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2015年3月6日金曜日

地域包括ケアステーション

 社会保障審議会介護給付費分科会の分科会長などを務める田中滋慶大名誉教授は、日本介護経営学会の記念シンポジウムで講演しました。田中名誉教授は、地域包括ケアシステムを構築するにあたり、在宅での多様なサービスへのニーズに一括して対応できる「地域包括ケアステーション」の導入を検討する必要があるとしました。






田中名誉教授は、在宅介護では看護や介護、リハビリテーションなど、提供するサービスごとに事業所が分かれている点を課題として指摘しました。各種の在宅サービスをできる限り一括して請け負える「地域包括ケアステーション」について、厚生労働省と相談しながら地域包括ケア研究会で検討する意向を示しました。
 また、田中名誉教授は、介護保険などの公的なサービスだけで地域包括ケアシステムを構築するのは難しいと分析しています。一方、多くの人口を抱える団塊の世代については、「最大の資源」とし、地域包括ケアシステムの構築を考える際にも、現役を退いた団塊の世代の活用を十分に意識する必要があるとしました。
 特別講演で登壇した厚労省老健局の三浦公嗣局長は、日本経済が高度成長できた要因の一つには、医療制度が整い、健康で働ける人が増えたことがあると指摘しました。その上で、地域の介護サービスが、病院から退院してきた人の受け皿となり得れば、国民全体の健康水準を高めることにつながるとし、「そのためにも介護そのものの充実が必要」と述べられました。一方、介護サービスがもたらすアウトカム(成果)を最大にする努力も不可欠としました。また、認知症の人が増え続けている現状についても触れられ、「認知症への対応を考えながら、介護保険制度を変えていく必要がある」とも述べられました。

「地域包括ケアステーション」の発想はあながち悪くないと思います。ただしそれは机上の話に限ります。もし多種サービスの包括が行なわれると事業者側はどうするか。単価の安いサービスで埋めていく。看護が最適であっても介護を充てていくでしょう。人材の単価が違いますから。リハビリもPTやOTが訪問するでしょうか。ヘルパーがリハビリをできないとは言いませんが、専門性のレベルが雲泥です。結局のところ、適切なサービスを求めるなら包括は利用者にとって最適ではなくなるリスクが高いと思われます。ただ国もそのような不適切な事業所を見逃しはせずに、ある程度の数量規制を設定するでしょう。訪問のうち、何%は看護が行っていないと減算など。そうなると事業所はその枠を目指してサービスを提供する。要は、利用者を看てサービスを提供するのではなく、事業所の数値を見てサービスを提供する。そんな本来の医療と介護の姿勢とは異なる運営が蔓延る可能性が高いと危惧するのは私だけではないと感じます。








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2015年3月2日月曜日

30万人の介護人材が不足 10年後試算

厚生労働省は2月23日、現行制度が維持された場合、10年後に約30万人の介護人材が不足するという試算を、社会保障審議会福祉部会の福祉人材確保専門委員会(委員長=田中滋・慶大名誉教授)に示しました。






これまで国は、大きな人口を抱える団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年度には、全国で約237万人から249万人の介護人材が必要になると試算してきていました。ただ、現行の施策に伴う人材の増加を試算した数字はなく、10年後にどの程度の介護人材が不足するかを予測した数字はありませんでした。
 こうした状況を受け、厚生労働省では、各都道府県が実施した介護人材の需給推計を基に、2025年度には約248万人の介護人材が必要となることや、現状の施策を継続した場合、2025年度には約215万人の介護人材が確保されることなどを算出しました。その結果、2025年度には約30万人の介護人材が不足するとした見通しを示しました。
 厚生労働省では、2015年度の予算で公費90億円を割き、地域住民や学校の生徒に対する介護や介護の仕事の理解促進、介護未経験者に対する研修支援、経験年数3―5年程度の中堅職員に対する研修、各種研修に対する代替要員の確保、潜在介護福祉士の再就業促進などの人材確保のための施策を実施する方針です。
介護福祉士の資格取得方法に関する提案もあり、大学や専門学校などの養成施設を修了する「養成施設ルート」まで含めた資格取得方法の一元化については、経過措置を講じつつ、2022年度に完全実施する方針などが示されました。

認知症の高齢者や高齢者のみの世帯の増加に伴い、人材を量・質ともに確保することが喫緊の課題だとしています。そのうえで、介護現場への参入を促すため、いったん職場を離れた介護福祉士の届出制度を都道府県ごとに創設し、求人の紹介や再就職のための研修を行うほか、育児休業制度の充実や、事業所内保育施設の運営を支援するとしています。また、職員の人材育成に取り組む事業所に対し介護報酬の加算や助成金の支給を行うほか、職員の負担を軽減するため介護ロボットの導入なども進めるとしています。ただその一方、専門性の高い人材として中核的な役割を担う介護福祉士の質の向上のため、現在、卒業すれば資格が得られる大学や専門学校などの学生についても、経過措置を設けたうえで平成34年度からは国家試験を義務づけるとしています。ただこれだけの介護人材が不足する見通しをしていますが、90億円を費やして検討されている対策ではまだまだ険しいのではないでしょうか。








