2015年6月2日火曜日

「重症度、医療・看護必要度」、患者像反映に課題も

厚生労働省は5月29日の中医協・入院医療等の調査・評価分科会(分科会長=武藤正樹・国際医療福祉大大学院教授)に、2014年度診療報酬改定で要件が厳格化された7対1など一般病棟入院基本料の見直しによる影響や新設された地域包括ケア病棟入院料の影響、さらには療養病棟、障害者病棟、特殊疾患病棟等における慢性期入院医療の在り方など6項目の2014年度調査結果を報告しました。






 この日の議論を含め調査結果は、今後の中医協基本問題小委員会に報告されます。2016年度改定での対応が注目される一般病棟入院基本料見直しに関する調査では、要件厳格化が行われた7対1や10対1に関する「重症度、医療・看護必要度」や、90日超入院の特定除外制度の廃止、短期滞在手術等基本料等の見直しなどを取り上げました。7対1の届出数では、3月の中医協で報告された通り、改定前の約38万床が2014年10月時点で約366万床となり、実質1.4万床の減少となっています。7対1から転換された病棟・病床をみると (複数回答)、10対1入院基本料や地域包括ケア入院医療管理料1、休床の割合が高くなっています。7対1からの転換理由 (複数回答)は、「重症度、医療・看護必要度の基準を満たさないため」が最も多い状況でした。「重症度、医療・看護必要度」で見直し後のA項目では、喀痰吸引のみの場合を除く見直しが行われた「呼吸ケア」などの割合が低下しており、抗悪性腫瘍薬や抗血栓塞栓薬などによる「専門的な治療・処置」の割合が増えています。重症度、医療・看護必要度の基準に該当する患者割合からは、医療処置等を必要とする患者を積極的に受け入れている医療機関であっても、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合に十分反映されていないとしました。さらに、新たな要件となった在宅復帰率は、平均で約94%でほとんどの医療機関が高値を示していますが、必ずしも自宅等への退院割合が高くない医療機関も含まれているとしました。このほか、短期滞在手術等基本料3では、眼科の水晶体再建術や腹腔鏡下鼠径ヘルニア術について、左右の複数回の手術のための再入院の必要性や、点数が低くて採算が取れないなどの意見が出ていることなどが報告されました。
これに対して本多伸行委員(健保連理事)は、「重症度、医療・看護必要度」について「医療機関の分布からみると、多くは20%以下になっている。 7対1入院基本料を算定する医療機関は、入院忠者が7対1の費用を負担することから、15%以上という現行基準の妥当性についても議論すべきだ」と指摘しました。在宅復帰率についても「全体の平均94%に対し自宅等への退院は78%で、現行の基準(75%)が緩いのではないか」とし、今後検討すべきとしました。神野正博委員(全日本病院協会副会長)は、短期滞在手術等基本料3で腹腔鏡下鼠径ヘルニア術の5割が採算が取れていない実態は見直すことが必要ではないかと指摘しました。

次の診療報酬改定である2016年改定は厳しいマイナス改定となることが予測されています。特に急性期のところについて、どこまで厳格になるのか、看護配置による入院基本料がこのまま続くのか、これからますます病院経営が厳しくなることは間違いありません。事務長任せの経営から脱却したところが生き残っていくのでしょう。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


0 件のコメント:

コメントを投稿