2015年5月31日日曜日

第2のスティーブ・ジョブズ エリザベス・ホームズ

「第2のスティーブ・ジョブズ」と言われている女性起業家エリザベス・ホームズをご存じでしょうか。「痛くない注射」を発明した米国の女性起業家です。1960年代から大きな技術革新がなかったのが血液検査の世界でした。エリザベス・ホームズ氏は、そこに徹底した長期戦略と、確かな実行力を伴って、大きな変革をもたらそうとしています。10年間の開発と特許出願などを経てサービスの品質を高めた上で、2013年秋にアメリカ大手薬局チェーンのウォルグリーン薬局と組み、革命的な血液検査がようやく日の目を見ました。






 指先から小さな針で採血し、極力人手を介さない分析工程と流通網を構築しました。痛みが少なく、より正確で、低価格な血液検査を即時に提供することを実現しています。技術の革新性もすごいですが、31歳という若さと、医療費削減の期待などから普及の可能性が評価されてか、アメリカのフォーブス誌の世界億万長者ランキングに「最年少で成功した女性起業家」としても紹介され「アメリカ富豪400人」の一人に選ばれました。なんとエリザベス・ホームズ氏の個人資産は45億ドル(約5380億円)と言われています。
エリザベス・ホームズ氏は19歳で米スタンフォード大学1年目で最優秀学生の1人に選ばれたものの、19歳で中退しました。理由は「学費にかかる多額のお金をもっと有効に使う方法があると思ったから」。彼女が大学をやめてまで実現したかったのは、誰もがフェアに受けられる医療の実現でした。血液検査や遺伝子分析の領域でさまざまな特許を申請しながら、現在のサービスを作り上げました。
エリザベス・ホームズ氏は、10年間でメディケアで980億ドル、メディケイドで1040億ドルの医療費削減効果をもたらす会社に成長したと言われています。
またエリザベス・ホームズ氏は、大学を中退して独立し、菜食主義者で、いつも黒のタートルネック姿で登場することなどから、米アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏と重ねて見られることもあるようです。コンピュータ産業に革命をもたらしたジョブズ氏と、医療界に革命をもたらそうとしているホームズ氏という構造も、こうした見方を促しているのかもしれません。
エリザベス・ホームズ氏が率いる血液検査サービス会社「セラノス(Theranos)」は、セラピー(Therapy)と診断(Diagnosis)を掛け合わせた社名とのことです。 医療は全世界で成長産業としての発展が期待されています。健全な発展には、医療の質向上を伴う成長が欠かせません。医療との身近な接点である血液検査は、国民にとっても分かりやすい「医療の質向上」の実例になるので、セラノス社とエリザベス・ホームズ氏のさらなる活躍に期待が集まっています。アメリカ大手薬局チェーンのウォルグリーンと提携を結んだことで、この注射器の利用は全米に広がりつつあります。
アメリカには世界的に見ても貧富の差が激しく、医療保険の無い国民も多く存在します。エリザベス・ホームズ氏の努力がアメリカ社会、さらには世界中の医療弱者を救う一歩となることを期待したいです。









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2015年5月30日土曜日

病床機能の転換奨励する補助金で

日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、5月21日に「現在、病床過剰であることは間違いないが、診療報酬で病床数などを絞っていく手法では地域医療が崩壊してしまう。地域医療を守るために、転換奨励金(補助金)などを医政局予算として確保し、急性期から慢性期への転換を促していくべき」との見解を示しました。






武久洋三会長は、「日本では20万-30万床の病床が過剰と想定される。これは間違いない」と指摘されました。その根拠として、厚生労働省が3月4日の中央社会保険医療協議会総会に、「医療機関が『受け入れ条件が整えば退院できる』と考える患者が11万5000人いる」とのデータを挙げ、「医療機関自らがそう思うのであるから、実態はもっと多い」との見方を示しました。
また、厚生労働省の「病院報告」では、2014年12月に一般病床の稼働率が平均60.9%に激減しました。その後75%前後に持ち直しますが、一方で、平均在院日数は1.5日延びています。武久洋三会長はこの点にも触れ、「素直に考えれば、2014年改定における7対1の経過措置が終了して病床稼働率が大きく下がった。これでは経営が成り立たないので病院側が在院日数を延ばして、病床稼働を維持したとみることができる」と指摘されました。
武久洋三会長は「このような姑息(こそく)とも言える手段で病院側が経営を維持しなければならない状態は異常だ。こうした診療報酬で病床数を絞っていく手法では地域医療が崩壊する。急性期から慢性期、慢性期から介護施設に移行する場合の『転換奨励金』を医政局が確保し、医療機関や患者が路頭に迷わないようにすべき」と提案しました。
 「病床過剰」を医療団体のトップが認めるのは極めて異例ですが、武久洋三会長は「事実は認め、その上で(転換奨励金などの)新たな提案をしなければいけない」と強調しています。
 ところで、病床機能の転換を促すために、厚生労働省は「地域医療介護総合確保基金」を都道府県が設置するための予算を2014年度予算から確保しています。
 しかし、武久洋三会長や日本慢性期医療協会の池端幸彦事務局長は「基金は都道府県がコントロールしており、総花的に『地域連携ネットワーク』などに補助がなされるケースが多く、個別の病院の機能転換を推進するようには動いていないのが実際だ」と述べられ、基金とは別個に「転換奨励金」予算を確保すべきと強調しました。

病床機能報告の結果が厚生労働省から出てくる頃ですが、いよいよ地域医療構想に向けた動きが各都道府県で医療圏ごとに活発になってくるのかと思います。適正な病床へと転換するためには、それなりにアメがなければ民間の医療機関の動きは大きく変わらないでしょう。確かに都道府県ごとに基金がありますが、それを病床機能の転換の為に活用しようとしている都道府県は少なく、地域連携ネットワークなど本質とはかけ離れたところへ基金が流れていき、結局のところは効果は期待できません。本当に機能分化を進めるのなら、そこに特化した施策と予算を置かなければ、実現は難しいと同感致します。










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2015年5月29日金曜日

薬局再編は「すべて残すわけでない」

塩崎恭久厚生労働相は5月26日の経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)の会合で、全国に約5万7000件ある薬局を患者本位の「かかりつけ薬局」に再編する方針などを表明した上で、「すべて(の薬局)を残すわけではない」と述べられました。






塩崎厚労相は、社会保障分野の改革についての厚生労働省としての中長期的な考え方を提示されました。この中で、後発医薬品の使用に関する現行の目標の達成時期を前倒しして新たな目標を定めるほか、「患者のための薬局ビジョン」を年内に策定し、それに基づいて全薬局を「かかりつけ薬局」にするための施策を進めるとしました。
 諮問会議の前回会合では、民間議員が社会保障分野の改革に関して提案していました。甘利担当相によると、この日の会合で塩崎厚労相に対して民間議員が、医療法人の本務としての営利性業務の解禁などについても踏み込んだ対応を検討するよう要望致しました。さらに、「地域間の医療費の差を半分程度に縮減することや、薬局を再編して、薬局数を半減させるなどの目標も検討課題だ」などと主張したといいます。
甘利担当相はこの日の会合を、後発医薬品の使用目標や薬局の在り方の見直しなどでは参加者の意見がおおむね一致したと振り返りました。一方で、診療報酬全体の在り方や、健康産業での医療関係者の活躍策などについては、さらに議論を深める必要があると指摘されました。「厚労省の方針が出たが、具体的に各論に踏み込んでいる部分は少ない」と述べられ、厚生労働省側との調整を今後進めるとしました。

適正な社会保障費を目指して抑制に対する施策があちこちで上がってきておりますが、よく白羽の矢が当たるのがこの薬価のところです。その中で薬局の数を半減するとともに、ただ機能を高めかかりつけ薬局を目指していくということ。大きな変革に向けて、門前薬局が立ち並ぶ病院周辺の風景も大きく変わっていくのでしょう。








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2015年5月28日木曜日

「まるで奴隷!」 フィリピン人が集団提訴

 フィリピン人女性9人が大阪府東大阪市の介護施設で『奴隷のように働かされた』などとして、施設の運営会社に対し、損害賠償を求めて集団提訴することがわかりました。






 代理人などによりますと、日本人男性との間に生まれた子どもについて、『日本国籍を取れるようにする』などと勧誘されて来日し、東大阪市の介護施設「寿寿」で介護士として働いていました。
 しかし、実際に国籍取得の手続きはされず、事前に説明されていたより低い給料だった上、渡航費用などの借金を天引きされたということです。
 「借金が終わらなかったら、仕事を辞めることはできない。子どもが病気の時に(私が)連日、勤務だから(誰も)めんどうをみてくれない。同じ人間として見てほしい」と彼女たちは提訴しました。
「寿寿」が立て替えた渡航費など数十万円を借金として抱えており「転職したくてもできなかった」と元職員の証言もあります。
 また、『自分が死んでも会社は責任を問わない』とする権利放棄書にも署名させられ、人格権を侵害されたなどとしてあわせて数千万円の損害賠償を求めています。
 「寿寿」を巡っては既に元従業員の女性1人も提訴しています。施設側は『担当者が分からないため答えられない』と話しています。
これまでにも、夜勤のフィリピン人職員に対する時間外手当が未払いだったことや、勤務時間中に交通事故に遭った職員の労働災害手続きを怠っていたり、元職員のフィリピン人女性が、残業代などの未払い賃金や慰謝料の支払いを求めて大阪地裁に提訴したり、宿直勤務を月間13回させた書類も残っていたりと、平成21年ごろにフィリピン人女性の採用を始めた「寿寿」には、多くの雇用において逸脱した運営をしてきたようです。

EPAで希望を胸に来日しても言葉の壁なども立ちはだかり合格できずに帰国した人も多くいる中で、日本としては、いか医療と介護の従事者不足を補うかというところで進めてきているにも関わらずこのようなニュースが出てくるということは、実際の現場では、資格取得に向けた勉強どころではない環境の粗悪な現実があったのでしょう。まだまだ氷山の一角なのかもしれませんが、国としてしっかりとした引き締めを発令して頂きたいものです。








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2015年5月27日水曜日

東京都の構想区域設定

東京都の地域医療構想策定部会(部会長=猪口正孝・東京都医師会副会長・都病院協会副会長)は5月29日の会合から、東京都の将来あるべき医療提供体制の議論を開始しますが、現在13ある2次医療圏ごとの構想区域の設定は現実的ではないという意見が強まっています。






