2014年9月17日水曜日

7対1病院の精鋭化にむけて   上尾中央医科グループ

埼玉県の上尾中央医科グループは、国が目指す2025年の将来像に向け、グループ2 7病院に対して「高度急性期」あるいは「急性期」のどちらを目指すのか、9月末日までにグループ本部に報告させる方針です。現在の7対1入院基本料算定病院は16病院ですが、2025年改革に対応できるよう「7対1病院の精鋭化」を促進させる戦略で、高度急性期病院への人的・設備的資源の投入を進めていく方針です。本部が提示した「高度急性期」の条件は、 7対1入院基本料の算定要件を満たす、ICU・ HCU・SCU・ NICUのいずれかを算定、年間の全身麻酔800件以上、複数診療科の当直体制を365日維持できる体制を来年度内に整備できる、などです。一方、「急性期」は10対1入院基本料の算定要件を満たすこととしています。同グループ協議会経営管理本部の小林洋一本部長は、「各病院が地域の医療ニーズと実績を踏まえ、どういう機能を担っていくべきと考えているのか。まず現場から手挙げ方式で選択してもらうことが重要です」と説明されました。「7対1入院基本料の要件見直しは、2014年度診療報酬改定の検証調査の結果次第で、さらに厳しくなることも予測されています。今回の改定だけで、取り沙汰される9万床減に達するとは考えにくい状況です。2025年に向けた医療提供体制を構築していく上でも、現場のモチベーションを生か した対応策を講じていくことが必要と考えています」と語られました。

小林本部長は「グループ27病院(急性期19病院、回復期中心3病院、療養中心3病院、精神単科1病院、透析中心1病院)のうち、これまでの実績から高度急性期を目指す病院として6病院が手拳げするとみています」とした上で、「一般急性期を選択する場合は集中的な資源投入はしないが、10対1でも経常がなりたつ体制を整備していくべきです。だからこそ本部の指示ではなく、現場の納得が必要です」と述べられました。同グループでは、2014年度改定前は7対1が18病院でしたが、うち2病院が要件を維持できなくなり現在は16病院となっています。透析医療中心の50床の病院は、4月から障害者病棟へ移行し、将来は療養への転換を模索しています。147床の急性期病院は平均在院日数の要件を維持できず、 6月に10対1へ移行しました。小林本部長は「今後、7対1からこぼれる10対1病院は、回復期あるいは慢性期での対応も検討していきたいです」と述べられました。






一方で7対1の精鋭化に向け要件厳格化への対応策として、救急体制の強化を打ち出しています。夜間・休日の受け入れ体制を強化し、救急からの入院患者を多く獲得することで重症患者比率(「重症度、医療・看護必要度」の要件を満たす患者割合)を維持・向上させながら新規入院患者を増やしていく考え方です。グループ内で、救急入院とそれ以外の入院患者の重症患者比率を比べると、救急入院の方が5%高いという結果が得られています。小林本部長は「救急医療の強化策は3年前から基本的方針として打ち出していましたが、今回、加速させていきます。複数診療科による休日・夜間の当直体制も、非常勤医師を中心に体制を組んでいきます」と述べられました。

7対1の要件が今後さらに厳格化していくことは、予想されています。国の方針としては、9万床の削減が大きな目標として掲げられています。現状では程遠い状況ではありますが、必ず近い状態まで削減を推し進めていくでしょう。それが社会保障費の抑制と考えているのですから。確かに日本は諸外国に比べ病床数が多い状況です。ですが医師は少ないのです。そのバランスをしっかり捉えながら病床コントロールをしなければ、国民の健康は維持できないのではないかと危惧します。これから強い病院は医師確保できても、大学医局に頼りっぱなしの病院では医師の確保が厳しくなっていきます。2025年にむけてゆっくりした話もできませんが、急ぐことによる弊害にも目を向けておくことが重要かと感じます。








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