2014年11月30日日曜日

電子たばこに発がん性物質

香りや味の成分を添加した液体を電気式の器具内で加熱し、蒸気を吸う電子たばこの健康影響評価に向け、厚生労働省の専門委員会が11月27日、議論を始めました。電子たばこはVAPE(ベープ)とも呼ばれており、たばこ風味やフルーツ風味などさまざまな種類が楽 しめるとして流通が広がっていますが、有害物質が検出された製品もありました。厚生労働省は今後、販売実態なども調べるとともに安全性を検証し、規制が必要か検討する方針です。






この日の会合で望月友美子・国立がん研究センターたばこ政策研究部長は、最近では少なくとも約460銘柄、7700種以上のフレーバーがあり、「大麻味」まで出現していると説明されました。「ドラッグヘのゲートウェイ(入り口)になる恐れがあります」と述べられ、対策の必要性を指摘しました。
国立保健医療科学院の欅田尚樹部長らの2011年の研究では蒸気を分析した結果、複数の有害物質が高濃度で検出されました。加熱用ニクロム線が溶液に接触し、化学反応を起こしたのが原因とみられます。最近の調査でも、紙巻きたばこより高い濃度の発がん性物質ホルムアルデヒドが検出された例があることが報告されました。
専門委員会は「電子たばこには発がん性物質が含まれており、健康影響は否定できない」として、長期的な影響を評価する必要性があるとの意見で一致しました。

電子たばこは体に無害と思っている愛好家が多いと思います。蒸気を楽しんでいるだけという認識かもしれませんが、無知は本当に危険です。分かっていて愛好している方もどうかと思いますが、知らないということのリスクを回避するために啓蒙活動などを行っていかなければならないのが医療人と務めなのでしょうか。








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2014年11月29日土曜日

事故調査支援団体を 都道府県医師会

日本医師会の松原謙二副会長は11月26日の記者会見で、厚生労働省の「医療事故調査制度の施行に係る検討会」で議論が進む医療事故調査制度に関する日医の見解を説明し、都道府県医師会が医療機関側の求めに応じて院内調査を支援する「支援団体」を務めることに期待を示しました。






改正医療法では「病院等の管理者は、医学医術に関する学術団体その他の厚生労働大臣が定める団体に対し、医療事故調査を行うために必要な支援を求めるものとする」と明記されています。
松原謙二副会長は、「医療事故が起きたとき、どういうことが起きたのか分からないということになれば相談を受けなければならないし、解剖するにも一つの医療機関ではなかなかできない。大学病院と連絡をとったり、専門の先生を学会に要請して派遣してもらうということができるのは、マンパワーの問題などを踏まえれば都道府県医師会」と説明されました。すでに都道府県医師会長協議会などで支援団体に名乗りを上げるよう要請したことを明かにしました。
松原謙二副会長は医療事故調の対象となる「当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったものとして厚生労働省令で定めるもの」への考え方も披露しました。「死亡又は死産を予期しなかったもの」という文言について「主観的に『思っていなかった』、というような文章になっているが、誰もが客観的に見て『そうだ』と思えるような定義にしなければ現場が混乱する。厚生労働省に明瞭な言語として書くように求めている」 と述べられ、「起きたことに合理的な説明ができない」「医学的合理性がない」というような表現を例示しながら、客観性の担保を求めました。
第三者機関「医療事故調査・支援センター」への調査結果の報告についても発言されました。「報告書の目的は医療事故の再発防止であり、個人の責任追及のものではないことを踏まえるというのが一番大事です。過失の認定で使われてしまうと、調査される側も正しいことが言えなくなります。報告書の目的は再発防止であることを十分に踏まえなければ
なりません」と訴えました。

世間では群馬大病院の事件に注目していますが、医療にリスクは常に存在します。ただ事故に対する判断が主観的判断では定義として不明瞭ではありますが、単一的な線引きだけでシロクロかたをつけてしまうのも最前線で現場に立っている人間には、とても納得できるものではありません。再発防止が一番の目的であるうえで、そのための原因追求の必要性も理解はできます。ただ都道府県医師会もハンドルが効かないのではないかと危惧いたします。








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2014年11月28日金曜日

介護費「賃上げ」除き抑制

 厚生労働省は、2015年度から介護保険サービスにかかる費用を、職員の賃上げなどを除いて抑制する方針です。特別養護老人ホーム(特養)などに支払う「介護報酬」を一部引き下げて、財政膨張に一定の歯止めをかける方向です。2015年10月に予定していた消費再増税が先送りされたため、見込んでいた財源が得られなくなった影響もあると考えられています。





 11月26日に社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の介護給付費分科会を開いて、介護費用を抑制する方針を確認しました。厚生労働省は12月の衆院選後に見直し案を最終的にとりまとめる予定です。サービスごとの具体的な報酬額は財務省と調整して年明けに決めることになります。介護費は原則3年に1度見直しており、2015年度は改定年にあたります。
 今回の改定は大きく3つの柱に分けられます。第1の柱は介護職員の賃上げに充てる費用を増額することです。介護は人材難が続いており、団塊の世代が75歳以上になる2025年時点で100万人の人手が不足するとされています。介護職員の平均賃金は月額約24万円と、全産業の約32万円に比べ低いこともあり、なかなか人手が集まらない状況です。
 2009年度、2012年度と直近2回の介護費の改定でも賃上げを行い、厚生労働省は合わせて月額3万円相当の効果があったとしています。それでも賃金は低めで、人材の定着には至っていません。自民党は衆院選の公約に賃上げを盛り込んでおり、介護の価格改定で優先的に見直しが盛り込まれます。
 介護職員の賃上げの原資はまず事業者に支給します。厚生労働省は事業者が適切に職員に配分するように制度を改めて、非正規社員を正規社員にしたり、出産・子育てを支援したりといった処遇改善に取り組む事業者に限って「処遇改善加算」を増額します。当初は消費税の再増税で財源を確保し、介護職員の賃金を最大で月平均1万円程度上げる考えだったが、増税延期で賃上げ幅は縮まる可能性があります。
 第2の柱は賃上げ以外の費用は極力抑制することです。介護費の総額は2014年度には10兆円に膨らみ、2025年度には21兆円に増える見通しです。65歳以上の高齢者が負担する保険料(全国平均)は現在の月4972円から2025年度には8200円程度に上がるとされ、財政や家計を圧迫する費用増に歯止めをかける必要があります。
 抑制の対象は特別養護老人ホームや通所介護(デイサービス)などです。事業者の利益率が高いためで、事業者が受け取る利用者1人当たりの基本費用を下げます。特養なら1日最高9千円程度、デイサービスなら1回あたり最高1万4千円程度で、うち1割が自己負担になります。基本費用が下がれば自己負担も減ります。
 特養やデイサービスの基本費用は前回の改定でも下げましたが、厚生労働省が今年調べた利益率は特養が8.7%、デイサービスが10.6%と依然として高いままです。特養については、運営を独占する社会福祉法人が平均3億円、総額2兆円もの剰余金を蓄えているとの指摘もあります。基本料をもう一段下げ、高すぎる利益率を是正する方向です。
 第3の柱は利用者個人の自己負担の引き上げです。特養の部屋代は全額自己負担が原則ですが、4~6人で利用する相部屋の場合は1人当たりの負担はほとんどありません。2015年度以降は相部屋でも月1万5千円程度の負担を求める方針です。
 特養で個室を利用すると光熱費も含めて月6万円を負担する場合があり、格差を少なくします。ただ厚生労働省は低所得者には補助を出して負担は増やさない考えです。負担増に敏感な高齢者を刺激したくない与党に配慮したとの見方もあります。
 厚生労働省はサービスごとの報酬を抑制する方針ですが、介護サービスを利用する高齢者が増えているため、2015年度以降も介護費用の総額は増える見通しです。財務省などは厚生労働省に介護報酬の単価を平均6%引き下げるよう求めてきました。増税延期によってもう一段の単価抑制が必要との指摘もあります。

2015年度の介護報酬の改定は、消費増税の延期が想定される中、なかなか厳しい改定になると予想されます。在宅介護についてはこれからの方向性から考えて厚くなっていくでしょうから、施設を構えている社会福祉法人などはこれからの運営方針を視野を広げていかなければ厳しくなっていくでしょう。








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2014年11月27日木曜日

柔道整復療養費 の見直し検討

日本医師会の横倉義武会長は11月22日、九州医師会連合会委員・九州各県医師会役員合同協議会で講演し、柔道整復療養費の「受領委任払い」について「償還払い」に戻すべきとの意見や、医師国保をめぐり受領委任払いの契約を取りやめようとする動きが一部であったことに触れ、「国民健康保険制度の一端を担っている以上、国民に不公平になるような対応は慎重に検討すべき」との認識を示しました。





 熊本県医師会は横倉会長に「打撲、ねんざ、挫傷のみに原則限られている保険請求が、慢性疾患、変性疾患にも施術保険請求をされているのが現状」などと訴えられ、保険適用を正しく行っているか保健所の立ち入り検査を定期的に行う、保険診療の受領委託払いを廃止する、保険診療を全般的に廃止する、養成校の新設を認めない、施術所は一代限りとして新規開業を禁止する一の5点について政府に働き掛けるよう求めました。
これに対し、横倉会長は 「柔道整復療養費は、厚生労働省社会保障審議会・医療保険部会に専門の『柔道整復療養検討専門委員会』を設置し、適切な療養費になるよう検討し、療養費の改定を行ってきている。これまではこのような審議会の場が全く無かったことからいえば、少しは進歩したと考えている」との認識を示しました。受領委任払いについては、償還払いに戻すべきとの意見が多く寄せられているとしたほか、「ある地域において医師国保では柔道整復療養費にかかる受領委任払いの契約を取りやめようという動きもあった」とした上で、「国民健康保険制度の一端を担っている以上、国民にとって不公平になるような対応は慎重に検討すべき」と説明されました。最後は、「この間題については医療保険部会の下の専門委員会、および医療保険部会でしっかり検討し、適切な対応を図りたい」と引き取りました。

柔道整復療養費のついては、これまでも何度も取り上げられてきました。慢性疾患、変性疾患に対して医療保険を適用することが問題であり、整骨院の存在を否定しているわけではありません。ただあまりにも適正に使用されていないケースが多いことが目に余るのです。その一方では、社会保障費の増大を抑制するという建前で診療報酬や薬価が見直されたりしております。多くの中小病院は地域の住民のために尽力されていますが、厳しい経営状況に振り落とされています。しかし、柔道整復士という資格の存在から検討しなおさなければ、見直しは難しいでしょう。








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健康医療分野を促進と掲げる 自民党 衆院選 公約

自民党は11月25日、12月投開票が行われる衆院選の公約を発表しました。経済再生と財政再建の両立を図る姿勢を強く打ち出しており、「本格的な成長軌道」に向けた取り組みの一つとして、新たな保険外併用療養費制度の仕組みとなる「患者申出療養 (仮称)」の創設を明記しました。健康医療分野において国民の健康回復や増進、利便性向上につながる規制改革を一層推進することを掲げています。






