2015年5月19日火曜日

医療費の削減に向けての策はかかりつけ医

財務省の財政制度等審議会・財政制度分科会(分科会長=吉川洋・東京大大学院教授)は5月15日、今後の医療の課題などについて森田朗・中医協会長 (国立社会保障・人口問題研究所長)に非公開でヒアリングを行ないました。森田氏は「現在の医療費の支出には削減できる部分がある」とし、医療の実態に関する詳細なデータに基づいて診療報酬制度を見直す必要があるとの考えを示しました。






 森田氏は提出した資料で、財政健全化に向けて医療費を含む社会保障費の支出抑制は必要としつつも「必要な医療費の抑制は可能な限りすべきではない」「マクロ的な抑制策は有効とはいえない」との見解を示しました。その上で「医療費の抑制には、現在の診療報酬制度を見直し、抑制可能な部分の削減を行うべき。それには、医療、保険の実態についての詳細なデータを収集し、エビデンスに基づいて改革を図るべき」と主張されました。当面取り組むべき改革として、現行の診療報酬制度を前提に、保険審査の客観化・厳格化・透明化・ガイドライン導入、医薬品・医療機器などの保険収載・価格決定ヘの費用対効果評価制度の導入、DPCデータなど医療データの蓄積と活用、医療機関の経営効率化を挙げました。
 また、中長期的な制度的課題としては、保険者の統合再編による効率化、保険外併用の範囲・対象の在り方、かかりつけ医制度創設と予防医療推進、マイナンバー(または医療番号)制度を利用した受益と負担の調整を掲げています。
委員からは「かかりつけ医に対するアウトカム加算は可能か」との質問が出ました。森田氏は、かかりつけ医が診ている高血圧患者のうち、一定割合以上の患者で症状が改善した場合に加算が付くという海外事例を紹介し「(加算は)やろうと思えばやれるのでは」と述べられました。かかりつけ医の普及に関する質問に対し、森田氏は「かかりつけ医については中医協も導入に前向きです。現場の先生方も必要性を認めてきている。かかりつけ医を制度として定着させるためには、大学における専攻として、英国の総合家庭医のような専門医のカテゴリーを創設することも必要ではないか」という趣旨の回答をしました。また、森田氏は医療費の効率化について「地域の在宅医療・介護では医療従事者間の情報共有が今は難しいが、IT技術が今後かなり貢献するのでは」と話しました。ドラッグ・ラグについては「申請ラグは短縮化する余地がある。これは日本市場が海外の製薬企業にとってどれくらい魅力的かという問題でもあるし、国民の意識の問題でもある」と語ったといいます。ほかに委員からは「かかりつけ医 (主治医)機能の算定要件が厳しすぎる」「包括払いをさらに拡大していくべき」「頻繁に起こり、医療費が相対的に安い疾病については、保険の適用範囲を少し狭めることも選択肢として考えるべき」「(診療報酬点数を)素直に『円』で表現して国民に分かりやすくしてもいいのでは」との意見が出たといいます。

医療費の支出の削減については、国の財政に掛かる大きな課題であり、もう子や孫の世代に先送りせずに完結に向かわなければならない課題であります。その中で、予防という目線も踏まえ、かかりつけ医機能をしっかりと普及させることは、その効果は大きいと考えられます。ただ、今の体制のままで開業医の医師にかかりつけ医としての役割を担ってもらうようにと加算等で仕向けても、本当の意味でかかりつけ医として機能することは難しいと思われるし、また一人体制の開業医で本当にかかりつけ医として何人の地域の方々を診ることができるのか、チーム医療も必要ですし、連携体制の構築も必要不可欠であると思われます。やはり、医療提供体制の見直しへと繋がっていきそうです。








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