2015年6月4日木曜日

地域医療構想GLは「地域医療を考えるきっかけ」

日本病院会は5月30日に社員総会を開催し、堺常雄会長をはじめ、執行部の再任を決めました。 総会後に開かれた記者会見の席上、相澤孝夫副会長は地域医療構想について「3000点や600点という数字は、地域のベッドの機能などを決めるものではない」ことを強調した上で、「地域医療構想ガイドラインは、地域の実情を最も把握している医師が、地域の医療提供体制を考えるきっかけとなるものだ」と説明されました。






相澤副会長は、「あるべき医療の姿はどのようなものなのか、そのためにはどれだけの費用が必要なのかを提示することが日本病院会の役割だと思う。一方で、時代の要請に合わせて変えていかなければならない部分もある。地域の医療の実情は、地域の医師が最もよく分かっている。地域医療構想は、こうした点を考えるきっかけになるのではないか」との考えを表明されました。ガイドラインに示された「急性期は3000点以上、急性期は600点以上」などの数字が一人歩きし、「600点以上でない病床は急性期ではない」などと誤った解釈が広まることに強い懸念を示しました。
 また堺会長は、主に二次医療圏単位で設定される構想区域ごとの診療データを活用して「例えばA県のa市と、B県のb町の状況が似ているなどということが分かると思う。このように類型化をし、a市ではこういった取り組みをしており効果を上げているので、b町でも同様の取り組みをしてはどうかといった議論が可能になると思う」と見通しました。
 診療データの活用については、相澤副会長から「自院が現在の姿と、周囲の医療機関の姿を比較できるような形でデータを示してもらえるよう厚生労働省に求めている。ただし、すべての医療機関がデータを十分に活用できるわけではないだろうから、日本病院会が『見える化』を行っていきたい」との考えも示されました。
2016年度の診療報酬改定について堺会長は、「マイナス改定に近い状況という感触がある」と見通した上で、「国民にとって、病院も診療所もあまり関係ない。病院のことだけでなく、国民の視点に立って考える必要がある」との考えを強調されました。
 また、前回の改定で新設された地域包括ケア病棟の届け出が進んでいない点に触れ、「地域包括ケア病棟には、急性期後の患者の受け入れや緊急時の対応といった機能が求められているが、急性期を担うためには現在の診療報酬では厳しいと思う。一方、7対1から地域包括ケアに移行する場合、現場の看護師は『なぜ』という思いを持つのではないだろうか。現在の地域包括ケア病棟には、経済的にもそれ以外にも十分なインセンティブが付いていないと思う」と述べられ、7対1からの転換をより促すような報酬設定が必要との考えを示しています。
 なお大道道大副会長は「5月29日に入院医療等の調査・評価分科会に調査結果が示されたが、中小病院、特に100床前後の病院の実態は見えてこない。例えば光熱費が1年のうちに何度も引き上げられるような状況の中で、中小病院には16年度の報酬改定を乗り越えられるのかという不安感がある。日病が中小病院のデータをそろえ、提言していきたい」との考えを述べられました。

地域医療構想については、様々な情報が行き交っており、誤まった情報から誤まった分析を行なっている医療機関も見受けられます。そこには、いかに構想区域でイニチアティブを取るかという視点で自院のことしか考えていないところがありますが、ここの目的はそうではないことを各医療機関の経営幹部が理解するまでにはまだ少し先になりそうですが、そういっている間に協議の場が開かれるわけで、構想区域によっては協議など進まないことも懸念されます。









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