2015年1月20日火曜日

医療事故調査制度 予期しなかったもの とは

厚生労働省の「医療事故調査制度の施行に係る検討会」(座長=山本和彦・一橋大大学院教授)は1月14日、10月から始まる医療事故調査制度が対象にする死亡・死産の事案を規定するための省令案を大筋で了承しました。






厚生労働省が示した省令案は、事案に関係する医療の提供前に、患者・家族に対して死亡・死産の予期を説明、死亡・死産の予期を診療録などの文書に記録、提供した医療の内容に関わった医療従事者間や安全管理のための会議体により、死亡・死産が予期されている状況・情報を共有の3条件すべてを満たさない場合のみを「予期しなかったもの」とする内容です。実際の運用は、この条件で「予期しなかったもの」に該当することを確認し、医療機関の管理者が「医療に起因するまたは起因すると疑われる死亡または死産」であると判断した場合に、第三者機関への報告や院内調査を実施することになります。
死亡・死産の予期について、統計学的・一般的な内容ではなく、個々の患者や妊婦の状態に応じた説明や記録、情報共有が必要であることを省令で明確に求めるべきとの意見が相次ぎました。日本医師会副会長の松原謙二構成員は、「(統計学的な)何%というような説明だけでは十分ではない」と述べられ、省令での記載を明確にすべきだと主張しました。この意見に対し、患者の視点で医療安全を考える連絡協議会代表の永井裕之構成員は「ぜひ、医療界の意見としてまとめていただきたい。患者・家族が納得した上での手術であれば、(結果が悪くても)問題にならないことのほうが多い」と同調されました。南山大大学院教授・弁護士の加藤良夫構成員も「非常に重篤な患者を致死的な覚悟で助けようとする手技もあると思う。いろんな場面ごとに経過が具体的に説明されることが必要」と続けました。 運用通知で考え方を示す予定の「医療に起因するまたは起因すると疑われる死亡または死産」については、次回以降の会合でも引き続き議論することが決まりました。会合では、医療事故調の運用について学術的・専門的な検討を進めている厚生労働科学研究費事業 「診療行為に関連した死亡の調査の手法に関する研究班」における検討状況をたたき台に議論しました。研究班は、医療機関における“管理"の参考例として、自殺、転倒・転落、拘束・隔離・身体抑制、誤喩、その他の5点を例示しました。ただ「医療に起因するまたは起因すると疑われる」かは、一概に判断できない内容として整理しています。

熱意のある医師は、その熱意を失わざるを得なく、システマチックな医師が存在価値を発揮しそうな現場の逆転が懸念されます。確かに事故は起きてはならないものですが、何とか可能性を膨らませようとする努力は報われなくなっていきます。高齢化社会が進む中で、国は国民の長生きについてもどこかで歯止めをかけるための切り口を探していたのかもしれないと斜めにみてしまいます。








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