2014年7月31日木曜日

男性の平均寿命、80歳超に

2013年の日本人の平均寿命は男性80.21歳、女性86.61歳で、男性が初めて80歳を超えたことが7月31日、厚生労働省の調査で分かりました。女性も4年ぶりに過去最高を更新しました。

 厚労省のまとめによると、主要50カ国・地域では、女性は2年連続で1位でした。男性は順位を一つ上げて4位となり、1位は香港でした。





トップ5は、以下の通りです。
男性1位:香港、80.87歳、2位:アイスランド、80.8歳、3位:スイス、80.5歳、4位:日本、80.21歳、5位:シンガポール、80.2歳。
女性1位:日本86.61歳、2位:香港、86.57歳、3位:スペイン、85.13歳、4位:フランス、85.0歳、5位:スイス、84.7歳。
 2012年より男性は0.27歳、女性は0.20歳上回りましたが主な要因は死因の上位を占める、がんや心臓病などの死亡率が低下していることがあげられます。ちなみに男女差は6.40歳で、前年より0.07歳縮まりました。
 厚生労働省は毎年、各年齢の日本人が平均してあと何年生きられるかを推計しており、平均寿命はそのうち0歳の子どもの数値です。1947年には男女とも50歳台だったが、医療水準の向上などで徐々に延びて、女性は84年に80歳、2002年に85歳を超えました。

平均寿命が男女ともに延びて、これからさらに高齢化は進んでいくことと思います。戦後には50歳代だったのがすでに80歳を超えてきていますので、これからも医療技術等の発達によりさらに延びることと想像にされます。ただその一方で麻生副首相が昨年に「さっさと死ねるようにしてもらわないと」と発言されたことが思い出されます。麻生副首相は高齢者などの終末期医療に関し「尊厳を持って静かに死なせてもらいたいというのが率直な私の気持ちだ」という意味で発言されたのですが、マスコミが歪めて報道したことにより大きな波紋を呼びました。しかし民主党の梅村議員の発言でその真意が判明し、国民にとっても終末期医療を考えるきっかけとなりました。平均寿命が延びることはとても良いことだと思います。ただそれと並行して終末期医療についても考えていくことがこれからの私たちにとってはとても重要になってきます。








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臓器提供の意思表示に関する意識調査   日本臓器移植ネットワーク

 日本臓器移植ネットワークは7月11日に、「臓器提供の意思表示に関する意識調査」の結果を公表しました。 2014年7月17日で、改正臓器移植法施行から4年を迎えます。7月10日現在で、この4年間に脳死での臓器提供は192人から行われており、うち76%は家族の承諾による提供でありました。調査は2014年3月3日~10日に、インターネットによって全国の10代~60代の男女1000人を対象に行われました。 調査は、臓器提供意思表示カード、意思表示の方法についての認知度や、臓器提供についての考え、家族とどのように話し合ったかなど9項目からなります。






 「臓器提供意思表示カードの存在を知っているか」との問いに対しては、全体では75.4%が「知っている」と回答でした。ただし、30代男性では知っていると回答した人が62.0%と、比較的低い結果でした。また「臓器提供意思表示カード」で意思表示をしているかどうかでは、「意思表示をしている」と答えた割合は11.1%にとどまりました。「カードは持っているが意思表示していない」は10.2%、「カードを持っていない」は78.7%でありました。さらに意思表示の方法として、インターネットで登録していたのはわずか2.2%で、91.0%がインターネットで登録できることを「知らない」と回答しています。

 なんらかの方法で意思表示をしている人は全体の13.4%で、意思表示をしてみたいと回答した26.6%と併せると4割となります。「意思表示をしたいと思わない」は23.9%であり、「わからない」との回答も36.1%を占めました。
 「意思表示をしている」「してみたい」と回答した人のうち、「脳死後・心停止後どちらでも提供してよい」と答えた人は60.5%、「心停止後のみ」は30.0%、「提供したくない」は9.5%でありました。
 他方、「意思表示したくない」「わからない」と回答した人にその理由を尋ねる質問では、「臓器提供意思表示に対して抵抗がある」と考えている人が41.7%を占めていました。ついで「自分の意思がわからない」が37.3%、「家族が反対しそう」が25.0%でありました。
 さらに、家族と臓器提供について話し合ったことがある割合は31.5%で、68.5%は「一度も話したことがない」と回答しています。
 なお、臓器移植医療に関する情報については、8割以上が「十分に得ているとは、あまり思わない」「十分に得ているとは思わない」と感じていることも明らかとなっており、更なる情報提供が求められます。


臓器提供について国民の意識がまだまだ低いというのは、それだけ健康な生活を送っている方が多く、健康・医療・生死について深く考えていないということではないでしょうか。どうしても、主観的に考えられず、客観的になってしまうと仕方が無い結果かもしれません。ただこれからの医療は治す医療・救う医療から癒す医療・支える医療・そして看取る医療へとシフトしていきます。病気を治さないと言っている訳ではありません。超高齢化が進み、平均寿命も延びていく中で病気と付き合って生きていかなければならないのです。意識を切り替えなければ、これからの医療改革による医療体制の中でスマートに生きていくことはできません。その意識改革の一つとして助け合う互助精神、臓器移植についてももっと浸透していかなければならないと痛感します。







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2014年7月30日水曜日

使用済み注射針で乳児5人にBCG予防接種    千葉県東金市

千葉県東金市が実施した結核を予防するBCG予防接種で、1歳未満の乳児5人に使用済みの注射針を使っていたことが7月24日までに分かりました。市非常勤職員の看護師が使用済みの注射針の廃棄場所を、医師に伝えなかったため、未使用の注射針を置くトレーに戻し、交代した別の医師が気付かずに再使用したといいます。東金市は「感染性廃棄物を入れる容器にバイオハザードマークを付けていませんでした。今後、廃棄方法などを見直し、誤接種の防止に努めます」としています。

 東金市によると、7月17日に東金市保健福祉センターで実施したBCG予防接種で、16人の対象者のうち、最初に担当した医師が5人に接種しました。この時に使った注射針を、廃棄物を入れる容器に捨てず、近くにあったトレーに置きました。交代した医師がトレーにあった注射針を未使用品と思い込んで再使用しました。全員の接種終了後、未使用の注射針が5本残っていたため、誤接種が判明しました。






 東金市の担当者は「看護師が接種を行う医師に対し、使用済みの注射針を捨てる場所を伝えなかったことが誤接種の一因である」と説明されました。感染性廃棄物の使用済みの注射針などは、バイオハザードマークが付いた容器に捨てるなどの厳重な管理が求められていますが、東金市が用意した容器には、こうしたマークが付けられておらず、医師もすぐ近くにあった容器に気付かなかったといいます。

 使用済みの注射針が使われた5人を特定できなかったため、東金市は誤接種が疑われる11人の保護者らに、経緯を説明して謝罪しました。今後、11人の経過観察や血液検査を行う予定です。東金市は「最初に担当した医師が接種した5人に血液検査を行ったが、異常はありませんでした」とし、誤接種者の血液感染のリスクは、ほとんどないとの認識を示しています。

 東金市は誤接種を防ぐため、予防接種マニュアルの拡充、担当する医師に対する事前説明の徹底、感染性廃棄物の取り扱い方法の見直し―などに取り組む方針です。


このような事故は、事故発生後に第三者が客観的に見るとリスク管理ができていないことに気づきます。しかし、ルーティンで業務を行なっている当事者にとっては、昨日行なった手法が正しい手法で、疑問を持たずに業務を行なってしまっているということが、どこの現場でもあります。医療の現場はどこも決して楽ではなく忙しくて、常に危険と背中合わせです。ちょっとした気の緩みが大事故につながることもあります。今回の事故では、看護師が医師に対し説明不足だったことが原因だったとされていますが、おそらく事故の本質はそこではなく、もっと深い根底に問題があったと思います。そこを修正しない限り、また良く似た事故が起こるリスクを常に抱えていかなければなりません。






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懸念される病床機能転換の駆け込み

地域の中核的な急性期病院が「地域包括ケア病院」を設置する動きについて、日本医師会の中川俊男副会長 (中医協診療側委員、社会保障審議会、医療部会委員)は「来年4月施行の地域医療構想 (ビジョン)の議論を行う前の段階で、平均在院日数の短縮化による空床化対策のために地域包括ケア病棟 (病床)へ“駆け込み病床機能転換"をする動きに懸念を持っています。病院関係者には節度ある対応をお願 いしたい」と述べられました。「今後、地域で立ち上げる“協議の場"で地域医療ビジョンを議論し、地域ニーズに沿った形で病床機能転換を進めることが第6次改正医療法の趣旨であることを、ぜひ考慮してほしい」とも話されました。






中川俊男副会長は 「2014年度診療報酬改定と地域医療構想の整合性を確保することが極めて大事な課題です。中医協でも大事な課題として議論していくべきです」と指摘しました。その上で「例えば急性期の経営体力のある病院が、空床化対策の一つとして新たに地域包括ケア病棟を届け出てしまうと、地域によっては、その役割を担おうとする中小病院が届け出ようとしたときに空きがないという事態も想定されます。今回の医療法改正は、地域の実情を考慮し、医療提供体制を協議しながらつくっていこうとする法律であることを強調しておきたいです」と述べられました。
中川俊男副会長は「各病院が地域における疾病構造の変化や患者数の減少などで空床化に苦心し、さまざまな経営努力をされていることは十分理解しています。日本医師会は、平均在院日数の短縮は限界だと一貫して主張してきました。今回の改定でも、施設基準の平均在院 日数の基準は変更していないし、次期改定でも平均在院日数の短縮は認めない」と強調されました。「今後は平均在院日数が短くなるのではないかと自己判断し、それを見越した機能転換をするのではなく、地域内での協議を大事にしてほしい」と述べられました。
2014年度改定では、いくつかの項目が 9月末日を経過措置の期限としています。中川副会長は「7対 1入院基本料の『重症度、医療・看護必要度』や自宅等退院患者割合、特定除外の見直しなどの経過措置が問もなく切れます。中医協は早急に改定の影響を把握し、緊急に対応すべき点があれば議論しないといけない」と述べられ、7対1の要件強化が地域医療にどう影響しているのか緊急に把握するべきとしました。
8月の基本問題小委員会では「患者申出療養」を議論すべきとも指摘されました。規制改革会議が提案した「選択療養」からは改善されているものの、議論を逆戻りさせないよう留意することが重要とし、名称も含めてしっかり議論していくことが必要としました。


過剰に増えてしまった7対1の急性期病院を削減するために国は大鉈を振った方針を打ち出した今回の診療報酬改定ですが、7対1の急性期病院にとって今回を乗り切れば安泰とは悠長に思っておらず、このまま急性期として進むのか、地域包括ケア等に機能を転換させて地域に残る病院となっていくのか、判断は難しいと思います。おそらく今回の方向性を誤まって閉鎖に追い込まれてしまう病院も全国的に出てきてしまうでしょう。国は倒産する病院も多少は考慮に入れていると思います。ただ全国的に大幅に病院が減少してしまうことはこれから超高齢化へと進んでいく中で、地域の医療を維持できなくなるリスクがあるので避けたいと考えております。だからこそHD法人として地域でお互いが支え合いながら、ほどほどにやっていくように。というのが全体のシナリオではないかと感じて仕方ありません。医療や福祉はそれほど杓子定規に図って整備できる業界ではないはずです。多くの民間病院が採算度外視で救急医療などを担ってきました。多くの医師が、過労に次ぐ過労でも患者と向き合ってきました。そのあたりのハートの通わせた業界であること、またハートが通わなければ到底成り立たない業界であることを、ご理解頂くにはまだまだ隔たりを感じる今日この頃です。





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2014年7月29日火曜日

実夫の精子で人工授精  諏訪マタニティークリニック

 不妊治療を行っている長野県の「諏訪マタニティークリニック」(根津八紘(ねつ・やひろ)院長)で1996年から2013年に、79組の夫婦で妻が夫の実父(妻の義父)から精子提供を受けて体外受精により計118人の赤ちゃんが誕生したことが7月27日に分かりました。妻が義父から精子提供を受けた夫婦は110組でありました。
 匿名の第三者からの提供精子による非配偶者間人工授精(AID)は60年以上前から行われていますが、匿名が前提です。近親者から精子の提供を受ける不妊治療には「家族関係が複雑になる」などの指摘があります。





 東京都内で開かれる日本受精着床学会で根津院長が7月31日に発表される予定です。根津院長によると、夫の無精子症などを理由に計146組の夫婦が近親者から精子の提供を受けました。内訳は夫の実父が110組、夫の兄弟が28組、その他が8組でした。夫の実父やその妻の理解を得られやすいこともあり、最近は夫の実父からの提供を望む人が多いといいます。
 夫の実父から提供を受けた110組のうち86%に当たる95組が妊娠し、72%に当たる79組が出産に至りました。同様の方法で2回目の出産をしたケースが17組で、3~4回目の出産に至ったケースもありました。双子や三つ子が生まれたかどうかは公表されていません。
 日本産科婦人科学会は、匿名の第三者から精子の提供を受けて妻の子宮に入れる人工授精と、夫婦間の体外受精を認めているが、それ以外については言及していません。
 近親者からの精子や卵子の提供は過去に日本産科婦人科学会で「家族関係や人間関係が複雑になり、子どもの福祉の観点から将来予期しない事態が起こりうる」と指摘がされていました。

 不妊治療については、女性の社会進出による晩婚化と高齢出産も関係しているのか、増加傾向にあります。少子高齢化が騒がれているこのご時世にとっていかに出生率を高めるかは国の施策でもありますが、ただ倫理的な部分を置き去りにしてはならないと思います。
これまで精子の提供による人工授精は匿名の第三者からと日本産科婦人科学会はしてきていましたが、それは産まれてきた子どもの家族関係や人間関係の複雑さを考慮しての考えです。妻や実夫は産まれてきた子どもにいつかのタイミングで事実を伝えるのでしょうか。伝えることが是でしょうか。各々の生活環境等の違いもありますので一概に是とも非とも決めることはできないのではないでしょうか。将来予期しない事態が起こりうるとのことですが、人工授精であろうとなかろうと親が愛を持って子どもに接して育てていくことが何よりも重要で、それさえあれば問題はないのではないでしょうか。最近はその愛が欠落した親が多いことが多くのニュースでにぎやかされているのではないかと感じるところです。








