均値は、前年同期比で2.57%増え、診療単価も、入院で3.19%、外来で2.33%、それぞれ増加していました。
 ただ、医業損益について調べたところ、費用の伸びが収益の伸びを上回り、赤字の病院が58.2%から66.3%に増加していました。特に材料費などの伸びが大きく、「消費税増税による影響も大きい」と指摘しています。さらに、「今回の改定は、赤字病院の拡大など病院経営に大きな打撃を与えた」としています。

各病院は病床機能報告を先日に届出を終えましたが、これからどのような機能で病院を運営していくのか、飽和状態といわれている7対1を算定し高度急性期を目指していくのか、目指したい姿と現実の姿が今はっきりとしてきていると思います。7対1の算定は厳格になってきており、おそらくまだ7対1の病床が過剰とみられれば、さらに厳しくなることが予測されます。本当に重症度の高い患者を多く診ているのか、また今後も引き続き診ていくのか。これから医療は地域包括へとシフトしていく流れですが、その中で高度急性期の担う役割は広がるのでしょうか。国の方向からすれば、社会保障費の抑制を図りたいわけですから、そうなると高額な医療は是が非でも抑えたいものです。その中で、どのような医療の役割を担っていくのか。どのような地域ニーズに貢献していくのか。総合的ではなく専門的な医療へと変わっていくのではないかという見方もありますが、2025年はどのようになっているのでしょうか。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月24日水曜日

重症患者の夜間ヘリ搬送 京都第一赤十字病院

京都第一赤十字病院の高階謙一郎・基幹災害医療センター長は、負傷者をヘリで搬送するため深夜の離発着となったが、周辺住民から苦情はなかったと話されました。福知山花火大会事故の重症患者を受け入れた京都第一赤十字病院の高階謙一郎・基幹災害医療センター長は12月4日、東京医科歯科大で開かれた日本集団災害医学会学術集会のシンポジウムで、夜間におけるヘリ運用の実情や改善すべき事項などを報告しました。






 高階センター長は、2013年8月に京都府福知山市で開催された花火大会で多数の熱傷患者が発生した際、重症熱傷の患者を府内外の病院に分散搬送した経緯などを説明されました。広範囲熱傷の患者を市立福知山市民病院から京都第一赤十字病院まで搬送するため、深夜にもかかわらず、京都市消防局の消防ヘリが飛びましたが、熱傷患者に合わせた機内換装などを行ったため、福知山市民病院屋上のヘリポートに着陸するまで、救急応援出動要請を受けてから約1時間20分かかったといいます。
 高階センター長は、消防ヘリの機内環境についても言及し、傷病者と医師の座席が離れている、夜間搬送時には機内の照明が暗く、傷病者の観察には適さない、照明を明るくすると運航に支障が出るため、点灯は急変時だけに制限される、などといった問題点を挙げました。
 一方、京都市消防航空隊が2011年9月から西日本で初の消防ヘリによる24時間運航を始め、夜間飛行訓練を年間60回近く行っていたことについては、「夜間離発着訓練を事前に行っていたため、今回の運用につながった」と評価されました。深夜の離発着になったため、周辺住民の生活に影響を及ぼす恐れもありましたが、今回の搬送では、住民からの苦情はなかったといいます。
 今後の対策として、夜間ヘリ運用要領の策定や周辺住民への周知・説明、夜間飛行に熟達したパイロットの養成などが求められると指摘しています。また、夜間は格納庫からの出庫準備や、天候の状況の確認、目的地までの経路選定などを昼間よりも少ない人員で行うため、出動まで時間がかかることも考慮する必要があるとしました。

夜間の救急ヘリは発動がないに越したことはありませんが、それでも事件や事故などにより僻地に急患がいたらその存在はとても大きなものです。ただこれまで夜間飛行訓練を年間60回近く行っていたとのことですが、それだけ行なっていて、傷病者と医師の座席が離れている、夜間搬送時には機内の照明が暗く、傷病者の観察には適さないなどの問題点にまでは辿りつかなかったのかと思うと訓練の精度に疑問を抱かざるを得ません。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月23日火曜日

病院食を弁当で家庭にお届け 国栄協

全国164施設で働く管理栄養士らでつくる全国国立病院管理栄養士協議会(国栄協)は、国立循環器病研究センター(国循)や調理システムの開発・販売などを行う「グローカル・アイ」(大阪市)、住友商事マシネックス(東京都中央区)と共同で、在宅患者らを対象とした弁当の新ブランド「からだデリ」を立ち上げた。12月1日から東京都や大阪府などで弁当の販売をスタートさせました。






 からだデリは、国栄協に所属する施設や国循から集めた病院食のレシピを、インターネットを通じて提携先の食品会社に有料で配信し、食品会社が調理した弁当を生活習慣病の在宅患者らに配達する仕組みです。現在、7府県の11の食品会社との提携が決まっており、今後、全国拡大を目指しております。
 レシピは、栄養バランスや味、見た目への配慮だけでなく、「北海道・東北」や「関東・信越」など全国6地域の特色を生かした食材や調味料が取り入れられています。また、一部のレシピはネット上で無料公開されており、家庭で手軽に病院食を味わうことができるといいます。

これから地域包括ケアシステムの構築が進めば、在宅での医療介護を受ける方が増加していきます。その中で、ヘルパーのサービスを利用して調理をお願いすることもあるでしょうが、栄養バランスが整った病院食のお弁当はとても魅力が高くなっていくと思います。ただ、そこはお弁当の提供だけでなく、安否確認や身体状況の確認など複合的な支援が行えれば理想だと思います。ただそのためには今の介護保険に乗せることができませんので、利用者の負担は大きくなってしまいますが、包括的なサービスへとシフトしていくことも、近く始まりそうな気配も感じます。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月22日月曜日

介護リハに医師も関与

リハビリ関係の9団体が加盟するリハビリテーション医療関連団体協議会 (体協)は 、次期介護報酬改定で通所リハのリハビリマネジメント加算に 「3カ月に1回以上」の医師の関与の頻度を明確に要件化するよう求めています。訪問リハについてもリハビリマネジメント加算の導入を働き掛ける方針です。高齢者リハにおける医師の関与の在り方は、次期介護報酬改定の焦点の一つになっているが、厚生労働省の「高齢者の地域におけるリハビリテーションの新たな在り方検討会」では、一部の構成員から医師の関与の必要性は認めながらも、その頻度を明確化することでの過重負担を懸念する意見も出ています。






リハ団体協の石川誠報酬検討部会長 (日本リハビリテーション医学会・社会保険担当理事)は、「次期介護報酬改定では、通所・訪間リハともに少なくとも医師が3カ月に1回以上診察し、実施計画書作成を含めたカンファレンスを開き、利用者や家族への説明と同意を求めることをリハビリマネジメント加算の要件に組み込むよう厚生労働省に要望した」ことを明らかにしました。
石川誠報酬検討部会長は、これまで介護給付費分科会での議論について「分科会で示された基本的な内容は評価している。特にケアプラン全体で リハビリを考えるリハビリマネジメントと、医師の関与が必須というのが重要な視点」と指摘しました。その上で「仮に医師が忙しくて評価できないというような状況では、地域包括ケアを進めることもできないと言わざるを得ない。医師を含めたカンファレンスを行い、医師の指示に基づいて行うのがリハビリ。リハビリをきちんと理解している医師の存在が重要です」と強調されました。リハ団体協では、介護リハビリについて理解を深めるため、医師向けの研修事業の立ち上げを検討する予定です。
石川誠報酬検討部会長は「医師がリハの効果をきちんとチェックしながら、患者個々の到達目標を達成させるリハビリを提供できるかが、本当の意味での介護保険のリハビリ」と指摘されました。その上で、リハ団体協としては、「訪間看護ステーションからの訪問リハも含め、医師の関与は少なくとも3カ月に1回以上行うべきだと考えている」と述べられました。

