2015年2月18日水曜日

電子カルテ診療データの“見える化” 済生会熊本病院とNEC

社会福祉法人恩賜財団 済生会熊本病院とNECは2月9日、電子カルテに入力、蓄積した診療データを収集し、分析、可視化して治療プロセスの品質管理を支援するソフトウェア「新型電子クリニカルパス分析ビューワ」を共同で開発したと発表しました。
 済生会熊本病院では、2014年4月からこの機能を試行的に導入し、今回本格導入に至りました。今後、この機能を活用し、バリアンス(治療における達成目標が達成されない状態)収集や分析を効率良く実施し、PDCAサイクルを高速に回すことで、医療の質のより一層の向上を目指します。
 また、NECは、「新型電子クリニカルパス分析ビューワ」を同社電子カルテシステム「MegaOak HR」の追加機能として、同日から販売を開始します。同機能は両者が共同で特許出願中としています。






 今回のソフトウエアは、電子カルテに入力・蓄積した診療データを収集・分析・見える化することで治療プロセスの品質管理を行なうものになります。クリニカルパスは、「標準診療計画」に基づいた治療において、治療プロセスの品質を管理し、改善するために患者状況などの情報を収集・分析する手法を指します。
従来の電子カルテシステムでは、自由記述によるデータ入力が主で、用語が標準化されていなかったことから、分析可能な形式にデータ変換する手間が発生する課題があったといいます。これに対して、今回開発した新型電子クリニカルパス分析ビューワは、あらかじめデータ分析が可能な形式で電子カルテから診療データを収集可能となりました。収集によるタイムロスを減らし、タイムリーな分析・確認を実現しました。
 2014年4月から済生会熊本病院で試験運用を開始していました。その結果、電子カルテへの記録により、在院日数、バリアンス(目標未達成時)の件数と内容、費用の表示の自動化が可能となり、早期の現場へのフィードバックがもたらされたといいます。
 新型電子クリニカルパス分析ビューワには、日本クリニカルパス学会監修の患者状態アウトカム(目標)用語集を使用した、1日分の診療データを記録できる「日めくり記録」機能、済生会熊本病院のノウハウと実績を活用したビューワ機能、現場の医師・看護師らによる電子カルテ端末からのビューワ確認機能などが盛り込まれました。こうした機能により、データの効率的収集による作業時間の低減、バリアンスへの素早い対応、見やすいグラフ化、治療成績に影響を与えそうなバリアンスの予測など、幅広い活用が見込めるとしています。

これから医療の現場では質の向上と効率化が更に求められていきます。これまでも各病院では現場レベルでPDCAサイクルを回して業務改善を行なってきたと思いますが、そこでどうしてもベンチマークとなる指標がないことで、現段階の進捗判断が鈍り、アウトカムに繋がりきれなかったことがあったと思います。そういう意味でこの分析ビューワは、とてもニーズがあると感じます。もちろん効率化を高めて、在院日数を短縮することは、今求められている医療の取り組みに沿っているとは思いますが、医療の本質をおきざりにしないようには、一人ひとりしっかりと肝に銘じたうえで取り組むべきであると感じます。








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