「本格的な成長軌道」に向けた取り組みとしては「同じ地域にあるさまざまな病院・社会福祉施設を一つのグループとして経営することで、住民に対して医療および介護サービスなどを総合的かつ効率的に提供できるような、新たな医療・福祉法人制度を創設する」ことも盛り込みました。
安倍晋三首相が、2015年10月に予定していた消費税率10%への引き上げを2017年4月まで先送りすることを表明しましたが、公約では「消費税財源は、その全てを確実に社会保障に使い、2017年4月までの間も、着実に子ども・子育て支援、医療、介護等の充実を図る」としています。
医療・介護の提供体制については「住み慣れた地域で『切れ目のない医療・介護』が受けられるよう、医療機関の病床の役割に応じた機能分化や、医療・介護の連携の支援、地域包括ケアを進める」考えです。医療従事者 らの人材確保にも言及され、「医師、歯科医師、薬剤師、看護師、介護職員等の人材確保を行うとともに、介護や障害者福祉サービスを担う職員の処遇改善を行い、医療・介護等の充実につなげる」としています。
また「女性が輝く社会の実現」に向けた取り組みとして、特定不妊治療に要する費用の助成、周産期医療情報ネットワークの整備・充実、産科医・小児科医の負担軽減策の充実等出産環境の整備、を盛り込んでいました。
税制関連では、消費税の軽減税率制度について、与党税制協議会における合意内容の通り「関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入する。2017年度からの導入を目指して、対象品目、区分経理、安定財源等について早急に具体的な検討を進める」と明記しました。
財政面については、従来の国の中期財政計画と同様、2015年 度までに国・地方合わせた基礎的財政収支の赤字(対国内総生産比)を2010年度と比べて半減させる目標を掲げています。また2020年度までに基礎的財政収支の黒字化目標を達成するため、具体的な計画を来夏までに策定します。 公約は2部構成になっており、重点施策をビックアップした「特出し項目」と約300項目の個別政策からなる「政策BANK」に分かれています。主な社会保障・医療関連政策は「政策BANK」に盛り込まれています。公約 とは別に総合政策集「J― ファイル」も作成中ですが、稲田朋美政調会長は「J― ファイルに書かれていることは、正式な意味での公約とは別の位置付けになる」と説明されました。

阿部政権が解散総選挙という手段を選択いたしましたが、果たしてこれは正しい選択と多くの国民は感じているのでしょうか。景気回復を掲げてアベノミクスに取り組んできましたが、株価の高騰と円安は目に見えていますが、国民の生活にまではその恩恵は降りてきておらず、消費増税による圧迫が強く家計に響いている状況です。ただ、その中で消費増税を延期するというのは、国民の賛同を得られることでしょう。ただでさえ厳しい家計に増税は厳しいですから。しかし、本当に行わなければならないのは、そこではないのではないでしょうか。








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2014年11月26日水曜日

医療福祉拠点機能検討会議   滋賀県

医療や介護の関係団体の事務局を集約した拠点施設を整備するため、滋賀県は11月21日、「医療福祉拠点機能検討会議」(座長=県医師会・笠原吉孝会長)の初会合を開きました。この日の会合では、将来的な災害の発生などに備え、各団体の事務機能を一本化する必要があるとの認識で一致しました。今後、施設の機能や設置場所などについて協議し、2015年3月に基本構想をまとめる方針です。






 2014年9月に官報告示された「医療介護総合確保方針」では、人材育成などの視点から、医療・介護の関係団体が連携を強化し、「(医療・介護サービスの)利用者にとってわかりやすく総合的な支援が行われる体制を確保することが重要である」としています。
 しかし、各都道府県の医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会、病院協会の所在地について滋賀県が調べたところ、37都道府県では庁舎から10キロ圏内に全団体の建物があったのに対し、滋賀など10府県では同圏外の団体もあることが分かりました。
 初会合で医療・介護団体の委員からは、「ICTの利活用で課題を話すことはある程度できますが、顔の見えるつながりが大切です」「介護は新しい団体が多く、小さな組織が集まることができれば、連携を密にしやすいです」など、集約化に賛成する意見が相次いで出ました。
 また、「研修会の開催など、多職種のスキルアップにつなげる拠点にしてほしい」と求める声もあったほか、医療介護総合確保方針では、病気や介護の予防に国民が積極的に取り組むことが望ましいとする文言も加わったことから、「健康情報の発信基地にすることが大事だ」とする指摘もありました。
 滋賀県庁の敷地内に2015年度、災害時の本部機能を担う「危機管理センター」が開設されることから、滋賀県側は滋賀県庁周辺の県有地に拠点施設を整備したい考えで、医療福祉拠点機能検討会議では今後、施設の所有・管理の在り方についても話し合うこととなっていきます。

地域包括ケアシステムの構築として医療と介護のサービス提供体制を整備していくことは大きな課題です。特に、在宅における医療と介護の確保と連携が重要となりますが、そのためには顔の見える連携は不可欠になってきます。各都道府県で取り組み始めている中で、どこがモデルとなるような医療と介護の連携体制を構築できるか、まさにこれからが正念場になってきます。








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2014年11月25日火曜日

患者申出療養について 

 内閣府は11月10日、規制改革会議を開催し、「患者申出療養(仮称、以下同)」の検討状況について、厚生労働省当局から説明を受けました。
 患者申出療養とは、保険外併用療養費制度のなかに創設され、2015年の次期通常国会に、健康保険法改正案に盛り込む形で、関連法案が提出される予定の仕組みになります。患者からの申し出を起点として、患者が最先端の医療技術などを希望した場合、安全性・有効性などを確認したうえで、保険外の診療と保険診療との併用が認められます。






 大まかな流れとしては、前例のない治療の場合は、患者の申し出を受けた「臨床研究中核病院」が国に申請し、国は原則6週間で、実施の可否を判断します。一方、前例のある治療の場合は、患者の申し出を受けた「身近な医療機関」が臨床研究中核病院に申請し、臨床研究中核病院が原則2週間で、実施の可否を判断します。
 今回の会議では、これまで社会保障審議会などの場で提示されてきた、(1)患者申出療養の全般的な流れや、(2)対象となる医療のイメージ、(3)現行の健康保険法第63条の構造および改正の方向性などが説明されました。
 たとえば、(2)では、現行の先進医療Aや同Bの対象にはならないが、一定の安全性・有効性が確認された医療に、先進医療の対象を拡大することがあげられています。
 また、(3)では、【食事療養】【生活療養】【評価療養】【選定療養】は「療養の給付」に含まれないと定めている、健康保険法第63条第2項のなかに、患者申出療養に関する規定を新設することを、政府内部で引き続き検討していくことが示されました。
 厚生労働省は、2014年11月5日の中央社会保険医療協議会・総会や11月7日の社保審・医療保険部会などで、患者申出療養の制度の仕組みなどについて議論し、通常国会での関連法の成立を経て、2015年をめどに実施する意向を持っています。

患者申出療養については、もう大筋が確定して進行していっておりますが、実際制度が始まって何か事故が起きてしまった場合の責任の所在がどこになるのか、気になるところです。実施の可否を判断したのは国であるが、前例があれば臨床研究中核病院になります。ではそこがすべて責任を負うことになるのかとういうと臨床での責任も外されることはないはずです。しかしそもそもの定義として、患者申出なのです。となると、患者は承知の上での申し出となれば、責任追及はできないのでしょうか。だれも事故は起こしたくありませんが、それでも起きるのが事故です。責任の所在をはっきりさせるルールは必要不可欠ではないでしょうか。








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2014年11月24日月曜日

リベート1億円受領   医療法人「徳洲会」グループ

医療法人「徳洲会」グループの徳田虎雄前理事長(76)が、グループの病院建設を請け負ったゼネコン側から約1億円のリベートを受け取りながら税務申告しておらず、熊本国税局が所得隠しと認定していたことがわかりました。
徳田虎雄前理事長は2013年、税務調査の前に自ら修正申告したため、重加算税は課されず、延滞税を含めて所得税3千数百万円を課税されたといいます。






 関係者によると、徳田前理事長はゼネコン側から工事費の3%程度をリベートとして受け取り、自分や家族の株式投資に充てるなどしていたといいます。しかし、2012年の衆院選をめぐる公選法違反事件で関係先が東京地検特捜部の捜索を受けた後の2013年10月、住所地の鹿児島市を所管する熊本国税局に代理人を通じて修正申告したとされています。
 リベートは2006年以前にも受け取っていたとみられるが、国税局は所得隠しの時効(7年)にかからない2006年分の約1億円についてのみ課税したといいます。
 医療法人「徳洲会」グループは「事実確認中でコメントできない」とし、徳田前理事長の代理人弁護士は「コメントは控える」と話しています。

叩けばまだまだ出るでしょう。しかし、これぐらいで幕閉めというような感じになっています。確かにグループとしては、不誠実な運営状況であったかもしれないが、医療の現場では多くの患者に対し全人的な医療を行ってきたことは否めず、特に地方でのその功績は大きいものです。本気になれば完全にグループを解散させることはできるでしょうが、地方はそれを望んでいるわけではなく、明日も地域医療を担ってもらわなければ、安全で安心な日々を過ごせないのでしょう。結局、出る杭は打たれますが、出すぎた杭は打たれないということなのでしょうか。言葉に悩みます。








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2014年11月23日日曜日

埼玉県 救急医療 崩壊

埼玉県の脆弱な救急医療などの改善を求める提言書を、市民団体の関係者や大学生らの“市民委員”で構成された医療会議がまとめ、11月20日に上田清司県知事と県医師会の金井忠男会長に提出しました。2013年1月、救急搬送時に病院から30回以上断わられた男性が死亡した事案を踏まえ、報告書では、軽症から重症までの患者を受け入れるER機能を持つ病院の整備や、救急医療機関への財政的な支援などを求めています。






 医療会議の委員らは、県が医療機関の充実した東京都に頼ったことから、人口10万人当たりの医師数が全国ワースト1となり、救急医などの医師や医療施設が不足している現状を問題視しています。報告書では、「救急医療を崩壊の危機から『救う』ために、県民や医療関係者、事業者、行政は、自覚と責任を持って行動する」と明記したほか、県内の医療システムを「将来にわたり共に守り育てる」とし、県民を含めて全県的に関心を持つことが医療崩壊を防ぐことにつながるとの考えを示しています。
 特に救急医療体制を立て直すことが喫緊の課題となっているため、ER機能を持つ医療機関の整備、積極的に救急医療を提供している医療機関に対する財政的な支援の重点化、二次救急輪番医療機関の機能強化など休日・夜間診療の充実、耳鼻咽喉科や眼科など特殊救急医療体制の整備が必要としました。
 また、需要が多い初期・二次救急については、「診療する総合診療医を育成する」としたほか、限られた医療資源を有効活用するため、県民に対しても「不要不急の救急受診をやめ、救急車の適正利用に努める」と求めました。
 このほか、超高齢社会に備え、県を挙げて地域包括ケアシステムの整備を進めることに加え、医療費の抑制や医療の地域格差を解消する必要性も挙げました。
 2014年5月から10月まで計6回開催された医療会議では、座長を努めた城西大経営学部の伊関友伸教授や市民団体の関係者、大学生らが、救急や在宅医療にかかわる医師らを参考人として呼び、現場の声を聞いたほか、2010年に約59万人だった75歳以上の高齢者が25年には倍増するといった県内の課題などを議論してきました。

地域の救急医療を担っていくというのは、急性期病院において当然求められていくことではありますが、5疾病5事業および在宅医療において、地域の医療を一つの病院で担っていくことは不可能です。役割分担、機能分化して地域を診ていくという方向性で厚労省は掲げていますが、潤沢な診療報酬を受け取っているわけではない医療機関にとって存続というのも大きな使命であるため、どうしてもどこか収益性の高いところに特化シフトしていかざるを得ません。24時間365日救急体制はその面からみると、離れているかもしれませんが、地域住民の医療ニーズをこなすという意味ではとても高いポジションであります。








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2014年11月22日土曜日

小児がん拠点病院 ネットワークの拡大

 広島大学病院は、中国・四国ブロック9県で唯一の小児がん拠点病院です。ブロック内で小児がんの診療を担う18病院とネットワークをつくり、2013年7月から、全体でも同様のテレビ会議を開きました。会議は毎月第4水曜日におこなわれ、まれな症例や治療法の情報交換もしています。






