2015年4月2日木曜日

死亡率5倍 高難度腹腔鏡

群馬大病院(前橋市)で、腹腔鏡(ふくくうきょう)を使う肝臓手術を受けた患者8人が死亡した問題を受け、日本肝胆膵(かんたんすい)外科学会が3月23日に発表した腹腔鏡手術の実態調査結果で、胆管切除を伴う保険適用外の肝臓手術は死亡率が10%近くに上ることがわかりました。






群馬大病院での腹腔鏡を使った肝臓切除手術による患者死亡問題を受け、日本肝胆膵外科学会は3月23日、手術実績の多い全国約200施設を対象に、腹腔鏡を使った肝臓切除手術の実績調査結果を公表しました。難易度の高い保険適用外の手術を受けた患者の1.45%が90日以内に死亡し、保険適用の手術に比べ死亡率が約5倍高いことが分かりました。高難度の腹腔鏡手術では、開腹手術を選んだ方が、死亡率が低くなる可能性があります。保険適用外の手術をしている施設のうち55%が倫理委員会の承認を受けていないことも判明し、術式ごとに倫理審査を受けた上で慎重に実施の可否を判断するよう注意を呼び掛けました。
群馬大病院では同手術の死亡率が8.60%で、全国平均の0.49%の 17.6倍と極めて高く、同学会は学会が認定する訓練施設から群馬大病院を外すことを決めました。調査は学会が訓練施設と定めた212施設を対象に1月に報告を求め、207施設から回答を得ました。学会理事長を務める千葉大の宮崎勝教授らが、2011~2014年に実施した肝臓、膵臓などの腹腔鏡手術の症例数や術式別の死亡率などを集計しました。その結果、腹腔鏡下の肝臓切除手術の死亡率は全体で0.49%でした。難易度の高い保険適用外の手術では1.45%で、保険適用の手術の0.27%と比べ5.4倍高い状況でした。特に難易度が高いとされる胆管切除を伴う肝臓切除手術では41人中4人が死亡し、死亡率が9.76%となりました。腹腔鏡を使わない開腹手術での死亡率は3~5%とされます。調査結果には群馬大病院の回答も含まれており、胆管切除を伴う肝臓切除手術の死亡率を引き上げた可能性があると見られます。

群馬大病院の患者死亡問題により、腹腔鏡手術の安全性について注目を浴びました。ただ事実を一部だけに集約してしまうと現実が歪んでしまうリスクがあります。実は、群馬大病院では腹腔鏡手術を手がけた第二外科(消化器外科)による肝臓の開腹手術でも、過去5年間で、84人中10人が術後3か月以内に死亡していました。開腹手術の死亡率は11・9%に上り、全国的な肝臓の開腹手術の死亡率に比べ3倍という高率でした。ただ今のところ、手術と患者の死亡との因果関係はわかっていません。また、余命が数か月と想定される患者は一般的に、そもそも手術の対象になりません。そのあたりも踏まえ、腹腔鏡手術か開腹手術かではなく、肝臓の状態から本来行うべきではない手術も多かったのではないかと、思うところがあります。








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