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2015年2月25日水曜日

介護2交替夜勤、16時間以上拘束が約7割

 2交替制の夜間勤務を行っている介護施設の約7割で、夜勤の連続勤務時間が16時間以上に及ぶことが、日本医療労働組合連合会(日本医労連)の調査で分かりました。介護施設の約9割が、長時間の連続業務を強いる2交替を採っていることも明らかになり、日本医療労働組合連合会は、「身体に過度の負担を与える長時間労働の実態を改善する必要がある」としています。






 調査では、日本医療労働組合連合会に加盟する特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホーム、小規模多機能型居宅介護、複合型サービスなどの施設を対象に、2014年6月分の実績を聞き、118施設から回答を得ました。
 調査結果によると、全施設の86.8%で2交替を採用していた一方、3交替は12.3%にとどまりました。また、2交替を行っている施設の67.8%で、拘束時間が16時間以上という調査結果でした。
 さらに、夜勤明けの翌日が勤務だったことがあったかと尋ねた質問では、24.4%の施設が「勤務だったことがある」との回答でした。日本医療労働組合連合会は、体調への悪影響が考えられることから夜勤の翌日は休日とすべきとしています。

厳しい労働環境といわれている介護職の現場が垣間見れた調査結果として真摯に受け止めています。処遇改善で労働環境を良くしようという政府の働きかけは貴重ですが、本当に改善しなければならない点はどうやらそこではないのではないかとこの調査結果から伺えます。では3交代制にすればよいのかというのが、そうすると単純に人件費が1.5倍に膨れ上がります。介護報酬の改定で報酬が落ちる中、事業所の運営は厳しさを増します。その中で生き残るためには効率性が鍵となるでしょうが、そうなるとどうしても小規模事業所には不利で大型事業所へと規模の集約に向けた力が働きそうです。でもそれが良いのかどうかといわれると、地域を独占してしまうと競争が働かなくなり質の低下も懸念されます。バランスの良い体制を築くというのは、経営の難しいところです。








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2015年2月19日木曜日

介護サービス従事者による虐待件数が過去最高

厚生労働省は2月6日、高齢者虐待への対応状況に関する2013年度の調査結果を公表しました。介護サービス従事者などから虐待を受けたとの相談・通報は962件で、2012年度から226件増加しました。このうち虐待と判断されたのは221件で、66件増加していました。相談・通報と虐待判断の件数はともに過去最高でした。






 虐待の事実が認められた施設・事業所の種類は、特別養護老人ホームが69件で最多でした。 認知症対応型共同生活介護34件、介護老人保健施設26件、有料老人ホーム26件と続きました。
介護施設従事者などから虐待された高齢者402人についてその内容(複数回答)を見ると、「身体的虐待」が258名、「心理的虐待」が132名、「介護等放棄」が67名などでした。
 虐待の発生要因 (複数回答)について市町村の任意・自由記載を集計したところ、「教育・知識・介護技術等に関する問題」が128件で最も多く、「職員のストレスや感情コントロールの問題」が51件、「虐待を助長する組織風土や職員間の関係の悪さ」25件と続きました。
虐待者の性別の割合は、男性が51.8%、女性が48.2%でした。これだけ見るとほぼ半分であり特徴はないように感じますが、実際は介護従事者全体に占める男性割合の21.4%と比較すると、虐待者の男性割合は高いと読み取れます。
家族や親族などから虐待を受けたとの相談・通報は2万5310件で、同じく2012年度から1467件増加しました。このうち虐待と判断された件数は1万5731件で、529件増加しました。相談・通報者は介護支援専門員が31.3%で最多でした。
厚生労働省老健局認知症・虐待防止対策推進室の水谷忠由室長は「増えたこと自体は大変遺憾」とコメントされました。一方で、虐待に対応する体制整備が進んだことなどにより「従来拾われていなかった虐待が拾われて増加している要素もある」と述べられました。 厚生労働省は、高齢者虐待の防止や高齢者の世話をする家族らの支援に向けた老健局長通知を各都道府県知事宛てに発出しました。これまでは事務連絡で対応を求めていたが、対応強化のため通知に格上げしました。

虐待はもちろんあってはならないことです。虐待者を擁護するつもりはありません。ただ、介護者にそれだけ精神的な劣悪を及ぼすほどの業務であるということを改めて認識することが大切なのでしょう。諸軍改善加算で金銭的な支援を行なうことも良いですが、介護従事者のストレス・情緒コントロールのサポートも必要ではないでしょうか。また介護は介護職員だけではありません。家族介護による介護者の負担も非常に大きなものです。レスパイトをはじめ、いかに自宅で最期まで共に過ごせるのか。そのあたりの支援体制もさらに高めていくことが地域包括ケアシステムの構築には必要不可欠であると痛感します。








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2015年1月21日水曜日

2015年度 予算案 総額29兆9146億円

政府は1月14日の臨時閣議で、2015年度予算案を決定しました。2015年度から内閣府に移管する事業を除いた厚生労働省の一般会計予算総額は2014年度比30%増の29兆9146億円でした。このうち社会保障関係費は32%増の29兆4505億円となりました。