この動きは、まさしく質を高めていこうというリハ団体協の自発的な意思なのでしょう。高齢者のリハビリではとくにしっかり行わなければなかなかADLは改善していきません。そのような状況で、ただ通所リハに利用者を集めているだけという事業所をふるい落としていこうということなのでしょう。確かに手を抜けばスタッフは楽できますから。そして楽なところにスタッフが集まるなんていうのは本末転倒ですから、そこに対する危機意識でしょう。これからますますリハビリは重要視されていきますし、予防とも密接な関係へと進んでいきます。在宅で元気に暮らしていくためには何かとハードルが高いのです。しかし、病院や施設ではなく在宅へとシフトしていく方向性が示されている地域包括ケアシステムにおいては、その人らしい生活を過ごすために、医師とも連携し他職種連携でケアを行なっていくのは取るべき方向でしょう。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月21日日曜日

かかりつけ医機能の負担

地域包括診療料と地域包括診療加算の要件のうち、常勤医師が3人以上の在籍について、診療所の開設者・管理者の9割以上が、かかりつけ医機能として重要ではないと考えていることが、日本医師会(日医)の会員調査で分かりました。12月17日に記者会見した日本医師会の中川俊男副会長は、「状況を見ながら検証して、(地域包括診療料などが)現場としては非常に良いということが分かれば、要件の緩和を求めていきたい」と述べられました。






 地域包括診療料と地域包括診療加算は、2014年度の診療報酬改定で、主治医機能を評価するために新設されました。原則として診療所が対象で、患者の同意を得た上で、継続的かつ全人的な医療を行うことで算定できます。
 要件には患者の健康管理や服薬管理、24時間体制の対応などがあります。常勤医師3人以上の在籍は、診療所が地域包括診療料を算定するためには必須となっております。地域包括診療加算を算定する場合にも、常勤医師3人以上の在籍か時間外対応加算1か2の届け出、在宅療養支援診療所であることの、いずれかを満たすことになっています。
 日本医師会は次回の診療報酬改定に向けた議論の基礎資料にするため、10-11月に会員の調査を実施しました。1519人から回答を得ました。この中で、地域包括診療料などの要件を抜粋し、かかりつけ医機能として「特に重要と思われる項目」と「特に負担あるいは困難な項目」を複数回答で調査いたしました。
 その結果、重要だと答えた割合は、「受診勧奨や健康状態の管理」(59.6%)や「主治医意見書の作成」(56.1%)、「健康相談」(53.3%)、「患者に処方されているすべての医薬品の管理」(52.1%)、「患者が受診しているすべての医療機関の把握」(51.9%)が5割を超える結果となりました。一方、「常勤医師3人以上」は5.6 %にとどまり、「在宅療養支援診療所」(14.8%)、「原則として院内処方」(14.9%)なども低かい結果でした。
 また、負担だったり困難だったりする項目として挙げられた割合は、「常勤医師3人以上」が最も高い77.9%で、以下は「在宅患者への24時間対応」(69.4%)、「在宅療養支援診療所」(54.4%)、「原則として院内処方」(46.5%)などと続きました。「健康相談」(13.3%)や「受診勧奨や健康状態の管理」(14.1%)、「主治医意見書の作成」(15.3%)などは低い結果でした。

調査結果の回答は、まさしく現場の声であると感じます。まず前提として、常勤医師3人以上の在籍を行なう開業医が、現実的にどれだけあるかということです。本当に魅力ある先生のところでなければ、わざわざそこで勤める医師は皆無でしょう。思いが無いのなら自治体病院に勤めた方がよっぽど負担も少なく居心地も良いと思います。もしくは、ご自身で開業されるでしょう。確かに常勤医師が3人いれば、外来診療をしながらも訪問診療にも行けて、また緊急対応もできるでしょう。夜間もローテーションを組めば負担は軽減されるでしょう。でもそれは、絵空事ですよね。なかなか現場がご理解いただけていないことに対し、今回の調査内容が少しでも刺さることを期待したいものです。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月20日土曜日

看護師の特定行為

厚生労働省の医道審議会・保健師助産師看護師分科会看護師特定行為・研修部会(部会長=桐野高明・国立病院機構理事長)は12月17日、2015年10月から始まる看護師の特定行為に関する研修制度について意見書をまとめました。最大の焦点だった「経口・経鼻気管挿管の実施」と「経口・経鼻気管挿管チューブの抜管」の2項目は、特定行為から外すことで合意しました。制度開始時の特定行為は計38項目となることが決まりました。






厚生労働省は意見書の取りまとめを受けて、制度施行に向けた関係省令や運用通知の作成作業に入ります。厚生労働省の二川一男医政局長は、「省令は法律上、医道審の意見を聞くことになっているので、今度は条文の形で意見をお聞きする段階が来年にあります。省令のほかに通知、ガイドラインなども定める」と述べられました。
制度開始時の特定行為から外れた気管挿管・抜管をめぐっては、「一定の条件下に限定した実施を特定行為として認めるべき」との意見が相次ぎました。危険度の高い「挿管」は外し、「抜管」だけでも特定行為にすべきとの意見も複数出ました。最終的には桐野部会長が「限定された状況下では特定行為に含めるということを、できるだけ早期に検討すべき」と引き取りました。その上で、検討の開始時期について「制度がスタートしたころ」との希望を述べました。二川局長も「今回は除外するが、追加を早期に検討することについて、多数の方から強い希望を頂いたことはしっかり受け止める」と応じました。
また、部会では、特定行為の研修を実施する機関(指定研修機関)として厚生労働省が指定するための要件概要や、研修項目ごとの時間数など制度の大枠も決まりました。指定研修機関の要件では、専任の研修責任者を配置していることや、類似する特定行為をまとめる「特定行為区分別」の科目指導者は医師・歯科医師の臨床研修指導医と同等以上の経験を有することなどを求めています。 このほか、講義・演習や実習を実施するための施設・設備に関する要件も定めています。訪間看護ステーションで実習する場合は、診療所の医師を指導医とするなどの指導体制の確保も求めています。
前回の会合で、414時間と積算していた共通の知識・技能を学ぶ「共通項目」の研修時間は315時間となりました。特定行為区分別の主な教育内容と研修時間数も決まりました。

これから、医療の体制は大きく変わっていくことになるでしょう。医師はニーズがあっても大きく枠を増やしていくことはしないでしょう。ただし専門性も増していき、重度複雑化していく中で、医師ができることは一部になっていかざるを得ません。その部分をいかに看護師が担っていくのか。ただしこれから看護師にはもっと患者に近い存在として役割が変わっていくことも考えられます。超高齢化が進む中、今の体制では疲弊していくことは想像されますので、どこから変化していくのか、期待と不安が募ることも事実です。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月19日金曜日

新型法人制度の意見まとめ、年明けに

厚生労働省が 「非営利ホールディングカンパニー型法人制度 (仮称)」としてきた新型の非営利法人制度 (新型法人)に 関する意見の取りまとめが、年持ち越される情勢になりました。
厚生労働省は、新型法人について具体的に検討している 「医療法人の事業展開等に関する検討会」を12月中に開く調整を進めていましたが、意見集約できていない諭点が複数あることや、衆院選の実施で税制改正大綱や2015年度予算政府案の取りまとめ時期など政府全体の 日程が例年より遅れていることなどを考慮し、年内の取りまとめは困難と判断して年明けへの延期を決めました。