 2次医療圏をまたいでの患者流出入が多いことに加え、地域によって高度急性期医療や慢性期医療が集中するなど医療圏ごとのばらつきが大きいことが背景にあります。猪口部会長は「13の2次医療圏ごとの構想区域設定は極めて難しい」と述べられ、東京都特有の事情を反映させた構想区域設定の在り方を探っていく考えを示しました。東京都の2次医療圏は、国立がん研究センターや大学病院などを含めた高度急性期医療が集中している「区中央部」(文京・港・千代田・中央・台東)など23区で7つの2次医療圏と、療養病床が集中する多摩地区の5つの2次医療圏、島しょの合計13の2次医療圏で構成しています。23区内でも、区中央部などでは既存病床数が基準病床数を上回っているものの、区南部(品川・大田)、区西部(新宿・中野・杉並)、区西北部(豊島・北・板橋・練馬)、区東北部(荒川・足立・葛飾)では既存病床数が基準病床数に達していない状況となっています。
猪口部会長は、東京都では「区中央部や区西部の高度急性期医療は、2次医療圏に関係なく多くの患者が受診している。例えば葛飾や足立、荒川区の2次医療圏で構想区域を考えたとしても、患者は高度急性期医療を文京区に求める」と指摘しています。その上で「都の医療の実態と、構想区域を合わせようとすれば“23区で1つの構想区域 "という考え方もあるが、23区だけでは慢性期病床が少なく、4つの医療機能を入れた構想区域とするのは極めて難しい」と述べられた。さらに「東京都全体で1つの構想区域という声も強いが、それでは地域偏在が依然として解消できない」とし、東京都の構想区域の設定が大きな課題になっているとの認識を強調しました。また、構想区域設定に関する議論に臨むに当たり「いろいろ課題があっても既存の2次医療圏で構想区域を設定すべきという意見や、先ほど言ったように東京都全体を1つの構想区域にする案、病床機能ごとに構想区域を変える案、特定機能病院を外した上で 基準病床を策定する案、23区は1構想区域で多摩地区は2次医療圏で設定する案など、さまざまな声がある」とし、意見集約に向けた部会の議論を慎重に進める考えを示しました。

地域医療構想において、東京都は他の地域とは明らかに異なるでしょう。おそらく現状の2次医療圏をベースに考えることは、現状にそぐわないからです。ただ、東京都を一つの構想区域としてしまうと、構想区域の設定の本質とはかけ離れていきますし、なかなか難しいと思います。ただ、これだけ高度急性期医療が集中している地域は東京以外にはありませんし、人口密度がここまで高い地域もありません。しかし問題は医療提供体制だけでなく、高齢者を看ていく施設が全然足りていないこともあります。おそらく今からサ高住などの建設も行なわれるかもしれませんが、それでも追いつかないでしょう。そうなると、移住という選択肢も必要なのかもしれません。地域包括ケアシステムの本質からはずれますが、医療や介護の資源が枯渇している地域での生活に不安を感じるなら、それも誤まった方向性でもないのかもしれません。








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2015年5月26日火曜日

医療法人の遊休スペース、賃貸可能に

 厚生労働省は、医療法人の運営管理指導要綱を改正し、医療法人が所有していながら使用していない土地や建物などの遊休資産について賃貸することを可能としました。2014年6月に閣議決定された日本再興戦略を踏まえた対応で、賃貸収入が過度に高額である場合や貸付資産の数が過度に多いケースなどを除き、遊休資産の管理手段として賃貸も認めることにしました。





 日本再興戦略には、医療法人が所有する遊休スペースについて、「介護施設・高齢者向け住宅等の用途に使用することを目的とした賃貸事業を附帯業務として認めるなど、医療法人の附帯業務の範囲を拡大する」と、医療法人制度に関する規制の見直しが盛り込まれていました。

 そこで、厚生労働省は「病院又は老人保健施設等を開設する医療法人の運営管理指導要綱」を改正し、現在使用しておらず、長期的にも同法人の業務に使用する可能性のない土地や建物などは、例えば売却するなど適正に管理するのが原則だとしました。
 その上で、将来的な病院の建て替えを目的に所有している土地など、長期的に医療法人の業務に使用する可能性のある資産は賃貸しても差し支えないと明示しました。ただし、賃貸により、医療法人が開設する病院などの業務を妨げる恐れがある場合や、初めから賃貸することを目的に新たな土地などを取得することは認めないとしました。

今回の規制の見直しは、本質が何かが私はまだ把握できておりません。何故国が賃貸を認める方向へ舵を切ったのか。長い目で見れば地域医療連携推進法人間での協働経営に向けた施策であるとも取れなくはないが、あまり直接的なつながりが見えてこないですし、本質的な意図はもっと別のところに存在するのだと思います。ただ、規制の撤廃は医療法人としては追い風になるのでしょうし、うまく活用することが今後の経営の手腕にも掛かってくるでしょう。








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2015年5月25日月曜日

社会保障費の伸びの本当の要因は

公明党の社会保障制度調査会(桝屋敬悟会長)は5月15日、財政制度等審議会で進められている議論について財務省から聞き取りを行ないました。出席した議員からは社会保障費の伸びの要因分析を求める意見がだされました。






 財政審は、2020年度までに国と地方を合わせた基礎的財政収支を黒字化させる政府目標の達成に向け、今後5年間の社会保障関係費の伸びを高齢化による伸び(2兆円強~2.5兆円)以内に抑制する方針で大筋合意しています。桝屋会長によると、出席者から「高齢化による伸び、医療の高度化による伸びなど、社会保障関係費がなぜ伸びるのか要因を分析できているのか。もう少し整理する必要があるのではないか」との指摘があったといいます。社会保障関係費が伸びる要因について、財務省は「分析できていない」と説明されました。また同日の会合では、黒字化目標を達成するため、政府が今夏にまとめる財政健全化計画 をめぐり「数値目標ありきで社会保障費の構造改革を進めるべきでない」との声も上がりました。一方、桝屋会長は、2016年度の診療報酬改定率を決める過程では薬価財源の取り扱いが焦点になるという見方を強調しました。前回2014年度改定の際に、いわゆる「薬価財源の切り離し」が実績として残りましたが、桝屋会長はこの問題について、関係団体と協議しながら党内での議論を深める意向を示しました。

増え続ける社会保障費ですが、確かに高齢化による医療費の全体のボリュームが大きくなっていることもありますが、高度医療の進展によるところもあると指摘されています。ただ、これは適正か不適正なのかといわれると、これまで治すことができなかった疾病に対し治せるようになったということは、国民の健康維持に大きく貢献しているわけであり、必要なのはその高度医療・高度急性期医療を誰に提供することが適正であるのか。80歳や85歳の方々に、どこまでの医療を提供するべきなのか。ただ、医療人としては救える可能性があるのなら、延命できる可能性があるのなら、全人的医療で取り組むことが使命であるという強い意思を持っているのです。それは、適正ではないのでしょうか。それをどこかで基準を設けて線を引いて良いのでしょうか。社会保障費を使わない自費なら良いのでしょうか。日本の医療制度が世界的に高いと言われている国民皆保険制度の維持は、正しい方向性なのでしょうか。否や、向かうべき方向性はどこなのでしょうか。








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2015年5月24日日曜日

国家戦略特区の医学部新設について

日本医師会 と日本医学会、全国医学部長病院長会議は5月13日、国家戦略特区による医学部新設に反対する考えをあらためて表明しました。 日医の横倉義武会長は、従来の主張を強調し、政府に慎重な対応を求めました。3団体が合同で医学部新設に反対する会見を開いたのは2月以来です。






東京圏国家戦略特別区域会議の「成田市分科会」で新設に関する議論が進んでいることに対して「十分な情報を国民や医療界に開示することなく、結論ありきで進められている」と指摘されました。国民に周知した上で十分な議論を尽くすべきとの立場を強調する一方、これからの医学部新設は医師不足対策につながらないことや、地域医療の再生を妨げる恐れがあることなど、従来から懸念する問題点に理解を求めました。横倉会長は「国家戦略特区による医学部新設は国民が求める医療を崩壊させる」として医育、医学、医療界の総意として医学部新設に反対していると説明されました。「これまでの医師数の伸びを踏まえると、今後の環境変化や勤務医の負担軽減にも対応できる。増加した医学部入学者が医師として医療現場に就業した状況を見た上で医学部定員の議論をすべきだ」と訴えました。また、今回の医学部新設に関する検討に対し、文部科学省と厚生労働省の関わりが消極的だと非難されました。「医師の教育の在り方や、その後のことを考えれば、文部科学省や厚生労働省が関与すべきことなのに、両省が十分に関与しないままこのような話が進んでいる。両省はもっと真剣に取り組んでもらいたい」と苦言を呈しました。
日本医学会の高久史麿会長は、医学生の増加による「質」の問題に言及されました。「大学入試センター試験の成績が下がってきています。臨床実習前の教養試験の再試験者の割合 も増えている」と学生の質に悪影響を及ぼしていると主張した上で、医学部新設がそれら に拍車を掛けることになるとの見解を示しました。全国医学部長病院長会議の小川彰顧問 は「成田市分科会の検討はマスコミに十分な情報が届いていないなど、開催時期や議論の方向性などが国民に情報開示されていない」などと述べ、分科会の運営自体に疑問を呈しました。 千葉県医師会の田畑陽一郎会長は、病床使用許可を取得したにもかかわらず病床を稼働できない医療機関があると説明した上で、医師や看護師の引き抜きに強い警戒感を示しました。

私見ですが、日医はあくまで既得権を守るためだけに主張していると捉えています。医師が増えことで自分たちの既得権が侵されることをおびえているとしか思えません。諸外国に比べて日本は医師数が少ないことは周知の事実であり、それが入院期間の増長の要因にもなっているという見解もあります。ときどき入院ほぼ在宅を実現するためにも、入院期間は短くなければならないはずであります。今回の医学部新設でそれほど大きな影響があるとは思えませんが、要は決壊して歯止めが利かなくなることへの抵抗なのでしょう。しかし、本当に医療提供体制を維持するためには、医師数の理想値についても考慮しなければ、実現は困難であるでしょう。