社会保障関係費の内訳は 「医療」11兆4891億円(2014年度比26%増)、「介護」2兆7592億円(26%増)、「年金」11兆527億円(31%増)などでした。厚生労働省によると社会保障関係費の自然増は約5700億円で、概算要求額の8155億円より約2500億円少なくなりました。内訳は「医療」2200億円、「介護」800億円で、概算要求より「医療」は800億円、「介護」は600億円少ないです。理由として厚生労働省は「1人当たり医療費などの最新動向を踏まえて計上した」としています。医療費の制度別内訳は、協会けんぽ1兆1813億円(57%減 )、国保3兆4330億円(45%増)、後期高齢者医療4兆7629億円(29%増)で、3制度合計は9兆3771億円 (23%増)となっています。消費税増収分を活用した社会保障の充実メニューで、地域医療介護総合確保基金の医療分として国費602億円(総額は904億円)、介護分として国費483億円(総額は724億円)を確保しました。在宅医療・介護連携や認知症施策の推進などに国費118億円(総額は236億円)を計上しました。
他の施策では、医療事故調査制度創設に伴う「医療事故調査・支援センター」の運営費の補助に54億円、新たな専門医制度創設に向けた養成プログラム作成支援に3億円、特定行為に関わる看護師の研修制度に向けた指定研修機関の確保や指導者育成、研修修了者の計画的な養成に27億円などを計上しました。重複・頻回受診の適正化に向けた保健師らの訪問指導などに19億円、医療保険者による医療機関と連携した糖尿病性腎症患者の重症化予防などに51億円を盛っています。

厳しい国の財源、社会保障費の抑制は財務省が何とかしなければと目の敵のようにしていますが、確かにその面だけ見れば分からなくもありません。ただ、高齢化社会が進む中で、今の制度の延長で検討していくと社会保障費の増長は止めることは厳しくあります。ただ、その増加幅をいかに縮めるかは必要かもしれませんが、しかしその圧縮されたしわ寄せは国民一人一人に割り振られるわけで、結局は高齢化が進む日本は住みにくい・長生きしにくい社会であることは間違いないようです。








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2015年1月9日金曜日

都道府県の基金 2015年度 介護充実に800億円

政府が2015年度に、地域での介護を充実させるため800億円を確保し、都道府県に設置された基金に配分することが12月27日、分かりました。消費税率8%への引き上げによる増収分を活用し、地域の実情に合わせた施設の整備や、不足する人材の確保を進めます。各都道府県への具体的な配分額は2015年度中に決める方向です。






 基金は、2014年6月に成立した地域医療・介護確保法で定められ、2014年度は医療分野で先行して904億円が充てられました。2015年度も医療向けには約900億円を確保し、新たに加わる介護と合わせ計1700億円規模となります。財源は国が3分の2、都道府県が3分の1を負担します。国の負担分は2015年度予算案に盛り込みます。
 介護の800億円のうち、700億円を施設面へ配分する方向です。特別養護老人ホーム(特養)は、高齢化が進んで入所希望者が増え、待機者が約52万人に上ります。住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、訪問サービスの強化や状況に応じて一時的に入所できる施設なども求められています。
 基金を活用し、プライバシーに配慮した特養の相部屋の整備や、在宅の高齢者が通いを中心に泊まりなどを組み合わせる「小規模多機能型居宅介護」、認知症グループホームなどを充実させます。
 残り100億円で、介護職員を増やすための啓発事業などに取り組みます。団塊の世代が全員75歳以上となる2025年には、全国で約250万人の職員が必要だと推計されており、これから80万人程度増やすことが求められています。しかし低賃金などを理由に離職率が高く、処遇改善やイメージアップが課題となっている現状です。

社会保障費の抑制の対策案として医療から介護へのシフトが挙げられています。もちろん2025年の団塊世代が75歳以上になるという社会状況もありますが、これから介護が担っていかなければならない役割というのは、領域が広がっていくことになるでしょう。もちろん在宅で終末期を過ごすことができればよいのですが、家族の介護力等が足りなければ施設での生活も致し方ないところだと思います。ただ、今回の介護報酬改定で特養は厳しい改定が予測されています。特養の入所希望者が増加し待機者がいるというのにも関わらず、締め付けるというのはいかがなことなのかと思います。それでいて、片方では基金を配分すると言っています。何か一貫性が感じ取れないのですが、私の視点が木を見て森を見ずであり、相対的にしっかりとしたプランニングができていることを願います。








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2014年12月28日日曜日

介護報酬改定に向けて

厚生労働省は12月19日の社会保障審議会・介護給付費分科会 (分科会長=田中滋・慶応大名誉教授)に 、2015年度介護報酬改定に向けた審議報告案を提示しました。早ければ2015年1月9日に予定する次回会合で審議報告を取りまとめます。