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健康寿命1歳以上延伸  新たな健康・医療戦略

政府は7月22日、新たな「健康・医療戦略」を閣議決定しました。健康長寿社会の形成に向け、今後10年程度を視野に入れて2014年度から5年間に取り組む施策と、健康寿命の1歳以上の延伸など「2020年頃まで」に達成すべき成果目標 (KPI)を示しました。 5年後 をめどに全体を見直す計画ですが、フォローアップの結果次第では随時見直しを行う方針です。
具体的な施策などは、世界最高水準の医療の提供に資する医療分野の研究開発等、健康・医療に関する新産業創出及び国際展開の促進等、健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出に関する教育の振興・人材の確保等、世界最先端の医療の実現のための医療・介護・健康に関するデジタル化・ICT化、KPI― に分けて記載しました。






新産業創出については、医療機関や多様なサー ビス事業者、自治体、商工会議所、金融機関などによる「 医・農商工連携」の推進に向けたモデル事業を支援する方針などを記しました。
デジタル化・ICT化については、医療・介護・健康分野における①現場のデジタル化②全体のデジタル化③情報の利活用一の 3段階に分けて推進することが効果的との考えを示しました。その上で、健康・医療戦略推進本部の下部組織である「次世代医療ICTタスクフォース」を発展的に「次世代医療 ICT基盤協議会 (仮称)」へ改組し、同分野におけるデジタル基盤構築に向けた包括的な検討や調整などに取り組む方針を打ち出しました。 KPIとしては、国民の健康寿命延伸に加え、メタボ人口の2008年比25%減 、40~7 4歳の健診 (特定健診含む)受診率を80%まで引き上げ―などを示しました。「健康増進・予防、生活支援関連産業の市場規模拡大」では現在の4兆円から10兆円とする目標も掲げました。このほか、医薬品創出や医療機器開発、再生医療、オーダーメー ド・ゲノム医療などについて数値目標を示しました。

健康寿命を1歳伸ばすということは、予防の市場に注力していこうという方針だということです。確かにまだまだがん検診の受診率などは低く、特定健診などもまだまだ浸透しているとはいえないような現状です。早期発見し治療することで全体の医療費を抑制しようという狙いですが、それは国民にとっても健康寿命が延びるとこにつながりますので、確かに良く見えます。ただ健康寿命の延伸がピンピンコロリの人生と直結するのかというと、そうとは言い切れません。ただがん治療など早期に行なうことで闘病生活を短くすることができるのは間違いありません。明るい2020年の到来を心待ちにしたいと思います。






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2014年7月28日月曜日

究極のかかりつけ医

日本医師会の横倉義武会長は7月19日、岐阜市で開かれた全国有床診療所連絡協議会総会で講演されました。有床診は外来と入院を切れ目なく提供できる「究極のかかりつけ医」として期待されていると説明され、地域包括ケアシステムの中で重要な役割を担う存在だと期待を示されました。また、日医は有床診が今後も地域で確実に役割を果たせるよう協力する意向を示されました。
横倉義武会長は「地域包括ケアシステムと有床診療所」のテーマで壇上に立ち、「わが国の人口動態の変化に合わせて新たな地域社会の構築、まちづくりが求められています」と言及しました。その上で有床診は外来と入院の切れ目がない「究極のかかりつけ医」となり、地域包括ケアの中で医療をきめ細かく支える重要な役割が期待されていると説明されました。「今後はその期待に応えていくことが必要です。介護サービスを含めた医療・介護を包括的に提供できる体系としても地域に貢献していくべきではないか」と呼び掛けました。







病床機能報告制度で有床診が報告する「病床の役割」については①病院からの早期退院患者の在宅 ・介護施設への受け渡し機能②専門医療を担って病院の役割を補完する機能③緊急時に対応する医療機能④在宅医療の拠点としての機能⑤終末期医療を担う機能―の5つから選択(複数可)することを挙げ、「それぞれの有床診が自院の機能を示し、それらが地域医療ビジョンに反映されることが重要です」と述べられました。地域医療ビジョンの中で各地域の有床診の位置付けや役割、機能を明確にして人員強化も図るべきとも述べられ、「日医として引き続き支援していきたい」と協力を約束しました。
日本医師会の鈴木邦彦常任理事はこれからの有床診に期待する取り組みとして、介護保険分野への積極的な関与を挙げられました。鈴木常任理事は今後の有床診について「地域での立ち位置をどのように確立するか」という側面がポイントになると指摘しながら「有床診は、かかりつけ医機能を持ち、入院機能もあります。地域包括ケアの中で重要な役割になります」と述べられました。さらに 「介護の需要は医療よりもはるかに増えます。有床診の活躍が期待されます」 として、介護保険分野への積極的な進出を促しました。
日医総研の江口成美主席研究員は、有床診の収入の約3分の2が外来であることから「今回の診療報酬改定で点数がついた『主治医機能』にしっかり取り組むことが生き残りへの基本ではないでしょうか」と説明されました。入院については「稼働していない病床があるので、しっかり動かしていけるようになることも重要です」と説明されました。

これから地域で診ていく地域包括ケアが構築されていけば、かかりつけ医である開業医の主治医の役割というのは、非常に大きなものになっていきます。ゆるやかなゲートキーパーなどと言われていますが、国の方針としてはギュッとそこで絞めて、病院には行かずに完結させることで医療費を少しでも抑制したいというのが本音でしょう。但し患者も入院したいと思っている方はごく一部です。生活出来る環境が整っているのなら自宅で過ごしたいと思っているのです。そこでどうしても症状が悪化した場合には、有床診で短期的に診てもらえたらと望んでいます。確かにそこだけ見れば理想的ですが、「究極のかかりつけ医」である有床診の開業医にとっての負担は大きすぎるモノです。しっかり全体を診た上での方向性を示して頂かないと一部に極度の負担がかかってしまうと、地域包括ケアは実現できない夢物語となってしまわないか危惧します。






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病院運営の岐路  病床機能分化と消費増税

日本病院会の堺常雄会長は7月16日、東京・有明の東京ビッグサイトで開かれている国際モダンホスピタルショウ2014のオープニングセッションで講演し、「4月の診療報酬改定などを踏まえ、地域包括ケア病棟 (病床)の選択など9月時点で病院が大きく変わっていくのではないかとみています」と述べられました。その上で「われわれに制度改革からの逃げ場はありません」とも述べられ、それぞれの地域ニーズを見極めた病院の選択と決断を促しました。
病床機能分化の受け皿としての地域包括ケア病棟(病床)について堺会長は「全日本病院協会は、会員の3分の1が地域包括ケア病床に動く可能性に言及されている。日本慢性期医療協会も療養からのアップを目指している」とした上で、「日病の会員病院においても、地域ニーズがあれば地域包括ケア病院の建設にいくつかの病院が動くとみています。地域ニーズが鍵になるのではないでしょうか」と述べられました。「“地域"に着目した制度改革について正しい方向に向かっていると認識しています」とした上で、「地域格差の拡大のほか、首長の権限や仕組みが適正に機能しているか注視しなければなりません」とも述べられました。






地域包括ケア病棟(病床)の対象患者について堺会長は「財政制度等審議会の分科会で高橋泰氏(国際医療福祉大教授)が、治療を目的とする0~74歳の医療と、必ずしも治療を目的としない75歳以上の医療を分けて、地域包括ケア病棟は75歳以上が必要とする病床に位置付けるよう提言しているが、誰がどう判断し、選択していくのかが不明瞭です」と疑問視しました。「地域包括ケア病棟は、診療報酬上の病床機能分化であり、急性期医療を行うには診療報酬点数だけではおそらく不十分ではないでしょうか」とも述べられました。

一方、2015年度の税制改正要望について日病は「税を診療報酬で手当てすることの矛盾を解消すべき」との基本的考え方から、「多額の控除対象外消費税を負担せざるを得ない現行制度を改めること」を求めていく方針です。堺会長は「聖隷浜松病院でも税率5%時点で控除対象外消費税は4億円、8%になって7億円にアップする見通しです。7億円を経常利益として確保することは極めて大変です。これが10%になることを考えると経営的に大きな影響を受けることは必至です」と述べ、消費税問題は病院関係者にとって重要課題と受け止めていると強調しました。
予定通り2015年10月に消費税率が10%にアップする場合について、堺会長は「政治がどう決定するかにもよりますが、診療報酬を使うとなれば次期診療報酬改定の前倒しの可能性はあります」と注意を促しました。
堺会長は「日病は6割が民間病院で占め、中小病院の会員も多いです。従来の公的病院・大病院の団体というイメージではなく“オールジャパン"で活動を展開していく」と述べられ、日病も変わっていくとしました。「厚生労働省の組織改編で医療介護連携政策課がつくられました。十分機能してくれることを期待しています」とも述べられ、行政とも連携しながら日病としての役割を担っていくとしました。


診療報酬の改定により、これまで多くの病院が7対1病床を届け出しておりましたが、このままでは7対1病床から落ちてしまう可能性が高い現実です。また来年度10月に消費税が10%となれば、利益を大きく圧迫する中で、健全な経営をするためには、病院の機能と方向性を見定めて変革していかなければなりません。中には運営が成り立たなくなる病院も出てくるのではないでしょうか。消費税10%のシミュレーションをしてみれば、どこも厳しい状況を予測しているはずです。国は医療は維持していかなければならないと考えていますが、既存の病院を守らなければならないとは考えていない制度・政策に思えて仕方ありません。その中でいかに生き残るか、各理事長の先見性と経営手腕が発揮されると思います。






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2014年7月26日土曜日

病床分割で「地域包括ケア病棟」建設へ  相澤病院

2014年度診療報酬改定や第 6次医療法改正に伴う地域医療構想 (ビジョン)への対応を視野に、急性期後の受け皿を確保するため許可病床を分割して新病院を建設する急性期病院が出てきました。長野県松本市の社会医療法人財団慈泉会相澤病院 (502床、一般7対1)は 、軽度急性期症状の回復期患者の受け皿として新たに「地域包括ケア病院」(地域包括ケア病棟のみの200床未満の病院)を建設する方針を決めました。相澤孝夫理事長 (日本病院会副会長)は、地域住民の医療ニーズの確保とともに、今後、病院の平均在院日数をよりー層短縮した場合の空床化対策も視野に入れた決断であることを明らかにしました。
新病院は9月にも着工する方針で、段階的に増床して42床とする計画といいます。相澤理事長は「相澤病院の周辺には大学病院はあるものの急性期病院がありません。相澤病院はこの地域の3万~4万人の軽度急性期医療も支えてきました。地域の患者の受け皿を確保する上からも、地域包括ケア病棟の新病院の建設を決定しました」と述べられました。






こうした相澤病院の判断について松本市医師会の高木洋行理事は「松本市医師会は、安易なサテライト病院の設置は許していません。相澤東病院 (新病院)が建設されることで医療圏内の病床数に変更がないことや、地域包括ケア医療に対して地域ニーズがあることを踏まえ医師会としても了解しました」と述べられました。

また、相澤理事長は「今後の医療圏の人口減を考えると、平均在院日数の短縮促進によって空床化が進みます。現在502床の相澤病院は、平均在院日数が14日のときは病床稼動率が90%でしたが、12日になって約70床が空床化しました。2013年の平均在院日数は12.4日でしたが、2014年は11.2日まで短縮しました」と説明されました。これまで急性期病床のみだった相澤病院でしたが、空床化の流れを受け 6月には45床分を回復期リハビリテーション病棟入院料3として届け出ました。相澤理事長は「回復期リハビリ病床は地域ニーズからも80床まで必要です。7対1の平均在院日数が将来的に9日まで短縮することを考慮すると、80床は確保できるのではないでしょうか」との見通しを示されました。回復期リハビリ病棟は、将来的には地域包括ケア病院に移行させる計画です。今回の診療報酬改定では7対1入院基本料の要件である「18日」は維持されましたが、短期滞在手術の見直 しで平均在院日数の短縮を促しています。相澤理事長は「今回の改定が地域医療の基幹病院を大きく動かしています」と指摘されました。さらに「医療法改正に伴う地域医療構想では空床化への対応が議論され、民間病院でも対応が進むことは必至です。次期改定では施設基準の本丸である平均在院日数の短縮が求められる可能性は高いと考えられます」と述べられました。

今まさに7対1の急性期病院は、これからの病院の機能・役割について検討し決断を差し迫られています。相澤理事長のおっしゃるとおりこれから7対1の急性期はさらに国の政策で締め付けられていくことが想定されます。地域包括ケア病棟の果たす役割というのもとても大きなモノです。急性期が一番の優等生という古い考えに固執しているようでは、時代の流れに取り残されてしまいますが、それでも急性期にこだわりさらに高度急性期を目指していこうという病院もあります。一概にどちらが正しいともありませんが、しっかりコンセンサスをとって、できれば納得できるエヴィデンスに則って、決断するべきだと思います。もうドンブリ勘定のざっくり経営で渡っていけるほど医療の業界も甘くはありません。






