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2015年6月20日土曜日

「かかりつけ医」さらなる評価を

塩崎恭久厚生労働相は5月26日、政府の経済財政諮問会議に出席し、政府が今夏までに 策定する財政健全化計画に向けた厚生労働省の方針を示しました。医療分野では、2016年度診療報酬改定で「かかりつけ医」のさらなる評価を検討することなどを盛り込みました。






 塩崎厚労相は財政健全化計画に向けた「重点改革事項」として、保険者が本来の機能を発揮し、国民が自ら取り組む健康社会の実現、地域包括ケアシステムの構築、薬局の在り方を見直し、医薬品の使用を適正化、後発医薬品の使用の飛躍的加速化、の4点を挙げました。このうち、地域包括ケアシステム構築のメニューとして、「かかりつけ医」のさらなる普及に加え、地域医療構想の策定支援や、医療費適正化計画の前倒しと加速化などを通じた医療提供体制の確立や地域差の縮小などを盛り込みました。このほか「患者のための薬局ビジョン」を年内に公表し、全ての薬局を「患者本位のかかりつけ薬局に再編」する方針も示しました。薬局の在り方に関しては、いわゆる門前薬局から「かかりつけ薬局」への移行を進めるため、調剤報酬を2016年度以降の改定で抜本的に見直す方針も示しています。後発品の使用促進では、「2017年度末までに数量シェア60%以上」としている現行の目標達成時期を1年前倒しの「2016年度末」とするとともに、新たに2020年度末時点の数量シェア目標を「80%以上」と設定しました。これによる医療費の2020年時点の削減効果額は13兆円を見込んでいます。

「かかりつけ医」はこれから向かう地域包括ケアシステムにおいては重要な役割を担っていきますが、まだまだ病診連携の面から見ても課題は山積みであると思われます。あくまで今回の話は財政健全化というところですので、いかに社会保障費の増加を抑制するかという点です。そのためには病院から地域へのシフトを進めなければなりません。ですがその連携体制がまだ構築できていないですし、開業医の先生方も本当に地域の患者を診ていけるかといえば連携していかなければ現実的に不可能です。いかに連携して地域の患者を診ていくのか、必要な時に必要な医療が提供できる体制を構築できるのか、そうなると地域医療連携推進法人というものが、各医療圏で生まれていくのも近いかもしれません。








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2015年6月18日木曜日

在宅医療の報酬体系に「患者の重症度」

2016年度診療報酬改定に向けて、在宅医療については、疾患や重症度など「患者の状態像」に応じた評価の導入や、高齢者向け住宅向けの評価の適正化などを検討していく方向が、5月27日の中央社会保険医療協議会・総会で厚生労働省から示されました。






在宅医療の報酬体系は、現在「患者の居住する施設の種類」や「訪問回数」に応じたものになっており、患者の重症度は考慮されていません。
しかし、厚労省が行った2012年度と2014年度改定の結果検証調査によると、訪問診療の患者のうち約15%は「スモンや重症筋無力症などに罹患する、いわば重症者」ですが、その一方で、約46%は「健康相談や血圧測定のみの、いわば軽症者」であることが分かりました。
また患者の状態と訪問回数、診療時間を見ると、人口呼吸器の管理などが必要な重症患者では訪問回数が多くて診療時間も長くなっています。
このため厚労省保険局医療課の宮嵜雅則課長は、「患者の疾患・状態に応じた評価」を検討してはどうかと述べました。
 在宅患者の状態を評価するのにどのような指標を用いるかも課題になりました。厚生労働省が5月27日の中医協総会に示した資料からは、前回の2014年度改定で新設された機能強化型訪問看護ステーションで「重症患者」とされた、末期の悪性腫瘍、スモン、多発性硬化症、重症筋無力症、など「特掲診療料施設基準等別表第七に掲げる疾病等の利用者」が参考になりそうです。
 診療側の鈴木邦彦委員は5月27日の総会で、「重症患者が必ずしも手厚い治療を必要としているわけではない」と述べられ、単純に「重症患者は高い点数」とする考え方に疑問を投げ掛けました。
在宅医療の診療報酬では「訪問回数」が大きな要素となっていますが、「訪問診療の必要性だけでなく、診療報酬の算定要件によって回数が決まっている可能性がある」とも指摘されます。
 厚生労働省の調査では、外来では月1回の診療が最も多いのに対し、在宅では月2回の診療が最も多いことが分かっており、「月2回の訪問」は在宅時医学総合管理料の算定要件などと合致します。また、訪問回数と患者の重症度(療養病棟入院基本料の医療区分で測ったもの)との間には特段の関係は認められません。
さらに、訪問回数と患者の満足度との間にも関係がないという調査結果もあります。
 これらから宮崎医療課長は、「診療頻度(訪問回数)に応じた評価をどう考えるべきか」と問題提起しました。現在は、訪問回数が月2回になると報酬が大きく上がる報酬体系ですが、「月1回から月2回への階段」をどう考えるのかが今後の論点になりそうです。
在宅医療では、高齢者がどこに居住しているかによっても診療報酬が変わります。現在は、戸建て住宅などの「居宅」と「看護職員が配置されていない高齢者向け集合住宅」(特定施設等以外)は同じ区分で、「看護職員が配置されている特定施設等」(有料老人ホームなど)に比べて高い報酬が設定されています。
しかし、厚生労働省が両者について患者の状態などを調べたところ、高齢者向け集合住宅を中心に診療する医療機関では、居宅を中心に診る医療機関に比べて、「重症者や看取り患者の割合が小さい」ことなどが分かりました。
また、高齢者向け集合住宅を中心に診療する医療機関は、同じ日に同一の建物で効率的な診療を行っていることも明らかになりました。
さらに、特定施設などに入所する患者は「褥瘡の処置」や「胃ろうなどの管理」「創傷の処置」などの医療処置を必要とすることが多いことも分かりました。
こうした点を踏まえ、宮嵜医療課長は「現在の居住施設区分が正しいのか」と問題提起しています。
在宅医療では「同一日に、同じ建物に居住する人に訪問診療を行ったか」によっても診療報酬が変わります。これは、訪問診療を行う医師らの移動コストを考慮したもので、同じ日に同じ建物に居住する2人以上の人に訪問診療を行った場合には、診療報酬は低くなります(同一日の減算)。
 ただし、厚生労働省の調査では「2-9人を訪問した場合」と「10人以上を訪問した場合」とで移動コストが異なる(後者の方が小さい)ことが分かり、宮嵜医療課長は「よりきめ細かな報酬設定を考える必要があるかもしれない」と述べました。
また、前回の改定では同一日の減算を非常に厳しくし、改定前のおよそ半分、単独訪問のおよそ4分の1に設定されました。しかし、医療現場から「重症者への訪問も行えなくなる」との悲鳴が上がったため、「単独訪問が行われた患者については、その月は同一日の減算を行わない」という例外規定が設けられました。
 この点について厚生労働省が調査したところ、「複数患者がいる建物でも、22%のケースでは単独訪問を行っている」「訪問回数が月40回、50回と増えても、頻回の訪問が行われている」「末期の悪性腫瘍など重症患者の割合は、単独訪問と複数訪問で変わらない」など、医療現場からの訴えとは異なる状況が分かりました。「高点数を算定するために単独訪問を行っている」と、うがった見方をすることもできます。
調査結果を踏まえて鈴木委員は、「見直しも考えられる」と述べており、次回改定に向けて適正化が図られる可能性もありそうです。
 こうした課題の解決に向けて、在宅医療の報酬体系は大きく見直されることも予想されます。診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は「一物多価の報酬体系は好ましくない」と述べており、この意見も踏まえると厚生労働省保険局医療課には極めて難しい作業が強いられそうです。