 小児科の小林正夫教授は「再発・難治性の患者は、拠点病院が中心に診ることになるだろうが、テレビ会議で難しい症例を共有しながら、地域の若手医師を育てていきたい」と話しています。
 テレビ会議には、隣接する近畿ブロックの拠点病院の兵庫県立こども病院が参加しています。将来は九州・沖縄の拠点病院の九州大学病院にも参加を呼びかけようとしております。九州大学病院は2014年6月から連携病院と始めています。
 また、広島大学病院は、12月に連携病院の看護師を集め、小児がん看護の研修を開きます。子どもの発達や心理の専門家「チャイルド・ライフ・スペシャリスト」らの支援方法などを学んで、患者や家族のサポートの充実につなげてもらう目的です。
 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)は、関東・甲信越ブロックの4拠点病院の一つです。松本公一・小児がんセンター長によると、日本小児血液・がん学会に登録された約6200症例(2008~10年)では、血液がんが固形がんよりもやや多い状況です。しかし、全国15の拠点病院では、成育医療研究センターを含む12病院で固形がんが半数を超えました。
 固形がんは小児科だけでなく、外科や整形外科などとの連携も必要です。小児がんの中でもまれな疾患で専門家が少なく、拠点病院に集まる傾向があるといいます。
 小児がんは患者の親やきょうだいの暮らしにも大きな影響をもたらします。できるだけ自宅近くで治療を受けるのが望ましいです。松本さんは「拠点病院だけに患者を集めるのではなく、小児がんの治療経験のある病院や成人の病院にも結びつけることが拠点病院の大切な役割の一つです」と語ります。
 成育医療研究センターは2014年2月、国立がん研究センター(東京都中央区)とともに「小児がん中央機関」にも指定されました。中央機関は15拠点病院のとりまとめ役です。成育医療研究センターは今後、病理の画像データベースを設け、病理診断や放射線診断などを支援します。小児用の相談支援員の研修プログラムを作り、来年に研修を実施します。長期的なフォローアップを視野に入れた小児がんの登録方法も検討しています。

 小児がんは、新たに診断される患者が推計で年に2千~2500人にのぼります。診療する医療機関は約200あるとされ、1施設あたり10~12人の計算になります。医療機関によっては、経験の少ない医師が診療している可能性があり、小児がん患者が必ずしも適切な医療を受けられていないのではないかと懸念されていました。
 このため、2012年6月に閣議決定された「がん対策推進基本計画」には、5年以内に小児がん拠点病院を整備することが盛り込まれました。診療体制や診療実績、相談支援体制などをもとに、2013年2月、厚生労働省は15病院を指定しました。
 小児がんを診る医療機関を拠点病院に「集約化」し、診療経験を重ねることで治療成績を向上させます。また、全国どこでも標準的な治療が受けられるようにすることも目指しています。
 日本小児血液・がん学会理事長を務める堀部敬三・名古屋医療センター臨床研究センター長は「どういうがんは集約化し、どういうがんは身近で治療するのかを考えることが大切です」と話します。特に数が少ないがんでは、拠点病院ではない医療機関のほうが診療実績が多い場合もあるとし、「疾患ごとの拠点も必要ではないか」と指摘しています。
 治療だけでなく、教育や就労への支援、家族らの宿泊施設の整備なども求められています。
 「がんの子どもを守る会」の山下公輔(こうすけ)理事長は、拠点病院と地域の病院とのネットワークなど、支える体制ができつつあることを評価しています。ただ、「ネットワークの外側にいるかかりつけ医にもつながるよう、自治体や医師会とも連携が必要」と注文しています。子どもが病気になれば、最初はかかりつけの小児科医を訪れるため、その医師が拠点病院やネットワークの病院に相談できれば、より早く診断がつくことが期待できるといいます。

これから、連携は地域連携だけでなく、データを共有しつつ遠隔連携も進んできています。特に小児がんなどのなかで、症例数の少ない疾患などにおいて、標準的な治療が自宅の近くで受けることができるようになれば、患者ならび家族にとってのメリットは大きくなり、またそれが地域との連携ということに広がっていくのではないかと期待いたします。








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2014年11月21日金曜日

医療等IDに係る法制度整備等に関する声明   三師会

日本医師会と日本歯科医師会、日本薬剤師会の三師会は11月19日、記者会見を開き、「医療等IDに係る法制度整備等に関する声明」を公表し、「マイナンバーと異なる医療等IDの必要性」「医療情報そのものを保護対象にした法整備が必要」などの三師会としてまとめた見解を訴えました。2003年5月の個人情報保護法が制定された際、衆参両院で「高いレベルの個人情報の保護が求められている分野について、個別法を早急に検討する」と付帯決議が付いたが、その後、医療分野の個人1情報保護の個別法はいまだ策定されていません。
一方で、内閣府では来年10月のマイナンバー制度の開始に備え、年明けの次期通常国会で個人情報保護法(全体法)の改正を行う動きがあるほか、厚生労働省の「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」での議論も進んでおり、三師会はそれらの動向を踏まえた統一見解を示しました。






声明では、マイナンバーと異なる医療等IDの必要性、医療情報そのものを保護対象にした法整備が必要、医療情報の二次利用・突合は厳しく制限すべき、個人番号を医療の現場で利用すべきではない、個人番号カードヘの健康保険証(被保険者証)機能の取り込みに反対、死者や遺族の尊厳、遺伝子情報の集積・利用、救命活動等、医療分野には「個人情報を守る立場」の監視機関が必要、医療従事者や保険医療機関等のプライバシーの計10項目について見解をまとめました。
このうち「マイナンバーと異なる医療等IDの必要性」については、医療情報は公益上の理由から集積・活用されることが求められ、その際は個人を識別する番号が必要だとの認識に立ち、これらを背景に機微性の高い医療情報を扱う番号は他分野と接続しない専用番号 (医療等ID)が必要だと指摘しました。「機微な医療情報を管理する番号がマイナンバー制度の個人番号のように悉皆性を持ち、さらに唯一無二であれば、過去から現在治療中の病気、死後まで紐付けでき、場合によっては一貫した記録として取り出せることになり、デジタルデータとして漏えいしてしまった場合は取り返しのつかないことになる」などと懸念を示した上で、「医療等IDには悉皆性、唯―無二性を原則とせず、国民が必要とした場合に、 『忘れられる権利』『病歴の消去』『管理番号の変更』『複数管理番号の使い分け』などが担保されるべき」と訴えられました。会見には日医の横倉義武会長 と石川広己常任理事、日歯の三塚憲二副会長、冨山雅史常務理事、日薬の山本信夫会長、田尻泰典常務理事が出席していました。

ビッグデータ社会に突入し、これからますます情報が私たちの周りに蔓延していくことは、想像に難くありません。情報は多ければ分析能力と精度は増します。医療の世界においてエビデンスは必須不可欠です。ただその使い方を誤ってしまうと、不利益を被るというか、競争社会における整合性が保たれません。改革には現状を打破するためにプラスの影響だけでなくマイナスの影響もしっかり考慮しなければなりませんが、必要以上の警戒・規制は改革になりませんし、しっかりしたプラスの利点を明示化することが大事であるはずです。








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2014年11月20日木曜日

胃がん検診 内視鏡はなぜダメなのか

厚生労働省の「がん検診のあり方に関する検討会」(座長=大内憲明・東北大医学部長)は11月13日、胃がん検診をテーマに取り上げ、国の指針では検査項目に入っていない内視鏡検査の是非をめぐって議論を交わしました。今後、内視鏡検査については、受診者の利益を示すエビデンスの有無、質の担保などが焦点になりそうです。






厚生労働省が自治体に示している検診の指針では、胃がん検診は40歳以上を対象に年1回行います。検診項目は、問診と胃部エックス線検査となっています。厚生労働省の2013年度の実施状況調査によると、回答 した1735市町村のうち、集団・個別検診ともに問診を手掛けていたのは1722(99.3%)、エックス線検査を実施していたのは1719(99.1%)に上りました。また、318(18.3%)で内視鏡検査、84(4.8%)でペプシノゲン法、50(2.9%)でヘリコバクター・ピロリ抗体検査を実施していました。これを受けて厚生労働省は検討会で、指針にない検診項目を実施している自治体があることをどう考えるべきか、との諭点を示しました。
松田一夫構成員 (福井県健康管理協会副理事長)は、胃がんに関する日常診療ではエックス線検査がほとんど実施されていないと指摘しました。外来診療では大半が内視鏡検査になっているとし、現状に合わせた制度が必要との姿勢を見せました。道永麻里構成員(日本医師会常任理事)は 、「なぜ内視鏡ではいけないのか」との声が医師会内にあると説明しました。エックス線検査に伴う読影ができる医師も減っているとし、制度変更を求める声が出ているとの認識を示しました。一方、斎藤博構成員(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター検診研究部長)は、現状ではエックス線検査には受診者の利益につながるエビデンスがあると説明しました。内視鏡検査の導入に当たっては、質の担保などが課題になるとの認識を示しました。

何ともくだらないことを集まって議論をしていたんだなぁと近い将来に思えるように早急に制度の見直しを検討してもらいたいものです。「なぜ内視鏡ではいけないのか」誰もが思うところです。








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2014年11月19日水曜日

消費税 増税 1年半先送りか 安倍晋三首相

2015年10月に予定されていた消費税率の10%への引き上げは、11月18日夕方、自民党臨時役員会で、安倍晋三首相が2017年4月に1年半先送りするとともに、国民に信を問うため衆院を解散する意向を伝えました。厚生労働省では消費増税の見送りにより2015年度予算編成の検討が本格化しています。2015年度介護報酬改定や、2015年度に創設するとしていた介護分の地域医療介護総合確保基金 (新基金)に充てる財源が大きな焦点になりそうです。






厚生労働省は2015年度予算概算要求の段階で、消費税率を予定通り2015年10月に10%へ引き上げた場合、社会保障の充実に充てる財源は18兆円余りとなる一方、8%に据え置いた場合の財源は約135兆円との見通しを示しています。医療・介護に関連する具体的な改革メニューとしては新基金のほか、消費税財源を活用した介護報酬改定、高額療養費制度の見直し、難病・小児慢性特定疾患の医療費助成対象の拡大などを挙げ、これらについては具体的な金額を明示しない「事項要求」としていました。このうち高額療養費制度の見直しは、70歳未満の所得区分を従来の3段階から5段階に細分化して月当たりの自己負担限度額を再整理する内容です。2015年1月の実施に向け、すでに2014年度予算で42億円を計上しています。厚生労働省は2015年度の必要額として約250億円を見込んでおり、「制度見直しに対応するため、保険者や医療機関はすでにシステム変更などを手掛けている」(厚労省保険局)とし2015年度の予算措置は必要との認識を示します。難病などの医療費助成対象拡大についても、今年成立した難病関連法などに基づき2015年1月から実施予定で2014年度予算にも298億円を計上していました。2015年度には2100億円を見込んでいます。2015年度必要額が見込まれている施策が多い中、具体的な必要額が見込めない介護報酬や新基金の介護分などが、今後の予算編成の中で焦点となります。介護報酬改定については、今後厚生労働省と財務省の間で改定率をめぐる議論が本格化しますが、「予定 していた消費税財源がない以上、厳しい折衝になります」(厚労省老健局幹部)。新基金は医療・介護の両方が対象だが、2014年度は医療領域の事業か、医療・介護が連携する事業のみを対象に904億円を確保しました。厚生労働省がこれまで毎年度支出していた補助金事業が複数衣替えして補助対象となるほか、新規事業として都道府県が複数年にまたがって計画する事業も対象となります。さらに、2014年度は急性期病床などから回復期病床への転換を中心に補助対象とする方針で、2015年度はそれ以外の病床への転換支援などさらなる拡充が必要となっています。このため、2015年度予算は医療分だけで最低でも2014年度と同規模の904億円の確保が求められるといえます。
一方、介護領域だけの事業は「介護基盤緊急整備等臨時特例基金」と「介護職員処遇改善等臨時特例基金」の期限が2014年度まで延長されることから、2015年度から新基金の対象にすることとなりました。ただ、消費増税見送りの可能性が濃厚となる中でどれだけの財源が確保できるかは不透明な状況です。老健局幹部は「片方は先に出てきた料理を食べていて、片方は注文した料理が出てこない状態」と不満をあらわにしています。別の厚生労働省幹部は 「財源的に厳しい状況になるだろうが、新しく対象になる介護も含めて十分な額を確保できるように努力していきたい」と話しています。

