2014年9月20日土曜日

地域包括ケア構築の課題を議論  近医連・分科会

近畿医師会連合定時委員総会・第2分科会(地域医療)は9月14日、地域包括ケアシステムの構築をめぐり「医師間の意識の差をどのように埋めるか」「行政側が日ごろから現場の実態を拾い上げる姿勢を持つべき」など、今後の課題を持ち寄って議論しました。事前に6府県から集めたアンケートで、大阪府医師会は「市町村は次期介護保険事業計画の策定で、地域医師会との円滑な連携を視野に入れて計画策定する重要性をどこまで認識しているのか」と疑間を呈し、「現場の声に振り回されてしまうと事業計画の取りまとめが難しくなることは理解できるが、国や都道府県が示したガイドラインに沿った計画では意味がない」と指摘されました。






医師側の積極的な関与に加え、日ごろから行政側が現場の声に耳を傾ける姿勢を持つことも大事だと訴えられました。兵庫県医は意見を述べる中で、地域ケア会議などへの郡市区医師会の参加状況に温度差が見られると分析し、「地域のかかりつけ医が主導権を持つという意識を忘れてはいけない」と提言されました。奈良県医も地域包括ケアシステムの推進に関し、会員間で温度差が出ている現状があると説明されました。京都府医は、地域包括ケアという概念を論じるだけではなく、医療・介護従事者が直面する課題や地域の実情を踏まえた具体的な取り組みを個別に考えるべきとし、地域住民に地域包括ケアを知ってもらう働き掛けも不可欠と訴えられました。  アンケートでは新たな財政支援制度(新基金)をめぐる「都道府県計画」策定の関連で、大半の府県医師会と府県との協議はおおむねスムーズに進められたことも分かりました。「スムーズにできた」と答えたのは大阪、滋賀、奈良、和歌山、京都の5府県医でした。兵庫県医は県との情報交換について「昨年末に田村憲久厚生労働相 (当時)が新基金創設を明らかにした後、すぐに県側に意見交換を求めましたが、3月まで情報交換が行われなかった」とし、「スムーズに行えなかった」と回答しました。計画策定に関する各府県医の「役割」に関する質問では、大阪府医と兵庫県医が「郡市区医師会や関係団体から上がってきた要望について連絡協議会など設け、計画内容の調整など『取りまとめ役』として役割を果たした」と回答されました。「郡市区医師会や関係団体から上がってきた要望について、府県担当部署とともに調整・集約を行い、『取りまとめ役』の役割を果たした」と振り返ったのは大阪府医、京都府医でした。「府県担当部署が直接に調整・集約を行い、府県医師会として特に連携・調整しなかった」としたのは滋賀、奈良の両県医で、和歌山県医は都市医師会の意見集約は自ら行い、関係団体の調整は県側に任せた対応でした。

地域包括ケアシステムの構築に向けて、各都道府県が描く地域医療ビジョンが重要なキーとなります。ただ、現状の段階で、地域医療ビジョンを描けている都道府県はないと感じられます。だから医師会からの問い合わせにも答えることができないので、情報交換の場もまだ設けることができないというのが実情であると考えられます。しかし、各医療法人は、それらを待っていては乗り遅れますし、病床機能報告もあり、先だって進めていかなければならないというのは、どうもおかしな状況であると感じます。国が描けなかった地域医療ビジョンをいかに都道府県でまとめ上げることができるのか。とても一筋縄ではいかないのではないでしょうか。








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