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2015年5月23日土曜日

患者の了承を得ずに精子の凍結保存を中止

大阪市立総合医療センター(大阪市都島区)が、患者2人の了承を得ずに精子の凍結保存を中止していました。不妊治療で精子を使おうとした患者の問い合わせで発覚しました。病院側は1人に謝罪したが、別の1人には別病院に精子を移すよう求めていたとして、問題ないとの見解を示しました。






保存を打ち切られたのは大阪府と奈良県の30代の男性2人でした。大阪の男性によると、精子をつくる機能に悪影響が懸念される放射線治療などのため、2003年12月に両親や医師の勧めで精子を無償で凍結保存しました。奈良の男性は2004年11月に凍結保存していました。
 大阪市立総合医療センターによると、2012年4月に責任者の婦人科副部長が別病院に異動しました。その時点で計13人分の精子を無償で凍結保存していましたが、2014年9月ごろ、元副部長の指示で凍結保存のための液体窒素の補充が打ち切られていました。
 元副部長によると、2012年4月の異動時に「1年をめどに患者の意向を確認してほしい」と口頭で看護師に依頼していたため、保管期限が2013年3月末までということが患者にも伝わっていると思い込んだといいます。液体窒素の補充をしていた医師も、患者の了承が得られているか確認をしておりませんでした。
 2015年4月、精子を使おうとした大阪の男性が大阪市立総合医療センターに問い合わせて凍結保存の中止が発覚しました。病院側が調べたところ、13人中6人については元副部長が事前に了承を得ており、3人は死亡していました。別の2人には「1年ごとに意思表示をしなければ廃棄する」と書いた文書を渡していた記録が見つかっていました。
 しかし、大阪と奈良の2人には了承を得ていませんでした。奈良の男性には5月15日に電話で謝罪したといいます。大阪の男性については、2013年3月末までに別病院に精子を移すよう、2012年の受診時に依頼していたとして、問題ないとの見解を示しています。男性は「勝手に廃棄することはないと説明された」と主張しているが病院側は否定しています。
 保存容器は現在も病院内にあるが、内部の精子の機能は失われているといいます。

大阪市立総合医療センターの瀧藤伸英病院長は、「大阪の男性については、凍結保存継続の意思表明がなかったので保管をやめた。他の病院に移管するよう伝えていたので対応に問題はない。言葉がなくても、移管をお願いした期限より先は保証できないという意思があった。その意味を患者が受け取れたかは何とも言えない。説明が不十分だったことは否めず、文書も示して説明すべきだった。奈良の男性には謝罪した。結果的に男性は精子を使う予定がなかったが、そうでなければ取り返しのつかないことになっていたと思うと述べています。

今回の大阪市立総合医療センターの対応について、疎かであったと感じるところが多々あります。ただ今回の件の根底がどこにあったのか、病院内でどのように捉えてこれからどうするのかが重要であると思います。とくにこれからの医療は労働世代への医療から高齢者世代への支える医療へとニーズがシフトしていきます。その際に特に重要となってくるのがどこまで医療を提供するのかインフォームドコンセントであります。これからその求められる領域が治療に関するところに限らず医療の現場での多岐にわたり拡大していくことをしっかりと捉え、対応していかなければならないと思います。








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2015年5月22日金曜日

有料老人ホーム「地域包括ケアの中心」

厚生労働省老健局の三浦公嗣局長は5月20日の全国特定施設事業者協議会(特定協)の特定施設事例研究発表全国大会でのあいさつの中で、「有料老人ホームをはじめとする高齢者の住まいは地域包括ケアシステムの中心だ」と改めて強調されました。また、2015年1月に国がまとめた認知症施策推進総合戦略「新オレンジプラン」に触れて、プランの推進には「認知症の方々にどうやって有料老人ホームや特定施設に入っていただくかが課題になる」と述べられました。






三浦局長は、有料老人ホームなどの特定施設について、「今後は終のすみかの役割も果たしていくことが期待されている」と指摘されました。特定施設が適切な看取り介護の体制をより強化していく必要性を示されました。
 特定施設事例研究発表全国大会では、「ケアマネジメント」と「看取り介護」「認知症ケア」「アクティビティ」の4テーマについて、全国から集まった有料老人ホームの関係者らが具体事例を発表しました。この中の認知症ケアの発表では、化粧品会社での勤務経験を有する職員が中心となり、認知症の入居者にフェイスマッサージや化粧など肌のケアを行うことで、自身の身の回りのことが行えず、不穏になる傾向があった入居者が、自発的に整髪や化粧をするようになり、介護拒否などの問題行動が減少した事例が報告されました。

認知症対策はこれからの大きな課題であり、いかに地域で認知症患者を看ていくのか、その体制構築が急務となっております。現状の問題点として地域で看ていくことが困難になった背景には、やはりそこには地域のコミュニティーの希薄化が要因の一つであると捉えています。ここ最近では、特に地方において、顔の見える関係づくりの互助の強化に取り組まれているところの活動が散見されます。地域包括ケアシステムの構築には、地域の自主性・主体制に基づいた自助・互助・公助・共助が必要でしょう。ただし、その中心は本人と家族の選択と心構えの上での住まいと住まい方が軸であります。その視点をおきざりにせずに、地域包括ケアシステムの中心を捉えて構築していかなければならないと感じます。








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2015年5月21日木曜日

後発品目標は60%?80%?

政府の行政改革推進会議・歳出改革ワーキンググループ (WG)の重要課題検証サブ・グループは5月15日、後発医薬品の使用促進について厚生労働省と財務省から意見を聞きました。厚労省医政局の城克文経済課長は、現在の後発品使用状況を踏まえ、数値目標「2017年度末に60%以上」について、「達成時期の前倒しはあり得る」と答えました。






 財務省が求めている80%への引き上げは、後発品企業の供給能力に限界があることなどを考慮し「難しい」と答えました。サブ・グループは有識者委員7人で構成されています。後発品促進について6月に中間とりまとめをし、行政改革推進会議に報告します。会議は非公開で、各省の意見聴取は入れ替え制で行われたようです。土居丈朗座長(慶応大経済学部教授)は「新たな官民共同の会議を新設するわけではなく、行革推進会議の決定に従って設置したこのサブ・グループでヒアリングをする」と会議の位置付けを説明されました。後発品の使用状況 については「以前に比べ普及が進んでいる。足元の普及促進策は、特に2014年度診療報酬改定の措置が効果を発揮している」と評価されました。会合では、ロードマップの数値目標について財務省が、早期の60%達成や、80%ヘの引き上げが可能ではないかと主張しました。
80%への引き上げが難しい理由として厚生労働省の城課長が挙げた供給能力の問題について、財務省は「新薬の特許切れを見込み、設備投資を前もって行えるよう予見性を高めることで担保できる。目標の引き上げは実現可能」と指摘しました。 今後は、5月21日と5月29日に関係団体からヒアリングを実施します。 日本製薬工業協会、日本ジェネリック製薬協会、日本ジェネリック医薬品学会、日本医師会、日本薬剤師会、健保連などを予定しています。

後発品の普及について、確かに日本は遅れているところがあります。それでも2014年度の診療報酬改定での措置は大きな効果をもたらしたと言われています。国民の意識も少しずつ変わってきています。ただそれでも誤った認識を持ち続けている方や、後発品の使用について前向きではない医師も多くいます。ただこれからの取り組みとしては何かと抱き合わせでアメとムチで行なっていかざるを得ない部分もあると思われます。でもまずは、生活保護者の方へは後発品を徹底することなど、落穂拾い的な活動はあるわけで、そこからおこなっていかなければならないでしょう。








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2015年5月20日水曜日

医療費の適正化が進まない地域の診療報酬を引き下げ

政府の経済財政諮問会議が5月19日開かれ、サントリーホールディングスの新浪剛史代表取締役社長ら民間議員は、地域医療構想に沿った地域ごとの病床再編や医療費の地域格差解消を促すため、医療費の適正化が進まない地域の診療報酬を引き下げる仕組みの導入を提案しました。民間議員らは入院受療率と病床数に高い相関があり、これが住民1人当たりの医療費に地域差をもたらしているとみていて、診療報酬の見直しによって医療機関を誘導したり、保険者機能を強化したりすることで、こうした格差の解消につなげる狙いです。






また、塩崎恭久厚生労働相は、後発医薬品の使用を一層促進するため、「新たな目標を設定することが必要」と述べられ、現在の進捗状況を踏まえた具体的な目標を提示する考えを明らかにしました。後発薬への切り替えを進めるため、政府は現在、「2017年度末までに数量シェアで60%」を目標に掲げていますが、民間議員らは米国やドイツ並みの「80-90%」に目標値を引き上げるよう提案しています。
 ただ、塩崎厚労相は「社会保障費の増加を高齢化要因の範囲に抑制すべきとの提案は、経済成長や医療の技術高度化を抑制する恐れがある」とも述べました。
 民間議員はほかに、医薬品や医療技術の費用対効果の評価を踏まえた保険収載の範囲の見直し、薬価改定の頻度の見直しを含めた診療報酬の適正化、介護サービスの大規模化・連携による介護事業の効率化と地域包括ケアシステムの構築なども提案しました。
 また、病床数、平均在院日数のほか国保被保険者や後期高齢者の入院受療率などについて、2020年度を見据えた成果目標(KPI)を都道府県に設定させ、2018年度の中間評価の結果を補助金・交付金の配分に反映するよう、国に求めています。
  いずれも政府が今年夏に取りまとめる財政健全化計画をにらんだもので、これからの「議論の土台」という位置付けになります。甘利明経済再生担当相は、「民間議員の提案の必要性・重要性については合意が得られたと思う」「計画の取りまとめ段階で書き込めるものは書き込み、その後さらに専門調査会を活用して具体化したい」などと述べられました。
診療報酬によるインセンティブについて、5月12日に開いた前回の会合では、地域医療構想を実質的に前倒しで実現できるよう、報酬改定などによって「来年度から最大限の取り組みを開始する」としていました。
これに対して今回は、医療ニーズに応じた効果的な病床配置や在宅ケアを推進するため、診療報酬体系を来年度から大胆に見直す必要性をあらためて強調されました。その上で、「病床再編・地域差解消を促進するよう、医療費適正化の改革が進まない地域における診療報酬の引き下げも活用する」などと踏み込みました。
 甘利経済再生担当相は、「(自治体の)ベストプラクティスを横展開していく」「同じような条件の自治体でも、(1人当たりの医療費に)格差が生じている。ある自治体でやっているような対応を、ほかの自治体でできないはずがない」などと述べました。