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2015年6月4日木曜日

地域医療構想GLは「地域医療を考えるきっかけ」

日本病院会は5月30日に社員総会を開催し、堺常雄会長をはじめ、執行部の再任を決めました。 総会後に開かれた記者会見の席上、相澤孝夫副会長は地域医療構想について「3000点や600点という数字は、地域のベッドの機能などを決めるものではない」ことを強調した上で、「地域医療構想ガイドラインは、地域の実情を最も把握している医師が、地域の医療提供体制を考えるきっかけとなるものだ」と説明されました。






相澤副会長は、「あるべき医療の姿はどのようなものなのか、そのためにはどれだけの費用が必要なのかを提示することが日本病院会の役割だと思う。一方で、時代の要請に合わせて変えていかなければならない部分もある。地域の医療の実情は、地域の医師が最もよく分かっている。地域医療構想は、こうした点を考えるきっかけになるのではないか」との考えを表明されました。ガイドラインに示された「急性期は3000点以上、急性期は600点以上」などの数字が一人歩きし、「600点以上でない病床は急性期ではない」などと誤った解釈が広まることに強い懸念を示しました。
 また堺会長は、主に二次医療圏単位で設定される構想区域ごとの診療データを活用して「例えばA県のa市と、B県のb町の状況が似ているなどということが分かると思う。このように類型化をし、a市ではこういった取り組みをしており効果を上げているので、b町でも同様の取り組みをしてはどうかといった議論が可能になると思う」と見通しました。
 診療データの活用については、相澤副会長から「自院が現在の姿と、周囲の医療機関の姿を比較できるような形でデータを示してもらえるよう厚生労働省に求めている。ただし、すべての医療機関がデータを十分に活用できるわけではないだろうから、日本病院会が『見える化』を行っていきたい」との考えも示されました。
2016年度の診療報酬改定について堺会長は、「マイナス改定に近い状況という感触がある」と見通した上で、「国民にとって、病院も診療所もあまり関係ない。病院のことだけでなく、国民の視点に立って考える必要がある」との考えを強調されました。
 また、前回の改定で新設された地域包括ケア病棟の届け出が進んでいない点に触れ、「地域包括ケア病棟には、急性期後の患者の受け入れや緊急時の対応といった機能が求められているが、急性期を担うためには現在の診療報酬では厳しいと思う。一方、7対1から地域包括ケアに移行する場合、現場の看護師は『なぜ』という思いを持つのではないだろうか。現在の地域包括ケア病棟には、経済的にもそれ以外にも十分なインセンティブが付いていないと思う」と述べられ、7対1からの転換をより促すような報酬設定が必要との考えを示しています。
 なお大道道大副会長は「5月29日に入院医療等の調査・評価分科会に調査結果が示されたが、中小病院、特に100床前後の病院の実態は見えてこない。例えば光熱費が1年のうちに何度も引き上げられるような状況の中で、中小病院には16年度の報酬改定を乗り越えられるのかという不安感がある。日病が中小病院のデータをそろえ、提言していきたい」との考えを述べられました。

地域医療構想については、様々な情報が行き交っており、誤まった情報から誤まった分析を行なっている医療機関も見受けられます。そこには、いかに構想区域でイニチアティブを取るかという視点で自院のことしか考えていないところがありますが、ここの目的はそうではないことを各医療機関の経営幹部が理解するまでにはまだ少し先になりそうですが、そういっている間に協議の場が開かれるわけで、構想区域によっては協議など進まないことも懸念されます。









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2015年5月25日月曜日

社会保障費の伸びの本当の要因は

公明党の社会保障制度調査会(桝屋敬悟会長)は5月15日、財政制度等審議会で進められている議論について財務省から聞き取りを行ないました。出席した議員からは社会保障費の伸びの要因分析を求める意見がだされました。