新型法人については、政府が6月に閣議決定した「日本再興戦略改訂2014-未来ヘの挑戦」で、「年内に結論を得るとともに、制度上の措置を来年中に講ずることを目指す」との方針を示していました。新型法人をめぐって意見集約できていない論点は主に、参加法人としての社会福祉法人の取り扱い、新型法人が外部の株式会社などへ出資する際のあり方、新型法人が病院を直接経営することの是非、新型法人内の議決権のあり方、理事長要件、自治体立病院が新型法人に参加する際のあり方などです。新型法人について同検討会が意見を取りまとめる時期は、早ければ1月中になりそうです。新型法人を創設するためには、予算非関連法案として法律案を国会に提出することが必要になる見込みです。来年の通常国会へ提出する場合、例年通りのスケジュールであれば予算非関連法案の提出締め切りは 3月上旬のため、法案提出に向けた与党との調整を勘案すると少なくとも2月上旬までには同検討会としての意見を取りまとめておく必要があります。ただ、2015年度予算政府案の閣議決定が年明けに持ち越されることが濃厚な異例の状況のため、全体的なスケジュールが通常より遅れる可能性があることは否めません。

新型法人である非営利法人制度については、確かに想定が曖昧すぎて煮詰まっていない状況であるため、これからしっかり詰めていくためには調整期間が必要であることはしかるべきです。ただ気になる点として、なぜ国がこのようなわずらわしい調整をしてまで新型法人の制度を整えようとしているのか。もう各地域での医療を良い意味でも悪い意味でも責任をおろすことを考えているのではとすら思えてなりません。だから議決権も一票ずつでいいのではないかという案すら出てきたのではないかと。もう運命共同体として一体だということなのではと感じてしまうのですが、しかしそれぞれの法人で思いを胸に医療を進めてきた者同士が簡単にベクトルを合わせて、酸いも甘いも共有することは、実現に向けて険しい道のりだと感じます。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月18日木曜日

赤字病院拡大 全日本病院協会が調査

2014年度診療報酬改定後の今年5月の総収支が赤字の病院が、2013年同月と比べ増えていることが、全日本病院協会(全日病)が12月16日に公表した会員調査の結果から明らかになりました。特に、東京にある病院や、一般病床のみの病院、DPC対象病院などで収支が悪化する傾向が見られ、全日本病院協会は、2014年度の「診療報酬改定による急性期入院医療の厳格化」や「消費税増税による支出増」が要因としています。






 全日本病院協会は5月、会員病院の収支状況などを調査しました。930病院から回答を得て集計し、2013年5月の状況を調べた前回の会員調査(831病院が回答)の結果と比較しました。
 それによると、医業収入を医業支出で除して算出する「医業収支率」の平均は、2014年5月が104.6%で、2013年5月の105.5%から減少しました。医業収支率が100%に満たない病院の割合は25%で、2013年5月と比べ2ポイント増加しました。また、医業以外の収支も加えた「総収支率」の平均は104.6%(前年同期比1.8ポイント減)で、この比率が100%未満の赤字病院の割合は24%(同2ポイント増)でした。
 総収支率を病院の所在地ごとに見ると、「東京」が35%(同6ポイント増)と高い状況でした。「政令指定都市」は21%(同3ポイント減)、「その他」は23%(同2ポイント増)でした。
 また、一般病床のみの病院の総収支率は102.8%(同3.3ポイント減)で、療養病床のみの病院の113.0%(同0.3ポイント減)や精神病床のみの病院の112.1%(同0.9ポイント減)より低い状況でした。
 DPC対象病院の総収支率は102.0%(同3.7ポイント減)でした。これに対し、DPC準備病院は104.4%(同2.6ポイント増)で、それ以外の出来高算定病院は109.4%(同1.0ポイント増)と、2013年同期と比べ高くなっていました。
 全日本病院協会は、急性期の入院医療を担う病院の経営状態が悪化すると、地域の医療提供体制に「大きな影響を及ぼす」と指摘しています。今後、診療報酬体系や消費税の在り方について、十分に議論する必要があります。

今回の2014年度の診療報酬改定により、収入は若干増えたが、消費増税等により支出がそれ以上に増え、増収減益となっている医療機関が本当に多く、中には減収減益と厳しい状況に落ち込んだ医療機関も数多くあります。本来、社会保障を立て直すための消費増税であったにもかかわらず、各現場が疲弊するようなしわ寄せが起きており、ただ国としてはこれに対する処遇の改善は考えにくいと思います。むしろ弱ったところは、くっついて助け合っていくように、と言っているようにすら聞こえて仕方ありません。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月17日水曜日

新型法人 非営利ホールディングカンパニー型法人制度 地域連携型医療法人制度

厚生労働省の「医療法人の事業展開等に関する検討会」(座長=田中滋・慶応大名誉教授)は11月27日、「非営利ホールディングカンパニー型法人制度」として検討してきた新型の医療法人制度について、2014年内の意見取りまとめを目指し引き続き議論しました。新型法人が事業展開する地域の範囲については、厚生労働省が「地域床療構想区域を基本に、都道府県知事が認可する範囲」とする案を示し、特段の興論は出ませんでした。また、前回会合で新型法人の名称として採用した「地域連携型医療法人制度 (仮称)」の変更を決めました。厚生労働省は11月27日の意見を踏まえた資料を作成し、次回会合で示します。






新型法人に関しては、事業地域範囲、参加者の対象範囲、業務内容、統治の仕組み、非営利性の確保など、透明性の確保、の6項目ごとに、厚生労働省がこれまでの意見を踏まえた議論の方向性や提案内容を示しました。参加者については、「法人」が「複数」参加することを前提としました。その 上で、病院、診療所、介護老人保健施設を経営する医療事業を行う法人を対象にすることを提案しました。社団型の場合は参加法人を社員に、財団型の場合は参加法人の代表者を評議員にするとし、委員からは賛成意見が出ました。社会福祉法人の取り扱いについては、社会保障審議会・福祉部会が議論している社会福祉法人制度改革の状況も踏まえて引き続き検討します。
業務内容では、法人全体におけるキャリアパスの構築、医薬品などの共同購入、参加法人への資金貸付・債務保証・出資、株式を一定以上保有している株式会社の介護事業や医薬品の共同購入など新型法人に関連する事業を対象に出資、を可能にすることなどを提案しました。委員からは、株式会社への出資について「資金流出の可能性が残るため保有率は100%にすべき」との意見が複数出ました。
議決権については、「1社員1議決権」とする以外の仕組みも検討すべきとの意見が複数出ました。 日本医師会常任理事の今村定臣委員は「1社員1議決権は大原則です。議決権に差異を設けるべきではない」と主張しました。一方、明治安田生活福祉研究所主席研究員の松原由美委員は、「1人1票ではない決め方で資本の論理が働かない決め方にどういうものがあるか、検討は必要ではないか」と問題提起されました。ただ「定款に定めねばあとは自由、というのはない」とも述べられました。立教大法学部教授の松井秀征委員も松原委員に同調 し、「選択の余地がまったくなくなるのはどうかというのは素朴な疑間」と述べられ、1社員1議決権以外の仕組みを検討する必要性を指摘しました。

新型法人を進めて移行する国の本当の目的が何なのか、どうもそれが鮮明に把握できなければ個々の議論の方向性など賛否が大きく割れると思います。医療は誰のためのものでしょうか。それを維持していかなければいけないのは、誰の責任の範疇なのでしょうか。もし、改革を進めていくならその歪みが患者・家族にいかないように、また地域医療の崩壊の引き金にならないようにしっかり検討して頂きたいと強く願います。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月16日火曜日

平均在院日数の限界

日本病院団体協議会の代表者会議は11月28日、次期診療報酬改定に向け、平均在院日数の短縮が限界まで来ているとの認識を確認し、主要な疾病の在院期間の実態を把握するな どエビデンスを構築していく方針を決めました。加納繁照議長 (日本医療法人協会長代行)、 楠岡英雄副議長 (国立病院機構大阪医療センター院長)が代表者会議後の会見で明らかにしました。