最近の動きが加速化してきたというか、いよいよ本格的に稼働してきたと感じるところがあります。ただ、それでもロードマップにたどると決してその進捗は順調とは言えず、各医療圏において最適な医療提供体制が構築できるのかどうか、ある一定の外的な力を働かせなければならない状況であるという危機感は多くの方が持っております。それでも、医療の本来の意義をおきざりにすることなく、国民の健康維持のための提供体制の最適化ということからぶれないように進めて頂きたいものです。






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災害医療研修センターを開設 石巻赤十字病院

東日本大震災で経験した知見やノウハウを生かそうと、石巻赤十字病院(宮城県石巻市)は5月18日、災害医療研修センターの運用を始めました。災害医療のスペシャリストを育成するのが狙いで、石巻赤十字病院は「災害時には支援医療チームのベースキャンプとしても機能する」としています。






東日本大震災の際、石巻医療圏で機能していた石巻赤十字病院に患者が殺到しました。医療支援活動を一元的に行う合同救護チームを編成し、全国から集まった災害医療のスペシャリストらが、豊富な学識と経験、人的ネットワークを生かし、さまざまな課題を解決してきたといいます。
 5月18日にオープンした災害医療研修センターは3階建てで、1階に災害時に支援救護チームのベースキャンプとなる講堂や会議室などを配置しました。2階には、東日本大震災時に使ったトリアージタグや災害カルテなどを保管する資料閲覧室を設けたほか、災害医療の人材育成に取り組んでいるNPO法人「災害医療ACT研究所」の事務局も入りました。

 また、震災後、仮設校舎で授業を受けてきた看護専門学校の学生のために、3階に教室やラウンジ、人形や医療機器などを使って技術練習が可能な「スキルラボ」などを配置しました。「被災の経験を生かしながら、より快適で充実した教育環境を提供する」としています。

東日本大震災で経験というものは、非常に貴重なものであります。自然災害に対する研修というものの必要性について、石巻を起点に全国にまた世界へと広げていくことが、石巻赤十字病院の一つの大義ではないでしょうか。








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2015年5月19日火曜日

医療費の削減に向けての策はかかりつけ医

財務省の財政制度等審議会・財政制度分科会(分科会長=吉川洋・東京大大学院教授)は5月15日、今後の医療の課題などについて森田朗・中医協会長 (国立社会保障・人口問題研究所長)に非公開でヒアリングを行ないました。森田氏は「現在の医療費の支出には削減できる部分がある」とし、医療の実態に関する詳細なデータに基づいて診療報酬制度を見直す必要があるとの考えを示しました。






 森田氏は提出した資料で、財政健全化に向けて医療費を含む社会保障費の支出抑制は必要としつつも「必要な医療費の抑制は可能な限りすべきではない」「マクロ的な抑制策は有効とはいえない」との見解を示しました。その上で「医療費の抑制には、現在の診療報酬制度を見直し、抑制可能な部分の削減を行うべき。それには、医療、保険の実態についての詳細なデータを収集し、エビデンスに基づいて改革を図るべき」と主張されました。当面取り組むべき改革として、現行の診療報酬制度を前提に、保険審査の客観化・厳格化・透明化・ガイドライン導入、医薬品・医療機器などの保険収載・価格決定ヘの費用対効果評価制度の導入、DPCデータなど医療データの蓄積と活用、医療機関の経営効率化を挙げました。
 また、中長期的な制度的課題としては、保険者の統合再編による効率化、保険外併用の範囲・対象の在り方、かかりつけ医制度創設と予防医療推進、マイナンバー(または医療番号)制度を利用した受益と負担の調整を掲げています。
委員からは「かかりつけ医に対するアウトカム加算は可能か」との質問が出ました。森田氏は、かかりつけ医が診ている高血圧患者のうち、一定割合以上の患者で症状が改善した場合に加算が付くという海外事例を紹介し「(加算は)やろうと思えばやれるのでは」と述べられました。かかりつけ医の普及に関する質問に対し、森田氏は「かかりつけ医については中医協も導入に前向きです。現場の先生方も必要性を認めてきている。かかりつけ医を制度として定着させるためには、大学における専攻として、英国の総合家庭医のような専門医のカテゴリーを創設することも必要ではないか」という趣旨の回答をしました。また、森田氏は医療費の効率化について「地域の在宅医療・介護では医療従事者間の情報共有が今は難しいが、IT技術が今後かなり貢献するのでは」と話しました。ドラッグ・ラグについては「申請ラグは短縮化する余地がある。これは日本市場が海外の製薬企業にとってどれくらい魅力的かという問題でもあるし、国民の意識の問題でもある」と語ったといいます。ほかに委員からは「かかりつけ医 (主治医)機能の算定要件が厳しすぎる」「包括払いをさらに拡大していくべき」「頻繁に起こり、医療費が相対的に安い疾病については、保険の適用範囲を少し狭めることも選択肢として考えるべき」「(診療報酬点数を)素直に『円』で表現して国民に分かりやすくしてもいいのでは」との意見が出たといいます。

医療費の支出の削減については、国の財政に掛かる大きな課題であり、もう子や孫の世代に先送りせずに完結に向かわなければならない課題であります。その中で、予防という目線も踏まえ、かかりつけ医機能をしっかりと普及させることは、その効果は大きいと考えられます。ただ、今の体制のままで開業医の医師にかかりつけ医としての役割を担ってもらうようにと加算等で仕向けても、本当の意味でかかりつけ医として機能することは難しいと思われるし、また一人体制の開業医で本当にかかりつけ医として何人の地域の方々を診ることができるのか、チーム医療も必要ですし、連携体制の構築も必要不可欠であると思われます。やはり、医療提供体制の見直しへと繋がっていきそうです。








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2015年5月18日月曜日

日本の「うつ病率」は低いのか

近年、精神疾患の患者数が増えています。なかでも、うつ病の患者数だ。厚生労働省によると、平成8年に43.3万人だった患者数は、平成23年に95.8万人へと急増しています。
しかし、世界的な製薬会社であるルンドベックの「職場におけるうつ病の影響」調査によると、働く人の「うつ病率」に関しては、実は日本より外国の方が高いようです。






世界16カ国(各1000人)を対象に行われたこの調査で、16~64歳の働く人に占める「うつ病と診断された経験者の割合」は、日本が10%だったのに対し、イギリスは27%、オーストラリアは26%、アメリカは23%と、日本の2倍以上に及んだといいます。
ただし、この結果から「日本の状況は海外ほど深刻ではない?」と考えるのは早計のようです。長崎大学精神神経科学の小澤寛樹教授は、「このうつ病率を見て、日本は大丈夫と考えない方がいいです。欧米圏とアジア圏の人では、うつ病に対する症状の出方が異なる傾向にあるためです。欧米圏の人はうつ病が精神面に作用しやすいのに対して、アジア圏の人は頭痛や腰痛、あるいは食欲不振といった身体症状として出やすいんです。そのため、アジア圏ではうつ病を患っていながら、別の病気だと思ったり、気づかなかったりするケースが多いんですね。日本のうつ病率が低いのも、そのためと考えられます」と述べております。
実際、ほかのアジア諸国のうつ病率を見ても、韓国は7%、中国は6%と、欧米諸国より低めになっています。しかし、WHO(世界保健機関)が定期的に発表する自殺率をみると、日本や韓国は非常に高い状況です。小澤氏は、こうした事実からも「東洋人のうつ病は、気づきにくい『仮面うつ』である」といいます。

「そのほか、欧米やオーストラリア、南アフリカなどは、うつ病へのサポートが非常に手厚く、そのぶん、うつ病の申告もしやすいため、うつ病率が高くなる面もあるでしょう。たとえば、メルボルンの学校では精神疾患に関する教育が盛り込まれていますし、アメリカの企業は社内カウンセラーが離婚問題などのレベルから相談に乗って“うつ予防”に力を入れるほど細かくサポートしています」
確かに日本企業だと、自分が「うつ病」だと言いにくい雰囲気を感じているビジネスパーソンも多いだろう。なお、「うつ病」の認知度が上がると発症率も上昇する面があるようで、中国では近年、急激にうつ病率が高まっているといいます。
日本でもうつ病の認知度はだいぶ高まってきましたが、欧米のようなサポート体制はまだ整っているとは言えません。逆にいえば、今後サポート体制が整うことで、日本のうつ病率はさらに増えていく可能性もありえます。欧米並みの水準になれば、およそ4人に1人は「うつ病経験アリ」ということになります。

日本では、まだまだ精神疾患に対する社会的認識が低いというか、水面下に潜んでいる部分が多いと思われます。整備を進めることでそれら水面下の数字が顕在化してくることでうつ病率が高騰することも考えられますが、しっかりと向き合える体制を整えて、サポートを行なっていくことが急務となっていくでしょう。








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2015年5月17日日曜日

東京大医学部付属病院が臨床研究中核病院の申請

東京大医学部付属病院は、今国会で審議中の医療保険制度改革法案に盛り込まれている患者申出療養制度の運用に向けて、臨床研究中核病院の申請を行う方針を固めました。 2015年7月までに策定する今後2年間の行動計画に盛り込む予定です。