 財政審は、2020年度までに国と地方を合わせた基礎的財政収支を黒字化させる政府目標の達成に向け、今後5年間の社会保障関係費の伸びを高齢化による伸び(2兆円強~2.5兆円)以内に抑制する方針で大筋合意しています。桝屋会長によると、出席者から「高齢化による伸び、医療の高度化による伸びなど、社会保障関係費がなぜ伸びるのか要因を分析できているのか。もう少し整理する必要があるのではないか」との指摘があったといいます。社会保障関係費が伸びる要因について、財務省は「分析できていない」と説明されました。また同日の会合では、黒字化目標を達成するため、政府が今夏にまとめる財政健全化計画 をめぐり「数値目標ありきで社会保障費の構造改革を進めるべきでない」との声も上がりました。一方、桝屋会長は、2016年度の診療報酬改定率を決める過程では薬価財源の取り扱いが焦点になるという見方を強調しました。前回2014年度改定の際に、いわゆる「薬価財源の切り離し」が実績として残りましたが、桝屋会長はこの問題について、関係団体と協議しながら党内での議論を深める意向を示しました。

増え続ける社会保障費ですが、確かに高齢化による医療費の全体のボリュームが大きくなっていることもありますが、高度医療の進展によるところもあると指摘されています。ただ、これは適正か不適正なのかといわれると、これまで治すことができなかった疾病に対し治せるようになったということは、国民の健康維持に大きく貢献しているわけであり、必要なのはその高度医療・高度急性期医療を誰に提供することが適正であるのか。80歳や85歳の方々に、どこまでの医療を提供するべきなのか。ただ、医療人としては救える可能性があるのなら、延命できる可能性があるのなら、全人的医療で取り組むことが使命であるという強い意思を持っているのです。それは、適正ではないのでしょうか。それをどこかで基準を設けて線を引いて良いのでしょうか。社会保障費を使わない自費なら良いのでしょうか。日本の医療制度が世界的に高いと言われている国民皆保険制度の維持は、正しい方向性なのでしょうか。否や、向かうべき方向性はどこなのでしょうか。








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2015年4月28日火曜日

国立大病院の赤字83億円

国立大学付属病院長会議は4月24日、国立大病院の2014年度決算の暫定値を公表しました。国立大学付属病院長会議に加盟する全国42大学45病院の決算見込みは全体で約83億円の赤字となり、このうち消費税引き上げによる影響額は約55億円で赤字額の約70%を占めることになると説明されました。
診療報酬改定による補填率は40%程度にとどまるとしました。2014年度決算の詳細は6月下旬にも公表する予定です。国立大学付属病院長会議によると、診療報酬や運営費交付金など国立大病院全体の収入は約1兆967億円、人件費や借入金償還費などの支出が約1兆1059億円でした。1病院当たりでは約2億円の赤字で、このうち約1億3000万円が消費税の影響によるといいます。





 千葉大医学部付属病院長の山本修一・国立大学付属病院長会議常置委員長は会見で「消費税の引き上げに伴う診療報酬本体の改定による補填率は40%程度となっており、とても賄えない」と指摘されました。その上で「消費税を10%へ引き上げるタイミングを待つことなく、医療に関わる消費税課税の在り方を含めた確実な対策が必要」と訴えられました。

診療機器などを購入する設備投資額の暫定値も公表しました。2014年度は全体で2013年度比約35%減の約168億円となりました。山本氏は「消費税への対応がとても賄えない状況から、各病院は設備投資額を抑えている」と説明されました。国立大学付属病院長会議によると、設備投資額は2012年度が252億円、2013年度が255億円と推移しています。

同日の会見では、「医の倫理」に関する提言を取りまとめる方針も明らかにしました。6月下旬にも、その内容について一定の取りまとめを公表する方向で準備を進めています。大学病院において「医の倫理」の欠如が起因と思われる事例が発生していることを受けた取り組みになります。診療行為などを行う際の患者の人権保護の管理体制について、社会に説明する責任があるとの認識も示しました。提言には、国立大学付属病院長会議の45病院を対象に実施した医療安全に関する緊急点検アンケートの結果などを反映させるといいます。

国立大学付属病院における赤字額83億円をどう見るのか。確かに赤字でありながら運営を継続しているということは、それだけ税金が投与されているわけで、国の財政を圧迫しているわけです。確かに国立大学付属病院では臨床だけでなく、教育や研究など広くそして深く行なわれており、それが将来の国民の健康維持にと繋がる可能性も高いわけですから、一概に現時点だけでの損益で、善し悪しを言いきってしまうのも問題かと思いますが、それでも、この体制は変えていかなければならないと思います。遅かれ早かれメスが入ることは余儀なくされるでしょう。








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2015年3月22日日曜日

医師の給与水準は横ばい

 医師にとって転職可能な年齢は20~70歳代 まで、つまり何歳になっても年代に応じた働き口があります。急性期病院からの求人では、経験10年目前後が一番人気です。50歳代での転職は、慢性期病院の求人が多くなります。介護老人保健施設ではベテラン、70歳以上の方が良いこともあります。ただ、一般的には各部門のトップが40歳代後半から50歳代なので、それより年下の年代が好まれます。トップに従ってくれる40歳代が一番理想的と言われ、30歳代後半は自立していて一番稼げるという感覚を持つ医療機関は多いです。






