2015年3月31日火曜日

外国人医師診療拡大にストップ

自由民主党の政調全体会議・日本経済再生本部合同会議は3月27日、「国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案」を審査しましたが、特区内で臨床修練を実施できる診療所を拡大することを懸念する声や反対意見が相次ぎました。同法案については、あらためて議論する方針です。






3月26日の党厚生労働部会でも、臨床修練を実施できる診療所を拡大することを懸念する声が相次いでいました。3月27日の合同会議では、武見敬三参院議員が「必要な規制緩和は行うべき」との考えを強調する一方で「臨床修練をしている外国人医師の指示で看護師や薬剤師が何らかの医療過誤をした場合の整理ができていないまま、地域医療の根幹に関わるような規制緩和を進めることは、医師の在り方そのものを揺るがすことになる。絶対に反対です。やってよいことと悪いことは、しっかりとわきまえるべきです」と口火を切りました。田村憲久前厚生労働相も、臨床修練を実施できる診療所を拡大する条件として「適切な指導医が確保されていること」が挙げられている点を踏まえ「指導医としての資格要件のようなものを厳格に設けなければ、事故が起きるだろう」と警告されました。羽生田俊参院議員は「政府は特区を『実験場だ』と言っているが、命を対象に実験をしても構わないのか。 これは事故が起きては絶対にいけない話だ。命に関わることは、ある程度 の規制が必要だ」と訴えられました。
こうした声に対し、厚生労働省医政局医事課は「臨床修練中に事故が起きた場合は、刑法や民法が適用される。チーム医療によって事故が起きた場合には、指導監督者の過失と主治医の過失が認定されたことがある」「今の仕組みでは、指導医はそれぞれの医療機関が選任することになっている。指導医は一定の能力、経験のある方にしなければならないと考 えている。(特区での取り組みの)指導監督体制については、厚生労働省でもしっかりとチェックしていきたい」などと説明されました。合同会議では「外国人であろうが日本人であろうが、志のある医師が交流することは、良い部分の方が多いと思う」といった肯定的な意見も一部から出ました。

今回の特区の問題は、外国人医師であるからではありません。反対派の根底には医師を増やすことへの既得権の喪失を恐れているのです。全国的に医師が不足していることは、誰もが認識している事実です。しかし、需要と供給のバランスが崩れることを恐れているのです。そのひとつに定年が無いことが考えられます。医師に定年はありません。よってこれから高齢化が進んで行ったとしても、その分、高齢者の医師も増えることになるのです。だから、むやみに医師を増やすことで自分たちの取り分が減ることを恐れているのです。でもそのような考えの医師とは、そこまでの医師です。競争社会で生き残る自信のない医師は、本当に地域医療の為に貢献している医師なのでしょうか。








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2015年3月30日月曜日

85万人 がん罹患数

国立がん研究センターは3月26日、医療機関が任意で参加している「地域がん登録」の2011年分データを分析して罹患数や罹患率の推計値などをまとめました。「全国がん罹患モニタリング集計2011」(MC I J2011)を医療関係者向けにホームページで公開しました。






がん罹患数は、MC I J2010と比較して4万8905人増の85万1537人でした。男女の内訳は、男性が49万6304人(2万9802人増)、女性が35万5233人(1万9103人増)でした。MC I J2010と比べてがん曜患数が約5万人増えたことについて、国立がん研がん対策情報センターがん統計研究部地域がん登録室の松田智大室長は「データの精度が上がったためとみている。これまで把握漏れしていた患者が大部分を占めている。がんのリスクが急増 したわけではないと解釈している」と述べられました。MC I J2011では、地域がん登録のデータ精度を測るための指標となる「DCO」「DCN」「IM比」の3指標で設定した国際基準を全て満たす14県のデータから罹患数と罹患率を推計しました。部位別の推計罹患数の上位5位は、男性が胃(9万83人)、前立腺(7万8728人)、肺(7万5433人)、大腸(7万2101人)、肝(2万9192人)の順、女性が乳房(7万2472人)、大腸(5万2820人)、胃(4万1950人)、肺(3万6425人)、子宮(2万6741人)の順でした。人口10万対の年齢調整罹患率は、男性が449.0人、女性が305.5人でした。
がんの罹患と死亡を都道府県別に全国と比較できるように色分けした地図も公開しました。DCOかDCNの基準を満たし、IM比を満たした39県のデータを分析し、全国の推計値を100として、各都道府県が「120以上」「100~120未満」「80~100未満」「80未満」「比較不可または地域がん登録データ未提出」と判別できるように示しました。地図は男女別で、全部位のほか、胃、大腸、肝、肺、乳房・子宮 (女)、前立腺 (男)の部位別に分けて示しました。ただし、都道府県別の実数は公表されませんでした。その理由について松田室長は「地域がん登録のデータ未提出の県があるなど精度に都道府県格差があるため、ランキング化するようなことは現時点では不適切」と説明されました。国立がん研の堀田知光理事長も「まだ不完全なデータだが、(2016年1月の罹患分から始まる)全国がん登録に向けて(都道府県による)差がないものにしていくため、こういうことができるということを示しておきたかった」と強調され、「各都道府県に見ていただき、精度を上げるための 努力を促す意識付けをするためあえてこの段階で出すことにした」と狙いを説明されました。国立がん研究センターは今後、医療関係者向けの集計表を4月上旬に、一般向けの「最新がん統計」を4月中旬に、ホームページ上で公開する予定です。

最近特にがんに関連するニュースが市民レベルで多くなってきているように感じます。医療業界においては改めて注目するような内容でなくても、一般市民においては目新しいニュースというものも多く、それだけ市民へ向けた発信が増えてきているように感じます。それは、がん検診の低迷などの実状を踏まえ、政府としても本腰を入れ始めた表れではないかと感じております。今回のデータの公開も罹患状況や死亡状況を都道府県別で可視化したところで本当は一人ひとりの市民の生活はあまり大きく変わることはないと思います。しかし、がんに対する意識が変われば、そこからの行動の変化が期待できるところがあります。実際、どれだけ多くの医療機関が市民講座などを開催しても、関心を持って出向いてくる方はごくごく一部の方に過ぎません。それでも草の根運動的に継続されている医療機関も多くあると思います。一人ひとりの意識を変えるきっかけとして、情報が発信されているのは、良いと思います。後はそこを広げる支援活動を行なっていくことが必要なのでしょう。








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2015年3月29日日曜日

都立病院初の高度救命救急センター指定へ

 東京都病院経営本部は、救急医療の機能拡充を図っている都立墨東病院(墨田区)について、来年度にも急性中毒などの特殊疾患に対応可能な「高度救命救急センター」として指定を受けることを決め、3月19日に開かれた都立病院経営委員会に報告しました。都立病院と都保健医療公社の計15施設では初めてで、都内では約20年ぶりの新規指定となる見通しです。






 高度救命救急センターは、救命救急センターの中で特に高度な診療を提供する施設で、急性中毒や広範囲熱傷、四肢切断といった特殊疾患の患者を受け入れます。全国の救命救急センターのうち約30施設が指定されており、都内では日本医科大学付属病院(文京区)と杏林大学医学部付属病院(三鷹市)の2施設が高度救命救急センターとして患者の治療を行っています。
 墨東病院は2014年、新棟を整備し、エックス線透視検査とCT検査を複合した「IVR―CTシステム」を備えた初療室や、通常の気圧より高い圧力環境で体内の酸素濃度を上げる「高気圧酸素治療室」を新設しました。救命救急特定集中治療室を6床から12床に増床するなど、救命救急センターの機能強化を図ってきました。
 都病院経営本部は「墨東病院の高度救命救急センター指定などにより、高齢化に伴う重症患者や合併症患者の増加などにも対応した救急医療提供体制を強化する」としています。

これから地域包括ケアシステムの構築に向けて、各病院の機能分化が進んで行きます、そこで、各病院が地域のどのような医療ニーズに貢献するべく医療機関として存在意義を発揮していくのか、それが生き残りのカギでもあります。もう横並びの医療機関では存在意義を発揮できず生き残っていけません。そのためにはしっかりと地域の医療ニーズと近隣の医療機関のポジショニングを捉えておかなければ、方向性を誤りかねません。








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2015年3月28日土曜日

急性期病床58万床、全体の47.1%で横ばい

厚生労働省は3月18日、「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」(座長=遠藤久夫・学習院大経済学部長)に病床機能報告制度の報告状況の速報値の第3報を示しました。2014年7月1日時点の医療機能として「急性期」と報告された病床数は58万1179床(構成比47.1%)でした。内訳は一般病床が57万8723床、療養病床が2456床でした。厚生労働省が2月12日の同検討会で示した第2報の急性期は53万3078床(構成比47.2%)でした。