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2014年7月25日金曜日

医療・介護消費量、3割減が理想値

国際医療福祉大の高橋泰教授は7月17日、国際モダンホスピタルショウ2014の病院経営フォーラム「これからの医療制度と病院のあり方」で講演し、後期高齢者1人当たりが自立状態から死亡に至るまでの期間に消費する医療・介護資源量を、人生の満足度を下げずに現在の3分の2程度に減らす対策が必要ですと訴えられました。
高橋泰教授は、2025年に日本全体の後期高齢者数は10年との比較で1.6倍に増加すると指摘した上で、後期高齢者1人当たりの医療・介護資源の消費量が3分の2になれば「1.6× 2/3」の計算でほぼ「1」となり、現在のインフラで何とか対応できると説明されました。 「いきなり『この人の医療・介護資源消費量を3分の1減らしてくれ』と言っても難しいので、タイプに分けてどこの段階でどうするとどれくらい省エネ効果があって、ハピネスにどれだけ影響があるかを示さないといけない」と述べられ、2~3年以内にモデルケースを提示する作業を進めていると説明されました。






さらに、医療・介護の過剰な介入は、死亡までの要介護期間を増やすとの考えも示されました。例として、医療福祉サービスの提供量が多い熊本県相良村と、医療福祉サービスが非常に少なく限界集落の状態にある愛媛県大三島を5年以上追跡調査し「老い方」について2つの地域を比較した結果を提示されました。医療福祉サービスの提供量が多い相良村では「自立から虚弱」「虚弱が虚弱のまま」「要介護状態の人が要介護状態のまま」の確率が高かった 一方で、医療福祉サービスが非常に少ない大三島では「自立の人が自立のまま」 「虚弱の人が自立に戻る」「自立の人が短期間で死亡」「虚弱の人が短期間で死亡」の確率が高かったと結果を提示されました。
高橋泰教授は「マクロで見ると、医療介護の過剰な介入によって、虚弱、要介護の期間が増えます。うまく減らすことを考えなければならない」と述べられ、「医療・介護に頼り過ぎない生活を目指せば、皆さんの望むピンピンコロリ型の老い方が実現できる可能性があります」と強調されました。

この高橋泰教授の調査報告とモデルケースの発言は真摯に受け止めて、これからの医療と介護の体制づくりについて再考しなければならないと感じました。確かにこのままでは日本の社会保障は崩壊せざるをえないでしょう。崩壊させないために様々な政策が国から出てきますが、国民の意識改革を並行して行なわなければ実現不可能だということです。医療も介護もサービスです。基本的にこれで充分・足りていると感じにくいモノで、逆に過剰に求めてしまう青天井なモノです。それも自分を育ててくれた親に対しての介護となれば、これで充分なんて考えにくく、少しでも手厚くと考えるのは自然だと思います。終末期医療について、個人の死生観をどのように尊重するべきか、これらはもう政策でも制度でもありません。麻生副総理ではありませんが、あくまでの個人の人生観みたいなものです。その真意をうまく聞き出した梅村議員も素晴らしいですが、やはり医療の現場では、その死生観についてどのようにしていくべきか考えている人間が多いです。ピンピンコロリでいいんです。と私は考えています。多くの方も同じではないでしょうか。その思いが叶えられるような社会保障が目指すべき姿ではないでしょうか。






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2014年7月24日木曜日

空床化加速、地域包括ケア病棟が受け皿に

長野県の松本医療圏の多くの病院が、地域医療構想を見据えて「本当に必要な7対1病床数」の割り出しに取り組み始めています。松本市医師会の高木洋行理事 (病院代表、松本市立病院長)は 、「松本医療圏の7対1病床は確実に減床します。地域での急性期患者の絶対数が増加しない状況で、許可病床数のうち7対1病床として確保すべき病床数は減り、必然的に空床化してしまいます。それが回復期リハビリテーション病棟や、今回の診療報酬改定で導入された地域包括ケア病棟(病床)を届け出る方向に向かわせています」との見方を示しました。


信州大病院や相澤病院などを中核とする松本医療圏は現在、7対1病床が2728床、10対1が428床、13対1が103床、15対1が125床となっています。







高木理事が院長を務める松本市立病院(許可病床215床)は、4月に36床で回復期リハビリ病棟入院料3を届け出ました。高木理事は「近年、特養や老健などの施設が充実し、入院患者が減少傾向で推移しています。市立病院は在宅支援を明確に位置付けていきます」とし、「これまで許可病床数を7対1病床としてきたが、今後は回復期リハビリや地域包括ケア病棟などを増やしていく計画です。その分7対1は確実に減っていきます」と見通しました。ほかの7対1病院でも地域包括ケア病床を届け出た病院が散見されるとし「地域包括ケア病棟・病床は、7対1の受け皿機能として大きな選択肢になっている」と語りました。
一方で、現行の243床を7対1病床として維持していく内科中心の公的病院もあるとし「血液内科など重症度の高い患者を受け入れているだけに、平均在院日数のコントロールに苦慮しているようです」と述べられました。

高木理事は「松本医療圏では、すでに多くの病院が先を見据えて動いています。今回の診療報酬改定は厳しい内容でしたが、本当の意味で病院が病床の在り方を考える契機になっています。地域で不足していた回復期リハビリ病棟の届け出も一つの動きといえます」と述べられ、“急性期一辺倒"の流れから回復期医療へ参加するなど病院自体が変わろうとしていると分析されていました。


過剰に増えた7対1病床に対して、これから国は締め付けを強化していくことは間違いないでしょう。今後、必要度が高まってくるであろう回リハや地域包括ケアに対していち早く取り組んでいくのか、地域の病院の方向性を見つつ決めていくのか、どちらにせよ決断の時は差し迫ってきています。
各都道府県がどのような地域医療ビジョンを描くかといっても、それほど大きな地域差はないと考えられます。どこもこれから超高齢化社会に対応するために2025年に向けて準備をしていかなければなりません。アメリカと違い、民間の病院がここまで地域の医療ニーズに対応してきた歪みとも言えます。大きく方向転換が図れません。しかし、地域医療はどこも充実させなければならないという責任感は強く抱いております。意志を強く特徴を発揮させていくことが、機能分化ということにつながっていくのでしょう。







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在宅介護の実態  老老介護の割合が半数以上

超高齢化社会へと突入しているなか、家庭で65歳以上の高齢者が主に介護を担う「老老介護」の割合が初めて半数を超えたことが、厚生労働省の調査で分かりました。
厚生労働省は2013年6月、介護が必要な全国の7200人余りを対象に介護の状況などについて調査を行い、このうちおよそ90%に当たる6300人余りから回答を得ました。






この中で、主に介護を担っている人について尋ねたところ、同居する家族と答えた人は全体の62%を占め、事業者(15%)や別居している家族(10%)と比較し高い率ではあります。ただ、このうち65歳以上の高齢者が主に介護を担う「老老介護」の割合が全体の51%を占め、4年前の前回調査より5ポイント余り増え、初めて半数を超える結果となりました。
また、介護が必要な人のうち1人暮らしの人は全体の27%と4人に1人に上り、13年前に比べ10ポイント余りも増えております。
介護保険制度が導入されてから2015年で15年と節目の年になりますが、高齢化に伴い急増している「老老介護」の世帯や1人暮らしの高齢者への支援が新たな課題となっています。これについて、厚生労働省は「『老老介護』や単身世帯でも自宅で安心して暮らせるよう介護サービスの提供体制を充実していきたい」と述べられています。


自宅で安心して暮らせるような介護サービスの提供とは、訪問看護が中心となることは間違いないと思います。現に訪問看護の24時間対応体制や定期巡回随時対応など、いかに在宅での医療を充実させるかに着目し、厚く取り扱っています。もちろん医療ということでかかりつけ医の存在が大きくなりますが、訪問診療をこなしている開業医が単独で行なえることには限界があります。いかに地域で連携して診ていくことができるか、連携というより調和・調整が求められていきます。そこで医師会がどのように存在意義を示すのか。待ったなしの時期に差し迫っています。






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2014年7月23日水曜日

職員専用食堂で食中毒  順天堂大医学部附属浦安病院

千葉県浦安市の順天堂大医学部附属浦安病院の職員専用食堂を利用した職員11人が、下痢などの食中毒の症状を訴えていたことが分かりました。患者の検便からサルモネラ菌が検出されており、順天堂大医学部附属浦安病院から連絡を受けた市川保健所は7月11日、この食堂で提供された食事が食中毒の原因と断定し、3日間の営業停止処分としました。

 千葉県によると、市川保健所に7月8日、順天堂大医学部附属浦安病院から「6月30日に院内の職員食堂を利用した職員が体調不良を呈し、患者の検便からサルモネラ菌が検出された」との連絡がありました。市川保健所が調査したところ、職員食堂を6月30日に利用した11人に下痢や発熱などの食中毒の症状があり、このうち8人が医療機関を受診していたことが判明しました。

 患者4人の検便からサルモネラ菌が検出されたことや、診察した医師から食中毒患者届出票が提出されたことから、市川保健所は、職員食堂が提供したオムライスが食中毒の原因と判断しました。市川保健所は、食堂を運営する業者に対し、施設内や調理器具の消毒に加え、手洗いや加熱調理の徹底などを指導したといいます。







最近季節的な影響も大きいかと思いますが、全国的に食中毒のニュースが続いています。
仙台市は7月14日、人気ラーメン店で食事をした3人が嘔吐や下痢の症状を訴え、うち2人から黄色ブドウ球菌を検出した。2人が4日間入院したラーメンと一緒に出された「とろ肉」が原因の食中毒と判断されました。

飲食店だけではありません。日用品チェーン店において、毒性の強い観賞用のヒョウタンの苗を関東や京阪神など2府9県の30店舗で、「育てて楽しい、食べておいしいシリーズ」と食用の表示をして販売していました。苗で買ったヒョウタンから収穫した実を7月7日に食べた奈良県の40代の女性が、吐き気や腹痛などの食中毒症状を起こし、翌日から入院しました。ウリ科植物に含まれるククルビタシンが原因と判断されました。

食中毒を引き起こす主な原因は、「細菌」と「ウイルス」です。細菌が原因となる食中毒は夏場(6月~8月)に多く発生しています。その原因となる細菌の代表的なものは、腸管出血性大腸菌 (O157、O111など)やカンピロバクター、サルモネラ菌などです。
予防には、まず手指衛生、そして調理においては、食材の低温保存と加熱処理の3つが挙げられます。食中毒の原因菌やウイルスを食べ物に付けないように、手洗い励行を心がけましょう。






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危険ドラッグ

 厚生労働省と警察庁は7月22日、脱法ドラッグに代わる新たな呼び方を「危険ドラッグ」に決めたと発表しました。22日の閣議後の記者会見で田村憲久厚労相は、「国民の皆様に(危険だという)意図がストレートに伝わるのではないかと考えている」と述べられました。


 新たな呼称をめぐっては、覚せい剤などに似た幻覚や興奮作用がある薬物にもかかわらず、「脱法」という表現は危険性を誤認させる恐れがあることから、厚生労働省と警察庁は呼称の代替案を公募していました。7月5日から18日までの間、なんと合計1万9887件の応募がありました。その中には、「危険」や「ドラッグ」を用いた呼称が多かったため、双方を組み合わせた「危険ドラッグ」に決めました。






 会見で田村憲久厚労相は、「いろいろな提案がありましたが、脱法ドラッグの本質をしっかりと国民の皆様に分かっていただくという意味で『危険ドラッグ』が一番良いのではないかということで決めさせていただきました」と説明されました。その上で、精神毒性の強いドラッグについて、使用した本人だけでなく、交通事故などで周囲の人にも危害や被害が及ぶとし、「興味本位で危険なドラッグに手を出していただきたくない」と、あらためて注意を促されました。


最近ニュースでよく見かける痛ましい事故・事件について、多くの国民が疑問に感じていたのだと思います。なぜそれほど危険なモノが簡単に出回っているのか?また安易に手を出す人間がいかに多いのか?
日本国内では2009年頃から欧米経由で流通し始め、2012年3月末時点では少なくとも29都道府県389業者が確認されています。販売店はお香・アロマ・鑑賞用の「合法ハーブ」「合法アロマ」などと称して販売しており、事件の引き金となっています。そこに違法性への隙間を抜けて稼ごうとしている人間がいるからですが、売る方も買って使用する方もとても許される存在ではありません。
大麻や覚せい剤に似た催眠・興奮・幻覚・幻聴作用など求めて、使用しているようですが、そのことで、他人の生命をうばってしまうような事件を引落たりしているのです。世の中には救いたくても救えなかった生命もあるのです。医療人の無力感・喪失感を一度感じてみれば、催眠・興奮・幻覚・幻聴作用など求めようとは思わないのではないかと痛感致します。これまで多くの事故事件でお亡くなりになられた方、ならびにご家族の方のお悔やみを申し上げるとともに、これ以上不幸な方が増えないことを強く願います。






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2014年7月22日火曜日

緩和ケアの利用率は2.6%  アフラック調査結果

アメリカンファミリー生命保険(アフラック)の調査結果で、緩和ケアを利用したことがある、がん経験者は2.6%だったことが分かりました。アメリカンファミリー生命保険(アフラック)社の担当者は、「医師が治療の一環として緩和ケアを含めない傾向があるために利用が進んでいないと推察されます」と述べられています。

 調査は2012年12月13日から29日の間、インターネット上で実施されました。60歳未満のがん経験者619人の回答を集計したものになります。






 調査結果によると、がんと診断された患者の心身の苦痛をやわらげる緩和ケアについて、「言葉として知っていた」という人は73.2%だったのに対し、実際に利用した人は2.6%で、一定の認知度があるものの、十分に利用されていない実態が浮き彫りになりました。利用を検討した人は6.1%で、検討したことがない人は61.6%に上りました。

 緩和ケアを利用したことで、心身の状態が「良くなった」という人は43.7%でした。利用による変化に関する回答では、「心身ともに辛さがやわらぎ、前向きになれた」「心にゆとりができた」といった意見があった一方で、「ほとんど効き目を感じなかったので、あきらめた」「痛みがなくなり体は楽になったが、気分は悪くて体調はよくなかった」など、ネガティブな意見もありました。