 一般的に、医師の給与水準は経験年数に従って上昇します。診療科目やエリア、病院種別によりバラつきはあるものの、卒後しばらくは一定程度の幅で上昇し、10年目当たりで1000万~1500 万円になります。15年目当たりからは役職を持ち始めることで 1500万~1800万円に至る、というのが一つの目安のようです。
 ただ、大学病院の場合、教授で1000万円代前半、助教では数百万円という場合もある。国立大学病院では経験20年の助教で、当直をしたとしても800万円台半ばです(アルバイトでの収入を除く)。子どもを医学部や私立学校に入れようと思ったときに成り立たないという医師も多いのが現実です。
 2015年の医師の給与水準は、ばらつきがありつつも、例年と横ばいに推移している印象です。しかし、診療科によっては診療報酬改定に左右されるものもあります。2012年度の診療報酬改定では在宅医療の診療報酬が増額されましたが、2014年度の改定では患者紹介で報酬を受け取る事業者が現れたとの指摘があり、大幅に削減されました。特に施設向けの在宅医療に注力していた医療機関では影響が大きく、給与水準も連動して下がっています。眼科でも、以前であれば平均在院日数削減効果が期待され、高額な給与を払って眼科医を集めるということがありましたが、2014年度の診療報酬改定で平均在院日数の計算式が変わり、そういった動きは下火になりました。
 民間病院では実績やスキルによって給与を払う格差の傾向が強まっています。経験12年目でも内視鏡手術で実績があれば15年目相当の給与となりますが、経験20年目でも実績に不安を覚えたら昇給額が抑えられることもあります。
 民間病院では集患計画の中で売りになる診療科を作ろうという動きが強まっており、そこで力を発揮できる医師への評価は高くなってきています。例えば消化器分野で力を入れていくと決めた病院では、内視鏡技術認定医、かつ国際学会で発表していれば法人規定プラス500万円というケースもあります。
 地方では総じて人手が足りておらず、年収2000万~2500万円という高待遇になるケースもあります。ただ、子育てや生活環境の点から都市部を希望する医師は依然として多いのが現実のようです。

これから医師においても実績やスキルによって、また勤める先によって大きく給与が変わってくる格差が広がりつつあります。現に地方の病院では医療体制を維持するために何としても医師を確保しなければならないのですが、地方の病院を希望される方は少ないので需要と供給のバランスによって自然と給与は変わってくるでしょう。そうなると都市部でしっかりと給与を確保するためには実績とスキルが必要になるわけで、病院を転々とするのも明暗が分かるでしょう。








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2015年3月14日土曜日

7対1病床は1.4万床の減少

厚生労働省が、7対1一般病棟入院基本料の届け出病床数が2014年10月時点で約1.4万床減少したとする速報値を公表したことを受け、病院団体からは2016年度診療報酬改定での 7対1病床絞り込みのためのさらなる要件厳格化が進むとの危機感が強まっています。厚生労働省は2014年度改定の影響による届け出数について約2.8万床の減少としているが、その他入院料から7対1に約1.3万床が新たに移行しており、差し引きでは実質約1.4万床の減少となります。






 財務省が見積もった2014年度改定による7対1病床の9万床減とは開きがあるのが現状です。日本病院団体協議会の加納繁照議長 (日本医療法人協会会長代行)は、改定後の7対1の動向について「改定影響で約2.8万床減というのは半年間の実績としては予想以上に減少 している」と見方を示しました。その他入院料から7対1に移行した約1.3万床については「今後、大幅に増えることは考えにくい」と述べ、今後の推移を見守る姿勢を表明しました。ただ、次期改定での7対1のさらなる要件厳格化で「地域医療が確保できなくなる事態は避けなければならない」としたほか、7対1からの受け皿となる地域包括ケア病棟について「地域医療構想の医療機能としてどう位置付けるのかを整理し、それに対応した要件等の見直しをすべきだ」と指摘しました。

日本病院会の堺常雄会長は、「診療報酬改定後の厳しい環境の中で各病院がよく持ちこたえているというのが実感だ」と語りました。その上で「次期改定に向けた今後の中医協での議論で、7対1のさらなる要件厳格化を進めるとすれば、その受け皿となる地域包括ケア病棟が果たすべき機能と評価の在り方をセットで議論していくことが必要だ」と強調されました。さらに「診療報酬だけで医療現場を誘導することの限界がきている。地域医療構想などの医療提供体制の見直しと連動させた診療報酬の在り方を探るべき。次期改定で、地域医療構想を踏まえた点数設定は難しいが、こうした考え方に基づく流れはつくってほしい」としました。全日本病院協会の西澤寛俊会長は、「改定の影響としての2.8万床減は、予想された結果と受け止めている」との認識を表明されました。今後は「診療報酬として定着している要件の変更は、病院経営にも影響を与えるので慎重に対応していくべきだ」との考えを示しました。また、7対1は「看護師等の労働環境の面からも考慮が必要。7対 1の絞り込みだけに特化した医療政策には疑問を感じる」と述べられ、あるべき報酬体系と病床機能の整合性などを中医協で十分検討すべきと指摘しました。

7対1病床の9万床減にむけて、あと7.6万床の絞り込みが必要となります。まだ1割5分程度の進捗率です。次の診療報酬改定で更に厳しくなることは目に見えていますが、最後まで初志貫徹で7対1で急性期を担っていくのか、それとも国の方針に寄り添うのか、今後の医療機関の経営体制を構築するためにも、熟考が必要であると思われがちですが、実はもうすでに答えは出ていて、その答えを自分の意思で掴むのか、渡されたものを掴まされるのか、構想はすでに動き始めています。








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2015年3月11日水曜日

地域包括ケア病棟は、在宅患者のレスパイト機能も

産業医大公衆衛生学教室の松田晋哉教授は3月1日 、全日本病院協会の経営セミナーで講演し、急性期病床の受け皿として2014年度診療報酬改定で新設された地域包括ケア病棟について、今後の増加が見込まれる「高齢者の肺炎、骨折への救急対応や、重症度の高い在宅患者を支援するためのレスパイト機能」などが必要との見方を強調しました。






