2014年11月15日土曜日

社会保障充実と消費増税

2015年10月に消費税率を10%に引き上げるか否かの判断の参考として、有識者から意見を聞き取る政府の点検会合が11月13日に開かれ、日本医師会の今村聡副会長は「税率を引き上げ、増収分を医療・介護の財源として使うことは医療関係者の共通した願いです」と述べられ、予定通りの引き上げを求めました。今村副会長は会合で、日本の医療制度は少子化や超高齢化、医療の高度化を背景に制度疲労を起こしていると指摘されました。

世界的評価が高い同制度を維持・充実させるには十分な財源確保が必要であること、制度が一度壊れてしまえば再構築は困難でかえって社会的なコストが増大してしまう点を訴えました。国民医療推進協議会 (会長=横倉義武・日医会長)が10月にまとめた決議を紹介しつつ、2015年10月に税率を10%に引き上げて増収分を社会保障財源に充てる“3党合意による国民との約束"を守るよう迫りました。取り組むべき喫緊の課題も提示し、認知症対策とエボラ出血熱などの感染症対策の2つを説明されました。このうち安倍晋三首相が対策強化に意欲をみせる認知症対策は、家族の介護などによる離職増が労働力低下の要因につながるとし、経済成長の観点からもすぐに取り掛かるべきと主張しました。また、経済発展が社会保障の財政基盤を支えるだけでなく、社会保障の発展が生産や雇用の誘発効果につながり、日本経済を下支えしている“相互作用"も強調されました。医療機関の存続に大きな影響を及ぼす医療機関の消費税負担の問題への対応は「引き上げによって地域医療を支える医療機関に支障を来さないように、抜本解決が不可欠」と理解を求めました。出席者間の意見のやり取りでは、10%への引き上げが安倍政権の経済政策(アベノミクス)の 足かせになるとの懸念が出たといいます。これに対し、今村副会長は3党合意がアベノミクスを前提に決められたものではない点を挙げて「アベノミクスと関係なく、国の財政改善や社会保障の維持・充実、発展のために、社会保障・税一体改革の3党合意に取り組んだはずだ」と主張されました。あらかじめ決まっていた政策がその後に打ち出された政策によって手を加えられることへの“政治の姿勢"をただしました。
10%への引き上げを延期し、年内の衆院解散・総選挙の可能性が高まっているが、今村副会長は予定通りの引き上げがかなわない場合は社会保障充実のための財源は他の税収からも当然求められるべきとの見解を示しました。 年内の衆院解散・総選挙に備え、与党が臨戦態勢を整え始めています。影響は厚生労働分野にも及んでおり、自民党は11月13日までに、水面下で陳療関連政策を含めた公約作成作業に着手したもようです。今臨時国会の会期は30日までとなっていますが、法案審議も11月17日以降の解散を視野に入れた日程にシフトしています。国会周辺では11日以降、急速に解散・総選挙ムードが高まっています。選挙で掲げる公約は党の「顔」にもなりますが、自民党は医療分野の公約を作成するため、党の窓口役と支持団体間でやり取りを始めました。

医療と経済は国の財政を軸に強い関係性を持っており、この消費増税はどのようになるのか、このまま社会保障を脆弱化させるわけにはいかないという危機感はありながら、安倍首相の手腕の見所です。ただ、新基金も踏まえて制度改革を見据えていた医療業界においては、方向を180度転換しなければならないようなことだけは、避けて頂きたいと切に願います。








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