2014年9月5日金曜日

竹田綜合病院 急性期と地域包括ケアへ

福島県会津若松市の一般財団法人竹田綜合病院は、10月からの病床機能報告制度で現行の機能を「高度急性期」「急性期」「回復期」とし、「今後の方向」として報告する6年後の機能も、高度急性期などを目指していく方針です。
竹田秀理事長は、「会津若松地域は後方支援機能を受け持つ病院が少ない状況です。竹田綜合病院は急性期医療を展開していくが、今後の地域医療でニーズが高くなる地域包括ケア病棟は、分院の芦ノ牧温泉病院 (療養 120床)へ機能を集約したいです」と述べられました。ただ、地域包括ケア病棟入院料の算定は60日までと短く、患者の重症度や在宅復帰率の要件もあることから、全面的な移行については慎重に検討していくとしました。






建て替えを進めていた竹田綜合病院は2012年10月、新病院となる「総合医療センター」をオープンしました。新病院は、従来の1035床(一般病床726床、回復期リハビリテーション60床、精神病床249床)から、837床 (一般病床633床、回復期 リハビリ60床、精神病床144床)に大幅なダウンサイジングを図りました。現在は旧病棟を取り壊して玄関や駐車場などの外溝工事を進めており、1年後に新病院のグランドオープンを迎える予定です。
竹田綜合病院が次世代のビジョンを示す「VISION TAKEDA-2020」では、2025年の社会保障と税の一体改革に適合した事業展開を基本に据えています。竹田理事長は「今回の工事で急性期医療に関する整備は一段落したので、今後は地域包括ケアシステムの構築を目指します」と語られました。具体的には、竹田綜合病院本院は急性期機能に特化、山鹿クリニック (外来専門)を在宅療養支援診療所に位置付け、同一ビル内に介護福祉本部関連の事業所を設置、芦ノ牧温泉病院 (分院)を山鹿クリニックに隣接した場所に新築移転し「地域包括ケア病棟」とする、山鹿クリニックに隣接して、サービス付き高齢者向け住宅やグループホームなどの高齢者の住居施設を整備、通所系サー ビス、訪問系サービスの集中化や充実を図る一などを挙げ、これらの対応策によって「地域包括ケアシステム」を構築し、高齢化、少子化、人口減少などの市場環境の変化に対応していくとしています。
竹田理事長は「今回の診療報酬改定で地域包括ケア病棟が13対1になったことで、10対1までが急性期であることが明確になりました。竹田綜合病院では7対1病床が560床ありますが、今回の改定で『重症度、医療・看護必要度』の基準が見直され、基準をクリアすることが大きな課題でした。今後は病床の機能分化が一層進むだろう」と述べられました。
竹田綜合病院は9月から、会津地方では初めてとなる「緩和ケア病棟」の運用を開始します。全個室で15床です。緩和ケア病棟は新病院の重要な機能の一つとして位置付けていたが、スタッフの確保が進まずオープンできない状態が続いていました。緩和ケア病棟の開設によって、地域がん診療連携拠点病院として、より機能の充実を図っていくとしています。今回の病院の建て替えでは、病床のダウンサイジングによる入院収入の減収をいかに回避し増収に結び付けるかが、経営上の大きなポイントになります。当初は、ICU やHCUなど特定病床の増床による単価のアップと、個室の室料収入でカバーする計画でした。 ICUは4床から12床へ、HCUは16床から28床へ増床 し、個室率も一般病床で13.1%から25.5%に 、精神病床でも2%から33.3%に高めました。しか し、2014年度改定による「重症度、医療 ・看護必要度」の見直しによって、ICUなどでの対象患者の確保が難しくなっているといいます。
竹田綜合病院の平均単価は4月から6月の実績で、入院 (一般)が5万7739円、外来 (病院とクリニックの合算)が1万1658円となっています。2014年度改定の影響について竹田理事長は「病院団体などの集計がまとまらないと全体の傾向ははっきりとは言えませんが、ほとんどプラス・マイナス・ゼロではないか。薬剤などの消費税増税分については薬価で補填されているかもしれないが、実質はマイナス改定であり、薬価引き下げ分を本体に戻すルールをあらためて確立しなければなりません。次期改定では引き続き、周産期医療、小児医療、救急医療などの急性期医療について重点的な評価 を求めたい」と語られました。








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