「地産地消ではないが、医療問題も地元で対応するのが原則です。できない以上、他の地域に頭を下げて受け入れてもらうしかない」。救急救命の最前線に立つ筑西広域市町村圏事務組合消防本部(筑西、桜川、結城市)の高橋誠一消防司令は、早期の新中核病院の必要性を訴えます。
筑西広域市町村圏事務組合消防本部の2013年の救急搬送は7154人でした。このうち、手足の骨折や腹痛など、軽度から中程度の患者は約6割を地元の病院に搬送していますが、心疾患など重篤なケースは約4割しか地域で対応できない状況です。主に自治医科大(栃木県下野市)や筑波大(つくば市)の付属病院に頼っており、綱渡りの救急業務が続いております。
茨城県の最新のまとめでは、茨城県内の人口10万人当たりの医師数は166.8で全国平均の230.4を大きく下回り、全国で下から二番目です。筑西、桜川市などでつくる二次保健医療圏「筑西・下妻医療圏」では99.7人と、特に医師不足が深刻化しております。
さらに、筑西・下妻医療圏で気になるのが、迅速な対処が救命に結び付く心疾患、脳血管疾患の死亡率の高さです。人口10万人当たりの心疾患による死者は167.5人(全国平均139.2人)、脳血管疾患は143.6人(全国平均100.8人)と、救急医療体制の整備が急務となっています。
新中核病院の建設を待ち望み、市議会の傍聴席に毎回足を運ぶ筑西市の馬場泰則さん(74)が住む住宅地は、独り暮らしや高齢者世帯が多いです。「高齢者が安心する地域医療を確保してほしい。患者が自治医大や筑波大に搬送されたら、高齢者は看病にも行けない」と行政に要望しています。
25億円の国の基金を活用して、茨城県が策定した「地域医療再生計画」で打ち出されたのが新中核病院の計画です。筑西市、桜川市と茨城県の三者による協議は現在、地域で求められる診療科目、患者の受け入れ状況など、基礎的なデータの洗い直しの作業が進められています。
茨城県医療対策課は「国からは3月の合意事項にだめ出しが出た格好です。地域で必要とされる新中核病院の在り方をまず示し、そこから、合意事項の見直しも含めて、話し合いを進めている段階」としています。
医師不足からの救急医療が対応しきれていない問題は、全国的に聞こえてくる大きな問題です。また一人体制の救急では専門診療科以外の救急を進んで受け入れることは、患者にとってもまた医師にとっても良とはいえない面が大きくあり、また医療における事故責任についてメディアが色をつけて報道したりする中で、特に顕著になってきています。ただ、そこには救えるはずの患者も多くいるはずなわけで、いかに医師にも病院にもそしてもちろん患者にも不要な負荷がかからないような体制整備が求められるわけです。しかし、それは本当に医師不足だけが原因なのかはしっかり追求しなければと感じます。
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