国政は本当に難局に差し掛かりました。アベノミクスで日本経済を元気にするはずが、消費増税の影響が市場には強く蔓延っています。社会保障費を見直さなければ、国の財政が破たんに向けて拍車をかける要因となることはわかりながら、それを補てんするだけの強い経済が日本国内で回復していないのです。それでも庶民の家計に対する3%の増税が大きく影響を及ぼしているのは、事実です。ただ、他力本願では日本経済は回復しませんし、これからの社会保障を維持していくことはできません。はたして円安株高の影響は、どこまで浸透しているのでしょうか。








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2014年11月18日火曜日

医療保険制度改革試案 保留   厚生労働省

厚生労働省が11月13日に正式発表する予定だった医療保険制度改革試案が、「解散風」を受けて宙に浮いた状況になっています。後期高齢者の保険料軽減特例の見直しなど、国民の負担増を含んだ内容のため、衆議院解散の場合は選挙後まで本格的な議論が難しいのではないかとの見方が厚生労働省周辺では強い状況です。過去に幾度となく繰り返された光景ではありますが、今回の医療保険制度改革も政治の都合に振り回されています。






厚生労働省は試案について、11月13日の第2回医療介護改革推進本部(本部長=塩崎恭久厚生労働相)で正式発表し、11月14日の社会保障審議会・医療保険部会に示す予定を立てていました。ところが厚労省は11月11日午後、推進本部、医療保険部会ともに中止すると発表しました。試案の内容は、これまで医療保険部会で示してきました方向性を大づかみにまとめたものです。新たに具体的な数値を盛り込んだわけでもなく、部会の議論を追ってきた人間が見れば新規性は乏しいものです。しかし、後期高齢者の保険料軽減特例の段階的見直 しのほか、後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入、被用者保険・国民健康保険の保険料の上限引き上げ、入院時の食事代負担の見直し、所得水準の高い国保組合への国庫補助見直しなど、被保険者や保険者の負担増につながる内容が複数盛り込まれています。自民党が11月11日午前に開いた「社会保障制度に関する特命委員会・医療に関するプロジェクトチーム」では、試案そのものをテーマにしたわけではないが、負担増に懸念を示す声が相次いだといいます。社会保障制度に関する特命委員会・医療に関するプロジェクトチーム終了後、座長の鴨下一郎衆院議員は、後期高齢者の保険料軽減特例見直しに反対する議員がかなりいるとの認識を示し、「できるだけ慎重にやれという話があった」と述べられました。その後、推進本部、医療保険部会の中止を決めたことについて、厚生労働省関係者は「塩崎大臣の総合的な判断」と説明しています。自民党関係者も「大臣がストップをかけたようです」と話します。衆議院解散の観測が広がる中、与党や政府内では試案の内容に対する懸念が消えなかったようです。「国民に負担増を求める厳しい内容なのに、官邸に対する厚労省の根回しが十分でなかった」と 、厚生労働省の落ち度を指摘する声もあります。試案では、国保の財政運営の都道府県移行など、厚生労働省が来年の通常国会に法案提出を予定している案件もあり、詳細を詰めるための時間的余裕は少ない状況です。ただ現時点では、推進本部などの開催予定は「何も決まっていない」状 況で、医療保険制度改革を担当する厚生労働省保険局は困惑の雰囲気に包まれています。

 安倍政権において、予想以上に経済政策が低迷しており、このまま消費増税してしまうと経済が再び冷え込んでしまうという懸念から、消費増税は延期される方向が濃厚となっており、解散総選挙と進んでいきそうです。ただ、一度この方向で進むと決めたものを簡単に修正変更しては、これまで進めていた試案などがすべて進まなくなっていきます。確かに日本経済を立て直さなければ明るい未来が到来しないということは理解できますが、はしごを外された各省や日銀は、この先どのように修正できるのか、不要なしわ寄せが国民に来ないことだけを切に願います。








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2014年11月17日月曜日

2012年度社会保障費用統計   国立社会保障・人口問題研究所

国立社会保障・人口問題研究所が11月11日に発表した2012年度社会保障費用統計(旧社会保障給付費)によると、社会保障給付費の総額は前年度から10%増の108兆5568億円で過去最高を更新しました。このうち、「医療」は前年度から1.6%増の34兆6230億円で、社会保障給付費全体の31.9%を占めました。国立社会保障・人口問題研究所によると、医療は過去10年で3番目に低い伸び率だとし「落ち着いた伸び」とコメントしております。伸びが抑えられた理由として、2012年度診療報酬改定がネットでプラス0.004%と低く抑えられたことなどを挙げております。






社会保障費用統計では、医療保険や介護保険、生活保護などの社会保障制度に関する1年間の支出を国際労働機関(ILO)基準による「社会保障給付費」と、経済協力開発機構(OECD)基準による「社会支出」の2通りで集計しています。社会保障給付費は戦後間もなくから集計されている政策議論に欠かせない統計で、社会支出は施設整備費など直接個人に渡らない支出まで集計範囲に含んだ国際比較の点から重要な指標になっています。社会保障給付費のうち、「年金」が1.7%増の53兆9861億円で全体の49,7%を占めております。介護保険や生活保護の介護扶助な ど「介護対策」は64%増の8兆3965億円で、伸び率が大きい状況でした。国民 1人当たりの社会保障給付費は85万1300円になりました。
社会支出の総額は、前年度から0.6%増 の112兆7475億円で、過去最高を更新しました。国民1人当たりの社会支出は88万4200円になりました。社会支出を政策分野別にみると、総額に占める割合で最も多かったのは「高齢」の53兆6272億円で47.6%で、次 いで「保健」の36兆8735億円が32.7%となりました。

社会保障費の増加は、これから超高齢化社会が進行する中で0にすることはできないとしてもいかに抑制するかが大きな課題として注目視されています。その対策として、まず消費増税で財源を確保しつつ、多くの制度改革等を進めていこうとしている中で、安倍政権はちょっと雲行きが怪しくなってきております。消費増税というシナリオのもとで進めている中ではしごを外されては、すべて無し崩れとなってしまいます。確かにこのまま消費増税によって景気が冷え込んでしまうことは望ましくありませんが、根底からの方向転換は、安倍政権の国民からの信頼を失うきっかけとなるように思われます。








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2014年11月16日日曜日

腹腔鏡手術後死亡   群馬大病院

前橋市の群馬大病院では、高難度の腹腔鏡(ふくくうきょう)を使う肝臓切除手術の後、患者8人が死亡していました。県内外から患者が集まる北関東の医療拠点である群馬大病院で、手術の不適切な実施態勢が明らかになりました。病院は院長らが記者会見して謝罪しました。病院は遺族への説明を始めましたが、遺族の中には、手術後から病院側への不信感と疑問を抱き続けた人もいました。群馬県庁で行われた記者会見の冒頭、野島美久病院長らは「大変申し訳ありません」と深々と頭を下げました。






 今回の問題では、安全性や有効性が確認されていない手術が病院の管理部門に申請されないまま多数行われた結果、8件もの死亡例が積み重なりました。 報道陣から「ここまで増える前に、病院として食い止められなかったのか」との問いに、「しかるべき手続きが取られておらず、把握が遅れてしまった。(申請など)執刀医らの認識も曖昧だった」と述べられました。
 8月末から調査委員会が調べを進める中で、問題点が次々と明らかになっています。カルテや患者に渡した同意書などからは、手術のリスクや、抗がん剤治療など他の選択肢について説明した形跡がみられないといいます。永井弥生・医療安全管理部長は「もっと丁寧に説明すべきだったが、残された文書を見る限り、それがなされていない」と話しました。

 「簡単な手術と言われ、夫は望みをかけた。」群馬大病院第二外科(消化器外科)で、肝臓がんの夫が腹腔鏡手術を受けて死亡した妻は、そう打ち明けました。その妻によると、手術前、担当医から「腹腔鏡手術なら2週間で退院できる」と言われ、「早く退院できるなら」と応じました。 しかし、手術の説明は専門用語が多くて理解しづらく、リスクについて説明を受けた記憶はなかったとのことです。「あの時は、わからなくても、夫の病気を治すことで頭の中がいっぱいで、先生を信じて任せるしかなかった」と振り返っています。 術後、容体はどんどん悪化しました。担当医は多忙で、夫の経過について説明を求めても対応してもらえないことが多く、女性は不信感を募らせていきました。

平成26年6月18日に医療事故調査制度が成立しました。医療法の改正に盛り込まれた制度になります。制度施行は平成27年10月1日になっています。医療事故が発生した医療機関において院内調査を行い、その調査報告を民間の第三者機関(医療事故調査・支援センター)が収集・分析することで再発防止につなげるための医療事故に係る調査の仕組み等を、医療法に位置づけ、医療の安全を確保するものです。医療は100%ではないかもしれません。でも患者やその家族は、100%の完治を期待します。ただ安全性については常に高い水準で確保されておかなければなりません。医療事故調査制度が良いというわけではありませんが、医療安全に対する意識の改善は一人ひとり必要不可欠です。








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2014年11月15日土曜日

社会保障充実と消費増税

2015年10月に消費税率を10%に引き上げるか否かの判断の参考として、有識者から意見を聞き取る政府の点検会合が11月13日に開かれ、日本医師会の今村聡副会長は「税率を引き上げ、増収分を医療・介護の財源として使うことは医療関係者の共通した願いです」と述べられ、予定通りの引き上げを求めました。今村副会長は会合で、日本の医療制度は少子化や超高齢化、医療の高度化を背景に制度疲労を起こしていると指摘されました。

世界的評価が高い同制度を維持・充実させるには十分な財源確保が必要であること、制度が一度壊れてしまえば再構築は困難でかえって社会的なコストが増大してしまう点を訴えました。国民医療推進協議会 (会長=横倉義武・日医会長)が10月にまとめた決議を紹介しつつ、2015年10月に税率を10%に引き上げて増収分を社会保障財源に充てる“3党合意による国民との約束"を守るよう迫りました。取り組むべき喫緊の課題も提示し、認知症対策とエボラ出血熱などの感染症対策の2つを説明されました。このうち安倍晋三首相が対策強化に意欲をみせる認知症対策は、家族の介護などによる離職増が労働力低下の要因につながるとし、経済成長の観点からもすぐに取り掛かるべきと主張しました。また、経済発展が社会保障の財政基盤を支えるだけでなく、社会保障の発展が生産や雇用の誘発効果につながり、日本経済を下支えしている“相互作用"も強調されました。医療機関の存続に大きな影響を及ぼす医療機関の消費税負担の問題への対応は「引き上げによって地域医療を支える医療機関に支障を来さないように、抜本解決が不可欠」と理解を求めました。出席者間の意見のやり取りでは、10%への引き上げが安倍政権の経済政策(アベノミクス)の 足かせになるとの懸念が出たといいます。これに対し、今村副会長は3党合意がアベノミクスを前提に決められたものではない点を挙げて「アベノミクスと関係なく、国の財政改善や社会保障の維持・充実、発展のために、社会保障・税一体改革の3党合意に取り組んだはずだ」と主張されました。あらかじめ決まっていた政策がその後に打ち出された政策によって手を加えられることへの“政治の姿勢"をただしました。
10%への引き上げを延期し、年内の衆院解散・総選挙の可能性が高まっているが、今村副会長は予定通りの引き上げがかなわない場合は社会保障充実のための財源は他の税収からも当然求められるべきとの見解を示しました。 年内の衆院解散・総選挙に備え、与党が臨戦態勢を整え始めています。影響は厚生労働分野にも及んでおり、自民党は11月13日までに、水面下で陳療関連政策を含めた公約作成作業に着手したもようです。今臨時国会の会期は30日までとなっていますが、法案審議も11月17日以降の解散を視野に入れた日程にシフトしています。国会周辺では11日以降、急速に解散・総選挙ムードが高まっています。選挙で掲げる公約は党の「顔」にもなりますが、自民党は医療分野の公約を作成するため、党の窓口役と支持団体間でやり取りを始めました。

