2014年11月1日土曜日

がん検診 重点的に個別受診勧奨 神戸市がん対策推進懇話会

 がんの専門家や学識経験者らから意見を聞く「神戸市がん対策推進懇話会」(会長=杉村和朗・神戸大学長補佐)が10月30日、神戸市内で開かれました。がん検診やがん患者への支援に今後、市としてどう取り組むべきかが話し合われました。その中で、年齢による利益・不利益のバランスやそれぞれのがんの特性に応じて、重点的に個別受診勧奨をすべき対象をめぐって議論が展開されました。






 市の担当者は、前回の懇話会で委員から出た意見などを踏まえ、胃がん、大腸がん、肺がんは50-60代、乳がんは50代、子宮頸がんは20-30代をそれぞれ重点的に個別受診勧奨すべき対象として提案しました。しかし、欧米を参考にして提案された乳がんを50代とすることに対しては、多くの委員から異論が相次ぎました。
 祖父江友孝委員(阪大大学院医学系研究科教授)は、「乳がんは40代の罹患率が高く、むしろ50代より高いかもしれない」と指摘されました。40代の検診は、マンモグラフィーだけでは感度が不十分ということもあって難しいと一定の理解を示しながらも、欧米と違って日本は閉経前の乳がんが多いことから「40代は無視できない」と主張されました。
 また、辻晃仁委員(神戸市立医療センター中央市民病院腫瘍内科部長・がんセンター長)は、「市民病院では乳がん患者は30代が多いです。市の検診を50代とするのには非常に違和感があります。もっと低年齢からやった方がよいです。せめて40代は入れていただきたいです」と述べられました。
 一方で、同様に50代は年齢が高過ぎるとした杉村会長は、「大丈夫と言われたから症状があっても大丈夫と思ってしまうリスクもある」と述べられ、個別受診勧奨だけでなく、検診で安心してしまう「検診の怖さ」にも注意を払っていく必要があるとしました。
 こうした委員らの意見を受け、乳がんに関しては再度検討することになりました。また、市では現在、乳がん検診は精密検査の未受診者への受診勧奨ができていないことから、検診の個別受診勧奨と併せて力を入れていく方針を確認しました。

日本の医療費が高騰している要因の一つとして、予防医療が浸透していないことがあげられます。またがんの罹患率が右肩上がりで上昇している中、がん検診の振興は課題の一つとして上がられています。多くの自治体では、市民のがん検診などの受診に対する補助を設けていますが、それでもなかなか受診率は向上しない状況です。今回の神戸市がん対策推進懇話会の討議の中で対象を広げるというのも必要な策であると考えられますが、受診率向上のためには意識の低い市民への働きかけが必要ではないかと感じます。








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