4月に新病院長に就任した齊藤延人院長は、医療法上の臨床研究中核病院の申請をする考えを明らかにした上で「特定機能病院よりも一段高い承認要件であり、ガバナンスなどの体制整備をテヨ入れしている。最終的な承認が得られるか何とも言えない部分もあるが、病院全体で取り組むことが重要と認識している」と語りました。齊藤院長は、臨床研究中核病院の承認取得に向けた体制整備として、病院長を監査する委員会整備や、データ管理体制の強化を進める姿勢を示しました。近年の臨床研究データの不正事件や、特定機能病院の承認取り消し事件などの不祥事が相次いでいることにも触れ「当院でも臨床研究に伴う不適切事案があった。しっかりと説明責任が果たせるよう承認要件よりも、一段高いレベルで準備に取り組まなければならない」との認識を示しました。
また、東大病院では、10月に臨床研究棟であるクリニカルリサーチセンターが竣工することを見据え、1月から臨床研究ガバナンス部を新たに立ち上げ、必要な組織体制づくりを本格化させています。臨床研究ガバナンス部は、病院長と、研究支援部長を担当する副院長の管理下の組織で、さらに下部組織として、研究をマネジメントする先端医療開発戦略室、研究者教育を強化する臨床研究者教育研修室、研究監視機能を強化する監査・信頼性保証室を設置している。臨床研究の品質と信頼性の担保や、研究不正の防止が狙いで、齊藤院長は「東大が率先して研究ガバナンスの規範を示し、アカデミア研究の信頼回復に努めたい」と強調されました。一方、齊藤院長は「東大病院における2014年度決算は赤字になる見通し」にあることを明らかにしました。東大病院の財務状況については「税率5%から8%に引き上げられたことで病院としての持ち出し分は年間約2億円となった。消費税の影響が大きく厳しい状況だ」としました。東大病院の2014年度実績は、平均在院日数が13.5日、紹介率88.8%、逆紹介率86.5%で高い数値が並んでおり「職員全員がギリギリのところで頑張っている。ただ、2017年度の税率10%への引き上げを考えれば、医療における控除対象外消費税の問題解決は喫緊の課題」とし、安定的な経営基盤には消費税問題の解決が不可欠との見解を示しました。

東京大医学部付属病院ですら、消費税の影響は経営に大きく響いており、今後の更なる増税の事を考えると、控除対象外消費税の問題解決も求めていきますが、まずは自分たちで取り組めるところから取り組んでいかなければ、医療提供を継続困難となりかねません。しかし、全国的にみて、東京大医学部付属病院より厳しい状況下で運営されている医療機関も多く存在するはずであり、今後社会保障費の適正化、医療費の更なる抑制の波も考慮した上で、差別化を図り機能を高めなければならない時に差し迫っているわけです。今回の東京大医学部付属病院の動きを地方の医療機関はどのようにみているのか。自分たちも同じく臨床研究中核病院として手を上げることではないとは思いますが、それでも新たな次元での医療の在り方を検討しつつ、動き始めなければ大学病院ですら淘汰されてしまう厳しい業界であるということです。








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2015年5月16日土曜日

軽症患者の救急を有料化案

財務省主計局は5月11日の財政制度等審議会,財政制度分科会(分科会長=古川洋・東京大大学院教授)で、軽症患者への救急出動の有料化を論点として提示しました。終了後に会見 した吉川分科会長によると、委員からは救急の一部有料化に賛成する声が出たと述べられました。 吉川氏も会見で、検討に値する論点との考えを示しました。






 主計局が地方財政について示した資料によりますと、2013年の救急出動件数は591万件 で10年間で20%増となりました。一方、救急搬送者のうち49.9%が軽症となっています。主計局は「現状を放置すれば、真に緊急を要する傷病者への対応が遅れ、救命に影響が出かねない」とした上で、「諸外国の例も参考に、例えば、軽症の場合の有料化などを検討すべきではないか」と提言しています。吉川氏によると、委員からは「救急車を利用して結果として救急でなかった場合、ある種のモラルハザードであり、ペナルティーを科して有料化することがあってしかるべき」という趣旨の意見が出ました。患者負担の具体的な範囲については議論していないといいます。
麻生太郎財務相は5月12日の閣議後会見で、軽症患者への救急出動有料化について「何十年も前からある話」とした上で、「(財政審は)歳出の合理化などを考えた時にきちんとした対応を検討されるのではないか。一つの考え方だと思う」と理解を示しました。自分の一族の会社が病院を経営していることから「どの程度の人が来るかよく知っている」と述べられ、現場を見てから判断した方がよいとの考えも示しました。

確かに救急の軽症化については、問題の一つです。救急出動件数が増えることによる医療機関側の体制も整えなければいけませんし、そうなると人件費をはじめとした費用も多くなる。もちろん医師をはじめとした職員の疲弊も生じてくるという問題も伴なってきます。救急や急性期病院への抑制対策としてゲートキーパーとしてのかかりつけ医を国民に浸透させようという動きもありますが、まだまだ理想と現実の間には大きな差があります。そもそもかかりつけ医を持っている方というのは、まだまだ少ないのが現実です。慢性的な疾患患者であればかかりつけ医はいるかもしれませんが、基本的に健康な方というのは、かかりつけ医というより医療機関と遠いところで日々の生活を送っています。そのような方々にいきなりかかりつけ医をと言っても、それは現実的ではないでしょう。でもそのような方でも、ある日突然体調不良となることだってあります。医療の専門家ではないので、何が悪いのか重症なのか軽症なのかも判断がつかない、病院をたらいまわしされて日にちや時間を多く費やさなければならないリスクがあるなら、そこを少しでも短縮しようと急性期病院へ駆け込む、また救急車で行けば優先してもらえると、誤った判断基準で医療機関へ来られるわけです。かかりつけ医も重要です。しかし、もっと根本的な体制の見直しをしなければ、医療提供体制の適正化は困難ではないでしょうか。








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2015年5月15日金曜日

地域医療構想、27都府県が年度内策定

2025年の医療機能ごとの病床数の必要量や、その達成に向けた施策などで構成される地域医療構想(ビジョン)を、過半数の27都府県が年度内に策定する予定であることが、キャリアブレインが47都道府県に実施したアンケート調査で明らかになりました。






ビジョンは医療計画の一部です。2015年4月に施行された改正医療法に基づき、各都道府県で策定作業が進められています。キャリアブレインは4月、ビジョンの策定についての調査票を各都道府県に配布し全都道府県から回答を得ました。
 この中で、ビジョンの策定を目指す時期を聞いたところ、27都府県が今年度中だと答えました。具体的な時期を尋ねた質問には、青森県など11県が2016年3月と回答しました。
 一方、9道県は「2016年度中」、11府県は「決まっていない」「分からない」と回答しました。
 この調査結果に対して厚生労働省医政局の北波孝・地域医療計画課長は、「都道府県ごとの事情がある中、精力的に取り組んでいる結果が表れている」との見方を示しています。
また調査では、ビジョンの達成に向けた関係者の意見調整などのため、都道府県が設置することになっている地域医療構想調整会議(調整会議)を設置する時期についても聞いていました。
 ビジョンを策定するより前に設置するつもりだと答えたのは25都道府県で、このうち徳島県では、既に3つの二次医療圏ごとに調整会議を立ち上げ、各会議で初会合を4月に開催していました。
 一方、9県はビジョンの策定後に設置する予定だとし、13府県は決まっていないとの答えでした。
 調査ではそのほか、病床の機能分化と連携を推進する地域的な単位の構想区域と二次医療圏との関係や、構想区域ごとの医療需要を推計するために民間の研究機関などに協力を依頼するかどうか、独自の工夫などについても聞いておりました。

地域医療構想は各医療機関において、とても意識の高いところだと思います。これからの自病院の立ち位置、地域での役割が定まっていくわけですから、今後の病院運営の方向性が定まるわけです。自病院が進む道がいばらの道なのかそれともブルーオーシャンの勝ち組へと向けたバラ色の道なのか。ただ、国全体の病床の見直し改革シナリオも踏まえ、医療費の抑制が財務省から強く言われて続けていることも踏まえ、どの道を行けど厳しい道を歩まざるを得ないとは思います。それであれば、理事長・院長がやりたい医療ということになっていくのでしょうが、地域の市民がどのようにみているのか、患者や家族を中心とした提供体制で検討していかなければ、一番のステークホルダーである方々をはずしては形骸化するだけの構想となってしまうのではないでしょうか。








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2015年5月14日木曜日

つつが虫病が流行

ダニの一種のツツガムシの幼虫に刺されて、高熱や発疹などの症状が出る「つつが虫病」の患者報告が、東北地方で相次いでいます。初夏から秋にかけて報告が増える傾向にあるため、患者の届け出があった自治体では、刺されたことが疑われたり、高熱が出たりした場合は、早めに医療機関を受診するよう呼び掛けています。






つつが虫病は、「オリエンティア・ツツガムシ」という病原体を持つ特別なツツガムシの幼虫に吸着され、その病原体が人の体内に入った際に発病し、39度から40度の高熱や赤褐色の発疹が現れます。早期に適切な治療を受ければ熱は下がるが、重症化した場合、脳炎のような症状などが出て入院が必要となるケースもあるといいます。
 東北地方では4月から患者報告が出始めており、5月8日には山形県が県内で今年初めて患者が報告されたと発表しました。山形県によると、発病したのは山形市内の80歳代の女性で、4月21日に医療機関を受診しました。37.7度の発熱とけい部から腹部、背部にかけて発疹が見られ、刺し口も確認されました。
 同日の検査では陰性でしたが、5月1日に医療機関を再受診した際、再検査のため血液を採取しました。血液検査の結果、7日につつが虫病と判明しました。患者は発症の1週間ほど前に自宅近くの山に出掛けていたといいます。
 青森県も7日、青森内で今年初めてつつが虫病患者の届け出があったと発表しました。患者の発生が確認された宮城と秋田の両県でもウェブサイトなどで注意を呼び掛けています。
 具体的には、山林や原野などに入る際、長靴や手袋を着用する、長袖を着用し、素肌を出さない、草むらに直接座らない、脱いだものはすべて洗濯するといった予防策を提示しています。脇の下のリンパ腺が腫れたり、高熱が出たりした場合、医師の診察を受けることを勧めています。

日本では、新潟県などの北陸地方や秋田県・山形県などの東北地方の河川敷でつつが虫病は多く見られていますが、ツツガムシの幼虫は0.2ミリ程度の大きさで刺されても気づかないことのほうが多いです。また高熱が出たりしてもインフルエンザかなと勝手に間違った判断をされていることも多いので、医師の確定診断を早期に行なうことが重要です。








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2015年5月13日水曜日

危険ドラッグの使用は最多の34%

2014年9~10月に全国の医療機関で治療を受けた薬物乱用患者の34%が過去1年間に主に危険ドラッグを使用し、覚せい剤など他の薬物を上回って最多を占めたとの調査結果を厚生労働省研究班が5月7日までにまとめました。厚生労働省は、店舗やインターネットを対象に危険ドラッグ販売の取り締まりを強化していますが、専門家は治療体制の整備も必要と指摘しています。






