2015年5月1日金曜日

完治せずとも穏やかな人生 「とことん型」「まぁまぁ型」

永源寺診療所がある東近江市の永源寺地区は人口約6千人の3割以上を高齢者が占めます。自宅で最期を迎えることを9割が希望し、その半数が実現しています。在宅看取りは「家族にとっても命や人生の役割について深く考えるきっかけになる」と花戸所長はいいます。






 兵庫県尼崎市の長尾クリニックの長尾和宏院長(56)はこれまでに約800人を在宅で看取ってきました。過剰な投薬や治療をやめ、穏やかな最期を迎える「平穏死」を実践しています。 ただ、あらゆる治療に消極的なわけではありません。長尾院長は、胃に穴を開けてチューブで栄養剤などを入れる胃瘻(いろう)を勧めることもあります。胃瘻は「不要な延命措置」の代表ととられがちだが、「治さないといけないものと、そうでないものを、はっきり説明したうえで対応する必要がある」といいます。

 「まあまあ型」と「とことん型」。近年、医療においてこんな言葉がしばしば聞かれます。 病気の完治を目指す「とことん」型の医療に対し、完治せずとも地域で生活ができるようにする「まあまあ」型の医療です。病院経営管理などが専門の高橋泰・国際医療福祉大教授は「75歳を過ぎるとまあまあ型を必要とする比率が急速に高まる」と指摘しています。ところが「現在の日本には『とことん』型を提供しようとする病院が多い」ことが問題とみています。
 将来推計人口などによると、2010年からの30年間で75歳以上の人が800万人増え、税金や保険料などで医療費を支える65歳未満は3千万人減る見込みです。毎年1兆円ずつ増え続ける社会保障費をどう抑制するか。一つの解が「まあまあ」と「とことん」の使い分けであります。
 「とことん」「まあまあ」を提唱した永生病院(東京都八王子市)の安藤高朗理事長によると、カギを握るのは患者のトリアージ(治療の優先度を決める緊急度判定)です。病状に加えて本人や家族の希望を聞き、高度な専門医のもとで徹底的に治療するか、慢性期対応の病院などでじっくりみてもらうかを決める。安藤理事長は「最終的には患者本人の意思が優先される。どう生きたいのか考えておくことが重要だ」と話します。
 日本の医療は、すべての患者を100%健康にする目標に向かって進んできました。しかしその限界は見え始めています。年齢ピラミッドの変化に合わせ、限られた医療資源をどう分配するか。患者側にも「まあまあ」を受け入れる意識改革が必要となってきています。

実際、麻生副首相も民主党の梅村議員との答弁の中で、「尊厳死」について真正面から答えていました。あの件で、はじめは失言としてメディアに取り上げられた麻生副首相の発言も、しっかり言葉の意味を解釈した上でやり取りを行ない、また国民に生きること・死ぬことの考えるきっかけを与えてくれました。もちろん、長生きできることは素晴らしいことです。ですが、それを健康寿命を延ばしたうえで可能にしていくことが、ほんとうの長寿大国日本の進むべき道であると強く思います。








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