 調査では緩和ケア以外の支援体制についても質問しました。病院で専任の相談員が患者の療養上の相談などを行う相談支援センターを知らなかった人は59.3%でした。がん体験をした人同士が互いに支え合うピアサポートを知らなかった人は90.1%でした。アメリカンファミリー生命保険(アフラック)社は「認知度を上げていくことが課題」と指摘しています。


がん診療連携拠点病院では特に緩和ケアに力を入れて取り組んでいる病院が多いのですが、まだまだ患者に行き届いているレベルではないということが浮き彫りになった結果でした。
「がん対策推進基本計画」において「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」が掲げられ平成24年4月より、「緩和ケア推進検討会」において、緩和ケア推進のため、緩和ケアの現状等を踏まえた俯瞰的かつ戦略的な方策を検討し取組が進められています。医療計画の5疾病5事業の中でも一番にあげられているのが、がんです。治療だけでなく緩和ケアを推進していくことは国も各病院も取り組んでいますが、なぜ患者やその家族に浸透していないのでしょうか。認知度をあげることと言ってますが、もしかしたら医療の提供側と患者側での大きなギャップがその間にあるのではないかと感じます。まずその原因追求からではないでしょうか。







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混合診療の行方   日本医師会

岩盤規制の象徴だった「混合診療」が拡大します。政府は6月の成長戦略で、保険外の先端医療を地域の病院でも受けられる制度を作ることを決めました。日本医師会は当初は安全面に問題があるとして猛反発していましたが、容認に転じました。


 混合診療は公的な保険診療と保険がきかない自由診療を組み合わせる制度になります。現在は保険がきく部分まで全額自己負担になってしまう問題があります。例外として安全性や有効性が確認できた先進医療に限って保険が使える規定もあります。
 政府の規制改革会議が当初めざしたのは混合診療の全面解禁でした。同会議が3月に提案した「選択療養」は患者と医師が合意すれば混合診療を認める制度でした。これが事実上の「全面解禁案」となったのです。
 4月に記者会見した日本医師会の横倉義武会長は「安全性や有効性が疑わしい治療が横行しかねない」と反発しておりました。規制改革会議が想定した範囲内の反応でしたが、本音は別とみていました。混合診療が拡大すると、保険診療が縮小する可能性があります。保険がきくことで患者を集めている診療所は収入が減る恐れがあるのです。








 ところが難病の患者団体や医療費を支払う健康保険組合の団体もこぞって反対しました。反対派からすれば「終わった話」(自民党厚労族幹部)のはずだったのですが、改革の目玉を作りたい規制改革会議は粘りました。「現行制度を変えることを検討してほしい」と述べた安倍晋三首相の後押しもありました。
 例外規定では一定数の症例を集めた研究目的でないと認められません。選択療養は患者の希望で治療法や未承認薬の申請ができる点で、医師会とは相いれないのです。同会議はやむなく全面解禁をあきらめ、医師会や厚生労働省との妥協を探りました。譲れない一線は「患者本位」というキーワードでした。
 6月末に会長任期が迫っていた横倉氏は、安倍首相との近さが売りでした。過去には医師会が断固反対していた環太平洋経済連携協定(TPP)交渉入りでも政権と折り合いをつけた実績があります。横倉氏は、安倍首相がオバマ米大統領と会談した直後に「医療の皆保険は守れることになった」と、携帯電話に報告を受けました。この首相の確約を反対論者の説得材料にしました。今回も首相の確約が決定打になるとみました。
 「はじめから政権と敵対することはあり得ない」とする横倉氏でした。いずれは医療費に切り込まざるを得ない時が来ます。反対論ばかりで政策決定の場から閉め出されるより、関与した方がよほど医師会の利益になります。医師会幹部は混合診療の全面解禁に歯止めをかけるべく働きかけを強めました。
 できあがった案は「患者申し出療養制度」と名前を変えました。患者本位という規制改革会議のメンツをたてる一方、国が専門家の意見を踏まえて決める仕組みを作ることにして全面解禁は避けました。

横倉氏は「安倍首相が(対象になった治療は)保険を適用するとはっきり言ったので医師会がめざす方向と同じになりました」と賛成に転じた理由を説明しました。
 6月29日開いた日本医師会の代議員会において、前日に無投票で会長に再選された横倉氏は、混合診療への対応をめぐり、舞台裏を知らない地方の医師会から厳しい言葉で詰め寄られました。横倉氏は「政府はさまざまな提案を出してきていますが、声高に反対するだけでは通らない」と理解を求めました。
 彼らにとって真の正念場は、新制度に肉付けする中央社会保険医療協議会や社会保障審議会・医療保険部会です。6月末の中医協では医師会出身の委員が「法改正は必要ないのではないか」と、現行制度の改善で対処するように求めました。法改正しなければ新制度は実現しません。地域の医療機関で実施する案も「大学病院だけで地域の診療所は入らない」とけん制しました。
 

混合診療の行方としては、「患者申し出療養制度」という名称で、拡大していきます。そのことによる医療機関への影響度は良くも悪くもまだ図ることが難しく、どこも既得権を失いたくないので、反対派が多くを占めます。ただ本当に「患者本位」という目線で見て、「患者申し出療養制度」は良い制度となるのでしょうか。どうしても特別な治療をするなら自己負担でするように、自己負担出来る患者は申し出て下さい、と言っているように聞こえてしまうのは私だけでしょうか。また、今後それらの治療が本当に保険対象の治療として認められていくのかが大きな問題点だと感じます。私個人的には、「患者申し出療養制度」を導入するより、保険対象の治療の拡大に努めた策の方が、「患者本位」の政策ではないかと感じるところです。






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7千万円の科学研究費不正、慈恵会医大の元講師



東京慈恵会医大(東京都港区)の松藤千弥学長らは7月18日、学内で記者会見を開き、総合健診・予防医学センターに所属していた元講師が2004年度以降、文部科学省の科学研究費19課題分、計7029万円を不正受給していたと発表しました。元講師は研究計画調書に、学内のほかの研究者名を無断で使用したり、事実と異なる研究業績を記載したりして、科学研究費を申請しておりました。採択されて得た科学研究費を、別の研究課題にも使用したといいます。東京慈恵会医大は、6月26日付で、元講師を懲戒解雇にしました。

 元講師は、助手だった2004年、同様の方法で科学研究費を不正受給して東京慈恵会医大からけん責処分を受け、2005年度から5年間、文部科学省から科学研究費の受給資格停止の措置を受けていました。今回の不正のほとんどは、この間に起きたものでした。松藤学長は7月18日の会見で、「元講師は以前にも科学研究費の不正によって処分を受けており、同様の不正が繰り返されていた事態の重大さを、大学として深刻に受け止めている」として、陳謝しました。






 東京慈恵会医大では2013年12月、元講師が不正をしている可能性があるとのうわさが医局内で広まりました。これをきっかけに、12月28日に学内調査委員会を立ち上げ、2004年度から2013年度に科学研究費の申請と交付を受けた研究代表者や、2013年度に申請した全研究課題の代表者などに、聞き取りやアンケートによる調査を実施しました。会見に同席した同委員会の岡部正隆委員長は、元講師が不正受給した理由について、「(元講師は聞き取り調査に対し)『自分の研究費がたくさん必要だった。研究計画を書くのが好きで、やりたい研究やアイデアがたくさんあった』と話していた」ことを明らかにしました。

 元講師は、科学研究費を申請した32課題について、学内のほかの研究者の名前を、研究計画の研究代表者欄に無断で記載しておりました。このうち採択された18課題と、自身の名前で申請して採択された1課題の計19課題について、研究業績欄に科学誌への掲載が決まっていない投稿中の論文を記載するなどの不適切な行為で、研究業績を水増ししていました。岡部委員長によると、名前を利用された研究者らは科学研究費に関心が薄かったため、元講師に依頼され、科学研究費の電子申請に必要なID・パスワードを貸与してしまったといいます。

 東京慈恵会医大は元講師を懲戒解雇したほか、元講師を含む研究グループを統括している教授を減給、ID・パスワードを貸与して結果的に不正受給をほう助した別の講師ら7人をけん責の処分にしました。また、ID・パスワードを貸与したものの採択されなかった教授ら5人と、研究費の管理を行う職員2人を厳重注意にしました。

 また、東京慈恵会医大は、今回の不正の背景に、違法な申請を発見する仕組みがなかったことと、公的資金を使うという意識が研究者に不足していたことを挙げ、再発防止策として、研究コンプライアンス教育に特化した学内組織を設置するほか、外部有識者を長とする研究不正の警告・調査・告発などを担う組織を立ち上げることとしました。これら2つの新組織は、学長の直轄になります。

 東京慈恵会医大は、不正受給した科学研究費の返還も視野に、週明けにも、同委員会の調査報告書を同省と日本学術振興会に提出する予定です。

不正受給はいま少しホットな話題かもしれませんが、おそらく多くのところで起きていることであると誰もが感じていると思います。返還したら良いというだけの問題でもありませんし、それらに対するチェック機能がなかったということが組織としての脆弱さを露呈してしまったということになります。しかし研究には莫大な資金が必要なモノも多くあります。未来の発展のためには先行投資も必要ですし、日本の医療はまだまだ発展していきますし、成長戦略の一つとしてこれからさらに注目度も増していきます。ただ文部科学省は今回の件で、科学研究費を減額するなどの見直しはせずに、本当に必要なところへ資金を注入できる先見性をもち続けて頂きたいと願います。





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2014年7月21日月曜日

傘下病院の診療データを―元管理ヘ 済生会

済生会は、2016年度の「保健・医療・福祉総合研究所 (仮称)」の設立に向けた準備作業を本格化させます。傘下病院のレセプトデータなどの分析や、データに基づく経営支援、グループ内の教育研修などの機能を持たせる方針で、シンクタンクとしての基本構想を今年度中に定めます。

済生会総研は、2013年度からの5カ年間の中期事業計画の柱の一つです。2014年3月に設立準備のための検討委員会を立ち上げており、中心的な活動となる研究事業と研修事業についての具体的内容、課題整理の作業を進めています。今秋には各支部や院長会、看護部長会、事務部長会に対し、総研に関するアンケー トを行う考えで、現場の意見も基本構想に反映させる方針です。






2015年度からは、総研の規模や所在地などの詳細な組織体制のほか、各種データや経営データを分析するための新たなシステム開発などの作業に入ります。分析システムには、2015年導入予定の新会計基準を反映させるほか、傘下79病院のレセプトデータ、DPCデータに加え、済生会の強みとなる介護福祉施設からのデータまで本部が一元的に収集、管理する仕組みを導入する方向です。より踏み込んだ経営課題を多角的に分析するのが狙いで、傘下病院の経営、実務に役立つデータ提供など、本部からの経営支援体制を強化します。データに基づく政策提言や、傘下施設からの相談機能も整備します。

総研に一部移管する研修事業では、すでにグループ関係者を対象とする総研フォーラムを定期的に開催しています。これまでDPCデータ活用や回復期リハビリテーションなどを取 り上げており、今後も年2回の頻度で継続的に開催していく計画です。講義形式に加え、グループ内で得られたノウハウや先進的な事例などの情報交換、交流会も行う予定です。総研への外部有識者の招聘や、研究所の正式名称もあらためて検討します。

また済生会は、グループ内部の情報共有ツールとして「なでしこネットワーク」と名付けたウェプサイトを2013年10月から稼働させており、今後も掲示板やデータベース、アンケート機能などのコンテンツを段階的に拡充する計画です。現在は管理職のみに利用を限定していますが、2014年度中にグループ内の一般職まで利用できるようにシステム改修します。そして:将来的には、総研の活動成果に関する情報発信や、研究事業や研修事業との連携ツールとしての可能性も探る考えです。


まさにこれからはビッグデータ時代に本格的に突入していきます。経営もエヴィデンスに基づいてシステマティックに行なっていくことが主流となるでしょう。ただこれは医療業界が先だって行っている訳では無く、一般的な企業・業界ではすでに取り組まれている流れであります。ただ医療・福祉となると単純に損得計算だけで計ってはならないことも多いですし、地域への貢献度合いを考えるともちろんのことです。ただ今後医療業界がこのような守られた世界のままでいることができるかと問われると、大きな規制緩和が到来する可能性も否めません。特にアメリカの医療制度に近付けて社会保障費を抑えようと国が舵を切れば、大きく情勢は変貌するでしょう。外的要因がどうかわろうが、まず自病院の経営がデータ分析に基づて政策をうちたてて進めていけるか、早く取り組み始めた法人ほどそのインターバルの恩恵は将来的に受けることができるのではないでしょうか。






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2014年7月20日日曜日

独自に「かかりつけ医」を認定 福岡県医師会

福岡県医師会は地域に根差した「かかりつけ医」のさらなる普及を図るため、今年から福岡県内で地域医療に貢献する医師を独自に認定する「福岡県医師会認定総合医(新かかりつけ医)制度」を創設しました。地域住民に信頼されるかかりつけ医の確立や「医療の質の向上」を目指すもので、福岡県医師会によると、都道府県医師会によるかかりつけ医の認定制度は全国でも初めての試み。松田峻一良会長は「医師会活動の柱に据え、福岡県民に幅広く知ってもらう制度に成長させたい」と述べられました。
福岡県医師会は「地域で学校医や検診などに従事し、総合的な診療能力を発揮している『かかりつけ医』を医師会として評価すべきではないか」と判断し、2012年秋から制度創設に向けた具体的な検討を進めてきました。「総合診療専門医」を基本診療科に加えた新たな専門医制度の具体化が進むが、同制度とは異なる福岡県医独自の取り組みです。
福岡県内の医師が認定を受けるには 日本医師会生涯教育認定証を取得し、さらに「学校医 ・園医」「産業医・地域産業保健センター活動」「平日夜間、休日当番、救急相談等の出務」など16項目にわたる地域保健医療活動の中から、1つ以上(非会員は2つ以上)に従事していることが条件となります。福岡県医師会の会員約8000人のうち、日医生涯教育認定証取得者は約2700人です。このうち、すでに1659人が認定を受けています。福岡県医師会は認定を受けた医師をホームページで紹介したり、新たに作成した認定証を医療機関に掲示することで地域住民らへの浸透を図ろうと試みています。「医療の質の確保」の観点から、認定には3年ごとに更新が必要だが、福岡県医師会はまずは日医生涯教育認定証取得済みの残りの会員の申請を促す方針です。