 研究班は全国の精神科病床がある医療機関1598施設に2014年8月、協力を要請、2014年9月~10月の2カ月間に薬物依存症などで治療を受けた患者の有無や使用薬物の種類などを調べました。200以上の施設から1579人分の患者データが集まりました。うち過去1年間に乱用経験があり「主に使用していた薬物がある」と回答した1019人について、薬物の種類を分析したところ、危険ドラッグが34.8%(355人)と最多を占めました。続いて覚せ い剤27.4%(279人)、医薬品(睡眠薬と抗不安薬)16.9%(172人)、シンナーなどの有機溶剤4.3%(44人)の順でした。過去1年間の乱用がない人も含めた1579人全体で今までどんな薬物を使ったことがあるか複数回答で集計し、2012年に実施した同様の調査の結果と比較しました。覚せい剤が63.3%から60.9%となるなど、ほとんどの薬物の使用割合が減少する一方で、危険ドラッグは27.5%から31.2%に増加しました。
研究を実施した国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦薬物依存研究部長は、危険ドラッグの取り締まりで新たな乱用者は減っているとの見方を示しており、依存症患者への対応に関しては「薬物への欲求を低減させる専門プログラムを普及させたり、自助グループヘの参加を促したりと、患者が乱用を断ち切るための方策を充実させるべきだ」と指摘 しました。

最近は、ニュースでも取り上げられる頻度が下がってきたこともあり、危険ドラッグは減少傾向にあるのかと錯覚を起こしている方も多くいらっしゃいますが、このような調査結果はすべて氷山の一角にすぎません。水面下にどれだけのものが潜んでいるのか、まずはそちらに視点を向けることも大事ではないでしょうか。しっかりとした状況把握をしておかなければ、未成年などが狭い情報で誤った方向性に陥らないように、光を当てることをしっかり行なって頂きたいものです。








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2015年5月12日火曜日

後発医薬品は大学病院では進まず

2014年度診療報酬改定で、DPC制度の機能評価係数Ⅱとして新設された「後発医薬品係数」の評価上限60%を満たしているのは2014年改定時の189病院から、2015年4月告示で114病院増の303病院となりました。ただ内訳を見ると、大学病院本院のI群が改定時から変化がない一方、Ⅱ群、Ⅲ群で増加しており、これが全体の増加分を押し上げる傾向が鮮明になっています。






厚生労働省が4月27日のDPC評価分科会に報告した2015年度の機能評価係数1の告示を見ますと、評価上限60%を満たしていたのは303病院のうち、I群病院はたった4病院で、Ⅱ群病院が14病院、Ⅲ群病院が285病院でした。I群は改定時から変化がない一方で、Ⅱ群、Ⅲ群ではそれぞれ8病院、106病院増えている状況です。I群の4病院は、改定時と同じ埼玉医科大、聖マリアンナ医科大、横浜市立大、関西医科大の4病院です。Ⅱ群は、特定機能病院のがん研究会有明病院と国立循環器病研究センターをはじめ、前橋赤十宇病院、日本赤十宇社医療センター、諏訪赤十宇病院、伊勢赤十字病院、災害医療センター、岡山医療センター、熊本医療センター、小牧市民病院、兵庫県立尼崎病院、鳥取県立中央病院、南風病院、浦添総合病院 となっています。このうち、2014年度改定時から評価上限を満たしていたのはがん研究会有明病院、諏訪赤十宇病院、伊勢赤十字病院、岡山医療センター、小牧市民病院、鳥取県立中央病院の6病院でした。後発品をめぐっては、財務省の財政制度等審議会が4月27日、さらなる使用促進を目指すため後発品係数の評価上限を80%まで引き上げるよう提言しています。また、中医協・DPC評価分科会では次期改定で、機能評価係数Ⅱの等分評価を「重み付け評価」にする方向性が出ており、後発品係数の評価の在り方を探る議論が進む見通しになっています。

後発医薬品については、かなり国民の認識も改善されてきましたが、それでもまだ誤った認識をお持ちの方が、患者でも医療提供者でも多くいます。それでも報酬という強い力によりここまで浸透してきたというのが事実であると思います。ただ、その力だけでは後発医薬品に対する本当の意味での認識の改善にはつながらず、後発医薬品の浸透が広がらないところであると思います。地道な活動によりどこまで浸透拡大させることができるのか、このままの延長線上ではあるべき姿には辿りつかないのではないでしょうか。








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2015年5月11日月曜日

病院病床数の減少

病院の病床数は、2015年2月には前月に比べて275床減少し、156万9297床となったと、厚生労働省が5月1日に発表しました。全国の病院数に変化はありませんが、有床療所数は26減少して8248施設となっています。






まず2015年2月の医療施設総数は全国で17万8016施設あり、前月よりも76施設減少しました。

 このうち病院は8492施設で、前月から変化はありません。種類別に見ると、一般病院は7424施設で前月比1施設減、精神科病院は1068施設で前月比1施設増となりました。

 一般病院の中で、療養病床を持つ病院は3861施設(前月比2施設増)、地域医療支援病院は485施設(前月から増減なし)となっています。

 また、有床診療所は8248施設で、前月から26施設減少しました。


一方、病床数に目を移すと、2015年2月の全数は168万464床で、前月から562床減少しました。

 このうち病院の病床数は156万9297床で、前月に比べて275床の減少。一般病床では347床減の89万4274床となっています。平均在院日数の減少が進む中では病床数の削減が避けられず、今後も減少傾向が続くと見られます。


一般診療所は10万744施設(同57施設減、同139施設増)、一般診療所の病床数は11万1,076床(同287床減、同6,365床減)でした。歯科診療所の施設数は6万8,780施設(同19施設減、同104施設増)で、歯科診療所の病床数は91床(同増減なし、同1床増)でした。

これから地域医療構想が進むにあたり、各地域での病院の動向は非常に気になる理事長が多くいらっしゃると思います。実際、過剰地域となっている地域においては、どのようにダウンサイジングを行なっていくのか、自然淘汰などではなく、都道府県が大鉈をふるうのか、補助金等で誘導するのか、どちらにしろ、これからますます病床は減る方向で加速していくことでしょう。








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2015年5月10日日曜日

ナースセンターとハローワークの連携強化

日本看護協会は4月30日、厚生労働省職業安定局長宛てに、2016年度予算編成に向けて「ハローワークとナースセンターの連携強化」を求める要望書を提出しました。






深刻な看護師不足が続く中では、結婚や出産などで一線を退いた看護師の資格保持者の再就業に注目が集まり、都道府県の看護協会が設置するナースセンターで有資格者向けの情報把握や相談支援などが行われています。
 今年10月に施行される改正看護師等人材確保促進法では、ナースセンターによる看護職員の再就業支援機能のさらなる強化が図られることとなっていますが、日本看護協会は「2013年度から実施されているナースセンター・ハローワーク連携モデル事業では、連携強化に向けた課題も明らかになってきている」とし、2016年度予算の編成に当たってさらなる連携を進めるよう求めています。
 具体的な要望項目は、(1)ハローワークとナースセンターの連携の一層の強化、(2)看護職のセカンドキャリア就業について導入事例の収集になります。
 特にハローワークとナースセンターの連携の強化では、ハローワークとナースセンターとの間での電子媒体による求職者情報の共有、連携対象となるハローワークの拡大、を求めています。

これから、看護師の不足、特に訪問看護における看護師の不足は問題視されておりますが、なかなか潜在ナースの掘り起こしは、どの地域でも進んでいない状況です。ただ、7対1が本当に改革シナリオ通り進んで行けば、多くの看護師が病院からあふれ出てくるという試算をされているところもあります。おそらく、結婚や出産や一線を退いた看護師がいきなり訪問看護師として患者の居宅で医療を提供することは、そう簡単ではないでしょうし、何より一人ひとりの看護師が負わなければならない責任の範疇が、とても大きなハードルとして立ちはだかると思います。そこをどのようにフォローしていけるか、看護協会としても取り組むべき課題が多くありそうです。








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2015年5月9日土曜日

地域包括ケア病棟、1.4万床

急性期病棟を退院した患者や、体調を崩した在宅患者の受け皿として「地域包括ケア病棟」が2014年度診療報酬改定で設けられてから1年になりました。全国の病院による算定状況をGHCが調査したところ、2015年3月までの1年間で、全国の1113病院から届け出申請があることが分かりました。病床数は確認できる24道県だけで少なくとも1万4593床(うち一般病床からの移行が1万3828床、療養病床からの移行が765床)になっています。






集計は4月30日現在の状況になります。病棟単位で届け出る「地域包括ケア病棟入院料」(「入院料1」と「入院料2」)と病室単位の「地域包括ケア入院医療管理料」(管理料1と管理料2)について、地方厚生各局が発表した届け出状況を集計しました。ただ、届け出病院数は3月の情報が17県で更新されていません。病床数は23都府県の情報が非公開で、九州地方の8県も最新の1月分までの集計となりました。
地域包括ケア病棟の届け出数は、2014年10月に単月で439件と急増したものの、それ以降は微増にとどまっています。GHCアソシエイトマネジャーの湯原淳平は、「約36万床ある7対1病床の最適化に対する効果はまだ薄い。国が病床転換を一層推進するなら、次の診療報酬改定でさらに高い点数を付けて後押しする可能性がある」と指摘しています。
 また、一般病床からの転換分のうち「地域包括ケア病棟入院料」は半分程度にとどまっていて、湯原は「地域包括ケア病棟を十分に整備するには、7対1病床からの病棟単位での移行が欠かせない」と話しています。
このほか、都道府県別では、92病院(94件)が届け出ている福岡県が圧倒的に多い状況です。また、届け出済みの病院を病床規模別に見ると200床以下が全体の約8割を占めていますが、400床を超える51病院が届け出ています。経営母体はといいますと、民間が75%であり、やはり民間病院の方が動きが早いと見てとれます。

7対1病床の急性期に残るのかどうするのか、多くの医療機関がまだまだ思案しているところだと思います。経営者としては、いかに事業を継続させるか、病院を存続させるかが最大のポイントとして、そのためにどうするべきか、検討されていると思うのですが、その延長線上では、地域医療構想はまとまらないでしょう。確かにこれまで地域の方々に医療を提供し続けてきた貢献度はどの病院も高いと思いますが、これから、高齢化が進み、また人口が減少する中で、どう地域の医療に貢献していくのか、英断が必要な時期が差し迫ってきていると感じます。








