2015年5月18日月曜日

日本の「うつ病率」は低いのか

近年、精神疾患の患者数が増えています。なかでも、うつ病の患者数だ。厚生労働省によると、平成8年に43.3万人だった患者数は、平成23年に95.8万人へと急増しています。
しかし、世界的な製薬会社であるルンドベックの「職場におけるうつ病の影響」調査によると、働く人の「うつ病率」に関しては、実は日本より外国の方が高いようです。






世界16カ国(各1000人)を対象に行われたこの調査で、16~64歳の働く人に占める「うつ病と診断された経験者の割合」は、日本が10%だったのに対し、イギリスは27%、オーストラリアは26%、アメリカは23%と、日本の2倍以上に及んだといいます。
ただし、この結果から「日本の状況は海外ほど深刻ではない?」と考えるのは早計のようです。長崎大学精神神経科学の小澤寛樹教授は、「このうつ病率を見て、日本は大丈夫と考えない方がいいです。欧米圏とアジア圏の人では、うつ病に対する症状の出方が異なる傾向にあるためです。欧米圏の人はうつ病が精神面に作用しやすいのに対して、アジア圏の人は頭痛や腰痛、あるいは食欲不振といった身体症状として出やすいんです。そのため、アジア圏ではうつ病を患っていながら、別の病気だと思ったり、気づかなかったりするケースが多いんですね。日本のうつ病率が低いのも、そのためと考えられます」と述べております。
実際、ほかのアジア諸国のうつ病率を見ても、韓国は7%、中国は6%と、欧米諸国より低めになっています。しかし、WHO(世界保健機関)が定期的に発表する自殺率をみると、日本や韓国は非常に高い状況です。小澤氏は、こうした事実からも「東洋人のうつ病は、気づきにくい『仮面うつ』である」といいます。

「そのほか、欧米やオーストラリア、南アフリカなどは、うつ病へのサポートが非常に手厚く、そのぶん、うつ病の申告もしやすいため、うつ病率が高くなる面もあるでしょう。たとえば、メルボルンの学校では精神疾患に関する教育が盛り込まれていますし、アメリカの企業は社内カウンセラーが離婚問題などのレベルから相談に乗って“うつ予防”に力を入れるほど細かくサポートしています」
確かに日本企業だと、自分が「うつ病」だと言いにくい雰囲気を感じているビジネスパーソンも多いだろう。なお、「うつ病」の認知度が上がると発症率も上昇する面があるようで、中国では近年、急激にうつ病率が高まっているといいます。
日本でもうつ病の認知度はだいぶ高まってきましたが、欧米のようなサポート体制はまだ整っているとは言えません。逆にいえば、今後サポート体制が整うことで、日本のうつ病率はさらに増えていく可能性もありえます。欧米並みの水準になれば、およそ4人に1人は「うつ病経験アリ」ということになります。

日本では、まだまだ精神疾患に対する社会的認識が低いというか、水面下に潜んでいる部分が多いと思われます。整備を進めることでそれら水面下の数字が顕在化してくることでうつ病率が高騰することも考えられますが、しっかりと向き合える体制を整えて、サポートを行なっていくことが急務となっていくでしょう。








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