6月28日の日医定例代議員会で再選を決めた横倉義武会長は所信表明で「医師会が担ってきた地域医療への貢献や会員の協力による健康福祉への地道な取り組みについて、国民の目に医師会の活動であることがなかなか見えていない」と述べられました。今回の認定制度は地域医療に貢献する医師を目に見える形で評価し、地域住民に知ってもらう点が特徴です。そして、2025年に向けてかかりつけ医の重要性が高まる中、認定制度の価値が高まれば、非会員と医師会をつなげるきっかけとなり、全国の医師会が課題に抱える「組織強化」の一手となる可能性もあると考えられます。


総合診療専門医は、これから病院から地域・在宅へと医療の現場がシフトしていく中で重要になってきます。元々専攻していた診療科からの移行がまずファーストステップになるのかと思いますが、志高く地域で在宅医療の役割を担おうと目指してもいざという時の後ろ盾や、知識や技術の向上に対する支援体制が整っていないことに対する不安感が大きいのが現状ではないでしょうか。そこでいかに各医師会が存在意義を発揮することができるか、それが医師会にとっての「組織強化」の取り組むべき課題ではないかと感じます。







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2014年7月19日土曜日

救急搬送の実態 救急出動件数と救急搬送人員からみた課題

救急搬送は、出動件数・搬送人員とも増加し続け、2013年には出動件数が5,915,956件、搬送人員が5,342,427人と過去最多を記録しています。救急出動件数が増加した527の消防本部によると、その要因として「高齢者の傷病者の増加」(75.1%)、「急病の傷病者の増加」(73.4%)、「一般負傷の増加」(42.4%)、「転院搬送の増加」(41.4%)などがあげられています。
一方で、救急搬送人員の約半数は軽症と中等症であり、診療の結果として帰宅可能で、一部には不要不急の救急要請もあることなど、利用する側のモラルが求められる側面もあります。
2014年2月にまとめられた「救急医療体制等のあり方に関する検討会」報告書では、地域における救急医療確保に向けた対応や、救急医療機関のあり方などについての検討結果が提示されています。ひっ迫する救急医療に対し、医療機関が行なうべき支援について考える必要性が高まっています。






救急医療については、昭和38年から救急搬送業務が法制化され、昭和39年には救急病院・救急診療所の告示制度が始まりました。昭和52年から初期・二次・三次救急医療機関の整備が行なわれるようになり、平成3年には救急救命士制度が創設され、救急搬送体制の充実が図られました。
平成12年には、病院前救護における医療の質を確保するため、メディカルコントロール体制を各地で整備することが求められることとなり、平成21年には消防法改正により、各都道府県で傷病者の搬送・受入れの実施基準を定め、実施基準に関する協議等を行なうための協議会が設置されました。
この間、救急搬送人員数は平成13~23年の10年間で3割以上増加し、その後も過去最多を記録し続けています。救急搬送人員の約半数は軽症・中等症で帰宅可能と診断される患者であり、一部には不要不急の救急要請もあります。このような利用については、国民がより適切に救急医療を受けるべきだという指摘もあります。病院前医療では、メディカルコントロール体制の整備が進められていきましたが、救急救命士による特定行為の実施件数増大等に伴い、メディカルコントロールに従事する医師は通常業務における診療に加え、特定行為の指示や検証作業を行なうため、総じて負担が増大しています。
このような最近の救急医療を取り巻く状況を踏まえ、2014年2月にまとめられたのが「救急医療体制等のあり方に関する検討会」報告書になります。報告書では、救急医療体制や取り組みに関する現状と課題として、①メディカルコントロール体制、②高齢者搬送の増加、③小児救急電話相談事業、④院内トリアージ、⑤救命救急センター、⑥高度救命救急センター、⑦二次救急医療機関、⑧初期救急医療機関、⑨ドクターヘリ、⑩高次医療機関からの転院搬送、⑪小児救急医療における救急医療機関との連携、⑫母体救命に関する救急医療機関との連携、⑬精神疾患を有する患者の受入れおよび対応後の精神科との連携体制の構築、の13分野について述べているほか、今後検討すべき事項と方向性を示しています。

メディカルコントロール協議会が各都道府県に設置されているものの、活動内容に地域差があることから、行政機関・消防機関・医療機関・医師会等関係団体が連携し、増大する救急活動の事後検証や搬送困難事例への対応等、求められる役割を果たすことが重要になります。
高齢の救急搬送患者は、増加の一途であり大きな課題となっています。高齢者は複数の疾病を罹患している可能性が高く、病歴の把握の時間を要すること等の理由から、救急隊による医療機関の紹介回数の増加や現場滞在時間の延長につながりやすい状況となっています。このため救急度の高い患者を迅速・適切に搬送する体制を維持するためには、高齢者の増加に対応した病院前医療体制の改革が求められます。急変リスクが高い高齢者や基礎疾患を有する患者にあっては、普段よりかかりつけ医が中心となって緊急時に適切に医療が受けられるよう準備しておくことが重要であります。
院内トリアージは、医療機関において救急外来や組成室に展開させる人的資源について、患者の緊急度・重症度に応じて合理的な人員の動員・配置を期するために行なわれています。今後院内トリアージの効果をさらにあげるために、事後検証等を行なうことで、トリアージの標準化を含め、質を保証するべきです。救急医療の質の評価に繋げるために、救急搬送時に消防によって得られた救急度判定等のデータと、院内でのトリアージや転帰のデータとを連結させるシステムの構築も求められます。
今後さらなる救急需要の増加が見込まれる中、救急医療体制の確保・充実は、地域住民の安心と安全にとって重要な課題であります。逼迫する救急医療に対し、メディカルコントロール協議会への積極的な参加、地域住民の救急医療への理解を深める支援など、期待される要件は多くあります。






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「医療・介護」は今秋以降に議論   社会保障制度改革推進会議

社会保障制度改革国民会議の後継組織となる「社会保障制度改革推進会議」の初会合が7月17日、首相官邸で開かれました。議長に選出された清家篤慶應義塾長は、今秋にも開かれる次々回会合以降に医療・介護をテーマに議論する方針を示され、「医療・介護については現場の方の話を聞く必要があると思います」と述べられ、専門委員の選任やヒアリングを実施する必要性を指摘されました。政府に専門委員の人選を進めるよう求めました。
次回会合は年金や子育て支援をテーマに、社会保障制度改革のプログラム法にのっとった改革の進捗状況を確認する方針です。清家議長はまた、医療・介護の議論に向けて、関係閣僚で構成する「社会保障制度改革推進本部」(本部長=安倍晋三首相)の下で医療 ・介護情報の活用策を検討するために設置した専門調査会の議論や、2017年の医療保険制度改革に向けた議論についても把握する必要があると指摘されました。
推進会議はプログラム法に基づく改革の進捗状況の確認や、2025年を展望した中長期的な社会保障制度改革の総合的な検討のため、プログラム法に基づき設置されました。






初会合に出席した安倍首相は「世界に冠たる日本の社会保障制度を次の世代に引き継ぐとともに活力ある社会を実現しなければならない。そのために消費税増税は全額社会保障に充てました。同時に受益と負担の均衡を取るため、不断の改革も必要です」と述べられ、地方の創生や女性の活躍推進など、制度横断的な視点も踏まえた議論を求めました。
田村憲久厚生労働相は、医療・介護の一括法の成立などプログラム法に基づいた改革を着実に進めていることを説明した上で、「2025年以降も展望した中長期的な議論をお願いしたい」と述べられました。甘利明経済再生(一体改革)担当相は「受益と負担の均衡が取れた、それゆえに持続可能な社会保障制度を確立していく必要があります。国民会議で中心的に議論した4分野を含め、制度横断的な議論をお願いしたい」と述べられました。
遠藤久夫委員(学習院大経済学部長)は「医療・介護制度はサービスの提供体制と財政面という2つの要素が相互に関連しています。両方をにらみながら改革の議論を行わなければいけません」と指摘されました。土居丈朗委員(慶応大教授)は、今後の制度改革のポイントに財源確保を挙げ「消費税による財源確保は不可欠です。保険料負担も世代間で適切に分け合う必要があります」と述べられました。


安倍首相等が使われた「受益と負担の均衡」という言葉、何かこれから頻繁に出てくるのはないかという気がします。それなりの受益を求めるなら、相応の負担は覚悟しなさいということです。すべてにおいて最適という策は無い、良い部分があればそうではない影の部分も出てくる、それを受け入れる覚悟を国民はするように。と聞こえてしまいました。確かに社会保障を維持するためには大きな改革に踏み出さなければ、破綻することが想像に難くありません。どこに歪みがいくのか、多くの一般的な国民で分け合って負担することが望ましいのでは。そう税金による補てんというのが、一番考えやすい策でしょう。もしくは、国の保障を少し下げる。自己完結して下さい。という方向性。確かにこれまでの制度では支障をきたすというか機能しなくなります。ただ、そのような方向性で本当に強い日本、元気な日本が未来に築けるのでしょうか。アメとムチではありませんが、しっかりとしたアメを示すことも国民に負担をさせるためには重要不可欠な要素でしょう。






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がん検診受診率が増加 最多は肺がん検診

厚生労働省は7月15日,「2013年国民生活基礎調査」の結果を公表しました。過去 1年間にがん検診を受診した人の割合は、全てのがん検診で前回の10年調査から増加しました。男女ともに最も多かったのは肺がん検診で、男性は前回から21.1ポイント増の47.5%、女性は14.4ポイン ト増の37.4%でした。厚生労働省健康局がん対策 ・健康増進課担当者は、各都道府県によるがん対策推進計画の策定なども踏まえ「各自治体で受診率向上に向けたコール・リコールなどさまざまな取り組みがなされています。こういうことが受診率の向上につながっているのではないか」と述べられました。
がん検診の受診率については今回の調査から算出対象を40~69歳とし、上限を設けました。子宮がん(子宮頸がん)検診の算出対象は20~69歳としました。また前回の調査結果も、あらためて算出し直しました。
肺がん検診以外では、男性では胃がん検診が45.8%(前回調査比92ポイント増)、大腸がん検診が41.4%(13.3ポイント増)でした。女性では胃がん検診が33.8%(5.5ポイント増)、大腸がん検診が34.5%(10.6ポイント増)、子宮がん(子宮頸がん)検診が32.7%(4.0ポイント増)、 乳がん検診が34.2%(3.6ポィント増)でした。
20歳以上で過去1年間に健診や人間ドックを受診した人の割合は男性が67.2%、女性が57.9%でした。受診しなかった理由を複数回答で見てみますと「心配な時はいつでも医療機関を受診できるから」が32.5%で最も多くを占めました。







在宅で要支援者または要介護者がいる世帯の主な介護者を見ると、同居者が61.6%を占め、続柄は配偶者26.2%、子21.8%、子の配偶者11.2%などでした。同居の主な介護者と要支援・要介護者の組み合わせを年齢階級別に見ると、65歳以上同士は51.2%を占め、75歳以上同士は29.0%でした。
2013年6月現在の世帯数は5011万2000世帯で、このうち65歳以上の者のみ、もしくはこれに18歳未満の未婚者が加わった「高齢者世帯」は過去最高の1161万4000世帯となり、全世帯の23.2%を 占めました。
今回の2013年調査は3年に1度の大規模調査年に当たるため、簡易調査年に行う世帯や所得の項目だけでなく、健康や介護に関連する項目も調べました。

健康は、多くの方にとって意識が高い事柄ではありますが、実際に予防等にむけた取り組みはとなると、まだまだ低い実態であると言わざるを得ない状況です。国としてもいかに医療費の抑制を図るかということに取り組んでおり、まず病気の発生を抑制することで医療費を抑制しようと、予防医療へのシフトは強くなってきております。各都道府県の地域医療ビジョンにうまく予防医療を乗せていけるかが課題となっていくことでしょう。






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2014年7月18日金曜日

デイケアの行方 デイサービスとの連携

 全国デイ・ケア協会の斉藤正身会長は7月4日、「第30回全国デイ・ケア研究大会2014 in 川越」で講演されました。斉藤正身会長は、国が地域包括ケアシステムの構築に本腰を入れ始めた中で、通所系サービスも、大きな節目を迎えつつあると指摘されました。その上で、デイ・ケアと通所介護との連携強化が「大命題」と強調しました。

斉藤正身会長は、医療介護の一括法案の成立に触れ「通所系サービスを運営する私たちも、地域における自らの役割を十分に理解したうえで、身勝手な運営ではなく、市町村事業への協働・協力が求められます」と述べられました。その上で、サービスの質を保つことは全国共通の課題だとし「その課題を解決するための助力となるべき組織がこの全国デイ・ケア協会である」と述べられました。






 斉藤正身会長は、今後のデイ・ケアについて、国際生活機能分類(ICF)に沿ったリハビリテーションが求められると指摘しました。また、利用者の機能改善などだけに注力するのではなく、利用者の社会参加を強く意識して活動する必要があるとし、「そのためには、複数のデイ・ケアの事業所が連携する必要がある」と述べられました。

 さらに、通所介護との連携強化については「大命題」とし、「(通所介護と)連携するため、わたしたちから手を挙げるべきです」と訴えられました。


 また、診療報酬・介護報酬の同時改定が予定される2018年ごろには、地域包括ケアシステム構築を見据えた各種制度が、かなり出そろうと予測されています。2015年4月に予定される介護報酬改定については、「2018年の同時改定に向けた方向性が示されるはず」と述べられました。

