2015年6月8日月曜日

大病院が“独り機能分化”

中央社会保険医療協議会の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は5月13日の診療報酬基本問題小委員会で、大規模な急性期病院による単独での機能分化が、地域内の医療連携を妨げかねないとの危機感を表明され、診療報酬上の適切な対応を求めました。






 この日了承した入院医療等の調査・評価分科会の調査スケジュールや審議テーマに対する認識で、鈴木委員は基本小委の会合の席上、一部の大規模な急性期病院が2014年度の診療報酬以降、単独で機能分化を進めていると指摘されました。「入院医療の機能分化と連携には、病院内の機能分化ではなくて病院ごとの機能分化が必要」などと述べられ、特定集中治療室管理料と地域包括ケア病棟入院料の両方を算定している病院がどれだけあるかなど実態の把握を求めました。
 厚労省保険局の宮嵜雅則医療課長が「議論に資するようなデータを出せると思う」と応じると、鈴木委員は「大病院は、ケアミックス化ではなくて高度急性期や急性期に特化していかないと、本来の趣旨である機能分化は進まない」と診療報酬上での配慮を求めました。
この日の基本小委では診療側の中川俊男委員(日医副会長)が、「経済財政諮問会議や財政審(財政制度等審議会)が診療報酬改定の具体的な項目に言及することは中医協に対する圧力、もしくは越権行為に当たるのではないか」と批判しました。
 諮問会議や財政審による議論の中で、7対1入院基本料の引き下げなどに踏み込んだ発言が相次いでいるのを受けたもので、同じ診療側の万代恭嗣委員(日本病院会常任理事)が「中医協をないがしろにする可能性がある」とこうした動きに懸念を表明したほか、支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会副会長)も中川委員に同調しました。

地域医療構想に向けての各医療機関の動向が物議を醸しています。ワイングラス型からヤクルト型へのシフトを厚生労働省は掲げていますが、それにより病床の一部を回復期などへと切り替えていくことが、独り機能分化であるとは、そうといえばそうでありますが、なかなか難しいところです。医療機関側からすると、病床の一部の機能を変えることが適正な方向ではないというのならどのようにしたらよいのかと反論が聞こえてきそうです。要は、厚生労働省としては、高度急性期・急性期の病床を単純に減少させるダウンサイジングが理想の形として推し進めたいのでしょうが、これまで地域の医療を一手に行なってきた各医療機関にあまりにも一方的にマイナスの方向性は、医療提供体制の維持に支障をきたすのではないかと懸念致します。








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