2015年5月27日水曜日

東京都の構想区域設定

東京都の地域医療構想策定部会(部会長=猪口正孝・東京都医師会副会長・都病院協会副会長)は5月29日の会合から、東京都の将来あるべき医療提供体制の議論を開始しますが、現在13ある2次医療圏ごとの構想区域の設定は現実的ではないという意見が強まっています。






 2次医療圏をまたいでの患者流出入が多いことに加え、地域によって高度急性期医療や慢性期医療が集中するなど医療圏ごとのばらつきが大きいことが背景にあります。猪口部会長は「13の2次医療圏ごとの構想区域設定は極めて難しい」と述べられ、東京都特有の事情を反映させた構想区域設定の在り方を探っていく考えを示しました。東京都の2次医療圏は、国立がん研究センターや大学病院などを含めた高度急性期医療が集中している「区中央部」(文京・港・千代田・中央・台東)など23区で7つの2次医療圏と、療養病床が集中する多摩地区の5つの2次医療圏、島しょの合計13の2次医療圏で構成しています。23区内でも、区中央部などでは既存病床数が基準病床数を上回っているものの、区南部(品川・大田)、区西部(新宿・中野・杉並)、区西北部(豊島・北・板橋・練馬)、区東北部(荒川・足立・葛飾)では既存病床数が基準病床数に達していない状況となっています。
猪口部会長は、東京都では「区中央部や区西部の高度急性期医療は、2次医療圏に関係なく多くの患者が受診している。例えば葛飾や足立、荒川区の2次医療圏で構想区域を考えたとしても、患者は高度急性期医療を文京区に求める」と指摘しています。その上で「都の医療の実態と、構想区域を合わせようとすれば“23区で1つの構想区域 "という考え方もあるが、23区だけでは慢性期病床が少なく、4つの医療機能を入れた構想区域とするのは極めて難しい」と述べられた。さらに「東京都全体で1つの構想区域という声も強いが、それでは地域偏在が依然として解消できない」とし、東京都の構想区域の設定が大きな課題になっているとの認識を強調しました。また、構想区域設定に関する議論に臨むに当たり「いろいろ課題があっても既存の2次医療圏で構想区域を設定すべきという意見や、先ほど言ったように東京都全体を1つの構想区域にする案、病床機能ごとに構想区域を変える案、特定機能病院を外した上で 基準病床を策定する案、23区は1構想区域で多摩地区は2次医療圏で設定する案など、さまざまな声がある」とし、意見集約に向けた部会の議論を慎重に進める考えを示しました。

地域医療構想において、東京都は他の地域とは明らかに異なるでしょう。おそらく現状の2次医療圏をベースに考えることは、現状にそぐわないからです。ただ、東京都を一つの構想区域としてしまうと、構想区域の設定の本質とはかけ離れていきますし、なかなか難しいと思います。ただ、これだけ高度急性期医療が集中している地域は東京以外にはありませんし、人口密度がここまで高い地域もありません。しかし問題は医療提供体制だけでなく、高齢者を看ていく施設が全然足りていないこともあります。おそらく今からサ高住などの建設も行なわれるかもしれませんが、それでも追いつかないでしょう。そうなると、移住という選択肢も必要なのかもしれません。地域包括ケアシステムの本質からはずれますが、医療や介護の資源が枯渇している地域での生活に不安を感じるなら、それも誤まった方向性でもないのかもしれません。








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