厚生労働省は、地域包括ケアシステム構築の更なる一歩となる2015年度介護報酬改定に向けた基本的な考え方として、中重度の要介護者や認知症高齢者への対応の更なる強化、介護人材確保対策の推進、サービス評価の適正化と効率的なサービス提供体制の構築、の3項目を提示しています。これまでの議論を踏まえ、サービスごとに見直し案を示しました。介護療養型医療施設では、看取りやターミナルケアなどの長期療養や、喀痰吸引といった医療処置の機能を今後も確保するため、「療養機能強化型介護療養型医療施設(仮称)」として重点評価することを盛り込みました。この提案に対しては平川則男委員(連合総合政策局生活福祉局長)から「(制度上廃上の)基本方針が変わっていないと言いつつ、新たな機能強化型を打ち出すのは、違和感を感じる。理屈として合わないのではないか」との意見も出ました。
訪問看護の見直し案では、将来的な訪問看護従事者の増員に向け、病院や診療所からの訪問看護供給量を拡大するため、病院や診療所からの訪問看護の基本報酬を引き上げる方針を示しました。鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は「病院・診療所からの訪問看護だが、病院というのは地域包括ケアシステムを構成するかかりつけ医機能を持つ中小病院が考えられる」と述べた上で、病院の機能分化や地域包括ケアシステムの方向性との整合性を図る必要性も指摘しました。齋藤訓子委員(日本看護協会常任理事)は、「多くの事業所があり市場が競合するような地域では、小さい事業所が経営困難になるのではないか」と懸念を示しました。
介護老人保健施設については、在宅復帰支援機能を更に高めるために、リハビリテーション専門職の配置などによって、在宅強化型基本施設サービス費と在宅復帰・在宅療養支援機能加算を重点的に評価することを示しました。 介護人材確保対策では、介護職員の処遇をさらに改善させるため、現行の介護職員処遇改善加算の仕組みを維持しつつ、更に資質向上などに取り組む事業所を対象に、更なる上乗せ評価を行ないます。内田千恵子委員(日本介護福祉士会副会長)は「加算が有ることで介護職員の報酬に反映されている事実もある。今後も取り組んでいただきたい」とコメントされました。一方、本多伸行委員 (健康保険組合連合会理事)は「保険料を用いて処遇改善をするのは筋としていかがなものか」と指摘され、「例外的な措置を2度にわたって実施しなければならない論拠には乏しい」と述べられました。

介護報酬はマイナス改定が多く言われている状況ですが、おそらく大きく逸れることはないでしょう。特に特養と通所介護のマイナスが言われていますが、社会福祉法人のあり方にすらメスが入れば、小規模の事業所は本当に厳しい改定になると思います。介護職員の確保がこれからも重要となりますが、加算ではなく制度の本質からしっかりと組み立てて頂いて、地域包括ケアを促進する体制を構築できる光を与えるべきではないでしょうか。








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2014年12月1日月曜日

主要政党の公約 方向性

12月2日公示、12月14日投開票の衆院選に向けた主要政党の公約が、11月 28日までに出そろいました。主要6党(自民党、公明党、民主党、維新の会、次世代、共産党)の医療関連の主な公約をまとめたところ、医療・介護分野の人材確保や地域包括ケアシステムの構築など、与野党間で方向性が共通する政策も多くありました。






医療・介護分野の人材確保の必要性については、自民党、公明党、民主党、維新の会、共産党が言及しており、この点は与野党の共通認識といえます。地域包括ケアの推進に関する記述も、自民党、公明党、民主党、維新の会の公約に盛り込まれています。「医療・介護を切れ目なく受けられるよう」「住み慣れた地域で暮らし続けられるよう」といったフレーズは、与野党問わず共通して見受けられます。ただ、こうした施策を実行するために必要な財源の確保策、社会保障制度の持続可能性を高めるために進めなければならない「痛みを伴う改革」の考え方は与野党ともに具体的には踏み込んでいません。
保険外併用療養費制度の拡充をめぐっては、維新の会と次世代が「混合診療解禁」を掲げました。自民党も「あらゆる岩盤規制を打ち抜く」姿勢を示し、新たな保険外併用療養費制度の仕組みとなる「患者申出療養 (仮称)」の創設など、健康医療分野において国民の健康回復や増進、利便性向上につながる規制改革を「一層推進する」としました。
逆に共産党は「保険外治療の拡大や混合診療の解禁に反対し、必要な治療は保険で給付する国民皆保険を守り、拡充する」としました。維新の会は規制緩和・市場原理主義の導入に積極的で「医療法人、社会福祉法人の制度改革で株式会社の参入促進」「診療報酬点数の決定を市場に委ねる制度への移行」なども掲げています。
一方、今回の衆院解散・総選挙の引き金となった消費税率引き上げを先送りすることに対 し、明確に反対と唱えている党はありませんでした。民主党も先送りを容認しているが、その理由として「アベノミクスによる国民生活の悪化・経済の低迷、約束していた社会保障の充実・安定化および議員定数の削減が果たされていない」ことを挙げました。
この忙しい12月に選挙とは本当に大変なことと思いますが、医療介護の分野においては、あまり政党ごとの政策の差はないかと感じました。確かに医療・介護の分野に絞り込んだ視点だけでは判断できないこともありますが、ただなんとなくチャンチャンで終わりそうな気がしています。本当に国民の生活を守るための医療と介護の制度改革は、一筋縄ではいきそうにありませんが、ただ弱者にしわ寄せがきたり、まじめに頑張っているところが報われないような制度だけは回避していただきたいものです。








