2015年3月11日水曜日

地域包括ケア病棟は、在宅患者のレスパイト機能も

産業医大公衆衛生学教室の松田晋哉教授は3月1日 、全日本病院協会の経営セミナーで講演し、急性期病床の受け皿として2014年度診療報酬改定で新設された地域包括ケア病棟について、今後の増加が見込まれる「高齢者の肺炎、骨折への救急対応や、重症度の高い在宅患者を支援するためのレスパイト機能」などが必要との見方を強調しました。






 地域包括ケア病棟入院料の評価は、2014年度改定の付帯意見でも病床機能報告制度を踏 まえ引き続きの検討課題となっており、中医協でも今後の調査や検証結果を踏まえた次期改定での対応が議論される見通しです。松田教授は、東京都や石川県の各医療圏の診療実績データ等を引用しながら、今後ニーズが高まる疾病として肺炎、骨折、脳血管系疾患の3疾病を指摘しました。「脳血管系疾患は医療計画でも対応してきたが、骨折、肺炎は取り上げていなかった。確実に今後増えるので、認知症などの合併症患者の急性期対応をどうするかが課題」としました。介護施設でも予防対策を進めなければ、拡大するニーズに対応できないとし、2018年度から同時に始まる医療計画と介護保険事業計画、さらには地域医療構想との整合性が求められるとしました。さらに、松田教授は、東京都などの診療実績データから、都心部など療養病床が不足している地域では、重症度の高い患者に在宅療養で対応する状況が想定されることを説明されました。その上で「今の訪問看護ステーションの体制では無理でしょう。(病院からの) 訪問看護でないと重症度の高い在宅患者ケアは支え切れない。こうした患者への対応も地域包括ケア病棟の役割ではないか」との見方を示しました。

地域医療構想において、国からは医療費抑制のための在宅医療への誘導が進む中、その実現に向けてはまだまだ険しい道のりであると感じます。確かに、理想像を言えば、間違ってはいませんが、ただそれぞれの機能が充分に発揮できるのかということが一つ重要な点ではないでしょうか。各機能が連携し発揮するためには、その潤滑油の存在が必要不可欠です。それを担うのは、地域包括ケア病棟であり、訪問看護であれば、それぞれの担わなければならない領域というのは非常に広くなります。広げるがあまり浅くならないように、しっかりした仕組みづくりを先に行なわなければ、実現は厳しいのではないでしょうか。








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