医療と経済は国の財政を軸に強い関係性を持っており、この消費増税はどのようになるのか、このまま社会保障を脆弱化させるわけにはいかないという危機感はありながら、安倍首相の手腕の見所です。ただ、新基金も踏まえて制度改革を見据えていた医療業界においては、方向を180度転換しなければならないようなことだけは、避けて頂きたいと切に願います。








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2014年11月14日金曜日

新基金と地域支援事業 在宅医療 厚生労働省

厚生労働省老健局老人保健課の迫井正深課長は11月10日、都道府県担当者らが対象の「全国介護保険担当課長会議」で、地域支援事業に位置付けられた在宅医療・介護連携推進事業と地域医療介護総合確保基金(新基金)を活用する在宅医療関連の事業の関係性について説明しました。






新基金を活用する事業は、補助金などで措置されている事業は対象外になるため、在宅医療・介護の連携に関する事業のうち、地域支援事業で行われる事業は対象になりません。迫井課長は、都道府県が市区町村との役割分担を明確にした上で広域的・補完的に在宅医療・介護の連携に関する事業を行う場合は、2015年度以降も新基金を活用して差し支えないことを示しました。また地域支援事業の取り組み内容に示されていない在宅医療・介護の連携のための事業であれば、新基金を活用することは可能と説明しました。
老健局高齢者支援課の辺見聡課長は、新基金で2015年度から介護分野が加わることを踏まえ、現時点での対象事業の考え方について情報提供しました。介護施設などの整備に関する事業は地域包括ケアシステムの構築を着実に進める観点から、小規模多機能型居宅介護や定期巡回・随時対応サービス、認知症高齢者グループホーム、地域密着型特別養護老人ホームなどの地域密着型サービスの施設・設備の整備などに対し財政支援を行う必要があることを示しました。介護従事者の確保に向けた事業については「各都道府県の裁量を重視することを考えている」とし、厚生労働省の「福祉人材確保対策検討会」の取りまとめなどを踏まえ「地域の実情に応じた計画的な人材確保は図られるよう検討していただきたい」と述べられました。
老健局認知症・虐待防止対策推進室の水谷忠由室長は、認知症施策推進5カ年計画(オレンジプラン)の進捗状況について報告しました。2017年度末までに4000人を目標に掲げる認知症サポート医養成研修の受講者は2013年度末で3220人、同様に 5万人が目標のかかりつけ医認知症対応力向上研修の受講者は2013年度末で3万8053人でした。安倍晋三首相が「認知症サミッ ト日本後継イベント」の中で認知症施策を加速するための新たな戦略を策定するよう塩崎恭久厚生労働相 に指示したことにも言及し、「新しい戦略は、今後関係省庁を含め検討していく。来年度予算編成が年末にあることを考えれば、年内を一つのめどとして策定作業に取り組んでいきたい」と述べられました。 
これから医療と介護は一体で考えていくことがスタンダードとなっていく中で、現状異なるスキームで動いているもの同士の調整は必要になってきます。ただどうしても綺麗にはいかず歪みが生じたり、一部にマイナスを被ることも想定できます。いかに全体を見て最適な方向性を打ち出せるか、消費増税などでゆらぐ安倍内閣に期待したいものです。








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2014年11月13日木曜日

市長へ嘆願書 細川裕平管理者罷免 八鹿病院

公立八鹿病院(養父市八鹿町)で、経営改革の手法や人事などを巡り反発が出ている問題で、反発する医師らが11月7日、養父市役所を訪れて、八鹿病院組合の細川裕平管理者の罷免を求める嘆願書を広瀬栄市長に手渡しました。
 嘆願書には医師13人の署名があり、別途提出の同趣旨の請願書には医師、事務関係を除く360人の署名が添えられていました。





 嘆願書によると、複数の医師が退職の意思を表明し、病院存続の危機にあり、その発端が管理者にあるなどとしています。嘆願書を手渡した近藤清彦副院長は「管理者と医師の意思疎通が取れず、今の管理者の方針について行けない」と訴えました。
 広瀬市長は「重たい内容で、ゆっくり拝見させてもらう。病院を大切にしたいという気持ちはみんな一緒だが、経営改善を進める部分で対立の構図になっています。小異を捨てて大同につくつもりで、市民目線で今の状況の収拾に全員であたるべきです」と医師らに話しました。今後については「医師やスタッフと話し合って考えたい」としています。


 公立八鹿病院では、経営改革の手法や人事などを巡り、医師の中から反発が出ています。8月に「改革に前向きではない」として、病院側から外科系診療部長を解任された医師は10月に辞表を提出しました。病院を管理する公立八鹿病院組合の細川裕平管理者は「誤解があれば、辞表を出した医師に謝罪したい」とし、管理者の任命権者の一人、広瀬栄・養父市長は「意思疎通を欠いているので、理解に向け努力するよう管理者、院長に強く求めた」と述べられました。
 八鹿病院によると、病院の累積赤字は今年3月末現在で約81億円になります。病院組合は経営健全化のため、2012年12月に第2次の病院改革プランを策定しました。しかしその進め方などに反発する医師8人は10月16日に記者会見を開き、「医師が減り、忙しい中、収益が少ないと言われ、追い詰められている」と訴えました。そして管理者の交代を求める、と主張していました。
 これに対し、10月22日に細川管理者と谷風三郎院長が記者会見を開き、谷風院長は「辞表を提出した医師に対し、慰留のうえ、謝罪した」と明かしました。細川管理者は「改革については理解を求めたい」とする一方「改革には医師確保が最優先なので慰留は当然」と話しました。
 広瀬市長は10月24日、定例記者会見で「9、10月に複数回、管理者、院長や多くの医師と話をしました。改革が必要との思いはみんな同じだと思うが、進め方を巡り意見の違いがあり、対立の構図となった」と説明しました。「管理者を任命したのは私で、市民に大きな不安を与えたことをおわびしたい」と述べられました。

今、多くの病院では経営改革を推し進めなければならないほどの危機的状況に陥っています。ただそこで一筋縄でいかないところが、医療はビジネスではなく生活インフラであると考えられているところが多くの従事者の意識の根底にあります。確かにそれは一理あります。しかし、今日も明日も明後日も医療を提供しようとするなら、健全な経営状態でなければ継続できません。健全性がなければ地域の医療を守ることもできないのです。多くの医師も分かってはいると思います。しかし、かんたんな損得勘定だけで割りきってはいけない部分があります。その大事にしなければならない理念をしっかり共有することが求められているのではないでしょうか。








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2014年11月12日水曜日

 地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会  厚生労働省

厚生労働省は10月31日に、「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」を開催しました。前回(10月17日)会合では、平成37年(2025年)の医療需要・各医療機能の必要量を推計するにあたり、「『社会保障・税一体改革の【医療・介護に係る長期推計】』(平成23年6月)のロジックを踏まえ、最新のデータを織込む」ことを確認しました。 この日は、「平成37年(2025年)の医療需要」の推計に向けて、より具体的な考え方が厚生労働省当局から示されました。






入院全体の医療需要(患者数)を推計
(1)平成37年(2025年)の推計人口(国立社会保障・人口問題研究所の『日本の地域別将来推計人口(平成25(2013)年3月発表の推計)』をもとに、性・年齢階級別の人口に入院受療率をかけて算出
(2)疾病ごと(「5疾病とそれ以外」あるいは、DPCの「主要診断群18分類」)の医療需要も推計
(3)都道府県・構想区域ごとの医療需要を、患者の住所地をもとに推計し、そこに患者の流出入(医療機能別)を加味
(4)入院受療率の地域差については、地域差の要因分析を行ったうえで補正

各医療機能別の医療需要(患者数)を次のように推計
(i)高度急性期
・患者に行われた診療行為について、診療報酬の出来高点数で換算して医療資源投入量の多寡をみて推計
・医療資源投入量が一定程度落ち着いた段階を「患者の状態が安定した段階」と捉え、そこまでを「高度急性期および急性期」とし、医療資源投入量が特に高い段階の患者数を高度急性期の患者数とする
(ii)急性期
・(i)と同様に考えて、医療資源投入量が一定程度落ち着いた段階を「患者の状態が安定した段階」と捉え、そこまでを「高度急性期および急性期」とし、(i)の高度急性期の患者数を除外する
(iii)回復期
・医療資源投入量が落ち着いた後、退院までの段階の患者数を「回復期・慢性期の患者数」とする
・回復期機能の定義(病床機能報告制度における「急性期を経過した患者への在宅復帰に向けたリハビリ提供機能」「脳卒中・大腿骨頚部骨折等の患者に対する回復期リハビリ機能」といった定義)に鑑みて、回復期リハビリが必要な患者数は、回復期機能で対応する患者数とする
・「回復期リハビリが必要な患者・重度の障害者・筋ジス患者・難病患者等」以外の患者について、医療資源投入量等でどう区分できるかを検討
(iv)慢性期
・(iii)と同様に考え、慢性期機能の定義(病床機能報告制度における「長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能」「重度の障害者・筋ジス患者・難病患者等を入院させる機能」といった定義)に鑑みて、重度の障害者(重度の意識障害を含む)・筋ジス患者・難病患者等の患者数は、慢性期機能で対応する患者数とする
・「回復期リハビリが必要な患者・重度の障害者・筋ジス患者・難病患者等」以外の患者について、医療資源投入量等でどう区分できるかを検討

在宅医療の患者数
(a)基本的には、「退院して在宅医療を受ける患者数」「現状において在宅医療を受けていると考えられる患者数」の合計とする
(b)「地域の在宅医療提供体制の整備状況」「在宅医療提供体制整備の地域差」「適正・効率的な在宅医療提供体制のあり方」などをどう反映させるかを検討