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2014年11月27日木曜日

健康医療分野を促進と掲げる 自民党 衆院選 公約

自民党は11月25日、12月投開票が行われる衆院選の公約を発表しました。経済再生と財政再建の両立を図る姿勢を強く打ち出しており、「本格的な成長軌道」に向けた取り組みの一つとして、新たな保険外併用療養費制度の仕組みとなる「患者申出療養 (仮称)」の創設を明記しました。健康医療分野において国民の健康回復や増進、利便性向上につながる規制改革を一層推進することを掲げています。






「本格的な成長軌道」に向けた取り組みとしては「同じ地域にあるさまざまな病院・社会福祉施設を一つのグループとして経営することで、住民に対して医療および介護サービスなどを総合的かつ効率的に提供できるような、新たな医療・福祉法人制度を創設する」ことも盛り込みました。
安倍晋三首相が、2015年10月に予定していた消費税率10%への引き上げを2017年4月まで先送りすることを表明しましたが、公約では「消費税財源は、その全てを確実に社会保障に使い、2017年4月までの間も、着実に子ども・子育て支援、医療、介護等の充実を図る」としています。
医療・介護の提供体制については「住み慣れた地域で『切れ目のない医療・介護』が受けられるよう、医療機関の病床の役割に応じた機能分化や、医療・介護の連携の支援、地域包括ケアを進める」考えです。医療従事者 らの人材確保にも言及され、「医師、歯科医師、薬剤師、看護師、介護職員等の人材確保を行うとともに、介護や障害者福祉サービスを担う職員の処遇改善を行い、医療・介護等の充実につなげる」としています。
また「女性が輝く社会の実現」に向けた取り組みとして、特定不妊治療に要する費用の助成、周産期医療情報ネットワークの整備・充実、産科医・小児科医の負担軽減策の充実等出産環境の整備、を盛り込んでいました。
税制関連では、消費税の軽減税率制度について、与党税制協議会における合意内容の通り「関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入する。2017年度からの導入を目指して、対象品目、区分経理、安定財源等について早急に具体的な検討を進める」と明記しました。
財政面については、従来の国の中期財政計画と同様、2015年 度までに国・地方合わせた基礎的財政収支の赤字(対国内総生産比)を2010年度と比べて半減させる目標を掲げています。また2020年度までに基礎的財政収支の黒字化目標を達成するため、具体的な計画を来夏までに策定します。 公約は2部構成になっており、重点施策をビックアップした「特出し項目」と約300項目の個別政策からなる「政策BANK」に分かれています。主な社会保障・医療関連政策は「政策BANK」に盛り込まれています。公約 とは別に総合政策集「J― ファイル」も作成中ですが、稲田朋美政調会長は「J― ファイルに書かれていることは、正式な意味での公約とは別の位置付けになる」と説明されました。

阿部政権が解散総選挙という手段を選択いたしましたが、果たしてこれは正しい選択と多くの国民は感じているのでしょうか。景気回復を掲げてアベノミクスに取り組んできましたが、株価の高騰と円安は目に見えていますが、国民の生活にまではその恩恵は降りてきておらず、消費増税による圧迫が強く家計に響いている状況です。ただ、その中で消費増税を延期するというのは、国民の賛同を得られることでしょう。ただでさえ厳しい家計に増税は厳しいですから。しかし、本当に行わなければならないのは、そこではないのではないでしょうか。








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2014年11月2日日曜日

外国人介護人材の受け入れ

技能実習制度などを通じた外国人介護人材の受け入れを議論する検討会の初会合が10月30日、東京都内で開かれました。厚生労働省は外国人を受け入れる現行制度として、EPA(経済連携協定)と技能実習があることを挙げ、日本語能力のあり方や利用者に不安を与えないために配慮するといった今後の議論の方向性を提起しました。また、介護職に対するイメージ低下や、日本人労働者の処遇・労働環境の悪化を招かないよう配慮することも求めました。






 厚生労働省の担当者が、EPAと技能実習制度の仕組みや他職種における活用状況などを説明しました。介護分野については、EPAに基づく介護福祉士候補者の累計受け入れ人数が1500人を超えていることや、今年10月の時点で候補者595人と介護福祉士の合格者203人が就労していることを明らかにしました。
 また、検討を行う際の基本的な考え方として、厚生労働省は、経済活動の連携強化を目的として特例的に受け入れるEPAや、日本から相手国への技能移転、資格を取得した留学生への在留資格付与の項目を挙げ、「各制度の趣旨に沿って議論を進める」との方向性を提示しました。検討時の留意事項として、介護職に対するイメージ低下や、日本人労働者の処遇や労働環境が損なわれないことを挙げました。
 さらに、EPA介護福祉士候補者などの受け入れは、「労働力不足への対応ではなく、二国間の経済活動の連携強化の観点から、制度の趣旨や外交上の観点に十分配慮する必要がある」と指摘しました。技能実習制度への介護分野の追加については、移転される技能の内容、実習生の処遇、EPA介護福祉士候補者の受け入れを通じて得た経験の蓄積の活用などを主な検討事項とすることを提案しました。
 厚生労働省の提案に対し、委員からは「介護現場の人のいないところで、十分な教育ができるのか」「やり方によっては、優秀な人材が来てくれる」といった意見が出ました。
 介護分野の外国人労働者の受け入れをめぐっては、6月に閣議決定された日本再興戦略で、技能実習制度の対象職種に介護分野を追加することについて、年内をめどに検討して結論を得るとの方針を明示しました。このため、検討会では今後、在留資格や技能実習について議論した上で、12月中に中間取りまとめを行う方針です。

