2014年9月19日金曜日

医療事故調、報告対象の拡大に懸念  近医連・分科会

近畿医師会連合定時委員総会が9月14日、京都市内で開かれ、第 3分科会 (医療安全)では事前に実施したアンケート結果を基に2府4県の医師会関係者が意見を交わしました。この中で医療事故調査制度について、改正医療法で報告対象が「当該管理者が当該死亡または死産を予期しなかったものとして厚生労働省令で定めるもの」とされていることに対 し「今後、省令次第で(医療事故の)報告対象の範囲が限りなく広がることを危惧する」(兵庫県医)とした意見も上がりました。
「予期しなかったもの」に対する解釈も議論の焦点になり、アンケートでは「予期しなかった死亡例の定義を明確にしなければ、医療側と患者側が考える医療事故の調査対象の範囲があいまいになる」(大阪府医)、「『予期しないもの』は、当該医師の専門性や医療機関によって見解が異なることが予想される。報告に差が出ないような基準が必要です」 (和歌山県医)などの指摘がありました。また「『予期しなかったもの』は、診療から逸脱した行為で発生した事例に限定すべき」 (滋賀県医)とする意見も出ました。






第三者機関の「医療事故調査 ・支援センター」の調査結果が遺族に報告されることについては、報告書が訴訟に利用されることへの懸念もある中で、アンケート結果は「賛成」「やむを得ない」との方向でおおむね一致しました。ただ、報告書の内容が議論の俎上に上り 「反省や改善というようなコメントを書かれると、どうしても患者にすれば『医療ミスだ』となる。事実だけ書くような形にできないか」(大阪府医)、「反省点は患者側に情報開示する必要はないと思う」(兵庫県医)などの意見が出ました。遺族が報告書を訴訟に利用しないことや、外部に情報を公表することを禁じる仕組みの必要性を訴える意見もありました。医師法21条を改正する必要性については、兵庫、滋賀、京都の3府県医が「必要」と回答しました。兵庫県医は「刑事司法との調整を第二者機関に期待できないのであれば、なおのこと事故調査制度が動き出した今こそ医師会主導で改正を前に進めるべき」と訴えました。「必要ない」と回答したのは奈良、和歌山の2県医でした。和歌山県医は「医師法21条の改正にこだわらず、できることから医療事故調査制度を前に進めるべきだと従来から主張している」とコメントしました。調査に必要な費用負担に関しては、院内事故調査委員会の調査費を「自院負担とすべき」としたのが4府県医でした。「公費を投入すべき」としたのは2府県医でした。医療事故調査・支援センターの調査費は4府県医が「公費を投入すべき」とし、2府県医は「公費と当事者(医療機関・患者)負担とすべき」と回答しました。

医療事故調査 ・支援センターについては、どうも性善説と性悪説で見解が大きく変わっていくと感じます。本来、患者の健康・生命を守るためのはずの医療行為が、見る角度によって歪んでしまうことへの弊害をいかに抑制できるか、制度をしっかり整備してからのスタートを期待したいものです。








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