2014年11月11日火曜日

患者申出療養 (仮称)制度の枠組み案  社会保障審議会・医療保険部会

社会保障審議会・医療保険部会(部会長=遠藤久夫・学習院大教授)は11月7日、中医協からの患者申出療養 (仮称)制度の枠組み案の報告を受け、次期健保法改正での制度創設に向けた検討を進める方向を確認しました。今後、制度運用上の課題などについては中医協で議論が進む見通しです。部会では、患者申出療養による有害事象発生時の責任体制を明確化すべきだとの意見や、対象となる医療技術の安全性、有効性を確実に担保するための仕組みの重要性を指摘する意見が複数の委員からありました。






岩村正彦部会長代理(東京大大学院教授)は、患者申出療養について「重要な点は保険収載を目指していることです。その点を踏まえた制度設計、制度運用をお願いしたい」と述べた上で、「患者申出の可否を国が判断することになれば、もし被害が発生した際の国の責任などの問題は整理しているのか。臨床研究中核病院等からの定期的報告で、有害事象が隠匿された場合の制裁は考えているのか」などと質問しました。厚生労働省は、患者申出療養の詳細な制度運用は今後検討するとした上で、現在の先進医療制度の運用状況を引用して説明されました。先進医療では、有害事象の発生に備え、「実施医療機関には患者への補償、保険加入などを条件に実施することを認めています。患者申出療養でも発生時の対処法、ルールを決めておくことは必要です。有害事象の報告に遅れがあつた場合には、何らかの対処は必要だと認識しています」と答えました。これに対して、松原謙二委員(日本医師会副会長)は「国は一切責任を取らないということなのか。申し出た国民の責任とか、引き受けた医療機関の責任というのはいかがなものか」と厚生労働省の説明を問題視しました。唐澤剛保険局長は「法制度上の問題として存在する以上、それぞれの当事者にはそれぞれの責任があるはずと考えています。どの部分について、どの程度かということは一概には言えません」と理解を求めました。高橋睦子委員(連合副事務局長)も「有害事象が発生した場合の責任の所在が不明瞭です。最終責任を患者に課すことはあつてはならないです」などと指摘しました。また「低所得者が排除されない仕組みに留意することが必要です」と述べました。また、松原委員は「安全性・有効性を評価するのは容易なことではないが、それらを確保しながら、国民のために保険収載を目指すという大きなフレームは必ず守っていただきたい」と述べられました。高橋委員も「保険外併用療養費制度の拡大は、患者の安全性・有効性の確保が大前提」との考えを示されました。菊池令子委員(日本看護協会副会長)は、具体的な運用についてのガイドラインを国として策定するよう求めました。

患者申出療養 (仮称)が制度化されることはほぼ確実となってきた状況において、実際運用が始まった時に想定される事象についてひとつひとつ確認している段階に迫っています。まず一番の要点として、保険収載を見据えた制度とすることです。そうでなければ、高橋睦子委員の指摘通り低所得者層を排除した制度で終わってしまい、医療格差のきっかけとなります。これから地域包括ケアシステムとして、開業医のかかりつけ医の機能(ゲートキーパー機能)が働き始めると、一般的な急性期病院はこれまでと立ち位置が大きく変えざるをえなくなってきます。患者申出療養 (仮称)を実施できる医療機関は限られており、医療機関も患者に選ばれる為に独自性というか特徴を求められてくることは近い将来想像されます。








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