2014年11月12日水曜日

 地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会  厚生労働省

厚生労働省は10月31日に、「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」を開催しました。前回(10月17日)会合では、平成37年(2025年)の医療需要・各医療機能の必要量を推計するにあたり、「『社会保障・税一体改革の【医療・介護に係る長期推計】』(平成23年6月)のロジックを踏まえ、最新のデータを織込む」ことを確認しました。 この日は、「平成37年(2025年)の医療需要」の推計に向けて、より具体的な考え方が厚生労働省当局から示されました。






入院全体の医療需要(患者数)を推計
(1)平成37年(2025年)の推計人口(国立社会保障・人口問題研究所の『日本の地域別将来推計人口(平成25(2013)年3月発表の推計)』をもとに、性・年齢階級別の人口に入院受療率をかけて算出
(2)疾病ごと(「5疾病とそれ以外」あるいは、DPCの「主要診断群18分類」)の医療需要も推計
(3)都道府県・構想区域ごとの医療需要を、患者の住所地をもとに推計し、そこに患者の流出入(医療機能別)を加味
(4)入院受療率の地域差については、地域差の要因分析を行ったうえで補正

各医療機能別の医療需要(患者数)を次のように推計
(i)高度急性期
・患者に行われた診療行為について、診療報酬の出来高点数で換算して医療資源投入量の多寡をみて推計
・医療資源投入量が一定程度落ち着いた段階を「患者の状態が安定した段階」と捉え、そこまでを「高度急性期および急性期」とし、医療資源投入量が特に高い段階の患者数を高度急性期の患者数とする
(ii)急性期
・(i)と同様に考えて、医療資源投入量が一定程度落ち着いた段階を「患者の状態が安定した段階」と捉え、そこまでを「高度急性期および急性期」とし、(i)の高度急性期の患者数を除外する
(iii)回復期
・医療資源投入量が落ち着いた後、退院までの段階の患者数を「回復期・慢性期の患者数」とする
・回復期機能の定義(病床機能報告制度における「急性期を経過した患者への在宅復帰に向けたリハビリ提供機能」「脳卒中・大腿骨頚部骨折等の患者に対する回復期リハビリ機能」といった定義)に鑑みて、回復期リハビリが必要な患者数は、回復期機能で対応する患者数とする
・「回復期リハビリが必要な患者・重度の障害者・筋ジス患者・難病患者等」以外の患者について、医療資源投入量等でどう区分できるかを検討
(iv)慢性期
・(iii)と同様に考え、慢性期機能の定義(病床機能報告制度における「長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能」「重度の障害者・筋ジス患者・難病患者等を入院させる機能」といった定義)に鑑みて、重度の障害者(重度の意識障害を含む)・筋ジス患者・難病患者等の患者数は、慢性期機能で対応する患者数とする
・「回復期リハビリが必要な患者・重度の障害者・筋ジス患者・難病患者等」以外の患者について、医療資源投入量等でどう区分できるかを検討

在宅医療の患者数
(a)基本的には、「退院して在宅医療を受ける患者数」「現状において在宅医療を受けていると考えられる患者数」の合計とする
(b)「地域の在宅医療提供体制の整備状況」「在宅医療提供体制整備の地域差」「適正・効率的な在宅医療提供体制のあり方」などをどう反映させるかを検討

 このように、厚生労働省当局は「DPCデータをベースに、1日あたりの医療資源投入量」をもって、高度急性期や急性期等の定量的基準を設定できないかと考えていることが伺えます。 たとえば「肺がん」について、入院期間と医療資源投入量の関係を見てみると、「手術あり」「手術なし」ともに、入院初期(入院初日から10日程度)には多くの医療資源が投入されるが、それを過ぎると少ない医療資源投入が安定して続くことがわかります。 また、「急性心筋梗塞・手術あり」では、入院当日にきわめて多くの医療資源が投入され、徐々に資源投入量が低下し、入院から20日程度を過ぎると少量の医療資源投入が継続するという状況です。 一方、「急性白血病」では、入院日数の経過で医療資源投入量が減少するという関係は見出しにくい状況です。 こうしたデータをもとに、たとえば「医療資源投入量を指標として一定のラインを引き、疾病ごとに○点以上を高度急性期、○点未満●点以上を急性期と定義する」ことなどが考えられます。 この考え方について厚生労働省医政局の北波地域医療計画課長は、「客観的な指標である」という点を強調しましたが、「医療資源投入量はそれほど高くないが、状態がきわめて不安定であるという時期もあります。そういった点を今後、検討していく必要があります」とも述べられています。 構成員からは、「新型インフルエンザやエボラ出血熱などの非常事態をも考慮すべきではないか(加納構成員・日本医療法人協会会長代行)」「地域ごとに『あるべき受療率』は異なってよいと考えている。単純な補正は好ましくない(中川構成員・日医副会長)」「急性期から回復期等へ転棟し、回復期等から在宅へ退院した場合、同じ患者が2度退院患者としてカウントされていると思うが、その辺をきちんと把握する必要があるのではないか(相澤構成員・日病副会長)」といった意見が出されました。 遠藤座長(学習院大経済学部長)は、「次回以降に、実際の数字を入れた粗い試算結果を提示してもらい、それをもとに議論を深める」ことを厚生労働省に指示しました。 ただし、粗い試算にも相当の手間と時間がかかるため、次回会合(11月21日予定)で「試算結果をもとにした医療需要(患者数)」「必要量(ベッド数)」「協議の場」のいずれを議題とするかは不透明な状況となっております。

地域医療構想の策定について今は多くの都道府県が頭を抱えていると思います。いかに基金を引っ張るかという綱引きの為の一戦は一旦終わったため、これからはいかに各地域の医療体制のビジョンを描いていくかになります。ただ、現状すらしっかり捉えきれていない状況下でこれから先のビジョンを策定すること自体がナンセンスではありますが、そのビジョンによって多くの医療機関は影響をうけますし、また市民が影響を被ります。まずは各地域がどのような地域を目指すのか、首都圏と地方では大きく異なります。人口と産業を確保しなければ行政は厳しい運営をしなければなりません。ただ現在の市民をさておいてあまり大きな方向性が異なるビジョンを描くこともできません。官民が協力してよりよい地域を形成することが一つの得策ではないでしょうか。








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