2014年9月11日木曜日

地域包括ケアにむけて 地域の取り組み

 大阪府豊中市の佐藤敏栄(さとう・としえい)さん(84)は約10年前に妻を亡くして以来、人付き合いがめっきり減りました。もともと社交的なタイプではなかったのですが、1人暮らしで孤独感は募る一方になりました。「もう生きていくのは無理」と思い詰めるようになっていきました。
 ちょうどそんな頃、市社会福祉協議会が独居高齢者を対象に訪問サービス「安心協力員」を始めることを知りました。2010年のことでした。
 佐藤さんから問い合わせを受け、サービスにつないだのは市社会福祉協議会事務局の勝部麗子(かつべ・れいこ)次長でした。「一般に、配偶者を失って受けるダメージは女性より男性の方が大きいです。ギリギリのSOSだったと思います」と振り返ります。






 勝部さんは「介護保険サービスを使わず、生活保護受給の対象外で、近所の世話にもなりたくない―。こうした方々は地域の見守りの網から漏れてしまっています」と指摘します。
 都市型住民の社会的孤立を解決するための新たな方法が安心協力員です。研修を受けた協力員が高齢者を訪ね、顔なじみの関係をつくります。急病時の買い物支援なども行います。
 最大の特徴は有料である点です。登録料が2千円、訪問料は1回800円になります。近所づきあいのしがらみに煩わしさを感じるような人でも、対価を支払う分、割り切って気軽に利用できるというわけです。
 「地域の情報も分かるし、心がつながる感覚がありがたいです」。佐藤さんは月に1度の女性協力員の訪問を心待ちにしています。
 国立社会保障・人口問題研究所の2012年の調査では、65歳以上の独居男性の16.7%が「2週間に1回以下」しか会話がないとのことです。会社中心の生活が長く、地域活動に疎い男性ほど、高齢期は自宅へ引きこもりがちになります。
 そんな人たちを家から引っ張り出そうと、愛知県北名古屋市の高齢福祉課は「男性のための料理教室」を開いています。講師も男性が務め、参加者からは「男だけなので気楽です」と好評です。
 「男性は包丁さばきなど腕を競いたがり、雰囲気がギスギスしやすいです。最初に『技能を見せつけ合う場ではない』と徹底します」と、講師で管理栄養士の伊藤邦彦(いとう・くにひこ)さんを語ります。
 参加者のきずなは自然と強まり、OB会も結成されました。不器用だった男性たちが今では毎月、市内の障害者施設で別の高齢者たちに家庭料理をふるまうまでになりました。伊藤さんは「料理を通じ、地域内で支え合う仕組みができたら最高です」と話します。
今、地域包括ケアシステムの構築が進められていますが、その中心にあるのは住まい(在宅)で一番身近にあるべきものは地域の交流等による生活支援です。これはなかなか制度化するのは難しく、本来の趣旨からいっても制度化するべきものでもありません。自治会やボランティアなどが中心となってつながり「絆」を広げていくことが、自然のあり方だと思います。そこからコミュニティが派生し、在宅での生活をより充実し不安を払拭した働きになっていくのです。そういう意味での地域包括ケアシステムのあるべき姿への道のりは、今の希薄化している日本の地域社会においては、なかなか険しい道のりではないかと危惧します。








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