 第3報は、3月2日時点でデータの精査が終了した病院6996施設(報告対象施設の 94.5%)と有床診療所5996施設 (報告対象施設の 78.6%)の報告内容を集計しました。対象 となった許可病床数は124万7363床(第2報は113万 9394床)でした。
このほかの医療機能別病床数は、高度急性期が19万1180床(構成比15.5%、療養病床331床含む)、回復期は一般病床が5万9605床、療養病床が5万12床で計10万 9617床(構成比8.9%)、慢性期は一般病床が8万6354床、療養病床が26万5599床で計35万1953床 (構成比 28.5%)でした。将来の医療機能として報告を求めている6年後の予定では、高度急性期が19万9634床(構成比16.1%)、急性期55万2964床 (構成比44.7%)、回復期14万1428床(構成比11.4%)、慢性期34万3864床 (構成比27.8%)でした。
報告内容の確認が必要などの理由でデータの精査が終了していない施設を含む最新の報告状況も提示しました。2月16日時点では、病院7268施設(報告対象の98.2%)と有床診6874施設(報告対象の90.1%)が報告済みでした。

7対1の厳格化は余儀なく行なわれていくと見られる中で、いかに地域の中で急性期を担っていくか、各病院は熾烈な椅子取りゲームが始まります。病床機能報告を踏まえ、地域医療構想が各都道府県でどのように進められていくのか。国が匙を投げたものをどのように都道府県でまとめあげることができるのか。自治体病院が担う地域医療より私立病院が担う地域医療の依存度が高い中で、自治体病院が適正化の最対象となることは予想されます。ただそれだけでは終わらず、いかに2025年に向けた体制を構築できるのか、険しい道のりを歩き始めています。








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2015年3月27日金曜日

北海道は肺がん 日本海側は胃がん

国立がん研究センターは3月26日、地域別のがんの罹患(りかん)状況を初めて公表しました。胃がんは日本海側、肺がんは北海道と西日本で罹患率が高いことが判明しました。塩分の多い食事、喫煙率の高さなどが関係している可能性があるといいます。






 都道府県別の死亡率は厚生労働省の調査で既に分かっていますが、罹患状況が明らかになるのは初めてです。長野県、広島県の両県は罹患に比べて死亡率が低く、検診や治療が効果的に行われているとみられています。反対に青森県などでは罹患に比べ死亡率が高い状況でした。
 がんセンターは、データ登録に参加していない県などを除いた40道府県から、2011年に新たにがんと診断された患者約85万人の情報を集めました。
がんセンターによると、胃がんの可能性を高めるピロリ菌感染と塩分摂取量の多さのうち、感染に地域差があるかは不明ですが、塩分摂取には差があることが分かっています。肺がんは喫煙率と関係があるとみられています。

今回の罹患状況の地域別の公表は、それぞれの地域にとって重たいものでもあると思います。しかしこれまでもがんによる死亡率等からおおよその予想はできていたところもあり、これから予防と治療にどのように取り組んでいくのか、各都道府県の本気度が見えてくると思います。都道府県としてもがんの罹患率を抑えて医療費を抑制したいというのが本音のところでしょうが、建前上は市民の健康促進のために、がん検診の啓発などが精力的に行なわれていくのではないでしょうか。








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2015年3月26日木曜日

不払い残業代 6万円超へ

医労連は3月20日、2014年秋に実施した医療機関職員の退勤時間に関する調査結果を公表しました。不払い残業代は1人当たり平均で「少なく見積もっても月額6万円超え」と試算しました。残業を解消するためには看護師30人の病棟で約4人の増員が必要と指摘しています。






 調査は99施設の加盟組合員1万3459人を対象に実施しました。始業前に時間外労働をし ていないと答えた人は35.7%で 、 6割以上が始業時間前に出勤していました。職種別で始 業時間前の時間外労働をしている人は看護職員が73.6%、 医師が63.7%でした。 始業前時間外労働の請求をしていない人は73.3%、 全額請求している人は10.2%でした。終業時間後の残業がないと答えた人は30.7%でした。 2時間以上の長時間残業は「医師」が21.8%に上り、突出して多い状況でした。終業時間後の残業代を「全額請求している」と答えた人は27.2%で、「一部請求している」は36.7%、「していない」はなんと23.2%でした。

時間外労働、要は残業ですが、これは基本的には上長からの指示のもとで発生するものです。自発的に行なうものではないのが定義です。ですから労動基準監督署が立ち入りしたところは、勤務表の徹底から指導を受けます。この時間外は上長の指示があったのかどうか。但し、いくら勤務表につけると言っても、現実はつじつま合わせの勤務表を作成しているところがほとんどであるから、勤務表をつける方も、それをチェックする方も、意味のない作業が増えたと感じるだけに留まってしまうのです。ただ、医療の現場では、必ずしも9時17時で定刻通りで業務を終了できるとは限りません。患者さまに対する思いをしっかりもっている医療人は、どうしても時間を超えてしまうこともあるし、それを上長の承認を得てまで行なうかというと、善意が先行するからというか、未請求残業代となっている根底でしょう。分かってはいますが、それを正確に規制することが、正しいのかというと私はどうかと感じるところがありますが、ただ請求しやすい環境の徹底は管理者によってしっかり行なうべきだと思います。








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2015年3月25日水曜日

医師の偏在解消に向けて

全国医学部長病院長会議と日本医師会は3月19日、「医師偏在解消策検討合同委員会」の初会合を開き、医師偏在の解消に向けた議論を開始しました。早ければ6月にも提言をまとめる方針です。全国医学部長病院長会議の荒川哲男会長(大阪市立大医学部長)が明らかにしました。






全国医学部長病院長会議と日医が、これまで取り組んできた活動をそれぞれ報告したほか、地域偏在や診療科間偏在の解消策についてフリーディスカッションを行いました。今後も少なくとも月1回のペースで検討を重ねる予定です。また、会見では全国医学部長病院長会議の小川彰顧問(岩手医科大理事長・学長)が、文部科学省の「東北地方における医学部設置に係る構想審査会」が3月13日、東北薬科大の医学部新設に関する検討状況を審議し認可申請を了承したことに言及しました。「自ら出した条件がクリアされていないことを認めながら、申請を並行して進めてもよいことになったことは矛盾がある」などとし、同会議として構想審査会の対応を問題視する声明を出す方針を決めたことも明らかにしました。

また政府の国家戦略特区諮問会議は3月19日、秋田県仙北市など3地域の地方創生特区の指定(国家戦略特区の2次指定)を了承しました。仙北市の事業には「外国人医師の診療所における診察」が盛り込まれています。規制改革事項の「速やかに全国規模で進める事項」として、在宅医療提供体制の確保のため、外来応需体制のない保険医療機関の設置要件の明確化の検討、訪問型病児・保育と併せて行う往診・訪問診療などで、対応できる医療機関の確保が困難な場合、医療機関と患者の住所が16kmを超える場合でも保険給付の対象となることの明確化 を加えることも了承しました。このほか、保険外併用療養や病床規制に関する特例を盛り込んだ東京圏の区域計画の変更も了承しました。

日本は諸外国に比べ医師の数が少ないが病院・病床の数が多いことがよく取り上げられます。そこに医療費が高騰する要因があるとしているのですが、なぜ医師を増やすための方針を明確にし、対策をとらないのか。政府はそうしたいでしょう。反対している勢力があるからです。医師が増えることを良しとしない既得権を守りたいと自己的な考えをもっている者がいるからです。だから何かにつけて医学部の設置などに反対しているのです。本当に地域の健康を守ろうと思えば、それに適した人数を確保すべきなのですが、この現状を打破することはそうとう困難なのでしょう。政府もそこまで張り合うつもりが無いというか本気さが足りないと感じざるを得ません。








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2015年3月24日火曜日

医師数の適合率は全国平均93.6%

厚生労働省は3月20日、医療法第25条に基づき病院を対象に毎年実施している立ち入り 検査の2012年度結果を公表しました。医療法で規定している医師数の標準を満たした病院 の割合「医師数の適合率」は93.6%で、2011年度から1.1ポイント増加しました。 立ち入り検査は、医療法や関連法令で規定している医療従事者数や安全管理体制などを病院が満たしているか調査します。実施主体は、都道府県や保健所を設置している市などです。2012年度は病院全体の94.8%に当たる8124病院で実施しました。






医師数の適合率の東西比較では、近畿以西の西日本が94.8%で、東海以東となる東日本の92.5%を上回りました。地域別では、近畿の97.3%が最も高く、関東の96.6%、東海の95.5%、九州の94.4%などが続きました。最も低いのは北海道・東北の86.1%でした。病院種別では、一般病院が93.2%、精神科病院が96.4%でした。病床規模別では、一般病院の場合は病床規模が大きいほど適合率が高く、「500床以上」が99.2%、最も低い「20~49床」が88.7%でした。精神科病院の医師数の適合率は規模との相関はなく、「20~49床」の100%、「500床以上」の98.4%、「200~299床」の97.5%などが高い状況でした。

配置状況では、医師標準の「150%以上」を配置している病院が36.0%(2011年度調査比1.9ポイント増)で最も多い状況でした。次いで「120~130%未満」の130%、「110~120%未満」の124%、「100~110%未満」の123%が続きました。「100%未満」は64%で最も少ない状況でした。

