2014年6月28日土曜日

臨床研究中核病院へ意欲的 国立病院機構・大阪医療センター

国立病院機構・大阪医療センター(一般病床:694床)の楠岡英雄院長(日本病院団体協議会副議長、全国国立病院院長協議会長)は6月11日、法改正によって保険外併用療養費制度の中に「患者申出療養 (仮称)」を創設する方針が明確になったことについて「医療・介護一括法案が今国会で成立 して臨床研究中核病院の参入要件が明確になった際、要件がクリアできれば手を上げたいと意欲的であり、がん患者を多 く抱えている国立病院機構・大阪医療センターとして、患者申出療養に対応できる体制を組んでいきたい」 と述べました。

楠岡英雄院長は「がん患者の治療は、患者・家族から治療法などについて要望を受ける事例は多いです。これまで病院として受け止め、担当医らが保険制度の範囲内で対応してきた側面があります。今回、患者申出療養としての枠組みが明示されたことは、苦慮しながら対応 してきた医療現場としては、一定の評価をしたい」と述べました。






患者申出療養で中心的な役割を担う臨床研究中核病院については、国立病院機構から名古屋医療センターが入っています。楠岡英雄院長は「名古屋医療センターと連携していくことになりますが、要件がクリアできれば大阪医療センターも臨床研究中核病院を日指していきたい」 と意欲的に話されました。「全ての患者が情報を持っているわけではないので、病院側がこういう治療法があると提示しないといけないと考える。そこにおいて不適切な方法が交 じる可能性もあり危惧しますが、今後、制度を詰めて行く段階で十分協議をしてほしい」としました。

一方、財政制度等審議会の分科会が提案している地域ごとの医療費の支出目標について、楠岡英雄院長は「都道府県で医療費にばらつきが出ている中で、その原因も究明されないままに、ただキャップをはめてしまうと、本来必要な医療が提供できなかったり、あるいはキャップがあることで逆にそこまで増やせるなどという状況が考えられます。質的問題をどう担保 していくかという議論が、まず先ではないか」と述べられました。その上で「医療費が減ったとしても、その要因が医師確保ができなくなる医療の過疎化ということであれば本末転倒です」と指摘しました。「都道府県ごとに診療報酬の1点単価を決めるような事態も考えられる」と危惧し、「量と質の関係をきちんと精査しないと、いびつな関係になってしまう恐れがある」と述べられました。

さらに、楠岡英雄院長は日病協副議長として「日病協が果たすべき最も大きな役割は、病院医療を熟知した人材が中医協の場で主張できる環境をつくっていくことです」と述べられ、加盟団体が認識を共有することが必要としました。日病協でも検討課題になっている控除対象外消費税問題については 「大きな問題と受け止めています。国病機構病院のうち、3分の1は建物の老朽化で建て替えを控えている状況です」とし、「診療報酬による補填は限界だという認識では国病機構も一致しています」と述べられました。

今まさに多くの7対1病院が病床機能報告に向けて、どのように舵を切るか病院の方向性を決める時期が差し迫っています。7対1を継続するからには、目指すのは急性期ではなく、高度急性期ということになりますし、そのためにはDPCII群はしかり、臨床研究中核病院となって混合診療である患者申出療養を担える病院になっていかなければなりません。どの選択が病院にとって安しということはなく、それぞれの地域における他の病院との役割・機能の分担に大きく関わってきます。国立病院機構・大阪医療センターも地域的に高度急性期病院として他の病院とすみ分けができるかと言えば、そのポジションを狙っている病院も多くあります。病床機能報告は、各病院から都道府県宛に報告するという表向きのカタチを取っていますが、実際のところは出来レースというか、各病院からの報告は一旦集めたけど、機能はトップダウンで指示されていくのではないかと、歪みの調整には政治の力も影響を及ぼすのではないかと危惧します。





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