加納繁照議長は会見後、「次期改定で平均在院日数に切り込みを入れてくる可能性が極めて高いです。日病協としては平均在院日数の短縮がもう限界という意見が大勢です。現場の実態を主張できるよう理論構築に着手したい」と述べられました。実務者会議の猪口雄二委員長 (全日本病院協会副会長)も 、「平均在院日数は、海外との単純比較で日本は長いか ら短縮せよと言われているが、背景にあるマンパワーなどが全く異なる。そうした切リロなども含め実務者会議で調査・分析していきたい」としました。
加納繁照議長は会見で、中医協・診療報酬基本問題小委員会で、DPC評価分科会からの2013年度退院患者調査結果に対し診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)が 、医療現場は平均在院日数の短縮に苦慮していると発言していることなどを取り上げ、日病協としても大きな問題意識をもっているとしました。
DPC評価分科会の調査では、DPCI群は2009年の平均在院日数が16.03日が2013年には13.99日と2日弱短縮し、Ⅱ群は13.92日から12.66日、病院数が最も多いⅢ群は14.60日から13.21日の短縮となっています。加納繁照議長は、こうした4年間での日数短縮の実態を紹介しながら「これ以上の短縮は、医師、看護師などの医療スタッフを増員し、医療提供体制を変える必要がある」とも指摘しました。
一方、中医協では、第20回医療経済実態調査 (実調)の項目などの検討に入っているが代表者会議では実調で2014年度から新会計基準に移行した自治体病院の調査について議論されました。2013年度の旧基準と2014年度の新基準による調査の2通りが求められる可能性がありますが、加納繁照議長は「新会計基準になった2014年度調査を旧基準でも実施するのは、現場にとって大変厳しいとの感触だった」と述べられ、今後の中医協で調査設計に関する議論を見守る姿勢を示しました。

適正な在院日数とはどのような値になるのでしょうか。それぞれ疾患も異なれば医療提供の環境も異なる。さらに広報連携先の状況も異なると思います。社会保障費の抑制の観点からみれば短いに越したことはないでしょう。でも国民の多くは、患者も家族も転院や在宅への帰宅は時として不安を大きく受けます。担当医に見放されたと。そこには説明不足による医師の責任もありますが、外国と風土文化が異なるところもあります。もちろん環境だって大きく異なります。地域包括ケアシステムの構築により患者を病院から在宅へと復帰させていこうとすることは間違っていないと思いますが、制度と環境の整備をしっかり行ったうえで進めていきたいものです。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月15日月曜日

国民皆保険制度の維持

九州医師会連合会 (会長=近藤稔・大分県医師会長)は11月22日、大分市で総会を開き、国民皆保険制度の形骸化と地域医療衰退の阻止を誓った宣言と、「混合診療」の全面解禁に反対することなど9項目を盛り込んだ決議を全会一致で採択しました。






宣言は「国民皆保険制度によって、いつでも、どこでも、だれでも質の高い医療が受けられ、健康長寿社会が支えられている」との認識を示した上で、政府が成長戦略の一つに医療を掲げて規制緩和による医療費抑制政策を検討している点に言及しました。「医療費支出目標上限設定は、管理医療の強化につながり、適切な地域医療の提供を阻害する恐れがある」と指摘しました。
さらに「環太平洋連携協定 (TPP)や 非営利ホールディングカンパニー型法人制度 (仮称)は株式会社の医療経営参入を招き、医療の非営利性を損なう危険性が大きい」と強調しました。病床機能報告を通じて地域医療構想の策定が進められることにも言及し「人口減少の現在、データ優位の机上再編は医師の偏在、看護師不足に拍車をかけ、地域医療の衰退を生じかねない」と訴え、国民の生命や健康を守ることを宣言しました。
また、宣言で示した認識を踏まえ、決議では、国民皆保険制度の堅持、混合診療の全面解禁反対、TPP条約批准反対、医療の営利産業化阻止、控除対象外消費税問題の抜本的解決、地域医療提供体制の整備充実、勤務医、女性医師の勤務環境改善、就業支援強化による医師不足 ・偏在の解消、看護師 。准看護師の積極的養成、介護療養型医療施設の存続と地域医療に必要な病床の確保、を主張しました。

医療は営利追求するものではなく、生活インフラに近い存在であるべきと考えます。地域住民の安全で安心した生活がおくれるように支えるのが医療であり介護福祉であると考えます。確かに外から見ると甘い業界に見えるところはあるでしょう。パキパキの営利団体が参入したなら大きな利益を獲得することもあると思います。しかし、それは営利に特化した場合です。いまや自治体病院の多くが赤字経営でその運営形態を変更して財政改善に取り組んでいます。また多くの民間病院が自治体病院でまかなえていない多くの部分を特に5疾病5事業に関して地域の医療機関としてその役割を担っています。そこには、採算度外視で取り組んでいる医療があるのです。そのような状態で各地域でなんとか医療を提供している状態です。もしそこに営利部分だけを追求する営利団体が参入すれば、そのバランスは大きく失われるでしょう。民間病院も保身的な方針に切り替えなければ、存続できなくなり、非採算部門を切りすれざるをえなくなります。医療や介護はそのようなものでよいのでしょうか。もちろん税金の垂れ流しはよくありません。それぞれの医療機関がしっかり健全な運営を行っていけるよう改善は必要です。そのための制度改革であれば、医療介護は地域住民に質を高めていけると感じます。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月14日日曜日

介護療養の改定案

社会保障審議会・介護給付費分科会委員を務める日本医師会の鈴木邦彦常任理事は12月10日、2015年度介護報酬改定に向けて厚生労働省が「療養機能強化型介護療養型医療施設 (仮称)」を提案したことについて「重度の方のターミナルケアや看取りも含めた受け皿として必要性が認められた」と評価しました。






厚生労働省は2017年度末の廃止が予定されている介護療養型医療施設について、看取り対応など5要件を満たす施設を「療養機能強化型」として評価することを提案しました。鈴木常任理事は「医療ニーズがある重介護の人の受け皿として介護療養型医療施設の必要性は年々増しているので、存続すべき」と主張されました。厚生労働省の提案を「重度の人の受け皿として必要性が認められたということだと思う。その点は評価したい」と述べられました。一方、「廃上の方針が変更になったわけではない」とも述べられ、「病院として残してほしいという要望も強いので、施設ではなく病院として残せるようにしていただきたい」と求めました。
厚生労働省は訪問看護に関して、訪問看護従事者の将来的な増員に向けて病院や診療所か らの供給量を拡大する方針を示し、病院・診療所に対する基本報酬の増額も提案しました。鈴木常任理事は「病院といっても地域包括ケアでの役割が期待される中小病院や、有床・無床の診療所から行くようにするのがよい」とコメントされました。診療報酬には厳しい人員配置基準があるとして「縛りがあまり厳しいとなかなか訪問看護に行かない。少し柔軟にして、現実的に行けるようにしてほしい」と述べられました。
通所・訪間リハビリテーションの見直し案については「生活期リハビリテーションといっても今までなかなか具体的なイメージが湧かなかったが、今回はっきりと具体的な姿が示されてきた」と評価されました。ただ、今回は時間的な制約もあり、通所リハビリと訪問リハビリの一部のみが扱われたとして、「生活期リハビリはもっと広義に考えている。改定が終わった後にでもじっくり検討したらよい」との見解を示しました。
鈴木常任理事は2025年に向けた医療・介護提供体制の改革が進められる中、「財源なしの改革は単なる切り下げになり、現場が疲弊してしまう」との懸念も表明されました。次期介護報酬改定について「母体の経営が安定していないと職員の処遇改善ができない。処遇改善だけを行えばよいということではない」と述べるなど、安定した事業運営が行える財源確保が必要になるとしました。
また、特に地方において医療・介護分野は最大の雇用の受け皿になり、「街づくり」のベースをつくることで「地方創世」を担えるようになると指摘されました。「単に抑制すれば医療・介護が疲弊するだけではなく、そういう芽をつぶしてしまうことにもなりかねない」と訴えました。