一方、看護師・准看護師数の適合率は2011年度より0.4ポイント減の99.0%でした。東西比は西日本が99.2%で、東日本の98.8%を 上回りました。

全体で見ると93.6%という適合率ですが、地域や病院規模で見ていくと、医師不足は深刻な病院の問題となっております。とくに臨床研修医制度が導入されたことで、大学医局の力が弱くなり、地方の中小の病院へ医師を斡旋することが厳しさを増してきており、一方都市部の大病院では、自分のところで研修医を確保し始めたことで二極化が始まってきております。これからますますこの二極化は進行するのではと懸念しますが、具体的な対策といわれると、なかなか政府も頭を悩ませるところだと思います。








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2015年3月23日月曜日

医療事故の報告義務、死亡リスク説明なら除外

 10月に始まる「医療事故調査制度」について、厚生労働省の検討会は3月20日、運用指針案を公表しました。患者が亡くなった医療事故で事前に死亡の危険性を説明していたケースを除き、第三者機関へ報告するよう医療機関に求めます。院内調査報告書を遺族に説明する際は「口頭または書面もしくは双方で、遺族が希望する方法で説明するよう努める」とするにとどめました。






 指針案は意見公募を経て4月にも正式決定し、医療機関に周知します。
 医療事故調査制度は2014年6月の医療介護総合推進法の成立で創設が決定されました。診療行為に関わって患者が予期せずに死亡する事故があった場合、新設される第三者機関「医療事故調査・支援センター」への届け出と、院内調査の実施を全国約18万の医療機関に義務付けます。
 指針案では、医師が事前に患者や家族に死亡や死産が予期されると説明、診療録に死亡リスクの記載があった、などのケース以外はセンターへの届け出対象になるとしました。報告期限については事故発生後「遅滞なく」とし、具体的な日数は示しませんでした。
 医療機関が行う院内調査では、再発防止策まで「可能な限り検討することが望ましい」としました。
 遺族への説明方法については「口頭または書面もしくはその双方」と3つの選択肢を挙げ、「適切な方法で行う」として医療機関の判断に委ねました。そのうえで「遺族が希望する方法で説明するよう努めなければならない」としました。
 遺族側は「口頭だけでは理解が困難」として書面での提供を求めていましたが、医療者側の「裁判などの紛争に利用されて医師個人の責任追及につながりかねない」との反対意見を考慮し、努力義務にとどめました。
 塩崎恭久厚労相は3月20日の閣議後の記者会見で、「医療現場での安全の意識が高まって、国民の医療への信頼がさらに高まるようにしてもらいたい」と述べられました。

この10月から医療事故調査制度によって医師は安全意識を高めていかなければなりませんが、ただだれも事故を起こそうとは思っていないはずです。そうでなければこの業界にはいないと思います。しかし100人に感謝されても1人の信頼を得られなければ、それだけで責任追及にまで及びかねないのは、本当に医療にとって正しい方向性なのでしょうか。リスク回避というわけではありませんが、情報をしっかり公開していくことが求められていくのでしょう。








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2015年3月22日日曜日

医師の給与水準は横ばい

 医師にとって転職可能な年齢は20~70歳代 まで、つまり何歳になっても年代に応じた働き口があります。急性期病院からの求人では、経験10年目前後が一番人気です。50歳代での転職は、慢性期病院の求人が多くなります。介護老人保健施設ではベテラン、70歳以上の方が良いこともあります。ただ、一般的には各部門のトップが40歳代後半から50歳代なので、それより年下の年代が好まれます。トップに従ってくれる40歳代が一番理想的と言われ、30歳代後半は自立していて一番稼げるという感覚を持つ医療機関は多いです。






 一般的に、医師の給与水準は経験年数に従って上昇します。診療科目やエリア、病院種別によりバラつきはあるものの、卒後しばらくは一定程度の幅で上昇し、10年目当たりで1000万~1500 万円になります。15年目当たりからは役職を持ち始めることで 1500万~1800万円に至る、というのが一つの目安のようです。
 ただ、大学病院の場合、教授で1000万円代前半、助教では数百万円という場合もある。国立大学病院では経験20年の助教で、当直をしたとしても800万円台半ばです(アルバイトでの収入を除く)。子どもを医学部や私立学校に入れようと思ったときに成り立たないという医師も多いのが現実です。
 2015年の医師の給与水準は、ばらつきがありつつも、例年と横ばいに推移している印象です。しかし、診療科によっては診療報酬改定に左右されるものもあります。2012年度の診療報酬改定では在宅医療の診療報酬が増額されましたが、2014年度の改定では患者紹介で報酬を受け取る事業者が現れたとの指摘があり、大幅に削減されました。特に施設向けの在宅医療に注力していた医療機関では影響が大きく、給与水準も連動して下がっています。眼科でも、以前であれば平均在院日数削減効果が期待され、高額な給与を払って眼科医を集めるということがありましたが、2014年度の診療報酬改定で平均在院日数の計算式が変わり、そういった動きは下火になりました。
 民間病院では実績やスキルによって給与を払う格差の傾向が強まっています。経験12年目でも内視鏡手術で実績があれば15年目相当の給与となりますが、経験20年目でも実績に不安を覚えたら昇給額が抑えられることもあります。
 民間病院では集患計画の中で売りになる診療科を作ろうという動きが強まっており、そこで力を発揮できる医師への評価は高くなってきています。例えば消化器分野で力を入れていくと決めた病院では、内視鏡技術認定医、かつ国際学会で発表していれば法人規定プラス500万円というケースもあります。
 地方では総じて人手が足りておらず、年収2000万~2500万円という高待遇になるケースもあります。ただ、子育てや生活環境の点から都市部を希望する医師は依然として多いのが現実のようです。

これから医師においても実績やスキルによって、また勤める先によって大きく給与が変わってくる格差が広がりつつあります。現に地方の病院では医療体制を維持するために何としても医師を確保しなければならないのですが、地方の病院を希望される方は少ないので需要と供給のバランスによって自然と給与は変わってくるでしょう。そうなると都市部でしっかりと給与を確保するためには実績とスキルが必要になるわけで、病院を転々とするのも明暗が分かるでしょう。








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2015年3月21日土曜日

高齢者住まい事業者団体連合会の設立

高齢者向け住宅に関連する4団体で構成する「高齢者住まい事業者団体連合会」(高住連)は3月18日、東京都内で設立総会を開きました。来賓として出席した厚生労働省老健局の三浦公嗣局長はあいさつで、地域包括ケアシステムの構築に向け、高住連の役割に期待感を示し、「世界で最も高齢化が進むわが国において、新しい住まいの姿を提案していただくことは、世界にとっても重要な示唆がある」と述べられました。






有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など、高齢者の住まいについて三浦局長は、「街づくり」という大きな視点でとらえる必要があると指摘されました。「建築物としての住宅のみならず、それに加えてソフト面、つまり高齢者やその家族、世代を超えた人たちが快適に安心して過ごせる機能を備えていくことが重要だ」と述べられ、地域でのさまざまな活動の中心に高齢者の住まいを位置付けていく必要性を訴えられました。

 設立総会には、同じく来賓として国土交通省住宅局の杉藤崇審議官も出席し、高齢者の住まいについて、「私は若いころからこういうものが必要なのではないかと考えていたが、現場でやるとなると課題があってなかなか進まず、歯がゆい思いをした」と心境を明かされました。さらに、厚生労働省と共に整備を進めるサ高住の数が増えている現状に触れ、「ここまで来ることができたのは感慨深い」と述べられ、高住連に対しては、事業者をけん引していく役割を期待するとしました。

 高齢者住まい事業者団体連合会は、「全国有料老人ホーム協会」と「全国特定施設事業者協議会」、「サービス付き高齢者向け住宅協会」、「高齢者住宅推進機構」が協力して立ち上げます。発足は4月1日です。今後、介護保険・医療保険制度の改正や報酬改定などについて、業界の意見を集約して行政との調整を行うほか、高齢者の住まいとサービスの在り方に関する調査研究などを行うといいます。

地域包括ケアシステムの構築において、中心にあるのは病院ではなく、住まいです。その住まいを整備しそれぞれの方にあった住まい方の質を向上させていくというのが、地域包括ケアシステムの根底にあります。ただそこにどうしても営利を求めた営利団体が参入することで、結果としてそれを規制するためのルールができて、本来の主旨に対し真摯に取り組んでいる方々が不利益を被るようなことは、もう起こらないように手綱をしっかり握っていて頂きたいものです。








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2015年3月20日金曜日

社会福祉士国家試験 合格率27.0%

厚生労働省は今年度の社会福祉士国家試験(第27回)の合格者を発表しました。合格率は27.0%で、前回試験から0.5ポイント下がりました。第1回試験からの合格者数の累計は19万2664人となりました。






今年度の社会福祉士国家試験は2015年1月25日に実施され、4万5187人が受験しました。このうち合格者は1万2181人で、前回より359人減りました。2015年度の合格者のうち、福祉系大学などの卒業者は59.6%で、養成施設の卒業者は40.4%でした。男女比で見ると女性が64.7%を占めていました。
また厚生労働省は、1月24・25日に行われた今年度の精神保健福祉士国家試験(第17回)の合格者も発表しました。精神保健福祉士国家試験の受験者は7183人で、合格者は前回試験より253人多い4402人でした。合格率は61.3%で、前回試験より3.0ポイント上昇しました。累計合格者数は7万569人となりました。