2015年度介護報酬改定に向けた課題としては、デイサービスの類形化とデイケアの人員配置基準の整備を挙げました。デイケアについては、リハビリテーションを提供する体制が整っていることを評価する人員配置基準が必要であると指摘されました。

なかなか分かっているようで分かっていない介護サービス。デイサービスとデイケアって何が違うの?通所介護って?通所リハって?分かってない人にとっては、ちんぷんかんぷんです。
各事業の説明を読むと、デイサービスとは通所介護のことで、在宅で生活されている要介護者の方が日中に食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで行なうサービスです。
デイケアとは通所リハのことで、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで行なうサービスです。
同じでは・・・と解釈されても仕方ないような説明文です。分かりやすく違いを説明すると、デイケア(通所リハ)とは、リハビリテーションを主眼においています。デイサービス(通所介護)でもリハビリは行なわれていますが、何がサービスの主たるところかということが違うのです。だからデイケア(通所リハ)では、リハビリの専門の機材をそろえたうえで、医師や看護師や理学療法士など、専門家のもとに本格的な指導を受けてリハビリを行ないます。ここがデイサービス(通所介護)との大きな違いになります。指定通所リハビリテーション・介護予防通所リハビリテーションを行うために必要な器械及び器具の設備的な要件や、当該指定通所リハビリテーションの提供にあたる、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、又は、通所リハビリテーションもしくは、これに類するサービスに1年以上経験を有する看護師がサービス提供日ごとに常勤換算で0.1以上確保されていること、などの人的な要件があります。これらの要件がデイサービス(通所介護)にはありません。

単純に比較すると、リハビリがちゃんとできて、日常生活の能力の低下を抑制できるデイケア(通所リハ)の方が良いとなり、デイケア(通所リハ)に対するニーズの方が高くなってきます。そうなるとデイサービス(通所介護)はどうするか?ウチではリハビリもちゃんとやっています。とアピールを始めたわけです。特段デイサービス(通所介護)でリハビリを行なってはいけないわけではありませんので問題はありません。
ただそのリハビリの程度というのは、それを専門サービスとして行なってきたデイケア(通所リハ)とデイサービス(通所介護)が同等とは言い難い部分が大きいと思います。

ただ、そのデイケア(通所リハ)がデイサービス(通所介護)との連携強化に取り組むとなれば、大きく各事業の方向性が変わってくるというか機能を分化していくことになるのではないかと考えられます。






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子育て世代が苦境 子どもの貧困率 16.3%

 平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子供の割合を示す「子どもの貧困率」が平成24年時点で16.3%と過去最悪を更新したことが7月15日、厚生労働省の国民生活基礎調査で分かりました。前回調査の2009年時点から0.6ポイント悪化しています。深刻化する子供の貧困問題に対応するため、政府は7月下旬に対策の大綱を閣議決定します。実効性ある対策の必要性が鮮明となりました。
 また、介護が必要な65歳以上の高齢者がいる世帯のうち、介護を担うのも65歳以上という「老老介護」の世帯の割合は2013年時点で51.2%と半数を超えたことも判明しました。
 厚生労働省は子供の貧困率が悪化した原因について「デフレ真っただ中の経済状況で子育て世帯の所得が減少したことが最大のダメージです」と分析しております。大人も含めて生活が苦しい人の割合を示す「相対的貧困率」は前回調査から0.1ポイント悪化の16.1%で、昭和60年の調査開始以降で初めて子どもの貧困率が上回った結果となりました。






 厚生労働省の国民生活基礎調査で高齢者に比べ子育て世代が経済的な苦境に立たされる「世代間格差」が浮き彫りになりました。特に母子世帯は貯蓄がない割合も高く、生活が「苦しい」との回答が80%を超えました。
 2012年の年間所得は全世帯平均で537万2千円でした。65歳以上の高齢者の世帯は309万1千円で、18歳未満の子供がいる世帯は673万2千円で、母子世帯(子供が20歳未満)だと243万4千円と少ない結果でした。高齢者世帯の所得が5年前に比べ約10万円増えているのに対し、子供がいる世帯は約18万円も減り、右肩下がりの傾向です。
 平均貯蓄額(2013年6月末時点)は、母子世帯が263万8千円と、高齢者世帯の1268万1千円の約2割でした。子供がいる世帯の貯蓄額は706万7千円。母子世帯は「貯蓄がない」との回答が36.5%に上る一方で、高齢者世帯では11.6%が「貯蓄は3千万円以上ある」との回答でした。

超高齢化社会への突入で年金や介護などの福祉に対して注目を集めておりますが、実際に今現在の問題として子育て世代が苦境に陥っているとは、明るい未来が望めにくい現状です。確かに二世帯の減少・共稼ぎ・シングルマザー・派遣社員、などこれら良く耳にする言葉からも家計が昔に比べ逼迫していることは想像できます。子供たちの明るい未来の為に国が制度化し補てんすることを強化するべきだと思います。弱者を助けることは国の重要な任務ですが、それを悪用している輩が多いために、必要なところに必要な量の提供が出来ていないのです。まるで患者紹介による訪問診療の適正化と重複してしまうのですが、一律で決めるのではなく、もっと現状を見据えた対応対策がこれからは必要度を増すのではないかと、何かにつけて感じるところです。






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介護保険の変革   地域医療・介護総合確保推進法より

 全国で約300万人が利用する介護保険が大きく変わることになります。先の国会で成立した「地域医療・介護総合確保推進法」には、2015年8月から65歳以上の自己負担割合を2割に引き上げ、段階的に介護サービスの一部を市町村に委ねる内容が盛り込まれました。
 介護保険制度が始まった当時に比べ、認定者数は2.4倍に増えています。介護を家族任せにせず、社会全体で支え合う趣旨からすれば定着した結果とも言えますが、その分歪みも出てきています。





 団塊の世代が75歳以上になる2025年を展望した場合、現在9兆円の費用が20兆円に達する見通しです。介護保険制度を永続させるためには、自己負担の増加もやむを得ない措置になります。
 ただし自己負担が2割になるのは一定の所得以上の層です。厚生労働省は年金収入が年280万円以上の人を想定しています。この負担割合の引き上げは介護保険創設以来初となります。一方、年金が少ない層に対して保険料の軽減を2段階から3段階へ増やします。そのことで軽減割合も大きくなり、負担能力に応じたバランスを狙っています。
年金収入が同じでも資産や持ち家があるかどうかで、高齢者の生活実態は大きく異なります。資産状況も考慮するなど、公平さを確保した線引きが必要です。

 市町村の事業に移行するのは、介護の必要度が低い要支援1、2の人向けの訪問・通所介護事業です。市町村ごとにサービス内容や利用料を決め、介護事業者以外のボランティアやNPOにも委託できるようにしました。
 国会審議では全国一律のサービスが崩れ、地域格差が出ると批判が出て論議になりました。しかし、与党の安定多数の中、財政力の格差をどう埋めるかなどについて不透明さを残したままです。
 ボランティアの活用についても簡単ではありません。ごみ出しなどの生活支援は成り立っても、要支援の利用者は認知症の人も多いと見られています。専門知識がなければ、症状の悪化に気づかない恐れもあり、最近ニュースでよく聞くところの認知症の徘徊問題などにもつながりかねません。
 特別養護老人ホームに新たに入所する条件も厳しくなります。原則要介護3以上とし、要支援1、2の場合は「認知症で常時見守りが欠かせない」などの特殊事情を認められたケースに限られます。
 利用料が安価で希望者が多く、施設数が不足しているための対策です。全国で約52万人が入所待ちの状態にあり、そのうち3分の2を要介護3以上の人が占めています。
 ただ、これらの方針は利用者の選択肢を狭めることにもなります。介護保険の基本には多様な医療・福祉サービスの中から自分らしい生き方を選ぶ「利用者本位」の理念があります。制度の根幹に関わる変更ではないかと考えさせられます。


 地域医療・介護総合確保推進法にはもちろん医療制度の見直しも含まれています。リハビリに重きを置いた病院を増やし、スムーズに自宅や施設へ移ることを目指そうとしています。地域包括ケアの構築に向けた様々な方策が立て続けに出されています。
いかに地域で連携して医療と介護の両面から在宅療養の高齢者を診ていくのか。そして看取りまで行なっていくのか。まだまだ2025年に向けて介護保険は改定を繰り返して理想のカタチを目指していくのでしょう。






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2014年7月17日木曜日

デイ・ケア(通所リハ) デイサービス(通所介護) 連携強化

 全国デイ・ケア協会の斉藤正身会長は7月4日、「第30回全国デイ・ケア研究大会2014 in 川越」で講演されました。斉藤正身会長は、国が地域包括ケアシステムの構築に本腰を入れ始めた中で、通所系サービスも、大きな節目を迎えつつあると指摘されました。その上で、デイ・ケアと通所介護との連携強化が「大命題」と強調しました。

斉藤正身会長は、医療介護の一括法案の成立に触れ「通所系サービスを運営する私たちも、地域における自らの役割を十分に理解したうえで、身勝手な運営ではなく、市町村事業への協働・協力が求められます」と述べられました。その上で、サービスの質を保つことは全国共通の課題だとし「その課題を解決するための助力となるべき組織がこの全国デイ・ケア協会である」と述べられました。

 斉藤正身会長は、今後のデイ・ケアについて、国際生活機能分類(ICF)に沿ったリハビリテーションが求められると指摘しました。また、利用者の機能改善などだけに注力するのではなく、利用者の社会参加を強く意識して活動する必要があるとし、「そのためには、複数のデイ・ケアの事業所が連携する必要がある」と述べられました。

 さらに、通所介護との連携強化については「大命題」とし、「(通所介護と)連携するため、わたしたちから手を挙げるべきです」と訴えられました。







 また、診療報酬・介護報酬の同時改定が予定される2018年ごろには、地域包括ケアシステム構築を見据えた各種制度が、かなり出そろうと予測されています。2015年4月に予定される介護報酬改定については、「2018年の同時改定に向けた方向性が示されるはず」と述べられました。

2015年度介護報酬改定に向けた課題としては、デイサービスの類形化とデイケアの人員配置基準の整備を挙げました。デイケアについては、リハビリテーションを提供する体制が整っていることを評価する人員配置基準が必要であると指摘されました。

なかなか分かっているようで分かっていない介護サービス。デイサービスとデイケアって何が違うの?通所介護って?通所リハって?分かってない人にとっては、ちんぷんかんぷんです。
各事業の説明を読むと、デイサービスとは通所介護のことで、在宅で生活されている要介護者の方が日中に食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで行なうサービスです。
デイケアとは通所リハのことで、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで行なうサービスです。
同じでは・・・と解釈されても仕方ないような説明文です。分かりやすく違いを説明すると、デイケア(通所リハ)とは、リハビリテーションを主眼においています。デイサービス(通所介護)でもリハビリは行なわれていますが、何がサービスの主たるところかということが違うのです。だからデイケア(通所リハ)では、リハビリの専門の機材をそろえたうえで、医師や看護師や理学療法士など、専門家のもとに本格的な指導を受けてリハビリを行ないます。ここがデイサービス(通所介護)との大きな違いになります。指定通所リハビリテーション・介護予防通所リハビリテーションを行うために必要な器械及び器具の設備的な要件や、当該指定通所リハビリテーションの提供にあたる、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、又は、通所リハビリテーションもしくは、これに類するサービスに1年以上経験を有する看護師がサービス提供日ごとに常勤換算で0.1以上確保されていること、などの人的な要件があります。これらの要件がデイサービス(通所介護)にはありません。

単純に比較すると、リハビリがちゃんとできて、日常生活の能力の低下を抑制できるデイケア(通所リハ)の方が良いとなり、デイケア(通所リハ)に対するニーズの方が高くなってきます。そうなるとデイサービス(通所介護)はどうするか?ウチではリハビリもちゃんとやっています。とアピールを始めたわけです。特段デイサービス(通所介護)でリハビリを行なってはいけないわけではありませんので問題はありません。
ただそのリハビリの程度というのは、それを専門サービスとして行なってきたデイケア(通所リハ)とデイサービス(通所介護)が同等とは言い難い部分が大きいと思います。

ただ、そのデイケア(通所リハ)がデイサービス(通所介護)との連携強化に取り組むとなれば、大きく各事業の方向性が変わってくるというか機能を分化していくことになるのではないかと考えられます。






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医療保険制度改正に向けて 兵庫県医師会

兵庫県医師会は7月3日 、報道関係者との懇談会を開き、当面の課題などについて兵庫県医の見解を明らかにしました。
川島龍一会長は、 6月 24日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2014」(骨太の方針)で示された社会保障改革について、来年度の医療保険制度改正に向けて都道府県による医療費の水準や医療の提供に関する目標が設定され、医療費適正化計画の見直しを検討するといった内容は「地域の年間医療費を予算化し、上限を決めるという方向ではないでしょうか。年間医療費を予算化することはできません。管理医療を強化する動きであり、これが基本方針に書き込まれたことは非常に問題が大きいです」と厳しく批判しました。








また薬価改定を年1回とするニュアンスが示された内容についても「医療機関は実質的に薬剤のストックが困難になります。適正な医療提供を維持することができなくなります」 と問題視しました。
その上で「こうした内容が基本方針に示されると、必ず具体的に政策として出てきます。今後、非常にたくさんの問題が出てくるでしょう」との懸念を示しました。
同日の懇談会では、6月28日の 日本医師会代議員会で同県医の代議員が個人質問で取り上げた「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)問題や医療・介護サービス提供体制のための新たな財政支援制度 (新基金)に対する事業提案などに関する説明もありました。

