指針案は意見公募を経て4月にも正式決定し、医療機関に周知します。
医療事故調査制度は2014年6月の医療介護総合推進法の成立で創設が決定されました。診療行為に関わって患者が予期せずに死亡する事故があった場合、新設される第三者機関「医療事故調査・支援センター」への届け出と、院内調査の実施を全国約18万の医療機関に義務付けます。
指針案では、医師が事前に患者や家族に死亡や死産が予期されると説明、診療録に死亡リスクの記載があった、などのケース以外はセンターへの届け出対象になるとしました。報告期限については事故発生後「遅滞なく」とし、具体的な日数は示しませんでした。
医療機関が行う院内調査では、再発防止策まで「可能な限り検討することが望ましい」としました。
遺族への説明方法については「口頭または書面もしくはその双方」と3つの選択肢を挙げ、「適切な方法で行う」として医療機関の判断に委ねました。そのうえで「遺族が希望する方法で説明するよう努めなければならない」としました。
遺族側は「口頭だけでは理解が困難」として書面での提供を求めていましたが、医療者側の「裁判などの紛争に利用されて医師個人の責任追及につながりかねない」との反対意見を考慮し、努力義務にとどめました。
塩崎恭久厚労相は3月20日の閣議後の記者会見で、「医療現場での安全の意識が高まって、国民の医療への信頼がさらに高まるようにしてもらいたい」と述べられました。
この10月から医療事故調査制度によって医師は安全意識を高めていかなければなりませんが、ただだれも事故を起こそうとは思っていないはずです。そうでなければこの業界にはいないと思います。しかし100人に感謝されても1人の信頼を得られなければ、それだけで責任追及にまで及びかねないのは、本当に医療にとって正しい方向性なのでしょうか。リスク回避というわけではありませんが、情報をしっかり公開していくことが求められていくのでしょう。
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