EPAについては、フィリピンやインドネシアやベトナムから看護師の候補者の受け入れも行なっていますが、なかなか日本の国家資格に合格するのは、高いハードルで、その数は本当に少ない状況です。一番の要因は、なんといっても日本語の取得。たしかに医療の現場で言葉が通じないというのは致命的ではありますので、日本語の取得は越えて頂きたい要因ではあります。しかし、このまま低い合格率ではいけませんから本題の本質を解決する為の検討が必要であるにも関わらず、外国人介護人材の受け入れを議論するのはいかがなものかと感じます。








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2014年8月22日金曜日

医療と介護連携

厚生労働省の三浦公嗣老健局長は8月1日、専門紙の共同取材に応じ、「今ほど医療と介護の連携が必要な時期はありません。この時期に私が老健局長に就くのは非常に象徴的なことです」と述べられ、初の医系技官としての就任の意気込みを語られました。その上で「医療と介護を結びつけるときに一番の鍵になるのは「医療側」だとし、「医療がしっかりと介護を支える、そして安心して介護が受けられるような体制をつくることが一番重要です」とコメントされました。医療関係者らの現場感覚を政策に反映させる必要性も指摘し、「(医系技官として)これまでと違う色合いの視点からアプローチができれば良いと考えます」と抱負を述べられました。






現在、社会保障審議会・介護給付費分科会で議論が進む次期介護報酬改定については、「報酬の基本的な考え方や狙いを、一つ一つの報酬ではっきりさせていく必要があります」と指摘されました。報酬には、事業者に何が望まれているのかのメッセージや、より良いサービスにするためのエンパワーメントの要素が含まれると説明されました。報酬改定では、単に単位数が変わったことを示すのではなく、報酬に込められたメッセージを明確に示す考えを強調されました。 また、医療介護総合確保法の成立については「利用者本位、高齢者自身がどういうことを望んでいるかを反映した制度が必要です」と述べられ、利用者や住民に身近な市町村の役割が高まると指摘されました。自治体が動きやすく、利用者が使いやすい仕組みに向けた仕掛けが必要としました。
認知症対策は、高齢社会を迎えた日本にとって「一番重要な課題の一つ」と述べられ、認知症対策のオレンジプランに基づく政策を進める意向を示されました。認知症高齢者とその家族をどのように支えるかを課題にあげ、「本人や家族を孤立させずに地域全体でいかに支えるかが重要です」とコメントされました。
また、2017年度末で廃止予定の介護療養型医療施設については、介護給付費分科会で現状分析などを踏まえた議論が行われるとし、「まずは審議会での議論の内容をつぶさに見ていきたいです」と、当面は分科会での議論を見守る考えを示されました。

医療と介護の連携は今まさしく厚生労働省が目指している姿です。いかに医療費の増長を介護費で抑制することができるか、ということです。ただ医療と介護の連携は、そんな社会保障費の抑制だけでなく、高齢者にとって利点は多いです。ただ現実にまだまだ医療と介護には垣根が見られます。それをうまく取り払えるのは医療側だと思います。遺留と介護が効果的に機能を分化して連携すれば、認知症の高齢者にも地域で支えていくことが実現できるのではないでしょうか。








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2014年8月9日土曜日

トモニン 仕事と介護の両立支援のシンボルマーク

厚生労働省は8月6日、公募で決めた「仕事と介護を両立できる職場環境」整備促進のシンボルマークの愛称を「トモニン」とすることを発表しました。178件の応募作品から選ばれたもので、「介護をする人を職場で支えて、ともに頑張っていく」という意味が込められているといいます。

 厚生労働省では、親の介護などで離職を余儀なくされる人の中には、企業でも中核的な役割を担う人が少なくないことから、「離職防止は、企業の持続的な発展にとって重要な課題であります」(職業家庭両立課)とし、積極的に介護離職防止に取り組む企業であることを示すシンボルマークを公募することを決定しました。今年3月には、WORK(仕事)の頭文字Wと、CARE(介護)の頭文字Cを組み合わせて、仕事と介護を両立させ、未来を歩くイメージを表現したマークを選出していました。







 シンボルマークと愛称を活用するには、厚生労働省の両立支援のひろばに、自社の介護休業関係の取り組みなどを登録すればよいです。ただ、独占的または営利目的での使用、趣旨に反した不適当な使用、育児・介護休業法や労働基準法などの労働関係法令に違反する重大な事実がある企業―では使用することができません。

 今後、厚生労働省では、マークや愛称を用いて、介護離職を未然に防ぐための取り組みを普及・推進する方針です。


これから超高齢化が進み介護の問題を少子化が拍車をかけていきます。みこし型からきばせん型そしてかたぐるま型などと高齢者を支える負担は大きくなってきます。どうしても介護に重きをおくと、仕事との両立は困難になってきます。いかに介護サービスを利用しながら介護をしていくかということがポイントですが、厚生労働省の方向性では施設から在宅へのシフトを強く謳っています。在宅で看れる家族がいなければ実現不可能です。かたや介護による離職防止を謳うとは、両方が実現すれば夢のような話でしょう。シンボルマークや愛称を考えるより、もっと優先課題があると感じるのは私だけでしょうか。








