2015年3月6日金曜日

地域包括ケアステーション

 社会保障審議会介護給付費分科会の分科会長などを務める田中滋慶大名誉教授は、日本介護経営学会の記念シンポジウムで講演しました。田中名誉教授は、地域包括ケアシステムを構築するにあたり、在宅での多様なサービスへのニーズに一括して対応できる「地域包括ケアステーション」の導入を検討する必要があるとしました。






田中名誉教授は、在宅介護では看護や介護、リハビリテーションなど、提供するサービスごとに事業所が分かれている点を課題として指摘しました。各種の在宅サービスをできる限り一括して請け負える「地域包括ケアステーション」について、厚生労働省と相談しながら地域包括ケア研究会で検討する意向を示しました。
 また、田中名誉教授は、介護保険などの公的なサービスだけで地域包括ケアシステムを構築するのは難しいと分析しています。一方、多くの人口を抱える団塊の世代については、「最大の資源」とし、地域包括ケアシステムの構築を考える際にも、現役を退いた団塊の世代の活用を十分に意識する必要があるとしました。
 特別講演で登壇した厚労省老健局の三浦公嗣局長は、日本経済が高度成長できた要因の一つには、医療制度が整い、健康で働ける人が増えたことがあると指摘しました。その上で、地域の介護サービスが、病院から退院してきた人の受け皿となり得れば、国民全体の健康水準を高めることにつながるとし、「そのためにも介護そのものの充実が必要」と述べられました。一方、介護サービスがもたらすアウトカム(成果)を最大にする努力も不可欠としました。また、認知症の人が増え続けている現状についても触れられ、「認知症への対応を考えながら、介護保険制度を変えていく必要がある」とも述べられました。

「地域包括ケアステーション」の発想はあながち悪くないと思います。ただしそれは机上の話に限ります。もし多種サービスの包括が行なわれると事業者側はどうするか。単価の安いサービスで埋めていく。看護が最適であっても介護を充てていくでしょう。人材の単価が違いますから。リハビリもPTやOTが訪問するでしょうか。ヘルパーがリハビリをできないとは言いませんが、専門性のレベルが雲泥です。結局のところ、適切なサービスを求めるなら包括は利用者にとって最適ではなくなるリスクが高いと思われます。ただ国もそのような不適切な事業所を見逃しはせずに、ある程度の数量規制を設定するでしょう。訪問のうち、何%は看護が行っていないと減算など。そうなると事業所はその枠を目指してサービスを提供する。要は、利用者を看てサービスを提供するのではなく、事業所の数値を見てサービスを提供する。そんな本来の医療と介護の姿勢とは異なる運営が蔓延る可能性が高いと危惧するのは私だけではないと感じます。








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