女児は、2014年4月の幼稚園入園後に特発性拡張型心筋症と診断され、補助人工心臓をつけていました。海外での移植を目指し、受け入れ先が決まった米国に渡る準備をしていた時、人工心臓でできた血の塊が脳の血管に詰まる「心原性脳梗塞(こうそく)」を起こし、脳死になりました。移植を待つ患者の脳死臓器提供は成人で1人ありましたが、子どもでは今回が初めてです。
提供された肺と肝臓を2人の患者に移植する手術が1月14日、岡山大病院(岡山市北区鹿田町)で始まりました。肺は肺胞壁に炎症を起こし、ガス交換ができにくくなる特発性間質性肺炎を患う8歳女児=関東地方在住=へ、肝臓は急性肝不全の50代女性=広島県在住=に移植しました。手術はすべて無事成功し、移植を受けた女児は順調にいけば1~2カ月後に退院できるといいます。6歳未満の臓器提供者(ドナー)から10歳未満の患者への脳死肺移植は、2014年11月に京都大病院で実施されたのに次いで国内では2例目です。
両肺の提供を受けた女児は出生直後から呼吸障害があり、2014年10月に日本臓器移植ネットワークに登録していました。これまでに心肺停止となったこともあるといいます。手術は大藤剛宏・肺移植チーフの執刀です。肝臓は八木孝仁・肝胆膵(すい)外科教授の執刀です。女性は移植以外に救命法がなく1月8日に日本臓器移植ネットワークに登録していました。
岡山大病院で6歳未満の小児から提供された臓器を移植するのは初めてです。 日本臓器移植ネットワークによると、ドナーの女児は大阪大病院に拡張型心筋症で入院。補助人工心臓を装着し、心臓移植の待機患者としてネットワークに登録するとともに、海外での移植に向け渡航準備をしていました。臓器を提供した女の子の両親は、「娘が発病してから暗闇の中にいました。同じようなお気持ちの方に少しでも光がともせられたら」とコメントしています。
救うことができる命と救うことができなかった命。もちろん命に重い軽いはありません。ただ救うことができる命があるのなら、そのことに対し全人的に医療を行なうのが医療従事者の責務です。
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