2025年に向けて地域包括ケアシステムということで、在宅を進めていこうとしている中で、介護力は非常に重要性を増してきます。ただその介護の人材不足は今すでに不足していると警鐘が鳴らされている中、なかなか厳しい合否結果となりました。また無事合格しても安定した生活を送れるほどの収入が確保されているかというと、そうでもない現状がある中、処遇改善加算が見直された介護報酬改定ですが、抜本的な改善になっているのかどうか。








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2015年3月19日木曜日

高度急性期と急性期の境界 (Cl)は3000点

政府の「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」(会長=永井良三・自治医科大学長)は3月17日、医療資源投入量(入院基本料などを除く1日あたり診療報酬出来高点数)に基づく「高度急性期」「急性期」「回復期」「在宅医療等」の4つの医療機能について、必要病床数の推計方法を了承しました。「回復期」と「在宅医療等」の境界(C3)は225点としましたが、これに達してから175点までの間の患者数は「退院調整等を行う期間の医療需要」と見込み、「在宅医療等」の医療需要には含めずに計算します。






「高度急性期」と「急性期」の境界(Cl)は3000点、「急性期」と「回復期」の境界(C2)は600点となります。また、慢性期病床の医療需要の推計として、原則として、入院受療率全国最小レベルの2次医療圏の入院受療率(パターンA)と都道府県単位で最大レベルと最小 レベ ルとの中央値(パターンB)との範囲内で、2025年の入院受療率の目標値を設定するが、療養病床の入院受療率に地域差が大きいことを踏まえ、2次医療圏の減少率がパターンBによる癖養病床の減少率の全国中央値よりも大きい、高齢者単身世帯割合が全国平均よりも大きい、のいずれも該当する場合は、目標達成年次を2030年とし、そこから逆算した2025年時点の入院需要率を目標に定めることにします。 厚生労働省は専門調査会の意見を踏まえ、地域医療構想 (ビジョン)の策定に関するガイドラインに病床数の推計方法を盛り込む方針です。一方、専門調査会は了承された病床数の推計方法を盛り込んだ第1次報告をまとめます。

地域医療構想が見えてきました。おそらく多くの病院ではすでに試算シミュレーションを行なっていることと思います。しかし、本質は地域の医療ニーズに対しどのように貢献するのか?どのような役割を担っていくのか?であると思います。その中で、どのような機能に特化するべきかではないでしょうか。ただ試算シミュレーションをすると、社会医療法人愛仁会のように急性期を担っていくつもりが実質は全体の半数ほどしか対象ではなかったというような現実を見ることもあるかとは思いますので、まずは自病院の立ち位置を知るという意味では、有用なのかもしれません。








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2015年3月18日水曜日

春闘情勢 定昇込みの全体額は5028円

日本医労連がまとめた3月13日現在の2015年春闘の回答状況によると、医療関連の135組合のうち25組合が、パート単独を含めてベースアップ (ベア)の回答を得ていることが分かりました。2015年度介護報酬改定の影響もあり介護職員に対する処遇改善の手当の新設・増額などの回答はあるものの、定期昇給(定昇)も含めた基本給の引き上げは厳しい情勢となっている模様です。 ベア額は平均621円、0.36%となっております。定昇込みの全体額は5028円、l.96%となっています。ベア額の回答は最高で3290円でした。ただし、3月13日までに回答したのは日本医労連傘下の組合数の3割弱にとどまっており、今後大きく変動する可能性は高いです。






介護職員に関しては2015年度介護報酬改定で「介護職員処遇改善加算」の見直しがあった こともあり、3月13日までの回答の中には「介護職員処遇改善手当」の新設や引き上げ、介護福祉士資格取得者に対する手当の増額、介護福祉士資格の取得を支援する制度の新設などがありました。ただ、「従来の定昇額よりも大幅に定昇額を引き下げている所もある」 (日本医労連)など、基本給引き上げには慎重な回答も目立つといいます。パートの時給アップに関しては3月13日時点で27組合が回答を受けており、2014年同期の18組合と比べて大きく増えました。引き上げ額は平均37円ですが、2014年同期の11円を上回っています。 日本医労連はパート待遇改善が大きく進んだ背景について「医療機関に勤務するパー トなどの非正規雇用労働者が増えており、組合への加入が進んでいることもあるのではないか」としています。 日本医労連は4月中旬を「決着ゾーン」に位置付け、基本給の改善などを要求していく方針です。最終的には4月末をめどに決着する見通しとなります。

トヨタや日産など日本を代表する企業と比較してはいけないと思いますが、それでもやはり業界の水準は低いのではないかと感じるところがあります。診療報酬や介護報酬で収入面のコントロールを強く受けてしまう分、努力しても収益を大きく高めることは困難である一方、ダンピングなどを受けないという守られた既得権もあります。どちらが良いのか一概には言えませんが、ただこの護送船団方式はいつまでもこのままでは業界自体が沈みかねないとも危惧いたします。








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2015年3月17日火曜日

老人福祉事業者の休廃業・解散が急増

通所介護や各種の老人ホームなど、在宅介護サービスを手がける事業者の休廃業や解散が急増していることが帝国データバンクの調査で明らかになりました。2014年の休廃業・解散は2013年の1.5倍で過去最多となった上、2012年から3年間の休廃業・解散の累計は、2005年から2011年の7年間の累計の倍に達しています。2015年度介護報酬改定が9年ぶりにマイナス改定となることから、今後さらに休廃業や解散が増える可能性があるみています。






 訪問介護や高齢者向け通所介護などを運営する老人福祉事業者のうち、2005年から2014年までに休廃業や解散した事業者の数や規模などを調査・分析しました。
その結果、2014年の老人福祉事業者の休廃業・解散の件数は130件で、2005年以降最悪を記録した2013年の84件の1.5倍余りに達しました。2005年から2014年までの休廃業・解散の累計は428件でしたが、そのうちの66.4%に当たる284件は、2012年から2014年にかけて休廃業・解散した事業者でした。
休廃業・解散した428件の事業者を法人種別で分類すると、「株式会社」が169件(39.5%)で最も多く、以下は「NPO法人」(114件、26.6%)、「有限会社」(77件、18.0%)、「合同会社」(31件、7.2%)などの順となっていました。

 ここ数年で休廃業・解散する老人福祉事業者が急増している理由について、休廃業または解散した事業者の約6割(261件)の年収入が「1億円未満」だった点や、NPO法人が4分の1程度を占めている点に注目しています。「近年の人手不足なども影響し、『とりあえず参入する』という姿勢で事業に臨んだ零細事業者の間で、解散や休廃業が相次いでいるのではないか」と分析しています。また、2015年以降の動向としては、2015年度介護報酬改定が引き下げとなったことが影響し、「休廃業や解散が減ることはないだろう。やや規模が大きな事業者にまで影響が及ぶ可能性もある」としています。

都道府県別では、「北海道」が45件で最多となり、以下は「東京都」(21件)、「岡山県」(17件)、「埼玉県」(16件)、「福岡県」(15件)などが続きました。北海道が特に多かった理由について、「人口減少の影響で、札幌地区以外での病院の身売りや再編が相次いでいる。老人福祉事業者においても同様の減少が起きているためではないか」としています。

2015年の介護報酬改定で通所介護を中心として事業を展開している法人は、経営上大きな打撃を受けることになるでしょう。収支予測で赤字が見込まれれば、撤退も余儀なくされるのでしょう。ただ国の方針としては、病院から地域へ患者を移して社会保障費を抑制しようというもくろみでありましたが、地域に疲弊を起こすだけで、机上の空論とならないことを祈ります。








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2015年3月16日月曜日

77.8%が赤字病院

全国公私病院連盟と日本病院会は3月11日、「2014年病院運営実態分析調査の概要」を公表しました。毎年6月を対象に実施している調査で、総損益差額から見る赤字病院の割合は、2013年から7.7ポイント増の77.8%で、4年連続の増加となりました。 調査は、公私病連と日病に加盟する3131病院を対象に行い、925病院の回答を集計しました。開設者別の内訳としては、自治体病院487病院、その他公的病院220病院、私的病院181病院、国立・大学付属病院などが37病院となっております。






