2015年5月30日土曜日

病床機能の転換奨励する補助金で

日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、5月21日に「現在、病床過剰であることは間違いないが、診療報酬で病床数などを絞っていく手法では地域医療が崩壊してしまう。地域医療を守るために、転換奨励金(補助金)などを医政局予算として確保し、急性期から慢性期への転換を促していくべき」との見解を示しました。






武久洋三会長は、「日本では20万-30万床の病床が過剰と想定される。これは間違いない」と指摘されました。その根拠として、厚生労働省が3月4日の中央社会保険医療協議会総会に、「医療機関が『受け入れ条件が整えば退院できる』と考える患者が11万5000人いる」とのデータを挙げ、「医療機関自らがそう思うのであるから、実態はもっと多い」との見方を示しました。
また、厚生労働省の「病院報告」では、2014年12月に一般病床の稼働率が平均60.9%に激減しました。その後75%前後に持ち直しますが、一方で、平均在院日数は1.5日延びています。武久洋三会長はこの点にも触れ、「素直に考えれば、2014年改定における7対1の経過措置が終了して病床稼働率が大きく下がった。これでは経営が成り立たないので病院側が在院日数を延ばして、病床稼働を維持したとみることができる」と指摘されました。
武久洋三会長は「このような姑息(こそく)とも言える手段で病院側が経営を維持しなければならない状態は異常だ。こうした診療報酬で病床数を絞っていく手法では地域医療が崩壊する。急性期から慢性期、慢性期から介護施設に移行する場合の『転換奨励金』を医政局が確保し、医療機関や患者が路頭に迷わないようにすべき」と提案しました。
 「病床過剰」を医療団体のトップが認めるのは極めて異例ですが、武久洋三会長は「事実は認め、その上で(転換奨励金などの)新たな提案をしなければいけない」と強調しています。
 ところで、病床機能の転換を促すために、厚生労働省は「地域医療介護総合確保基金」を都道府県が設置するための予算を2014年度予算から確保しています。
 しかし、武久洋三会長や日本慢性期医療協会の池端幸彦事務局長は「基金は都道府県がコントロールしており、総花的に『地域連携ネットワーク』などに補助がなされるケースが多く、個別の病院の機能転換を推進するようには動いていないのが実際だ」と述べられ、基金とは別個に「転換奨励金」予算を確保すべきと強調しました。

病床機能報告の結果が厚生労働省から出てくる頃ですが、いよいよ地域医療構想に向けた動きが各都道府県で医療圏ごとに活発になってくるのかと思います。適正な病床へと転換するためには、それなりにアメがなければ民間の医療機関の動きは大きく変わらないでしょう。確かに都道府県ごとに基金がありますが、それを病床機能の転換の為に活用しようとしている都道府県は少なく、地域連携ネットワークなど本質とはかけ離れたところへ基金が流れていき、結局のところは効果は期待できません。本当に機能分化を進めるのなら、そこに特化した施策と予算を置かなければ、実現は難しいと同感致します。










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