2015年4月の介護報酬改定に向けて介護業界では、不安を募らせている部分も多くあります。特養などをメインに事業を行なっている社会福祉法人は減収改定になることが予測され、ただ今から在宅介護での補てんを目指そうにも人手が足りていない。人員確保はどこも共通の課題となっております。その中で、いかにコアコンピテンスに特化できる運営体制にシフトしていけるかが一つのポイントとなりそうですが、医療からの受け皿としての機能も見込まれていることもあり、過度な業界構成で疲弊が起こり体制崩壊しないように、しっかり検討を進めて頂きたいものです。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月13日土曜日

女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会

厚生労働省の「女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会」 (座長=山本績子・日本女医会長)は12月5日、報告書案を大筋で了承しました。報告書は完成後、事例集と併せて医療機関、都道府県、関係団体に広く周知し、医療現場での活用を目指しています。






現在、医学部生の約3分の1を女性が占めているほか、これまで女性医師が少なかった診療科や職場、また管理者にもその割合が増加すると予想されています。一方、女性は妊娠・出産などのライフイベントを抱える場合が多く、キャリアを中断しなければならない状況もあることから、同懇談会はライフステージに応じて女性医師が活躍できる環境整備の在り方について検討しました。
検討を進める視点として、医療の質を確保して患者に必要な医療を継続的に提供するためにも環境整備が重要であることが指摘されました。また、医療機関における医師全体の業務負担はすでに過大になっており、ライフイベントを抱える女性医師の業務を周囲の医師が代替することも難しい状況があることも指摘されました。性別や職種を問わず、医療従事者全体の勤務環境の整備と調和させる必要性を示しました。
環境整備については、医療機関とそれ以外の進め方を示しました。医療機関に対しては、職場の理解、相談窓口、勤務体制、診療体制、保育環境、復職支援―の項目ごとに課題や取り組みの方向性をまとめました。職場の理解では、職場全体の理解を促進するため、管理者や上司自らが医師のニーズを理解し、利用可能な制度や社会資源を周知することの重要性を指摘しました。
医療機関以外の環境整備として、都道府県が地域医療介護総合確保基金を活用して女性医師の復職相談窓回の設置や院内保育所の運営の補助を行うなど、女性医師や医療機関のニーズに対応した支援を進めることが重要としました。臨床研修制度に関連し、研修医が男女問わずキャリアを継続できるよう、研修医の段階からキャリアパスを主体的に考える機会が得られるように努める必要性も指摘しました。

医療の現場に限らずこれからは女性の活躍が益々期待されています。環境が厳しい医療の現場においていかに負担を軽減しワークライフバランスを向上させることができるかは、多くの医療機関が取り組んでいる共通の大きな課題であると思います。また出産や育児のために一度職場を離れた医師が復帰できるための環境整備と、仕事と育児が両立できる体制の見直しの必要性についても最近見直されてきておりますので、働き方が多様になっていくことが、その人らしさにつながるのではと思います。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月12日金曜日

2016年度臨床研修 都道府県別募集上限試算

厚生労働省は12月2日、2016年度の研修医募集定員数の都道府県別上限を試算した結果を公表しました。11月28日の医道審議会・医師分科会医師臨床研修部会で決めた算出方法と特例措置を反映させました。ただ2016年度の定員上限の確定値は最新の統計データなどを用いて算出するため、今回の試算とはズレが生じる場合があります。確定値は2015年3月をめどに公表するとしています。






都道府県別の定員上限は2015年度から「県内の臨床研修基幹型病院に案分する枠 (基礎数)」 と「都道府県の判断で調整できる枠 (調整枠)」で構成しています。全都道府県の募集定員総数が研修希望者総数を上回って推移している状況 (2013年度は1.2倍)を是正するため、研修希望者総数に対する全体の募集定員総数の倍率を5年間で段階的に1.1倍まで圧縮することを目指し、調整枠を圧縮することなどで対応していきます。
2016年度は募集定員倍率が1.18倍になるよう設定されます。試算で募集定員上限が2015年度の上限を下回ったのは福岡県 (7人減)、 福井県 (5人減)、 京都府 (5人減)、 神奈川県 (3人減)、 山口県 (3人減)、 長崎県 (3人減)、 青森県 (2人減)、 新潟県 (2人減)、 群馬県 (1人減)、 滋賀 (1人減)、 鳥取県 (1人減)の 11府県となりました。
上限が最も多かったのは東京都 (1498人)で 、そのほか神奈川県 (675人)、 大阪府 (651人)などが多い状況でした。上限が少ないのは鳥取県 (106人)、 佐賀県 (107人)、 宮崎県 (111人)、 富山県 (114人)、 福井県 (114人)、 香川県 (114人)などとなります。
研修希望者総数は、医学部の定員が増えているため増加傾向にあります。

2017年には専門医制度が新しく日本専門医機構(仮称)のもとで始まろうと進んでおり、医師を取り巻く環境も大きく変わってきます。(これはこれで様々な問題を含んでいますが、)その中で、新たに医師免許を取得し研修医として歩き始める若者にとっては、大きな流れには従わざるをえませんが、どのような道で自分が進んでいくのか決めていくことが求められていく度合いがたかまっていくと思われます。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月11日木曜日

国立大学病院 補填率は6割未満

国立大学附属病院長会議は12月5日の定例会見で、4月に引き上げられた消費税8%の診療報酬での補填率が6割に達していない国立大病院が17病院、国立大病院全体の4割を占めることを明らかにしました。山本修一常置委員長(千葉大病院長)は、この結果について「消費税率10%の引き上げまで持ちこたえられるか分からない危機的な状況です」と強調され、2017年4月の10%引き上げまで待たずに高額投資などに対する何らかの対応が必要になるとの認識を示しました。






山本委員長は会見で、日本病院団体協議会の加盟団体として参加した消費税8%の診療報酬における補填率の調査では、800床以上の15大学病院の平均では、控除対象外消費税増税額2億2900万円、診療報酬改定による消費税補填額が1億3600万円で平均補填率が59%、 800床未満の27大学病院では、控除対象外消費税増税額1億3200万円、診療報酬改定による消費税補填額が8600万円、平均補填率が65%になったと説明されました。800床以上の病院では、増税による持ち出し分は平均で9300万円、800床未満では平均4600万円になるとしました。
最も影響の大きかった国立大病院では、診療報酬での補填率が44%にとどまり、増税による病院持ち出し額は2億1000万円になるとしました。補填率が6割に達していない国立大病院は17病院あり、山本委員長は「ある程度は補填されているが、(ばらつきがあり)極めて不公平な結果です」と指摘されました。2017年4月の10%引き上げまでに、高額投資などへの対応策とともに、控除対象外消費税の抜本的解決を進めることが不可欠との見方を強調しました。
名古屋大病院の石黒直樹院長も、「国立大病院群は本来、診療機器などで900億円の設備投資額が必要ですが、それを230億円に圧縮して厳しい経営環境を切り抜けようとしている。国民から大学病院に期待されている先進医療を担う最新機器の購入計画を進めることができない」と述べられ、国立大病院の安定的経営を維持するためにも控除対象外消費税問題の解決を強く求めました。
一方、群馬大病院で起きた腹腔鏡手術での肝切除、肝区域切除による死亡事故に対する病院長会議としての見解を求める質問が出ました。山本委員長、大阪大病院の金倉譲院長らは「群馬大病院の調査結果を待ってコメントしたい」と述べるにとどめられました。

消費増税による病院運営への影響は非常に大きな重しとなっております。社会保障の安定のための増税であったはずが、足元の病院運営に厳しい風を吹かせていることについては、考慮される余地は当分見受けられません。今の状況で仮に規制緩和が進み、営利団体の参入などがあれば、強い医療機関の収支は改善されるでしょうが、切り捨てられてしまう医療と患者が生まれてしまうことを危惧いたします。本来、資本主義の社会では競争社会が当然ではありますが、地域の医療を守るライフラインであるはずの医療の存在は、どのように見ることが正しいのでしょうか。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月10日水曜日