総損益差額から見た黒字・赤字病院の割合(645病院が回答)は、黒字病院が22.2%(143病院)、赤字病院が77.8%(502病院)でした。開設主体別に赤字病院の割合を見ると、自治体病院で90.8%(325病院)、 その他公的病院が66.7%(124病院)、私的病院が52.5%(53病院)でした。医業収益を100とした場合の総費用は 110.5(前年比2.6ポイント増)で、2013年よりも費用割合が増加しました。総費用のうち、給与費が56.2で 半数以上を占め、材料費が26.5(う ち薬品費が15.8)、 経費が16.6となりました。 医師1人1日当たりの取り扱い患者数は、入院の平均が4.5人(0.3人減)でした。診療科別では、精神科16.1人、リハビリ科15.9人、肛門外科8.9人などで多い状況でした。外来の平均が7.8人(0.1人減)で、診療科別では皮膚科18.2人、肛門外科18.0人、眼科16.6人などで多い状況でした。医師1人1日当たりの診療収入は、DPC病院以外の入院平均が26万1000円、外来平均が13万円でした。またDPC病院の入院平均は22万6000円で、外来の平均が10万2000円となりました。6月中の1病院当たりの入院患者数は7274人(132人減)、外来患者数は1万1679 人(201人減)でした。

運営状況が厳しい病院がこれほども多くあるというのは、医療の業界は外の業界からみると歪に見えるでしょう。しかし自治体病院や公的病院には交付金や助成金などの名目で税金が投入されています。そうでもなければこれだけの赤字病院の存在は異常です。ただ、もしこれらの運営が手を引いてしまったら、地域の医療はどうなるのでしょうか。限りある社会保障費を有効に配分し、健全な運営のもとで、地域の医療体制が整備されるよう、根本的な改革が必要不可欠です。








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2015年3月15日日曜日

個人情報保護法とマイナンバー法

政府は3月10日の閣議で、個人情報保護法とマイナンバー法の改正案を決定し、今国会に提出しました。個人情報保護法では、ルールの明確化で企業が個人情報をビジネスに利用 しやすくするほか、罰則強化で不正利用を防ぎます。2016年1月開始のマイナンバー制度では、行政手続きに利用される個人番号を2018年から預金口座にも適用します。国が個人資産を正確に把握し、脱税などを防ぐ狙いがあります。企業は個人の購買履歴などの情報を使いやすくなる半面、厳格な情報管理を求められます。






マイナンバーの適用拡大では、個人資産への監視が強まることや、企業の事務負担増を懸念する声も出ています。 個人情報保護法の改正案は、氏名を削除するなど個人を特定できないようにした情報は本人の同意がなくても第三者への提供を可能としました。「ビッグデータ」と呼ばれる膨大な情報を企業が活用する動きが強まっていることに対応しました。 ベネッセコーボレーションの情報流出事件を踏まえ、個人情報を扱う企業の従業員などが不正な利益を得る目的で情報を提供する行為への処罰規定も新たに盛り込みました。 情報提供を受ける企業には取得経緯などの確認を求め、人種や信条、病歴などの情報は本人の同意を得て取得するよう義務付けました。不正行為を監視するため、立ち入り検査もできる「個人情報保護委員会」を設置します。マイナンバー制度は2015年10月、国民に12桁の番号を通知し、2016年1月に番号カードを配布します。税金の確定申告などに活用されます。2018年に預金口座への適用も開始します。当初は利用者の任意だが、2021年以降は義務化も検討しています。政府は番号カードに健康保険証の役割も持たせるなど機能を増やし、普及を後押しする方針です。

ビッグデータという言葉がもてはやされているように、情報はこれから更に細かくそして多くなっていくでしょう。もうすべての情報が筒抜けになっていく日も近いでしょう。病院ではすでにDPCによってこれまで各病院内でしか共有されていなかった情報が、出回っています。確かにこれだけ一気に情報化社会へと突入するとそれに相応な対応が必要なわけで、これまで以上にセンシティブに扱わなければ、諸刃の剣となりかねません。








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2015年3月14日土曜日

7対1病床は1.4万床の減少

厚生労働省が、7対1一般病棟入院基本料の届け出病床数が2014年10月時点で約1.4万床減少したとする速報値を公表したことを受け、病院団体からは2016年度診療報酬改定での 7対1病床絞り込みのためのさらなる要件厳格化が進むとの危機感が強まっています。厚生労働省は2014年度改定の影響による届け出数について約2.8万床の減少としているが、その他入院料から7対1に約1.3万床が新たに移行しており、差し引きでは実質約1.4万床の減少となります。






 財務省が見積もった2014年度改定による7対1病床の9万床減とは開きがあるのが現状です。日本病院団体協議会の加納繁照議長 (日本医療法人協会会長代行)は、改定後の7対1の動向について「改定影響で約2.8万床減というのは半年間の実績としては予想以上に減少 している」と見方を示しました。その他入院料から7対1に移行した約1.3万床については「今後、大幅に増えることは考えにくい」と述べ、今後の推移を見守る姿勢を表明しました。ただ、次期改定での7対1のさらなる要件厳格化で「地域医療が確保できなくなる事態は避けなければならない」としたほか、7対1からの受け皿となる地域包括ケア病棟について「地域医療構想の医療機能としてどう位置付けるのかを整理し、それに対応した要件等の見直しをすべきだ」と指摘しました。

日本病院会の堺常雄会長は、「診療報酬改定後の厳しい環境の中で各病院がよく持ちこたえているというのが実感だ」と語りました。その上で「次期改定に向けた今後の中医協での議論で、7対1のさらなる要件厳格化を進めるとすれば、その受け皿となる地域包括ケア病棟が果たすべき機能と評価の在り方をセットで議論していくことが必要だ」と強調されました。さらに「診療報酬だけで医療現場を誘導することの限界がきている。地域医療構想などの医療提供体制の見直しと連動させた診療報酬の在り方を探るべき。次期改定で、地域医療構想を踏まえた点数設定は難しいが、こうした考え方に基づく流れはつくってほしい」としました。全日本病院協会の西澤寛俊会長は、「改定の影響としての2.8万床減は、予想された結果と受け止めている」との認識を表明されました。今後は「診療報酬として定着している要件の変更は、病院経営にも影響を与えるので慎重に対応していくべきだ」との考えを示しました。また、7対1は「看護師等の労働環境の面からも考慮が必要。7対 1の絞り込みだけに特化した医療政策には疑問を感じる」と述べられ、あるべき報酬体系と病床機能の整合性などを中医協で十分検討すべきと指摘しました。

7対1病床の9万床減にむけて、あと7.6万床の絞り込みが必要となります。まだ1割5分程度の進捗率です。次の診療報酬改定で更に厳しくなることは目に見えていますが、最後まで初志貫徹で7対1で急性期を担っていくのか、それとも国の方針に寄り添うのか、今後の医療機関の経営体制を構築するためにも、熟考が必要であると思われがちですが、実はもうすでに答えは出ていて、その答えを自分の意思で掴むのか、渡されたものを掴まされるのか、構想はすでに動き始めています。








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2015年3月13日金曜日

医療ツーリズム の展望

自民党の観光立国調査会(会長=山本幸三衆院議員)は3月10日、医療ツーリズムと訪日外国人の緊急時医療の現状と課題について、東京都医師会の近藤太郎副会長らからヒアリングをしました。2020年に東京五輪を控え外国人観光客が増加する中、現場の医療機関などが抱える課題の一端が浮き彫りになました。






 近藤副会長は外国人患者に対する医療サービス提供の在り方について、段階的に整理して説明しました。まず在留外国人や短期滞在中のビジネスマンを対象に、医療機関や一般薬などについて情報提供するホームページ、救急などの電話対応サービスを多言語で提供するほか、多言語に対応した医療コンシェルジュ育成など周辺環境の整備を行政や三師会などが行い、医療機関への案内や事務機能を担う組織を設置します。次に医療機関が、海外の保険の把握や医療費請求などの事務処理、医療文化や習慣の違い、通訳、未払いや訴訟への備えなどへの対応を図ります。その上で、医療ツーリズムの議論を進め、地域医療の中でのバランスや国際的な病院連携によるフォローアップ体制の確立などについて結論を得るべきだとしました。その際、近藤副会長は医療ツーリズムについて「人間ドックや美容整形などの自費診療領域なら可能」との認識も示しました。国際医療福祉大大学院の岡村世里奈准教授は、世界で最も活用されているという旅行者向けのガイドブックに「日本の医療機関では外国人患者の治療が嫌がられることがあります」と書かれていることを紹介しました。 日本の医療ツーリズムについて、国際的な認知度が圧倒的に低く、国際水準の対応ができていないとの認識を示しました。 日本で外国人を受け入れるPET検診ツアーが拡大しない理由についても「異常が見つかった後に『医療機関紹介などのフォローアップがない』との不満が必ず出る」と説明しました。一方で、温泉を利用するメディカルスパとの組み合わせもできるなど日本独自の強みがあることにも言及しました。国際競争を意識した商品開発が必要になると述べました。出席した議員からは、先にベトナム保健相から「今からシンガポールなどを上回る条件で医療ツーリズムをやることは大変だ」と言われたことなどを挙げて「ターゲットを絞ったマーケテ ィングを行い、特区をつくらなければ勝てない」とする意見も出ました。

東京都医の近藤副会長は、「困つている外国の人がいたら診ざるを得ない」と述べる一方、海外の医療保険について知識が乏しく医療費の支払いに不安がある中で“応用問題"となる医療ツーリズムヘの対応は困難と指摘しました。 外国人患者の医療費支払いの処理を一括して任せられるような体制整備を求めました。