サ高住については、兵庫県医の豊田俊常任理事が現状での実態や診療報酬での対応状況などを示した上で、入居前の施設と医師会の十分な協議と取り決め、当面は透明性確保のための第三者機関設置などの仕組みを設けて関係者間で情報を共有する、高齢者住まい法の改正、運用の見直しを日医から国土交通省に働き掛ける、必要な在宅医療の内容にふさわしい診療報酬の見直し、などの必要性を指摘しました。
新基金の事業については、兵庫県医がすでに兵庫県に提案した内容を説明しました。連携強化のための電子認証基盤整備事業などを盛り込んでいます。川島会長は、医療情報は究極の個人情報であるとし、電子認証基盤の重要性を強調しました。兵庫県医の提案事業規模は、兵庫県の基金規模が約40億円、そのうち兵庫県医担当分として約10億円規模で取りまとめたことも明らかにしました。

国の方針と医療の現場における乖離がこれから多く顕在化してくると思われます。医療費の適正化といっても、何をもって適正というのか、地域の特性を考慮するのか、全国統一で判断しなければ不公平性が高まるなど、一筋縄にはいきません。しかしこれから整備していくにおいて、患者目線を忘れずに進めていくことだけは忘れないようにしてもらいたいです。誰のための医療なのか、誰のための介護なのか、そこを見失ってしまうと大きな過ちへと進みかねません。






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7対1は病棟転換を模索 アンケート分析より

福祉医療機構は6月23日、「2014年度診療報酬改定等の影響に関するアンケー ト」の分析結果を公表しました。回答病院の中で7対1入院基本料を算定している42病棟のうち16病棟が変更を検討 していました。

調査は、一般病床か療養病床を持つ病院で同機構の事業報告システムによる申請を行っている貸付先1380病院 (990法人)を対象に、5月12~23日に実施し、201病院(172法人)から回答を得ました。改定の影響と各病院の病棟転換の方向性を聞きました。






病棟の変更を検討している割合が最も高かったのは7対1入院基本料でした。回答42病棟のうち 「現状を維持」としたのは23病棟、 「病棟の一部変更」が10病棟、「病棟全体の変更」が6病棟、「その他」が3病棟でした。変更先として検討している病棟を複数回答で聞いたところ、「地域包括ケア病棟」が16病棟で最も多く、10対1入院基本料の6病棟が続きました。

現状の病棟構成を維持した場合の診療報酬改定や消費増税による収入への影響を聞いたところ、「若干の収入増」または「ほぼ前年度を維持する」と回答した病院は59%でした。一方で支出への影響では、消費増税などの影響から「大幅な費用増となる」と「若干の費用増となる」を合わせると93%に上りました。利益への影響を聞いたところ、「若干の利益減」と「大幅な利益減」を合わせて73%を占めました。

7対1病床は、今まさに方向性について岐路に立たされているというか、病院経営について将来を真剣に考えるときが到来しました。こらから病床機能の分化ということで、どこも決して楽ではありませんが、どこでそれぞれの病院の存在価値を地域の住民に向けて貢献していくか決めることになります。急性期が過剰な現状が、しっかりと国が目指している体制に変わっていくのか、各病院長は手腕を問われると思います。







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2014年7月16日水曜日

区分支給限度基準額 ケアマネジメント 社会保障審議会 介護給付費分科会

厚生労働省は6月25日に、社会保障審議会の「介護給付費分科会」を開催しました。この日も平成27年度の介護報酬改定に向けた議論を行いました。テーマは、(1)区分支給限度基準額(2)ケアマネジメントの2点です。

 介護サービスの中には、生活支援など「あれば便利」なものが多く、利用に歯止めがかかりにくい状況です。また、同じ要介護度であっても利用者の心身状況はさまざまであります。
 こうしたことを受け、介護保険制度では、居宅の利用者が1ヵ月に利用できる公的介護サービスの上限額が要介護度別に定められています。
 ちなみに、上限額を超えるサービスを利用者が欲する場合には、「上限額までは介護保険を利用し、超過部分は全額自己負担」という混合介護が認められています。

 区分支給限度基準額は、平成26年度の消費増税に伴う介護報酬改定では引上げられましたが、他の改定時には見直されていません。
 しかし、介護報酬(サービスの価格)は見直されており、区分支給限度基準額の中で利用できるサービス量も変化してきています。

 この点、厚生労働省の調査からは、次のような状況が明らかになりました。
(i)受給者1人あたりの平均費用額(実際に利用した額)が限度基準額に占める割合は、要介護5でもっとも高く65.1%ですが、要支援1・2を除き、趨勢的に増加傾向にあります
(ii)限度基準額を超えて利用している人の割合は、要介護5でもっとも多く5.9%ですが、要支援1・2を除き、趨勢的に増加傾向にあります
(iii)新たなサービスである「定期巡回・随時対応」「複合型」「小規模多機能型居宅介護」は包括報酬でありますが、これらの基本サービス費(介護報酬)と限度基準額との差は小さい(新サービスを利用すると、それだけで限度基準額いっぱいになってしまう)
(iii)のうち「定期巡回・随時対応サービス」の状況を少し詳しく見てみますと、「定期巡回・随時対応の利用者は、福祉用具貸与、通所介護の利用が多いですが、要介護4・5の通所介護利用は、平均的なサービス利用よりも少ない」「定期巡回・随時対応と福祉用具貸与、通所介護を組み合わせると、要介護2~5では合算額が限度基準額を超過してしまう」ことなどがわかります。

 また「複合型サービス」については、福祉用具貸与を併用する利用者が多いですが、「複合型と福祉用具貸与を組み合わせると、要介護2~4では合算額が限度基準額上限にほぼ相当する」状況であります。

 さらに、「小規模多機能型居宅介護」では、福祉用具貸与や医療系サービス(訪問看護や居宅療養管理指導)を組み合わせると、合算額が要介護2~4では限度基準額を超過する状況にあります。

 こうした点を踏まえ、今後、区分支給限度基準額を見直すべきか否かなどを議論していくことになります。
 この点、厚労省老健局の迫井老人保健課長は「定期巡回・随時対応などについて、財源確保を前提として、独自の限度基準額設定はありうるか」「限度基準額に含まれない加算(P6参照)を拡大していくことで、限度基準額の引上げと同じ効果があるが、これをどう考えるか」という2つの視点に立った議論も要望しています。

 これらについて、阿部委員(日本経団連常務理事)や本多委員(健保連理事)は、「定期巡回・随時対応サービス等の普及は重要な課題ですが、ケアマネジメントの質の向上や、サービスの周知徹底が不十分ではないかとまず感じています。独自の限度基準額設定がサービスの普及につながるかは疑問である」と述べられています。
 また小林委員(全国健康保険協会理事長)は、「独自の限度基準額設定や加算の活用を議論するにあたって、財政影響に関する資料を提示してほしい」と要望しています。

 一方、内田委員(日本介護福祉士会副会長)は、「限度基準額を超過している人については、まずケアプランの見直しが必要であります。また限度基準額引上げよりも、加算の活用といった手法が好ましいのではないでしょうか」との見解を述べられています。

 また村上委員(老施協副会長)は、「限度基準額は、標準的なサービス提供内容をベースに設定されています。最新の『要介護者の状態像』『標準的なサービス提供内容』を勘案して、限度基準額の見直しを検討すべきではないでしょうか」と提案しています。

 さらに武久委員(日本慢性期医療協会会長)からは、「複合型や定期巡回・随時対応の理念は素晴らしいものであり、広めるべきです。しかし、単位数から判断すると複合型は人件費も出ないシステムだと思います。サービスが普及しないのは、報酬体系などにも問題があると思います。単純に限度基準額を引き上げたり、独自設定をすることには慎重であるべきではないでしょうか」との意見が寄せられました。







 (2)のケアマネジメントは『介護保険制度の要』ともいえる仕組みですが、「利用者の言いなりになっている」「経営母体のサービスに偏っている」「ケアプランの水準にばらつきがある」などの指摘もあります。
 そのため、厚生労働省は平成27年度改定に向けて次のような点を議論してはどうかと提案しています。
●公正・中立性を確保するために、特定事業所集中減算や、独立型と併設型(グループの傘下にある事業所を含む)のあり方をどう考えるべきか
●ケアマネジメントの質の向上を目指した評価(特定事業所加算など)をどう考えるべきか
●ケアプランに「退院直後のリハビリ」など、保健・医療・福祉サービスの一体的提供に必要なものが十分に組込まれていない点を踏まえ、自立支援に資するケアマネジメントの実践や、多職種連携の強化、地域ケア会議、在宅医療介護連携推進事業の活用をどう推進するべきか
●ケアマネジメントの適正化を進めるため、「福祉用具貸与のみのケアマネジメント」「同一建物居住者へのケアマネジメント」をどう考えるか
●新たな地域支援事業の導入・実施に伴い、介護予防給付の利用者が総合事業(地域支援事業の1つ)を利用するようになるが、そうした点への対応をどう考えるか

 この点、鷲見委員(日本介護支援専門員協会会長)からは、「ケアマネジメントは専門職である介護支援専門員が行うべきであります」「居宅介護支援事業所の約9割が併設事業所であることを踏まえたうえで、公正中立を保てる仕組みを構築する必要があります」といった意見が提出されました。

 一方、齊藤秀樹委員(全国老人クラブ連合会常務理事)は、「ケアマネには公正中立が求められますが、圧倒的に併設事業所が多い状況です。1人事業所の開設に賛成するものではありませんが、独立型に誘導していく施策が重要であると考えられます。おざなりなプランを排除するために、第三者機関によるプラン点検の仕組みも検討していくべきではないでしょうか」とのコメントを寄せています。

 また、齋藤訓子委員(日看協常任理事)は、「多職種連携を目指しているが、すべての市町村できちんと体制ができるまでにはタイムラグがあります。とくに医療ニーズの高い利用者に対応するために、医師との連携が重要だが、連携がとりづらいというのも実態です。さまざまな職種が協力して連携を支援する仕組みが必要ではないでしょうか」と提案しています。


これから地域包括ケアを構築していくにあたり居宅介護は重要な役割を担っていくことは間違いありません。国の方針としては、複合型サービスや定期巡回・随時対応サービスの推進に意識が傾いておりますが、普及しないのには普及しないなりの理由があるはずです。その大元となる要因をしっかりと把握しなければ、小手先だけでの改善ではおそらく不可能でしょう。看護師も介護福祉士も利用者のお住まいに入り込んで、日々頑張っておられます。ただその現場と方針にズレが生じているのではないでしょうか。居宅での生活における不自由さ不便さを解消し少しでも快適に過ごせるように、介護サービスを利用されているわけで、確かに言い出せば切りがありません。その中で、限度基準額があるわけですが、しかし定期巡回・随時対応サービスや複合型サービスを利用しつつ、福祉用具貸与を組み合わせると上限を超過する制度自体に問題があるのではないでしょうか。区分変更もサービスの利用量が増加してきて上限に達した、また自己負担額が膨張してきたなどの状況に対して、介護度を見直して枠を広げようという動きをとっているのが現状です。多く使いたいから介護度を見直す。しかし包括契約のサービスなら利用者にとっては介護区分を見直す必要性はないのです。このあたりから歪みが生じてきているのではないでしょうか。今後、包括契約が浸透してくることは予想されます。そうなるとケアプランはどうなっていくのでしょうか。ケアマネに求められるニーズとはどのように変貌していくんでしょうか。理想の社会保障ならび地域包括ケアの実現には、問題が山積みです。






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健康・医療戦略参与会合 について

 政府は7月10日に、「健康・医療戦略参与会合」を開催しました。

 本会合は、「健康・医療に関する成長戦略および医療分野の研究開発に関する施策に係る重要事項の調査・検討を行う」ことを目的に設置されたもので、菅健康・医療戦略担当大臣(官房長官)を座長に据え、医療・医学・医薬品・医療機器の専門家で構成されています。






 この日は、今後の我が国の健康・医療関連予算を効果的・効率的に配分するための『健康・医療戦略(案)』や『医療分野研究開発推進計画(案)』について、政府から報告を受けました。

 『健康・医療戦略』は、健康・医療に係る(1)研究開発の推進(2)研究開発の環境整備(3)研究開発の公正かつ適正な実施の確保(4)研究開発成果の実用化のための審査体制の整備等(5)新産業の創出および海外展開の促進(6)教育の振興等(7)人材の確保等―について、基本的政策の方向性を定めています。

 具体的には、「今後10年程度を視野に入れた平成26年度からの5年間」を対象として、次の4本柱を進めることを目指しています。
(i)世界最高水準の医療提供に資する医療分野の研究開発等
(ii)健康・医療に関する新産業創出および国際展開の促進等
(iii)健康・医療に関する先端的研究開発および新産業創出に関する教育の振興・人材の確保等
(iv)世界最先端の医療の実現のための医療・介護・健康に関するデジタル化・ICT化


 このうち(i)では、「日本医療研究開発機構に、国が行う研究の費用等の配分機能等を集約する」「プログラムディレクターのマネジメントの下で、知的財産管理等の研究支援等も含めた、基礎から実用化までの切れ目のない研究支援」「PMDA(医薬品医療機器総合機構)の体制強化、大学等とPMDAとの連携強化によるレギュラトリーサイエンス等の推進」などを行う方針が示されています。
 政府は、2020年(平成32年)頃までに「画期的創薬ターゲットを10件同定する」「5種類以上の革新的医療機器を実用化する」「革新的ながん治療薬の創出に向けた10種類以上の治験への導出」などを達成するとしています。

 また(ii)では、次世代ヘルスケア産業協議会において「現行法規のグレーゾーン解消」「保険者や企業等による健康増進・疾病予防に資する公的保険外サービスの購入・利用促進」「製品・サービスの品質評価の仕組み構築」などを推進し、健康長寿社会の形成に資する産業活動を創出することなどを打出しています。
 ここでは、次のような具体的数値目標(2020年・平成32年頃)も設定しています。
●健康増進・予防、生活支援関連産業の市場規模を4兆円から10兆円に拡大する
●健康・医療分野における官民ファンドと民間からの協調出資がなされた件数の比率を100%にする
●海外における日本の医療拠点を10ヵ所程度創設する
●日本の医療技術・サービスが獲得する海外市場規模を5兆円に拡大する(2030年・平成42年頃)