病床機能報告 12月下旬に中間集計公表  構想ガイドライン検討会

厚生労働省は12月下旬にも、病床機能報告制度で医療機関が都道府県に報告した情報の中間集計を公表します。「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」に示します。各医療機関は、その病床の担う医療機能の現状と今後の方向を、「高度急性期」「慢性期」など4つの医療機能から選ぶほか、人員配置や入院患者の状況などについて、2014年度は11月14日までに報告することになっていました。厚生労働省によると、11月25日時点で、対象となる病院の90.9%、有床診療所の64%が、これらの情報を報告しました。







 病院に比べて有床診療所の報告率が低い理由について、厚生労働省の担当者は、報告の必要のない休床中の有床診療所や無床診療所に移行予定の有床診なども母数に入っているためと説明しています。厚生労働省は、中間集計の公表に向けて、母数に含める医療機関を精査するとともに、公式サイトなどを通じて未報告の医療機関に対して直ちに報告するよう求めています。中間集計では、各医療機能の割合や、病床数・人員配置・医療機器・入院患者の状況などの各項目について公表する見通しとなっております。

 報告された情報の最終的な取りまとめは2015年3月に行います。病床機能報告制度は2014年10月にスタートしました。対象となるのは一般・療養病床を持つ病院と有床診で、その病床の担っている医療機能について、7月1日時点の現状と6年後の予定などを、病棟単位で、「高度急性期機能」「急性期機能」「回復期機能」「慢性期機能」の4区分から1つを選択し各都道府県に報告します。都道府県はこの情報を基に、地域の医療機能の必要量などを分析し、2015年4月以降に地域医療構想(ビジョン)を策定していきます。

有床診療所については、報告の対象が曖昧すぎたのではと感じるところもありますが、そもそも報告する必要性もあったのかどうかと疑問な点もあります。しかし、病院においても有床診療所においても、報告内容について頭を悩めた医療機関は多かったのではないでしょうか。有床診療所も無床診療所への転換も検討されているところも多いかと思います。ただこれから機能分化・連携が強く謳われている中で自施設の役割をまず明確にし、そして地域のニーズのどの部分に全力を注いでいくのか、もう総合病院なんていう時代から脱却せざるを得ない時に差し迫ってきたと感じます。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月9日火曜日

日本型在宅 郡市区医師会にて

日本医師会の鈴木邦彦常任理事は11月23日、国立長寿医療研究センターと勇美記念財団が開催した在宅医療推進フォーラムのシンポジウムに登壇され「日本型在宅の主役は都市区医師会です。かかりつけ医にリーダーになっていただきたい」と訴えられました。かかりつけ医の研修も必要になるとし「われわれとしては、医学部教育の見直しを含めた一般臨床能力の向上と、日医の生涯教育の充実により、かかりつけ医を強化することが必要と考えている」と述べられました。






鈴木常任理事は、超高齢化社会に対応する日本の医療システムとして「既存資源である中小病院や有料診療所、診療所を活用し、施設か在宅かということではなく、施設も在宅も活用した日本モデルを構築していくことが現実的」とコメントされました。日本では中小病院や有床診療所が多く、身近な場所で入院が可能なことや、診療所の質も高く、高齢者に便利なワンストップサービスが提供できることをメリットに挙げました。その上で「かかりつけ医機能を持つ200床未満の中小病院、有床診療所、診療所がそれぞれ可能な範囲で在宅支援の機能を持ち、総合的に支援 していくことがよい」との見解を示されました。

日本看護協会の齋藤訓子常任理事も登壇し、地域包括ケアシステムにおける看護の役割について「在宅療養を最期まで支えきること」と説明されました。全国で訪間看護や介護施設に従事する看護師が、非常に少ないことを挙げ、「地域包括ケアシステムの中で働く人たちをどうやって確保していくかが一つ大きな課題」との認識を示しました。このほか訪問看護ステーションの基盤強化なども課題に挙げました。また齋藤常任理事は、市町村やかかりつけ医、また在宅医療と介護の連携の鍵は「さまざまな教育背景を持つ専門職が一堂に会し、利用者へのサービスビジョンを関係者間で徹底して共有することだ」と説明されました。「多様な職種が集うとき、1つのチームであるということを認識したい」と訴えられました。

これから進めていかなければならない地域包括ケアシステムの構築は、医師会の動きが重要となってくることは間違いないと感じます。また、逆説的にいうと、ここで医師会がしっかりと存在感を発揮できなければ、地域での確たるポジションは喪失してしまいかねません。これからいかに在宅で医療を提供できるかとなるとかかりつけ医・開業医がメインになってきます。もちろんその前で訪問看護の存在も大きくありますが、それら連携体制を構築する仕組みづくりを医師会がイニシアティブをとれるかどうか、手腕の見せ所でしょう。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月8日月曜日

心臓移植成功 大阪大病院

大阪大病院(大阪府吹田市)は11月24日、順天堂大病院 (東京都)で11月23日に脳死と判定された6歳未満の女児から摘出された心臓を、心筋の一部が正常に育たない左室心筋緻密化障害の10歳未満の男児に移植する手術に成功したと発表しました。






執刀した大阪大の澤芳樹教授は記者会見で「スムーズに移植できた」と説明されました。経過が良好なら約3カ月から半年で退院できるといいます。男児は心不全を繰り返し、心臓補助の人工心臓をつけていました。両親は病院を通じ「ドナー(提供者)が圧倒的に少ない日本で、いつまで息子の心臓がもつか不安な 日々でした。息子が新たな人生をドナーやその家族の方々の思いと共に歩んでいけるよう支えあって生きていきたい」とコメントされました。
日本臓器移植ネットワークによると、女児から摘出された肺は、京都大病院で肺の気道が粘液でふさがれるなどの症状が出る嚢胞性線維症の10歳未満の男児に移植しました。15歳未満の子どもから子どもへの脳死肺移植としては初で、京大病院は11月24日、成功したと発表しました。家族は「分けていただいた命と共に精いっぱい生きます」とコメントを出しました。
肝臓は京大病院で胆汁の流れが悪くなる原発性硬化性胆管炎の10代女性に移植されました。腎臓移植の患者のうち1人は、東邦大医療センター大森病院の50代男性から東京医大八王子医療センターの60代女性に変更になりました。もう1人は東京女子医大病院の40代女性でした。膵臓と小腸の移植は医学的理由で断念されました。
女児は重い脳障害になり、脳死とされうる状態と診断された後、家族が11月21日に臓器提供を承諾しました。法改正後、6歳未満からの提供は2例目でした。

臓器移植はドナーの意思と家族の意思があるため、なかなか難しいところがあります。実際、自分の家族が脳死となったときのことを想定してみても臓器提供に承諾できるかどうかというと、悩みます。もちろん強制することもできません。ただ臓器移植で救える命があるということをもっと国民一人一人にしっかりと認知されるレベルまで上げていくことは医療人としての責務であると感じます。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月7日日曜日

臨床研修修了後は大学病院へ 54.4%

厚生労働省は11月28日の医道審議会・医師分科会医師臨床研修部会に、2014年の「臨床研修修了者アンケート調査結果概要 (速報)」を報告しました。医学部卒後2年間の臨床研修修了後に勤務する病院では、「大学病院 (卒業した大学とそれ以外を含む)」が54.4%で昨年調査より4.5ポイント増えました。「大学病院以外の病院」は43.6%(同2.1ポイント減)、診療所の開設や臨床以外の進路を希望する回答をまとめた「その他」は2.0%(同2.5ポイント減)でした。