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2015年5月8日金曜日

「お薬手帳」アプリの標準化 厚生労働省

厚生労働省がスマートフォン(スマホ)に薬局で受け取った薬の名称や飲み方などを記録する電子版「お薬手帳」の仕様を共通化させる方針を固めました。病院に行った時に処方された薬を自分で記録・管理するお薬手帳は現在、紙の手帳に処方された内容のシールを貼るというものが一般的ですが、一部の調剤薬局チェーンなどが電子化に取り組んでおり、スマホなどで管理できるアプリを提供しています。ただし、仕様がアプリによって異なっており、薬を購入する薬局によってまちまちとなるため、結局一元的に管理できない状況となっていることから、利便性向上とお薬手帳の電子化を普及させるために全国各地のどこの薬局でも対応できるよう標準仕様を検討するとしています。






お薬手帳のアプリは例えば日本調剤が提供する『「お薬手帳プラス」日本調剤の電子版お薬手帳アプリ』( http://www.nicho.co.jp/okusuriplus/ )などがあり、アプリをダウンロードした利用者は薬局で発行される明細書などにあるQRコードを読み取ることで、薬の種類や効能など薬の情報を手軽に記録できるようになっています。
また、アプリによっては薬の飲み忘れを防ぐためのアラーム機能などもあり、紙のお薬手帳にはない便利さも備えています。さらに、紙のお薬手帳は通院時に持ち忘れることも多く、スマホなどの常時持ち歩いている機器であればその心配もなくなるメリットもあります。
このことから厚労労働省はQRコードを利用した標準フォーマットを構築し、異なる電子版お薬手帳でも読み取ることが可能になるよう互換性を持たせることをめざしているとのこと。
標準フォーマットでは記録する情報も薬の種類や服用薬歴だけでなく、薬剤師のコメントを載せるなど充実させる案もあるそうです。
今後、電子化の現状を調査した上で検討課題を洗い出し、QRコードを利用した標準化に目処がつけば、関係団体などに順次採用するよう働きかける方針だとしています。
一方で、病院で処方された薬を購入するために利用する処方箋の電子化も進んでおり、カカクコム「ヨヤクスリ」やパナソニックヘルスケア「ヘルスケア手帳」といったサービスも提供されており、これらとの連携も期待したいところです。

厚生労働省としては、社会保障費の抑制の中で、後発薬普及を目指すところもありますが、調剤の適正化も一つの大きなポイントであります。例えば、処方されているのに服薬していないので、症状が悪化し、入院するなどの悪循環を抑えることも有用な取り組みであります。ただ、本当に調剤を無駄にしているのは、ごく一部の過剰な医療を受けている方であり、まずはそこの引き締めを行なうことが全体としての抑制につながるのではないかと思われます。








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2015年5月7日木曜日

感染性胃腸炎の集団発生相次ぐ

北海道の医療機関でノロウイルスが原因とみられる感染性胃腸炎の集団発生が相次いでいます。入院患者や職員が下痢や嘔吐などを訴え、北海道が発生を確認したケースは、4月に入ってから3件でした。保健所が医療機関に患者らの健康状態の把握や、施設内の消毒などの指導を行ったといいます。






北海道地域保健課によると、4月24日、倶知安保健所管内の医療機関から、患者や職員に下痢などの症状が見られると保健所に通報がありました。患者と職員の計11人に、4月21日から4月25日にかけて下痢や嘔吐、発熱などの症状があり、このうち5人が治療を受けました。
 4月15日に名寄保健所管内の医療機関、4月1日に室蘭保健所管内の医療機関でそれぞれ感染性胃腸炎の患者の発生を確認しており、倶知安を含めた3施設で症状が見られたのは計50人となりました。このうち20人からノロウイルスが確認されたといいます。
 ノロウイルスの患者発生について、道地域保健課は「主に11月から3月に集中して発生するが、1年を通して発生が見られる」と指摘しています。集団発生が起きた医療機関に対し、管轄する保健所が、職員や患者の健康状態の把握、手洗いの励行、施設内の消毒、といった感染防止対策について指導したといいます。

感染性胃腸炎などは、幼児や高齢者などに対する感染は高く、注意が必要です。特に職員が感染源となってしまうこともあるため、各医療機関としては、健康状態の把握などの再徹底がされているとは思いますが、なかなか医師においては、両極端というか、まだまだ感染に対する意識が低い医師が多く存在することが、悲しい足元の現実です。








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2015年5月6日水曜日

埼玉県の小児救急電話、3時間以上つながらず

埼玉県は4月30日、小児救急電話相談「#8000」が3時間以上つながらない不具合が起きたことを発表しました。委託業者のプログラム設定時に誤りがあったことが原因といいます。埼玉県は「チェック体制を強化し、再発防止に努める」としています。






小児救急電話相談は、子どもの急変時の家庭での対処方法や受診の必要性について、看護師が電話で相談に応じています。2007年から相談が行われており、今年4月からは相談時間を拡充していました。
 埼玉県によると、電話がつながらなかったのは、4月29日の午後7時から午後10時15分までの3時間15分の間でした。3月30日に新たな電話システムを導入した際、委託業者がプログラムの設定を誤り、この時間帯を稼働しない設定にしていたことが原因でした。
 この時間帯に延べ306件、175人から電話がありました。一部の相談者が大人を対象にした電話相談「#7000」にかけ直し、「#8000」がつながらないことを伝えたため、不具合が出ていることが分かったといいます。

誰も事故やミスを起こそうと思って起こすケースはほとんどありませんが、一人一人の確認の怠りや思い込みなどがミスを招く原因となっていることが多いです。ミスをゼロにするということは、人がやることでは、不可能であるということを認識したうえで、いかにミスを低減できるのか、またミスが起きてしまった際に早期発見できるしくみを構築しておくかが必要であるというのは、どこの現場でも共通していることでしょう。








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2015年5月5日火曜日

循環器病のビッグデータ

日本循環器学会は、診療報酬の算定に用いられるDPCデータを大規模レジストリー研究に活用する試みを始めていることを、4月24日から3日間にわたって大阪市で開催された第79回学術集会の場で明らかにしました。概要を解説した国立循環器病研究センター心臓血管内科部門長の安田聡氏は、「日々の診療で多忙な専門医の時間を奪うことなく、質の高い日本全体のデータ収集が可能になる」と述べ、それが最大のメリットと強調しました。






この取り組みは、日本循環器学会が全国の循環器科・心臓血管外科を標榜する施設を対象に2004年から毎年実施している「循環器疾患診療実態調査」(JROAD)の一環になります。
 JROADはこれまで施設レベルの解析にとどまり、個人レベルのデータ解析がなされていなかったことから、さらなる医療の質の向上につなげるため、2012年分からDPCデータの収集を開始したといいます。
 2012年分の調査でDPCデータを提供する承諾が得られたのは、全国のDPC対象施設1505施設(厚生労働省医療施設調査)の41%に当たる610施設でした。病床数でいえば、33万9746床で、全国のDPC対象施設の71%に当たります。現在、国立循環器病研究センターの循環器病統合情報センターで、集められた70万4593例の診療録情報のデータ解析が進められています。
 疾患別の症例数はそれぞれ、狭心症が18万419例、急性心筋梗塞が3万5824例、心房細動および粗動が2万7315例、心不全が10万8665例に上ります。
安田氏は、急性心筋梗塞の症例データを解析した結果、JROADの報告数とDPCデータの算出数が良好な正の相関を示したことから、データの信頼性は高いと評価できるとしました。また、急性心筋梗塞症例を性別や年齢別に見ると、男性72%、女性28%、男性では60代が、女性では80代が最も多く、従来のレジストリー研究と類似傾向が見られたと説明しました。
 その上で、東京都CCUネットワークのデータ(東京都CCU)と比較したところ、平均年齢が男性ではJROADが67歳、東京都CCUが65歳、女性ではJROADが77歳、東京都CCUが75歳と、東京都CCUの方がやや低い傾向が見られたことや、Killip分類で重症度の高いIVの症例の院内死亡率がJROADは45.4%、東京都CCUは34.8%と差があったことから、JROADは地域の特徴を見る比較データに活用できる可能性があるとした。

 ほかに、急性心筋梗塞症例では入院患者数が多い施設ほど院内死亡率が低い点や、心不全症例が男女共に80代が最も多く高年齢化している点、急性心筋梗塞症例の退院時に処方する主要薬剤の処方率(アスピリン82.5%、β遮断薬44.8%、ACE・ARB53.5%、スタチン66.9%)などを報告しました。
 安田氏は、今回の発表では情報の正確性の検証や医療の質の評価を一部示したとし、「国際比較という展望も考えられるし、全国レベルのデータをガイドラインの策定に使っていく、あるいは発症・重症度のリスクスコアに用いていく、医療効果やコストの点で検証していくというような、さまざまな展望が期待できる」と、今後の展開について語られました。

これから各病院のデータというのはどんどん開示され共有されていく流れになるでしょう。もうブラックボックスではなくなるということです。自院の情報も近隣の医療機関に筒抜けになることで、これから医療の競争は激しさを増すと言った狭い見解をお持ちの方もいらっしゃいますが、進めていきたい方向性は地域包括ケアシステムということで共栄共存していくことが正の方向性であると思います。ただそのためには克服しなければならない課題は、まだまだ山積みですが。








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2015年5月4日月曜日

地域で重要な機能・役割を果たす病院が、DPCのII群では

厚生労働省保険局医療課の佐々木健企画官は「DPCのII群には、地域で重要な役割を担っている病院がなるべきだ」との考えを強調しました。さらに佐々木企画官は、「『この病院は地域で基幹的な役割を担っている。』と都道府県が考えているのであれば、その点を協議し、II群病院として評価することが妥当ではないか」との考え方も示されました。






