2015年6月11日木曜日

データヘルス計画の意義

2015年度から本格的にスタートした「データヘルス計画」について、厚生労働省の関係協議会で座長を務めた辻一郎・東北大教授は、医療ビッグデータを活用して個々に合った対策を立てるという健康戦略の有効性を強調しました。






データヘルス計画は、すべての保険者がレセプトや健康診断などのデータ分析に基づき、加入者それぞれに効果的な保健事業に取り組むものです。生活習慣病の治療が必要と思われるのに医療機関を受診していない人や治療効果が見られない人を抽出して受診勧奨や保健指導を行ったり、同業種と比べて喫煙率が高いといった職場の健康課題を明確にしたりなどの取り組みがイメージされています。社会保障費の適正化などを狙って日本再興戦略に盛り込まれ、保険者は事業計画の策定が求められました。
 計画作成の指針取りまとめなどに携わった辻教授は、超高齢・人口減少社会の中で社会保障制度を持続させるためには、年金よりも伸び率の大きい医療・介護費をいかに抑制できるかが課題だと指摘しております。「労働力人口も高齢化していく中、職場の健康管理がこれまで以上に重要になる」と、データヘルス計画の背景を説明しました。
 近年の肥満・メタボリック症候群対策で肥満者や糖尿病患者の増加に歯止めがかかっている。宮城県大崎市を中心としたコホート研究などから、喫煙・肥満・運動不足を改善することで国レベルでは5兆円規模の医療・介護費削減が期待されるとし、効果的な健康づくり対策によって生活習慣病の発症・重症化を予防する意義を述べられました。
ただし、ハイリスク者に受診勧奨するなど積極的に介入することで、短期的には医療費の増加が見込まれることにも言及されました。福島県西会津町では健康づくりの取り組みの数年後から医療費が下がり始めたことを紹介し、「最初の数年は当然増える。そこで誤った評価をすると、計画はとん挫してしまう。予防から治療まで一貫して見ることで、全体的な最適化が可能になる」としました。

これからの医療費の増加を抑制する一つの有用な策が、予防医学の発展であるという見解は多くの方が持っていられます。まだまだ日本人の予防医学に対する意識は低いです。しかし医療保険などは手厚く組んでいるところがあったりと本末転倒な方が多いこの考え方を変えるような大きな仕掛けが必要になってくるでしょう。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


0 件のコメント:

コメントを投稿