調査は、2014年3月末までに研修修了の予定だった研修医7534人が対象で、回収率は78.4%でした。病院別 (大学病院、臨床研修病院)などで集計・分析しました。
研修修了後に大学の講座や教室などに所属する「入局」予定を聞いたところ、全体では「卒業大学の医局」(43.4%)と「卒業した大学以外の医局」(30.4%)の合計が前年調査比1.5ポイント増の73.8%となりました。大学病院では89.8%が入局予定であったのに対し、臨床研修病院では61.1%でした。
医学博士の取得については、全体の41.0%(0.4ポ イント増)が希望でした。大学病院は47.5%(4.6ポイント増)、 臨床研修病院では35.6%(3.1ポイント減)でした。
研修中の学術活動の実施状況については、臨床研修病院 (83.1%)が大学病院(78.5%)を上回りました。全体では80.5%でした。学術活動の内容 (複数回答)は、「学会に参加した」(全体88.8%、大学90.5%、臨床研修87.4%)が最も多く、「症例報告の研究」(全体38.2%、大学34.7%、臨床研修40.8%)などが続きました。
医学部卒業後、地域医療への従事を一定期間義務付ける地域枠や奨学金受給者を除く研修医3986人に医師不足地域へ従事する意識を聞いたところ、63.5%は「条件が合えば従事したい」と回答しました。条件については今回の調査で質問項日を定めなかったため、厚生労働省は前年調査の結果を紹介しました。複数回答で「一定の期間に限定されている」「自分と交代できる医師がいる」「相談できる上級医師がいる」ことなどが多かったといいます。

大学病院へという割合が54.4%を高いとみるのか低いとみるのか、難しいところはあります。ただ最近は本当に自分がやりたい医療というものの理念を強く持っている方が増えてきたようにも感じます。その上での進路であれば間違いはないと思います。ただ、これからニーズが高まっていく総合診療医について、地域医療を担う医師については、ハードルがまだまだ高いと思います。そこはしっかりと支援サポートできる組織体制を構築しなければ不可能ではないでしょうか。若い医師に地域医療で活躍していただくためには、そこからでしょう。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月6日土曜日

小児救急電話、拡充の動き

夜間に急に発熱した小児への対応方法などを看護師らが電話でアドバイスする「小児救急医療電話相談」を拡充する動きが広がっています。これまで新潟県では平日の電話相談を行っていませんでしたが「保護者の不安解消につながる」として、11月下旬から平日夜間の時間帯も相談が可能な体制を整えました。また、栃木県も12月1日から日曜・祝休日の相談を24時間対応としました。これら看護師による小児救急医療電話相談は「地域における小児救急医療体制の補強と医療機関の機能分化を促進する」としています。






 新潟県によると、小児救急医療の電話相談は、これまで平日の時間帯は行っていませんでしたが、保護者の不安解消や夜間救急外来の適正な受診などを図るため、相談の受け付けを平日を含む毎日午後7時から午後11時に拡大しました。

 発熱や嘔吐、下痢などの急病で小児の保護者が「#8000」などにかけると、看護師が電話で相談に応じます。これまでは平日夜間の時間帯は直接医療機関に相談する保護者もいましたが、「小児救急医療電話相談の利用が広がることで、医療機関の負担軽減につながることが期待できる」と新潟県の担当者は言います。

 栃木県もこれまで土日休日を含め毎日午後6時から午後11時だった相談時間を、12月1日からは、月曜日から土曜日までは午後6時から翌朝8時、日曜・祝休日は24時間対応に拡充しました。栃木県は「経験豊富な看護師が、家庭での対処法や救急医療の受診の目安などをアドバイスする」としています。

 2014年に入ってから、こうした取り組みを行う自治体が増えており、岡山県では午後11時までだった相談時間を翌朝8時までに拡大しました。山梨県も利用時間を延長しています。ただ、中には相談電話の回線数が少ない自治体もあり、すべての相談に応じられない場合もあるといいます。今後は相談時間だけでなく、対応可能な人員や相談電話の回線数の拡充も求められていくと思われます。

医師不足が騒がれている中、救急医療の体制の脆弱さが多くの地域で問題となっています。救急体制を整備するためには医師の確保は確かに重要ですが、どこも医師が飽和状態ではない中で、他の策が求められています。この看護師による夜間の電話相談は非常に大きな役割を果たしていると感じます。確かに電話相談だけでは対応として充分とはいえないケースも多くあると思いますが、第一報の相談窓口があるということは、地域住民にとって非常にありがたいと思います。これから全国的にもっと展開し、さらに体制が強化され小児に限らず、独居の高齢者にも対応できるように強化されていけばと思います。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月5日金曜日

病床機能報告75%が 急性期と 回答

日本病院会の定例会見が11月25日に開かれ、11月14日に締め切った病床機能報告制度に関する緊急調査の結果を発表しました。回答施設の75%が急性期病棟を申告し、そのうち2025年も急性期医療を提供していると考えている割合は63%に達しており、依然として急性期医療中心の医療提供体制を意識している現場の実態が明らかになりました。






堺常雄会長は、調査結果について「これから精査する予定ですが、急性期から回復期、慢性期への病床機能分化を進めるためには、回復期などに移行した場合に病院経営が維持できるかが見えにくいのではないか。それが、急性期病床の申告が高い傾向に現れているのではないか」との見方を示しました。
日本病院会の緊急調査は、11月に2351病院を対象に行ったもので、979病院が回答しました。そのうち有効回答数は806病院で回答率は34.3%になり、2025年の対応に関する質問には447病院が回答しました。
堺常雄会長は「7対1病床と同様、高度急性期、急性期を行いたいとする病院がまだまだ多 く、回復期、慢性期の申告は少ない」と説明されました。その上で「今回の緊急調査で明らかになった急性期中心の病床区分の実態と、厚生労働省が求めている (高度急性期18万床、一般急性期35万床、亜急性期・回復期など26万床、慢性期28万床などの)病 床区分にはかなり大きな乖離があります。厚生労働省が想定する回復期、慢性期などの必要病床数が妥当なのか。その根拠を示していただき議論できるようになれば、厚生労働省と現場との意思疎通ができるのではないか」と述べられました。

どこの医療機関も今回は悩みながら報告をしたのではないでしょうか。ここで一度急性期から降りてしまうともう戻れないのではないかという危機感と、亜急性期・回復期で病院運営が円滑に行える目処がみえない不安感があると思います。ただ急性期はこれからもっと締め付けが厳しくなることは想定されています。国の誘導施策も効果はありますが、一方だけの誘導だけでなく、どちらの選択肢でも病院運営が円滑に進められる目測がたてば異なった報告へとなるのではないでしょうか。締め付けだけでは、新たな一歩を踏み出す決断はしかねるのは当然だと感じます。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月4日木曜日

健康家族に現金支給 岡山県総社市

岡山県総社市では、医者にかからなかった国民健康保険加入世帯に1万円をキャッシュバックする制度を導入しています。11月17日、該当した世帯に初の現金支給が行われました。総社市によると、物品を贈っている自治体は全国でもありますが、現金の支給は全国でも珍しいといいます。





 対象は、前年度に40歳以上の全員が生活習慣病予防のための特定健診を受け、40歳未満も含めて保険診療を受けなかった世帯です。ただし国保税滞納世帯は除きます。初年度の2013年度分は70世帯が該当しました。
 市役所で初支給のイベントがあり、片岡聡一市長は実質的な赤字だった国保特別会計が2013年度は約400万円の黒字に転換したと説明されました。「感謝の気持ちでいっぱい」と述べ、一人一人に現金を手渡しました。
 孫の代理で受け取った総社市の女性(75)は「今まで通り家族みんなで健康に気をつけたい」と話していました。
 制度は、特定検診を促し、市財政の圧迫要因となっている医療費を抑える狙いで2013年秋に創設したものです。

全国の自治体でいかに財政を健全化するかという観点から、社会保障にかかる部分がどうしてもカギとなります。がん検診や特定検診をいかに市民に受診していただき予防を行って医療費を抑制するか、各自治体とも取り組んではいるものの成果が出ている自治体はごくわずかです。きっかけは現金支給の1万円でもいいかもしれません。それで市民の健康に対する意識が変わるのであれば、成果があります。もっと各自治体で個性的な施策と成果が出てきて全体の底上げが図れればと思います。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月3日水曜日