 地域包括ケア病棟入院料の評価は、2014年度改定の付帯意見でも病床機能報告制度を踏 まえ引き続きの検討課題となっており、中医協でも今後の調査や検証結果を踏まえた次期改定での対応が議論される見通しです。松田教授は、東京都や石川県の各医療圏の診療実績データ等を引用しながら、今後ニーズが高まる疾病として肺炎、骨折、脳血管系疾患の3疾病を指摘しました。「脳血管系疾患は医療計画でも対応してきたが、骨折、肺炎は取り上げていなかった。確実に今後増えるので、認知症などの合併症患者の急性期対応をどうするかが課題」としました。介護施設でも予防対策を進めなければ、拡大するニーズに対応できないとし、2018年度から同時に始まる医療計画と介護保険事業計画、さらには地域医療構想との整合性が求められるとしました。さらに、松田教授は、東京都などの診療実績データから、都心部など療養病床が不足している地域では、重症度の高い患者に在宅療養で対応する状況が想定されることを説明されました。その上で「今の訪問看護ステーションの体制では無理でしょう。(病院からの) 訪問看護でないと重症度の高い在宅患者ケアは支え切れない。こうした患者への対応も地域包括ケア病棟の役割ではないか」との見方を示しました。

地域医療構想において、国からは医療費抑制のための在宅医療への誘導が進む中、その実現に向けてはまだまだ険しい道のりであると感じます。確かに、理想像を言えば、間違ってはいませんが、ただそれぞれの機能が充分に発揮できるのかということが一つ重要な点ではないでしょうか。各機能が連携し発揮するためには、その潤滑油の存在が必要不可欠です。それを担うのは、地域包括ケア病棟であり、訪問看護であれば、それぞれの担わなければならない領域というのは非常に広くなります。広げるがあまり浅くならないように、しっかりした仕組みづくりを先に行なわなければ、実現は厳しいのではないでしょうか。








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2015年2月15日日曜日

7対1算定病院はわずか10病院の減少のみ

全国自治体病院協議会は2月12日の定例会見で、自治体病院での一般病棟入院基本料7対1の算定病院について、改定前後で10病院の減少にとどまっていることが明らかになりました。全国自治体病院協議会が実施した改定前後の各種届出状況の調査結果で示されたもので、7対1から10対1への移行要因は「重症度、医療・看護必要度」の基準を満たす患者15%以上の要件を満たせなかったことが最も多い状況でした。






全国自治体病院協議会の調査は、2014年11月末に会員施設の中で対象施設1080施設(会員病院と診療所)に対して2013年7月1日と2014年10月1日(9月末の経過措置終了後)時点の施設基準等の届出状況などを調べました。回答施設は687施設、その内会員病院の回答は618病院でした。一般病棟入院基本料を算定している528病院を対象に集計した結果、2014年度診療報酬改定で算定要件が厳格化された7対1入院基本料の算定病院は2013年7月に260病院でしたが、2014年10月には250病院となり10病院が減少しました。改定前に比べ22病院が1 0 対1に移行する一方で、10対1から7対1に移行したのが12病院で、差し引き10病院の減少となりました。全国自治体病院協議会は、10病院の病床規模について「把握していない」としています。7対1の算定で最も厳しかったのは「重症度、医療・看護必要度」の基準を満たす患者15%以上という要件でした。今回調査では7対1算定病院では、「重症度、医療・看護必要度」の割合が15.0%~19.9%の範囲に169病院、全体の約7割が集中していると分析しました。さらに、7対1入院基本料の新たな要件となった在宅復帰率 (75%以上) は、247病院の回答で平均92.4%と高い数値となりました。邊見公雄会長は「7対1の減少がわずか10病院にとどまったこの結果は、自治体病院では7対1算定に馴染まなかった施設がそもそも少なかったとも言えるのではないか」との認識を示しました。
さらに、邊見会長は「新年度以降、地域医療構想ガイドラインの策定作業の中で自治体病院が一方的に不利益を被ることがないよう各都道府県に対して要望書を提出していきたい」との考えも明らかにしました。地域医療構想ガイドラインでは、稼動していない病床への対応などについて、公的医療機関には削減の命令・指示などが想定されています。

病床機能報告に続き、C1等の境界点の見解が出てきて、いよいよ機能分化が本格的に始まろうとしています。特に現在7対1で急性期病院として医療圏で奮闘している病院においては、他の病院の動向も気になりますが、ほとんどの病院は急性期を続けたいしできることなら高度急性期の役割を担い、医療圏での存在感を表したいと考えているようです。大学病院を必ずしも高度急性期とみなさないという見解もありますが、それでも外れる大学病院の方がまれでしょう。22の病院が10対1へと移行したにもかかわらず逆に7対1へと移行した病院の存在はさすがの厚生労働省も想定していなかったのではないでしょうか。各都道府県ならび各医療圏でどのような協議の場が設けられるのか。とても現状の延長線上ではまとまる道筋が見えてきません。








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2015年2月8日日曜日

同一建物中心の訪問で在宅収入減少

 同一建物のみを中心に訪問薬剤管理指導を実施している薬局の4軒に1軒は、在宅訪問収入が減少していることがわかりました。これは先ほど開催された中央社会保険医療協議会(中医協)で公表されたもので、平成26年の調剤報酬改定の影響を調べました。その一方で、同一建物以外にも訪問薬剤管理指導を実施している薬局ではほとんど変わらないと回答した場合が多く、今回の改定は主に施設系を中心にした訪問業務を行っていた薬局に大きく影響したことが数字のうえからも明らかになりました。






