2014年9月13日土曜日

医療介護総合確保促進会議   厚生労働省

 厚生労働省は8月29日に、「医療介護総合確保促進会議」を開催しました。厚生労働省当局から「総合確保方針」の素案が提示され、これに基づいた議論を行いました。
 6月に成立した医療介護総合確保推進法では、厚生労働大臣に「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針(総合確保方針)」を定めることを命じています。 この日示された素案は、次の5部で構成されています。
(1)地域における医療および介護の総合的な確保の意義、および基本的な方向
(2)医療計画基本方針および介護保険事業計画基本指針の基本となるべき事項、ならびに医療および介護の総合的な確保に関し、都道府県計画、医療計画および都道府県介護保険事業支援計画の整合性の確保
(3)都道府県計画および市町村計画の作成、ならびにこれらの整合性の確保
(4)公正性および透明性の確保、その他、基金を充てて実施する都道府県事業
(5)その他






 (1)では、まず「効率的かつ質の高い医療提供体制の構築」と「地域包括ケアシステムの構築」を車の両輪として進めていくことを確認しました。 そのうえで、「地域の創意工夫を活かす」「地域の将来の姿を踏まえた『まちづくり』の一環に位置づける」「人材育成、就業促進、勤務環境改善など質の高い人材の確保に関する取組みを進める」「病床機能分化・連携、医療・介護の連携を通じてより効率的な提供体制を構築する」「ICTを活用する」ことを打出しています。 さらに、行政、医療・介護サービス提供者、利用者それぞれの役割を明確にすることがあげられています。たとえば利用者に対しては、「限られた資源を効率的かつ効果的に利用するという視点を持つ」ことを求めるとともに、サービスの担い手となることも期待しています(地域において元気な高齢者が介護に携わるボランティアとして活躍するなど)。

 また(2)では、医療計画、介護保険事業計画、介護保険事業支援計画の整合性を確保することの重要性を強調しています。このため政府は医療計画の期間を6年とし、平成30年度以降は「1期の医療計画と2期の介護保険事業計画の見直しサイクルを合わせる」こととしています。 そこで素案では、「2次医療圏と老人福祉圏域を一致させるよう努める」ことを求めています。 さらに、平成30年度までに「介護保険事業計画の中で在宅医療・介護の連携の取組みについて具体的に定める」「市町村が地域の医師会等と連携して、在宅医療・介護連携体制を充実させていく」「介護保険事業計画の中で認知症対策を充実させる(地域支援事業に位置づけられた医療・介護従事者の連携による早期対応など)」を行うようアドバイスしています。

 (3)は、医療・介護の総合確保に向けた都道府県の計画、市町村の計画を意味します。ここでは「保健・医療担当部局」と「介護・福祉担当部局」の緊密な連携がまず求められています。 さらに計画に強い実行性を持たせるために、「医療・介護の受給者、医療保険者、医療機関、介護サービス事業者、学識者の団体」など幅広い関係者から意見を聞き、計画に反映させることが重要であります。 なお、両計画に記載すべき事項として素案は、次のような項目を掲げています。
●医療介護総合確保区域(都道府県計画では2次医療圏・老人福祉圏域を、市町村計画では日常生活圏域を念頭において設定する)
●目標と計画期間(原則として1年単位)
●目標達成のための事業内容と費用
●事業の評価方法

 さらに(4)では、基金を充てて実施する事業の範囲を次のように規定しています。
●地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設、設備の整備(病床機能の分化・連携など、地域医療構想策定までは「地域で明らかに不足している病床機能」への転換に資する事業等に重点的に活用する)
●居宅等における医療提供(在宅医療を提供する医師、看護師、リハ専門職等への研修を含む)
●介護施設等の整備(地域密着型サービスなど、地域の実情に応じた介護サービス提供体制の整備)
●医療従事者の確保(地域医療支援センター、医療勤務環境改善支援センター等を活用した、医師等の偏在解消、チーム医療の推進など)
●介護従事者の確保(介護従事者の資質向上や、労働環境の改善なども含めて)


 素案に対し、委員からはさまざまな意見が出されました。たとえば、「地域医療構想の中に『救急に関する事項』を加えるべき(加納委員:日本医療法人協会会長代行)」「概ね賛成だが、介護職員の処遇改善に基金を用いることはいかがなものか。基金の使途について都道府県の創意工夫を許すのであるなら、検証をしっかりすべき(白川委員:健保連副会長)」などが目立ちました。


これから医療と介護は一体的に進んでいくことを多く表しています。現状、まだまだ医療と介護の間にある壁を撤廃しなければ、その実現というのは不可能に近い厳しい状況であります。ただこのように厚生労働省が上から上手に導いてくれれば、各地域での医療と介護は一体的に機能をはたしていけると思います。ただその過程は決して一筋縄ではいかない多くの既得権の撤廃も必要になってくるでしょう。








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