外科手術の施設を集約化

日本臨床外科学会総会が11月22日、郡山市で開かれ、「外科医と医療経済」に関するワークショップで、高度な技術と設備・マンパワーが必要でランニングコストがかかる大手術について、実施医療機関の集約化を進めるべきとする意見が複数の演者から出されました。ワークショップに参加した 日本医師会の今村聡副会長は、大手術の実施施設の集約化についての見解を求められ「私見ですが、全国で地域医療構想を検討する仕組みが構築されることか らも、地域内でどのような手術をどのように機能分化するか を議論することが大事」と述べられ、それぞれの地域内で十分議論する必要性を強調しました。






また、厚生労働省保険局医療課の佐々木健企画官も、「2002年度診療報酬改定では医療の質向上、効率的な医療提供の観点から手術の年間症例数などの施設基準を設定し、基準を満たさない医療機関は減額することが決められたが、その後の改定で大幅に見直された経緯がある」と説明されました。その上で「個人的には機能分化の点からも(集約化は)ありうると考えられるが、外科系の現場の皆さんで検討することが必要です」とし、医療現場の意見・考え方をまとめる必要があるとの見解を示しました。
ワークショップの総合討論では、白杵尚志氏(香川大学医学部消化器外科)が「施設によってどのような手術をするか、ある程度分類することが手術関連のコストを抑える手法ではないか。設備を持つ施設が大手術するように特化していくことがあってもいいのではないか」 と提案しました。山本聖一郎氏 (平塚市民病院消化器外科)も 「コストがかかる大手術は、担当病院を決めて、より効率的に進めるべきだ」と同調しました。 一方で枝元良広氏 (国立国際医療研究センター病院外科)は「集約化を誰が決めるのか。その妥当性を評価することは難しく、自分の考えはまとまらない」など、施設の集約化の難しさを示す意見もありました。

これから各地域においてどのような医療体制を構築していくのか、まさに地域医療ビジョンによるところだと思います。施設の集約化もこれから地域全体を同時進行で整備しなおすなら可能かもしれませんが、各医療機関においてすでに設置済みの医療機器等も考慮して、また費用対効果・減価償却などまで考慮して検討するととてもハードルが高くなるというか、足並みを揃えることは困難ではないでしょうか。しかし、ある地域によっては集約化効率化はとても魅力があるとも思います。特に医療資源が枯渇している地域です。これからさらに高まる医療ニーズに対しどのように取り組んでいくのか、俯瞰的な視点をもって総合的な施策の構築が重要だと感じます。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月2日火曜日

手術支援ロボットの「ダビンチ」  実績2万件 

 手術支援ロボットの「ダビンチ」が急速に普及しています。2009年11月に厚生労働省が医療機器として「薬事承認」し、販売が開始されて5年がたちました。製造販売会社によると、国内では170病院に計183台が導入され、手術実績は今年中に計2万件に達する見通しまで増加しています。






 精密な動きが可能で患者の体への負担も少ないといい、保険が適用される手術が増えれば、さらに普及は進むとみられています。
 2009年からダビンチ手術を積極的に行っている藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)では11月19日、実績が1000件に達しました。国内ではトップ10に入るといいます。
 11月には腎がんの70歳代の男性患者から4センチの腫瘍を摘出しました。腹腔鏡(ふくくうきょう)手術で腫瘍のある腎臓を全摘出することも検討されたが、高齢で両方の腎臓の機能が低下していたため、ダビンチ手術で二つとも残す方法を選択しました。手術は輸血の必要もなく無事に成功しました。執刀した泌尿器科の白木良一教授(55)は「がんの根治はもちろん、腎機能を温存でき、合併症のリスクも抑えられた」と述べられました。
 ダビンチは、消化器外科、呼吸器外科、泌尿器科、婦人科などで使われています。国内の手術件数は、10年の約500件から昨年は約6600件に増加しました。2014年は9000件を超えるペースで推移しています。
 藤田保健衛生大病院は2台を臨床活用し、国内で2か所しかない製造販売会社認定のダビンチ手術のトレーニング施設を設け、別の2台で医師の教育も実施しています。東海地方では名古屋市立大病院や岐阜市の岐阜県総合医療センター、愛知県長久手市の愛知医科大病院、同県豊橋市の豊橋市民病院なども導入しています。
 ただ課題もあります。それは高額な治療費です。2012年4月に保険適用された前立腺がん手術以外は、200万~300万円が患者の自己負担となります。ただ、今秋、保険診療が併用される「先進医療」に胃がんや腎がんのダビンチ手術が認められました。実績を積めば保険適用の対象になる可能性があります。藤田保健衛生大病院の宇山一朗・上部消化管外科教授(54)は「普及拡大を見据え、より安全性を高めるため、医師の技量を上げる講習会などを実施していきたい」と話しています。

手術支援ロボットの代名詞となっているダビンチですが、まさにこれから更なる普及が想定されます。また、ダビンチ以外にも手術支援ロボットは多く開発中であり、その裾野は広がっていく科構成を大きく秘めています。ただ実績を積んでいくことで国が保険適用として認めるかどうか、期待はしたいのですが、今の患者申出療養などの議論をみていると厳しさを感じます。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


2014年12月1日月曜日

主要政党の公約 方向性

12月2日公示、12月14日投開票の衆院選に向けた主要政党の公約が、11月 28日までに出そろいました。主要6党(自民党、公明党、民主党、維新の会、次世代、共産党)の医療関連の主な公約をまとめたところ、医療・介護分野の人材確保や地域包括ケアシステムの構築など、与野党間で方向性が共通する政策も多くありました。






医療・介護分野の人材確保の必要性については、自民党、公明党、民主党、維新の会、共産党が言及しており、この点は与野党の共通認識といえます。地域包括ケアの推進に関する記述も、自民党、公明党、民主党、維新の会の公約に盛り込まれています。「医療・介護を切れ目なく受けられるよう」「住み慣れた地域で暮らし続けられるよう」といったフレーズは、与野党問わず共通して見受けられます。ただ、こうした施策を実行するために必要な財源の確保策、社会保障制度の持続可能性を高めるために進めなければならない「痛みを伴う改革」の考え方は与野党ともに具体的には踏み込んでいません。
保険外併用療養費制度の拡充をめぐっては、維新の会と次世代が「混合診療解禁」を掲げました。自民党も「あらゆる岩盤規制を打ち抜く」姿勢を示し、新たな保険外併用療養費制度の仕組みとなる「患者申出療養 (仮称)」の創設など、健康医療分野において国民の健康回復や増進、利便性向上につながる規制改革を「一層推進する」としました。
逆に共産党は「保険外治療の拡大や混合診療の解禁に反対し、必要な治療は保険で給付する国民皆保険を守り、拡充する」としました。維新の会は規制緩和・市場原理主義の導入に積極的で「医療法人、社会福祉法人の制度改革で株式会社の参入促進」「診療報酬点数の決定を市場に委ねる制度への移行」なども掲げています。
一方、今回の衆院解散・総選挙の引き金となった消費税率引き上げを先送りすることに対 し、明確に反対と唱えている党はありませんでした。民主党も先送りを容認しているが、その理由として「アベノミクスによる国民生活の悪化・経済の低迷、約束していた社会保障の充実・安定化および議員定数の削減が果たされていない」ことを挙げました。
この忙しい12月に選挙とは本当に大変なことと思いますが、医療介護の分野においては、あまり政党ごとの政策の差はないかと感じました。確かに医療・介護の分野に絞り込んだ視点だけでは判断できないこともありますが、ただなんとなくチャンチャンで終わりそうな気がしています。本当に国民の生活を守るための医療と介護の制度改革は、一筋縄ではいきそうにありませんが、ただ弱者にしわ寄せがきたり、まじめに頑張っているところが報われないような制度だけは回避していただきたいものです。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