2015年5月23日土曜日

患者の了承を得ずに精子の凍結保存を中止

大阪市立総合医療センター(大阪市都島区)が、患者2人の了承を得ずに精子の凍結保存を中止していました。不妊治療で精子を使おうとした患者の問い合わせで発覚しました。病院側は1人に謝罪したが、別の1人には別病院に精子を移すよう求めていたとして、問題ないとの見解を示しました。






保存を打ち切られたのは大阪府と奈良県の30代の男性2人でした。大阪の男性によると、精子をつくる機能に悪影響が懸念される放射線治療などのため、2003年12月に両親や医師の勧めで精子を無償で凍結保存しました。奈良の男性は2004年11月に凍結保存していました。
 大阪市立総合医療センターによると、2012年4月に責任者の婦人科副部長が別病院に異動しました。その時点で計13人分の精子を無償で凍結保存していましたが、2014年9月ごろ、元副部長の指示で凍結保存のための液体窒素の補充が打ち切られていました。
 元副部長によると、2012年4月の異動時に「1年をめどに患者の意向を確認してほしい」と口頭で看護師に依頼していたため、保管期限が2013年3月末までということが患者にも伝わっていると思い込んだといいます。液体窒素の補充をしていた医師も、患者の了承が得られているか確認をしておりませんでした。
 2015年4月、精子を使おうとした大阪の男性が大阪市立総合医療センターに問い合わせて凍結保存の中止が発覚しました。病院側が調べたところ、13人中6人については元副部長が事前に了承を得ており、3人は死亡していました。別の2人には「1年ごとに意思表示をしなければ廃棄する」と書いた文書を渡していた記録が見つかっていました。
 しかし、大阪と奈良の2人には了承を得ていませんでした。奈良の男性には5月15日に電話で謝罪したといいます。大阪の男性については、2013年3月末までに別病院に精子を移すよう、2012年の受診時に依頼していたとして、問題ないとの見解を示しています。男性は「勝手に廃棄することはないと説明された」と主張しているが病院側は否定しています。
 保存容器は現在も病院内にあるが、内部の精子の機能は失われているといいます。

大阪市立総合医療センターの瀧藤伸英病院長は、「大阪の男性については、凍結保存継続の意思表明がなかったので保管をやめた。他の病院に移管するよう伝えていたので対応に問題はない。言葉がなくても、移管をお願いした期限より先は保証できないという意思があった。その意味を患者が受け取れたかは何とも言えない。説明が不十分だったことは否めず、文書も示して説明すべきだった。奈良の男性には謝罪した。結果的に男性は精子を使う予定がなかったが、そうでなければ取り返しのつかないことになっていたと思うと述べています。

今回の大阪市立総合医療センターの対応について、疎かであったと感じるところが多々あります。ただ今回の件の根底がどこにあったのか、病院内でどのように捉えてこれからどうするのかが重要であると思います。とくにこれからの医療は労働世代への医療から高齢者世代への支える医療へとニーズがシフトしていきます。その際に特に重要となってくるのがどこまで医療を提供するのかインフォームドコンセントであります。これからその求められる領域が治療に関するところに限らず医療の現場での多岐にわたり拡大していくことをしっかりと捉え、対応していかなければならないと思います。








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