日本のガラパゴスが医療でも当てはまります。我々は国民皆保険が大前提で医療提供を行なっています。しかしグローバルな目線で見ていくとそれは必ずしもスタンダードではないということです。2020年の東京五輪に向けた対応の検討も必要ですが、その先の2025年問題に意識が集中しているのは、ガラパゴス化している表れなんでしょうか。








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2015年3月12日木曜日

QC活動のこれから

大阪府富田林市のPL病院は3月7日、富田林市内で100回日となるQCサークル活動の院内発表大会を開催しました。記念行事として「医療のTQM推進協議会」の役員を務める 施設が参加するシンポジウムも行われました。






 大学病院で唯一、2008年からQCサークル活動を導入している大阪市立大医学部の荒川哲男・医学部長は「QC活動は経営の効率性だけではなく、医療安全面から病院に導入するメリットは大きい」と強調しながら「大学病院が導入すれば医学教育時に、医師がその重要性を認識する。他病院への波及効果があるはずだ」と述べられ、医師も積極的に参加する病院QCサークル活動への展開に期待を示しました。QCを導入している病院は、主体がコメディカルや事務部門が中心で医師の参加はあまりないのが現実で、医師を巻き込むQC活動の研究を行うことが課題との指摘もありました。 病院経営の赤字体質からの脱却を目的に導入した島根県の益田市医師会病院の狩野稔久院長は、経営改善への効果は大きかったことを語った上で「最近では業務効率よりも、患者サービスや医療安全をテーマにしたサークルが増加し、それも経営改善に寄与している」との経験を述べられました。

QC活動、分かりやすく言ってしまうと品質向上に向けた業務改善活動ということですが、狩野稔久院長のおっしゃるとおり、それらの活動は経営改善に寄与します。これから病院経営が厳しさを増す中で、いかに効率性を高め、患者サービスを高めるか、質の向上を行なっていくことが重要視されていくことと思われます。








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2015年3月11日水曜日

地域包括ケア病棟は、在宅患者のレスパイト機能も

産業医大公衆衛生学教室の松田晋哉教授は3月1日 、全日本病院協会の経営セミナーで講演し、急性期病床の受け皿として2014年度診療報酬改定で新設された地域包括ケア病棟について、今後の増加が見込まれる「高齢者の肺炎、骨折への救急対応や、重症度の高い在宅患者を支援するためのレスパイト機能」などが必要との見方を強調しました。






 地域包括ケア病棟入院料の評価は、2014年度改定の付帯意見でも病床機能報告制度を踏 まえ引き続きの検討課題となっており、中医協でも今後の調査や検証結果を踏まえた次期改定での対応が議論される見通しです。松田教授は、東京都や石川県の各医療圏の診療実績データ等を引用しながら、今後ニーズが高まる疾病として肺炎、骨折、脳血管系疾患の3疾病を指摘しました。「脳血管系疾患は医療計画でも対応してきたが、骨折、肺炎は取り上げていなかった。確実に今後増えるので、認知症などの合併症患者の急性期対応をどうするかが課題」としました。介護施設でも予防対策を進めなければ、拡大するニーズに対応できないとし、2018年度から同時に始まる医療計画と介護保険事業計画、さらには地域医療構想との整合性が求められるとしました。さらに、松田教授は、東京都などの診療実績データから、都心部など療養病床が不足している地域では、重症度の高い患者に在宅療養で対応する状況が想定されることを説明されました。その上で「今の訪問看護ステーションの体制では無理でしょう。(病院からの) 訪問看護でないと重症度の高い在宅患者ケアは支え切れない。こうした患者への対応も地域包括ケア病棟の役割ではないか」との見方を示しました。

地域医療構想において、国からは医療費抑制のための在宅医療への誘導が進む中、その実現に向けてはまだまだ険しい道のりであると感じます。確かに、理想像を言えば、間違ってはいませんが、ただそれぞれの機能が充分に発揮できるのかということが一つ重要な点ではないでしょうか。各機能が連携し発揮するためには、その潤滑油の存在が必要不可欠です。それを担うのは、地域包括ケア病棟であり、訪問看護であれば、それぞれの担わなければならない領域というのは非常に広くなります。広げるがあまり浅くならないように、しっかりした仕組みづくりを先に行なわなければ、実現は厳しいのではないでしょうか。








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2015年3月10日火曜日

姫路循環器病センターと広畑病院を統合へ

兵庫県は、姫路市の県立姫路循環器病センター(一般350床)と製鉄記念広畑病院(一般392床)の統合再編に向け、病院側と協議に入ると発表しました。3月内に有識者による検討会を設置し、2015年秋にも提言をまとめる方針です。新病院は県が運営し、ベッド数は双方の許可病床を合わせた700床規模を想定しています。






広畑病院は救命救急センターを併設する県内唯一の民間病院で、2011年4月には「救急医療」で社会医療法人の認定を受けています。一方の姫路循環器病センターも救命救急センターを抱え、循環器疾患の専門病院として高度な急性期医療を提供しています。
 2014年4月時点の医師の数は広畑病院が76人、姫路循環器病センターが48人で、いずれも神戸大が医師を派遣しています。広畑病院は救急医不足が深刻化しており、今回の統合で病院側は、医師の派遣の円滑化を図ります。
 一方、姫路循環器病センターは開設から30年以上が経っているため、建物の老朽化の問題を解消できる利点があります。新病院は姫路市内に開設される予定で、病床や診療科の数、建設場所などは今後検討していきます。兵庫県では、すべての職員を受け入れる方向で協議を進めるとしています。
 兵庫県内では、県立病院の再編が進んでおり、兵庫県では2月、丹波市の県立柏原病院と柏原赤十字病院の統合に関する基本計画を策定したばかりです。2015年7月には、県立尼崎病院と県立塚口病院の移転、統合に伴って新設する「県立尼崎総合医療センター」(仮称)を開院する予定となっています。

このような官民の病院統合は兵庫県に限らず、全国的に進んでいくことが予測されます。多くの病院で抱えている問題というのは、医師不足と建物の老朽化。この二つは経営上とても深刻な問題です。医師がいなければ医療ニーズに応需できませんし、そもそもしっかりしたハードが無ければ安全性が損なわれます。特に官の病院はこれまでハード等に対する投資が規模以上のものであったという指摘は多くの自治体等で伺います。地域医療構想のもと、各地域で適正な病院運営が求められてきます。病床機能報告もありましたが、既存の体制にしがみついたままでしたら、流れに乗り遅れます。先に動き、イニシアティブをとることは得策ともいえる部分が大きいでしょう。








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2015年3月9日月曜日

石岡第一病院に3000万円の支払命令

救急搬送先の病院での診断ミスと転院先での検査で女性患者が死亡したとして、遺族が双方の病院側に計約6000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、水戸地裁は2月19日に、診断ミスによる死亡と認め、救急搬送先の石岡第一病院 (茨城県石岡市)側に約3000万円の支払いを命じました。 検査は脳死判定の際に自発呼吸の有無を調べる「無呼吸テスト」で、死亡との因果関係は認められないとしましたが、新谷晋司裁判長は「家族の承諾を得ておらず、患者の人格的利益を違法に侵害した」と認定しました。転院先の土浦協同病院(茨城県土浦市)側に約60万円の支払いを命じました。






判決によると、2011年2月、女性(当時56歳)は尿管結石で救急搬送され入院しました。その後、容体が悪化して転院し、無呼吸テストを受けました。そして2011年3月、敗血症性ショックが原因の低酸素脳症で死亡しました。 判決は、救急搬送時に既に敗血症を発症していたのに医師が敗血症と診断しなかったとした上で「抗菌薬の投与など適切な措置を取る義務があった」と指摘しました。過失と死亡との因果関係も認めました。無呼吸テストに関しては「実施直前に瞳孔の固定などがあり、脳機能が回復する可能性はうかがえなかった」と述べました。無呼吸テストは体に負担がかかるとされ、臓器移植法に基づく脳死判定では必須ですが、今回のように臨床的に脳死であるかどうかを判断する場合、実施する必要はありません。石岡第一病院は「判決が届いた段階で今後の対応を検討する」として、土浦協同病院は「担当者不在でコメン トできない」 としています。

医療事故においては、過失があったのかどうか、その判断が大きく影響いたします。ただ、本当にその時、その場で医師が最善の医療を怠ったのか、それとも足りなかったのか、その違いについては、どれも着目されません。プロとして特に生命を預かる立場の人間として厳しい指摘を受けざるを得ません。しかし、このような判例が続き医療に対し医師が臆病になってしまっては、治せるかもしれない疾病も水面下で沈んでしまう可能性があることは、だれかが光を与えなければならないのではと感じます。








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2015年3月8日日曜日

在宅医療コーディネータの役割は

元日本医師会長の植松治雄氏が塾長を務める平成医政塾は2月28日、大阪市内で勉強会を開き、在宅医療をめぐる取り組みや今後の見通しなどについて理解を深めました。大阪府は地域医療介護総合確保基金を活用して地域に「在宅医療コーディネータ」を配置し、在宅医療提供体制の確保・充実を図る計画を進めており、同事業を進めている地区医師会が取り組みの現状を報告しました。また、大阪府医師会から同事業を進めるための体制整備などについて提言がありました。