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2014年6月27日金曜日

複合型サービスについて

平成25年12月の厚生労働省 社会保障審議会 介護保険部会での意見をまとめると、複合型サービスとは、医療ニーズの高い中重度の要介護者が地域での生活を継続できるための支援の充実を図る目的で「通い」「泊まり」「訪問看護」「訪問介護」といった複数のサービス利用を組み合わせることによって、退院直後の在宅生活へのスムーズな移行や家族の介護負担の軽減を図るとともに、不安が強い看取り期等においても在宅生活の継続に向けた後方支援となり得るサービスです。

サービス参入事業所からみた複合型サービス開始後の効果としては、
看護師が事業所内にいることで医療ニーズの高い利用者に対しても看護が提供でき、介護職員との連携が促進されたこと等が挙げられています。ただ医療ニーズを有する在宅利用者を訪問看護サービスで支援する上で、「通い」や「泊まり」を組み合わせることが、必ずしも十分に活用されていないといった課題があります。また、複合型サービスへの参入理由は「従来から医療ニーズの高い利用者が増加していたため」が最も多く、参入時に困難であったことは「看護職員の新規確保」が最も多くなっています。




平成25年10月末日現在、複合型サービスは、78保険者で90事業所が指定を受けています。登録者数は1,432人になり、地方自治体において複合型サービスの制度、参入メリット等が十分に理解されていない現状もあるため、更なる普及啓発を図る必要があると考えられています。同時に、複合型サービスとして求められている医療ニーズへの対応の更なる充実に向けて、医療機関との連携の強化や、地域のニーズに合わせた登録定員の柔軟な運用等も含めた検討を行っていく必要があります。

複合型サービス事業所の実態として(介護給付費実態調査(各月審査分)・平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成25年度調査)より)

利用者数・事業所数について
複合型サービスの利用者数は約1,580人、利用者の約62.5%は要介護3以上の中重度者です。 請求事業所数は増加しており103事業所、開設主体別にみると営利法人が約46.6%で最も多い状況です。1事業所あたりの平均利用者数は平成26年2月審査分で約15.3人と平成25年5月審査分からほぼ横ばい傾向で、平均利用者数が20名を超えた平成24年度よりは減っています。

開設前の事業種類について
87ヵ所の事業所のうち68ヵ所からの調査回答によると(平成25年10月1日時点)、① 開設前の事業実施状況については、小規模多機能居宅介護事業所を運営していた事業所が52.9%と半数を超えています。② 事業開始時期については、半年以内(平成25年4月以降)の事業所が半数です。③ 訪問看護ステーションの指定状況については、指定有(注)の事業所が63.2%です。④ 1事業所あたりの看護職員数(常勤換算)については、平均4.3人で平成24年度調査では4.1人であったため若干増加傾向です。

定員状況 について
平成25年10月1日時点で開設している複合型サービス事業所68ヵ所について、1事業所あたり、登録利用定員が平均24.8人、通いサービス利用定員が平均14.5人です。 宿泊サービス利用定員が平均6.9人、宿泊室数は平均6.8部屋、登録利用者数は平均16.3人です各事業所からの定員に関する要望としては、「(利用定員(通い、宿泊)の増員希望」や「病状の状況などに応じて臨機応変に対応をする定員の柔軟な運用を希望」が多く挙げられていました。

併設・隣接の住まいについて
「事業所と同一建物」又は「事業所と同一敷地内の別建物」に居住する者に対してサービスを提供している事業所の割合が39.7%(27ヵ所)を占めていました。そのうち、約7割(19ヵ所)が「サービス付き高齢者向け住宅」「有料老人ホーム」でありました。

利用者概況として
性別は、「男性」が約3割で、「女性」が約7割。年齢は、「85~89歳」が約3割で最多であり、平均83.3歳。世帯構成は、「その他同居」46.0%が最多であり、次いで「独居」31.1%。主たる介護者は、「同居の家族」が半数を超えるが、「家族等の介護者はいない」も18.6%。住まいは、「一戸建て」が59.5%と最多であり、「高齢者向け住まい・施設」は20.5%。サービス利用開始直前の居所は、「在宅」が半数を超えており、「入院」、「施設入所」の順に多い。 要介護度・自立度に関しては、平均要介護度は3.06(要介護3~5の合計が60.9%)であり、小規模多機能型居宅介護事業所の平均要介護度2.44(同44.4%)に比べて高い。 認知症高齢者の日常生活自立度は「Ⅲa」が21.5%で最多である。また、「Ⅱa」以上であって、なおかつ医療ニーズ(服薬管理以外)を有する利用者は34.7%である。 障害高齢者の日常生活自立度は「A2」22.4%が最多となっている。医療ニーズに関しては、84.5%が何らかの医療ニーズを有し、小規模多機能型居宅介護事業所の62.0%に比べて有意に高い。 医療ニーズの種類別の利用者割合では、ほぼ全てにおいて小規模多機能型居宅介護事業所利用者を上回っており、一番多いのは服薬管理であった。「看取り期のケア」を実施している登録利用者は5.9%となっている。 死亡場所に関しては、開設後に死亡した登録利用者189名のうち、「在宅死」は64名(33.9%)で全国平均割合(12.8%)と比べて高く事業所内での死亡は56名(29.6%)でした。