 調査は同一建物における同一日の複数訪問の在宅患者訪問薬剤管理指導の実施状況の把握などを目的に行われたもので、個人・チェーン薬局など564軒から回答を得ました。調査は平成26年3月と7月を比較しました。
 薬学的管理及び指導の実施状況の比較では、総患者数3月31.4、7月31.7となっており、また日数でも3月23.3日、7月24.1日で、この結果について中医協では、「在宅で実施した薬学的管理及び指導の総患者数、延べ日数に変化は見られなかった」と結論付けています。
 回答薬局の1カ月間の取扱い処方せん枚数は平均1639.3枚。近隣の診療所から発行される処方せんをメーンに対応するのが40.9%で最も多く、さまざまな医療機関からの処方せんを応需しているが31.8%で続き、特定の病院からの処方せんを応需している薬局は23.3%となっています。
 在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定の有無では、半数以上となる55.6%が「算定していない」と回答しており、その理由では「介護保険適用の患者」が58.1%で最も多かったものの、「医師の指示がない」が12.3%見られました。
 平成26年の診療報酬改定による影響等について、同一建物のみに訪問業務を実施している薬局とそうでない薬局に訪問件数や回数、収入について尋ねたところ、制限等が設けられた同一建物中心の薬局において芳しくない状況が垣間見えるものとなりました。同一建物のみの保険薬局では訪問件数は「変わらない」が57.1%で最も多かったものの「減った」「やや減った」を合算すると約25%がこれに該当し、訪問薬剤管理指導に係る収入と回答する割合も25.0%に達し、約4分の1の薬局で件数・回数・収入が減少したことが判明しています。
 その一方、同一建物以外の薬局においては大きく影響を受けた項目はなかったものの、8.5%で収入が減少したと回答しており、全体としては大きく影響を受けた薬局は少数に留まったが、在宅医療推進の流れの中における改定としては厳しい結果が示されました。

これから地域包括ケアシステムを構築していくにあたり薬局(薬剤師)の存在というものは軽視できません。これからは多職種連携を進めていき、地域住民の参加参画も狙っていかなければならないのです。そのためには薬局の担える役割というのはとても貴重であります。同一建物への減算で厳しい局面に立たされているのは薬局だけではありません。まじめに訪問診療を行なってきた診療所でも同様に減算の影響を大きく受けております。今の制度が必ずしもゴールではなく、本当に求められている地域包括ケアシステムを構築するための制度の見直しが行なわれることを切に願います。








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2014年12月29日月曜日

同一建物に対する訪問診療

中医協総会 (会長=森田朗・国立社会保障・人口問題研究所長)は12月24日、2014年度診療報酬改定で実施した「同一建物における同一日の複数訪間の評価見直し」に伴う医療現場での影響を探る検証特別調査 (速報版)を行ないました。その結果は、期中改定が必要とされる実態は認められず、次期診療報酬改定に向けてさらに議論を進める方向を確認しました。






厚生労働省は、この日の診療報酬改定結果検証部会に対し、医療機関が訪問診療を行う平均居宅・施設数や平均訪問回数などがほぼ横ばいあるいは増加、同一建物関連の評価見直しの背景の一つとなった事業者から患者の紹介を受ける対価として、経済上の利益を提供する契約を行っている診療所は、2014年度改定前後で13%から0.2%に減少、患者1人当たり訪問診療時間 (中央値)は同一建物患者が7.5分、同一建物以外の患者で19.0分、訪問看護の調査では、訪問看護の平均利用者数、平均訪問回数が増え、訪問時間についても同一建物以外の方が長い一などの特別調査(速報版)の結果を報告しました。
検証部会で了承が得られたことを受け、総会にも同様の結果を提示しました。保険局の宮嵜雅則医療課長は総会で、調査結果を踏まえ「在宅医療の評価の在り方は、検証結果を踏まえ次期診療報酬改定に向けて、中医協でさらに検討を進めることでよいのではないか」と提案され、各側委員からも特段異論は出ませんでした。
調査結果をめぐっては、支払い側の白川修二委員(健保連副会長)が、同一建物で「医師1人 が1日に訪問診療を行った患者数が41人以上という施設が17施設」あることや、「患者1人の訪間診療時間が同一建物以外と比べると短く、診療内容も健康相談等の比率が高い」点を指摘し、同一建物の訪問診療の在り方を引き続き議論する必要性を指摘されました。患者紹介の契約状況については「無回答の比率が改定後に7.3%から10.1%に増えているのは、恣意的に回答しなかったと推測せぎるを得ません。今回の改定で療養担当規則の一部改正も行いましたが、まだまだ問題があり、引き続きチェックしていくことが必要だ」と強調しました。
また、花井圭子委員 (連合総合政策局長)は「通院が困難でないにもかかわらず、患者が居住する施設が希望したからという回答が同一建物で3.6%もある」と問題提起されました。白川委員も「訪問診療は、通院が困難な患者対象が原則だが、その原則論から離れている事例が一部推察される」と述べられました。
一方、診療側の鈴木邦彦委員 (日本医師会常任理事)は「改定後半年を経過したが、集合住宅で訪問・往診している病院・診療所が減ったという施設は一部あったが、引受先が見つからず都道府県等に相談したのは1施設でした。今回の改定によって収入が減ったという施設もありますが、在宅医療全体に影響を及ぼすとは言えず、引き続き次期改定に向けて精緻化していくことが必要」との見方を示しました。ただ、患者紹介の契約状況に関する診療所における無回答の比率が高まっていることにも触れ「7.3%から10.1%に増えているのは分析が必要」と問題意識を示しました。

