2015年6月5日金曜日

診療報酬のマイナス改定を財政審が提言

財務省の財政制度等審議会(財政審)は6月1日、国の財政再建に向けた基本的な考えをまとめた「財政健全化計画等に関する建議」を財務大臣の麻生太郎氏に提出しました。社会保障分野の歳出改革の方針として、今後5年間の社会保障関係費の伸びを、少なくとも高齢化による自然増分に相当する年間5000億円の範囲内に抑え、診療報酬や介護報酬は全体でマイナス改定とすること、2017年度までの後発医薬品の数量ベースにおけるシェア目標を60%から80%に引き上げることなどを要望しました。






 建議では、今後5年間の社会保障関係費の伸びの抑制に関する方針として、医療・介護分野では、公的保険給付範囲の見直し、サービス単価の抑制、負担能力に応じた公平な負担にかかる制度改革を集中的に行うほか、医療の効率化を進める必要があるとしました。
 具体的な方策として、後発品について、現在の「2017年度内に数量ベースのシェア60%以上」という目標を、80%に引き上げることを提案しました。「80%」の目標を2016年度診療報酬改定に反映することで、目標達成は可能としました。さらに、2018年度以降は、後発品のある先発品(長期収載品)の保険給付額を後発品の価格までとする制度改革も求めています。
 一方で財政審は、高齢化などの要因によって医療費や介護費が今後増え、医療機関や介護事業者の収入総額は増加するとし、国民の負担増の抑制の観点から、診療報酬本体・介護報酬は「メリハリをつけつつ、全体としてはマイナスとする必要がある」と提言しました。自己負担や保険料負担については、世代間や世代内の負担の公平性を図るため、年齢や就業先にかかわらず、負担能力に応じて負担を求めるべきとしました。
高齢者の負担に関しては、現在は75歳以上の自己負担割合は原則1割で、70~74歳では1割から2割に順次引き上げていますが、「原則3割負担の若年世代に比べ優遇されており、是正する必要がある」と指摘しました。具体的には、2019年度以降に75歳に到達した後も2割負担とするほか、2019年度時点で既に75歳になっている高齢者も数年かけて2割負担に引き上げることを要求しました。
 このほか、国民皆保険を維持する観点から、少額の患者定額負担も導入すべきと提言しました。
 医療の効率化については、医療提供体制の改革を提案しました。財政審は現状の医療提供体制の問題点として、「7対1入院基本料」を算定する病床が過剰だと指摘しました。さらに、人口10万人当たり病床数にも地域差があり、「適正化の余地が大きい」としました。このため、厚生労働省が掲げる「地域医療構想(ビジョン)」と整合した診療報酬体系を構築し、過剰な急性期病床の解消を含む病床の機能分化や、療養病床の地域差の解消を推進することを求めました。
 介護では、要支援や要介護1、要介護2に相当する軽度者に対する掃除や調理などの生活援助サービスのあり方を問題視しました。例えば、訪問介護の生活援助の利用件数が要介護1では全件数の5割を超えているとし、原則自己負担(一部補助)の仕組みに切り替える必要性を訴えました。通所介護などについても人員・設備基準に関する自治体の裁量を拡大し、地域支援事業といった予算の範囲内で実施する枠組みへ移行すべきとしました。
 財政審は今回の建議の内容を、政府が今後まとめる財政健全化計画に反映するよう求めています。

2016年の診療報酬改定は確実にマイナス改定であるという予測がされていますが、7対1の締め付けは進むのでしょうか。それとも2018年の7次医療計画に向けて先行して大きな改革も行なわれるのでしょうか。ただこれまで国民の健康を守り続けてきた国民皆保険の良さを忘れることなく、適正は方向へと導いて頂きたいものです。









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