事業所の体制について
夜間職員の対応に関して、宿泊サービス利用者がいる事業所における夜間の職員体制の増員状況は「特に増員することはない」が最多であり、次いで「利用者の状態に応じて増員」となっている。その「利用者の状態」については、「看取り期のケア」が最多であり、次いで「不穏、認知症の重度化」、「喀痰吸引」の順に多い状況となっている。医療ニーズへの対応に関しては、訪問看護指示書の利用者が0%の事業所は20.6%の一方で、60%以上の事業所は38.2%を占めています。特別管理加算の算定者が0%の事業所は42.6%の一方で、20%以上の事業所は25%を占めています。看護職員数(常勤換算)が多数になるほど、特別管理加算を算定している傾向が見られます。

運営上の課題について
サービス開始後の効果としては、「従来であれば入院、又は施設入所していた利用者を受け入れることで、入院・入所せずに済むようになった」(47.1%)「従来まで断っていた医療ニーズの高い利用者を登録できるようになった」(41.2%)の順に多く、医療ニーズの高い利用者の地域での療養生活支援に繋がっていると見られる。

サービス開設前に小規模多機能型居宅介護のみ実施していた事業所では、利用者の状態変化や医療ニーズに対応できることを効果と考える傾向があり、これは看護職員の増員によるメリットと考えられる。

同様に、訪問看護ステーションのみ実施していた事業所では、重症者への対応や家族への支援により在宅療養が継続できることを効果と考える傾向があり、これは通所・宿泊時にも看護を提供できるメリットと考えられる。 開設時の困難としては「看護職員の新規確保」(47.1%)「介護職員の新規確保」(36.8%)「利用者の確保」(35.3)の順に多かった。

やはり看護師不足がここでも見られる課題であります。また「開設資金の調達が困難」「開設場所及び物件の確保が困難」と回答した事業所は、開設前に訪問看護ステーションのみを実施していた事業所の割合が高い状況でした。

一方運営上の困難は、「看護職員の雇用維持や新規確保」(57.4%)「利用者の新規確保」(50.0%)の順に多く、共に開設時のポイントより高くなっている。また収支の改善が困難と感じている事業所は、複合型サービスの経営的なデメリットとして、「人件費が経営を圧迫」「安定的な経営が困難」「利用者の確保が困難」が挙げられていました。

収支状況としては、「黒字」(17.6%)及び「収支とんとん(均衡)」(36.8%)と回答した事業所を併せると54.4%と半数を超えていますが、事業期間が短いほど、「赤字」と回答した事業所割合が高く、13カ月を越えた事業所では、90.0%が「黒字」もしくは「収支とんとん(均衡)」という回答をしました。

充足状況として、1事業所あたりの登録利用者の定員に対する利用者割合は、事業期間が短いほど低い状況です。

事業開始時支援加算の算定事業所は、開設前の事業種類が訪問看護ステーションや事業実施なしの割合が多い状況です。複合型サービスの事業開始時支援加算について、サービス利用者全数に占める算定割合は平成25年度以降、25%以上で推移しています。

普及に向けた課題として
自治体への相談として、事業者から複合型サービス事業所の開設に係る相談があった自治体数は、9.8%であった。そのうち開設に係る相談(146件)はありながらも開設につながらなかった事業所(106件)もあり、その理由は「事業者からの応募がなかった」が最多となっており、応募しなかった(できなかった)要因までは把握できていません。自治体による複合型サービスの効果についてのイメージは、「医療ニーズの高い利用者でも在宅生活が継続できる」が81.7%と最多ですが、複合型サービスに対する地域医療機関の期待等については、「わからない、把握していない」が47.3%と最多の状況です。複合型サービス事業所へ参入する上での課題は、「看護職員や介護職員の新規確保」が一番多く、小規模多機能型居宅介護事業所では「利用者の負担増が生じる」を、訪問看護ステーションでは「開設場所・物件の確保」や「開設資金の調達」を課題としている傾向も見られます。  複合型サービスの普及に向けて必要なこととして、複合型サービス事業所、小規模多機能型居宅介護事業所、訪問看護ステーション、自治体(市町村)からの意見の共通項目は、「複合型サービスの周知」「人員確保・養成」「定員等の見直し」が挙げられました。

主な論点として挙げられたのは、医療ニーズの高い利用者が地域での療養生活を継続するための支援の充実を図る(「通い」「泊まり」「訪問看護」「訪問介護」といった複数のサービス利用を組み合わせ)という複合型サービス創設の趣旨から、訪問看護の地域における展開、複合型サービスにおける看護業務のあり方、訪問看護指示書に基づく特別な管理や重度者対応のあり方など。また地域のニーズや運営実態より明らかとなった、登録利用者の定員についての柔軟な運用 、利用者の状態によっては福祉用具を併せて利用することで区分支給基準限度額を超えてしまうこと、そして何より看護職員や介護職員の人材確保の困難な現状についてどのような対策をしていくかが大きな課題であります。





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