 このように、厚生労働省当局は「DPCデータをベースに、1日あたりの医療資源投入量」をもって、高度急性期や急性期等の定量的基準を設定できないかと考えていることが伺えます。 たとえば「肺がん」について、入院期間と医療資源投入量の関係を見てみると、「手術あり」「手術なし」ともに、入院初期(入院初日から10日程度)には多くの医療資源が投入されるが、それを過ぎると少ない医療資源投入が安定して続くことがわかります。 また、「急性心筋梗塞・手術あり」では、入院当日にきわめて多くの医療資源が投入され、徐々に資源投入量が低下し、入院から20日程度を過ぎると少量の医療資源投入が継続するという状況です。 一方、「急性白血病」では、入院日数の経過で医療資源投入量が減少するという関係は見出しにくい状況です。 こうしたデータをもとに、たとえば「医療資源投入量を指標として一定のラインを引き、疾病ごとに○点以上を高度急性期、○点未満●点以上を急性期と定義する」ことなどが考えられます。 この考え方について厚生労働省医政局の北波地域医療計画課長は、「客観的な指標である」という点を強調しましたが、「医療資源投入量はそれほど高くないが、状態がきわめて不安定であるという時期もあります。そういった点を今後、検討していく必要があります」とも述べられています。 構成員からは、「新型インフルエンザやエボラ出血熱などの非常事態をも考慮すべきではないか(加納構成員・日本医療法人協会会長代行)」「地域ごとに『あるべき受療率』は異なってよいと考えている。単純な補正は好ましくない(中川構成員・日医副会長)」「急性期から回復期等へ転棟し、回復期等から在宅へ退院した場合、同じ患者が2度退院患者としてカウントされていると思うが、その辺をきちんと把握する必要があるのではないか(相澤構成員・日病副会長)」といった意見が出されました。 遠藤座長(学習院大経済学部長)は、「次回以降に、実際の数字を入れた粗い試算結果を提示してもらい、それをもとに議論を深める」ことを厚生労働省に指示しました。 ただし、粗い試算にも相当の手間と時間がかかるため、次回会合(11月21日予定)で「試算結果をもとにした医療需要(患者数)」「必要量(ベッド数)」「協議の場」のいずれを議題とするかは不透明な状況となっております。

地域医療構想の策定について今は多くの都道府県が頭を抱えていると思います。いかに基金を引っ張るかという綱引きの為の一戦は一旦終わったため、これからはいかに各地域の医療体制のビジョンを描いていくかになります。ただ、現状すらしっかり捉えきれていない状況下でこれから先のビジョンを策定すること自体がナンセンスではありますが、そのビジョンによって多くの医療機関は影響をうけますし、また市民が影響を被ります。まずは各地域がどのような地域を目指すのか、首都圏と地方では大きく異なります。人口と産業を確保しなければ行政は厳しい運営をしなければなりません。ただ現在の市民をさておいてあまり大きな方向性が異なるビジョンを描くこともできません。官民が協力してよりよい地域を形成することが一つの得策ではないでしょうか。








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2014年11月11日火曜日

患者申出療養 (仮称)制度の枠組み案  社会保障審議会・医療保険部会

社会保障審議会・医療保険部会(部会長=遠藤久夫・学習院大教授)は11月7日、中医協からの患者申出療養 (仮称)制度の枠組み案の報告を受け、次期健保法改正での制度創設に向けた検討を進める方向を確認しました。今後、制度運用上の課題などについては中医協で議論が進む見通しです。部会では、患者申出療養による有害事象発生時の責任体制を明確化すべきだとの意見や、対象となる医療技術の安全性、有効性を確実に担保するための仕組みの重要性を指摘する意見が複数の委員からありました。






岩村正彦部会長代理(東京大大学院教授)は、患者申出療養について「重要な点は保険収載を目指していることです。その点を踏まえた制度設計、制度運用をお願いしたい」と述べた上で、「患者申出の可否を国が判断することになれば、もし被害が発生した際の国の責任などの問題は整理しているのか。臨床研究中核病院等からの定期的報告で、有害事象が隠匿された場合の制裁は考えているのか」などと質問しました。厚生労働省は、患者申出療養の詳細な制度運用は今後検討するとした上で、現在の先進医療制度の運用状況を引用して説明されました。先進医療では、有害事象の発生に備え、「実施医療機関には患者への補償、保険加入などを条件に実施することを認めています。患者申出療養でも発生時の対処法、ルールを決めておくことは必要です。有害事象の報告に遅れがあつた場合には、何らかの対処は必要だと認識しています」と答えました。これに対して、松原謙二委員(日本医師会副会長)は「国は一切責任を取らないということなのか。申し出た国民の責任とか、引き受けた医療機関の責任というのはいかがなものか」と厚生労働省の説明を問題視しました。唐澤剛保険局長は「法制度上の問題として存在する以上、それぞれの当事者にはそれぞれの責任があるはずと考えています。どの部分について、どの程度かということは一概には言えません」と理解を求めました。高橋睦子委員(連合副事務局長)も「有害事象が発生した場合の責任の所在が不明瞭です。最終責任を患者に課すことはあつてはならないです」などと指摘しました。また「低所得者が排除されない仕組みに留意することが必要です」と述べました。また、松原委員は「安全性・有効性を評価するのは容易なことではないが、それらを確保しながら、国民のために保険収載を目指すという大きなフレームは必ず守っていただきたい」と述べられました。高橋委員も「保険外併用療養費制度の拡大は、患者の安全性・有効性の確保が大前提」との考えを示されました。菊池令子委員(日本看護協会副会長)は、具体的な運用についてのガイドラインを国として策定するよう求めました。

患者申出療養 (仮称)が制度化されることはほぼ確実となってきた状況において、実際運用が始まった時に想定される事象についてひとつひとつ確認している段階に迫っています。まず一番の要点として、保険収載を見据えた制度とすることです。そうでなければ、高橋睦子委員の指摘通り低所得者層を排除した制度で終わってしまい、医療格差のきっかけとなります。これから地域包括ケアシステムとして、開業医のかかりつけ医の機能(ゲートキーパー機能)が働き始めると、一般的な急性期病院はこれまでと立ち位置が大きく変えざるをえなくなってきます。患者申出療養 (仮称)を実施できる医療機関は限られており、医療機関も患者に選ばれる為に独自性というか特徴を求められてくることは近い将来想像されます。








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2014年11月10日月曜日

認知症対策の新戦略 厚生労働省

 厚生労働省は、現行の認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)に代わる新たな戦略を策定します。年内を目途にまとめ、来年度予算編成に新プランの内容を反映させる方針です。新戦略は省庁横断的な取り組みを前提に、昨年度に始まったオレンジプランを強化したものになり、認知症の人が地域で長く生活できる社会の構築を目指します。東京都内で開かれた「認知症サミット日本後継イベント」で安倍晋三首相が11月6日に新プランの策定を表明され、塩崎恭久厚労相に取り組むよう指示しました。






 厚生労働省は2012年9月、急増する認知症高齢者などに対応するため、2013-2017年度の認知症施策の推進計画としてオレンジプランを公表しました。オレンジプランには、症状の進行状態に応じた「認知症ケアパス」の作成・普及や、認知症初期集中支援チームの設置のほか、本人や家族の手助けを行う認知症サポーターを累計600万人まで増やすといった数値目標も盛り込まれました。 塩崎厚労相は11月6日、認知症サミット日本後継イベントの閉会式であいさつされ、新プランの策定に意欲を見せました。策定に向けた3つの基本的な考え方も表明し、その1つに、認知症の人が住み慣れた地域でできる限り長く生活することを目指した「認知症地域包括ケアシステム」の実現を挙げました。具体的には、「医療・介護サービスが有機的に連携し、認知症の進行状態に応じて切れ目なく対応できる循環型のシステム」と説明されました。オレンジプランの目標数値を、一部引き上げることも検討されます。 また、塩崎厚労相は、新戦略は省庁横断的なプランにするとし、認知症への理解を深めるための普及啓発、認知症の人が生活しやすい環境整備や生活支援、認知症の人の就労・社会参加支援や安全確保、ICTの活用、介護者への支援、認知症予防などのための研究開発の推進、国際連携などの課題を含めた内容にする考えを示されました。さらに、施策を推進する際には、認知症の本人やその家族にしか分からない視点に立って取り組んでいくとしました。

 厚生労働省は今後、厚生労働省のほか内閣府と警察庁、金融庁、消費者庁、総務省、法務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省の担当者らで構成する「認知症高齢者等にやさしい地域づくりに係る関係省庁連絡会議」を活用するなどし、新プランの内容を詰めていきます。認知症高齢者等にやさしい地域づくりに係る関係省庁連絡会議は2013年9月に設置され、今年9月までに2回の会合を開いています。

超高齢化社会に突入していくにあたり、認知症の課題は大きな意味があります。塩崎厚労相は認知症地域包括ケアシステムを掲げておりますが、地域で看ていくというのは現状から見るとかなり実現に向けてのハードルは高いかと思われます。認知症の人が生活しやすい環境整備とは本当に地域なのか、就労支援は必要なのか、安全が確保された上での社会参加は必要かと思いますが、これから会合を重ねていき輪郭から見えてくるのでしょう。








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2014年11月9日日曜日

介護人材の確保に向けて   社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会

介護人材などの総合的な確保策や介護福祉士の資格取得方法などについて検討する社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会(委員長=田中滋・慶大名誉教授)が10月27日、初会合を開きました。厚生労働省は、介護に関心を持つ人を増やすため、小中学生を対象とした体験型学習の促進などを提案しました。また、資格を持ちながら、介護の現場で働いていない「潜在介護福祉士」の活用を図るための職場体験や再研修の実施を進めるなどの案も示しました。






 高齢化の進行に伴い、介護ニーズは高まり続けており、「団塊の世代」が75歳以上となる2025年までに、新たに約100万人の介護従事者の確保が必要とされます。その一方、介護の離職率は、業界全体の平均でも10%台後半と高く、人手不足に拍車を掛けている状況です。こうした状況に歯止めを掛けるため、厚生労働省は「福祉人材確保対策検討会」を開催しました。福祉人材確保対策検討会では10月22日、議論を取りまとめました。その中には、介護人材確保をテーマとしたグランドデザインを構築するなどの内容が盛り込まれています。 同検討会の取りまとめを受け、社会保障審議会福祉部会では、福祉人材確保専門委員会を設置しました。今後、福祉人材確保専門委員会は、介護人材の「量」と「質」を確保するための議論を進め、年内には介護人材に関する議論の取りまとめを行う方針です。

 この日、厚生労働省は介護人材の「量」を確保するための論点について、「参入促進」と「労働環境・処遇の改善」、「役割分担と連携」に分けて提案しました。 このうち「参入促進」では、介護事業者と地域の教育機関が連携し、小中学生が高齢者と接することができる体験型学習を進めることを提案しました。高校生や大学生に対しては、介護現場での職場体験やボランティア活動の推進を図ることも提案しました。また、介護事業者と一般企業が連携し、地域住民を対象とした介護研修を実施する案も示しました。 さらに介護事業者に対しては、就職希望者への情報提供を強化するため、経営理念や将来に向けた事業構想、賃金体系、キャリアパス制度などを「見える化」することなども提案しました。そのほかの案として、福祉人材センターとハローワークの連携強化なども示しました。 「労働環境・処遇の改善」では、入職後3年以内の人の離職を防ぐため、エルダー制・メンター制の導入促進や、基礎的な知識や技術を学びやすい環境の整備などを提案しました。「役割分担と連携」では、地域の介護事業者や労働関係機関、教育機関、一般企業、地域住民との連携の場(プラットホーム)を構築する案や、都道府県が各事業所の人材確保・育成の取り組みを認証する案などを示しました。
 厚生労働省の提案に対し、武居敏委員(全国社会福祉協議会全国社会福祉法人経営者協議会副会長)は、若い人材が介護業界への就職を望んでも、親や学校の教師が反対し、実現しない場合も多いと指摘しました。また、花井圭子委員(連合総合政策局長)は、日ごろ介護の知識に接する機会が少ない社会人の男性を対象とした啓発活動も必要と訴えました。

介護のニーズが高まるにつれて、介護職員の確保もこれから必要性が増してきます。地域包括ケアシステムの構築を目指すためには、もちろん総合診療医や訪問看護師も必要となってきます。ただ看護師はこれまで資格取得後まず病院でチーム医療にどっぷり浸かり、縦社会を植え付けられ、またスキルアップを目指しキャリアパス・キャリアラダーやリソースナースなど制度が整っておりますが、介護ではまだまだそのあたりの整備は遅れています。参入促進も必要ではありますが、離職率を抑制する対策をまず整備することが必要ではないかと思慮致します。








