2015年2月20日金曜日

在宅医療 外来応需

中医協総会 (会長=森田朗 国立社会保障・人口問題研究所長)は2月18日、次期診療報酬改定に向け、在宅医療に関する議論をスタートさせました。検討課題の一つとなっている在宅医療を専門とする保険医療機関の位置付けでは、厚生労働省が外来応需体制を求めている現行の運用の在り方を見直す際の考え方を提示しました。必要に応じて往診、訪問診療に関する相談に応需することや、軽症者を集めて診療するなどの問題が起きないようにする方向性を提案しましたが、診療側、支払い側ともに慎重意見が目立ちました。






在宅医療を専門に行う保険医療機関については、政府の規制改革会議が開設要件の明確化を検討するよう提言しており、フリーアクセスの観点から外来応需体制を求めている現行の運用との整合性をいかにとるかが課題になっていました。厚生労働省は、外来応需体制の在り方について、健康保険法63条第3項に基づく開放性の観点から、医療提供範囲内の被保険者の求めに応じて、医学的に必要な場合の往診、訪問診療に関する相談への応需な どの客観的要件、在宅医療の質と供給体制確保を図るため在宅医療の専門性の評価、在宅医療を中心に提供する医療機関に軽症者を集めて診療するなどの弊害が生じないような評価の在り方を検討することを提案しました。こうした外来応需体制の運用に関する提案に対し、総会では診療側、支払い側の委員から慎重な検討を求める意見が相次ぎました。
診療側の中川俊男委員 (日本医師会副会長)は「かかりつけ医を外来で受診していた患者が、通院困難となり、かかりつけ医が往診をするという形が在宅医療の大原則。これは守っていかないといけない」と強調されました。その上で「24時間態勢で、在宅医療の提供体制を補完する新たな仕組みという視点は大事だが、前回改定で見られたような不適切事例によって健全な在宅医療が阻害されないよう慎重な検討は必要」と求めました。
鈴木邦彦委員 (日医常任理事)も「軽症者を全て外来診療なしで在宅で診るような形態が出てくる可能性がある」と慎重姿勢を示しました。一方、支払い側の矢内邦夫委員 (全国健康保険協会東京支部長)らは、外来応需の運用の在り方の見直しについては「患者のメリットがあまり見えない。この視点からの検討をお願いしたい」と述べられました。

次の診療報酬改定は2025年に向けた大きな意味があります。いかに医療と介護を連携させて病院から在宅へ移管させることで社会保障費の増加を抑制できるかが、財務省から厚生労働省に課せられた最大の課題です。そのためには在宅復帰を浸透させて、在宅医療で地域で看ていくことが鍵となっています。しかし、これまで病院というスケールメリットで効率化してきた医療の現場において、訪問という非効率的な体制で本当に満足のいく医療を提供することが可能なのでしょうか。患者の満足のいく医療を提供できるのでしょうか。医療はサービス業であると言われてきていますが、国民の健康を維持するための医療を他のサービスと同じように図ってしまっては、体制にひずみが生じ、国民の健康と安全に支障をきたしてしまうのでは、強く危惧します。








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