在宅医療の推進のときに、患者紹介の現状が明らかになり、方向性を余儀なく修正しました。本来であれば、在宅の中に同一建物も分け隔てなく考慮する予定でしたし、サ高住などは自宅という概念はまだ残っております。今は、診療報酬や介護報酬上では自宅とは異なると言わざるを得ない仕訳が、今後の地域医療において大きなひずみを生まないことを切に願います。








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2014年12月18日木曜日

赤字病院拡大 全日本病院協会が調査

2014年度診療報酬改定後の今年5月の総収支が赤字の病院が、2013年同月と比べ増えていることが、全日本病院協会(全日病)が12月16日に公表した会員調査の結果から明らかになりました。特に、東京にある病院や、一般病床のみの病院、DPC対象病院などで収支が悪化する傾向が見られ、全日本病院協会は、2014年度の「診療報酬改定による急性期入院医療の厳格化」や「消費税増税による支出増」が要因としています。






 全日本病院協会は5月、会員病院の収支状況などを調査しました。930病院から回答を得て集計し、2013年5月の状況を調べた前回の会員調査(831病院が回答)の結果と比較しました。
 それによると、医業収入を医業支出で除して算出する「医業収支率」の平均は、2014年5月が104.6%で、2013年5月の105.5%から減少しました。医業収支率が100%に満たない病院の割合は25%で、2013年5月と比べ2ポイント増加しました。また、医業以外の収支も加えた「総収支率」の平均は104.6%(前年同期比1.8ポイント減)で、この比率が100%未満の赤字病院の割合は24%(同2ポイント増)でした。
 総収支率を病院の所在地ごとに見ると、「東京」が35%(同6ポイント増)と高い状況でした。「政令指定都市」は21%(同3ポイント減)、「その他」は23%(同2ポイント増)でした。
 また、一般病床のみの病院の総収支率は102.8%(同3.3ポイント減)で、療養病床のみの病院の113.0%(同0.3ポイント減)や精神病床のみの病院の112.1%(同0.9ポイント減)より低い状況でした。
 DPC対象病院の総収支率は102.0%(同3.7ポイント減)でした。これに対し、DPC準備病院は104.4%(同2.6ポイント増)で、それ以外の出来高算定病院は109.4%(同1.0ポイント増)と、2013年同期と比べ高くなっていました。
 全日本病院協会は、急性期の入院医療を担う病院の経営状態が悪化すると、地域の医療提供体制に「大きな影響を及ぼす」と指摘しています。今後、診療報酬体系や消費税の在り方について、十分に議論する必要があります。

今回の2014年度の診療報酬改定により、収入は若干増えたが、消費増税等により支出がそれ以上に増え、増収減益となっている医療機関が本当に多く、中には減収減益と厳しい状況に落ち込んだ医療機関も数多くあります。本来、社会保障を立て直すための消費増税であったにもかかわらず、各現場が疲弊するようなしわ寄せが起きており、ただ国としてはこれに対する処遇の改善は考えにくいと思います。むしろ弱ったところは、くっついて助け合っていくように、と言っているようにすら聞こえて仕方ありません。








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2014年10月3日金曜日

診療報酬等に関する定期調査

日本病院会は929日、2014年度「診療報酬等に関する定期調査」の中問集計結果報告書を公表しました。診療収益は約6割の病院で増収となったが、病床規模別に見ると100床未満の病院で前年比減収となるなど厳しい結果となりました。12月に最終結果を報告する予定ですが、堺常雄会長は「小規模病院の経営改善は2014年度改定の重要な視点でした。中間集計を見る限り、大・中規模病院への評価が先に立ってしまい、依然として小規模病院の評価が残された格好となった」と述べられました。







日本病院会は2013年から、診療報酬改定が病院収入に与える影響を毎年定期的に精査・検証するために調査を実施しています。2014年は714日~912日の調査期間に、会員2399病院にweb調査を実施しました。20136月と20146月の月別診療収益などを調べました。598病院から回答がありました (回答率24.9%) 有効回答数は484病院。消費税負担を補填するために初・再診料が上乗せされたことや、入院基本料のアップなどを背景に、診療収益 (入院+外来)62.0%の病院が増収となりました。収入増病院の割合を病床規模別に見ると、「99床以下」は35病院のうち20病院で57.1%でしたが、300床を超えると70%前後の病院が収入増で推移していました。病床規模別の1病院当たり診療収益を20146 20136月で比較すると、「99床以下」だけが入院、外来、入院+外来のいずれもマイナスでした。
2014年度改定の目玉の一つだった 7 1入院基本料を算定していると回答のあった285病院のうち、収入増で推移したのが158病院(55.4%) 、収入減は127病院(44.6%)でした。一般病棟入院基本料別に経常利益が赤字となっている病院の割合を前年と比較すると、7 1病院は20136月の61.0%20146月には70.5%に増加し、他の入院基本料の病院よりも割合が高く、急性期病院の経営の厳しさも浮かび上がりました。
このほか、病床区分、病床規模、開設主体などのいずれの区分についても入院延ベ4患者数の減少傾向が顕著に認められました。病床規模別では、規模が大きくなるほど外来延べ患者数の増加割合が高い状況でした。報告書は「大規模病院の外来縮小化策が収まったか、あるいは、71入院基本料の要件が厳しくなったことなどにより、入院から外来ヘシフトしているとも考えられる」と分析しています。

厚生労働省はいかに医療費を抑制するかということで、病院数と病床数を減らそうと次々に改定していくと思います。本当に必要な医療だけにスリム化するという狙いらしいのですが、受けたい医療を受けたいときに受けることができなくなりかねないと危惧しているのは多くの医療関係者だと思います。各病院の運営が厳しくなれば、診療科なども見直さざるを得なくなることでしょう。これからは高齢化が進行し医療の役割は変わり、疾病は治す時代から癒す・抱えて生きる時代へと変化していきます。その時に本当に最適な医療を受けることができるのでしょうか。各病院が強い経営を維持しなければ、地域の医療を守ることはできなくなるのではないかと危惧致します。







