2015年5月16日土曜日

軽症患者の救急を有料化案

財務省主計局は5月11日の財政制度等審議会,財政制度分科会(分科会長=古川洋・東京大大学院教授)で、軽症患者への救急出動の有料化を論点として提示しました。終了後に会見 した吉川分科会長によると、委員からは救急の一部有料化に賛成する声が出たと述べられました。 吉川氏も会見で、検討に値する論点との考えを示しました。






 主計局が地方財政について示した資料によりますと、2013年の救急出動件数は591万件 で10年間で20%増となりました。一方、救急搬送者のうち49.9%が軽症となっています。主計局は「現状を放置すれば、真に緊急を要する傷病者への対応が遅れ、救命に影響が出かねない」とした上で、「諸外国の例も参考に、例えば、軽症の場合の有料化などを検討すべきではないか」と提言しています。吉川氏によると、委員からは「救急車を利用して結果として救急でなかった場合、ある種のモラルハザードであり、ペナルティーを科して有料化することがあってしかるべき」という趣旨の意見が出ました。患者負担の具体的な範囲については議論していないといいます。
麻生太郎財務相は5月12日の閣議後会見で、軽症患者への救急出動有料化について「何十年も前からある話」とした上で、「(財政審は)歳出の合理化などを考えた時にきちんとした対応を検討されるのではないか。一つの考え方だと思う」と理解を示しました。自分の一族の会社が病院を経営していることから「どの程度の人が来るかよく知っている」と述べられ、現場を見てから判断した方がよいとの考えも示しました。

確かに救急の軽症化については、問題の一つです。救急出動件数が増えることによる医療機関側の体制も整えなければいけませんし、そうなると人件費をはじめとした費用も多くなる。もちろん医師をはじめとした職員の疲弊も生じてくるという問題も伴なってきます。救急や急性期病院への抑制対策としてゲートキーパーとしてのかかりつけ医を国民に浸透させようという動きもありますが、まだまだ理想と現実の間には大きな差があります。そもそもかかりつけ医を持っている方というのは、まだまだ少ないのが現実です。慢性的な疾患患者であればかかりつけ医はいるかもしれませんが、基本的に健康な方というのは、かかりつけ医というより医療機関と遠いところで日々の生活を送っています。そのような方々にいきなりかかりつけ医をと言っても、それは現実的ではないでしょう。でもそのような方でも、ある日突然体調不良となることだってあります。医療の専門家ではないので、何が悪いのか重症なのか軽症なのかも判断がつかない、病院をたらいまわしされて日にちや時間を多く費やさなければならないリスクがあるなら、そこを少しでも短縮しようと急性期病院へ駆け込む、また救急車で行けば優先してもらえると、誤った判断基準で医療機関へ来られるわけです。かかりつけ医も重要です。しかし、もっと根本的な体制の見直しをしなければ、医療提供体制の適正化は困難ではないでしょうか。








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