確かに日本は世界に先立って超高齢化社会に突入して行っておりますので、そこからの医療の役割を上手に世界に発信できれば、成長戦略の大きな柱となりうると思います。ただ、日本はどうしても革新的ではないというか、安全に対する担保を強く求める傾向が他国よりあります。臨床ではどうなのか、文献ではどうなのか、学会での認知や見解はどうなのか、エヴィデンスはどうなのか。確かに人の命に関わる重要なことですので疎かにはできませんが、もっと新たな医薬等に対する門戸の開放がなければ実現は遠い未来だと感じているのは私だけは無いと思います。






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2014年7月15日火曜日

疑義解釈資料の送付(その8)について 厚生労働省

厚生労働省は7月10日に、疑義解釈資料の送付(その8)について事務連絡を行いました。


 今回は、「入院基本料等」「入院基本料等加算」「短期滞在手術等基本料」「地域包括診療料等」「暦月で3ヵ月を超えない期間の1割以内の一時的な変動」「DPC」「療養担当規則関係」などについてQ&Aを掲載しています。

 まず「入院基本料等」について見てみますと、平成26年度改定では【特定集中治療室管理料】について、『重症度、医療・看護必要度』の見直しが行われました。
 具体的には、これまで「特定集中治療室用の『重症度、医療・看護必要度』で評価し、A項目3点以上またはB項目3点以上である患者が9割以上」などとなっていたところが、「A項目3点以上かつB項目3点以上である患者が8割以上」などという具合に見直されました。
 ここで、当該病室(ICU)において、【特定集中治療室管理料】ではなく【7対1入院基本料】を算定する場合には、『重症度、医療・看護必要度』について、特定集中治療室用・一般病棟用のいずれを用いて評価を行えばよいかが気になります。





 この点について、厚生労働省は「特定集中治療室に入院する患者については、特定集中治療室用の『重症度、医療・看護必要度』で評価を行い、また該当患者割合の計算式に含めなければならない」ことを確認しています。

 また、一般病棟用の『重症度、医療・看護必要度』における「抗血栓塞栓薬の持続点滴の使用」には、ワンショットで行うような静脈内注射は含めず、点滴を行うことが必要である点が明確にされました。
地域包括診療料
 なお、短期滞在手術等基本料を算定する患者については、7対1入院基本料の『重症度、医療・看護必要度』の該当患者計算に含めないことも確認されています。


 次に、新設された【地域包括診療料】【地域包括診療加算】を算定するためには、「慢性疾患の指導に係る適切な研修を修了した医師の配置」が必要となります。
 この研修について厚生労働省は、「高血圧症、糖尿病、脂質異常症および認知症を含む複数の慢性疾患の指導に係る研修」であり、具体的には「服薬管理、健康相談、介護保険、禁煙指導、在宅医療等の主治医機能に関する内容が適切に含まれ、継続的に2年間で通算20時間以上の研修」であることを明らかにしています。
 「継続的に」とは2年毎に、上記内容の研修を20時間以上受けることを意味します。
 なお、e-ラーニングによる研修の受講は原則として認められません(ただし、日本医師会生涯教育制度に係る研修においては、認知能障害・高血圧症・脂質異常症・糖尿病以外の項目についてはe-ラーニングによる受講でも可としています)。


 さらに平成26年度改定では、『療養担当規則』等において「経済上の利益を提供することなどによって、患者が自己の保険医療機関で診療を受けるように誘引してはならない」旨が明確にされました。
 ここでは、(1)保険医療機関等が、事業者等に対して患者紹介の対価として経済上の利益の提供を行うこと、(2)(1)によって患者が自己の保険医療機関等で診療等を受けるよう誘引すること―のいずれにも該当する場合は「禁止行為」と判断されます。

 (1)については、「患者紹介の対価」として「経済上の利益」が提供されているか否かが重要です。
 「患者紹介」には、保険医療機関等に患者の情報を伝え、患者への接触の機会を与えることや、患者の申出に応じて保険医療機関等と患者を引合わせることなども含まれます。
 「経済上の利益」は、金銭、物品、便益、労務、饗応等をさし、商品・労務を通常よりも安く購入できる利益も含まれます。

 また、「訪問診療の広報業務」「施設との連絡・調整業務」などの委託料に「経済上の利益」が上乗せされる場合なども考えられ、実質的に判断されます。
 この点、厚生労働省は「集合住宅・施設に入る保険医療機関等を決定・制限することができる者が、保険医療機関等に対して診療等に必ずしも必要ではない業務委託・貸借を条件として求めている」場合は、「患者紹介の対価として委託料・貸借料が支払われている蓋然性が高いと考えられる」と説明しています。

 さらに、(1)の「患者紹介」を受けて当該患者の診療等を行っている場合には、「基本的に(2)に該当する」と判断されます。

集合住宅等に入居する患者を紹介してもらい、患者紹介料を支払って訪問診療などを行っているような不適切事例をなくすための基準が明確化されました。また、集合住宅の入居要件として、併設診療所による訪間診療を受けることを入居者に求め、一律に訪問診療を行うことは 「あってはならない」としました。
サ高住が全国的に補助金のおかげで建設が続いておりますが、高齢者の生活の場所を維持することが重要ではありますが、その流れに便乗し悪用した一部の悪徳業者の影響で、まじめに訪問診療を行なってきた診療所等に大きな影響を及ぼしたことも事実です。確かに制度化しルールで締めることも効果があり必要かもしれませんが、医療人が心を失ってしまっていることに対する対策を講じることが重要かと感じます。






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小規模多機能型居宅介護について

平成25年12月の厚生労働省 社会保障審議会 介護保険部会での意見をまとめると、平成25年8月現在、小規模多機能型居宅介護の利用者は約75,000人ですが、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、在宅生活の限界点を高めるため、今後もサービスの更なる普及促進を図っていく必要があります。

登録された利用者に対して「通い」を中心に「訪問」や「泊り」を提供するサービスとしての役割を担ってきましたが、実態は「訪問」の提供量が少なく、「通い」に偏ったサービスとなっている事業所が多い状況です。

重度の要介護者、単身や夫婦のみの高齢者世帯、認知症の高齢者が増加していくことを踏まえると、「訪問」を強化する必要性が高く、更に今後は、地域包括ケアシステムを担う中核的なサービス拠点の一つとして、地域に対する役割の拡大が求められています。







具体的には、事業者の参入を促すとともに、地域住民に対する支援を柔軟に行うことが可能になるよう、小規模多機能型居宅介護事業所の役割を見直す必要があります。①これまでのように「通い」を中心としたサービス提供に加え、在宅での生活全般を支援していく観点から、「訪問」の機能を強化する方策 ②登録された利用者だけでなく、地域住民に対する支援を積極的に行うことができるよう、従事者の兼務要件の緩和等③看護職員の効率的な活用の観点から、人員配置について、他事業所との連携等の方策④事業所に配置されている介護支援専門員による要介護認定申請の手続が進むよう周知徹底⑤基準該当短期入所生活介護事業所(指定短期入所生活介護の人員基準等の要件の一部を満たしていない事業所)が併設できる事業所等への小規模多機能型居宅介護事業所の追加と、専用の居室が必要とされている設備基準の緩和。


利用者の概況として (平成25年度老人保健健康増進等事業「運営推進会議等を活用した小規模多機能型居宅介護の質の向上に関する調査研究事業」より)
平均要介護度は2.56です。認知症高齢者の日常生活自立度は、「Ⅱ」以上の者が78.5%です。要介護度・日常生活自立度ともに、開設年度に比例して、重度者の比重が高まる傾向にあります。利用経路は、「居宅介護支援事業所」(39.5%)及び「地域包括支援センター」(16.1%)に過半数を占める。また、「病院」(14.0%)からが増加傾向にあります。利用者の世帯構成は、高齢者のみ世帯(「独居(近居家族なし)」+「独居(近居家族あり)」が増加傾向にあり、一方で「子供世帯と同居」が減少傾向にあります。利用タイプ別にみると、「通い+訪問」は増加傾向にあり、一方で「通い+泊まり」は減少傾向にあります。

事業所の概況として (平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成25年度調査)より)
全体の15.8%の事業所は同一建物内にサ高住等を併設しています。1事業所あたりの職員数は、平均11.2人(常勤換算数)で併設施設がある事業所は職員数も若干多い傾向です。1事業所当たりの平均受給者数は18.4人で平成22年の18.2人からほぼ横ばい状態で推移しています。開設年度別にみると、開設3年目以降(2011年以前に開設)は利用登録者数、1日あたり利用者数とも横ばいであるが、開設初年度(2013年度)は厳しい状況がみられます。1日あたりの訪問回数は、「1回~2回」が最も多く、「4回未満」が約半数である状況からも「訪問」が少ない実態が鮮明です。「登録定員」「通い定員」は、基準で定める上限数に設定している事業所が約8割を占めており、「登録者数/定員」(=充足率)は、「70~80%以下」(20.5%)で最多であり、平均は75.5%です。

地域展開の状況として (平成25年度老人保健健康増進等事業「運営推進会議等を活用した小規模多機能型居宅介護の質の向上に関する調査研究事業」より)
小規模多機能型居宅介護の本来業務以外の事業(地域交流拠点など)について、同一敷地内又は同一市町村において実施している事業所は32.9%でその他の事業内容は、配食(11.1%)や障害者支援サービス(9.7%)が多い状況です。事業所と地域とのかかわりについては、サ高住等と併設している事業所と併設なしの事業所では、全体の傾向はほぼ同様であるが、「町内会、自治会の会員となり、会の役割を担っている」と「地域住民向けに介護相談や介護研修などを行っている」の項目において、併設なしの事業所の方が実施割合がやや高い状況です。関わりのある支援者について、戸建ての利用者では「隣近所」が28.6%でサ高住等の9.7%に比べて高く、また、戸建て・集合住宅では「民生委員」が約1割の状況でした。

運営推進会議の状況として (平成25年度老人保健健康増進等事業「運営推進会議等を活用した小規模多機能型居宅介護の質の向上に関する調査研究事業」より)
運営推進会議の開催状況としてサービス・制度内容の説明、利用状況等の報告が96.9%と一番高く、「事業所のサービス評価に関すること」について開催されたのは58.1%で登録者のケース以外の地域課題に対する取組について開催されたのは25.8%に過ぎませんでした。

看取りの状況として (平成25年度老人保健健康増進等事業「運営推進会議等を活用した小規模多機能型居宅介護の質の向上に関する調査研究事業」より)
安定期から死亡まで通じて事業所が関わったケースは29.3%であり、安定期から一定の時期(終末期、臨死期の前)まで事業所が関わったケースを含めると73.5%でありました。ただ全て又はほとんどの職員に看取りの知識があるとする事業所は36.7%にすぎない状況です。

医療職のあり方として (平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成25年度調査)より)
一日の業務時間に占める、看護職員が実施する必要性区分別の割合についてみると、小規模多機能型居宅介護では一日の業務時間の60%以上が「看護職員による判断や実施が求められる業務(バイタル確認、看護記録等) 」を行っている割合は約4割でした。小規模多機能型居宅介護では「看護職員による介入の必要性はないが、結果的に看護職員が実施した業務」にかかる時間が40%を超えていたのは2割強でした。また、各行為における必要性区分別に見ると、小規模多機能型居宅介護では、「居室・リビングでの見守り」「食事」「排泄ケア」「集団レクリエーション」などで「看護職員による介入の必要性はない」業務が多くなっている状況です。

医療ニーズの状況について (平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成25年度調査)より)
利用者が有する傷病は、認知症(59.7%)が一番多く、次いで高血圧が(42.4%)、脳卒中が(22.7%)となっています。また利用者の医療ニーズとしましては、服薬管理(56.7%)リハビリ(6.8%)摘便(4.2%)と服薬管理が非常に高い状況です。

集合住宅におけるサービス提供状況として (平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成25年度調査)より)
利用者1人あたり、平均的なサービス提供回数は、1カ月(平成25年11月)で、通いは平均は17.0回、訪問は10.5回、宿泊は7.3回でした。住居が有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、旧高齢者専用賃貸住宅では、「訪問」の提供回数52.0回・36.5回・50.2回と多く、「宿泊」の提供回数は1.0回・0.8回・0.8回と少なく、戸建とは大きく異なる傾向がみられました。戸建(訪問回数:6.3回、宿泊回数:7.7回)送迎実施は、戸建ての利用者では84.3%にのぼったが、サ高住等では43.6%と低い状況でご自身で通われてくる方が半数以上です。調査期間の1週間における「通い」の有無は、いずれも80%以上の実施率でした。同じく1週間における「訪問」は、戸建ての利用者では35.2%の実施率だが、サ高住等では85.3%と大きく差がみられました。一方、宿泊については、サ高住等の利用者は5.1%と実施率が低い状況でした。調査期間の1週間におけるサービスの提供時間は、戸建ての利用者で3,674分(61.2時間)、サ高住等で2,330分(38.8時間)で大きく差がついています。サービス別に見ますと、通いは戸建て:2,016分、サ高住等:1461分、訪問は戸建て:110分、サ高住:623分、宿泊は戸建て:1549分、サ高住:246分とそれぞれの生活環境により提供しているサービスのニーズも異なっていると見られます。

今後、在宅において、重度の要介護者、認知症高齢者が増加が見込まれ、従来の「通い」を中心としたサービス提供に加え、在宅での生活全般を支援していく観点から、「訪問」の機能を強化する方策をどうするか、例えば25名の登録定員の弾力化であったり、人員配置の見直し等が課題と挙げられます。もちろんその先には在宅での看取りをどのように進めていくのかという体制づくりも挙げられます。また、医療ニーズに対応できるように複合型サービスへの転換も進んでいかなければ、地域包括ケアシステムを担う中核的なサービス拠点として担っていくことは厳しくなっていくでしょう。







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