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2014年11月8日土曜日

消費増税の補てんが不十分  日本病院団体協議会代表者会議

日本病院団体協議会代表者会議が10月27日に開かれ、消費増税8%における診療報酬による補填率調査で、全体の6割強の病院の補てんが十分に行われず、病院の機能によって補てん率に大きなばらつきが出ている実態から診療報酬による補てんには限界があるとの速報結果が示されました。代表者会議後の会見で、日病協の加納繁照議長(日本医療法人協会長代行)、楠岡英雄副議長(国立病院機構大阪医療センター院長)は「日病協は、厚生労働省に対して消費税8%での診療報酬による補てんの検証調査を国としても早急に実施するよう求めていく方針です」と述べられました。






今回の調査は、消費税率が5%から8%にアップしたことを踏まえ3%の引き上げ分について診療報酬で適切に補てんされたかを把握することを目的に行われました。調査時期は2014年8月から9月で、調査方法としては「消費税率引き上げ前の事業年度の実績を基に、税率引き上げによる経費増と診療報酬による補てん分を推計し補てん率を計算」する方法を採用しました。四病院団体協議会、日病協が協力し調査を行った結果、対象病院1075病院から433件の回答(回収率40.3%)があり、そのうち有効回答数は282件でした。
その結果、補てん率の分布状況を見ると、最も多いのは「補てん率が50%以上100%未満」で全体の58.5%を占めました。「50%未満」は43%で、合わせて62.8%の 病院が補てんの多寡は別として「補てんが十分されていない」ことがうかがえるとしました。一方で「100%以上150%未満」の医療機関が22.3%、「150%以上」が 14.9%で 、合計37.2%は補てんを十分受けているとの結果も出ています。補てん率の中央値は87.1%となりました。加納議長は、補てん率が低い医療機関について「まだ詳細な分析結果が出ていないが、課税対象の経費率が高い医療機関や、減価償却割合が高い医療機関が考えられるのではないか」との見解を示しました。
記者団からは「補てん率150%以上などは益税ということか」などの質問が出されたのに対 し加納議長は「そういう考え方もできるが、われわれは医療機関の形態 (機能)によって補てん率にばらつきがあることが問題であり、病院に対する診療報酬での補てんは難しいと主張したい」と述べられました。楠岡副議長も「診療報酬での補てんは、このような大きなばらつきを発生させています。150%以上補てんされる所も出てくることが問題であり、税は税で対応していくべきだ」と強調され、「診療報酬で対応すると非常に不公平になる」とも指摘しました。
日病協・四病協は「今回の改定の補てんは、あくまでも平均値による調整であることが示唆される。総体的には補てんされているが、個々の医療機関の特性によってばらつきが大きい。今後、今回の補てん方法の問題点をさらに精査していくことが必要だ」としています。

今回の消費増税は多くの病院運営に多大な影響を与えております。効率性を高めたり費用を抑制したりとそれぞれの病院が取り組んでいるとは思いますが、この3%が乗りかかるウエイトは非常に大きく、診療報酬のアップではとても補てんできていないと分析している病院が多いと思います。次の10%への増税は、時期がまだはっきりしておりませんが、病院運営の現場としては、8%に上がった時の診療報酬改定案を0ベースに戻して、検討し直してもらわなければ、運営が維持できない病院が後を絶たないと思います。国は、そのようにして医療費を抑制しようとしているのでしょうか。少し手法に疑念を抱かざるをえません。








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2014年11月7日金曜日

オバマ大統領 中間選挙 大敗 オバマケアが足かせか

 米中間選挙で争点の一つになった医療保険改革(オバマケア)。オバマ大統領が1期目に実現させた看板政策でしたが、評価は振るわず、政権を支える民主党の足を引っ張り続けています。共和党は欠陥追及の手を緩めず、民主党支持者の間で出始めた不信感も逆風になっています。






 オバマ大統領の名前と医療保険(ヘルスケア)を合わせたオバマケアは、2010年3月成立の医療保険改革法や同法に基づき国民の保険加入率を高めることを目指す施策です。約4400万人の無保険者がいるとされる米社会には、日本のような国民皆保険制度がなく、改革は民主党リベラル派の長年の悲願でした。
 しかし、共和党は個人の自助努力を重視する立場から、オバマケアを「社会主義的」などと批判して徹底的に抵抗しました。大統領は2010年当時、上下両院で民主党が多数だったことを後ろ盾として、共和党の賛成が1票もないまま医療保険改革法の成立を勝ち取りました。だが、それが今日まで続く激しい党派対立の要因となってきていました。
 オバマケアは、登録用サイトの不具合や大統領の説明との食い違いなど問題が連鎖的に発生しました。そのことで民主党支持者の間でも不安や不満の声が出ている状況です
 今年10月のギャラップ社世論調査によると、オバマケアに賛成する国民は41%だった一方、反対は53%に上っています。
 共和党の選挙戦略に影響力を持つカール・ローブ元大統領上級顧問は「民主党はオバマケアを生み出したが、そのことで苦しんでいる」と指摘しました。

国の医療支出が膨らんでいることに対する施策として半ば強引に成立したオバマケアですが、このままではアメリカ国民に浸透した制度として定着することは厳しい道のりです。国民皆保険制度を目指すことで、アメリカの保険業界は顧客層の減少を懸念しています。そのための新天地として白羽の矢がたったのが日本であり、そのために医療の業界を解放するように差し迫っているのがまさにTPPなのです。農業などをどうするかということがよく表に出てきていますが、実態としてはこの医療と保険の分野についていかにアメリカが日本の閉ざされてきた市場を開放するのかしないのかが、大きな論点なのです。患者申出療養(仮称)もその一つだと考えられています。いつまでアメリカに振り回され続ける日本のままでいるのでしょうか。








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2014年11月6日木曜日

データ提出加算の期限を注意喚起   厚生労働省保険局医療課

厚生労働省保険局医療課は、2014年度診療報酬改定で 7対1入院基本料および地域包括ケア病棟入院料などの施設基準として要件化されたデータ提出加算をめぐって、今年度中に地方厚生局へ届け出を行うには「DPCデータ提出開始届出書(様式40の5)」を11月20日までに提出するよう注意喚起する事務連絡を、10月31日付で地方厚生(支)局に発出しました。






7対1入院基本料や地域包括ケア病棟入院料の算定病院では、新たに算定要件となったデータ提出加算が来年3月までの1年間、経過措置項目となっています。保険局医療課は事務連絡で、7対1入院基本料を2015年4月以降も引き続き算定あるいは、新たに算定を開始予定の医療機関(2014年3月31日時点でデータ提出加算の届け出を行っている医療機関、DPC対象病院およびDPC準備病院を除く)は 、2015年3月末までに地方厚生局にデータ提出加算(様式40の7)の届け出を完了させる必要があることを明記しました。そのためには、11月20日までにDPCデータ提出開始届出書(様式40の5)を地方厚生局に届け出た上で、2014年12月および2015年1月の試行データを厚生労働省に提出し、合格通知ともいうべきデータ提出通知を受ける手続きが必要になるとしています。
2014年度の「様式40の5」の提出期限は5月、8月、11月、2015年2月の計4回です。5月、8月に一連の手続きを終えていない医療機関は、11月20日の届出提出期限を過ぎると、今年度中のデータ提出加算の届け出が滞り、7対1入院基本料などの算定要件を満たすことができなくなることから「十分留意していただきたい」と呼び掛けています。

厚生労働省によると、初回の5月20日の提出分は167病院が合格しており、最短で10月1日から算定が可能です。8月20日の2回目の提出分は12月中に合格病院を発表する予定です。5月締切の167病院を大幅に上回る見通しです」としており、結果がまとまり次第、データ提出通知を受けた病院名を公表していく予定です。
一方、厚生労働省は、データ提出加算を算定している病院がデータ提出に遅延等が認められた場合、「当該月の翌々月に加算算定できない」ルールを踏まえ、該当医療機関名を都道府県などに通知しています。直近では10月22日の医療課長通知で、11月の1カ月間データ提出加算を算定できない6病院が明示されています。

7対1入院基本料の厳格化というか締め付けは、これからますます厳しくなることは想定されますが、いかに病院が地域で医療の役割を担っていくのか、高度急性期が花型なのか、それとも総合診療医がスポットライトを浴びていくことになるのか、確かに医療に携わる者なら誰でも最先端の医療を提供して治療にあたりたいと望んでいます。ただ、これから高齢化が進んでいく中で、医療に求められていくものは、疾病を治療することから、患者と共に緩和していくことが求められていきます。もちろん治療できるものは行なっていきますが、医療人の社会的意義が求められていく時代になっていきます。








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2014年11月5日水曜日

地域医療構想(ビジョン)において病院関係者の協議の場を   日本病院会

日本病院会は、来年4月に設置される地域医療構想(ビジョン)の協議の場に、地域の病院関係者が参加し、医療現場の意見を十分反映できるよう各都道府県知事に対して要望活動を展開する方針を決めました。各県単位で、支部のある19都道府県は支部担当者が、それ以外の県は県病院協会などと連携し選出した各代表者が、地域医療ビジョン策定に関する要望活動を進めます。日本病院会の堺常雄会長が、明らかにしました。






堺会長は 「日本病院会は、地域医療ビジョンは、将来の日本の医療の形を決定し、病院の姿を変えていく極めて重要なものと認識しています。今回の活動は、全国で設置される地域医療ビジョンの協議の場に、病院団体あるいは公的病院、民間病院などを問わず、まず病院関係者の出席を確実なものにしていくことを第一義に考えています」と述べられました。地域医療ビジョンの 「協議の場」の設置は、法的に2015年4月の設置とされていますが、前倒しで設置すべきとの意見が出ている状況です。病院団体は、医師会のように日本医師会、各都道府県医師会、郡市医師会のような組織体制ではなく、各団体に所属する病院の集合体ともいうべき県病院協会を中心に活動しているケースや、各団体の支部組織が中心になるケースなど県によって活動形態がさまざまなのが実態です。今回の要望活動は、常任理事や理事だけでなく全国の会員病院等からの強い要望を受け進めることにしたとしています。要望活動では、都道府県の地域医療ビジョンおよび医療計画作成の協議の場が病院医療に携わる者に開かれたものになることを求めるとともに、都道府県が策定する地域医療ビジョンガイドライン(GL)は、国のGLに準拠したものではなく地域特性を配慮した独自のものであること、病床機能報告制度で渉猟したデータは、協議の場への参加者だけでなく全ての者に公開すること、構想区域は医療圏の枠にとどめるものではなく、時に都道府県の枠を超えて作成することも可能にすること、人口減少が著しい地域や医療圏においては、「医療需給のマッチング」という視点ではなく、「セイフティーネットの確保」、ひいては「まちづくり、まちの再生」を重視すべき、2025年に向けての地域医療構想による医療需給は、現在の医療水準を質も量も下回ることがないよう推計されるべき、などを求めていきます。堺会長は「10月末の理事会では、協議の場での議論に対する危機感が極めて強かつです。病床機能報告の内容は適切に地域医療ビジョンに反映されて、それが各都道府県の生活圏の地域包括ケアに資するものであってほしいと考えていますが、現場には報告後のデータを基に病院として何らかの決断を迫られるのではないかという危機感があります」と強調されました。その上で 「データだけで決められるのではないかという不安、協議の場で本当に活発な議論ができるのかという不安が極めて強いことを実感しました」とも述べられました。