佐々木企画官はまず「DPCのII群は高度急性期を担う」という発言は、個人的な見解であると説明しました。 その上で、「まず都道府県が、地域のどの病院にどういう機能・役割を果たしてほしいかを決めていただきたい。それが例えば高度急性期であり『重要な役割を担っている』ということならその点を協議し、DPCのII群として評価するのが好ましいのではないか」との考えを強調されました。
 また、地域医療構想における「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」は病棟単位で設定するものですが、DPC病院のII群は病院単位で決まります。この点について、「病棟単位」と「病院単位」との視点の違いがあるとの考えも示されました。
また、次回の診療報酬改定に向けて「精神病床がないI群病院についても機能評価係数IIでの対応を検討する」と紹介しました。
 この点について佐々木企画官は、「II群においても、診療密度などの基準こそ満たしているが、地域で重要な機能・役割を担っているとは言い切れない病院もあるかもしれない。そうした点に着目して機能評価係数IIで対応することを検討してはどうか」との考えを説明されました。
 I群において「精神病床の有無」に着目した理由の1つとして「きちんと確認できる指標である」点が挙げられています。「様式1」などに項目を追加して確認することになれば、DPC病院側の負担が増えます。そのため、簡便に確認できるものを指標としています。

高度急性期・DPCⅡ群、この二つは多くの7対1のDPC3群の民間の急性期病院が目指している一つの目標でもあると思います。公立病院や自治体病院がゆったりとした体制で税金による交付金で地域の医療提供を怠ってきた分を、民間病院は代わりに担ってきたところも多くあると思います。また地方によっては、公立病院や自治体病院すら存在しない地域の医療を担ってきたこともあるでしょう。そこがDPCⅡ群となるべきという佐々木企画官のお考えは、厚労省の見解に一石を投じることとなってくれるでしょうか。








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2015年5月3日日曜日

がん罹患数98万例、死亡者数は37万人

2015年のがん罹患(りかん)数は前年に比べて10万例・約1割増の98万例、がんによる死亡者数は同じく4000人増の37万人になるとの推計値を、国立がん研究センターが4月28日に発表しました。国立がん研究センターは、「全国がん罹患モニタリング集計のがん罹患数1975~2011年全国推計値」や「人口動態統計がん死亡数1975~2013年実測値」、「国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口」を基に、15年のがん患者数と死亡者数を推計しました。






 それによりますと、がん罹患数は男性が56万300例、女性42万1800例の合計98万2100例と予測されました。2014年の予測値に比べて約10万例、実測値に近い2011年推計値に比べて約13万例増加する見込みになります。
 罹患数が大幅に増加する要因について、国立がん研究センターは「高齢化」とともに「がん登録の精度の向上」を挙げています。がん登録推進法が2013年12月に成立し、全国がん登録が2016年1月からスタートします。このため、がん登録の認知度が医療現場で向上し、データの精度が高まると期待され、これが罹患数を押し上げるとみられています。
 がんの部位別の推計症例数は、大腸がん13万5800例、肺がん13万3500例、胃がん13万3000例、前立腺がん9万8400例、乳がん8万9400例などで、大腸がんと前立腺がんが増加すると見込まれています。部位別・性別に見ると、男性で前立腺がん、女性で肺がんが増加すると考えられています。
がんで死亡する人の数は、男性21万9200人、女性15万1700人で計370万900人となるとみられています。2014年の予測値ベースで約4000人、実測値に近い2011年推計値に比べて約5000人の共に増加します。
 部位別では、肺がん7万7200人、大腸がん5万600人、胃がん4万9400人、膵臓がん3万2800人、肝臓がん2万8900例などで、大腸がんによる死亡者が増加すると見込まれています。
罹患数と死亡数の長期的な傾向として、胃がんと肝臓がんの順位が下がり、肺がんと大腸がんが上がる、前立腺がんと乳がんの罹患数が目立って増加するなどとしています。

これまでもそうでしたが、これからの医療において、がんは重点的に研究も進めていかなければなりませんが、実際これだけの罹患率が予想として出てきますと、国民のがん検診の意識が向上してくれると良いのですが、現状はまだまだ受診率は低い状況です。どうしても、他人事のように考えてしまっている特に労働世帯において、予防の意識改善から取り組むべきではないでしょうか。








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2015年5月2日土曜日

診療報酬本体はマイナスが必要

 財務相の諮問機関である財政制度等審議会(財政審)の財政制度分科会が4月27日開かれ、財務省は、国民皆保険制度を維持していくためには診療報酬本体と介護報酬を2020年度にかけてマイナスにする必要があるとの認識を示しました。診療報酬については、2001年時点での大枠を100とすると、2012年度の大枠は微増の100.6に相当しますが、実際の医療費は改定率よりもハイペースで増えているといい、財務省ではこうした実態を踏まえて診療報酬改定の在り方を検討していく必要を強調しています。






 財務省は、国民皆保険を維持するための改革として、公的保険の給付範囲の見直しやサービス単価の抑制などを掲げています。サービス単価の抑制策には調剤報酬の見直しや費用対効果の評価を踏まえた新薬の薬価算定の適正化を挙げており、さらに、診療報酬本体と介護報酬については「マイナスとする必要」があるとの認識を示しました。財務省では、診療報酬を1%引き下げた場合の医療費の削減効果を約4300億円(税金約1660億円、保険料約2100億円、患者負担など540億円)と見込んでおります。
 公的保険の抜本見直しを実現できずに幅広くカバーして国民皆保険制度を持続させるためには、診療報酬本体や薬価、介護報酬をさらに大幅に抑制する必要があることも指摘しています。また、薬価調査に基づく薬価の見直しでは市場実勢価格の反映にすぎず、マイナス改定分の財源を診療報酬本体などに付け替えるべきではないとの考えも示されました。
 医療提供体制の見直しの具体策としては、診療報酬が高く設定されている「7対1」入院基本料の算定病院が過剰な一方、リハビリテーションなどが必要な患者の受け皿が不足している状況をあらためて指摘されました。その上で、都道府県が地域医療構想の実現を進める過程で知事の勧告に従わない医療機関への報酬単価を減額するなどの仕組みが必要だとの認識を示されました。このほか、ナショナルデータベースを分析して外来医療費の地域格差の解消につなげる必要性も強調しています。
 財政制度等審議会では、2016年度の予算の編成に向けた考え方(建議)を、6月をめどに取りまとめることにしており、これらの具体策はそれに向けた論点という位置付けで、引き続き議論を続けます。
 財政制度分科会はこの日の会合で、国民皆保険を維持させるには、社会保障の充実分を除く費用の伸びを、今後5年間に最大でも高齢化分の2.5兆円以内に抑える必要があるとの認識で一致しました。政府が国際公約に掲げている基礎的財政収支(プライマリーバランス)の20年度までの黒字化達成をにらんだもので、診療報酬や介護報酬のマイナス改定を論点に盛り込んだのもそれに向けた対策の一環になります。

確かに膨らみ続ける社会保障費ついては、国の財政を大きく圧迫しております。早期に何とかしなければならないと財務省が考えるのは当然です。その時に一部の指標だけで諸外国と比較して、高いだの低いだのと声を荒らげる方がいますが、私からするとどうかと思います。まず日本の医療において諸外国にない素晴らしい制度として国民皆保険があります。フリーアクセスの定義のすり替えなど諸問題も見え隠れしておりますが、それでも国民の健康を維持していこうという素晴らしい社会保障制度であると思います。風土文化が異なる諸制度を持ち込んでも成功するとは考えにくいです。今から日本が進むべき道は、諸外国の模倣ではなく、日本としての日本人にふさわしい制度構築であると思います。








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2015年5月1日金曜日

完治せずとも穏やかな人生 「とことん型」「まぁまぁ型」

永源寺診療所がある東近江市の永源寺地区は人口約6千人の3割以上を高齢者が占めます。自宅で最期を迎えることを9割が希望し、その半数が実現しています。在宅看取りは「家族にとっても命や人生の役割について深く考えるきっかけになる」と花戸所長はいいます。






 兵庫県尼崎市の長尾クリニックの長尾和宏院長(56)はこれまでに約800人を在宅で看取ってきました。過剰な投薬や治療をやめ、穏やかな最期を迎える「平穏死」を実践しています。 ただ、あらゆる治療に消極的なわけではありません。長尾院長は、胃に穴を開けてチューブで栄養剤などを入れる胃瘻(いろう)を勧めることもあります。胃瘻は「不要な延命措置」の代表ととられがちだが、「治さないといけないものと、そうでないものを、はっきり説明したうえで対応する必要がある」といいます。

 「まあまあ型」と「とことん型」。近年、医療においてこんな言葉がしばしば聞かれます。 病気の完治を目指す「とことん」型の医療に対し、完治せずとも地域で生活ができるようにする「まあまあ」型の医療です。病院経営管理などが専門の高橋泰・国際医療福祉大教授は「75歳を過ぎるとまあまあ型を必要とする比率が急速に高まる」と指摘しています。ところが「現在の日本には『とことん』型を提供しようとする病院が多い」ことが問題とみています。
 将来推計人口などによると、2010年からの30年間で75歳以上の人が800万人増え、税金や保険料などで医療費を支える65歳未満は3千万人減る見込みです。毎年1兆円ずつ増え続ける社会保障費をどう抑制するか。一つの解が「まあまあ」と「とことん」の使い分けであります。
 「とことん」「まあまあ」を提唱した永生病院(東京都八王子市)の安藤高朗理事長によると、カギを握るのは患者のトリアージ(治療の優先度を決める緊急度判定)です。病状に加えて本人や家族の希望を聞き、高度な専門医のもとで徹底的に治療するか、慢性期対応の病院などでじっくりみてもらうかを決める。安藤理事長は「最終的には患者本人の意思が優先される。どう生きたいのか考えておくことが重要だ」と話します。
 日本の医療は、すべての患者を100%健康にする目標に向かって進んできました。しかしその限界は見え始めています。年齢ピラミッドの変化に合わせ、限られた医療資源をどう分配するか。患者側にも「まあまあ」を受け入れる意識改革が必要となってきています。

実際、麻生副首相も民主党の梅村議員との答弁の中で、「尊厳死」について真正面から答えていました。あの件で、はじめは失言としてメディアに取り上げられた麻生副首相の発言も、しっかり言葉の意味を解釈した上でやり取りを行ない、また国民に生きること・死ぬことの考えるきっかけを与えてくれました。もちろん、長生きできることは素晴らしいことです。ですが、それを健康寿命を延ばしたうえで可能にしていくことが、ほんとうの長寿大国日本の進むべき道であると強く思います。








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