 大阪府は、在宅療養を希望する患者が安心して適切な医療を在宅で受けられるようにするため、府内57の各地区医師会に地域医療連携室を設けて「在宅医療コーディネータ」を配置し、地域の在宅医療の充実強化を図る計画です。当日の勉強会では、旭区医師会の井口和彦会長が区内で取り組み始めた「在宅医療コーディネータ」に関する現状を紹介しました。在宅医療コーディネータは関係職種らが集まるさまざまな会合に参加するなどして地域の医療資源の把握に努めるほか、アンケート調査などを通じた患者の受診動向の把握、区内の医療機関に対する在宅医療参入の呼び掛けなどに取り組むといいます。井口氏は同区の在宅医療の課題として、全科での往診体制が構築できていないことなどを指摘されました。「特に精神科、皮膚科の協力が不十分です。医療機関数が少ないこともありますが、迅速な対応が行われていません。医師会での取り組みを推進していく予定で、個々への話 し合い、依頼が必要ではないかと考えています」と述べられ、今後の課題解決に意欲をみせました。大阪府医師会の中尾正俊副会長は、在宅医療に対する大阪府医師会の考え方について説明し「医療費などを抑制するために病床などを削減し、その部分のしわ寄せを在宅で医療提供すべきというなら反対です。在宅療養を希望する患者が住み慣れた地域で安心して適切な在宅医療を受けられるような体制を大阪府医師会、ならびに地区医師会、会員でつくりたい」と述べられました。その上で「地区医師会は地域医療連携室を設置し、在宅医療コーディネータを配置することで病院協会と連携して急性期医療を提供する病院と在宅医療を提供する会員医療機関の医療連携を推進してほしい。コーディネータは市町村と協働して地域の高齢化率や有病率の把握に努め、病院などとの顔の見える関係づくりを進めてほしい」と呼び掛けました。

在宅医療コーディネータの役割は、基金を投入するほどのモノとは思えません。ただ、これまで病院から開業医への連携というものは一部を除き本当に希薄なものでした。今回、医師会の方からコーディネータを設けて連携するコネクションを設けたということはとても評価されることであると思います。ただそこには、集患が厳しい現実から、患者を逆紹介でいかに確保できて経営が安定できるかという、自己本位な考えならではないことを願います。








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2015年3月7日土曜日

医療事故発生リスク、病床規模増で上昇傾向

日本病院会は3月2日の記者会見で、1病院当たりの医療事故による死亡件数が年間平均0.3051件となり、発生件数は先進的な医療を提供する大規模病院ほど増える傾向がある調査結果を明らかにしました。結果を全国8540病院に当てはめると医療事故による死亡件数は年間1225件となる推計値も示しました。






日本病院会が実施した「2014年度医療安全に係わる実態調査」は2014年10月3日~11月28日に実施されました。調査対象となった2399病院のうち有効回答は885病院でした。2011~2013年度の3年間の医療事故への対応調査をみると医療事故による死亡件数は810件で、1病院 当たりの死亡事故の発生件数は平均0.3051件でした。病床規模別に事故発生件数をみると、100床未満では1病院当たり年間0.0285件だったのに対し、100~199床で0.0669件、300~399床で0.3239件、500床以上は0.7326件と、病床規模が大きい程、事故発生件数は増える傾向にあるとしました。同調査を担当した木村壮介・医療の安全確保推進委員会委員長は「3年間の調査だからこそ確認できたことも多い」と述べられ、医療事故の実態をより把握するため、調査設定期間を3年間に設定した意義を強調しました。また、今調査結果を全国8540病院に当てはめて合計していくと、医療事故による死亡件数は年間1225件になるとの推計値も公表しました。
一方、調査では、原因究明の際の医療事故報告書を作成していると回答したのは 84.3%でした。原因究明の結果を、患者・家族に説明しているのは78.3%、説明していないのは15.7%でした。2015年10月スタートの医療事故調査制度に向け、院内事故調査報告書を匿名性を配慮しながら「当然手渡すべき」としたのが73.9%、「渡さなくてもいい」が13.2%となりました。
堺常雄会長は、調査結果について「事故調査の報告は、患者家族が納得、理解できる形で説明すべきとの意見が常任理事会でも大勢だった」と説明されました。木村委員長も「院内事故調査情報について遺族と病院で共有することが大事。真実を伝えることがおろそかであってはいけない。国民も医療への理解を深めてもらい、両者が努力しなければいけない」と述べられました。また、定例会見では地域医療構想も話題に上がりました。厚生労働省の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」の次回会合で議論される可能性が高い病床稼働率について、「厚生労働省が提示した数値は高い」などの意見が出ていることなども報告されました。

医療事故発生リスクを病床規模との相関関係で判断するのはいかがなものかと私個人的には思います。病床よりも提供している医療の内容に着目するべきではないでしょうか。一般的に大病院ほど、医療機器も揃っており高度な医療を行なっているケースが多いと思います。一つの着目点はそこではないでしょうか。後は看護体制。看護師の配置人数だけではなく、看護助手などの配置状況も踏まえて、どこか一部に負荷が大きく発生していないかどうかなど、規模が大きくなれば全体が比例して大きくなるのではなく、特化される部署とそうではない部署の格差が発生しがちです。その有無の確認を行なうところからが医療事故の対策に繋がるのではないでしょうか。








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2015年3月6日金曜日

地域包括ケアステーション

 社会保障審議会介護給付費分科会の分科会長などを務める田中滋慶大名誉教授は、日本介護経営学会の記念シンポジウムで講演しました。田中名誉教授は、地域包括ケアシステムを構築するにあたり、在宅での多様なサービスへのニーズに一括して対応できる「地域包括ケアステーション」の導入を検討する必要があるとしました。






田中名誉教授は、在宅介護では看護や介護、リハビリテーションなど、提供するサービスごとに事業所が分かれている点を課題として指摘しました。各種の在宅サービスをできる限り一括して請け負える「地域包括ケアステーション」について、厚生労働省と相談しながら地域包括ケア研究会で検討する意向を示しました。
 また、田中名誉教授は、介護保険などの公的なサービスだけで地域包括ケアシステムを構築するのは難しいと分析しています。一方、多くの人口を抱える団塊の世代については、「最大の資源」とし、地域包括ケアシステムの構築を考える際にも、現役を退いた団塊の世代の活用を十分に意識する必要があるとしました。
 特別講演で登壇した厚労省老健局の三浦公嗣局長は、日本経済が高度成長できた要因の一つには、医療制度が整い、健康で働ける人が増えたことがあると指摘しました。その上で、地域の介護サービスが、病院から退院してきた人の受け皿となり得れば、国民全体の健康水準を高めることにつながるとし、「そのためにも介護そのものの充実が必要」と述べられました。一方、介護サービスがもたらすアウトカム(成果)を最大にする努力も不可欠としました。また、認知症の人が増え続けている現状についても触れられ、「認知症への対応を考えながら、介護保険制度を変えていく必要がある」とも述べられました。

「地域包括ケアステーション」の発想はあながち悪くないと思います。ただしそれは机上の話に限ります。もし多種サービスの包括が行なわれると事業者側はどうするか。単価の安いサービスで埋めていく。看護が最適であっても介護を充てていくでしょう。人材の単価が違いますから。リハビリもPTやOTが訪問するでしょうか。ヘルパーがリハビリをできないとは言いませんが、専門性のレベルが雲泥です。結局のところ、適切なサービスを求めるなら包括は利用者にとって最適ではなくなるリスクが高いと思われます。ただ国もそのような不適切な事業所を見逃しはせずに、ある程度の数量規制を設定するでしょう。訪問のうち、何%は看護が行っていないと減算など。そうなると事業所はその枠を目指してサービスを提供する。要は、利用者を看てサービスを提供するのではなく、事業所の数値を見てサービスを提供する。そんな本来の医療と介護の姿勢とは異なる運営が蔓延る可能性が高いと危惧するのは私だけではないと感じます。








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2015年3月5日木曜日

診断書に虚偽病名 がん誤診 群馬大学病院

 肝臓手術で患者の死亡が相次いだ群馬大学病院(前橋市)は3月3日、記者会見を開き、開腹手術後3日目に死亡した患者1人について、死亡後にがんではないと判明したのに、執刀医はその事実を遺族に告げず、虚偽の診断書を作成していたと発表しました。 同病院は「極めて重大な問題」とし詳細を調査しています。






