2014年11月22日土曜日

小児がん拠点病院 ネットワークの拡大

 広島大学病院は、中国・四国ブロック9県で唯一の小児がん拠点病院です。ブロック内で小児がんの診療を担う18病院とネットワークをつくり、2013年7月から、全体でも同様のテレビ会議を開きました。会議は毎月第4水曜日におこなわれ、まれな症例や治療法の情報交換もしています。






 小児科の小林正夫教授は「再発・難治性の患者は、拠点病院が中心に診ることになるだろうが、テレビ会議で難しい症例を共有しながら、地域の若手医師を育てていきたい」と話しています。
 テレビ会議には、隣接する近畿ブロックの拠点病院の兵庫県立こども病院が参加しています。将来は九州・沖縄の拠点病院の九州大学病院にも参加を呼びかけようとしております。九州大学病院は2014年6月から連携病院と始めています。
 また、広島大学病院は、12月に連携病院の看護師を集め、小児がん看護の研修を開きます。子どもの発達や心理の専門家「チャイルド・ライフ・スペシャリスト」らの支援方法などを学んで、患者や家族のサポートの充実につなげてもらう目的です。
 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)は、関東・甲信越ブロックの4拠点病院の一つです。松本公一・小児がんセンター長によると、日本小児血液・がん学会に登録された約6200症例(2008~10年)では、血液がんが固形がんよりもやや多い状況です。しかし、全国15の拠点病院では、成育医療研究センターを含む12病院で固形がんが半数を超えました。
 固形がんは小児科だけでなく、外科や整形外科などとの連携も必要です。小児がんの中でもまれな疾患で専門家が少なく、拠点病院に集まる傾向があるといいます。
 小児がんは患者の親やきょうだいの暮らしにも大きな影響をもたらします。できるだけ自宅近くで治療を受けるのが望ましいです。松本さんは「拠点病院だけに患者を集めるのではなく、小児がんの治療経験のある病院や成人の病院にも結びつけることが拠点病院の大切な役割の一つです」と語ります。
 成育医療研究センターは2014年2月、国立がん研究センター(東京都中央区)とともに「小児がん中央機関」にも指定されました。中央機関は15拠点病院のとりまとめ役です。成育医療研究センターは今後、病理の画像データベースを設け、病理診断や放射線診断などを支援します。小児用の相談支援員の研修プログラムを作り、来年に研修を実施します。長期的なフォローアップを視野に入れた小児がんの登録方法も検討しています。

 小児がんは、新たに診断される患者が推計で年に2千~2500人にのぼります。診療する医療機関は約200あるとされ、1施設あたり10~12人の計算になります。医療機関によっては、経験の少ない医師が診療している可能性があり、小児がん患者が必ずしも適切な医療を受けられていないのではないかと懸念されていました。
 このため、2012年6月に閣議決定された「がん対策推進基本計画」には、5年以内に小児がん拠点病院を整備することが盛り込まれました。診療体制や診療実績、相談支援体制などをもとに、2013年2月、厚生労働省は15病院を指定しました。
 小児がんを診る医療機関を拠点病院に「集約化」し、診療経験を重ねることで治療成績を向上させます。また、全国どこでも標準的な治療が受けられるようにすることも目指しています。
 日本小児血液・がん学会理事長を務める堀部敬三・名古屋医療センター臨床研究センター長は「どういうがんは集約化し、どういうがんは身近で治療するのかを考えることが大切です」と話します。特に数が少ないがんでは、拠点病院ではない医療機関のほうが診療実績が多い場合もあるとし、「疾患ごとの拠点も必要ではないか」と指摘しています。
 治療だけでなく、教育や就労への支援、家族らの宿泊施設の整備なども求められています。
 「がんの子どもを守る会」の山下公輔(こうすけ)理事長は、拠点病院と地域の病院とのネットワークなど、支える体制ができつつあることを評価しています。ただ、「ネットワークの外側にいるかかりつけ医にもつながるよう、自治体や医師会とも連携が必要」と注文しています。子どもが病気になれば、最初はかかりつけの小児科医を訪れるため、その医師が拠点病院やネットワークの病院に相談できれば、より早く診断がつくことが期待できるといいます。

これから、連携は地域連携だけでなく、データを共有しつつ遠隔連携も進んできています。特に小児がんなどのなかで、症例数の少ない疾患などにおいて、標準的な治療が自宅の近くで受けることができるようになれば、患者ならび家族にとってのメリットは大きくなり、またそれが地域との連携ということに広がっていくのではないかと期待いたします。








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