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2014年9月23日火曜日

9月末で在宅強化型から4割が撤退 長崎県保険医協会が緊急アンケート

 2014年度診療報酬改定で、強化型在宅療養支援診療所・病院(以下:強化型支援診等)の施設基準において、緊急往診および看取りの実績要件の引き上げが行われました。
 連携型では、これまでは連携体制ごとにクリアしていればよかった実績が個々の医療機関にも求められ、過去1年間に緊急往診4件、看取り2件が実績要件となりました。ただし、9月末までの経過措置が設けられ、9月30日までの6カ月間に緊急往診2件、看取り1件の実績があれば、2015年3月31日まで基準を満たしているものとして取り扱われます。 しかし、経過措置期限の9月末までに緊急往診及び看取りの件数を満たせなければ強化型の施設基準を取り下げなければなりません。 長崎県保険医協会では強化型支援診等の現状を把握する緊急アンケートを実施しました。その中で多くの強化型支援診等が基準を満たせず、強化型から撤退を余儀なくされる実態が明らかになりました。






調査は8月26日から29日までの期間で、長崎県内で強化型支援診等の届出を行っている93医療機関に対して行いました。FAXで調査票を送付し、47医療機関(病院5、有床診療所15、無床診療所27)から回答が寄せられました(回答率:51%)。単独型は2医療機関で、45医療機関が連携型の強化型支援診等の届出でした。
 9月末までに緊急往診および看取りの実績を満たせない医療機関は、回答の40%に当たる19医療機関に及びました。満たせない基準の内訳は、緊急往診の件数が1医療機関、看取りの件数が11医療機関、緊急往診と看取りの両方が7医療機関で、看取り要件を満たせないことが施設基準をクリアできない主因となっていることが明らかとなりました。強化型支援診等の役割はターミナルの患者に限定されているわけではなく、在宅死は一定の頻度で発生するものではありません。

 9月末の経過措置をクリアしても、2015年3月末までに次のハードルが待っています。10月以降は過去1年間に緊急往診4件、看取り2件の実績が要件となります。9月末に施設基準を「すでに満たしている」「満たせる見込み」と回答した28医療機関のうち、17医療機関が継続して施設基準を満たすのは「かなり難しい」「少し難しい」と回答しています。9月末までに施設基準を満たせない(見込みも含む)11医療機関と合わせると38医療機関となり、回答の81%に達っします。
 この傾向は病院・有床診の強化型支援診等ではさらに顕著となります。当初は在宅死を望んでいても、患者の死期が近付くと家族が入院を希望するケースは多いのです。長年在宅医療を行っている有床診療所の院長はアンケートの自由意見の中で、「有床診の場合、終末期は入院させることを希望され、年間看取りは10件以上あっても入院での看取りになり、在宅で看取ったのは30年間に5件以内である」と述べています。ターミナルケアを行っていても、最後は入院させて看取れば、強化型支援診等の施設基準としての看取りとしてはカウントされません。
9月末までに緊急往診及び看取りの実績を満たせない病院・有床診は、回答の55%に当たる11医療機関でした。残りの9医療機関のうち、施設基準を継続して満たすことは「難しくない」と回答したのは僅か2医療機関のみでした。

連携型の強化型支援診等では、連携医療機関の中の1医療機関でも施設基準をクリアできなければ、全体が施設基準を満たさなくなります。連携型45医療機関のうち、連携先医療機関が施設基準を「すべて満たしている」は10医療機関で、「一部満たしていない」が32医療機関でした。強化型を維持するためには、施設基準を満たさない医療機関を切り離さないとなりません。連携の要となる病院・有床診が施設基準を満たさず、連携グループから離脱すれば、今後の運営に大きな支障が生じます。
 施設基準を満たさなくなった場合の対応としては、「強化型以外の支援診の届出をだす」「強化型をクリアした時点で再届出をする」が多かったのですが、「往診・訪問診療で対応する」も4医療機関ありました。
 施設基準を満たさず強化型を取り下げた医療機関が連携のグループから離脱するか、あるいは強化型以外の支援診として低い点数でグループに残るかは個々の医療機関で判断の分かれる所です。しかし、いずれの選択をしたとしても不合理であることに変わりありません。
 アンケートの自由意見では、看取りの件数を施設基準の実績要件とすることに対する異論、反対の声が多く寄せられていました。「人を死なせないといけなくして、誘引を設定しているものに従うのは自分の倫理観にあいません」は多くの在宅医の実感であると思います。20年近く在宅医療に関ってきた看護師の、「亡くなる方を、家族を支えていきたいのに看取りのカウントを意識しながらでは、「早く死んでくれ」と願っているようで悲しいです」は切実な現場の声であります。
 今回の緊急アンケートは9月末に4割の医療機関が強化型から撤退し、10月以降を含めると8割の医療機関が強化型から撤退する可能性を示しています。厳しすぎる実績要件の引き上げと言えます。


地域包括ケアシステムの構築において、訪問看護の存在ばかりクローズアップされていますが、診療所の役割はとても重要なものです。いかに在宅で療養を続けていけるかは、主治医の機能を担う診療所の医師にかかるところが非常に大きいです。ただ、今回の診療報酬改定では、強化型在宅療養支援診療所の要件が厳しくなっております。全国的に見ても多くの診療所において強化型から離脱することが予想されています。ただ、在宅医療に対する熱意を失わずに、地域の医療を守り続けて頂きたいものです。







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