地域医療ビジョンとは、まさに病院にとっては、今後どのような方向性で運営を行っていくべきなのか、地域における大きな構想であるため、従わざるを得ないにもかかわらず、全く見えてこないことに対する不安と不信は大きなモノです。ただ、一部の病院関係者が出席することで、声が大きいほうへ靡いてしまうとそれも本末転倒なことになりますし、一概に良し悪しは言いにくいものですが、ただ本当にそれぞれの地域の医療体制を良くしようと考えるなら、それぞれのビジョンをヒアリングするというのは、重要なことと感じます。








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2014年11月4日火曜日

平成27年度医学部入学定員の増員

文部科学省は10月20日に、「平成27年度の医学部入学定員の増員」に関する各大学の計画を取りまとめ、公表しました。平成27年度は、前年度比65人増の9134人となります。






 医学部の入学定員は、平成15~19年度までは7625人に抑制されていましたが、近年の医師不足に対応するため、平成20年度より順次、増員されてきて、平成26年度には9069人と、平成19年度比で1444人増員されています。平成27年度については、平成22~26年度と同様、地域の医師確保などの観点から、緊急臨時的に、次の枠組みの増加が認められました。

(1)地域医療への従事を条件とした奨学金、選抜枠の設定(地域枠)を行う大学の定員は、17大学64人増
地域枠は、秋田大学(秋田県)2人、筑波大学(茨城県)6人、岐阜大学(岐阜県)3人、愛媛大学(愛媛県)3人、琉球大学(沖縄県)5人、名古屋市立大学(愛知県)2人、大阪市立大学(大阪府)3人、埼玉医科大学(埼玉県)1人、順天堂大学(千葉県)3人、帝京大学(千葉県)1人、東邦大学(千葉県)5人、愛知医科大学(愛知県)3人、藤田保健衛生大学(愛知県)5人、大阪医科大学(大阪府)2人、関西医科大学(大阪府)5人、近畿大学(静岡県)5人、川崎医科大学(静岡県、長崎県)10人
(2)複数大学の連携により研究医養成の拠点となる大学(研究医枠)の定員は、1大学1人増
研究医枠は、慶應義塾大学1人
(3)歯学部入学定員を減員する大学での医学部入学定員増(歯学部振替枠)は、増員なし

 増員期間は平成31年度までとなる見込みです。それ以降は、その時点における医師養成数の将来見通しや定着状況を踏まえて判断されます。


医師が不足しており、特に地域での医療体制が整っていないことは、昨今よく話題に上がっており、多くの病院が医師確保で奔放している状況です。このように医師が不足しているなら医師の絶対数を増やすことが必要とのことで、医学部の定員は増加対応をおこなっていますが、成田市が、国際医療福祉大学と共同で、打ち出している「国際医療学園都市構想」の中で医学部新設を目指しているが、どうもそちらは実現が難しそうな雲行きです。








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2014年11月3日月曜日

ホームページの広告でトラブル 美容外科

美容外科などのホームページ上の「広告」を巡り、トラブルが相次いでいます。 国民生活センターによると、2004年度には全国で11件だったインターネット広告に関する苦情相談が、昨年度は340件に上りました。ホームページで「低料金」を掲げる美容外科で、半ば強引に高額の手術を受けさせられたというケースが多い状況です。消費者団体が大手美容外科にホームページの一部削除を求める動きも出ています。






 顔のしわの解消や二重まぶたにする手術が数千円から数万円、医師による十分なカウンセリングが受けられ、手術後のアフターケアも無料――。ある美容外科のホームページでは、手術が低料金で安心して受けられると強調されています。 国民生活センターは「美容整形を受けたことを周囲に明かす人は少ない現状です。ほとんどの人が『口コミ』ではなく、ホームページで美容外科を選んでいるが、トラブルも多い」と分析しています。
 国民生活センターに寄せられる典型的な相談は次のようなものです。ホームページで低料金の美容外科を選んで訪れると、「安い手術では効果が長続きしない」と言われ、高額な手術か複数の手術の組み合わせを勧められる。難色を示すと、「今日は割引ができる」と段階的に料金を下げ、密室で数時間にわたり説得される。中には、カウンセリングだけのつもりで来たのに、当日に数百万円の手術を受けることになった人もいるといいます。
 国が認定する適格消費者団体「消費者機構日本」(東京)はこうした現状を問題視し、美容外科のホームページなどの集中調査を実施しました。10月8日、全国19か所で「品川美容外科」を運営する医療法人「翔友会」(同)にホームページの改善を申し入れました。適格消費者団体は消費者契約法に基づき、消費者トラブルの被害者に代わり、不当行為を行う事業者に改善を要求したり、訴訟を起こしたりすることができます。
 適格消費者団体は、品川美容外科がホームページで「会員になれば20%オフで手術を受けられる」としていることについて、入会金・会費が無料で当日入会が可能なため、非会員価格で手術を受ける人はほとんどいないとして、著しく安いと勘違いさせる景品表示法違反の「有利誤認」にあたると主張しています。さらに、「症例実績400万件以上」「紹介・リピート約90%以上」などの記載についても、裏付けとなるデータを示すよう求めています。
 翔友会は「回答期限の今月末までに適切な対応をしたい」としています。
 「ネット上の美容医療に関する広告は事実上、野放し状態にある」。消費者機構日本の磯辺浩一専務理事はそう指摘しています。
 医療法は保険適用外の自由診療について、薬事法で認められた医療機器や医薬品を用いる手術以外の広告を禁じています。美容外科の手術のほとんどは広告できないが、ホームページが“抜け道”になっている現状です。
 ホームページが広告とみなされるのは、医療機関が料金を支払ってバナー広告や有料サイトにリンクさせることで、閲覧者をホームページに誘導しているケースに限られており、リンクさせなければ規制は受けないとなっております。

美容外科などは、、営利に走った法人が多くのトラブルを引き起こしています。美容整形というあまり人に相談しにくいという土壌を悪用して、悪徳な手法で運営しているところがまだまだ多く存在します。ただその中には、本当に悩んでいる方に対し適切な処方を施している法人もあるなかで、一律のルールで拘束することは、それもまた制度の導入としては不適切であると感じ、なぜ悪いところに照準をあわせ、まじめに行なっているところがそのあおりを受けないといけないのか、訪問診療の紹介ビジネスによるあおりを重ねてしまいます。








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2014年11月2日日曜日

外国人介護人材の受け入れ

技能実習制度などを通じた外国人介護人材の受け入れを議論する検討会の初会合が10月30日、東京都内で開かれました。厚生労働省は外国人を受け入れる現行制度として、EPA(経済連携協定)と技能実習があることを挙げ、日本語能力のあり方や利用者に不安を与えないために配慮するといった今後の議論の方向性を提起しました。また、介護職に対するイメージ低下や、日本人労働者の処遇・労働環境の悪化を招かないよう配慮することも求めました。






 厚生労働省の担当者が、EPAと技能実習制度の仕組みや他職種における活用状況などを説明しました。介護分野については、EPAに基づく介護福祉士候補者の累計受け入れ人数が1500人を超えていることや、今年10月の時点で候補者595人と介護福祉士の合格者203人が就労していることを明らかにしました。
 また、検討を行う際の基本的な考え方として、厚生労働省は、経済活動の連携強化を目的として特例的に受け入れるEPAや、日本から相手国への技能移転、資格を取得した留学生への在留資格付与の項目を挙げ、「各制度の趣旨に沿って議論を進める」との方向性を提示しました。検討時の留意事項として、介護職に対するイメージ低下や、日本人労働者の処遇や労働環境が損なわれないことを挙げました。
 さらに、EPA介護福祉士候補者などの受け入れは、「労働力不足への対応ではなく、二国間の経済活動の連携強化の観点から、制度の趣旨や外交上の観点に十分配慮する必要がある」と指摘しました。技能実習制度への介護分野の追加については、移転される技能の内容、実習生の処遇、EPA介護福祉士候補者の受け入れを通じて得た経験の蓄積の活用などを主な検討事項とすることを提案しました。
 厚生労働省の提案に対し、委員からは「介護現場の人のいないところで、十分な教育ができるのか」「やり方によっては、優秀な人材が来てくれる」といった意見が出ました。
 介護分野の外国人労働者の受け入れをめぐっては、6月に閣議決定された日本再興戦略で、技能実習制度の対象職種に介護分野を追加することについて、年内をめどに検討して結論を得るとの方針を明示しました。このため、検討会では今後、在留資格や技能実習について議論した上で、12月中に中間取りまとめを行う方針です。

EPAについては、フィリピンやインドネシアやベトナムから看護師の候補者の受け入れも行なっていますが、なかなか日本の国家資格に合格するのは、高いハードルで、その数は本当に少ない状況です。一番の要因は、なんといっても日本語の取得。たしかに医療の現場で言葉が通じないというのは致命的ではありますので、日本語の取得は越えて頂きたい要因ではあります。しかし、このまま低い合格率ではいけませんから本題の本質を解決する為の検討が必要であるにも関わらず、外国人介護人材の受け入れを議論するのはいかがなものかと感じます。








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2014年11月1日土曜日

がん検診 重点的に個別受診勧奨 神戸市がん対策推進懇話会

 がんの専門家や学識経験者らから意見を聞く「神戸市がん対策推進懇話会」(会長=杉村和朗・神戸大学長補佐)が10月30日、神戸市内で開かれました。がん検診やがん患者への支援に今後、市としてどう取り組むべきかが話し合われました。その中で、年齢による利益・不利益のバランスやそれぞれのがんの特性に応じて、重点的に個別受診勧奨をすべき対象をめぐって議論が展開されました。






 市の担当者は、前回の懇話会で委員から出た意見などを踏まえ、胃がん、大腸がん、肺がんは50-60代、乳がんは50代、子宮頸がんは20-30代をそれぞれ重点的に個別受診勧奨すべき対象として提案しました。しかし、欧米を参考にして提案された乳がんを50代とすることに対しては、多くの委員から異論が相次ぎました。
 祖父江友孝委員(阪大大学院医学系研究科教授)は、「乳がんは40代の罹患率が高く、むしろ50代より高いかもしれない」と指摘されました。40代の検診は、マンモグラフィーだけでは感度が不十分ということもあって難しいと一定の理解を示しながらも、欧米と違って日本は閉経前の乳がんが多いことから「40代は無視できない」と主張されました。
 また、辻晃仁委員(神戸市立医療センター中央市民病院腫瘍内科部長・がんセンター長)は、「市民病院では乳がん患者は30代が多いです。市の検診を50代とするのには非常に違和感があります。もっと低年齢からやった方がよいです。せめて40代は入れていただきたいです」と述べられました。
 一方で、同様に50代は年齢が高過ぎるとした杉村会長は、「大丈夫と言われたから症状があっても大丈夫と思ってしまうリスクもある」と述べられ、個別受診勧奨だけでなく、検診で安心してしまう「検診の怖さ」にも注意を払っていく必要があるとしました。
 こうした委員らの意見を受け、乳がんに関しては再度検討することになりました。また、市では現在、乳がん検診は精密検査の未受診者への受診勧奨ができていないことから、検診の個別受診勧奨と併せて力を入れていく方針を確認しました。

日本の医療費が高騰している要因の一つとして、予防医療が浸透していないことがあげられます。またがんの罹患率が右肩上がりで上昇している中、がん検診の振興は課題の一つとして上がられています。多くの自治体では、市民のがん検診などの受診に対する補助を設けていますが、それでもなかなか受診率は向上しない状況です。今回の神戸市がん対策推進懇話会の討議の中で対象を広げるというのも必要な策であると考えられますが、受診率向上のためには意識の低い市民への働きかけが必要ではないかと感じます。








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