2015年5月17日日曜日

東京大医学部付属病院が臨床研究中核病院の申請

東京大医学部付属病院は、今国会で審議中の医療保険制度改革法案に盛り込まれている患者申出療養制度の運用に向けて、臨床研究中核病院の申請を行う方針を固めました。 2015年7月までに策定する今後2年間の行動計画に盛り込む予定です。






4月に新病院長に就任した齊藤延人院長は、医療法上の臨床研究中核病院の申請をする考えを明らかにした上で「特定機能病院よりも一段高い承認要件であり、ガバナンスなどの体制整備をテヨ入れしている。最終的な承認が得られるか何とも言えない部分もあるが、病院全体で取り組むことが重要と認識している」と語りました。齊藤院長は、臨床研究中核病院の承認取得に向けた体制整備として、病院長を監査する委員会整備や、データ管理体制の強化を進める姿勢を示しました。近年の臨床研究データの不正事件や、特定機能病院の承認取り消し事件などの不祥事が相次いでいることにも触れ「当院でも臨床研究に伴う不適切事案があった。しっかりと説明責任が果たせるよう承認要件よりも、一段高いレベルで準備に取り組まなければならない」との認識を示しました。
また、東大病院では、10月に臨床研究棟であるクリニカルリサーチセンターが竣工することを見据え、1月から臨床研究ガバナンス部を新たに立ち上げ、必要な組織体制づくりを本格化させています。臨床研究ガバナンス部は、病院長と、研究支援部長を担当する副院長の管理下の組織で、さらに下部組織として、研究をマネジメントする先端医療開発戦略室、研究者教育を強化する臨床研究者教育研修室、研究監視機能を強化する監査・信頼性保証室を設置している。臨床研究の品質と信頼性の担保や、研究不正の防止が狙いで、齊藤院長は「東大が率先して研究ガバナンスの規範を示し、アカデミア研究の信頼回復に努めたい」と強調されました。一方、齊藤院長は「東大病院における2014年度決算は赤字になる見通し」にあることを明らかにしました。東大病院の財務状況については「税率5%から8%に引き上げられたことで病院としての持ち出し分は年間約2億円となった。消費税の影響が大きく厳しい状況だ」としました。東大病院の2014年度実績は、平均在院日数が13.5日、紹介率88.8%、逆紹介率86.5%で高い数値が並んでおり「職員全員がギリギリのところで頑張っている。ただ、2017年度の税率10%への引き上げを考えれば、医療における控除対象外消費税の問題解決は喫緊の課題」とし、安定的な経営基盤には消費税問題の解決が不可欠との見解を示しました。

東京大医学部付属病院ですら、消費税の影響は経営に大きく響いており、今後の更なる増税の事を考えると、控除対象外消費税の問題解決も求めていきますが、まずは自分たちで取り組めるところから取り組んでいかなければ、医療提供を継続困難となりかねません。しかし、全国的にみて、東京大医学部付属病院より厳しい状況下で運営されている医療機関も多く存在するはずであり、今後社会保障費の適正化、医療費の更なる抑制の波も考慮した上で、差別化を図り機能を高めなければならない時に差し迫っているわけです。今回の東京大医学部付属病院の動きを地方の医療機関はどのようにみているのか。自分たちも同じく臨床研究中核病院として手を上げることではないとは思いますが、それでも新たな次元での医療の在り方を検討しつつ、動き始めなければ大学病院ですら淘汰されてしまう厳しい業界であるということです。








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