 同病院第二外科では、腹腔鏡を使う高難度の肝臓手術で8人が死亡したほか、開腹手術でも2009年度以降10人の死亡が明らかになっています。死亡した患者は、いずれも同じ40歳代の男性医師が執刀しました。
 発表によると、問題となっているのは、2010年9月に胆管細胞がんと診断され胆管や肝臓を切除する手術を受けた後、容体が急変して3日目に死亡した患者です。患者の死亡から10日後、切除した肝臓の一部を病院で検査したところ、がんではなく良性のできものだったことが確認されました。
 しかし、執刀医は、この検査結果を遺族に報告しませんでした。そのうえ、2010年11月に自ら作成した診断書には「胆管細胞がん」と当初の診断名を記入しておりました。すでにがんではないと判明していたため、虚偽の病名を記載したことになります。
 これを受け、病院は3月2日から同科教授の診療科長としての業務を停止、執刀医については「医師の適格性に疑問がある」として一切の診療行為を停止しました。
 群馬大学病院は「遺族にはすでに説明して謝罪しました。手術の妥当性や死亡との因果関係について現在、調査しているが、このような事態を病院として重く受け止めています」としています。その他の開腹手術による死亡例についても、調査を進め、5月頃に結果を公表するといいます。

群馬大学病院でこのようにさまざまな事件事故が起きるというのは、病院内で悪いことを悪いと認識し発信することができない閉鎖的な文化が根付いているからであると思われます。医療に従事する者にとって核となる思いは、ホスピタリティの精神であったはずです。それがなぜか欠如してしまったというか、表に出てこなくなってきているというのは、強い力が働いてそこから伏せてしまったのではないでしょうか。しかし多くの職員の核にはまだしっかりとホスピタリティの精神が残っているはずと思います。理事長・院長をはじめとしたトップからしっかりと病院の文化を正して頂きたいものです。








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2015年3月4日水曜日

医療保険改革関連法案を閣議決定

 政府は3月3日、医療保険制度改革の関連法案を閣議決定しました。医療費増大で赤字体質が続く国民健康保険(国保)の運営主体について平成30年度に市町村から都道府県に移行することなどが柱です。これから今国会での成立を目指します。






 国保運営の移行は国保の財政基盤の強化が狙いです。財政支援を平成27年度から拡充し、平成29年度には計3400億円を投入します。都道府県は移行後、安定的な財政運営や効率化に取り組むことになります。
 また、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度を支えるため、健康保険組合や共済組合が拠出する支援金の算定において所得に応じて負担額を決める「総報酬割」を全面導入し、大企業の会社員や公務員などの負担を増やすことになります。
 法案には、入院時の食事代の段階的引き上げや、紹介状なしに大病院を受診した場合に定額負担を求めることなども盛り込んでおり、国民の負担は大きくなっていきます。

社会保障費の健全化に向けて、改革案が次々と成立に向けて進んでいきます。ただこれらの案が本当に改革なのか改悪なのか、そのあたりの審議が少し甘かった部分も否めないと思います。ただ厚生労働省としてもこれ以上財務省に対して猶予してもらえる状況でもない中、進めてきたところがあると感じられます。確かにこのままでは社会保障は崩壊の一途でありましたので、改革を進めなければなりませんでした。あとは、水面下に潜んでいる国民の負担や不利益がどれだけあるのか。最小限であることを祈る気持ちです。








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2015年3月3日火曜日

長野県の広域停電で医療機関の対応に明暗

中部電力の送電線の故障で3月2日朝、長野県の広範囲で停電が発生し、午前中の外来診療を中止する医療機関が相次ぎました。一方、非常用発電機を動かして診療体制を維持した医療機関もあり、災害時の対応で明暗が分かれました。






中部電力によると、3月2日午前5時35分ごろ、長野県塩尻市の変電所と上田市の変電所をつなぐ送電線でトラブルが発生し、長野県北部・中部で最大約38万戸が停電しました。この停電の影響で、県立須坂病院(須坂市)や長野市民病院(長野市)などで一時、外来診療が中止となりました。午前10時すぎに全面復旧したため、午後からは診療を再開しました。
 災害拠点病院の国立病院機構信州上田医療センター(上田市)では、停電と同時に非常用発電機に切り替えました。非常用発電機はディーゼル式で、燃料も備蓄しており、すぐに使える状態でした。エレベーターの稼働台数を制限したり、消費電力の大きいCTなどの医療機器は使えなかったりしましたが、午前8時半から外来の受け付けを開始しました。
 国立病院機構信州上田医療センターの担当者は「早朝に各部署の職員が連絡を取り合い、早めに出勤した」と説明していました。日ごろの防災訓練やマニュアルに沿って職員が対応できたとの認識を示しています。

どこの病院でも緊急時に対応できるよう訓練やマニュアル作成等はされていると思いますが、その精度の高低が明暗を分けたと思われます。例えば避難訓練なども毎年毎年、年に数回も行なっていると、次第に形式だけの訓練となりがちです。これはリアリティの無いことを何度も行なうことでそのことに対する意識が低下してしまうことは、人間としては仕方ないことかもしれません。しかし、いざというときにしっかり機能できるように常日頃から備えておくことの重要性を再認識し、最大限地域の命を守ることに尽力できる体制づくりを整えておくべきです。








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2015年3月2日月曜日

30万人の介護人材が不足 10年後試算

厚生労働省は2月23日、現行制度が維持された場合、10年後に約30万人の介護人材が不足するという試算を、社会保障審議会福祉部会の福祉人材確保専門委員会(委員長=田中滋・慶大名誉教授)に示しました。






これまで国は、大きな人口を抱える団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年度には、全国で約237万人から249万人の介護人材が必要になると試算してきていました。ただ、現行の施策に伴う人材の増加を試算した数字はなく、10年後にどの程度の介護人材が不足するかを予測した数字はありませんでした。
 こうした状況を受け、厚生労働省では、各都道府県が実施した介護人材の需給推計を基に、2025年度には約248万人の介護人材が必要となることや、現状の施策を継続した場合、2025年度には約215万人の介護人材が確保されることなどを算出しました。その結果、2025年度には約30万人の介護人材が不足するとした見通しを示しました。
 厚生労働省では、2015年度の予算で公費90億円を割き、地域住民や学校の生徒に対する介護や介護の仕事の理解促進、介護未経験者に対する研修支援、経験年数3―5年程度の中堅職員に対する研修、各種研修に対する代替要員の確保、潜在介護福祉士の再就業促進などの人材確保のための施策を実施する方針です。
介護福祉士の資格取得方法に関する提案もあり、大学や専門学校などの養成施設を修了する「養成施設ルート」まで含めた資格取得方法の一元化については、経過措置を講じつつ、2022年度に完全実施する方針などが示されました。

認知症の高齢者や高齢者のみの世帯の増加に伴い、人材を量・質ともに確保することが喫緊の課題だとしています。そのうえで、介護現場への参入を促すため、いったん職場を離れた介護福祉士の届出制度を都道府県ごとに創設し、求人の紹介や再就職のための研修を行うほか、育児休業制度の充実や、事業所内保育施設の運営を支援するとしています。また、職員の人材育成に取り組む事業所に対し介護報酬の加算や助成金の支給を行うほか、職員の負担を軽減するため介護ロボットの導入なども進めるとしています。ただその一方、専門性の高い人材として中核的な役割を担う介護福祉士の質の向上のため、現在、卒業すれば資格が得られる大学や専門学校などの学生についても、経過措置を設けたうえで平成34年度からは国家試験を義務づけるとしています。ただこれだけの介護人材が不足する見通しをしていますが、90億円を費やして検討されている対策ではまだまだ険しいのではないでしょうか。








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2015年3月1日日曜日

処遇改善加算12000円の恩恵は受けれない 

政府は2月13日、2015年度介護報酬改定による介護・障害福祉職員の処遇改善加算について「全ての介護職員等の賃金が一律に月額1万2000円引き上がり、その年収が14万4000円引き上がる仕組みではない」との答弁書を閣議決定しました。民主党の山井和則衆院議員の質問主意書に答えました。






 答弁書では、事業者が処遇改善加算で得た額を原資として介護職員らに対して処遇改善を行うとした上で、「個々の介護職員等に対する具体的な処遇改善の方法については事業者が判断する」と説明しています。
事業者が得た処遇改善加算の使い道については、「手当、賞与に加えて定期昇給等を含めた賃金改善に充てることや、当該賃金の引き上げに伴う社会保険料の事業主負担等の増加にも充てることができるものとする予定」と記しています。加算の一部が事業主の社会保険料負担に回れば、その分、介護職員らの賃金アップ額は抑えられる可能性があります。処遇改善加算を取得する施設割合の見通しについては、「加算の取得については、各事業者において判断されるものと承知しており、何割の事業所が加算を算定するかお答えすることは困難」と具体的な回答を避けました。加算を取得しない施設の介護職員らの賃金の見通 しについても、「賃金水準は個々の労使交渉等で決められるべきもの」と一般論を記すにとどまり、回答は困難としました。

この答弁書は各事業者にとって処遇改善による負担を抑制するための免罪符となりかねません。しかし、政府がそのように指示している以上、それ以上でもそれ以下でもなく、そのとおり解釈し進めていかざるを得ませんが、はたしてこれで本当に介護職員の離職率が抑制され、また地域の介護職員をしっかり確保することができるのでしょうか。いささか不安を覚えるだけのバラマキ策としか捉える事ができないのは私だけでしょうか。








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